いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

ソニックスーパースターズ

NetFlixで配信中のアニメソニックプライム』に、2作連続ヒットした実写映画ソニック・ザ・ムービー』、しっかり日本でも流通するようになったアメコミIDWソニック…サイドキックだけでもこれだというのにメインであるゲームならばソニックフロンティア』ソニックオリジンズが登場し、今年には『超・完全決戦』ソニックオリジンズ・プラス』という大規模アップデート/追加コンテンツの配信が行われ、現在進行形で絶好調な音速の青いハリネズミソニック・ザ・ヘッジホッグ。そしてつい先日もその流れに乗る形でまたもや新たな作品がリリースされるに至った。

というわけで今宵もソニックのゲームを語っていくとしよう。今回の主役は先日リリースされたばかりの完全新作2Dソニックソニックスーパースターズ』である!プラットフォームは…言わなくてもわかりそうだがNintendoSwitch/PS5/PS4/XSX/XSS/One/Steamという現行機種フルコンプコース。まぁソニック的にはいつものパターンである。パッケージは近年の2Dソニックではおなじみのリバーシブル仕様。裏面はマニアやオリジンズの表パケ画に近い絵柄となっている。今回はPS4パケ版を購入し、PS5アップグレード機能を使用してのプレイとなった。

開発はソニックの生みの親のひとり(初代ソニックのデザイナー)である大島直人氏がCOOを務めるアーゼストが担当。前身はアートゥーンであり、アートゥーン時代の代表作だとピノビィーの大冒険』ヨッシーの万有引力ラストストーリー、アーゼストになってからだとヨッシーNewアイランド『Hey! ピクミンだとかそのあたり。過去記事的には『バランワンダーワールド』の開発元でもある。意外なことにアーゼストソニックシリーズの本家アクション作品に携わるのは(少なくとも開発元が公開されている中では)今回が初だったりする。
(アートゥーン→アーゼストは厳密には社名変更とかではなく別会社なのだが、説明めんどいので省略)

直近のソニックシリーズの新作だと2Dがファンの夢を詰め込んだソニックマニア(プラス)』3Dが新世代へのスタートアップを大成功させたソニックフロンティア』…と両方の路線でビッグバンを起こしており、ぶっちゃけどちらの方向性でリリースするにせよハードルは極めて高い状態にあった。そんな状況下で発表された完全新作こそがこのソニック スーパースターズ』なワケであるが、本作はその期待に充分応えられた作品だといっていいだろう。

さてさてここからはガッツリ本作の内容について語っていこう…と思うのだが、今回はちょっと内容の都合上どうしてもクリティカルなネタバレ要素にも触れることになる。具体的には本作からの新キャラやラスボスについてもガッツリ語ってしまうため、ネタバレを聞きたくないという人はこのあたりでブラウザバックを推奨するのである。

本作は(新作としては)マニア以来6年ぶりとなるクラシックな2Dソニックの完全新作である。クラシックソニックによる2D自体は『ソニックフォース』や『ソニックジェネレーション 青の冒険/白の時空』などのいわゆるブーストソニック作品において半ば抱き合わせ的に導入されることも多かったが、本作はマニアと同じようにメガドラ自体からのクラシックソニックの流れを引き継いだ2Dオンリーの作品となっている。

一方でグラフィックは3Dモデルを使用したものなのがマニアとは異なるポイント。3Dグラフィックかつ2Dオンリーの作品となると番外作のソニックトゥーン ファイアー&アイス』以来7年ぶり、本家に限ればなんとソニック・ザ・ヘッジホッグ4 エピソード2』以来の11年ぶり。なおグラフィックが3Dといえどソニックたちのデザインは『ソニックアドベンチャー』以降のモダン仕様ではなく昔ながらのクラシックソニックである。

今度の冒険の舞台はノーススター諸島!地味にサウスアイランド(ソニック1)エストサイドアイランド(ソニック2)に連なるネーミングである。そのうちイーストの名を冠する島が舞台になるときも来るのだろうか。
登場するZONEは全部で11種類。1つのZONEあたりのACT数はまちまちで、1ACTで終わるところもあれば3ACTあるところもある。シンプルなACTの合計数は2Dソニックの中ではかなり多い部類である。大半のACTの終わりにはボスが登場、ACT1とACT2が地続き、ZONEの切り替え時にはデモシーンが再生されるなど作りとしてはソニック3&Kに近い。というかもっというとZONE名や後述するクリア後ストーリーの内容など本作はシリーズでも特にソニック3&Kのネタが多い

本作ならではの特徴としてはクリアに不要なACTがある点で、それらは『フルーツACT』『キャラACT』とでもいうべき表記。前者はステージ内のどこかで得られるフルーツを消費して突入できるボーナス的な内容のACT。後者は使用キャラが固定されたACTであり、それまで別のキャラを使用していたとしても突入時には該当キャラに切り替わる。ステージギミックやステージ内のイベントデモも当然そのキャラを前提とした作りになっている。

シリーズ恒例のカオスエメラルド集めは本作でもやっぱり登場。入手には例によって例のごとくスペシャルステージに挑戦する必要がある。スペシャルステージへの入り方はソニック3&Kなどと同様に『ゾーン内のどこかにあるスペシャルリングに触れる』というもの。

スペシャルステージではシステムが3Dになり、伸ばしたビームをワイヤーのように扱い逃げていくカオスエメラルドを追いかけていく。早い話がマニアのチェイススペシャルステージに『アドベンチャー』以降おなじみのホーミングアタック、そして『トゥーン』のエナービームのエッセンスを混ぜたものとなっている。制限時間内に無事エメラルドに触れられればクリア。ちなみに後述のエメラルドパワー(=アクション解禁)カオスエメラルドが必須ということもあり、本作のスペシャルステージは誰でもクリアできるような難易度に収まっている。一度クリアしたスペシャルステージは2回目以降メダルが入手可能。

ついでに『リング50枚以上でポイントマーカーを通過』というソニック2のスペステ条件を満たすとソニック1のスぺステ、はたまたソニック3のカジノボーナスの延長ともいえるボーナスステージに突入する。自動的に回転するステージの中、転がり続けるプレイヤーキャラをジャンプ&向き調整でステージから追い出されないように動かしていく。

過去作のモノとは違い多層式になっており、メダルを1枚入手するごとにひとつ奥の階層へと進む。ボーナスステージ内に出てくるギミックは過去作のモノが大半だが、中には『触れるとブロックの位置が切り替わる』『触れると新たなルートが出現する』といった新たなギミックもあるため、マンネリ感は微塵も感じられない。

メインステージ攻略中におけるアクション周りのシステムは『ソニックマニア』がベースで、そこに新アクションが一部追加されている形である。プレイアブルキャラはソニックテイルスナックルズエミー、そして本作からの新キャラであるトリップ5名。トリップのみは隠しキャラであるため、解禁にはとある条件を満たす必要がある。

ソニックのスペックは完全に『ソニックマニア』のものと同じ。当然ながらあちらで使用できたドロップダッシュは本作でも使用可能。慣れれば着地の度に加速が可能であるため、理論上は全キャラ中最もハイスピードにステージを走り抜けることができる。その反面、他キャラにあるような移動補助のアクションがソニックにはないので、主人公でありながら上級者向けの調整となっている。まぁぶっちゃけこのあたりはプレイアブルキャラが複数いる2Dソニックだといつものことだったりもするが。

テイルスとナックルズについてはこれまたいつも通りのスペックソニック3&K時代からずっと引き継がれる伝統のヘリテイル/滑空+壁登りを使用できるため、ステージ探索や初心者のプレイに非常に役に立つ。

クラシックデザインのエミーは本作に先駆けてソニックオリジンズ・プラス』にて2Dアクションにおける初プレイアブル化を果たしていたのだが、本作のエミーのスペックはオリジンズのモノに近いようで微妙に違うオリジンズにあったジャンプハンマージャンプと同時に自動発動するという仕組みになり、またハンマーラッシュも発動方法こそ空中でジャンプボタン長押しと相変わらずながら、本作ではダッシュ効果がなくなり純粋に『一定時間の地上移動中に攻撃判定が発生し続ける』だけとなった。
(微妙に加速しやすくはなっている)

これだけだとシンプルな弱体化のように思えるが、その一方で本作のエミーは新アクションとして2段ジャンプを会得している。ソニック3&Kのサンダーバリアばりに高所に上ることができるので、こう見えて移動スペックはかなり高め。ちなみにエミーの2段ジャンプは本作が初ではなく新ソニこと『SONIC THE HEDGEHOG(2006)』が初出である。

そして本作からの新キャラであるところのトリップは言ってしまえばエミーのコンパチともいうべき性能。エミー同様の2段ジャンプが使えるほか、壁や天井に張り付いて足場に沿った移動をいつでも行うことができる。早い話がソニックカラーズ』や『白の時空』に登場したピンク・スパイクのカラーパワーをいつでも任意で発動できるというワケである。

本作からの新アクションとして導入されたのが『エメラルドパワー』。コレはカオスエメラルドの力で発動するアクションでエメラルドの数だけ存在、スペシャルステージでエメラルドを取得するたびひとつずつ習得できる。習得済みのエメラルドパワーはRスティックでいつでも切替&発動可能。連続使用こそできないがポイントマーカーを通るたびに復活するので発動は気軽にやってしまっていい。エメラルドパワーの効果はひとつひとつがまるっきり異なり、水に溶け込み滝を登る/水中を高速移動(ウォーター)その場から豆の木を伸ばし高所へ移動する(アイビー)ゲーム内の時間経過が緩やかになる(スロー)など色々。

方向性としてはソニックカラーズ』のカラーパワーの進化版とでも言ったところで、『どこでも切替&使用可能なカラーパワー』といえばその便利っぷりはシリーズファンなら一瞬で理解できることだろう。カラーズ時代のカラーパワーと同じくエメラルドパワーが必須となるステージは一切存在せず、うまく使いこなせる気がしない/気に入らないというのであれば最後まで縛ってプレイすることもできるのが嬉しい。またエメラルドパワーが特に役立つような局面に差し掛かると該当のパワーが自動でセットされるため初心者でも安心。もちろんいつでもエメラルドパワーは使えるため、扱い方次第ではステージを蹂躙したり思わぬショートカットができたりもするかも?ちなみに本作においてはエメラルドコンプのご褒美であるスーパー化もエメラルドパワーの一種という扱いである。

本作でプレイ可能なモードはゲーム開始時点で『ストーリーモード』『バトルモード』の2つ。最終的に4つにまで増えるが後から追加される2つはストーリーモードの延長なのでまずはそこから語っていこう。

ストーリーモードは普段通りのソニックシリーズのようにステージを順番通りに攻略していくモード。使用キャラは完全に自由で、ゲームの随所ではオリジンズやマニアに近いアニメムービーが流れる。ステージ選択は『白の時空』と同じように専用マップが用意されている。ただしあちらのようにチャレンジACTが存在するわけでもなく、マップからステージを選択しようとするとどうにもエリア間移動で時間がかかるので、結局のところ普通にカーソル選択する方がいいのは難点

そしてストーリーモードを一度完全クリアすると、本作からの新キャラであるトリップを主人公に据えた『トリップ専用ストーリー』が解禁される。このモードではトリップを使用して再度最初のステージからストーリーを攻略していくことになる。

ソニック3&Kにおけるナックルズ編のオマージュなのか、エッグマンが最初から最後まで全く登場せず、本来エッグマンがいるべきポジションにはエッグマンロボが代役を務めている。ただし通常のストーリーモードとの時系列的な繋がりは不明なのでパラレルの可能性もある
(ソニック3&Kのナックルズ編は本編の後日談設定)

トリップ専用ストーリーはいわゆる2周目モード/ハードモード的な扱いになっており、ステージ数こそ元々のストーリーと同じだが、仕掛けがトリップのアクション前提になっているほか、露骨にエネミー配置がイジワルに変化。元々キャラACTであったステージもトリップ用に再調整。おかげさまでほぼ全ステージが新コースと言っても過言ではないほど別物に変わっている。とにかく難易度が高めなので、エメラルドパワーをフル活用して攻略に励むべし。

そしてトリップ専用ストーリーをクリアできればいよいよ終わり…ではなく、なんとモダンソニック初期の作品と同様にラストストーリーが登場。スーパーソニックを用いてのラスボスとの最終決戦が行われることになる。

つまりは本作のメインモードはストーリーモードトリップ専用ストーリーラストストーリーの3モードに渡って進行する。そもそものストーリーモードだけでもゾーン数は歴代の2Dソニックばりにあるため、シンプルに最後までクリアするだけでも相当なボリュームを感じられるのが嬉しい。

そして本作のもう一つの目玉がバトルモード。このモードは3つのラウンドに分かれて対戦を行うことになる。各ラウンドのルールは毎回異なり、純粋な『レース』生き残りを目指す『サバイバル』、ひたすらほかのライバルを倒し続ける『ファイティング』にステージ内に出現するスターを奪い合う『スターゲット』などからランダムで決定される。全ラウンドが終了した時点で最終スコアが最も高いプレイヤーが勝者となる。

かつて海外でのみリリースされていたPSPの『ソニックライバルズ』シリーズの各ルールを本作のシステム向けにチューンした感じとなっており、あちらにあった面白さは本作でも健在である。ステージ数もかなり豊富なので同じルールでもステージ次第で全く異なる攻略が求められるのも魅力のひとつ。

バトルモードで使用するプレイヤーキャラは本編のソニックたちではなく、『メタルファイター』と呼ばれるロボットたち。性能はソニックと同一でドロップダッシュが使用可能。とはいえ初期の段階では味気ないため、プレイヤーはメタルファイターのカスタマイズを行える。

メタルファイターはヘッド・ボディ・アーム・シューズ・アクセサリーの5つのパーツからなり、カスタマイズではこれらを任意のモノに設定可能。パーツの中にはエッグマンの最高傑作にしてソニック最大のライバル…我が愛しのメタルソニックソニックR』のみの出番でありながら絶大な人気を誇るメタルナックルズを模したものがあり、これらを組み合わせればメタルソニックやメタルナックルズ(にそっくりなメタルファイター)を操作できるようにもなる。ちなみにパーツは性能に全く関係なく、どんな組み合わせでもソニックと同じままである。

本作オリジナルのものだとメタルテイルスメタルエミー、そしてソニチ繋がりでメタルナイツなんてのも。ソニックR勢からすると『テイルスの敵バージョンはテイルスドールだろ!!』とツッコみたいだろうが、テイルスドールはなんと本人が作中のとある場面に登場するソニックR以来26年ぶりの再登場である!頑張って探してみるべし。初めて見かけた時は変な声出ましたね、ええ。

パーツの購入に使用するメダルはステージ攻略中に入手可能。ステージ内のどこかに配置されているだけでなく、ボーナスステージやリングを100枚集めたりすることでもGETできる。ただしパーツの代金はかなり高めなのでどれを買うかは慎重に決めるべし

ここからはステージのおはなし。『ソニジェネ』『フォース』『マニア』といった(局所的なものも含め)クラシックソニックのシステムが導入された近年の作品では、新規ステージや新ギミックこそあったにせよ少なくないステージにて『過去作ステージの再現』や『過去作テーマの新解釈』を行っている…よく言えばファンサービスだが悪い言い方をするとファンの過去作愛に頼る様子見、或いは弱腰なモノが多かった。…もっともソニジェネとマニアはゲーム自体のコンセプト的にそうなるのも当然だし、実際ソレが大ウケしてたし我もそこを気に入っていたのだが…。

本作『スーパースターズ』におけるステージ群ステージ内容からテーマに至るまでその全てが本作オリジナルなもの。一部は過去作のオマージュと思しき箇所もありはするが、それでもあくまでひとつのネタにとどめメインは本作からの要素が担うようになっているのが特徴。

本作は本当にステージ攻略が楽しいことが魅力として挙げられる。とにかく目を見張るべきはそのギミックの豊富さにあり、ひとつのACTにこれだけ詰め込めるのかと驚くほどに1ステージに様々なギミックが登場する。2Dソニックシリーズの中でもソニックアドバンス3』や『ソニック4』なんかはギミックが多数登場するアクション重視の作風であったが、本作はその方向性の究極系といってもいいかもしれない。半面、全体的なスピード感はやや抑えめになっており、通常時のスピンダッシュやドロップダッシュにおける加速量や最高速は歴代でもゆっくりに感じられる。まぁだからこそギミックを一つずつ攻略するアクション重視ならではの楽しみ方がしやすくもなっているのだが。

ゲーム内で登場するギミックは非常に幅広く、過去作に登場したものも多数。ただし過去作のギミック一辺倒というわけではなく本作オリジナルのモノもそれに負けないくらい多く、バッチリインパクトを残してくれている。過去作ギミックの再登場はそれこそ『ソニックマニア』でも行われていたが、本作のソレはクラシックだけでなくモダンの2Dソニックに登場したネタが大量に拾われているのが特徴。

ソニックカラーズ『ソニック4EP2』ソニック2(GG)』ソニックアドバンス…マニアの時ほどはっきりと『あの作品のネタだぜ!』とアピールされることはないものの、いずれも過去作で見覚えのあるものばかりであり、これまでの30年以上続くソニックシリーズを追いかけてきたプレイヤーならば、間違いなくずっとテンションが上がりっぱなしになるであろうネタのオンパレードである。

勿論本作からのギミックも粒ぞろい。歴代作品ではありそうでなかった『リング大量出現』というテーマのもとあちこちからリングが噴き出るゴールデンキャピタルに、暗闇を照らしながら進むスピードジャングル、適宜ソニックたちの姿と共にアクションが変化するサイバーステーション…中でもおそらく2Dソニックシリーズ史上最も大規模なギミックが出現する最終面なんかは凄まじい。最終面のネタはぜひ自分の目で確かめてほしい。

個人的にお気に入りのステージといえばやはりプレスファクトリー。ここはソニック3&Kのフライングバッテリーをオマージュしたようなステージなのだが、ACT1で本作独自の『一定周期で仕掛けが動く+強制ジャンプ』、ACT2では『定期的にスイッチを押さないとトラップが起動していき最終的にはミス』というソニック3&Kのサンドポリスをアレンジしたルールで進行する。これだけでもかなり印象的なのだが、ACT1ではカラーズの重力制御装置(アステロイドコースター)、ACT2にてマニアの回転球(タイタニックモナーク)ソニバンスの噴出床(シークレットベース)のギミックまでもが再登場する。浮遊足場のデザインはもちろんフライングバッテリーのソレであり、ACT1のボスも行動パターンの一部にそちらのボスのモノが組み込まれている…と実に素晴らしい代物に仕上がっている。
(ACT2ボスもSA2のエッグウォーカーっぽいデザインなのだが流石にコレはこじつけか)

そしてステージに負けず劣らずボスも個性的。本作ではほぼ全種類のACTにボスが出現することになり、そしてそいつらがどいつもコイツも多彩な行動パターン&攻略法を抱えている。オマケに形態変化や戦闘中のフェイズチェンジ持ちが大半を占めており、なんと最初のゾーンからして第二形態持ちである。ボス戦はそのステージにおける代表的な仕掛けを利用したモノが多く、あからさまに仕掛けを利用しろよと言わんばかりの演出が差し込まれるため、攻略方法に頭を抱える必要もないはず。攻撃パターンの一部にソニック2やソニック3&Kといった過去作ボスの技を組み込んでいる例もあるため、懐かしさを覚える人もいるだろう。

本作ではこういったバリエーションに溢れるステージ&ボスを攻略していくことになり、この時はもちろんエメラルドパワーが役に立つ。流石にボス戦となると選択肢はアバターやスローくらいであるが、ステージ攻略においてはエメラルドパワーを用いた探索が実に楽しい。見えない足場を表示させたり、空中ダッシュを連続して行い離れたところに移動、豆の木を伸ばして高台へと上がる…ありとあらゆる手段でステージの随所をめぐり、ステージを隅々まで探索する。これが本作のもう一つの楽しみ方である。公式もそういった遊び方を考慮してか、本作は全てのステージに『ゴールドエネミー』という1体しか存在しない特殊なエネミーが仕込まれており、ゴールドエネミーを撃破できればステージ選択画面にアイコンが付くというやりこみ要素にもなっている。
(ゴールドエネミー撃破後はノーミスで進める必要があるのでなかなか難しい)

ところで直近の3D最新作ソニックフロンティア』では唐突に斑鳩』を模したシューティングが挿入されたのは記憶に新しかろうが、なんと古典的名作STGのパロディステージは本作でもまさかの続投。2Dの横スク繋がりとでも言いたいのか、ゲーム中のとある場面にてファンタジーゾーン』まんまのシューティングに挑むこととなる。同じSEGAということもあって敵キャラや攻撃内容も含めちゃんと再現されている。ラストにはもちろん本家ファンタジーゾーンの1面ボスであるスタンパロン…だけでなく2面ボスであるボランダまで出現!BGMもファンタジーゾーンのボス戦のフレーズが混ざっており、やっぱり行動パターンもそのまんまなのであちらをプレイしていた人ならば爆笑すること間違いなし!

横スクSTGということで難しく感じるかもしれないが、原作と違い一撃死ではなく、また各種移植版の如くショット&ボムのオート連射ボタンも完備されているため、初心者でもまぁ突破は可能であろう。ただしソニックのシステム上で無理やりファンタジーゾーンをやっているため、ステージ道中(VS前線基地)でカメラが思ったように前方を映さず事故死する危険性が高い点だけは注意。斑鳩(縦STG)→ファンタジーゾーン(横STG)と来ているので次回作は何になるのじゃろか、この勢いだとSTGのスぺハリとかアフターバーナーとか来るんじゃなかろうか

ここからはキャラ方面における注目要素について語っていこう。なんと本作ではゲームギア時代を象徴するライバル『ファング・ザ・スナイパー『ファング・ザ・ハンター』に名を変えて超・久しぶりに復活!まさかまさかの再登場を遂げている。ゲーム媒体における彼本人の登場はアーケードの『ソニック・ザ・ファイターズ』以来実に27年ぶりとなる。

マニアプラスにて同じくソニックシリーズマイナーキャラ筆頭であったマイティー&レイが再登場を果たしたことで期待が高まっていたところ、その期待に応える形での堂々の復活と相成った。実をいうと初出作品であるソニック&テイルス2』におけるファングの扱いはスペシャルステージのエクストラボス』というものであり、ある程度ソニテイ2をやりこむようなプレイヤーでない限り全く印象に残らないか、はたまた『ラスボス前で出落ちしたヤツ』としか記憶されないなんとも残念なものであった。

本作では『もう出落ち野郎などとは呼ばせないぜ!』と言わんばかりにゲーム全編を通して彼がめっちゃ目立つ。ステージ間のイベントデモでは高確率で登場し、特定のステージ道中ではロストワールドの六鬼衆の如く妨害に現れる。そして最終盤の直接対決時には真っ当に強敵として描かれるため、とんでもなく印象に刻み付けられることだろう。もちろん愛車はソニックドリフト2』にも登場したマーベラスクイーン…とファンサービスも欠かしていない。本作は長年のファングファンであればあるほど楽しめる作品なのだ!

本作でファングを初めて知ったという人であれば同機種でもリリースされているソニックオリジンズ・プラス』『LOST JUDGEMENT : 裁かれざる記憶(に収録されたファイターズ)にて彼の登場作品を全てプレイできるので、そちらも触れてみるべしである。

そしてファングと並び本作でメインを張る敵キャラ(?)が『トリップ・ザ・サンゲイザー』である。彼女は本作からの新キャラであり、ゲーム開始時点だと『ノーススター諸島の案内のためファングが案内役として雇った』以上の情報はない謎の少女。ストーリーモードでは専らデモシーンでの出番となり、ファングとのやり取りが多め。一応は敵方のキャラではあるが、おっちょこちょいな側面もあり、鎧で素顔を隠したキャラでありながら表情…というか感情表現も豊かなのでかなり可愛らしい。

BGMの良さに定評のあるソニックシリーズであるが、そのクオリティは本作でも相変わらず。本作のサウンドサウンドディレクターである瀬上純氏を含めた19名が担当。ゲーム中に登場する全てのACTに専用曲が用意されているのはソニック3&K以降は毎回そうだが、今回はステージ数に合わせて曲数も多め。曲の方向性はシリーズ的に言うとソニック4に近い風味の中でメガドラらしい音使いが組み込まれたモノになっている。過去作アレンジはあまり多くはないもののフレーズ単位で用いられている例もあり、ソニテイ2におけるファング戦やソニック3&Kのハイドロシティなどのフレーズがここぞというタイミングで登場する。BGMの音源化は現状だとデジタルデラックス版(orデジタルアップグレードDLC)の特典であるミニサントラでしか行われていない。一応、隠しコマンドで突入できるデバッグモード(記事ラストに記載)サウンドテストは可能なのだが、やっぱり全曲を聞けるわけではないので、早いところ全曲収録のサントラがほしいところである。

…さてさて、本作にはどうしても看過できない問題点もいくらかある。ここからは本作をプレイしていくうえで『これはダメだろ!?』となった箇所について触れていこう。とはいえ本作の問題点は大きく分けて2つに纏められるので、いろいろな場所に問題が散りばめられていた同開発のバランに比べると説明しやすくはある。

まず1つは『ボス戦が悉く冗長』というところ。先に挙げたように本作のボス戦はバリエーションが非常に豊かで演出にも力が入っている。だからこそ生まれてしまった問題点なのだが、とにかく戦っていて時間がかかる。仕掛けを利用して戦う…と言えば聞こえがいいが、言い換えると『特定のタイミングでしか攻撃できない』『攻撃できない間は待つしかない』ということになる。

過去作にも似たようなボスは一定数いるが、それらはダメージ覚悟でごり押したりすることで速攻撃破するという攻略ができた。しかしながら本作のボス群はダメージ後の無敵時間が長いうえ、そもそも特定タイミング以外はダメージを与えられる判定が発生しないものが多く、どうプレイしても待ち時間が発生するボスが殆どなのだ。

勿論その中にはエメラルドパワーやキャラ固有アクションで通常よりも短時間で倒せるヤツもいるが、それでも全体の中ではごくわずか、オマケに良くて行動パターンを1つ2つ飛ばせる程度で速攻撃破などはほぼ無理である。

こういったこともあってか本作のボス戦はとにかく時間がかかる過去作のボス戦は早いものでは数秒、遅くても1分から2分程度で終わるものであったが、本作だと短くても2分、長期戦になると4分・5分となることもザラ。終盤ボスに至ってはステージの攻略時間と合わせて旧作のタイムリミットである9分59秒を超えることもしばしばである。そしてボス戦で負けた場合はボス戦の最初からやり直しとなる。1回のボス戦でかかる時間があまりにも長すぎるため、初回プレイの時はいざ知らず、2回目以降のプレイではとにかくダレる。演出がいかによかろうとも進みがあまりにも遅ければ不快感の方が生まれてきてしまうのだ。

そしてここからはもう一つの問題点について触れていくが…その際に本作のラスボスや真のラスボスについてがっつり語ってしまうため、今一度警告しておく。この先は本作における最もクリティカルなネタバレである。ネタバレ要素を避けたいのであればこのテキストをクリックして該当箇所を飛ばすべし。

もう1つの問題点こそが本題…ズバリ、『難易度調整がおかしい』のだ。どういうわけか本作は難易度曲線が歴代のソニックシリーズに比べると明らかに極端なものになっている。まず初回ストーリーモードの難易度はシリーズでも低めから始まり少しずつ上昇していくといったところでラスボス戦までは極めて適正といえる…がラスボス戦で明らかにそれまでのボスとは比較にならない強さのモノが出てくる。とはいえこの時点では(ラスボスだけやたら厳しいが)まだ歴代ソニックの中でも少々難しめといったところで常識的な範疇に収まっている。

そこからはじまる2周目…トリップ専用ストーリーは先に挙げたようにステージの構造がだいぶイジワルなものとなっているが、ぶっちゃけステージ自体の難易度はそこそこ…というかベースとなっている1周目ストーリー自体のバランスがいいのもあって、コレも『難しいけれどもまだなんとかなる』レベルである。問題はトリップ専用ストーリーのラスボスにあり、これがとんでもないレベルの難易度になってしまっている。ただ難しいだけならまだいい。しかしこのラスボスの調整はシリーズでも類を見ないレベルの雑さを誇る。

なんとこのラスボスは『即死技』を持っているのだ。2周目ラスボスの行動パターンは固定かつ攻撃の種類もそこまで多くはないのだが、その中に『食らうとリングに関係なく即死する』というモノが混じっている。ソニックを一度でもプレイしたことのある人ならわかる通り『リングを1枚でも持ってさえいれば死ぬことはない』というのはシリーズの基本原則であり、これがあるからこそ多少のシビアさも許されていたシステムである。このラスボスは歴代シリーズが守り続けてきた伝統をガン無視した結果、異常な難易度になってしまっているのだ。しかもラスボスは形態変化持ち、当然の如く第2形態でも即死技を使ってくる。

一応フォローしておくと第1形態・第2形態ともども即死技になっているモノは過去作からのネタであり、前者の即死技は旧作(ソニックCD/ソニック4)でも即死判定持ち、後者の即死技はある種ラスボスを象徴するワザではあるため原作愛を感じるチョイスではある。とはいえ前者は原作だと『負けが確定した時のペナルティ』としてのギミックでコレで攻撃してくるヤツは過去作にはいなかった。後者も後者で即死技とは思えないレベルで乱射してくるため理不尽を感じやすい。

このさながら『ラスボスだから難しくしなきゃ!』『そうだ!即死技で初見殺ししまくれば難しくなるよな!』と言わんばかりの極めて雑な調整こそが本作の最大の問題点である。1周目・2周目問わずラスボス以外の難易度はシリーズでも低め-中間レベルで段階的に上がっていくという至ってマトモな調整だったにも関わらず、ラスボスになった瞬間にそれまでの全てを放り投げたかの如く雑な難易度カーブに突入してしまう。このおかげでラスボス戦は『難しいんじゃなくてただただ理不尽』という感想にしかならない。そのうえで散々触れたように本作のボス戦はことごとく長期戦になるため、ボス戦の後半で即死させられた時のモチベの低下っぷりは尋常ではない

だが仮に1周目・2周目のラスボスで問題とされる箇所を常識的なものに修正したと仮定すると今度は簡単すぎる。だからこそこれらは恐ろしいことに調整ミスなどではなく意図的なものと考えられる。その証左かどうかはわからないが、1周目と2周目ともにラスボスの行動パターンは完全固定であり、幾度となく死んだ末に行動パターンをフル暗記すれば、あとはプレイヤースキル+適切なエメラルドパワーさえあれば時間はかかるが安定突破できるようになる…というか、なった。この後に触れる真のラスボスは更に悪い意味でその上を行く問題児なので、ソレを経験した後だとマシに感じてしまう。

先に挙げた問題点の集合体ともいえる存在なのがよりにもよって真のラスボスである。先ほども触れたように本作のラスボス戦ではシリーズお約束のスーパーソニックで挑むこととなる。大前提としてスーパーソニックはリングが時間とともに減っていき、時間切れになると変身が解けて敗北する。スーパーソニックの操作は『マニア』をベースにした形となっていて、全方向に移動可能なほかボタンを押すとダッシュが可能。だが本作のダッシュは使用の度にリングを5枚消費する。ちなみにコレはシリーズでも珍しい仕様なうえ指南も出ない。おかげでシリーズに慣れたプレイヤーほど序盤で何も知らずにダッシュを多用して死ぬ。我はこの時点でなんとなく嫌な予感がしたが、悲しいかな現実は更にその上を行った。

肝心のラスボスは3段階に分かれており、ダメージを与えるたびに行動パターンが切り替わる。行動パターン自体はほぼ固定されてはいるものの、こちらの攻撃は相手が特定の攻撃を行っている一瞬のスキしかなく、そうでない時はただただ避けるほかない。つまりは本編部分で散々問題視された冗長なボス戦がここでも行われる。しかしスーパーソニックは変身時間にタイムリミットがあるためその意味合いは更に深刻なものとなる

まず第1段階、敵の攻撃は『隕石』『ブラックホール』『結晶』の3つ。このうちプレイヤーが攻撃に転じられるのは隕石とブラックホールのみ。隕石は隕石の中に混じる青い隕石に向かって体当たりをすれば反撃可能、ブラックホールは発動時のみ視点が切り替わるのでうまい具合にブラックホールを回避して本体に体当たりをすればOK…なのだが、ブラックホールに吸われた場合即死する。そう、ここでも即死が出てくるのだ。しかもよりにもよって今までシリーズ通して『無敵』*で通ってきたスーパーソニックが即死させられるのだ。あまりにも前代未聞の事態すぎてシリーズファンには受け入れられないだろう。こんなスパソニ見たくなかった…。
(一応ブラックホール自体は吸われた瞬間にダッシュを使えば抜けられるが…)

*スーパーソニックの無敵
厳密には完全に無敵かといわれると異なり、
シリーズの中には一定数スパソニにダメージを与えてくる敵は存在する。
しかしながら『ソラリス(新ソニ)』『ダークガイア(ソニワド)』
といった規模感的にも納得のいく相手ばかりであり、
そのうえダメージもリング一定量のみであったため違和感もなかった。

ちなみにラスボスに対する反撃方法は一貫して『体当たり』であるが、これは別にダッシュを使用する必要はない。アドベンチャーのラスボス戦のように一定以上の速度があれば体当たりの判定になるので、これに気付くかどうかで難易度が大きく変わる。…とはいえ横スク時にはカメラの謎補正がかかってノンストップで突っ込んでも体当たり判定が外れることもあるため、本当に安定させるならダッシュを使った方がいいのだが…。

ある程度ダメージを与えると第2段階へ。第2段階の攻撃は『切り裂き』『ファイアブレス』『押し出し』『突進』の4つ。反撃可能なのは切り裂きとファイアブレス。切り裂きでは腕をワープさせてソニックを狙って切り裂いてくる。切り裂きを終えた後の一瞬だけ腕に命中判定があるため、そこに体当たりをすればダメージは入る。…まぁ例によってノーヒントなのだが。ファイアブレスはブラックホール同様の横スクロール、制限時間が短くなったとはいえこっちは即死判定がないので気持ち的にはラク

そして更に体力を削るといよいよラストの第3段階。ちなみにこの時点でスムーズに削れてたとしても7分-8分は経過している。鬼のように耐久が高いうえに特定タイミングしか殴れずこちらのターンでないときは待つしかないのだから当然である。もちろん途中で死んだら第1段階からやり直し

第3段階の行動は『隕石弾』→『レーザー』→『隕石弾』で固定。隕石弾を撃ち返すとレーザーに移行し、レーザーを避け切ると最後の隕石弾が来るのでそれを撃ち返せば勝利である。隕石弾にターゲットマーカーがついているのでそのマーカーがうまく隕石弾に重なった瞬間にダッシュボタンを押すことで撃ち返せる。これだけなら単なるQTEイベントと呼べるようなシンプルさだが、よりにもよって隕石弾を撃ち返す方法がノーヒント

そもそものハナシ、『ターゲットマーカーが合わさったタイミングで~』のギミック自体が本作だとここが初出であり、押すべきボタンなども特に提示されない。もちろんチュートリアルなんてものはない。一応モダン以降のシリーズファンであればソニックでターゲットマーカー?ホーミングアタック?ボタンを押せばいいのか?』と察せられるかもしれないが、本作からのプレイヤーがわかるハズがない。だいいち本作はホーミングアタックが導入される以前のシステムを踏襲したクラシックソニックの新作である。ソニジェネやソニック4ならいざ知らず、本作で急にホーミングアタックのことを思い出せと言われても無理に決まっている。

しかもモダンのホーミングアタックは『マーカーが表示されていればいつでも使えた』にも関わらず本作のそれは『マーカーが表示され、そのうえマーカーが重なった瞬間にボタンを押す』というモノである。早すぎても遅すぎても失敗判定になるので察しのいいシリーズファンでも初見突破はほぼ不可能に近い。ついでにギミックはここが初出なものの、ターゲットマーカー自体はここまで散々『敵の攻撃地点』として使われてきた代物である。ややこしいことこの上ない。

そして更にQTEは1回だけで終わらない。まず最初の隕石弾は6発飛んでくるため6回全てのQTEをパーフェクトで成功させる必要がある。その後レーザー行動を完全に避けることで最後の1発が飛んでくるが、このラスト1発は微妙にそれまでの6発とタイミングがズレている。とことん意地が悪い仕様である。そしてこの計7発の隕石弾+レーザーのいずれかに1度でも被弾してしまうとまた1発目の隕石弾からやり直し。…我がブログを昔から読んでいた方ならうっすらわかったかもしれないが、このQTE…ぶっちゃけ『バランワンダーワールド』のバランチャレンジそのまんまである。むしろあっちの悪いところを全部引き継ぎ、その一方で唯一褒められるべき点であった演出の良質さが失われているためよりタチが悪い。

もちろんこの間もリングは減っていく一方…どころか第3段階に入った時点で後述の仲間たちのサポート以外でリングが出現しなくなるため、第2段階まででリングを残せていなければ大体2回か3回ミスった時点で死亡がほぼ確定する。

…ここでミスになった場合、もちろん第1形態からやり直し。大事なことなのでもう一度言うがこの形態に辿り着くまでに大体7分は最速でもかかる。純粋な強さもさることながらとにかくダレるのがコイツの問題点なのだ。

そしてこのボスの問題点はまだコレだけではない。スーパーソニックの変身を保つためにリングを回収する必要があるのはシリーズ恒例だが、本作はこのリング回収の手段もまたヤバい。リングは『ランダムで降ってくるリングを回収する』『仲間たちが渡してくるリングを受け取る』の2種類の方法で増やせる…が前者の方法だけで得られるリングは僅か。というわけで仲間たちを頼る必要があるのだがこれがまた曲者で…。そもそも仲間たちが渡してくるリングを受け取るためには『仲間たち自身』に触れる必要がある。仲間たちはリングをばらまいてくるためわかりづらいがあくまで本命は仲間たち自身である…例によって例のごとくこれもノーヒントだけどね!!

そして仲間たちがどのタイミングで来るかは(おそらく)完全にランダム。つまり運悪く敵の攻撃タイミングに重なってしまった場合、リングをうまく回収できないこともしばしば。最悪のケースはブラックホール/ファイアブレスに被るパターンで、こうなるとスクロール切り替えの瞬間に仲間のリングが全て消滅する。珍しいケースだと形態変化時のデモシーンに重なることも。この場合もリングは全て無駄になる。

このラスボス戦は10分近い超長期戦であり、仲間たちのリングが無ければ生き残ることはできない。つまりこのラスボス戦では『どのタイミングで仲間が来てくれるか』に全てがかかっている。身も蓋もないことを言ってしまうと運ゲーなのだ。もちろんプレイヤースキルがあるのは大前提だが、それでも突破には1-2割くらいはどう頑張っても運が絡む。運悪く仲間たちが回収不能タイミングばかりに来て最後のQTE時にリングが足らなくなる…なんてのは本当にどうしようもない。

『高耐久』『即死判定』『超長期戦』『ノーヒント』『初見殺し』運ゲーというこのゲームに限らずアクションゲームで嫌われる要素をほぼほぼ全て濃縮したこのラスボス戦はあまり酷いことを言いたくはないがソニック史上最もアレなラスボスといってもいいかもしれない…。これでシナリオ的に盛り上がるのならまだいいのだが、(一応最低限の伏線はあるが)このラスボスはどう評価してもポッと出以上の何者でもないので反応に困る…。

 

というわけでこのゲームに対しての我が率直な評価を述べると『ゲーム開始時からラスボス直前まではパーフェクトの評価だがラスボス戦でちょっと低評価になり、その後の2周目開始からラスボスまでで持ち直すラスボス戦で初回以上に低評価になり、その後の真のラスボスでそれまでの評価が一気に消し飛ぶ』といったところである。なんというか…徹底的にラスボス周りの調整に問題のあるゲームであり非常にコメントに困る。この部分さえ今後のアプデなりなんなりで修正されてくれれば大々的に『超おススメだぜ!!』と言い切れるのが本当に惜しい。

モダン・クラシックを問わず歴代の2Dソニック全体から多数のネタを『わかる人にはわかる』レベルでしっかり拾い、そのうえで本作独自のギミックも盛りだくさん久々復活となったファング・新キャラのトリップも含めキャラ描写も良質。なによりステージ&ボスのアイデアや新鮮さは良い意味でこれまでのリバイバルを重視したソニックでは長らく味わえなかった感覚であり、その内容は紛れもなくシリーズ経験者が幾年に渡って待ち続けた『2Dソニックの完全新作』にほかならない。このあたりは流石ソニックの生みの親のひとりである大島氏のアーゼストであるといえるだろう。調整周りさえどうにかなってくれれば今後の2Dソニックに大きな期待を持てるのは間違いなかろう。

冗長すぎるボス戦、そして極端な難易度調整というあまりにも大きすぎる問題点は流石に看過できないが、それでも腕に覚えのあるシリーズ経験者はぜひとも手を出してみてほしいどこか懐かしくもある全く新しい2Dソニックが楽しめるハズ!!

…ただ経験者以外には難易度面で本当にオススメしづらいので、初心者はオリジンズ』→『マニア』と段階を踏んでからこの『ソニックスーパースターズ』に挑むのを推奨したいのである。

 

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-----オマケ(デバッグメニュー出現方法)------

ストーリーモードを1度クリアした状態メインメニューにて『□□△△□□□□』と入力する。するとすっげぇ簡素…というかUnity使用者ならたまに作る感じのデバッグメニューに入れる。
一応画面上に『デバッグメニュー』と書かれているのでそう呼ぶが、メガドラ時代のエディットモードほどのムチャクチャはできず、機能としては簡易的なステージセレクトとサウンドテスト止まりである。

ステージセレクトではキャラとACTを指定してプレイ可能。とはいえプレイできるのはストーリーモードのACT+真のラスボスのみでトリップ編のものは選択不可キャラACTに別キャラ(トリップ含め)で突撃するのもNG、クリア後はイベントデモもなく即座にデバッグメニューに戻されるため、事実上ストーリーモードの完全下位互換。利点を強いて挙げるならトリップ編クリア前に真のラスボスの姿を拝めるくらいか。
(あと正式名称か知らんが真のラスボスの名前がここで明かされている)

サウンドテストではステージBGMに限って選択可能。えらくシンプルかつステージ曲のみという縛りこそあるが、本作はそもそもサウンドテストの類のモノがデフォ機能で存在しないのでこれでも充分ありがたい。サントラが出るまでの間はコレで繋ぐこととする。…ただしよーく聞いてみるとステージ曲も全曲収録というワケではない。何故か最終面(Zone11のACT2)だけ別の曲(Zone10のACTテイルス)になっている。

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