いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

Rez Infinite

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突然だが本日(3月26日)の正午よりSIEの『Play At Home』*キャンペーンの一環として、PS4/PS5を所持しているすべてのユーザーに対し10本のPS4ゲームが無料配布される。10本ものゲームが無償で入手できるというだけで度肝を抜かれるような内容であるが、肝心の配布タイトルのラインナップを見て自分は凄まじい衝撃を受けた。

*『Play At Home』
SIEが2020年から打ち出しているキャンペーンで、
緊急事態宣言下の世の中で自宅でゲームを楽しめるようにするもの。
SIEが提示した一定の期間内に、特定のPS4向けタイトルが無償で配布される。
過去には『風ノ旅ビト』『アンチャーテッドコレクション』『ラチェット&クランク』などが配布された。
ちなみにPSPlusのフリープレイとは別枠なので、Plus会員でなくてもオンライン環境があれば入手可能。

無料配布されるタイトルの中に、入っていたのだ。自分が今まで遊んだすべてのVRゲームの中で頂点に君臨しているあの作品…知る人ぞ知る名作STGRez Infinite』が!!

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というわけで今宵語るタイトルはRez Infinite』
我が人生で衝撃を受けたゲームトップ5に入る可能性すらある前衛的な作品である!

まずは大前提としてRezについて解説するとしよう。

Rez(レズ)』は2001年にドリキャスPS2にリリースされたSTGである。
詳しいゲーム内容については後述するが、その独創的かつ神秘的な世界観故に、比較的目を向けられることが少ないSTGというジャンル、それも完全新作でありながらカルト的な人気を博した。

それから数年後、グラフィック面の強化を行ったXbox360の『Rez HD』で更なるファン層を獲得した今作は2016年、ついにPS4にてVRという新たな表現に踏み込むこととなる。それこそがRez Infinite(レズ インフィニット)』である。

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オリジナル版のRez』はUGA開発/SEGA販売、一転してRez Infinite』ではMonstarsやResonairが開発し、販売をEnhanceが担当しているが、これらの会社はいずれもオリジナル版『Rez』を手掛けたUGAスタッフたちが立ち上げた会社…つまりオリジナルも今作も同一のチームによる開発ということになる。

さて、『Rez Infinite』は2008年に発売された『Rez HD』をベースにしつつ、各種グラフィックの強化PSVRやPSMoveへの対応、そして新ステージを追加した事実上のリメイク作となっている。
プラットフォームはPS4、上述したようにPSVR対応タイトルである。
(PSVR『対応』であり、PSVR『専用』ではない)

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『スリープしてしまった人工知能(Eden)を目覚めさせるため、
電脳空間に入り込んだ主人公がハッキングを試みる』
というシナリオだが、ぶっちゃけここについてはそこまで気にせずともいい
とりあえず雰囲気だけ感じ取れれば十分である。

ジャンルは『ミッドナイト・ハイ・シューティング』…というとちょっとよくわからないかもしれないが、システム的にはアーケードなどでよく見られるレール型のシューティングゲームである。

レール型STGのお約束として、プレイヤーは自動でステージの奥へと進み、任意での移動は不可。ボタンを押したまま照準を操作し、ウイルス(敵)に重なるとロックオン、ボタンを離すとロックオンした敵に纏めてコール(攻撃)する。わかりやすく言えばパンツァードラグーン』から自機の移動をオミットした感じである。
移動がないぶんプレイヤーは敵への照準に集中することができ、システム的にもよりシンプルになっている。

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ゲーム内のステージは『Area』として表現され、ひとつのAreaは(一部例外もあるが)10個のレイヤーから構成されている。各レイヤーのラストには『ネットワークオープニング』という特殊な敵(?)が出現。コレをコールすることで次のレイヤーに進むことができ、エリア解析率も上昇する。
10番目のレイヤーの最後…つまりAreaの最深部には太陽系惑星の名を関したファイアウォール(ボス)が出現し、ファイアウォールを突破することでクリア…というのが今作の一連の流れである。これだけならごくごく普通のSTGに感じるだろう。だが、今作はそれだけでは終わらない

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今作最大の魅力、それはゲーム全体における演出にある。

今作ではウイルスをコールする度に『レスポンス』として軽快なSEが流れる。
このSEは各ステージのBGMに合わせて絶妙なタイミングで再生されるほか、その時点でのロックオン数に応じてリズムよくコールが行われるため、プレイ中はウイルスを倒すごとにノリノリになれる

AreaのBGMも最初こそ最低限のパーカッションのみだが、ネットワークオープニングをコールしエリア解析率を上昇させるにつれてどんどん演奏が豪華になってゆく
エリア解析率を上昇させ後半のレイヤーに進むと、その分だけ出現するウイルスの量も増えてくる…つまりレスポンスの機会もそれだけ増えるため、豪華になってくるBGMの件も相まって今作をプレイしているときはさながら『自分がここのBGMを演奏しているんだ!』という気分になってくるのも特徴。

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今作の舞台となる電脳空間もワイヤーフレームによる描画をベースにローポリに近い独特な3Dモデルが配置されているといったような作りであり、今作全体のビジュアルも非常に印象的
プレイヤーの強化状態コールした対象に応じて専用のエフェクトも表示されるため、実際にプレイしてみると見た目以上に画面は賑やかである。デザインセンスも飛び抜けており、とりわけ各Areaラストに登場するボスはシンプルながらも印象的なモーションでとにかくインパクト抜群
(個人的にArea4ボスのUranusはゲーム史に残るべき名デザインだと思っています)

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この特徴的なビジュアルノリノリになれるサウンド演出が織りなすことによって生まれるトランス、ないしは『トリップ感』こそが今作の最大の魅力である。
まぁコレについては細かく語ること自体が無粋、とにかく何も言わずに最初のAreaをプレイしてみるといい。最初のAreaをクリアする頃には今作のこのトリップ感に病みつきになっていることだろう。

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演出が飛び抜けている作品であることは散々語ったものの、それ以外の部分に関しても非常にクオリティが高いのが特徴。

高難易度で敷居が高いと言われがちなSTGというジャンルであるものの、今作の難易度は非常に低いため、ライトなゲーマーでも安心してプレイできる。

前提として一度到達したAreaからいつでもスタート可能なので、各ステージごとに全力でプレイすればいい。
加えて、プレイヤーの強化次第では最大で5回まで被弾が許されるほか、オーバードライブ(ボム)も最大4つまで所持可能な上、入手機会も非常に多いため、要所要所でオーバードライブを使って進めれば初心者でもラスボスまでの突破は簡単
どうしてもクリアできない場合のためにゲームオーバーにならない『気楽にRezという専用モードまで用意されていていたれりつくせり。

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やりこみプレイヤー向けには『beyond』というモードが存在し、こちらではすべてのAreaの通しプレイを行う『direct assault』シンプルな専用ステージで生き残りを目指す『lost area』エンドレスにゲームが続く『trans mission』などがプレイできる。
beyondモードではプレイヤーの視点やパラメータ、無敵など様々なオプションも設定できるため、通常プレイとはひと味もふた味も違った遊び方も可能
(個人的にはカメラ視点を1人称にすると没入感が凄いのでオススメ)

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STGにおなじみのスコアアタックモードも搭載、スコア以外にも通常プレイでの解析率・撃破率・アイテム取得率も各Areaごとに保存されるため、これらのオール100%を目指すのもいいだろう。ただし修羅の道だが。

Area道中の難易度は一貫して簡単、ボス戦はそれまでのプレイングに応じてMEGA・GIGA・TERAという3段階のレベルが設定される。MEGAは慣れたプレイヤーであれば適当に操作しても勝てるレベルだが、TERAともなると耐久面・攻撃頻度・行動の全てにおいて容赦ない強さとなってくるため、上級者でも唸るレベル。プレイヤーに応じて適正な難易度を用意してくれるのも嬉しいところである。

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そして今作で忘れてはならないのはBGMゲーム業界内外より集められた様々なアーティストにより手がけられており、いずれもハイクオリティ。どの楽曲にも今なお根強いファンが残っているレベル。
Areaごとに担当アーティストが変わるため、ただでさえビジュアルで差別化を図っている各種Areaの印象がより際立つ。ジャンルはテクノをはじめロックドラムンベース、果てにはノイズミュージックなどのゲームサウンドとしては非常に珍しいタイプのものも。これもあちこちから有名どころを集めたことによる多様性だと言っていいだろう。

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さて、ここまでがオリジナル版の『Rez』の時点での特徴なワケだが、ここからが本題、いよいよ今作Rez Infinite』での追加要素についてガッツリ触れていこうと思う。

追加要素としてまず挙げられるのはやはりVR対応』であろう。
オリジナル版では普通(?)のSTGであったのだが、今作からはPSVRを用いてゲーム中に周囲をじっくり見渡すことができるようになった。
過去のプレイングでは決して見られなかった方角をじっくり注視できるようになったのは地味に嬉しい点だが、それ以上にVRでのヘッドトラッキングをそのまま照準として使用できるため、より直感的なプレイが可能になった。普通のコントローラでのプレイも当然可能だが、やはりオススメはPSMoveとのセット

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そして、ここまでいえばもうおわかりであろう。
オリジナル版の時点でパーフェクトだったサウンドを含めた演出に、PSVRの画面上に表示される360度全方位に広がるワイヤーフレームの電脳空間…そこから導き出される答えは『オリジナル版を遥かに凌駕するトリップ感』である。

自分は基本的に移植やリメイクはオリジナルの方を持ち上げるめんどくさい類のファンであるのだが、今回においてだけはハッキリ言おう、Rez Infinite』こそがRezの決定版』である。
今作のトリップ感を味わってしまったら、もうほかのVRゲームには戻れない…そこまで言い切れるレベルの没入感の高さを今作は成し遂げているのだ。

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そしてもう一つの見どころ、それこそが『AreaX』である。
AreaXは今作のために一から作り出された完全新規のステージである。
Areaという名を関しているため、Rez本編のAreaの延長のようにも思えてしまうが、実際のAreaXはRez本編と完全に分断されている…言ってしまえば『全く新しいRezである。

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Rez本編のAreaではレール型STGというジャンル上、決まったルートを流れるように進むのみであったが、AreaXではなんと360度全方位に広がる電脳空間を任意で飛び回ることができる
『ネットワークオープニングをコールしてレイヤーを潜り、最深部を目指す』という基本的なシステムこそ本編と同じだが、やはり電脳空間を自由に飛び回れるのは果てしなく魅力的である。

AreaXは初期状態だとロックされており、Rez本編をある程度進めないと解禁されないものの、解禁条件はかなり優しいため、ライトゲーマーでも容易に解禁できる筈。

→どうやらアップデートにより最初からアンロックされるようになったようです!情報感謝です!

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UnrealEngine4のパーティクルシステムをフル活用したことで、AreaXのビジュアルは光の粒子に溢れた幻想的な世界となっており、本家Rezとはこれまた違うトリップ感を得ることができる。
ボリュームは本家のAreaに比べて少し長めという程度で、単独で見ると若干ボリューム不足に感じないこともないが、ついつい何度もプレイして没入感に浸りたくなってしまいたくなるような魅力がある。
ハッキリ言って、このAreaXだけを目的に今作を購入する価値はあると言っていいだろう。

こういった任意移動可能なVRゲームに付いて回る『移動時に発生するVR酔いについても、そもそも周囲の風景が粒子だけで構成された世界であるがゆえに、移動の違和感が発生しづらくなっており、結果的にVRが苦手なプレイヤーでも酔いにくい作りになっているのはまさにお見事といえる。

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今作単独の強みとしては、やはりVR対応』『AreaX』の2点が挙げられるが、それらの要素を抜きにして『オリジナルのRezとして勝負しても、昨今のゲームに決して負けない魅力を持ったのが今作である。
今作は初めてRezに触れるプレイヤーにも、かつてRezを遊び尽くしたプレイヤーにも満足させられる作品に仕上がっているため、ぜひとも全てのゲーマーに今作をプレイしてほしいところなのである!!

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また、PSVRありきのゲームみたいな語り方をしてしまったものの、今作はあくまでPSVR対応ゲーム』であり、PSVR専用ゲーム』ではない。
PSVRを持っていなくても単純に『美しくなったオリジナルのRez(AreaX付き)』としても楽しめる。今回の無料配布を機会に、ぜひともこの世紀の大傑作に触れてくれる人が増えることを祈っているのである。
(同一スタッフの『Tetris Effect』も面白いよ!)

 

『Rez Infinite(サントラ)』のAmazonページ

 

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