いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女 (スーパーファミコン版)

このところは遊びたいゲームが続々と発売されており、嬉しい悲鳴をあげている今日この頃だが、幸か不幸かその影響によりレトロゲームメインだったハズの本ブログも新作に記事が集中してしまっていた。

というわけで、ここらで一度レトロ系作品をガッツリ語ることにしよう。ちょうど、この時期に語るべきなレトロ作品もあることだし。

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さて、今宵のテーマはリメイクを目前に控えた任天堂が誇る名ADVファミコン探偵倶楽部PartⅡ うしろに立つ少女』である!

勘のいい人は『その作品前にも語ったよね?』と思っただろう。
確かに本ブログでは2年前に2記事に渡って『ファミコン探偵倶楽部』の1作目『消えた後継者』2作目『うしろに立つ少女』についてそれなりにしっかり語っていた。

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しかーし!『消えた後継者』はともかく『うしろに立つ少女』はもう1作存在するのだ。今回はそのもうひとつの『うしろに立つ少女』について語らせていただこう!

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…ぶっちゃけた話をすると、この記事自体は2年前に途中まで書いて没った記事の再利用だったりする。普通は没った記事はそのまま放置するのが我がブログにおいてのセオリーなのだが、せっかくリメイク版の発売が目前に迫っているということで、今一度ガッツリ語ることにしたのである!あと多分このタイミングを逃すとSFC版の事を語る機会が永遠に無くなりそうだったし…。

ちなみに来週(2021/5/14)発売のリメイク版でファミ探デビューという人もいるだろうと思われるため、今回は可能な限り致命的なネタバレは避けるように語るのでご安心を。

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さて、改めまして今作はかつてディスクシステムにてリリースされていた任天堂屈指の人気ADVファミコン探偵倶楽部PartⅡ うしろに立つ少女』スーパーファミコン向けにリメイクした作品である。

なお、今作はファミコン探偵倶楽部10周年記念作品』といったポジションでもあり、10周年の節目にシリーズでも特に人気のある『うしろに立つ少女』をリメイクした…といった感じである。厳密に10周年なのは『消えた後継者』の方なのだが…ファミ探シリーズの顔役ともいえるあゆみちゃんが目立つのはこっちなので仕方ない。
結果的に『消えた後継者』はリメイクを33年も漬物にされたのは流石に同情するが。 

オリジナル前の作品と別カウントとして見る場合はファミ探シリーズの3作目にあたる…ように見せかけて、実は今作とオリジナル版の間にサテラビューサウンドリンクゲーム*として『BS探偵倶楽部 雪に消えた過去』なんてのがあったため、実は4作目

*サウンドリンクゲーム
SFCの周辺機器、サテラビューを用いた
衛星通信によって行われる特殊なゲーム
衛星放送で流れる音声に連動してゲームが進行する
システム上、現代に改めてプレイする方法は存在しない
詳細は過去のサテラビューについて語る記事を参照

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そしてコチラが今作の箱、以前の記事でも見覚えのある名前…そう、ニンテンドウパワー(NP)』*である。今作にはパッケージ版が存在せず、SFメモリでの書き換え専用タイトルとなっている。

*ニンテンドウパワー(NP)
1997年から2007年まで行われていたサービスで、
全国のローソンに白い専用のROMカセットを持ち込むことで
ゲームデータの書き換えを行うことができた。
対応プラットフォームはゲームボーイスーパーファミコン
GB向けニンテンドウパワーは『GBメモリ』、
SFC向けニンテンドウパワーは『SFメモリ』とも呼ばれる。
早い話がGB・SFC向けのディスクシステム
専用タイトルになにかと名作が多いのが特徴。

こうしてみるとファミ探シリーズはゲームそのものは万人ウケしそうなのに売り方がマニア向けすぎるのである。1・2作目がディスクシステム3作目がサテラビュー4作目がニンテンドウパワーって…。

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少し話が逸れたがこの辺りで閑話休題、ここからガッツリ今作について語っていくのである。

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今作は前述した通りファミ探シリーズの2作目、『うしろに立つ少女(以後オリジナル版と表記)』のリメイクである。

ポジション的に言えばふぁみこんむかし話 新 鬼ヶ島に対する平成 新・鬼ヶ島に該当する作品だが、オリジナル同様に前後編でリリースされたあちらとは異なり、こちらは単品で最初から最後までプレイ可能。その代わり『平成 新・鬼ヶ島』にあったオリジナル版そのものの収録は行われていない
(もっとも、平成新鬼ヶ島は第四話を除きスピンオフとなっていてリメイクかというとちょい微妙なのだが)

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今作ではオリジナル版の要素に加え、捜査状況を見直すためのメモが追加されたほか、シナリオの展開で新たにできるようになったコマンドが視覚的にわかりやすくなったり、人物指定の際に顔付きの選択肢(オリジナルだと直接入力)から選ぶようになったりと、全体的にユーザーライクな変更が加えられている。

また、プラットフォームがSFCになったことで必然的にセーブ・ロード周りの利便性が向上。当然ながらエリア切り替え時にディスクを入れ替える必要はなくなり、セーブ枠も2つに増えた。加えて、ロード時には『セーブしたところから』『任意の章の冒頭から』の好きな方から再開できるようになり、お気に入りのシーンを何度も見たい場合などに便利になった。

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今回のリメイクにおける最も注目すべき部分といえばやはりグラフィックの強化である。するまでもないと思うが比較してみると一目瞭然、オリジナル版では少々野暮ったい雰囲気すら感じられたグラフィック現代風にブラッシュアップされている。

キャラクターのデザインもオリジナル版を踏襲しつつ現代風になり、個々人の特徴がわかりやすくなったのが嬉しい。オリジナルの時点でファミコン屈指の美少女だったあゆみちゃんもより美麗に進化表情パターンが大幅に追加されたことで今までにない一面を見せてくれる。

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また、オリジナル版では一部のメインキャラ以外は立ち絵が存在せず、聞き込みパートなどでは若干画面が寂しくなることもあったのだが、今回のリメイクでは大多数(全員ではない)のモブに専用の立ち絵が割り振られ、モブキャラへの印象がより残りやすくなった。個人的には序盤の聞き込み時に出てくるモブ生徒二人組のデザインが好き

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(FCであることを考えればむしろ多いくらいだったが)オリジナル版では一部のシーンでしか用意されてなかったアニメーションも大幅に増加。シナリオ中のここぞという見せ場ではキャラや背景が大きく動いたり、なんなら画面の半分以上を使ったアニメーションが流れることも。このおかげでシナリオへの没入感やドラマチックさが更に増している

演出周りも強化されており、一部の場面ではオリジナル版だと決してできなかった『とある演出』が用意されている。コレに関しては詳細を語ってしまうと驚きや面白さを大きく損なうことになってしまうため、自分の目で、耳で確かめてほしい。

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ただ、オリジナル版の評価点としてよく取り沙汰される『ホラー要素』についてはファミコン(FDS)のスペックで表現してるからこそ』の側面も少なからずあり、そういった部分は若干好みが分かれるかもしれない。自分も今作は全編通してSFC版の方がクオリティが高いと感じている一方で、今作を象徴する『とあるシーン』においてだけはオリジナル版の方に軍配を挙げたいと感じている。

シナリオに関しては基本的にオリジナルと同様、学校の怪談を下地にした『過去と現在を繋ぐ殺人事件』、そして『空木探偵事務所に流れ着いた主人公と被害者の親友、橘あゆみの出会い』が描かれる。

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章ごとの再開機能が追加された影響からシナリオの要所要所で『第〇〇章』といった区切りが行われるようになっている。コレは章の切り替わり時にサブタイトルと共に表示されるため、オリジナル版に比べるとプレイの目安が付けやすくなったととれる。

クオリティについてはオリジナルの時点で箔付きだったため心配なし。基本的な部分こそ同一なものの、細かなテキストがSFC向けに修正されていたり、わかりづらかった描写などに加筆が行われているのが特徴。

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この他にもオリジナル版には存在していなかった選択肢が多数追加されている。ただし、選択肢はどれを選んでも基本的にシナリオそのものに影響はない。選択肢は後述する『ラブラブチェック』に関係するのみである。これ以外にも小ネタやオマケ要素が増加しており、よりADVとして洗練されたといえる。

オリジナル版の時点で(当時基準のADVとしては)低めだった難易度は今回のリメイクで更に低下、前述したようにシステム周りが親切になったのもそうだが、全体的に詰まりそうな場面ではヒントが追加されていたり、一部シーンではグラフィック側でわかりやすい描写が行われるようになったことで、捜査の行き詰まりを防ぐことに一躍買っている。

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特に大きいのは『オリジナル版最大の難所』とも呼ばれた3D迷路パートがまるごと抹消されたというポイント。以前の記事でもそれなりに語ったので詳細は割愛するが、ここは求められる技術がADVのソレではない+攻略方法がノーヒントという理不尽に片足突っ込んだ場面であったので、削除したのは英断である。

リメイクでのこの場面ではオリジナルの緊迫感をそのまま残しつつ、テキストやグラフィックの演出のみでイベントが進行するようになっており、言われなければここで別ゲーパートが入っていたとは気付かないレベルに仕上がっている…というかむしろリメイクでの描写の方がしっくりくる内容になった。

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また、オリジナル版には存在しなかったゲームオーバー(バッドエンド)が新規で追加された…と書くと難易度が上がったように感じるかもしれないが、そもそも狙わないと見られないレベルで隠されているため、普通にプレイする分には何の問題もない。一方でオリジナル版のプレイヤーはゲームオーバーになる条件を探りつつプレイするのもまた一興

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ゲームのEDに到達すると今回のリメイクからの追加要素『あゆみちゃんとのラブラブチェック』が行われる。実はリメイク版にはオリジナルにはなかった要素として『あゆみちゃんとの親密度』がサイレントに追加されており、このラブラブチェックではゲームクリアまでに行った行動・選択肢・その他諸々をひっくるめた結果算出される親密度に応じて20段階(もっと存在するかも?)で評価される。

一定以上の評価を達成するとあゆみちゃんが登場し専用の台詞を言ってくれるが、よほど頑張らない限りあゆみちゃんに謁見するのは難しい大抵のプレイヤーは一般女子生徒あたりがラストを締めくくることになるだろう。

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今作をプレイするプレイヤーは『あゆみちゃんとのラブラブチェック』の最高評価を目指してみるのをオススメする。え?攻略サイトを見ればラクショーだろう』って?そんなもの、ラブラブチェックにはないよ…。プレイヤーが少ないのか検証が大変だからなのか、ラブラブチェックの攻略法やデータはほぼ存在しない。だからこそゲーマー魂が燃える、そうは思いませんか?燃えますよね、ええ

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唯一問題点を挙げるとするならば、(コレはぶっちゃけ今作の問題点かというと違うが)今作が『うしろに立つ少女』だけのリメイクであり、『消えた後継者』の部分が収録されていないという点か。いや最初からそう言ってるのでそりゃ当然なのだが…。

今作で起こる事件については今作単独で解決する。よって『うしろに立つ少女』という物語としては何の問題もないのだが、ファミコン探偵倶楽部』という面で見ると今作単独では完結しない。そちらの完結を見たいならば1作目の『消えた後継者』をプレイする必要がある。今作では『消えた後継者』への伏線を作中でいくらか用意しているのだが、当然ながらそれが回収されるのは今作ではない。 

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コレはオリジナル版から引き継いだ問題点ともいえるのだが、オリジナル版は『消えた後継者』も『うしろに立つ少女』も同一プラットフォームによるリリースであったため、そこまで問題点とはいえなかった。対してこちらは『うしろに立つ少女』だけのリリースであり、『消えた後継者』はリリースされていない。こうなると話は変わってくる。

今作のリリース当初に比べればファミコンミニなりVCなりで『消えた後継者』のプレイ環境を整えること自体は容易になったが、どうしても『消えた後継者』はシリーズ1作目ということもあり、不親切な面が多いのが困りもの。欲を言えば『消えた後継者』のリメイクも別ソフト扱いでいいのでしてほしかったと感じる。
(その想いが通じた結果が今度のスイッチ版リメイクなのだろうが)

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とはいえ、逆に言えば今作の問題点はこの揚げ足取りのような一点しかなく、それは即ち『今作そのものには何の欠点もない』という意味になる。

まとめると、今作はクオリティ面については申し分ない…というかむしろ当時のADVの中でも上位に食い込めるレベルの作品である。今作からファミ探デビューする新規プレイヤーは言わずもがな、オリジナル版をプレイしたプレイヤーでも十二分に新しい体験を得られる、まさしく理想的なリメイクといえる。よってファミ探シリーズの未来は明るい!…と言いたいところだったが、そうもいかなかった。

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『10周年記念作品』という鳴り物入りでリリースされた今作だったが、今作を最後にファミ探シリーズの動きは完全にストップしてしまうWii3DSにおけるVC配信や、GBAにおけるオリジナル版の復刻(ファミコンミニ)などは行われたが、これらはいずれも再販に近い内容であり、シリーズそのものに動きがあるとは到底言い難かった

ファミ探シリーズに限らない任天堂製のADVに範囲を広げてみても、今作以降はめっきり新作のリリースが止まるorリリースしても単作で終わることが多くなり、今後のシリーズ展開は絶望的なのか…と思われていた矢先、ソレは発表された。


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まさかまさかのファミコン探偵倶楽部シリーズNintendoSwitch向けにリメイク決定!それも『うしろに立つ少女』だけでなく『消えた後継者』もセットで!『うしろに立つ少女』は今作以来23年ぶり『消えた後継者』に至ってはオリジナル以来、33年ぶりの待望のリメイクである!コレは期待するなという方が無理なハナシ!

時が経つのは早いもので、スイッチでのリメイク版の発売(2021/05/14)まであと僅か1週間!実に楽しみであーる!え、自分?もちろん2本セットの限定版を買いましたとも!!

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…少々舞い上がってしまったが、スイッチのリメイク版もこれまた大幅に変わってそうな予感がするのである。これが何を意味するかというと実に簡単で、『うしろに立つ少女』はオリジナル版SFCリメイク版スイッチリメイク版で3回も楽しめるということである!!

スイッチ版の発売が目前に迫ったこのタイミングでSFC版をオススメするのは少々難しいので今回は自重するが、もしもスイッチ版をプレイしてファミコン探偵倶楽部シリーズを気に入った人はこのSFC版、そしてオリジナル版にも手を出してみてほしいのである!

今なら3DSWiiUのVCがあるから、どのバージョンも手を出しやすいよ!!

 

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