いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

Fit Boxing feat.初音ミク -ミクといっしょにエクササイズ-

初音ミク、それは電子の歌姫。より正確にはクリプトンが開発した音声合成ソフトウェアである。初登場はかれこれ17年前(2007年)にまで遡るが、彼女の登場によって音楽業界…特にアマチュアのソレは一変したといっていい。

初音ミク』を筆頭に詳細な設定を持たない(固定させない)プレーンなキャラクター…ボーカロイドたちを用いて、数多のクリエイターが自作の楽曲を歌ってもらい動画サイトにアップロード、それによりニコニコ動画を発端としてインターネット中に、やがてインターネットの外にまで初音ミクたちボーカロイドは一大ムーブメントを引き起こした。…否、『引き起こした』と過去形なのは誤りか。正確には2024年現在でも『引き起こし続けている』。

2010年代のサブカル文化にある程度触れていた人間であれば、ガッツリとまではいかなくてもどこかしらで『初音ミク』或いは『ボカロ』との縁があったことであろう。我のホームグラウンドであるゲーム業界においてもSEGAが手がける初音ミク -Project DIVA-』シリーズを筆頭に、数々の音ゲーにボカロ楽曲が収録されたほか、キャラクターや衣装のゲスト出演だって少なくなかった。我がブログ的にはセブンスドラゴン2020(PSP/イメージエポック)めがみめぐり(3DS/カプコン)あたりがそうか。というわけで今宵は初音ミク』の関連作品の一種を語っていくとしようか。

今回語るは『Fit Boxing feat.初音ミク -ミクといっしょにエクササイズ-』!!そのタイトルが示す通り、近年一気に勢いをつけた『Fit Boxing (フィットボクシング)』シリーズと、もはやいちキャラどころかひとつの文化にまで成り上がった初音ミク』のコラボ作品である。プラットフォームはNintendoSwitch、まぁシステムがシステムなので現行のCS機でこのゲームが成立するのはSwitch以外にはほぼないだろう。

まず前提として『Fit Boxing』シリーズとは何かということから触れていこうと思う。『Fit Boxing』はイマジニアが販売しているゲーム作品で、その名の通りゲームジャンルは『フィットネス』。NintendoSwitch特有のコントローラJoy-Con』を手にボクササイズを行っていく内容である。

この説明だけだと任天堂『リングフィットアドベンチャー』の後追いのようにも感じられる発売はこっちの方が先。…というか本シリーズのルーツは2世代前…Wiiで同社の子会社であるロケットカンパニーがリリースしたシェイプボクシングにまで遡る。体感型コントローラは今も昔もこういうフィットネスゲームとの相性がいいのだ。

…で、この『Fit Boxing』シリーズだが、ショージキ1作目の発売当初はそこまでパッとしない扱いだった。だが口コミ効果で少しずつユーザーを広げた結果…パブリッシャーであるイマジニアでも有数の大ヒットを遂げた作品である。ヒットまでの流れは『プラットフォームであるNintendoSwitchが好調』『コロナ禍による巣ごもり需要の増加』『リングフィットアドベンチャーの大ヒット&長期的な品薄』など様々な偶然が重なったうえでの一種の奇跡のようなものなのでそう簡単にマネできるものではない。

まぁ身も蓋もないことを言うと『リングフィットアドベンチャーの需要に供給が追い付いていないタイミングに"リングフィットアドベンチャーの代用品"として目をつけられた』ということである。自分でもあんまりな言い分だと思うが実際本作がヒットし始めたころはマジで『リングフィットの代わり』という扱いが殆どだったから仕方ない。もっともそこから口コミで評判が広まり、一過性のブームに終わらなかったのはそれだけ『Fit Boxing』自体の出来が良かったことの証左ではある。

最初のヒットが偶然であったとはいえ、そこからのシリーズ展開については流石の大御所イマジニアといったところ。1作目の勢いが衰えないうちにすかさず2作目『Fit Boxing 2 -リズム&エクササイズ-』をリリースし、継続的なアプデ&DLC配信。さらには人気漫画北斗の拳』とのコラボ作『Fit Boxing 北斗の拳 〜お前はもう痩せている〜』、そして本記事の主役である初音ミク』とのコラボ『Fit Boxing feat. 初音ミク -ミクといっしょにエクササイズ-』まで世に送り出しており、ユーザーの心をガッツリ掴み『Fit Boxingシリーズ自体に対する固定ファン層』を生み出すまでに至っている

『NintendoSwitch初出のシリーズ作なのにSwitchというプラットフォームのまま4作品も展開している』ことも興味深い。ひと昔ふた昔前ならいざ知らず、開発期間/開発費用が増えていく一方の昨今のゲーム業界でこの販売スパンは凄まじいものを感じる。更に本シリーズはゲームという媒体を飛び出してまさかまさかのショートアニメ…『キミとフィットボクシング Fit Boxing Animation』のTV放映も遂げたほか、昨年末には系列作であるらしい『HOP! STEP! DANCE!』なんてのもリリース。『Fit Boxing』シリーズがイマジニアのゲーム事業において稀に見るほどの大フィーバーを起こしているのは傍から見ていても明らかなのは言うまでもない。

イマジニア自体は(一時期ゲーム事業をロケカンに任せ業界から離れてた時代はあれど)ゲーム業界の最初期から活動しているパブリッシャーであり、『ポピュラス』や『シムシティ』、子会社のものなら『メダロット』などで名を馳せた会社だが、あくまで『ゲーマー層からの知名度/評価が高い会社』止まりだったため、今ほど一般層/ライト層にリーチをかけた時代は本当に初…といってもいいかもしれない。

さて、本作の開発を担当しているのはヘキサドライブRez HD』からはじまり『大神 絶景版』『ZOE HD』『FF零式 HD』など数々のリマスターを手掛けているメーカーである。リマスター以外の新作でいえば『スーパーボンバーマンR』シリーズや『エクストルーパーズ』、『VOIDCRISIS』なんかの開発を担当。自前のブログ(ヘキサブログ)にて様々な開発ノウハウを公開している一面もあり、ゲームプログラマーを志す人間或いは現役のゲームプログラマーならばお世話になった人も多いだろう。
(我も本業で頭を悩ませググった先にヘキサブログに辿り着いたことが何度かあります)

ちょこっと調べてみた感じによると、どうも『FitBoxing』の本家シリーズと『北斗の拳』、そしてこの『初音ミク』はそれぞれ開発元が異なるらしい。具体的には本家シリーズはピクロスでおなじみジュピター北斗の拳』がナウプロダクション、そして初音ミク』がヘキサドライブ開発のようだ。あの驚異的な販売スパンの秘密はおそらくここにある。ジュピターが開発した1・2作目をベースにそれぞれの開発元がアレンジを担当…という感じなのだろう。ナウプロダクションもヘキサドライブも共にゲームの移植/リマスターで高い評価を得ているメーカーなので納得である。
(ナウプロダクションは我がブログ的には『パックマンミュージアムプラス』に携わっている)

というわけで長くなったがここからいよいよ本題、本作『Fit Boxing feat.初音ミク -ミクといっしょにエクササイズ-』について紹介していくとしよう。ちなみに元々が『Fit Boxing』シリーズのスピンオフであるがゆえに、そちらと共通する部分は多々あるだろうが、どっちにせよ我がブログでは触れたことのないタイトルなので気にしないでいただきたい。

本作は両手にJoy-Conを握るスタイルでプレイしていく。それもあって携帯モードでのプレイは不可、原則TVモードで遊ぶのがメインとなるだろう。テーブルモードでも遊べないことはないとは思うが、ぶっちゃけかなり無茶な姿勢でプレイすることになるのでお勧めはしない。当然Switch Liteでのプレイにも向かない
(Liteでプレイする場合はテーブルモード状態かつ別途Joy-Conが必要になる)

本作のプレイに必須…というわけではないのだが、Joy-Conを握りやすくするための『FitBoxingシリーズ専用Joy-Conアタッチメント』を毎度おなじみ周辺機器メーカーのHORIが販売している。本当になんでも出してるなHORI…。付けっぱなしでSwitch本体に取り付けることができるほか、(多少ゴツくはあるが)そのままで他ゲームも遊べて結構便利なので、本作をプレイする人はセットで購入してみてもいいかもしれない。任天堂公式ライセンス品なので品質も保証されている。ちなみにそれとは別に他メーカーが非ライセンス品のメリケンサック型グリップを販売しているが、そっちは使っていないので本記事では特に触れない。一応お値段はこっちの方が安めではある。

ゲームのハナシに戻ろう。本作では画面の左右に二つのレーンが引かれており、楽曲のリズムに合わせてパネルがレーンの下から上へと移動していく。このパネルが特定のポイントに差し掛かったタイミングでパネルに合わせた操作を行うことでパネルを破壊可能…というのが基本的なシステムである。

パネル破壊に要求される操作はいずれもボクシングの動きとなっていて、基本操作は『ジャブ/ストレート』『フック』『アッパー』のみだが、ある程度ゲームが進んでくるとダッキング『ウィービング』『ステップ』『ブロック』などの防御系や『ボディ〇〇』『ステップインジャブ』といった基本の派生形も出てくるようになる。

判定はベストなタイミングであれば『JUST』、成功ではあるがベストじゃないなら『GOOD』、完全にミスった場合は『MISS』となる。とはいえダッキングやブロックなど防御系アクションは成功さえすれば必ずJUST扱いになるほか、身も蓋もないことを言ってしまうと腕が動いていれば通ってしまうほどユルユルな判定なので、そこまで難しく考える必要はない。

なお本作で要求される操作の中にはプレイヤー自身が大きく動く必要のある『ウィービング』『ステップ』『スウェイバック』なども存在するが、スペースや騒音の問題でそういった操作ができない人向けに、特定の操作を何もせずともJUST扱いにしてくれるアクション補助機能デイリー(後述)のコース選択時に特定アクションを含むものを除外してくれる機能も搭載。ちなみに我はステップとスウェイバックのみ補助を使用しています。スペース狭すぎてスウェイバックした時に後頭部おもいっきり打ち付けましてね…。

さてさて、タイトルからもわかる通り本作の最大の特徴はピアプロキャラクターズ…つまるところ初音ミクなどクリプトンのボカロキャラクターたちと一緒にエクササイズができることにある。登場するのは初音ミク巡音ルカ鏡音リン鏡音レンの4名で、彼ら彼女らは作中で『パートナー』と呼ばれる。パートナーたちはプレイ中ずっと画面に3Dモデルで登場し、プレイヤーがやるべき動作のお手本を見せてくれる。また(台詞パターンはそこまで多くないが)ゲーム起動時やフィットネス開始時にこちらに向けた会話を行ってくれたり、ある程度フィットネスが進行するごとに『動けてるよ』『ナイスパンチ』などと励ましてくれる

デフォルトで選択できるのはミクさんだけであるが、他の3人も解禁条件はさほど厳しくはないためちょこっとプレイすれば好きなキャラとフィットネスができるハズ。強いて言うならばリンちゃんだけは条件を知らないと解禁が遅れがちではあるか。ミクさんたちの3Dモデルは非常にクオリティが高く可愛らしいため、キャラクター目当てでプレイする人であれば問題なくオススメができる。

衣装はデフォルトだと本作オリジナルのトレーニングウェア。コレもまたナイスなデザインであるが条件を満たすと見慣れた『クリプトン公式絵の衣装』『トレーニングウェアの色違い』に変更することもできる。ミクさんの場合はここに更に『本作のパケ絵衣装』も加わる。他の衣装はゲーム内のショップにてFitポイントを消費することで解禁可能。ただしトレーニングウェアの色違いはそこそこ頑張ってプレイしないと解禁が遠いため、一種のご褒美要素となっている。ちなみに『クリプトン公式絵の衣装』に限りストレッチ&レクチャーでは使用できず、その時のみ強制的にトレーニングウェアになるという仕様がある。

一緒にエクササイズを行うパートナーはミクさんたちだが、本作にはパートナーとは別に『インストラクター』も登場する。インストラクターは本家『Fit Boxing』のキャラであるリン(CV:早見沙織)エヴァン(CV:中村悠一)おかげでこのゲームで『リン』というとどっちを差すかわかりづらかったり。本作のリンとエヴァンは立ち絵とセリフのみでの出演。立ち絵は本作オリジナルのもので、本作に合わせてアニメ調な絵柄になっている。
(本家の3Dモデルはどっちかというとリアル寄り)

インストラクターはエクササイズ中のリズムの指南のほか、操作が増える時に『ここ、〇〇に変えます』、連続して同じ操作を行う場合に『あと〇回!』といったように声で操作のガイドを行ってくれる。口調は基本的に優しめだが、エクササイズの難易度を『ヘビー』にすると厳しめに発破をかけてくるようになったりもする。本家シリーズでいえば『おに』仕様

インストラクターとパートナーはいつでも自由に変更可能。毎日毎日とっかえひっかえするもよし、一人のパートナー/インストラクターさんに集中して担当してもらうもよし。変更によるデメリットは一切存在しないため、お好きなキャラを選ぶといい。

本作の主なゲームモードは『エクササイズ』『ミクササイズ』の2つに分けられる。まず『エクササイズ』だが、こちらでは本家『Fit Boxing』と同じように、リズムに合わせてパンチを打ち込むエクササイズが行える。エクササイズにはコースがあり、選択したコースに応じてエクササイズの内容が変化する。

選べるコースは『ストレートコンビ』『フックコンビ』のようなシンプルなものから、『初級/中級/上級コンビネーション』といった複合コース『二の腕シェイプ集中コンビ』など特定部位に注力したものまで全30コースが存在。デフォルトで解禁されているものは僅かだが、エクササイズを行っていくことで少しずつアンロックされていく。

コースと一緒に難易度も選択可能。難易度はライト・ミドル・ヘビーの3段階で、高難易度ほどコースの時間が長くなる。一度のコースにかかる時間は最短3分、最長15分といったところ。つまるところこの難易度とは『運動負荷』のことと考えてよい。

エクササイズでは主にインストラクターの指示に従いながらリズムよくパンチを打ち込んでいく。必ずコースの折り返しで足の組み換えが行われるため、左右両方の部位をバランスよく鍛えることができるのが特徴。リズムは常に一定かつコースが進むにつれて段階的に入力が追加されていくつくりなのでとにかく遊びやすい。その名の通り『エクササイズ』を目的として本作をプレイするのならばこれ以上ないくらいピッタリなモードである。

なおエクササイズ中に流せるBGMも自由に選択可能。エクササイズ用楽曲はいずれも本家『Fit Boxing』シリーズのもので35種類。作曲を担当したスタッフはノイジークロークの方々らしい。どの曲を選んでもコースの内容そのものは変化しないが、再生スピードを『速い』に設定するとその分リズムが上昇、エクササイズの総時間もちょこっと短くなる。ちなみにエクササイズ楽曲の解禁はゲーム内ショップから可能。

そして本作最大の目玉要素ともいえるのが『ミクササイズ』!こちらではエクササイズのシステムをベースにしつつ、ボカロ楽曲での音ゲーを楽しむことができる。元々のエクササイズもリズムに乗りながらパンチを打ち込んでいくものなので、『ボカロ楽曲が流れる以外は同じなのでは?』と思うかもしれないが、プレイしてみるとだいぶ感覚が異なる

先述したようにエクササイズはリズムが一定かつ左右の運動量も同じ、要求される入力も同じ操作の繰り返しであったのだが、ミクササイズではそれらの縛りが存在しない

当然ながら殆どのボカロ楽曲が本作のために用意されたモノではないためリズムは曲によって不定、曲の途中でリズムが変わるものもある。足の組み換え自体は2番の直前やラスサビ前に行われるものの左右で同じ運動量かというとそれも違う。要求される入力も曲の流れに応じて適宜変化していく

操作方法も『ジャブ』『フック』『アッパー』から『ダッキング』『ウィービング』『ブロック』に至るまでエクササイズで登場した操作はほぼ全て登場するほか、ミクササイズ限定で『ラッシュ』というパネルが出現することも。

ラッシュとは早い話が『連打』、ボタン入力の連打とはワケが違いラッシュパネルの間ずっとパンチを打ち込み続けることになるので、ぶっちゃけ本作にある全てのパネルの中で最も肉体負荷がキツイ。一方で『ステップ』とソレに関連する操作はミクササイズでは一切登場しない

早い話があくまで『フィットネス』を主体に置いたエクササイズに対し、ミクササイズは『音ゲー』として開き直った作りなワケである。ミクササイズにも難易度選択はあるが、プレイ時間は変わらず代わりに流れてくるパネルの種類が複雑化する形式。エクササイズの難易度は『フィットネス的な荷重』ミクササイズの難易度は音ゲー的な難しさ』と考えると理解しやすい。

それもあってかゲーム的な意味合いでの難易度はミクササイズの方がやや高めである。エクササイズ以上に操作が複雑化しているのもさることながら、なによりもボカロ楽曲はBPM(要はテンポ)が速い曲が多いため、基本的にパネルの流れる速度がとんでもなくハイペース。ぶっちゃけ『パネルを見てから入力しても間に合わない』曲も多い。そういった曲でオールJUST(フルコンボ)を目指すなら、『曲そのもの事前に覚えておき、画面真下にパネルが見えたら、あとは自らのリズム感を信じてパンチを打ち込む』といったプレイスタイルが主体になるだろう。

例えば上の動画は本作の書き下ろし楽曲兼メインテーマ曲『Let's ミクササイズ!!』の公式MV。非常に可愛らしくイイ曲なのだが…この曲に合わせて回避を交えつつパンチを打ち込むと考えてみてほしい。まぁそりゃ死ぬよね。BPM239らしいっすよ。

一通りプレイしてみた感じだとテンポ激速かつ入力シビアな『Let's ミクササイズ!!』これでもかというラッシュ連打で腕が死ぬ初音ミクの消失アクションほぼ全部乗せの『劣等上等』がたぶん本作の最難関楽曲群かな。特に初音ミクの消失』はデイリーで出てきた時の絶望感がヤバい。ラッシュ連打は難易度に関係なく的確に腕を殺しに来る

そのため初回プレイ時にはズタボロな結果に終わることもザラであるが、パネル配置…つまり譜面そのものは適正であり、何度かプレイを重ねて曲やパネルを覚えてからはそれまでがウソのように綺麗に打ち込めるようにもなる。この瞬間こそが本作で最も爽快感があり楽しくなるタイミングである。中でも書き下ろし楽曲群はミクササイズを前提としているおかげかどれも打ち込めた時の気持ちよさが別格。個人的に『メディカドール』がイチオシ。

とはいえこの説明で『難易度が高いのならやめとこうかな?』と思った人もいるかもしれない。だが安心してほしい。『メランコリック』『Rise up』あたりの曲はスローテンポでパンチを打ち込みやすく難易度選択で『ライト』を選べば入力内容もシンプルなものばかりになる。また音ゲーによくある『ノルマ未達/ミス連打による強制ゲームオーバー』みたいなものもないので気軽にプレイすればいい。

忘れがちだが本作は音ゲーである以上に運動のゲームである。いかにスコアが悲惨であろうとも、動けているのであればオールオッケー。スコアやフルコンボは無理して狙う必要はない。『フルコンボじゃなかった!もう一回やり直しだ!!』なんかのように無茶を続けていたらいずれ逆に身体を壊すのがオチである。本作で何よりも重要なのは曲を最後までプレイし、ソレを毎日継続することなのだ。

ミクササイズ用に収録されたボカロ楽曲は下記の通り。並び順は本作のデフォルトのもので表記も作中のソレに準じている。いずれもフルサイズでの収録なのでどれか1曲をプレイするだけでも結構な運動になる。我はそこまでボカロに傾倒していたわけではないものの、それでも『サビのフレーズは知っている』『タイトルは知っている』というレベルの有名曲が新旧合わせて30曲も収録されているのは実に嬉しい。

※ミク楽曲

みくみくにしてあげる♪【してやんよ】​ / ika
メルト / ryo
初音ミクの消失 / cosMo@暴走P
ぽっぴっぽー / ラマーズP
ロミオとシンデレラ / doriko
Tell Your World / livetune
ブリキノダンス / 日向電工
エイリアンエイリアン / ナユタン星人
テオ / Omoi
命に嫌われている。 / カンザキイオリ
少女レイ / みきとP
ビターチョコデコレーション / syudou
ヴァンパイア / DECO*27
神っぽいな / ピノキオピー
Rise up / *Luna
メディカドール / STEAKA
Let's ミクササイズ!! / cosMo@暴走P

※ルカ楽曲

ダブルラリアット / アゴアニキ
Just Be Friends / Dixie Flatline
OVER LIT / 書店太郎

※リン楽曲

メランコリック / Junky feat.鏡音リン
ロストワンの号哭 / Neru
ラブソングに祝杯を! / TOKOTOKO(西沢さんP)

※レン楽曲

Fire◎Flower / halyosy
テレキャスタービーボーイ(long ver.) / すりぃ
恋のチャンピオンロード / Nem

※ミク&ルカ楽曲

ワールズエンド・ダンスホール / wowaka
愛Dee / Cotori・Mitchie M

※リン&レン楽曲

8HIT / ワンダフル☆オポチュニティ!
劣等上等 / Giga

上のリストにて太字のものは本作のために書き下ろされた新曲で、これらもまた素晴らしい曲揃いである。ところでAmazon/GEO/Joshin/ビックカメラ/ヨドバシで本作を購入した場合、書き下ろしイラストを使用したカード型音楽メディア『SONOCA』が店舗特典として付属、本作の書き下ろし楽曲6つをダウンロードできる

なおあくまでミクササイズはボカロ曲をバックにエクササイズするものなので、実際に画面上に映っているパートナーたちがその場で歌っているわけではない。ゆえに『ミクさんをパートナーにしている時でないとミクさんの楽曲を流せない』なんてことはないためご安心あれ。好きな楽曲を選び、自分なりのセットリストを作り出してプレイするのもいいだろう。

エクササイズのコース或いはミクササイズの楽曲選択時にはそのコース/楽曲で使用されるアクションが事前に一覧で表示される初めての操作が混ざる曲をプレイする場合はその場で『レクチャー』に飛ばせてくれるあたりが実に親切。もちろんレクチャー機能はいつでも見返すことが可能。

レクチャー機能ではインストラクター&パートナーがゲーム内にある全てのアクションを一通り説明してくれる。いずれのレクチャーでもパートナーが実際にいい例と悪い例の動きを見せてくれるほか、『どのタイミングで判定するか』までわかりやすく教えてくれる。ざっくりした説明を終えたあとはプレイヤー自身がレクチャー通りの操作を練習するパートも入るためおさらいもしやすい。

1日1回のプレイに丁度いい『デイリー』といったものも用意されている。こちらでは事前にユーザーが設定した『目的』『効果』『時間』を元に、自動でエクササイズのコースを作成してくれる。デイリーのコースにはエクササイズ・ミクササイズの両方が含まれるほか、楽曲のお気に入り登録を行っていた場合はそちらが優先的に選ばれるようになっている。

当然だがデイリーで選ばれるのは既に解禁済みの楽曲/エクササイズのみなので、先んじてそれらをなるべく解禁しておいた方が日々のフィットネスがよりバリエーション豊かになる。よって最初はとにかく色々と解禁する方をオススメしたいところ。

内容はなんであれ運動をすると1日1回パートナーとグータッチ…もとい『スタンプ』を押すことができる。スタンプを毎日押していくことで『〇日継続中!』と表示されるようになり、いい感じに継続プレイのモチベーションに繋がる要素である。とはいえスタンプが途切れたとしてもこれといったデメリットはないため、無理して毎日続けなくともよい。あくまで無理のない範囲での継続を目標とするべし

同じく毎日のプレイの指標にピッタリな『デイリーミッション』もある。日付が変わるタイミングにランダムで3つ提示され、1つ達成するごとにゲーム内のショップで使用できる『Fitポイント』が獲得できる。ミッションの内容は『エクササイズ/ミクササイズをX回プレイ』『ラッシュでX回打ち込む』のように簡単なものばかりなので、『デイリー』+何かしら適当なフリーでのエクササイズ/ミクササイズで3つとも達成できるハズ。

ちなみにシステム的に日付が切り替わるタイミングはデフォルトだと0時となっているが、設定を変更することで日付変更タイミングを3時にすることもできる。ほかでもない我がそうなのだが、仕事終わりの帰宅時刻が遅く0時までのプレイが間に合わないという人にとってはありがたい設定である。

ゲーム的な意味でやりこみたい人向けの要素で『アチーブメント』が存在する。コレは様々な条件を満たすごとに達成していく一種の『実績』のようなものであり、達成の度にFitポイントを獲得可能。また一部の衣装やキャラの解禁条件になっているものもある。

アチーブメントは簡単なものから難しいものまで大量に存在し、100%達成を目指そうとするとトンデモナイやりこみが必要になるハズ。とはいえアチーブメントの内容はその大半が累積系(X回プレイ/X回パンチを打ち込む等)のものなので、プレイスキル自体が要求されるものはほとんどない。無理してアチーブメントを埋めようとしなくても、ひたすらプレイし続ければ気が付くといつの間にやら達成できているハズ。何度も語っているが大切なのは『継続』なのだ。

本作はフィットネスゲームとしては理想的な作りゆえに不満点らしい不満点は感じられないのだが、購入後に『なんか違う…』と思われないようにひとつ注意をさせていただくと『そこまでボカロ要素は多くない』ということには触れておこう。

先に触れたように本作のミクさんたちは『一緒にボクササイズをする先輩パートナー』であり、動きのお手本を見せてくれたり時折褒めてくれたりはするものの、台詞のバリエーションはさほど多いわけではない。更にエクササイズ中に常に喋るのはインストラクターであるため、ぶっちゃけゲーム中に声を聴く機会が多いのはインストラクターの2人の方である。リンちゃん(ボカロ)よりリンさん(インストラクター)の方が目立つゲーム。そのため『ボカロのゲーム作品』としてみると少々物足りなく感じてしまうところもあるかもしれない。

もっとも画面に常に映り続けるのはミクさんたちパートナーであるし、30曲ものボカロ楽曲がフル収録かつキャラの3Dモデルも良質何よりインストラクターが目立つのは『エクササイズ』のみで『ミクササイズ』には殆ど出てこない(=こっちはボカロが主役)ことから、ボカロがまるっきり空気というわけではない。この辺は『ボカロ要素』の比重をどこに置くかによって評価が分かれるところだろう。

さてさて、わざわざ我がブログにアクセスするほど本作のことを気にかけている諸君らが最も気になっているであろうポイントはやはり『で、コレ効果あるの?』という点だろう。とりあえず本記事の執筆時点で我は1ヶ月(30日)とちょっと継続しているのだが、1ヶ月前と比較してだいたい3kgほどの減量に成功している。あくまで体感ではあるが筋肉も少し付いた…ような気がする
(10日継続時点から体重計を使いだしたので正確には20日継続での結果か)

あとコレは副次的な効果なのだが、『毎日の体重を入力する』というアチーブメント達成のため毎日体重計に乗る習慣が付き、自身の体重や日々の食生活に気を使うようになったのも嬉しい変化。目に見えて数字(体重)の増減があると効果も実感しやすいし、色々気合いも入りやすいのである。

そして本作の最大の強みといえばやはりその手軽さにある。比較対象に挙げられがちなリングフィットアドベンチャー(RFA)はプレイする前の事前準備として『リングコン取り付け→レッグバンド取り付け』というステップが必要なのに対し、本作ではJoy-Conを手に取るだけでもう準備完了である。この手軽さがあるからこそ、毎日のプレイが億劫になりづらく継続しやすいのだ。まぁそのぶん判定回りが結構アバウトなのは否めないが…。

一通り本作のことを語り終えたのでそろそろ記事の締め括り…とその前に、DLCについても触れておく。本家『Fit Boxing』シリーズが好評である理由のひとつにDLCによる要素追加』がある。毎日のプレイを繰り返すことでどうしてもいつかは来てしまう『飽き』をDLCによる楽曲追加を行うことで緩和しているのだ。

そして、ソレはスピンオフである本作でも変わらない。本作は既に8回に渡るDLCの配信が予定されている。その内容にはミクササイズ/エクササイズ楽曲や衣装の追加だけでなく、ミクササイズをカスタムできるらしい『ミクササイズエディター』なるものもあり、今後の発表が待ち遠しいものだらけである。

というわけで、まだまだこれから先も本作に楽しませてもらえそう…という未来への希望を語ったところで今回の記事を締めくくらせていただくのである!

 

諸君らも、Let's ミクササイズ!
Let's カラダ ウゴカソ ウゴカシテコ!
なのである!

 

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