来る10月25日、いよいよ『ソニック×シャドウジェネレーションズ』が発売する。かつてソニックシリーズ20周年記念の折に登場した人気作『ソニック ジェネレーションズ』のリマスターに、完全新作である『シャドウ ジェネレーションズ』をセットで収録したリマスター兼完全新作である。SEGA自身も『闇の序章』や『漆黒シャドウ』、『ソニック×シャドウジェネレーションズ ×チャオ』に『ソニックX無料配信』などなど精力的な広報活動を行い、ソニックファン内外からの期待値も最高潮となったこのタイミング…そうだ、あのゲームを語れるのは今しかない!!
というわけで『ソニック×シャドウジェネレーションズ』の発売が目前に迫ったこのタイミングだからこそ!そのオリジナルともいえる『ソニックジェネレーションズ 白の時空』と『ソニックジェネレーションズ 青の冒険』についてガッツリ語っていこう!
この時期にわざわざオリジナルの『ソニジェネ』を語る理由、それはシャドジェネへの便乗…と思うだろうが違う。どうせ我のことだから十中八九ソニックシャドウGが発売されたらそっちを語るであろうことは目に見えており、今回の記事はその際に『ソニジェネ部分については過去記事参照』ってな感じでぶん投げられるようにしたい…という意味合いが強い。あとこのタイミングを逃すと『青の冒険』については一生語る機会を失いそうでもあるので…。まぁ元々そのうち語りたい作品ではあったのでいい機会にはなったのである。
また先んじて一つ注釈を付けておくが、今回の記事はかなーり多くの『ソニックジェネレーションズ』のネタバレを含む内容となっている。元々が13年前の作品とはいえ、『ソニック×シャドウジェネレーションズで初めてソニジェネを遊ぶよ!』という人のうち、一切のネタバレを踏みたくないという人はこの時点でブラウザバックを推奨しておく。
なにはともあれ今宵語りますは『ソニックジェネレーションズ』、ソニックシリーズの20周年記念作品であり、リリース後も長期に渡って楽しまれ続けた作品である。なお本作には『ソニックジェネレーションズ 白の時空』と『ソニックジェネレーションズ 青の冒険』という2つのバージョンが存在するが、本記事ではその両方を触れたいと思う。
そしてそれゆえに『今どっちのバージョンのハナシしてるんだよ!?』とややこしくなるであろうことは容易に想像つくので、今回の記事では目次を用意した。〇の付いた項目が『白の時空』について、●が『青の冒険』について重点的に語っている箇所である。特に〇や●が付いていない箇所は両バージョン共通の情報だったり、或いはそのどちらとも関係ないハナシである。それでは今回の記事も語っていくとしよう。
- 20周年記念作品
- 『白の時空』と『青の冒険』
- ストーリー : あらすじ
- モダンとクラシック : 2人のソニック
- 冒険の舞台
- ゲーム性 : ACT1とACT2
- 登場ステージ
- ボスバトル/ライバルバトル
- 〇ホワイトスペース
- ●スペシャルステージ
- 〇チャレンジアクト
- ●ミッション
- ランク評価
- 〇スキルカスタマイズ
- グラフィック
- BGM
- 〇メガドライブ版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
- コレクション
- 〇カジノナイト・ピンボール
- ボリューム・やりこみ要素
- 不満点
- まとめ
20周年記念作品
さてさて、ソニックの周年作品は本作以前だと10周年記念作品として『ソニックアドベンチャー2』、15周年記念作品として『新ソニ』こと『SONIC THE HEDGEHOG(2006)』があった。その流れで登場したのが20周年作品である本作『ソニックジェネレーションズ』。…改めて『ソニアド2』→『新ソニ』→『ジェネ』でそれぞれ5年ずつしか離れてないと考えると凄いハナシである。
また20周年に合わせて『ソニック1』-『ソニックCD』、『アドベンチャー』-『ヒーローズ』までの復刻サントラがリリースされたりと結構なフィーバーを巻き起こしていたのを覚えている。ただし公式で『X周年作品』を大々的にウリにしたゲーム作品は本作が最後。一応『ソニックカラーズ アルティメット』は30周年を銘打った限定版があったりはしたケドも。
『白の時空』と『青の冒険』
本作『ソニックジェネレーションズ』が国内においてリリースされたプラットフォームは3つ。PlayStation3とXbox360、それからニンテンドー3DSである。PS3と360は共に同世代のHD機だからともかく、流石に3DSでこの2機種に付いていこうと考えると無茶が過ぎる。ならばSEGAはどうしたか?答えは至極簡単、HDの据置機で発売した『PS3/360版』と持ち運べる携帯機で発売した『3DS版』とで全く別のゲームをリリースしたのだ!!
というわけで本作にはPS3/360版と3DS版という『内容の異なる2バージョン』が存在する。どちらも『ソニックジェネレーションズ』というタイトルを冠していることは同じだがサブタイトルが異なり、PS3/360版が『ソニックジェネレーションズ 白の時空』、3DS版が『ソニックジェネレーションズ 青の冒険』というタイトルになる。シリーズファンからの略称は『ソニジェネ白』『ソニジェネ青』、或いは『ジェネ白』『ジェネ青』あたりか。
なおこういった『マルチプラットフォームでタイトルだけ共通した別物のゲームをリリースする』という戦略はソニックシリーズだと本作が初めてではなく、本作以前にも『ソニックワールドアドベンチャー(HD/SD)』『ソニックカラーズ(Wii/DS)』でも行われていたほか、後に登場した『ソニックロストワールド(WiiU/3DS)』にまで続いた。
(本作と開発元が違うものを含めるなら『ソニックトゥーン』もそう)
『白の時空』と『青の冒険』はそれぞれ開発元が異なり、『白の時空』は本家本元のソニックチームによる開発。一方で『青の冒険』は過去に『ソニバンス』シリーズや『ラッシュ』など携帯機作品を手掛けてきたディンプスが担当している。ディンプスはこのほかにも上に挙げた『ソニワドのSD版』『カラーズのDS版』『ロスワの3DS版』も開発しているため、ソニチ×ディンプスによるマルチプラットフォーム展開はド安定といえるだろう。
ストーリー : あらすじ
まずは本作のあらすじについてから紹介しよう。本作は『仲間たちが開いた誕生日パーティを楽しむソニックだったが、そこに突如現れた謎の怪物"タイムイーター"の手で時空がバラバラになってしまった』という物語。なんかテキストだけに纏めると唐突感が凄まじいが気にしてはならない。重要なのは『時空がバラバラにされた』という部分で、コレによりソニックは仲間たちを救い出すため『過去の冒険の舞台』を再び駆け抜けることになる。
上記のあらすじは『白の時空』のものであるが、『青の冒険』でも『ソニックが誕生日パーティ前に来てしまった』という点が異なるのみで大まかな流れは全く変わらない。シナリオ描写は『白の時空』だとムービー、『青の冒険』だとADV的なテキストでの会話で進行する。ただし『青の冒険』はこの設定の都合上ソニック・テイルス・エッグマン(と一部ライバルキャラ)以外が全く登場しないのは寂しいところか。
モダンとクラシック : 2人のソニック
さてさて、誕生日を迎えてうっきうきな青いハリネズミ『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』だが、驚くことに本作のソニックは2人いる。どういうこっちゃいと思うやもしれないが、これもタイムイーターの干渉によるもの。より正確には本作は過去の世界の『クラシックソニック』と現代の世界の『モダンソニック』のW主人公制を採用しているのだ!
『クラシックソニック』はその名の通りクラシックなソニック。具体的には『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』~『ソニック&ナックルズ』までのメガドラ時代からやってきたソニックである。現代に比べると等身は低く、丸々として非常にカワイイ。MD当時はOVA等の外部メディアや『ソニック・ザ・ヘッジホッグCD』などの極々一部の例外を除きボイスが存在しなかったこともあってか、作中では全く喋ることはない。しかしながら不愛想なワケでもなく、むしろジェスチャーで自身の感情を表現してくれるため、元気いっぱいな印象を受ける。
一方の『モダンソニック』は現代におけるモダンなソニック。こちらは『ソニックアドベンチャー』にて大規模なデザイン変更を行った姿であり、クラシックに比べると等身は高め。若干の剽軽さはある一方で大人っぽさや頼りにしたいカッコよさに秀でている。『アドベンチャー』にてゲーム媒体で初めてボイスが本格的に導入されたこともありこっちはしっかり喋る。CVはもちろん毎度おなじみ金丸淳一氏である。
冒険の舞台
そして本作の冒険の舞台は全て『過去にソニックやその仲間たちが駆け抜けたステージ』となっている。これは言わずもがな『ソニジェネ』以前に登場した『ソニックシリーズ過去作のステージ』のこと。よって本作のステージはその全てが過去作から再登場である!!
ステージの出典元は1991年の初代『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』から2010年の『ソニックカラーズ』までのアクションゲームシリーズ。これらの作品から1作につき1つずつピックアップされている。各作品の中でも一番人気をチョイスしたラインナップであるため、歴代作品のプレイヤーであればテンションがアガること間違いなし!
ゲーム性 : ACT1とACT2
各ステージはいずれもACT1とACT2に分かれている…というのはソニックシリーズではよくあるハナシだが、本作の場合はACTごとに操作キャラ・システムが変化するのが最大の特徴。ACT1はクラシックソニック、ACT2はモダンソニックのステージとなる。
基本的にACT1はメガドラ時代を踏襲したシンプルで手堅いつくりで、ACT2はブーストソニックらしい超ハイスピードアクションな内容となっている。そしてここからが大切なオハナシ。本作は『白の時空』と『青の冒険』とで基本的なゲーム性自体が大きく異なるのだ!ということでそれらの違いにも触れていくとしよう。
〇ゲーム性(白の時空)
『白の時空』におけるACT1は『ソニック1』から代々受け継がれた由緒正しき2Dアクション。グラフィック自体は3Dかつ局所的に3Dを活用した演出が挿入されたりもするが、ゲームとしては比較的オーソドックスな横スクロール2Dアクションである。ACT1でソニックが行えるのは原則スピンダッシュとジャンプのみなので、ゲーム初心者でもすぐに遊び方が伝わるハズ。また本作のスピンダッシュはワンボタンで即座にチャージ→発動ができるようにもなっているため、お手軽にハイスピード感が味わえるのは嬉しいところ。
『白の時空』のACT2は当時におけるソニックの本流作品らしくブーストを全力で活用していく。ステージは3Dと2Dが目まぐるしく切り替わる構成で、早い話が『ソニックワールドアドベンチャー』や『ソニックカラーズ』の延長である。3Dソニック特有の敵を追尾するホーミングアタックはもちろん、急加速のブーストに急降下のストンピング、障害物回避のドリフト/クイックステップ/スライディング…といった多彩なアクションを使用してステージを超高速で駆け抜ける爽快感はもはや説明不要。ちなみに操作感覚自体は直近の前作『カラーズ』よりも『ソニワド』の方が近かったりする。この辺はプラットフォーム的な都合だろう。
…と、このように『白の時空』はACT1が『2Dのクラシックソニック』、ACT2が『2Dと3Dが融合したモダンソニック』な作りになっているのが特徴。2Dアクションと3Dアクションが切り替わるので、さながら一粒で二度美味しい作品である。
●ゲーム性(青の冒険)
ここからはもう一方の『青の冒険』のハナシ。『青の冒険』でもACT1にてクラシックソニック、ACT2がモダンソニックという基本的な構成は変わらない。だがしかし、肝心のゲーム性はまるで違うのが見逃せない!
『青の冒険』でもACT1が2Dアクションなのは同様。『白の時空』との大きな違いは3Dを活用した演出が少ない点で、より純粋な2Dアクションゲームらしい作風なのが特徴。こちらはスピンダッシュがワンボタンで発動できないため、瞬間的な爽快感は『白の時空』に劣ってしまうのは否定できない。しかしながら『青の冒険』だとシナリオの特定のタイミングからクラシックソニックがモダン側のアクション『ホーミングアタック』及び『ジャンプダッシュ』を習得!これにより更に各種ステージの深みが増すことになるのだ!!
『青の冒険』を手掛けるディンプスは過去にアクション重視な『ソニバンス』シリーズを手掛けてきたこともあり、ジャンプアクションを追求したステージデザインはお手の物。『青の冒険』のACT1は『白の時空』ほどの爽快感はないものの、ギミックをジャンプやホーミングを駆使して突破していく一手一手の面白さがある。その作りからはメガドラ時代の初期シリーズというよりも、開発が同じ『ソニバンス』シリーズの味わいを強く感じさせる。
『白の時空』では2Dと3Dが切り替わる構成だったACT2は『青の冒険』だと純粋な2Dアクション。おいおいそれじゃあACT1と何も変わらないじゃないか…などと思うなかれ。2Dアクションであってもホーミングアタックやブーストといったモダンソニックらしいアクションの爽快感は変わらない!ゲーム性自体が2Dというだけで、ステージ内の特定場面ではさながら3Dアクションゲームを思わせるギミックや演出が多数盛り込まれているので、ところによっては『いま!自分は!3Dアクションゲームを遊んでいる!』と錯覚しそうになる場面もチラホラ。ACT1の3D演出が最低限だったこともあって猶更そう感じる。
そして『青の冒険』では『ラッシュ』『ラッシュアド』と同じくブーストゲージがMAXになると一定時間ブーストゲージが消費されなくなる仕様まであり、長時間に渡って最高速でステージを駆け抜ける爽快感は決して『白の時空』のソレにも劣らない。3D演出を挿入しつつ基本は2Dの超ハイスピードアクション…ということで言わずもがな本作は『ソニックラッシュ』から続いた2Dブーストソニックの系譜である。
つまるところ『青の冒険』はグラフィックこそ『白の時空』と共通ながら、その内容はACT1が『ソニバンス』シリーズの延長、ACT2が『ラッシュ』シリーズの延長という『ディンプス製ソニックの集大成』ともいえる内容に仕上がっているワケだ。
登場ステージ
さてさて、『白の時空』と『青の冒険』の基本システムについて説明したところで、ここからはステージについてのハナシをやっていくとしよう。本作のステージは過去作で人気だったものがピックアップされている…というのは上に語った通りだが、なんとこのステージのラインナップも『青の冒険』と『白の時空』とでほぼ別物なのだ。
『白の時空』と『青の冒険』で重複しているステージはシリーズの歴史上避けてはならないであろう初代の1面『グリーンヒルゾーン』のみ、しかもそのグリーンヒルもステージ内容は100%異なるので、事実上全てのコースが別物だと言い切れる。むしろ相互で足りないものを補完しあうようなラインナップになっているため、片方だけ遊んでも楽しめるのは言わずもがな、両方を遊んだならばもっと楽しめること間違いなし。
ステージ内に登場する敵キャラも全てそれぞれの原作に登場したモノが3D化して登場。同じエッグマンのロボットでも『ソニック1』でモトラ、『ヒーローズ』でエッグポーン、『ソニワド』でエッグファイター…などなどステージによって個別のものが用意されている。もちろん『アドベンチャー2』ならGUNビートルやGUNハンター、『新ソニ』ならイブリースクローラーにイブリースバイターのような1ステージ限りの出番も多く、敵のバリエーションは極めて豊富である。
ギミック方面でもシャチ・スケボー・ルートチェンジの大砲といったように、どのステージにおいても原作に登場したものが再登場しているのがファンには嬉しい。とりわけ『カラーズ』出典のステージではそこ限定で『カラーパワー』も使用できる。カラーパワーもバージョンによって異なり、『白の時空』ではピンク・スパイクとオレンジ・ロケット、『青の冒険』ではレッド・バーストとシアン・レーザーが使用可能。
ほかにもシリーズファン向けな小ネタも結構多め。代表的な例でいえばステージのあちこちに(当時)完全に存在を抹消されつつあったバークやビーン、マイティーにレイ、そしてファングの指名手配の張り紙が出されていたりとかか。ちなみにこのうちバークとビーンは『ソニックマニア』にて特殊な形で登場し、マイティーとレイは『ソニックマニア・プラス』で大々的に復活、ファングも『ソニックスーパースターズ』にてメインキャラにまで成り上がったので世の中わからんものである。
〇登場ステージ(白の時空)
グリーンヒルゾーン / ソニック・ザ・ヘッジホッグ
ケミカルプラントゾーン / ソニック・ザ・ヘッジホッグ2
スカイサンクチュアリゾーン / ソニック&ナックルズ
スピードハイウェイ / ソニックアドベンチャー
シティエスケープ / ソニックアドベンチャー2
シーサイドヒル / ソニックヒーローズ
クライシスシティ / SONIC THE HEDGEHOG
オレンジルーフス / ソニックワールドアドベンチャー
プラネットウィスプ / ソニックカラーズ
『白の時空』にて登場するステージは上記9つ。わかりやすく『シリーズの顔!』といった感じのラインナップであり、ソニックと共にシリーズの大まかな歴史をまるっと感じることができるだろう。ACT1・ACT2共にアレンジが強めなのが特徴で、その内容はさながら『テーマが同じなだけの完全新規ステージ』、懐かしさもある一方で新しさも感じられるハズ。
『白の時空』のACT1はシリーズ全体から幅広くギミックを拾ったステージが多く、例えば『ソニック3&K』出典のスカイサンクチュアリACT1では同じく『ソニック3&K』のマーブルガーデンの回転コマが登場していたり、水中面も兼ねた『ヒーローズ』のシーサイドヒルACT1では『ソニック1』のラビリンスや『ソニック3&K』のハイドロシティなどに代表される水流ギミックが登場する…などなど。
ACT2ではステージが3Dということも相まって、本作ならではのアレンジがガンガンと効いている。『アドベンチャー2』のシティエスケープのGUNトラックや『ソニワド』のオレンジルーフスの時計台といった原作で印象的だったギミックはよりド派手にパワーアップ!でも流石に本作のGUNはソニックに対する殺意が高すぎると思うの。
原作ステージにおけるフェイズチェンジも再現しており、ステージ前半は海岸部を進みつつ後半になると水中遺跡に足を踏み入れる…という『ヒーローズ』のシーサイドヒル→オーシャンパレスを思わせるシーサイドヒルACT2や、THE FLAME→SKYSCRAPER→(WHIRLWIND)→TORNADOという原作の4フェイズを1つのステージに纏め上げた『新ソニ』出典のクライシスシティACT2はその手腕に唸らされた。
(WHIRLWINDはACT1側で再現されている)
●登場ステージ(青の冒険)
グリーンヒルゾーン / ソニック・ザ・ヘッジホッグ
カジノナイトゾーン / ソニック・ザ・ヘッジホッグ2
マッシュルームヒルゾーン / ソニック&ナックルズ
エメラルドコースト / ソニックアドベンチャー
ラジカルハイウェイ / ソニックアドベンチャー2
ウォーターパレス / ソニックラッシュ
トロピカルリゾート / ソニックカラーズ
『青の冒険』での登場ステージは上記7つ。『白の時空』に比べると数は少なめながら、こちらとて人気ステージがピックアップされていることは変わらない。『ヒーローズ』『ソニワド』のステージはないものの、その代わりとして昨今のブーストが初出である『ソニックラッシュ』のウォーターパレスが登場している。
またトロピカルリゾートは『ソニックカラーズ』からの出典だが、『白の時空』のプラネットウィスプが『Wii版ソニックカラーズ』の再現が多かったのに対し、こちらは『DS版ソニックカラーズ』をベースにした内容となっている。当然ギミックもDS版カラーズに登場したもの揃い。なんなら本作で使用できるカラーパワーのレッド・バーストは当時カラーズDS版限定のアクションであった。
『白の時空』のステージ群の特徴が『旧作ステージのアレンジ』であるならば、『青の冒険』のステージの特徴は『旧作ステージの復刻』ともいえる。シリーズの垣根を超えたギミックのチョイスなどは特に存在しない一方で、地形・ギミックの配置は徹底的に原作のソレを踏襲している。両方の作品に収録されたグリーンヒルゾーンのACT1を見比べてみれば、その方向性の違いはすぐにわかる。『白の時空』のものはソニック1の地形を拡大解釈した超アレンジ構造だったのに対し、『青の冒険』のものはメガドラ時代の『ソニック1』におけるグリーンヒルACT1の地形をまるまるそのまま再現したものになっているのだ。
この旧作再現はもちろん他のステージでも同様。さながら『原作をそのまま3Dポリゴンの2Dアクションゲームにした』ような雰囲気すらも感じられる。なかでも『アドベンチャー2』出展のラジカルハイウェイACT1は見事なまでに原作の3D構造を2Dのステージに落とし込んでいる。両者を並行して起動して見比べてみると、その違いは否が応でも理解できるハズ。
ここまでACT2のハナシをしてこなかったが、『青の冒険』のACT2はACT1の旧作再現の方向性をある程度踏襲しつつ、『白の時空』的なアレンジを加えたものなのが特徴。とはいえ元々のギミックの範疇を超えるものは特になく、あくまで『原作のギミックをモダン的にアレンジしたらそうなるだろう』的なアプローチの仕方を試みている。
ボスバトル/ライバルバトル
ある程度ゲームを進めていくとソニックたちの前にボスが立ちはだかることがある。本作のボスは大きく分けて『ボスバトル』と『ライバルバトル』の2パターンが存在。『ボスバトル』はいわゆる宿敵ポジションとの対決で、『ライバルバトル』は敵でもあり味方でもあるライバルとの勝負となる。なおボス戦では最初のボスバトル/ライバルバトルのみクラシックソニック、以降のボスはモダンソニックを使用することになる。ステージが全て過去作からの復刻ということからも察せられるように、本作のボスキャラたちも(ラスボスを除き)全てが過去作からの再登場。
これまたステージと同じように『白の時空』と『青の冒険』でボス戦の内容そのものがまるで違う。『ライバルバトル』の相手は両バージョンで共通だが、『ボスバトル』の相手はバージョンごとに個別である。相手が異なる『ボスバトル』は言わずもがなだが、『ライバルバトル』においてもシステムからして別物になるので、やはりというか違った楽しさがあるのが嬉しいところ。もちろんラスボス戦も相手こそ同じながら戦い方がまるで違う。
余談だが『アドベンチャー』にてスーパーソニックでの対決になったパーフェクトカオスだとか、『ソニワド』ではウェアホッグ形態での戦闘だったエッグドラグーン、チームソニックの3人で立ち向かった『ヒーローズ』のエッグエンペラーに、そもそも『アドベンチャー2』だとソニックではなくシャドウが戦ったバイオリザード…といったように、本作のゲーム後半のボスバトルの相手はいずれも『原作では通常のソニックで戦えなかったボス』で共通している。『ソニック3』のビッグアームとてロックオン有りの完全版『ソニック3&ナックルズ』ではソニックだと戦えなかった相手である。
ある意味本作のボス戦は『原作当時のソニックでは倒せなかった相手をブーストやストンピングといった新アクションを覚えた現在のソニックでリベンジする』内容なのだ…という見方もできるかもしれない。ただ本作のボスバトルの相手はいずれも『タイムイーターのチカラでかつて戦った時代(原作)から呼び出された』という扱いであり、シナリオに全く絡まないのは少々寂しいところではある。
〇ボスバトル/ライバルバトル(白の時空)
メタルソニック / ソニック・ザ・ヘッジホッグCD
デスエッグロボ / ソニック・ザ・ヘッジホッグ2
シャドウ / ソニックアドベンチャー2
パーフェクトカオス / ソニックアドベンチャー
シルバー / SONIC THE HEDGEHOG
エッグドラグーン / ソニックワールドアドベンチャー
『白の時空』における『ボスバトル』と『ライバルバトル』にはさほど違いがなく、どちらも相手を攻撃して体力を0にしたら勝利。強いて言うならばライバルバトルは後回しにできないでもない…という点のみが異なる。まぁどうせ最終的には全員倒すことになるのでさっさと倒してしまうといい。なお『白の時空』に限りゲームクリア後により高難易度な『ハードモード』が解禁されるようになっている。
カメラワークがぎゅんぎゅんと切り替わり見たこともない超出力のオーバードライブを魅せるメタルソニック戦を筆頭に、走りながら激闘を繰り広げパワーアップ時には『All Hail Shadow』や『Live & Learn』が流れ出すシャドウ戦などなど『白の時空』のボス戦は総じてド派手!原作と同じシチュエーションながらシステムが別物のも相まって、『ここをそうアレンジするか!』とビックリするハズ。
『白の時空』限定でボスの登場時には専用のムービー+名前演出が流れるのだが、こちらもまた原作を知っているとニヤリとできるモノが多い。『突如出現したパーフェクトカオスにフォーカスして瞳が開いた瞬間に暗転』や『ソニックが走り、シャドウがグラインドで距離を詰め、両者が月をバックに交差する』という『ソニックアドベンチャー』や『ソニックアドベンチャー2バトル』のOP再現シーンはテンションを上げるなという方が無茶だろう…。
そして言わずもがなボス戦の舞台もそれぞれ原作のもの。メタルソニック戦は『ソニックCD』のスターダストスピードウェイのBad Futureであるし、パーフェクトカオス戦では水没した『アドベンチャー』のステーションスクエア、シャドウ戦では最終戦の舞台となった『アドベンチャー2』のファイナルラッシュ/ファイナルチェイスを再現している。これらのステージは各種ボス戦でしか用いられないため、非常に贅沢な扱いといえる。数あるボス戦の中で唯一シルバー戦のみクライシスシティでの対決となり『新ソニ』のシチュエーションとは異なるのだが、それでも違和感のない範疇には収まっている。
●ボスバトル/ライバルバトル(青の冒険)
メタルソニック / ソニック・ザ・ヘッジホッグCD
ビッグアーム / ソニック・ザ・ヘッジホッグ3
シャドウ / ソニックアドベンチャー2
バイオリザード / ソニックアドベンチャー2
シルバー / SONIC THE HEDGEHOG
エッグエンペラー / ソニックヒーローズ
原作の花形ともいえる有名どころが揃った『白の時空』に比べると『青の冒険』のチョイスは絶妙に渋い。ボスの格自体は負けてないのだがシリーズファン向けというかなんというか。だって初手ビッグアームですぜビッグアーム。同じ『ソニック3&K』縛りでもメカソニックとか巨大エッグロボとかファイナルウェポンとか他にいたであろうところをまさかのビッグアーム。当時は『ロックオンなしのソニック3』か『完全版ソニック3でナックルズ使用時』でしか出てこなかっただいぶレアなボスですぜ。いや好きだけどさ、そのチョイスに痺れたけどさぁ!
(『ソニックオリジンズ』収録の『ソニック3&K』で出番増えたのは良改変だと思いました)
こほん、何はともあれ本編のステージと同じく『青の冒険』のボス戦は全て2Dアクションとなっているほか、ボスバトルとライバルバトルで大きく内容が変化する。『ボスバトル』は『白の時空』同様よくあるタイプのオーソドックスなボス戦で相手の体力を0にしたら勝利となる。『ライバルバトル』はシリーズだとたまに見かけるタイプのレース対決、専用構造のステージをライバルと共に駆け抜け相手よりも先にゴールしたら勝利…というルール。アイテムやシグネチャームーブがない点を除けば『ライバルズ』シリーズに近いシステムでお互いに妨害も可能。…ソレを考えるともしかしたら本作のシルバーは新ソニではなくライバルズ出典なのかも…。
2Dアクションということで原作が3Dアクションだった『アドベンチャー2』『ヒーローズ』のバイオリザード/エッグエンペラーも2Dアクションでのバトルとなっているのだが、敵の行動パターン自体は原作のソレとほぼ同じであるし、ダメージを与えたり時間経過によるフェイズチェンジもちゃっかり再現。このあたりもステージと同じく『原作の徹底再現』に拘った『青の冒険』のスタンスがよく現れているといえよう。
『白の時空』同様にボスバトルの背景も原作を踏襲した専用のものが与えられている。ビッグアームはちゃんと『ロックオンなしソニック3』で戦うランチベースACT2のフィールドだし、バイオリザードは『アドベンチャー2』の初戦…アーク内部の祭壇、エッグエンペラーも『ヒーローズ』のファイナルフォートレスのソレとほぼ同じで、外周エリアも中央エリアに分かれている構造も再現されている。ただライバルバトルの方は本編の他ステージの流用背景となってしまっているのは難点か。一応シャドウ戦に関してはラジカルハイウェイが舞台となるため『アドベンチャー2』の2P対戦モードの再現として成立している。
問題はメタルソニックで、なんと原作では縁もゆかりもない…というかそもそもメタルが登場すらしない『ソニック2』のカジノナイトでの対決となってしまう。まぁ『青の冒険』の収録ステージにメタルと合うものがあるかと聞かれると他にないんだケド…。原作で戦う機会がないといえばトロピカルリゾートで対決するシルバーもそうだが、こちらは『DS版カラーズ』にてシルバーが登場しているため無縁というほどではない。
(『カラーズULT』のメタル戦はリマスター版の追加要素でオリジナルにはない)
〇ホワイトスペース
『青の冒険』では直接ステージを選択する形式だが、『白の時空』ではワールドマップ的なステージが用意されている。このマップは『ホワイトスペース(White Space)』と呼ばれるもので、この空間から各種ステージへ突入することになる。一番左にはコレクションルーム(後述)があり、そこから右へと走り続ければグリーンヒル→ケミカルプラント→スカイサンクチュアリ…といったように時代に沿ってステージが並んでいる。1度でもクリアしたステージの近くには仲間がおり、仲間と会話して攻略のヒントを貰うこともできたりする。
入口の近くには各種ステージを思わせる足場や地形が用意されており、ソレを進んでいくことでチャレンジアクト(これまた後述)の入口にも到達できる。あくまで『遊べるマップ画面』でしかないため、攻略的な面白さや爽快感があるというわけではないものの、操作の練習程度には使える。またワンボタンでクラシックソニックとモダンソニックも切り替え可能。…クラシックソニックで行けるところは大体モダンソニックでも行けるのはナイショ。
●スペシャルステージ
2Dソニックにおける恒例要素『スペシャルステージ』は『青の冒険』にのみ登場。本作のスペシャルステージは3Dのチューブ状コースを駆け抜けつつ制限時間内にゴールを目指していくもので、スフィア(バルーン)を集めてブーストゲージを回復できる…という仕組みからわかるように早い話が『ヒーローズ』のスペシャルステージのリメイク的な内容である。当然グラフィックやBGMもそちらと同じもの。
『ヒーローズ』のスペシャルステージは道中のチームメンバー切り替えのほか、ダッシュ(ブースト)を押しっぱなしではなく連打した方が加速しやすいというワケわからん仕様のせいで無駄に難易度が上昇していたフシがあったのだが、本作では比較的素直なつくりなのでストレスは感じづらいだろう。失敗してもすぐに再挑戦できるのも嬉しい。
スペシャルステージをクリアできたならこれまたお馴染みのカオスエメラルドを入手できる。本作は通常シナリオのクリアにもエメラルド収集が必要だからか、スペシャルステージ自体の難易度は非常に低いため安心して挑戦するべし。なおカオスエメラルドは『白の時空』にも登場、こちらでもシナリオクリアに収集の必要があるものの、『白の時空』のエメラルドは各種ボス/ライバルを撃破すると入手できる形式になっている。
〇チャレンジアクト
ホワイトスペースの説明の際に少し名前が出てきた『チャレンジアクト』は特殊なシチュエーションで挑戦するステージであり、直接のストーリークリアには関連しないやりこみ要素である。チャレンジアクトは1つのステージあたりにモダン・クラシック合わせて10種類前後存在し、その総数たるや90種類。個別にランク評価も行われるため、コレを極めようとしただけで本作のボリュームは一気に跳ね上がるだろう。
『チャレンジ』という名を冠するだけあって通常ステージよりも高難易度なのだが、なによりも驚きなのはその内容。背景や敵キャラのデザインこそ通常のものと同じながら『特定の敵ばかりが大量に出現』『敵が何故か巨大化』などのように一風変わったステージが多数登場。チャレンジアクトにしか登場しない過去作ギミックも少なくない。
なかには『ソニック3』の3色バリアや『アドベンチャー2』のスケボーがアイテムとして登場するチャレンジアクトもあり、これらをクリアすることでカスタマイズ(後述)扱いで他ステージに持ちこめるようになったりもする。また一部のチャレンジアクトではソニックの仲間たちが登場し、『ソニバンス3』よろしく仲間と一緒にステージを攻略したり、『アドベンチャー』のように競争したりといった彩りを与えてくれるのも嬉しいところ。ひとつひとつのステージのサイズは通常ステージに比べると短めながら、そのバリエーションの多彩さのおかげで完全クリアも苦にならないことだろう。
●ミッション
『青の冒険』におけるチャレンジアクトの役割を担っているのが『ミッション』、チャレンジアクトとは違いステージ構造こそ通常ステージとそこまで変わらないながら、こちらは『特殊な縛り』を課せられた状態でのクリアが目標となる。ミッションの対象はステージだけでなくボスやスペシャルステージも含まれ、クリア時にはクリアタイムも記録される。ミッション総数は100種類でこちらもチャレンジアクトと負けず劣らずボリューミー。
ミッションの内容はある程度画一化されており、それぞれの名称が『ダイハード(ノーデスクリア)』『ランページ!(一定数の敵撃破)』『ステルス・アタック(敵撃破禁止)』といった表記になっていたりもすることから、コアなファンならストーリーブック作品…『ソニックと秘密のリング』『ソニックと暗黒の騎士』を思い出す人も少なくないハズ。
ランク評価
シリーズ恒例のランク評価システムも相変わらず登場。本作の最高ランクはSだが評価基準が『白の時空』と『青の冒険』でちょこっと違う。まず『白の時空』だがこちらはクリアタイム+所持リング数を元にスコア/ランクが評価され、Aランク時にノーデスクリアだったならSランク評価になる形式である。基本的にノーデスで駆け抜ければAランク程度のスコアは取れるので、シリーズでもかなりオールSクリアは簡単な部類である。
『青の冒険』の場合だとクリアタイムと所持リング数を元にスコアが算出されるところまでは同じであるが、『Aランク+ノーデスでS評価』という仕様はなくあくまで純粋なスコアでSランクを目指す必要がある。そのためスコア基準が『白の時空』に比べカツカツなものが多く、最高評価を目指すならノンストップかつリング回収も忘れずにステージを駆け抜けなければならない。よってオールSランクを目指した場合の難易度は『白の時空』よりも高くなる。まぁそれでもシリーズ全体では優しめの部類ではあるが。
〇スキルカスタマイズ
『白の時空』限定の要素として『スキルカスタマイズ』といったものがある。コレはシリーズ全体で見ても本作くらいにしかない珍しい仕組みで、コストに収まる範疇で自由にスキルを設定し、ソニックのパラメータをカスタマイズすることができる。ソニックらしくスピードやブーストを強化することもできれば、事故防止のためミス時にリングを保持させたり、急ブレーキが可能になったりなどなどカスタマイズの幅は中々に広い。
クラシックソニックとモダンソニックとでそれぞれカスタマイズ枠は個別に存在し、どちらかでしか装備できないスキルも多い。例えば先ほど話題に出た『ソニック3』のフレイム・アクア・サンダーの3色バリアはクラシック限定の装備であるし、『秘密のリング』にも登場したタイムブレイクはモダン限定の装備。また『青の冒険』では最終的にデフォルト装備になるクラシック版のホーミングアタックもスキルという扱いでの登場。カスタマイズはプリセットを5つまで保存できるので色々と試してみるが吉である。
グラフィック
『白の時空』はさすがのHD機なだけあってグラフィックは真っ当にハイクオリティ。『青の冒険』も『白の時空』ほどではないが携帯機としてはかなり頑張っている。3DSのソニック1作目でこれほどのものが出せたと考えると中々のものだろう。同じく携帯機であるDSの『ソニックカラーズ』やPSPの『ソニックライバルズ2』と比較すればハードスペックの進化に驚かされる。当然ながら全ステージ3D立体視にも対応。
ソニックシリーズの例に漏れず、本作も超ハイスピードでステージを駆け抜けるゲーム性なのだが、一度は足を止めて周囲の景色を眺めてみると新しい発見や感動があるかもしれない。特に過去作ステージが美麗な3Dモデルで再び描かれたことに感慨深い思いを抱いた人は多いハズ。
…まぁ味を占めたのか本作で再登場した『グリーンヒル』『ケミカルプラント』等のテーマを『ソニックフロンティア』まで11年間に渡って引っ張り続けたのは如何なものかとは思う。本編3Dだと『フォース』と『フロンティア』だけだが2D含めるなら『マニア』もあったし、コラボ含めるなら『LEGO Dimensions』『Minecraft Sonic the Hedgehog』でもコイツラが出てきたもんだからその度に『またコレかよ!?』となった記憶がある。流石にステージ構成まで同じだったのは『フロンティア』の一部だけだが。
(あと『スカイサンクチュアリ』もやたら再登用率が高い)
BGM
BGMはメインのステージはもちろん、それ以外の各モードに至るまでアレンジ楽曲が揃っている。各種ステージ/ボスの楽曲は言わずもがな元となったステージ曲のアレンジ。ACT1はクラシックらしいメガドラ風味サウンド、ACT2はモダンらしいロック調が主体。原作がクラシックの場合はACT1、モダンの場合はACT2が原曲に近いアレンジなのがファン的には嬉しい。
『Seaside Hill Act2』や『Crisis City Act2』のような原作のステージ構成を踏襲したメドレー/リミックス楽曲があるのもいいところ。当然『Super Sonic Racing』『Escape From The City』『For True Story』『Supporting Me』『Open Your Heart』といったボーカル曲たちはボーカル込みで新規アレンジが行われており、当時ならではの雰囲気は残しつつも新しい彩りを感じさせてくれる。
やや本筋から離れたチャレンジアクト/ミッションや特殊スキル発動時に流れる楽曲も過去作アレンジ…どころか、ここまで手を出すヤツならよほどのマニアだろうという信頼の表れなのか、本編以上に更にマニアックな楽曲がピックアップされている。例えば『ソニックバトル』の『Sonic Stage』に『ソニック3Dフリッキーアイランド』の『You're My Hero』、『カオティクス』の『Tube Panic』だとか…。
『白の時空』におけるホワイトスペースで流れるBGMは『現在もっとも近い位置にあるステージのアレンジ』に適宜切り替わるという面白い仕様、ボスのところに行けばボスのアレンジになるし、DLCのカジノナイトの元へ行けばカジノナイトのアレンジになる。違和感のないようにBGMが切り替わるようになっているため、あちこち走り回って自分なりのメドレーを即興で作るのもいいかもしれない。
そして本作のエンディング曲はクラシック時代を思わせる『ステージBGMのメドレー』。本作のステージはシリーズ全体からピックアップされているため、ステージメドレーは事実上のシリーズ人気BGMメドレーとなる!まさしくソニックシリーズの20年の歴史を曲で表したかのような内容なのでシリーズファンなら感動すること間違いなし。もちろん『白の時空』と『青の冒険』とでメドレーの内容は変化。
個人的な本作のBGMでの一番のお気に入りは…ビッグアーム戦の『Boss Battle: Big Arms』か。当時はせいぜい『ソニッククロニクル 闇次元からの侵略者』くらいでしか拾われることがなかった『ソニック3&K』の『Final Eggman(重要ボス戦)』をそのまま壮大にしつつ、原曲の2ループ目から大胆アレンジの追加パートに入るその盛り上がりっぷりは『ソニック3』のプレイヤーなら必聴。…惜しむらくは肝心のビッグアームが弱すぎるせいで手加減しないと追加パートまでまず聞けないこと。
〇メガドライブ版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
『白の時空』ではとある条件を満たすことでメガドライブの栄えあるシリーズ1作目『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』もプレイ可能になる。特定ステージのみのダイジェストなどではなく正真正銘まるごと収録なので、ゲームオーバーにさえならなければEDまで全てプレイできる。…もっとも『白の時空』がリリースされた360/PS3の場合、ソニック1は『ビンテージコレクション』という形でセーブ機能や実績込みの単品販売がされていたため、本作での収録にそこまで需要があったわけではないのだが、ないよりはあった方が良い。ちなみにゲーム終了時のハイスコアが保存されるのでスコアタ的な楽しみ方はできる。
ただし本作に収録されている『ソニック1』は微妙にメガドラ実機や過去の移植との差異があり、実機そのままの完全移植というわけでもない。具体的には『デフォルトでコンティニュー搭載』『スコアエクステンドがない』『ゴールプレートやスイッチ等のSEがない』等が異なる。特に一部SEが抜けている点は大きく、スクラップブレイン及びラスボス戦ではギミックの状況をSEで判別できなくなったため原作以上に難易度が上昇している。なおスパイクバグは発生するものの、ラビリンスでの再現性のあるフリーズは修正されていた。当然ながら『ソニックジャム』にあったようなスピンダッシュの追加などはない。
コレクション
20周年記念作品というだけあって本作は資料面もそこそこ充実。『白の時空』では『コレクションルーム』、『青の冒険』では『コレクション』というモードが搭載されており、そちらにてシナリオイベントのほか多くの資料を閲覧できる。コレクションのラインナップはチャレンジアクト/ミッションをクリアする事に少しずつ解禁されていく。こちらもまたバージョンによって収録内容に差異があるのが特徴。
『白の時空』の『イラスト』コーナーでは本作だけでなく、本作にステージ/ボスが収録された各作品当時のアイデアスケッチや開発資料が合計130枚も収録。『青の冒険』の『アート』コーナーはそちらに比べると収録数は32枚と少なめだが、こっちはこっちで『白の時空』との重複は一切なく『ソニバンス3』『ラッシュアドベンチャー』『DS版カラーズ』など過去にディンプスが開発を手掛けたソニック作品の資料が収録。オマケ扱いのフィギュアやスタチューの写真はちゃっかり3DSの3D立体視に対応した立体写真だったりもする。
『サウンド』コーナーでは過去作の楽曲郡が多数収録されており自由に聴くことができる。楽曲は直近の最新作であった『ソニック4EP1』はもちろん海外限定の『ライバルズ』2作に『ライダーズ』シリーズのような外伝作まで網羅しており、文字通りのシリーズ全体からピックアップ。収録数は全50曲だがやはりというかバージョンごとに収録ラインナップはだいぶ異なり、『ソニック1』-『ソニック&ナックルズ』までのクラシック作品はほぼ同じ、しかしながらそれ以降の作品になると『アドベンチャー2』の楽曲は『Live & Learn』のみ共通で『白の時空』が『Won't Stop, Just Go! (Green Forest)』『That's The Way I Like It (Metal Harbor)』、『青の冒険』が『Unknown From M.E.(SA2)』『Throw It All Away』のように互いに重複しないチョイスがされるようにもなる。
作品単位で見ていった場合『新ソニ』『ソニワド』の楽曲は『白の時空』だとステージBGMまで網羅している一方で『青の冒険』ではテーマ曲のみ収録、逆に『ラッシュ』『ラッシュアドベンチャー』は『青の冒険』だと収録数が多いが『白の時空』だと1曲のみ…といった風に特色がよく現れている。なかには『白の時空』のみ収録の『I Am... All Of Me(シャドゲ)』、『青の冒険』のみの『Door Into The Summer(カオティクス)』のように一方のバージョンにしか収録がない作品もあったり。
また『白の時空』ではここで聴ける楽曲をステージ攻略中のBGMで流せる機能も用意されている。そのせいなのか収録ラインナップを見比べると『白の時空』はステージBGMが多く、『青の冒険』はキャラクターのテーマソングがやや多め。意外なBGMが意外なステージに合ったりもするので、ものは試しで色々と流してみるといいだろう。
ただしどういうわけか一部作品の楽曲のみアレンジ…とまでは言わないが原曲から音色が大きく変化している。該当するのは『ソニック3&ナックルズ』『ソニックスピンボール』『カオティクス』『ソニバンス(シリーズ)』『バトル』…といずれもディスクメディアではない作品なので、当時のサウンドデータが存在しなかったのか、或いは実機に落とし込む前のデモ音源とかだろうか。ただソニック3&K・スピンボール・カオティクスは後年『オリジンズ』にて原曲が収録されているので当時のサウンドデータがないとは考えづらい。ちなみに当時メガドラ音源も含めた復刻サントラがリリースされた『ソニック1』『ソニック2』は原曲そのままの音色で収録されている。
『青の冒険』では『モデル』コーナーなんてのもあり、こちらでは3D立体視に対応した本作の主要キャラたちの3Dモデルを眺めることができる。モデルは回転も可能なので創作などをしたい人は参考にするのも良いだろう。『白の時空』でコレに該当するモードは『キャラクター』紹介コーナー…と見せかけて、実はコレクションルームでBACKボタン/SELECTボタンを長押しすることで隠された『フィギュアルーム』に入ることができる。ここはパスワードを入力することでゲーム内のメインキャラから雑魚敵、アイテムも含めた大量のモデルを眺められるモード…なのだが、パスワードを知る手段が当時のゲーム雑誌等の外部メディアだけなのが困りもの。一応今からでも公式サイトにいくらかパスワードが掲載されていたりはする。
〇カジノナイト・ピンボール
本作における唯一のDLCが『白の時空』の『カジノナイト・ピンボール』、購入するとホワイトスペースにピンボール台が出現しプレイできるようになる。カジノナイト自体は『青の冒険』にてステージ収録が行われているのだが、こちらはステージとしてではなくマジモンのミニゲーム…ピンボールとしての登場である。BGMは『青の冒険』でも流れたアレンジ版がそのまま流用されている。まぁ本ブログでも度々触れている通りソニックとピンボールは切っても切れない縁にあるため、どこかしらでピンボール要素を出したかったということなのだろう。
ソニック自身がボールになってプレイする内容ではあるが、『スピンボール』のようなボール側のコントロールは一切効かないのでプレイ感覚的には『ソニックピンボールパーティー』のソレが一番近い。…つまりルール自体は純然たるピンボールである。一応モダンソニックの使用時のみブーストで半ば無理やり移動できないこともない。本当の本当にただのミニゲームなので、プレイしないと手に入らないアイテムや損する要素などはこれといって存在しないのはピンボール苦手民にとってはありがたい。
ボリューム・やりこみ要素
本作のボリュームは単なるゲームクリアだけを目標とした場合は非常に少ない。というのも各ステージのACT1/2とボス撃破、あとチャレンジアクト/スペシャルステージをいくらかクリアするだけで終わってしまうからだ。ただしその一方で本作にはやり込み要素が非常に豊富に用意されている。『白の時空』なら各ステージに隠されたレッドスターリング探しもあるし、チャレンジアクトの制覇もある。『青の冒険』ならミッションが待ち受けている。
え、『白の時空』と比較すると『青の冒険』のやりこみ要素が少なく感じる?いやいや、実は『青の冒険』にはソロプレイで達成しようとすると修羅の道と化す『プロフィールカードの絵柄コンプ』とかいうシリーズ最凶のやり込み要素があるんですよ、ええ。『すれちがい通信』前提のシステムを今更記事にしたところで需要ないと思うので、ここではサラッと触れるだけに留めますがねぇ…。
そもそもやることがなくなった場合、最終的に『タイムアタック』に行き着くのは本作に限らずソニックシリーズの常。本作はブーストを採用したソニック作品の中でも特に人気のある1作であり、それこそリリースから10年が経過してもなおプレイし続ける人がいるほどタイムアタックがアツい。もちろんベストタイムが出れば最高の気分になるし、出なかったとしてもステージを突っ走る爽快感が凄まじいのだ。
不満点
で、そんな本作の数少ない…というより唯一の不満点だが、コレは『シナリオが薄い』ことだろう。最初にも触れたように本作のメインシナリオは『時間をバラバラにしたバケモノ(タイムイーター)を追って2人のソニックが様々な時代を駆け抜ける』というのみで非常に簡素。もっともシナリオが薄いのはこの当時のソニックシリーズ全体における風潮だったので仕方ないか。
ただし『時間を超えた冒険』というどう転んでも面白くなりそうな題材だっただけに、コレを生かせないまま終わってしまったのも惜しい。こういうテーマでありがちな『過去の時代に介入して歴史を変える!』のような展開も本作作中では殆どない。まぁ後者については『新ソニ』や『ソニックCD』で既にやっているとはいえ。
過去作キャラたちは登場こそするも、メイン級の役割が与えられているソニック・テイルス・エッグマン以外はシナリオ上だとステージクリア時に一言二言セリフがある程度。現代と過去の両バージョンが登場するのも上記3名のみであり、あとのキャラはクラシック・モダンの両作品に登場していたキャラ(ナックルズ・エミー・カオティクス組)も含めモダンorクラシックのどちらか一方しか出てこず、『時代を超えた同一人物の邂逅』という時間テーマの作品における醍醐味的な場面も少ない。
(メタルソニックのみクラシック版のみ、残りは全員モダン版のみの登場)
『歴史を消すバケモノ』であるハズの本作の敵『タイムイーター』であるが、タイムイーター自身は喋ることもなければコレといった意思を見せる場面もなく、終始ただ黒幕の言いなりになっているだけなので、身も蓋もないことを言ってしまうとただ単に過去作ステージ/ボスを出すためだけの舞台装置にしかなっていないのも勿体無い。
ぶっちゃけ本作のシナリオは『設定やテーマは魅力的だが、それを全く活用していない』のである。例えるならば『材料は揃っていたのに、調理せず素材のまま出した料理』、調理に失敗しているワケではないので決して不味い訳ではないのだが物足りない…そんな感じである。ただその一方でシナリオ描写が最低限であったため、『カラーズ』『ロストワールド』等この時代のシリーズ作でたびたび問題視されていた過去作キャラの性格のブレが全く見られないのは良かったといえる。
あとコレはゲーム自体の問題ではないのだが、当時は発売前の情報公開が個人的には不満であった。言うまでもなく本作最大の強みは『過去作ステージのアレンジ/復刻』なのだが、困ったことに当時は発売時点でその収録ステージのほぼすべてが事前に公開されてしまっていたのである。まぁ集客を考えると宣伝に関係なくソニックを購入する層よりは『あのステージがまた出てくるの!?』『うわ、懐かしい!』と久々に手を出す層にアプローチをかける方がいいのは理解できるのだが、できれば初見プレイ時に『次はなんのステージが来るんだろう!?』とまっさらな状態からワクワクしたかったなぁ…と思ってしまったり。流石に贅沢な不満かもしれない。
まとめ
さてさて、本作はスバリ『シリーズファン向けの作品』であり、そして『シリーズデビューにも向いた作品』でもある。『ソニワド』或いは『ラッシュ』から着々と進化を続けてきた3D/2Dブーストソニック作品の集大成ともいえる総合的なクオリティの高さもさることながら、シリーズファンなら喜ぶこと間違いなしの過去作ステージ&ボス復刻、それでいて初心者でも遊びやすい低めの難易度もあってとにかく間口が広い。
『登場ステージ/ボスが過去作からの復刻オンリー』と聞くと初心者は身構えてしまうかもしれないが、良くも悪くもシナリオ描写が最低限ゆえにハナシに置いていかれるなんてこともない。むしろ本作でプレイしたステージやボスに気になるものがあったのなら、そこから過去作に手を出してみるのもいいだろう。だからこその『シリーズデビューに向いた作品』なのだ。
発売から13年が経過したことで本作もレトロゲームに片足突っ込みかけ、いい加減プレイ環境を揃えるのが大変になりつつあった『ソニックジェネレーションズ』であるが、少なくとも『白の時空』に関しては発売が目前に迫った最新作兼リマスター『ソニック×シャドウジェネレーションズ』の存在もあって、再び色々な人にオススメもしやすくなることだろう。というわけで本記事を読んで少しでも興味を持ったのであれば、まずは『ソニック×シャドウジェネレーションズ』に手を出すところから始めてみると良いと思うのである!!
(あと『青の冒険』もいいゲームだから、3DSを持っている人は遊んでみてね…)
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オマケ(ゆっくり実況プレイ動画)
折角なのでかつて我がニコニコ動画に投稿していた『ソニックジェネレーションズ 白の時空』のゆっくり実況プレイ動画もここに掲載しておこう。…え、最終回が投稿されてない?大丈夫、かれこれ2年ちょっとくらい鋭意制作中ですから!
…いい加減さっさと作って完結させろ?アッハイ。