いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

シャドウ・ザ・ヘッジホッグ / シャドゲ (SHADOW THE HEDGEHOG)

ソニックのライバルといえば?』、もしも急にそんな問いかけをされたとしたら、ソニックファンである諸君らはどう答えるだろうか?…ソニックシリーズのファンであれば、おそらく人それぞれ異なる解答が返ってくるハズだ。

由緒正しき初代ライバルの『メタルソニックと答える人もいるだろうし、コメディリリーフもイケメンもこなせる『ナックルズ』という答えもありえるだろう。あまり数は多くないだろうが、ゲームギア世代レースゲー中心のプレイヤーなら『ファング』『ジェット』と答えるかもしれない。ライバルと宿敵を同一視するなら『Dr.エッグマンという解答も決して間違いではない。
(ちなみに我にとってのソニックのライバルは今も昔もメタルソニックの印象です)

しかしこれらはソニックファンに聞いたら』という仮定の話。ここに『外部出演でしかソニックに触れたことがない』『ソニックのゲームをあまり遊んだことがない』というライト層/これからのソニックファン層に同じ問いかけをしたという条件を加えたならば、おそらくその答えは一気に片寄ることになる。『シャドウ』或いはソニックの黒いヤツ』だ、と。

ソニックシリーズが日本市場において最も勢いがあったといえるドリキャス末期にリリースされたシリーズ屈指の人気作ソニックアドベンチャー2もとい任天堂ハード初のソニック作品ソニックアドベンチャー2バトル』にて初登場し、以降の作品にもほぼ出ずっぱり、同時期のTVアニメソニックXでも主要キャラとして扱われ、更には天下の『スマブラ』でもプレイアブルとはいかないまでもソニックの初参戦であるスマブラX』からずっと出演し続けているのだから、そりゃ知名度で他のライバル陣に大きく差を付けているのは当然であろう。

なによりもソニックに瓜二つな黒いハリネズミ』というそのデザインが強すぎるソニックシリーズの設定を微塵も知らなかったとしても、その外観だけで『あっ、この黒いヤツがソニックのライバルなんだな』と伝わるあまりにもナイスすぎるデザインである。そのデザインや知名度を抜きにしても、初出作自体がシリーズ屈指の人気作であったこと、彼を取り巻くストーリー面での魅力にテーマ曲や声優さん(遊佐浩二氏)の名演も相まってシャドウ・ザ・ヘッジホッグソニックファン内外から高い評価を獲得、シリーズ屈指の人気キャラとして知られている。そしてその人気は初出から23年が経過した2024年の今であっても衰えてはいない…というか今年になってここ数年で一番プッシュされ始めている

今になって突如プッシュされるようになったシャドウ…その影には2020年に第1作ソニック・ザ・ムービー』2022年に第2作ソニック VS ナックルズ』が公開されたハリウッド実写映画シリーズの存在があると推測できる。この2作は共に世界中で大ヒットを記録し、当然のごとくさらなる続編ソニック・ザ・ムービー3』の制作も発表されている。そしてこの『ソニック・ザ・ムービー3』には満を持してシリーズの人気キャラであるシャドウが登場するのだ!!

さてさて、実写映画を見てソニックに初めて触れた/好きになったという層は非常に多かったらしく、近年のソニックシリーズ(のゲーム作品)は実写映画の影響を無視できない状況にある。事実、2021年にリリースされたソニックカラーズ アルティメット』は『映画から興味を持ったファミリー層に向けた作品(要約)』だと日本語のインタビューで明言されているほか、2022年/2023年のソニックオリジンズ/ソニックオリジンズ プラス』も同様にそういった層に向けた作品であったらしい。
(オリジンズについては海外がソース)

ちなみに凄まじくメンドクサイソニックファンである我個人の実写映画に対する正直な印象を述べるとソニック・ザ・ムービー』はNot for Meソニック VS ナックルズ』に関しては『まぁこれはこれで悪くない』…つまりは『(ゲームのソニックとは完全に別物として見るうえでなら)面白い』というところ。なので今後のゲーム作品を映画基準の設定とかで作られると苦い顔をしてしまいそうではあるが、現時点では公式でも『ゲームのソニック』と『映画のソニック』はあらゆる要素においてちゃんと別物として線引きされているので不満は特にない。

まぁ何はともあれ2024年になってからSEGA公式は明らかにシャドウをメインキャラに据えた『ソニック・ザ・ムービー3』に向けたブーストアップの為だとしか思えない動きを見せている。シャドウにフォーカスを充てたソニックジェネレーションズ 白の時空』のリメイクソニック×シャドウジェネレーションズ』の発表に、『Year of Shadow(シャドウの年)』宣言…近年の作品でもシャドウの出番はそこそこあったが、ここまで彼がプッシュされるのは本当に久々である。

シャドウがノリにノっているこのタイミング…あの作品を語るならば今しかない!!というわけで今宵の記事の主役ゲームは『SHADOW THE HEDGEHOG (シャドウ・ザ・ヘッジホッグ)』ソニックシリーズにおける人気キャラである黒いハリネズミ『シャドウ』を主役に据えたスピンオフである。我がブログでソニック作品を語るのは2月の『ソニック3Dブラスト/ソニック3Dフリッキーアイランド』以来5ヶ月ぶりである。

ソニックシリーズはソレ自体がかなり長い歴史を持つシリーズではあるのだが、実はソニックを含めた複数主人公の群像劇』の作品はそこそこあれど、ソニック以外のキャラのみが主人公を務める作品』というのは極めて珍しい。どれくらい珍しいかというと、本作以外だとゲームギアテイルスアドベンチャー』『テイルスのスカイパトロールが、スーパー32Xカオティクスがあっただけというレベルである。あとはメガドラ/ゲームギア『Dr.Robotnic's Mean bean machine』が該当するくらいか。


(DC用ソフト:『ソニックアドベンチャー2』)

さて、そんな本作を語るにあたって避けて通れないのが『本作が開発されたきっかけ』である。実を言うと本作、ゲーム業界でも希に見る『大人の事情』で開発されたタイトルなのだ。本作そのものを語る前に、まずはその経緯からご紹介しよう。

…時は2001年SEGA最後のハードであるドリームキャストにてとあるソニック作品がリリースされ、多くのソニックファンの心を虜にした。その作品の名はソニックアドベンチャー2(通称SA2/ソニアド2)ソニックシリーズ10周年記念作品にして、ソニックの新たなライバルシャドウ・ザ・ヘッジホッグ』のデビュー作である。

ソニックの3Dデビューを華々しく飾った前作(ソニックアドベンチャー)の良さを引き継ぎつつ、豊富なやりこみに良く練られたステージデザイン、キャラごとの特徴を捉えたサウンド…と全てにおいて極めて高い完成度を誇る『ソニックアドベンチャー2』は今なお『3Dソニック最高傑作』とされるほど高く評価された

とりわけ高い評価を得ているのはやはりそのシナリオ。善(ヒーロー)と悪(ダーク)という2つの視点から描かれる重厚なドラマ治安維持組織『G.U.N.(GUN)』や連邦政府大統領など様々な人物の思惑が複雑に絡み合い、やがて50年前の施策『プロジェクト・シャドウ』、そしてソレに関わった科学者たちやスペースコロニー・ARK』の悲劇へと繋がっていく
(本記事はその内容の都合上、複数のソニック作品のネタバレを暈さず触れますので要注意)


(DC用ソフト:『ソニックアドベンチャー2』)

本編のみでは全てを語らず重要な一部分はプレイヤーの想像に委ねさせるという構成で、最後までプレイすると『何が真実で何が嘘か』*が暈されていることが明らかになり、攻略本での記述も加味するとあろうことか『ソニックの出生』というシリーズ史上最大ともいうべきタブーにすらも触れたその内容はあまりにも衝撃的であり多くの反響を呼ぶこととなった。

…ちなみに『ソニックの出生』についてはソニアド2がシリーズ生みの親である中裕司氏プロデュースによる直々の作品だからこそ許される聖域だと我は考えている。実写映画1作目に個人的に忌避感を覚えたのはソレに触れたせいでもある。

*ソニアド2の『真実』
作中でソニックたちが経験する出来事については紛れもなく真実だが、
『50年前に起こった事象』についてはかなり謎が多い。
50年前の主な手がかりは『ある人物の手記』と『ある人物の記憶』なものの、
前者は肉親を喪ったことで発狂、後者は偽の記憶を植え付けられた描写が存在する。
よって両者共に『信頼できない語り手』であり、
作中の描写を全部繋ぎ併せると矛盾が生じるようになっている。
『記憶のコピー』『オリジナルのデータ』など意味深なワードが多数あるため、
ソニアド2内における矛盾はライターの不備ではなくおそらく意図的なもの。


(DC用ソフト:『ソニックアドベンチャー2』)

ソニアド2の物語は少女の最期の願いを叶え人類を救った『シャドウの死』と、プロジェクト・シャドウから連なる『シャドウ』という存在と決別したソニックの一言で締め括られる。本編だけだと少なからず謎も残されたシナリオとなっているが、その読後感は極めて心地よく、それでいて非常に印象的

…で、ここからはゲームの外のハナシ。たった1作の出番にしてその魅力を遺憾無くアピールし、そしてラストシーンにて命を落とすという閃光の如き活躍を見せた黒いハリネズミシャドウ・ザ・ヘッジホッグ』はソニックシリーズでも屈指の人気キャラにまで上り詰めた。まぁそりゃそうだなとしか言いようがないのだが。

シャドウはソニックに並び立つほどの人気キャラとなった。もはやその人気は『シャドウが出るか出ないかでゲーム自体の売上が左右されてもおかしくない』レベル。であれば次回作にもシャドウを出したいと考えるのが当然の帰結。しかしながらそういうわけにもいかなかった。なんせシャドウはソニアド2作中においてその活躍を描き切り、そして丁寧にお膳立てまでしたうえで明確に死亡させてしまったのだ。今更なんの脈絡もなく『実は生きてました~』などと再登場させてしまってはソニアド2のメインシナリオに泥を塗ってしまうSEGAおよびソニックチームはシャドウの処遇に頭を抱えた。


(GC/PS2/Xbox用ソフト:『ソニックヒーローズ』)

そして2003年、ついにソニアド2に続く新作ソニックヒーローズ(通称ヒーローズ)が発売、その作品にシャドウは…いた。物語を構成する4つのチームの1つ、『チームダーク』の一員としてシャドウが再登場したのだ。さて、アドベンチャー2から継続してヒーローズを遊んだプレイヤーは当然ながら疑問に思ったことであろう。『シャドウ、なんで生きてるの?』と。

普通こういった作品で死んだはずのキャラが復活するケース(お祭りゲー等を除く)では何かしらの説明があるものであろう。しかし、ソニックヒーローズ作中におけるシャドウは『過去のことを何も覚えていない』状態からはじまり、同作の真のEDに至るまで『シャドウが何故生きているのか』という疑問は明かされなかった。それどころかチームダークのEDでは『シャドウのコピーが大量に存在する』というとんでもない設定まで飛び出し、尚更プレイヤーに疑問符が浮かぶ羽目に

SEGAソニックチームが悩みに悩みぬいたうえで出した結論とは『とりあえずシャドウを再登場させることを優先し、その理由付けはこれからの作品でやっていけばいい』とでもいうべきものであった。つまり結論の先延ばしである。よくそれでGOサイン出たなと思わんでもないが、当時のソニックシリーズはまだまだ勢いがある時期であったため、こんな無茶苦茶ができたのだと考えられる。

というわけでそれから更に2年後の2005年、いよいよ本記事の主役シャドウ・ザ・ヘッジホッグがリリースされることになる。本作はシャドウが失った記憶を取り戻すために戦うという物語で、『ソニアド2からヒーローズまでに何が起こったのか』についても本作にて明かされる

…そうだ、もうお分かりであろう。本作『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』はシャドウを無理やりヒーローズで復活させたことの理由付けを行うための作品なのだ。『新作を出すために後付け設定を作る』のはゲーム業界にありがちだが、『後付け設定を作るためにまるまる一本新作を出す』というゲームは本作以外には早々ないことであろう。

長くなってしまったが、本作のリリースされるまでの経緯とシャドウ自身の来歴について紹介もし終えたことだし、ここからはいよいよ本作シャドウ・ザ・ヘッジホッグのゲーム語りをやっていくとしようか。

プラットフォームはゲームキューブ/PlayStation2/Xbox、『ソニックヒーローズ』以降のシリーズ作と同じくこの世代のCS機種そろい踏みである。PS2版においてはPS3にてPS2アーカイブスとして配信されているほか、Xbox版も360以降の後継機にて後方互換機能を利用することでプレイできる。今回のプレイ環境はゲームキューブである。

ちなみにシャドウ・ザ・ヘッジホッグ』だけだとキャラ名とゲームタイトルのどちらを指しているのか解りにくいため、ゲームとしての本作を表す場合は『シャドゲ』と呼ばれることが多い。

『記憶を失ったままのシャドウ。自身が何者なのかを自問自答し続ける彼の前に、謎の侵略者"ブラックドゥーム"が現れる。ブラックドゥームは世界中を破壊と混乱に陥れた軍勢"ブラックアームズ"の首領であった。ブラックドゥームはシャドウに"失った記憶を取り戻したくば、7つのカオスエメラルドを私の元に集めてこい"と告げる。』というのが大まかな導入、OPから冒頭ムービーに至るまで暴虐の限りがひたすらに描かれることからもわかるように、本作はソニックシリーズの中でもとびきりダークでハードな世界観である。

そんな本作の主人公を務めるのが言わずと知れた黒いハリネズミシャドウ・ザ・ヘッジホッグ、本家主人公であるところのソニックやその仲間たちも登場こそするが、基本的にはサブキャラ扱いとなっている。

ゲームシステムやアクションは『ソニックヒーローズ』がベースで操作感もそちらに近い。ただし本作は原則シャドウ1人の戦いになるので、チームアクションやキャラ切り替え等は存在しない。一方で新システムがいくつか追加されている。

Aボタンで『スピンジャンプ』、ジャンプ中に再度Aで敵を自動追尾する『ホーミングアタック』、X長押しで『スピンダッシュ』、X短押しで障害物を潜れる『スライディング』、リングの道を前にXボタンで『ライトダッシュ』…と続投したアクションだけ見ていくと(キーコンは違うが)シャドウの初出作である『ソニックアドベンチャー2』を彷彿とさせるラインナップである。

そしてここからが本作の新システム、その名も『武器』『乗り物』である!!

本作のステージ内で遭遇する敵キャラの中には『武器』を持つ者が混じっている。そういった相手を撃破すると持っていた武器を落とすのだが、本作では敵の落とした武器を拾い自分で扱うことができるのだ!手に取った武器はBボタンで使用可能。使用時の効果/アクションは武器によって大きく異なり、例えば『剣』のようなものであればその場で大きく薙ぎ払いをしたり、『ハンドガン』であればシャドウの向いている方向に銃を撃つ…といった感じ。

これらはあくまで一例であり、ほかにも『狙いを付けることはできないが広範囲に爆発が及ぶバズーカ』『ボタンを押しっぱなしにしている間、弾を連射し続けるバルカン』といったものや、『ボタンを押している間だけロックオン、ボタンを離すとロックオンした位置に攻撃が飛んでいくミサイルランチャー』のように過去作のガンマ(SA1)やテイルス/エッグマン(SA2)に近い挙動をするものまでとにかくバリエーションが多彩。色々な武器を試して、自分だけのプレイスタイルを確立させるべし。

一度に持ち歩ける武器は1つまでなので、沢山の武器が転がっている状況なんかだと武器の取捨選択が必要。武器は素手状態なら触れるだけで自動で装備可能。武器には『残弾(遠距離武器)』『耐久力(近距離武器)』の概念がありコレが尽きてしまうと使用できなくなるが『現在装備している武器と同じ武器』に触れることで回復することもできる。

一方で既に武器を持っている状態で武器を取り替えたい場合は、武器の上に立ってXボタンで切り替えられる。勝手に装備している武器と違う武器を拾ってしまうことは基本的にないためひと安心。一方で残弾の補充をしたいだけであれば、任意の武器を装備した状態で武器の山に突っ込めばいい

近接武器・遠距離武器に関係なく共通しているポイントが『とにかく超高火力』である点。本作は『ソニックヒーローズ』と同じく敵に耐久力の概念があり、そこら辺のザコ敵が相手でもホーミングアタックを数発当てなければ倒せない。ぶっちゃけコレはヒーローズにて不満点として真っ先に挙げられてた要素である。

本作でも高耐久のザコ敵は続投しているのだが…大丈夫、ホーミングアタックで太刀打ちできない相手は武器で対処してしまえばいいのだ!!なんと本作における武器の攻撃力は最弱クラスのハンドガンですらホーミングアタックを優に超える。それでいてボタンを何度も押せば(大多数の武器が)反動ナシで連射可能、あれだけ全然削れなかった体力ゲージが武器一つあるだけで湯水のように溶けていく!!この絶大な火力こそが武器の魅力なのだ!!

従来作であればボス扱いでもおかしくないシャドウのコピー『シャドウ・アンドロイド』やソニアド2にて現にステージボスを務めていた『ビッグフット』の大群を武器で瞬殺する様には言葉では表せない快感のようなものが感じられるだろう。

…え、武器がない状態で高耐久の敵と遭遇したらどうするかって?……そりゃあ……地道にスピンジャンプかホーミングアタックするしかないよね。ぶっちゃけこの『高耐久のザコ』をどうするかって問題はここから20年近くあとの『ソニックフロンティア』くらいになってようやくマシになったレベルのハナシなので…。

そして武器と並び本作を代表しているシステムが『乗り物』、一部ステージには乗り物が配置されていることがあり、乗り物に近付いてXボタンを押すことで乗り込むことができる。乗り物の種類も武器ほどではないにせよそこそこ多く、リアルなものでは車やバイクに固定砲台フィクション的なものだとソーサーやウォーカーなどなど。

乗り込んだ後のアクションは乗り物の種類によって異なり、ジャンプの有無や移動のクセなどからして違うのでしっかり特徴を理解して乗りこなすべし。慣れないうちは下手すると乗り物よりも自分の足で走った方が早かったりもする。ただしステージによってはほぼ乗り物が必須のエリアがあったりもするので、乗りこなせるに越したことはないぞよ。

というわけで本作のステージ攻略は『武器』と『乗り物』を活用しながら進めていくことになる。武器と乗り物を駆使してスタイリッシュかつ圧倒的パワーで敵を殲滅する…この楽しさは数あるソニックシリーズの中でも本作にしかない味わいである。『乗り物』自体は後の新ソニ…『SONIC THE HEDGEHOG(2006)』にもあったが、そちらには武器システムがなかったのだ。

そしてまだまだアクションのハナシは終わらない。本作では最序盤にシリーズおなじみのカオスエメラルドを入手することになり、特定条件を満たすことでカオスエメラルドを用いたアクション』を使用できる。その名も『カオスコントロール『カオスブラスト』!!

詳細については後述するが、『ヒーローゲージ』『ダークゲージ』というものを最大まで貯めることで使用可能な状態となり、そこでYボタンを押すとヒーローゲージ最大なら『カオスコントロールダークゲージ最大なら『カオスブラスト』が発動する。

『カオスコントロールは超高速移動!発動するとステージに沿ってゲージを使い切るまでオートですっ飛んでいく。そのスピード感はソニワド以降のブーストに匹敵するほど。どこで発動してもステージに復帰するし、発動中に道を逸れることもないので事故の心配は不要。例えば大穴を渡っている最中にゲージが切れたとしても、次の足場に辿り着くまでカオスコントロールは持続する。

ボス戦で発動した場合は『一定時間ゲーム内の時間をスローにする』という効果に変わる。逃げ回る敵に攻撃するのに便利…ではあるのだが、ダメージ後に無敵時間があるボスの場合は結局一撃しか攻撃できなかったり…といったこともあるあるなので正直扱いづらい。ぶっちゃけステージ攻略用のアクションくらいに思っておくのが吉

『カオスブラスト』はまさしく必殺技らしい攻撃技!発動するとシャドウを中心にした一定範囲の敵・障害物をまるごと消し飛ばす!!発動時の演出も相まって大人気のアクションである。こちらは発動するたびに少しずつゲージが減少していき、最大で3発~4発使用可能。見た目通りの高火力なのでボス戦でも実に役立つ。一方で周囲のモノをなんでもかんでもぶっ壊してしまうので、ステージ攻略用のギミック(ホーミングアタック用のザコ等)まで破壊しないよう、使用箇所には気を付けるべし。上級者向けだが『壁を貫通する仕様を利用して壁際で使い壁の奥のスイッチを起動させて大幅ショートカット』…みたいなこともできたりする。

そしてヒーローゲージ/ダークゲージが最大まで溜まると一定時間シャドウがパワーアップ状態になる。この時のシャドウはなんと全ての攻撃を無効化する無敵状態!更に武器の残弾/耐久が無制限となる!!武器の強さについては先ほど語った通りだが、そこに弾数無制限が付くとなるとどうなるか?そりゃもちろん無双タイムである!!

そう、これこそがゲージMAX状態での醍醐味!超強力な銃火器を弾数を気にせず好きなだけ乱射できる!押しっぱなしでオート連射するバルカンなんかと組み合わせればもう誰にも止められない!!高速で走り回りながら邪魔する奴らを一人残らず蜂の巣にするべしである!!…銃乱射があまりにも面白い+遠距離武器が強力すぎるせいでソード等の近接武器が軒並み空気なのはナイショだ!
(流石に一応素手よりかはマシなんだが)

…こほん、少々テンションが上がりすぎてしまった。アクション周りのハナシをざっくりし終えたところで、ここからはステージについて語っていこう。

本作のステージは『アドベンチャー』以降のソニックシリーズとほぼ同じ形式。広めの3Dステージを走り回り、ステージの最奥部にあるゴールリングに触れればステージクリア、次のステージへ進む…といった繰り返しでゲーム全体が進行する。だが本作の場合はゴールリング以外にもステージをクリアする方法が用意されているのが面白いポイント。

ステージの進行中、シャドウは様々な人物と出会うコトになる。それは本作のカギを握るブラックアームズの首領ブラックドゥーム(ドゥームズアイ)だったり、ライバルである青いハリネズミソニックだったり、はたまた毎度懲りない天才科学者のDr.エッグマンだったり…。彼らにはそれぞれの目的がありシャドウに協力を申し出てくるのだが、実際にシャドウが協力するかどうかはプレイヤー自身に委ねられている

例えば最初のステージである『WESTOPOLIS(ウエストポリス)』の場合。シャドウはカオスエメラルドを求め疾走する最中、ソニックから『市民を襲うブラックアームズを倒してくれ』と協力を頼まれ、一方でドゥームズアイからは『この場のGUNの兵士を一人残らず始末しろ』と言われる。ここでプレイヤー…もといシャドウが取れる選択肢は3つ。ソニックと共にブラックアームズを撃退する』『ドゥームズアイの指示に従いGUNを殲滅する』か、それとも『誰にも従わずカオスエメラルドを取りに行く』か。

つまるところ『ステージ内のブラックアームズを全員倒す』『ステージ内のGUNを全員倒す』カオスエメラルドを手に入れる(ゴールリングに触れる)』…このどれもがステージクリアの条件となっているわけだ。これらはいずれも『ミッション』扱いになっており、正義寄りのものは『ヒーローミッション』、悪寄りのものは『ダークミッション』、そしてそのどちらでもないものが『ノーマルミッション』と呼称される。

ヒーロー・ダーク・ノーマル、どのミッションをクリアしたかによりその後の物語/ステージが適宜変化していくのが本作の最大の特徴である。エンディング分岐や特定条件での追加ステージ程度であれば過去のソニック作品でもそこそこあったが、ステージやシナリオそのものが大きく変化していくアプローチを行ったのは本作のみ。分岐状況についてはステージ開始時にフローチャートが表示されるので容易に確認できる。基本的に下に行くほどヒーロー寄り上に行くほどダーク寄りである。

基本的にノーマルミッションはどのステージでも『ゴールリングに到達する』というものになっており、一方でヒーロー・ダークミッションはステージによって様々な条件が設けられている。『敵を全て倒す』『リングを一定枚数集める』『特定のギミックを起動する』『逃げるボスを時間内に倒す』etc…。このあたりはヒーローズのチームカオティクス編の延長とみるとしっくりくる。

道中で何が起ころうともゴールリングにさえ辿り着ければいいので、難易度は原則ノーマルミッションが最も簡単、一方でヒーロー・ダークミッションはどちらもステージ中をくまなく探索する必要があるため少々難しい。またこのシステムの都合上、本作の中間ポイントには『他の中間ポイントにワープできる』という機能が設けられている。ステージ最深部に辿り着いてもクリア条件が満たせなかったようならば、ステージ序盤の中間ポイントに戻って探しなおすべし。ステージによってはゴールリングの更に先にエリアが続いていることもあるぞ!!

…もっとも、ワープ先の中間ポイントは『既に通った中間ポイント』に限られるため、中間ポイントを踏まずにステージをガンガン進んでしまうと一部のミッションが事実上『詰み』状態になってしまうこともあり得る。そういったケースでは諦めて別のミッションをクリアするか、或いはステージ自体を最初からやり直して一からミッションを攻略しなおすかのどっちかである。

なお各ミッションの担当キャラと出会うと、そのステージ内ではそのキャラと一緒にステージを進んでいくこととなる。ヒーローとダークのどちらのキャラを同行させるかは十字ボタンの左右で選択できる。画面上では同行キャラに応じたミッションの進捗状況を見ることができるため、こだわりがなければ進行したい方のキャラを同行させるのがベスト

『同行させなければミッションクリアができない』なんてことはないので、『ヒーローキャラを同行させつつダークミッションを攻略』のような天邪鬼なプレイも許される。…というか一部ステージはソレを前提としたボイスも用意されている
(ダークミッションでのみ侵入するエリアにヒーローキャラが反応する等)

そして本作では『最終的にどのミッションを攻略するか』だけでなく、『ステージ攻略中にどのような行動を取ったか』も重要。つまりヒーローミッションの攻略時はできる限り善行を積むべきであるし、ダークミッションの攻略時はその逆

例えば本作の敵は全てヒーロー・ダークのどちらかの陣営に属しており、ヒーロー側に協力している間はヒーロー陣営の敵を倒してはならない…などがソレだ。まぁ敵がどちらの陣営に属しているかは一目瞭然なので、うっかりフレンドリーファイアかまさないようにしておけば大丈夫。基本的にいかなる時でもGUNの兵士たちはヒーロー側ブラックアームズの戦士はダーク側と考えればいい。

注意するべきなのがエッグマンのロボットたちで、こいつらはステージによってヒーロー側だったりダーク側だったりと立ち位置がコロコロ変わるのでややこしい。とりわけ『CRYPTIC CASTLE(クリプティックキャッスル)』というステージではエッグマンがダークミッション担当であるにも関わらず、何故かエッグマンのロボットがヒーロー側の敵として登場するため、エッグマンに協力しつつエッグマンのロボットを破壊する』という矛盾した行動を取る羽目になる。
(このステージはエッグマン陣営VSブラックアームズという構図)

『ダーク側の敵を倒す』『ヒーロー側の負傷者を回復する』等の善行を重ねると『ヒーローゲージ』が、『ヒーロー側の敵を倒す』『不必要にオブジェクトを破壊する』等の悪行を重ねると『ダークゲージ』が増加していく。コレが先んじて触れていた『カオスコントロール』『カオスブラスト』の発動に絡んでくるわけである。またこの時には『ヒーロースコア』『ダークスコア』という特殊なスコアも加算される。コレについてはまた後で触れるとしよう。

本作はただただ1周クリアするだけならほんの6ステージで終わるコンパクトな作りである。しかしながらこの通り本作特有の分岐システムのおかげで2面以降は様変わりするため、総ステージは20面以上となかなか多い。更に攻略するミッションを変えれば同じステージでも立ち回り・探索エリア・プレイスタイルも別物になる。おかげで本作は何度も何度も楽しめるボリュームの奥深さが魅力としてあるのだ。

プレイヤーが挑むことになるステージもまた本作ならではのモノが非常に多い。ブラックアームズの攻撃により壊滅した都市である『WESTOPOLIS(ウエストポリス)』、同じくブラックアームズに完全に掌握された森林『DEATH RUINS(デスルーイン)』などから感じられる雰囲気は本作以外ではなかなかない。

もちろんそういったステージ一辺倒というわけでもなくアドベンチャー以降おなじみとなったハイウェイ面『LETHAL HIGHWAY(リーサルハイウェイ)』シリーズ恒例のカジノ面『CIRCUS PARK(サーカスパーク)』といったソニックらしいステージも登場。ギミックもステージごとに個別のモノが多数存在。例えばサイバネティックな電子空間『DIGITAL CIRCUIT(デジタルサーキット)』『MAD MATRIX(マッドマトリクス)』では電子サーキットに沿って超高速で移動できる。カメラ演出も相まってテンションは最高潮になること間違いなし。

特定のミッションで仕掛けを起動することでギミックが作動、ステージそのものの構造が変わり、他ミッションとは違った攻略法が求められる場面があるなど、攻略するミッションが変わればステージ自体も違う顔を見せるのも面白いポイント。

中でも迷路のような構造のマップをぐるぐると探索することになる『CENTRAL CITY(セントラルシティ)』『LOST IMPACT(ロストインパクト)』などはギミックも含め本作のゲームシステムでなければ成立しないデザインのステージとなっている。我も本作で一番好きなステージを挙げろと言われたらロストインパクトの名を挙げるだろう。

スピンオフ、つまり元々のシリーズファンがプレイするのが前提なだけあってファンが喜ぶような要素も多い。特にボイス周りのバリエーションは凄まじいものがある。ステージ中の同行キャラ達はことあるごとに喋ってくれ、特定セクションに差し掛かったときの会話や敵を倒したときにも固有のボイスが流れる。同行キャラの陣営にとってプラスの行いをした時は褒めてくれるし、逆にマイナスの行いをした時は『やめろ!』『敵と味方の区別もつかんのか!!』と叱ってくれるむしろ後者のほうが需要ある気がする。ステージ中の『?アイコン』触れたときに発生するチュートリアルも同行キャラ全員のパターンにセリフが存在する

またわざわざ言うまでもないだろうが本作は『ソニックアドベンチャー2』の要素が随所に詰め込まれている。シナリオ中にSA2にも登場した『プリズンアイランド』『スペースコロニー・ARK』に訪れるのは序ノ口、イベントシーンのBGMでは『Event: Strategy』『Live&Learn』といったSA2でも印象的だった楽曲のアレンジも流れる。

ステージでいえば『THE ARK(ジ・アーク)』はブラックボルトという生物に乗って進行する事実上のSTGステージなのだが、ステージ内の随所に見える足場や残骸にSA2の『Final Rush(ファイナルラッシュ)』『Final Chase(ファイナルチェイス)』のものが混じっている

他にも『Crazy Gadget(クレイジーガジェット)』同様に重力装置が大量に配置された『SPACE GADGET(スペースガジェット)』無重力装置でガンガン登っていった『Cosmic Wall(コズミックウォール)』とは対照的に崩れ行くARKから脱出する『COSMIC FALL(コズミックフォール)』などなど、SA2を遊んでいるとニヤリとできるネタはいくらでも挙げられる。なんなら『THE DOOM(ザ・ドゥーム)』ではソニアド2作中および公式攻略本において断片的に語られていた『ARK封滅作戦』をプレイヤー自身がステージとして体験することになる。

ボスとして登場するGUNの有人兵器であるビードッグ/ブルーファルコンのBGMは同じくソニアド2におけるGUN関連のボス(ビッグフット/ホットショット/フライングドッグ)戦であった『BOSS: -GUN- Mobile』のアレンジ。しかもヘビードッグとブルーファルコンでそれぞれ個別のモノが用意されている。GUNの最新モデルであるブルーファルコン戦はサイバー調な大胆アレンジである一方で、『過去に起こった戦いの回想』であるヘビードッグ戦はソニアド2と同じ音使いを多用した原曲踏襲のアレンジなのがニクイ。

ここからも本題、シナリオについてのハナシである。本作のシナリオは先述した分岐システムの都合上、プレイ内容に応じて変化していく。よって必然的に1周のプレイで本作の物語の全てを知ることは不可能である。初回プレイの時点では『アレはなんだったんだ?』となる謎を残したまま終わることも珍しくない。だからこそ何度も周回プレイを行い分岐を網羅してシナリオの全貌を理解していくこととなる。

本作の物語は失われた記憶を探すシャドウ地球を手中に収めんとするブラックドゥーム暗躍するエッグマンに何故かシャドウを強く憎むGUNの司令官が中心となって描かれる。そしてその影にはソニアド2でも最重要クラスのファクターであったマリアとPr.ジェラルド…『スペースコロニー・ARK』の事件が深く絡んでいる。

本作で新たに登場した敵勢力『ブラックアームズ』およびその首領『ブラックドゥーム』はルート次第で敵にも味方にもなりえるが、世界観的には圧倒的に『悪』寄りの存在として描かれている。その特徴といえば『手段の非情さ』にある。少なからず悪役としての矜持があるエッグマンとは異なりコイツらは徹底的に暴虐の限りを尽くしており、その対象にはソニック陣営だろうとエッグマン陣営だろうとおかまいなし。

『大統領を殺害するために衛星レーザーで都市をまるごと1つ蒸発させる』を筆頭にその無差別っぷりと容赦なさはシリーズでもトップクラス。本当の本当に同情の余地なしの絶対悪として描かれていることもあり、ヒーロー側で敵として相対する時の高揚感も、ダーク側で手を貸す時の背徳感もずば抜けている。

そしてブラックアームズと真っ向からぶつかるのがソニアド2で敵として登場した『GUN』。とはいえ戦力はブラックアームズ>>エッグマン陣営>GUNくらいの扱いゆえ基本的に追い詰められていく一方で描写は割と悲惨。ついでにソニアド2のGUNは無人兵器(ビートル/ハンター)の登場が主だったが、本作ではソレ以外にも生身の兵士が大量に敵として登場する。もちろんダークミッションの攻略時はそんな兵士に対しホーミングアタックかましたり銃で撃ちぬいたりするワケなので、更にかわいそうなことになってくる。

そんな絶望的過ぎる劣勢の中でも無謀にも果敢に戦おうとするのが本作の影の主人公ともいえる司令官、彼を突き動かしているのは正義感などではなく、シャドウに対する純粋な憎しみの感情。その過去に何があったのかはシナリオの一部ルートで詳細に明かされることとなる。シャドウと司令官の邂逅は個人的に本作における一番のお気に入りシーンである。

なお分岐システムについて語った時点で大方の予想はついているだろうが、本作はマルチエンディング形式を採用。最終ステージまでにどのようなミッションを攻略してきたかで最後のエンディングは大きく変化する。エンディング自体は大きく分けて10種類、ヒーローらしい爽やかなエンディングから世界の破滅を予感させるダークなエンディングまで色々なパターンが存在する。どのような結末を目指すかはもちろんプレイヤー次第。

10パターンのエンディングを一通り見終えるとラストストーリーが解禁。そこでは本作の真の結末が描かれることとなる。コレを見ずして本作は終わらないため、本作をプレイし始めたのであればぜひともここまでプレイしてみてほしいラストストーリーを含めた全ステージ/全エンディングを網羅する前提での本作の物語は非常によく纏まっている。断片的ながら明かされていくキャラの描写やバックボーンがやがて一つに繋がっていく快感はこういった作りのシナリオならではの面白さだろう。

スピンオフといえど本作はソニックシリーズ、であればBGMのハナシもしないわけにはいかない。本作のBGMは瀬上純氏(ソニック3/SA1等)床井健一氏(ジャム/SA等)大谷智哉氏(SA2/ヒーローズ等)蓑部雄崇氏(ソニバンス2/ヒーローズ等)南波真理子氏(カオティクス/ヒーローズ等)の5名が担当、いずれも過去のソニック作品に携わってきた方々である。全体的にメタル調の楽曲が主体でありソニックシリーズの中でも特に異質。しかしながら本作の楽曲郡特有の重さはそのまま本作の退廃的な世界観に見事マッチしている

追い詰められたGUN兵士の悲壮感が曲そのものから感じられる『GUN FORTRESS(GUNフォートレス)』、本作では珍しくステージ・BGMともに爽やかで神秘的な雰囲気も併せ持つ『SKY TROOPS(スカイトロープス)』、本作のはじまりとなる事件が描かれる『LOST IMPACT(ロストインパクト)』あたりが個人的なイチオシ。

この時代のソニックシリーズ特有のボーカル曲ももちろんある。OP曲にしてメインテーマ曲『I Am... All Of Me』真エンド曲『Never Turn Back』は共に過去のメインテーマを手掛けてきたCrush 40によるもので本作を象徴する人気曲。このほかにも各エンディングの展開に合わせ4種類のエンディング曲が様々なアーティストの手で作曲されている

なかでもヒーロー寄りのエンディングで流れる『All Hail Shadow』は後に新ソニこと『SONIC THE HEDGEHOG(2006)』でカバーされたのを皮切りに、ソニックと暗黒の騎士』『ソニックジェネレーションズ 白の時空』等で事実上シャドウのテーマソングとして扱われるようになる。エンディング曲5種の中での個人的お気に入りは『The Chosen One』、コレはシナリオ展開も相まって印象に残りやすい曲だと思うのである。

本作の楽曲は総じてクオリティが高い反面スピンオフ作品ということもあり後年の作品でアレンジされることがあまりないのがちょい寂しいところ。まぁだからこそソニックフォース』のシャドウ編にて『WESTOPOLIS(ウェストポリス)』ソニック&セガオールスターレーシング Transformed』のデスエッグにて『COSMIC FALL(コズミックフォール)』がアレンジされる等、忘れた頃に拾われてビックリすることも多いのだが。

我はあまりプレイした記憶がないのだが本作は2P対戦も可能。キャラとステージを選択して先に倒された方が勝ち…という単純明快なルール。プレイヤーキャラは6体のシャドウ・アンドロイド。本物のシャドウそっくりな2種のアンドロイドは本編同様に武器の切り替えが可能、メタリックな残り4種のアンドロイドは最初から武器を装備、かつ弾数が無限なものの武器の切り替えができない。

対戦モードのBGM『2P vs. BATTLE』ソニックアドベンチャー2『Vengence Is Mine』…つまり『Radical Highway(ラジカルハイウェイ)』のアレンジ。よーくきいてみると本作オリジナルのフレーズが追加されているので必聴。

また対戦モードとは別で隠し機能的に協力プレイも可能。なんとステージ攻略中に出会える同行キャラたちは(一部の例外を除き)2Pで操作できる。同行キャラのアクションは基本的にみんな共通で『ホーミングアタック』『近接攻撃』のみ可能。武器を拾って扱うことはできない。早い話が素手状態のシャドウと同じ

なおCOM操作の同行キャラは近接攻撃を全く使用しないため、『同行キャラの近接攻撃モーション』は協力プレイ時にしか見ることができない。オメガ等は過去作を踏襲した動きになっているので一度は見ておくといいだろう。ついでに本作では一部ステージでマリアが同行キャラになるのだが、なんとこの2P操作はマリアでも可能。流石に人間なのでホーミングアタックはできないし、近接攻撃も申し訳程度のものであるが、移動速度だけは他の同行キャラばりにあるため、アークを元気に駆け回るマリアの姿を見ることができるぞ!

単純にラストストーリーのクリアまでプレイするだけでも結構ボリューミーな本作であるが、更に本作を遊びつくしたい人向けのやりこみ要素として『ランク評価』『シークレットキー』『ハードモード』『ライブラリ』も用意されている。

まずは『ランク評価』からだが、コレはソニアド2以降のシリーズ作で恒例となったクリア時のリザルトのことである。本作のランクはスコアを基準にA-Eの5段階で評価され、ヒーロー・ダーク・ノーマルミッションで個別に保存されるのだが、どのミッションを攻略したかによってスコアの計算式が変化するという特殊なモノ。

具体的にはステージ攻略時点で『ノーマルスコア』『ヒーロースコア』『ダークスコア』という3つのスコアがあり、ヒーローミッションのクリア時は『タイムボーナス+ノーマルスコア+ヒーロースコア-ダークスコア』ダークミッションのクリア時は『タイムボーナス+ノーマルスコア+ダークスコア-ヒーロースコア』、そしてノーマルミッションのクリア時は『タイムボーナス+ノーマルスコア』がそのまま最終リザルトとなる。ボス戦のみはスコアが用いられず、シンプルにクリアタイムだけを基にしてランク評価が行われる。

『ヒーロースコア』はヒーローゲージが上昇するような善行を重ねていくほど高くなり、『ダークスコア』はその逆『ノーマルスコア』は単純なリング入手などのヒーロー/ダークのどちらでもない行動をしていくことで加算される。一見ややこしいようにも思えるが実態はシンプルで『クリアしたいミッションに不要な行動を避ける』ということを徹底しておけばOK。基本的にノーデスでヒーローorダークミッションを突破すればだいたい最高評価のAランクは取れる。おそらく『ソニックアドベンチャー2』以降の3Dソニックで最もオールAが簡単なのは本作である。

『シークレットキー』というのは各ステージ内に5つずつ存在するカギ。5つ全てを集めるとステージ内のどこかにある『シークレットドア』が開き、隠しエリアに入ることができる。シークレットドアの先はショートカットルートだったり、乗り物が用意されていたりといったご褒美になっているので頑張って集めてみるといいだろう。

ただしシークレットキー自体は非常にわかりづらいところに隠されていたり、入手にはテクニックが要求されたり、はたまた入手タイミングが一瞬しかなかったりするので集めるのは非常に大変。シークレットキーの収集状況は周回プレイを行ってもそのまま引き継がれるので、繰り返しプレイのついでに集めるくらいでもOK。なお本作には一度でもクリアしたステージを任意でプレイできる『セレクトモード』も用意されているため、高ランククリアやシークレットキー集めを行いたい場合にイチからプレイしなおす必要はないのでそこは安心。

みごと全ステージ/全ミッションでオールAランクを達成するとタイトル画面に『ハードモード』が出現。敵やギミック配置が本編よりもずっとイジワルになったステージを次々クリアしていくモードである。ミッションの分岐はなくほぼ全てのステージが『ゴールリングに到達する』のがクリア条件となる。難易度こそ本編よりも高めではあるが難しいパートはカオスコントロールですっ飛ばせるし、オールAを達成できるくらいのプレイヤーであればラクショーであろう。

ちなみにハードモードはオマケのように見えて実質的な後日談兼お祭りモードであり、試練(高難易度ステージ)に挑むシャドウをソニックとその仲間たち…どころかエッグマンに司令官、あろうことかブラックドゥームまでもシャドウを激励してくれる。基本的に応援してくれるキャラはそのステージに纏わるチョイス。かつてのARKが舞台ならばジェラルドやマリアも応援に駆けつけてくれる。もちろんこのときのボイスは専用のもの。

このほか『ライブラリー』というモードでは過去にクリアしたことのあるルートが全て保存される。ルートはエンディングとはまた別の概念で『どのようにゲームをクリアしたか』を示すものである。例えば最終的に辿り着いたエンディングが同じであったとしても、そこに行き着くまでに進んだステージ/攻略したミッションが1つでも違えばソレは別ルートとして保存される。

なおエンディングは先に触れたように10パターンであるが、ルートの総数はなんと驚愕の326種類!ルートにはひとつひとつに専用のタイトルがつけられており、結構中二心を擽られる格好いいモノも多いため意外と集めるのは楽しい。ラストストーリーの解禁だけなら先に触れたように10パターンのエンディング到達だけでいいが、気が向いたのであれば全ルートのコンプリートを目指してみてもいいかもしれない。流石に修羅の道だと思うが。

さてさて本来シャドウはソニアド2で死亡していたハズの存在。ソレを無理やり復活させたことに対する理由付けを行っている本作は悪い言い方をすると『シナリオ、或いはゲームそのものが壮大な後付け設定』である。無茶苦茶な後付けの皺寄せは当然ながら散見され、ソニアド2時代とシャドゲ(というか後のシャドウが出てくる作品全般)の設定を徹底的に照らし合わせると少なからず矛盾があったり、一部の匂わせ要素も無意味なものとなってしまっているのも事実。大きなものでいえばエンターブレイン社のソニアド2公式攻略本の情報を基に当時のファンの間で囁かれていたソニックこそがオリジナルのシャドウである(反転文字)』説は本作+ソニックバトルの描写で完全に否定されてしまった

しかしながら本作のストーリーが過去作を蔑ろにしているかというと、それは絶対にない。後付け設定こそとんでもなく多いがゲーム本編に限った描写に致命的なものはなく、それでいて本作で新たに作られた設定は本作内で生かされ伏線の回収も丁寧

とりわけラストストーリー』における描写は『ソニックアドベンチャー2』の要素も内包した非常に盛り上がるものであり、『ソニアド2とは一味違う新たなシャドウの物語』はソニアド2の大ファンであっても満足のいく内容に仕上がっている。先に挙げたソニアド2に纏わるネタの数々も含め、本作はソニックアドベンチャー2のプレイヤーにこそ遊んでほしい一本』なのだ!!

もちろん本作の魅力はシナリオ方面だけではない散々語ったBGM面や世界観・キャラ描写だってそうであるし、何よりも圧倒的火力の武器で大暴れする爽快感にミッションによって立ち回りが変化するステージ群といったゲーム性は数あるソニックシリーズの中でも本作でしか味わえないものである。それもあってか我は3Dアクションのソニック作品の中で本作『シャドゲ』こと『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』が一番好きなのだ。

…でもって本記事冒頭の話題に今一度立ち返るワケだが、そんな『シャドゲ』好きのソニックマニアたちにとって絶対に見逃せないゲームが今秋…具体的には2024年10月25日に発売予定である。その名もソニック×シャドウジェネレーションズ』、かつてPS3/360向けにリリースされたソニックジェネレーションズ 白の時空』のリメイクである。
(ソニジェネは3DS向けに『青の冒険』も存在するが、今回のベースは『白の時空』)

リメイク元のソニジェネ白はシリーズファンなら誰もが認める名作でこそあるが、このゲームはソニックワールドアドベンチャー』以降に主流になった2.5D、いわゆる『ブーストソニック』系の作品であり、ソニックアドベンチャー』-『SONIC THE HEDGEHOG(2006)』の系列である3Dアクションのシャドゲとは大きく異なるゲーム性の作品である。


(この記事書いてる最中に公開されたシャドウジェネレーションズの前日譚『闇の序章』)

ならばなぜシャドゲ好きが『ソニック×シャドウジェネレーションズ』に注目するのか?答えはその追加要素である『シャドウジェネレーションズ』である。(プレイムービーを見た感じでは)基本システムはブーストソニックのソレである一方、その主人公はタイトル通りシャドウ・ザ・ヘッジホッグ、更に相棒(?)としてブラックドゥームまで久々に登場している。ブラックドゥーム当人の再登場は実にシャドゲ以来20年ぶり

オマケにIGNの6分プレイ映像では(少なくともBGMは)シャドゲの『THE ARK(ジ・アーク)』と思しきエリアを走っている場面があり、コレはもう期待するなという方が無理というハナシであろう。ちなみにシャドゲ以外だとラジカルハイウェイ(SA2)』『レールキャニオン(ヒーローズ)』『キングダムバレー(新ソニ)』と思しきステージがトレーラーで公開されている。
(プレイするまで情報を知りたくない人もいると思うのでステージ名は反転文字にします)

我は(ソニックイレイサーのような本当にどうしようもないものを除き)ゲームのソニックシリーズは全て追い続けている人間である。ゆえにこのソニック×シャドウジェネレーションズ』はもとより買う以外の選択肢はないわけだが、正直今の時点で公開されている情報だけでドキドキワクワクが止まらなくなっている。ぶっちゃけ今回の記事もその勢いに任せて書いたものだったりする。

そしてもう一度言うがソニック×シャドウジェネレーションズ』は2024年10月25日発売予定、つまりは今から3か月の余裕がある。というわけで我はこの3か月の間に本作『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』に手を出してみてほしいと声を大にして伝えたいのである。元々のソニジェネ自体からし過去作を遊んでいればいるほど懐かしくなって楽しくなるゲームであるため、シャドゲのプレイ経験がきっとそのまま『ソニック×シャドウジェネレーションズ』の面白さの底上げをしてくれるハズ!!
(もちろんソニジェネがシリーズデビューでもそれはそれで問題なく楽しめるだろう)

流石に実機が必要なGC版と最新でもPS3が必要なPS2版はオススメしづらくなってきているが、Xbox版ならば後方互換性に加えDL版も存在するので、いくらか手も出しやすいと思われる。でも360しかない勢はストアがもうすぐ…というか今月で閉まるから注意である。何はともあれ、シャドウ好きなら誰もが気に入るであろうシャドウのために作られたシャドウのゲームシャドウ・ザ・ヘッジホッグを遊んでみてほしいのであーるー!!!

 

『SHADOW THE HEDGEHOG(GC版)』のAmazonページ

『SHADOW THE HEDGEHOG(PS2版)』のAmazonページ

『SHADOW THE HEDGEHOG(Xbox版)』のAmazonページ

『ソニック×シャドウジェネレーションズ(Switch版)』のAmazonページ

『ソニック×シャドウジェネレーションズ(PS5版)』のAmazonページ

 

 

---オマケ1---
折角なのでかつて我がニコニコ動画にて投稿していた
シャドゲのゆっくり実況プレイ動画の総集編も載っけておくのである
気が向いた人はぜひぜひどうぞ。
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---オマケ2---
このあいだ東京ジョイポリスで行われた
ソニックバースデー2024』の『アフターパーティ』に参加してきたので、
オマケがてらそっちを楽しんできた報告ポストも載せておくのである。

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