いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

スペースハリアーII ( + メガドライブミニ2)

本日、10月29日がなんの日であるか、我がブログにたどり着くようなゲーマー諸君ならばモチロンご存知であろう(開幕主語デカ案件)

10月29日、それは時代が求めた16bit『メガドライブ』の発売日である。そしてメガドラの発売日ということは…?そう、スペースハリアーII』の発売日でもあるのだ!

というわけで今回語るタイトルはスペースハリアーII』!実は本作については今から約4年前に一度語っているのだが、昔の記事は最初期のものだけあって内容が薄いしスペハリII&メガドラの発売34周年を記念して今一度ガッツリ語っていくのである!!

なお、先にネタバレしておくと、本記事ではオリジナルのメガドラ版スペハリIIのほか、先日発売されたばかりの復刻ミニハードメガドライブミニ2』に収録されたスペハリII&スペハリのことについても語っていくというかそっちが本番。メガドラミニ2での進化を知りたいだけであれば前半部分をすっ飛ばして頂いて構わない

それでは改めて語っていこう。スペースハリアーII』、通称『スペハリII(スペハリ2)』擬似的な3D演出を用いた奥スクロールSTGSEGA史はおろかゲーム史においても非常に重要なポジションにある体感型アーケードゲーム界のレジェンド『スペースハリアー』のナンバリング続編であり、同シリーズの3作目にあたる。ちなみに『II』なのに3作目なのは前世代機のセガ・マークIII(マスターシステム)にてスペースハリアー3D』*という作品が一足先にリリースされていたため。

*スペースハリアー3D
1988年2月発売、スペハリシリーズ2作目。
初代よりも前の時系列でハリアーとユーライアの出会いが描かれる。
タイトル通り3D立体視がウリで周辺機器の『3D-グラス』対応。
単品での移植こそ行われていないが、PS23DSのコレクションに収録。
ちなみに3DSには『3D スペースハリアー』というタイトルもあるが、
こちらは初代の移植なのでスペハリ3Dとは別物である。

プラットフォームは天下の16bit機メガドライブ。スペハリ3Dから引き続き家庭用オリジナルタイトルとしての登場となった。最初に述べた通り発売年月日は1988年10月29日で、コレはメガドライブの発売日…即ち本作はかのメガドライブの魅力を世に知らしめた尖兵(ロンチタイトル)なのだ!

パッケージでは主人公であるハリアーが黒髪のおじさんという前作までとは似ても似つかぬ姿に変貌していたりもするが、ゲーム画面では相変わらず金髪の青年のままなので気にしなくていい。パッケージとゲーム画面のデザイン的な不一致は初期のゲーム業界ではあるあるである…がシリーズものである本作で起こった理由は永遠の謎。なお衣装だけはちゃんとパッケ絵基準の真っ赤なものとなっている。

ちなみにメガドラのロンチタイトルは本作を含め2本。もう一方のタイトルはアーケードからのアレンジ移植となる『スーパーサンダーブレードである。片やアケ移植、片やアケの続編というあたり、当時のSEGAのアーケードにおける勢いというものが伺えるラインナップである。
ところでロンチ2本は一見少なく感じるかもしれないが、実は対抗馬たる任天堂スーパーファミコン(2年後に発売)とてロンチは2本(F-ZEROとマリオ)なのでスタートダッシュ的には似たりよったりだったり。メガドラの場合どっちかというとロンチよりその後に続くソフト不足のほうが致命的だった。

基本システムは続編なだけあって初代と全く同じ。自動で奥に進む主人公の超能力戦士ハリアーを操作し、敵弾や障害物を避けつつ、襲い来る敵キャラたちを超能力ショットで蹴散らしていく。初代で印象的だった『高速面』も健在

本作では『最初のステージを任意で選択できる』というシステムを採用。最終的には全部クリアする必要がある(詳細は後述)とはいえ、このシステムによりどれだけSTGが苦手なプレイヤーでも(最終面以外は)体験できるというのは中々良心的だろう。

メインステージ13面+ボーナス2面計15面構成、ただしボーナス面はステージとしてカウントされないため、ゲーム的には全13面。前述の通りスタートは1-12面から任意で選択でき、1面クリアで2面、2面クリアで3面…と順々に進んでいく2面以降から開始した場合は12面クリアで1面に飛ぶ

1-12面を全て突破(順不同)することで最終面である13面に突入、クリアすれば晴れてゲームクリアでエンディング。(スペハリだといつものことだが)周回の概念はない。また4つのステージを突破するたびにボーナス面がスタート。本作はなぜかユーライア(初代の相棒)が不在のため、無敵状態になったハリアーで敵を殲滅することになる。

歴代の作品で(大抵裏技扱いだが)用意されていたコンティニューの概念は本作には存在しないため、ゲームオーバーになったらはじめからやり直し…と書くと難易度が高いようにも思えるが、本作はかなりスコアが稼ぎやすく、スコアエクステンドにより残機が簡単に増えていくため、通常クリアの難易度としてはそれなり。ただし難易度面ではやや問題点も無きにしもあらず(後述)

ところでシリーズものの続編とは得てして過去作と比較される運命にあるが、この『スペハリII』の場合はちょっと待っていただきたい。いや確かに『スペハリII』の比較対象は『スペハリ』であるべきなのだが、この場合比較すべきは『AC版のスペースハリアー』ではない。本作の比較対象として真に適切なのは前世代機でリリースされた『SMS版のスペースハリアー』、および『スペースハリアー3D』である

実際のところ、AC版の初代と本作を比較した場合、どうにも首をかしげたくなる仕様が非常に多い。例えばフレームレートが低くハリアーの動きがカクカクしていたり、自弾がホーミングしないため思った位置に攻撃しづらかったりスクロールがボス戦になると停止してしまう点がソレだ。だがこれらの大半はいずれもAC基板とCS機という埋められようもないハードスペックの差に起因するものであり、ある種どうしようもないポイントだったとも言える。

事実、条件が近いSMS版の初代や3Dと比較すると、本作が順当にパワーアップしていることが感じ取れる。先程挙げた問題点についてもフレームレートとホーミングに関してはSMS版からそのまま引き継がれている箇所である。
(ボスでのスクロールが止まる部分だけはマジで謎だが)

そのほか、本作の12面ボスの『クトゥーグア』はSMS版の追加ラスボス『HAYA-OH』の従兄弟であるという設定があったりする、楽曲名やエピローグにSMS版で出てきた『ハリアー・サーガ』というワードが使用されていることからも、スタッフも本作をAC版ではなくSMS版の続編として開発していたであろう箇所が度々見られる。よって、本作はAC版と比較するのではなく、SMS版からの進化を楽しみつつプレイするのがベストなのだ。
(まぁ後述のように良くも悪くも異質な作風なので『進化』というより『変化』のほうが近いが)

本作最大の特徴といえばやはり初代からガラリと大きく変わった世界観初代の世界観はメカニカルとファンタジーが融合したものとなっていたが、本作はそこからメカニカル要素を薄め、ファンタジー要素を強めたイメージになっている。

ゲーム全編に渡る色彩は言わずもがな、敵キャラのデザインそのものもだいぶ変わっており、『死者の亡霊が憑依した鎧』という設定なアーマーSTGというよりはRPGあたりで出てきそうな悪魔ギドラーといったファンタジー然としたものがメイン…と(過去作も万人受けするかはちょい微妙だったが)歴代作品でも特に人を選ぶビジュアルになってしまっているのは間違いない。

とりわけボスキャラはその傾向が強く、竜の胴体に女性の頭がくっついた『メドゥーサ』をはじめ、無機質なエイリアンに突如顔が浮かび上がる『パラノイアのように不気味さを重視したものが多い。しかもこの両者はよりにもよって前述のアーマーと共に本作のパッケージを飾っている。実際今作のデザインセンスを象徴する3体なのでパッケージ選出も間違いではないとは思うのだが…。

一応、初代に登場した敵キャラもプチスケイラ(スケイラ)のような亜種『初代の生き残り』という設定でバーバリアンシュラが登場しているものの、いずれも(バーバリアンは初代でもそうだったが)ボスから雑魚に格下げされているうえ、ゲーム1周で1体しか出てこなかったり、特定ステージのみの出番だったりするため本作初出キャラに比べると影が薄い。ちなみにスペハリで最も有名かつ人気キャラであろう超高性能モビルスーツロボット『ドム』改名&デザイン変更の上で続投しているのでそこは安心。改名後は『ネオドム』であり、変更後のデザインは目の数が2つに減ったのが特徴…より元ネタに近付いてません?

本作と初代でなぜここまで雰囲気がまるで違うのか?その答えは本作の舞台にある。本作の舞台は初代の『ドラゴンランド』とはまた違う別の国、その名もファンタジーランド舞台そのものが違うと考えれば諸々の雰囲気が異なる点についても幾分か受け入れやすかろう。時系列的にも初代から10年(3Dからは15年)もの年月が経過している。

ぶっちゃけたハナシ、雰囲気が違うという意味では初代→3Dも大概ではあったのだが、いかんせんスペハリ3Dはやや知名度が低く、一転して本作はメガドラのロンチタイトルだったこともあり、なおさら雰囲気の違いを取り沙汰されたところもなくはない
(ちなみにスペハリ3Dは本作とは逆にメカニカル要素が強め)

時系列的にはスペハリ最後の物語ということもあり、本作のシナリオはどこかもの悲しげ…まぁ本作のシナリオが語られるのは説明書のあらすじとラスボス撃破後のエピローグだけなので、クリアして初めて『そういうことだったの!?』となる人のほうが多そう。ちなみに本作のシナリオは不思議なことに同じくSEGA販売の横STGファンタジーゾーンII オパオパの涙』*と共通する要素が多い

*ファンタジーゾーンII オパオパの涙
1987年発売のセガ・マークIII/マスターシステム用ソフト。
SEGAが誇る大人気横スクSTGファンタジーゾーン』の続編。
後にファミコンやアーケードに移植されたが、移植版の評判はイマイチ。
その後PS2にて別物レベルの大アレンジがなされたリメイクも登場。
3DSやSwitchに移植されているのはPS2版基準のもの。
AC作品のナンバリング続編であるCSオリジナルタイトル、という点もそうだが、
時系列が初代の10年後、ラストバトルのシチュエーション等、『スペハリII』と共通する要素が多い。
余談だがスペハリとファンタジーゾーンは両作品間で共通するネーミングが存在したり、
ファンタジーゾーン側の一部の移植では『ドラゴンランド』が登場したりと切っても切れない関係にある。
『スペースファンタジーゾーン』?なんのことかな?

BGMもスペハリにしてはかなり異質なので賛否が分かれやすい。(メガドラ音源の問題もあるだろうが)ややダウナー気味な曲が多め。作中で一番耳にすることにあるであろうステージ道中の『HARRIER SAGA』からして、初代の『MAIN THEME』3Dの新曲『BRIGHT RAYS』に比べると暗めかつローテンポで印象に残りづらい。

もちろん(先に挙げた『HARRIER SAGA』も含め)単曲として聴くにはいいものが多くBGM全体のクオリティが下がっているわけではない『NAME ENTRY』なんかは軽快なリズムが心地よいし、『NUCLEAR SHOCK(トリミュラー戦)』『HANDCUFF(ウィザード戦)』といったボス曲は本作のボスにピッタリあった妖しくもノリのいい曲となっている。全ボスに専用曲が与えられている点に関しては素直に初代や3Dから進化しているポイントだといえるだろう。

本作のBGMはゲーム全編に渡る不気味さ暗めなサウンド良くも悪くも完璧にマッチしてしまったせいで『スペハリらしくない』と言われるようになってしまった…というのが真相である。まぁ『スペハリ』の名前を、それもナンバリングを関する続編でありながら、スペハリの魅力の一つである初代のBGMがアレンジどころかフレーズすら作中で一切流れなかったせい、というのも理由としてはあり得る。
(3Dは初代のアレンジ+新曲というラインナップであった)

本作では今まで隠しモード扱いだったサウンドテストが表に出てきている(タイトル画面から1ボタンで遷移可能)ため、そこでじっくり聴いてみるといい。本作のBGMには本作ならではの味があるのだ。…まぁ我のお気に入りの『NAME ENTRY』はサウンドテストから抜けているので、じっくり聴けるようになるにはPS2版を待つハメになったのだが…。

クリアまでの一連の難易度はシリーズでも簡単な部類。ただし難易度曲線がやや歪であり、序盤なのに異様に厳しい、あるいはその逆パターンであるステージに出くわすこともしばしば

これは開始面の選択システムとの兼ね合いもあるので仕方ないと言えばそうなのだが、本作には近いシステムを採用した作品でありがちな『後にプレイする面ほど難易度が上がる』といった仕様が存在せずこのようなことになっている

特にスペハリは自機のパワーアップ等が存在しない極めてシンプルなSTGなので、序盤の残機が少ないタイミングで一部の高難易度面に突入するとみるみるうちにゲームオーバーになってしまう

アドリブ避けだけで十分やっていける本シリーズにしては珍しい『初見殺し』があるのも特徴で、本作でボスに昇格した『ビンズビーン挙動が初見では予測不能『ラブフェイス』あたりは行動パターンを事前に把握していないとほぼ確実に1ミス、逆にパターンを覚えているならば死ぬ要素は一切ない極端な調整になっている。

…というわけでスペハリIIを本格的に攻略する場合、プレイヤーはある程度の知識を身に着けていく必要がある。ステージ選択でのプレイを繰り返し各面ごとの特徴をしっかり把握した上で、何面の道中が、どこのボスが難所なのかどのタイミングでボーナスに入るのがベストなのか、それら全てを加味し『どこからスタートすべきか』を考える…この段階まで来て初めてプレイヤーはスペハリIIの世界に足を踏み入れたといっていいだろう。

もちろんクリアを目指さずライトに楽しむだけならゲームオーバーを恐れず各面を一つ一つ自由にプレイしていくスタイルも十分にアリ。本作は初代や3Dとはまた異なるアプローチで間口を広げているのだ。

初代や3Dの単なる焼き直しにならないよう、ボス戦を中心に様々なギミックを導入しているのも評価すべきポイント。複数に分裂し影があるヤツのみに攻撃が通る『ウィザード』や、戦闘中に形態変化+形態ごとに弱点部位が変化するマンティコアパラノイアと、ボス戦のバリエーションの幅広さに関してはシリーズでもトップクラス

ところで、本作(とスペハリ3D)は偉大な初代の影に埋もれがちであり、長年適正な評価が行われづらい作品であった。事実、初代の移植は腕が10本必要になるくらい大量に存在するにも拘わらず、本作やスペハリ3Dの移植は片手で事足りるほど少ない

しかし、スペハリIIに限っては現行機種向けのメガドラコレクションSEGA Genesis Classics』ニンテンドースイッチオンラインの追加パックにて収録されたりと、近年になって扱いがかなり改善されてきている。そしてここ数年のメガドラ復刻ブームの火付け役といっていいメガドライブミニ』にも本作は当然収録長年の冬の期間を耐えようやく報われた…が、マイナーな本作がやれるであろう展開はほぼやりつくしたことで、スペハリIIを愛するファン(サンプル1名…というか)一種の燃え尽き状態となっていた。

はっきり言ってマイナーな本作にとって、コレ以上の展開は流石に望みようがなくなっていたのだ。あとは再び忘れ去られ、いつ来るかも知れぬ次なる復刻ブームを待つのみ…そんなことを考えていた矢先、まさかまさかの本作に今まででは考えられなかったとびきりのスポットライトが当たった。2022年10月にリリースされたSEGA最新ゲームハード復刻ゲームハードメガドライブミニ2』である。

メガドライブミニ2』、それは移植の鬼エムツーが開発した復刻ハードの一つ。廉価版メガドライブメガドライブ2』を模した外観に61本(!)もの名作ゲームが収録された素晴らしい逸品である。前回のメガドライブミニ』ではあえなく収録漏れしたものを中心に、更にやたら光学ドライブが逝きやすいメガCDの名作までも収録している。

前回の『メガドライブミニ』でもそうだったのだが、メガドラミニには『ボーナスタイトル』という概念がある。コレはメガドラ現役時代には存在しなかったブツを新たに開発or移植し本機に収録するという、冷静に考えても何言ってるんだかサッパリわからない代物である。

メガドライブミニ』におけるボーナスタイトルはダライアステトリスの2本、これだけでも発表時は多くのマニアの度肝を抜き、結果的にコレは『メガドライブミニ2』のハードルを異常なレベルで跳ね上げることに繋がったのだが…(少なくともサプライズ的な意味では)メガドラミニ2はこの天より高いハードルを軽々と超えてみせた

メガドラミニ2におけるボーナスタイトルはなんと10本ここまで来るともはや狂気というほかあるまい。ところでなぜスペハリIIを語る記事でこのハナシを重点的に触れているのか?もう諸君らもその答えに気付いたことであろう。
(最初も最初にネタバレしてるとか言わないで)

そう、ボーナスタイトル10本のうちの1本スペースハリアーII』である!メガドラのロンチとしてリリースされた『スペースハリアーII』ではない、この令和の世に新たなる進化を遂げた真なる姿のスペハリIIが顕現したのであーる!!

さて、ここからが今回のゲーム語りの後半戦にして本番メガドライブミニ2』にて収録されている進化した『スペースハリアーII』について語っていくのである!!ちなみに基本的なシステムそのものはオリジナル版と共通しているのでそこは割愛。まずはじめに事前知識としてSEGA MarkV(セガ・マークV)』の説明は…する必要ないよね?

 

…は?『MarkV』を知らないだって?おいおいなんの冗談だい?
ほら、マスター…じゃなかったセガ・マークIV』の後継機だよ。
拡大縮小機能搭載で他ハードなんか目じゃないハイスペ機!
『マークV』でSEGAがゲーム業界の天下獲ったの忘れたの?
ゲーム業界の常識だよ?

 

…とまぁ冗談はさておきSEGA MarkV』我々が生きるこの世界には存在できなかったSEGAマニアの願望の中にだけ存在する架空のセガハードである。…待て待て我は正気だブラウザバックの前に最後まで話を聞いてくれ。

セガマークV』というネーミングの時点で一部のSEGAマニアは既にピンときているだろうが、コレはメガドライブ開発コードネームである。ちなみにセガマークIVは我が愛しのマスターシステムマークIIIは…説明不要

ならばなぜさっきの説明でメガドライブ』という名を使わなかったのか。その理由は至極単純。メガドライブには拡大縮小機能が存在せず、そしてセガマークVには拡大縮小機能が搭載されている…この違いがあるからだ。本来の意味合いではマークVもメガドラも同一の存在を指すワードであるが、今回に限ってのみは別物として理解する必要がある

今回のハナシで出てきたセガマークV』、それは『拡大縮小機能が搭載した"if"の世界のメガドライブである。そうだ、『メガドライブミニ2』には通常のメガドライブではない、よりハイスペックなif世界のメガドライブ…『セガマークV』でのみ動作するゲームが収録されているのだ!!
(言ってる意味がわからない?大丈夫、我もわからない)

ロマンもへったくりもない実用性重視の解説をすると、メガドラ向け移植に際しどうしても足枷になっていた『拡大縮小機能非搭載』という弱点を解消するため、メガドラのスペックにそのまま拡大縮小機能を載っけたもの』を新たに開発したというのが真相である。つまるところコイツもエムツーの狂気の産物である。

そしてセガマークV』でしか動作できない作品とは、言わずもがな拡大縮小機能をフル活用させざるを得ないあのタイトルスペースハリアーII』である!!

長い脱線からようやく本題に戻るが、メガドライブミニ2』収録の『スペースハリアーII』は通常のメガドラでは不可能だった『拡大縮小』を全力で活用した新規移植となっている。復刻ハードで(当時そのままのハードでは)実機動作不可なのはどうなんだと突っ込まれそうだが、ボーナスタイトルなのでなんでもアリってことで。ちなみに本作の動作に用いているプロセッサをメガドラ本体に組み込めば一応実機でも動くとのこと。

メガドラ版では拡大縮小処理を擬似的に行うことから、ゲーム全体のフレームレートの低下にも繋がってしまっていたが、今回のバージョンではソレを行う必要すらもなくなったため、フレームレートが超大幅向上AC版と遜色ないレベルで軽快にハリアーを操作できるようになった。

また細かなポイントも修正されており、例えばメガドラ版に存在した『画面内の弾数が3発まで』という制限が撤廃、このおかげでメガドラ版ではほぼ死にオプションだった連射設定が超強化。もちろん人力連射でも十分やっていける。

ゲームオーバーからのコンティニュー不可な点こそそのままだが、オプションの設定項目から初期残機を弄れるようになっており、最大値の9に設定すればどの面からスタートしても安定して最終面まで進みやすくなっている

ロンチ直後でかつメガドラ音源のせいかやや暗めな印象を持たれていたBGMは全曲手が加えられておりスペハリIIっぽさを残しつつも『スペハリらしい』BGMに落ち着いている。アレンジでだいぶ雰囲気が変わった曲もあり、『THE STAIRS TO Z(マンティコア戦)』あたりからはこれまでとはひと味違う魅力を感じさせる。あとちゃっかりサウンドモードで全曲が聴けるように修正された。

結局のところスペック的には拡大縮小アリのメガドラでしかないので仕方ないのはそうなのだが、ゲーム内の一部局面でチラつきが発生してしまうことがあるのが唯一の難点。オブジェクトが少ないステージなどでは問題ないのだが、12面のように一画面に多数のオブジェクトが出る箇所では目に見えてチラつきが発生する。まぁそのあたりを妥協したことでコレほどのスピード感が得られたということでもあるので、文句はあまり言わない。

チラつきという問題はあるにせよ、メガドラ版における最大の問題点であった『フレームレートの低さ』は完全に解決し、『雰囲気の暗さ』もだいぶ改善されたマークV版スペハリIIは、まさしく34年の時を経てついに誕生した完全なる『スペースハリアーII』だと言っていい。

で、件の『ファンタジーゾーンⅡ』は後の時代に『1作目と同じ性能で出ていたら』というリメイクが登場しているのだが、似たようなリメイクがこの『スぺハリⅡ』に出てくれないかとか密かに思っていたりする。

…我は4年前にメガドラ版を語った際、上記のような願望で記事を締めくくっていたのだが、まさかこうして本当に進化した『スペースハリアーII』をプレイできる日が来るとは思ってもみなかったのである…。願えば叶うものなのであるな…。

正直コレだけでも十分感無量なハナシではあるが、メガドラミニ2…エムツーのサービス精神は我々の想像を更に超えていたメガドラミニ2のメニュー画面ではスペースハリアーII』を選択した時のみ特殊な選択肢が表示される一方を選択すると先程挙げたマークV版スペハリIIが、そしてもう一方を選択すると…。

これだよ。
信じられないかもしれないが現実だメガドライブミニ2にはマークV版スペースハリアーIIのほかに、マークV版『スペースハリアー』が収録されているのだ。これまで幾度となく繰り返されてきたスペハリ移植にまた新たな1ページが刻み込まれた瞬間である。

オリジナル版のスペハリIIマークV版のスペハリIIに引き続き、ここからはマークV版の初代スペハリについて語っていこう。…タイトル詐欺?メニュー画面的にはどっちもスペハリII選んでるんだからセーフでしょ!(屁理屈)

さて、このマークV版『スペースハリアーだが、まず最初にハッキリ言っておく。さすがのセガマークVといえどコレは完全に無茶移植(褒め言葉)の類である。

そもそもスペースハリアー』の(ほぼ)完全移植が初めて成し遂げられたCS機はズバリスーパー32X』*である。この時点でもうお気づきだろう。メガドラに拡大縮小機能を付けたところで32Xのスペックには手も足も出ない

*スーパー32X
1994年発売のセガハード…というか周辺機器。
一般的なメガドラタワーの一番上にあるアレ。
メガドライブと合体させることでスーパー32X用ソフトが動くようになる。
公式からは『16bit機のメガドライブを32bit機にする周辺機器(要約)』という触れ込み。
まぁ確かにメガドラのスペックを凌駕するゲームが動くようになるのは事実だが、
だからって同時期のセガサターンやライバルのPS1やニンテンドウ64に敵うハズもない。
その正体は日本SEGAと北米SEGAの連携不足&対立&衝突によって生まれた負の遺産
日本における専用ソフトは18本、個人的には『カオティクス』専用機。

というわけでこのマークV版のスペハリがどういうことになっているかというと、まぁアレだ。尋常じゃないレベルでチラつきまくるスペハリIIでは特定ステージでのみチラつきが気になる感じだったが、こちらでは全ステージでチラつきが発生。特に終盤面で敵が大量に出現するようになると、あまりのチラつきっぷりでマトモに画面が視認できなくなるケースがある

だが、チラつきという一点にさえ目を瞑れば極めて高いフレームレートほぼAC版と同一といえるグラフィックなど、(拡大縮小があるとはいえ)スーパー32Xなしのメガドライブでこれほどまでの代物が動かせるのかと驚かされるばかりの移植である。

言わずもがな遊びやすさにおいては昨今数ある移植版に劣る。とはいえ、こういった性能機への移植で重視すべきは『何を切り捨て、何を再現するか』という点にある。我はこのチラつきまみれのスペースハリアーが愛おしくて堪らない。やはりスペハリの華は低スペック機への移植にある

また、パッと見の外観こそAC版に似せている移植ではあるが、その内容には『SMS版の正当進化』ともいえるアレンジがなされているのも見逃せない。ラストに待ち受けるのはあの『HAYA-OH』*であるし、ゲームクリア時はAC版には存在せずSMS版にて追加されたエピローグが流れるという嬉しいサプライズも。最初にメガドラ版のスペハリIIを語った際、『スペハリIIはACではなくSMS版の続編である』と書いたが、ソレを裏付けるような一件である。

*HAYA-OH(ハヤオー)
SMS版のスペースハリアーで初登場したボス。
AC版におけるラスボスの『バルダ』を撃破すると出現する真のラスボス。
炎に包まれた二匹の竜で交差しながら攻撃と共に高速移動を繰り返す。
弾速が極めて早く見てから回避はまず不可能、一件無理ゲーに思えるボスだが、
スペハリの基本である『回りながら攻撃』を心がければ案外戦える。
カッコよさを追求したビジュアルや激しい専用BGMも相まって一際高い人気を誇る。
SMS版以外ではFC版、GG版、X68k版、PS2の3D版、3DS版、Switch版などに登場。
基本的にアレンジ移植のみでの登場であり、AC再現を謳った移植(SS版や32X版)には出て来ない。

また、HAYA-OH戦の前後に意味深な柱のエリアが追加されていたり、エンディング後に『NEXT SPACE HARRIER SAGA IS 6236 GET READY!』というテキストが表示されるなど、ゲーム性や難易度に影響を及ぼさない範囲で粋な演出が追加されているのもファンにとっては嬉しいところ。

何はともあれ、このメガドライブミニ2』の発売によってこれまで冷遇され気味だったスペースハリアーII』シューティングゲームのレジェンドスペースハリアーと共に今一度表舞台に立てたのは間違いない。これまでスペハリをプレイしてきた人も、この記事で初めてその名を知った人も、ぜひともこの2作をメガドラミニ2でプレイしてみてほしい。そしてスペハリ&スペハリIIの魅力をもっといろいろな人に知ってほしいのである!!あとスペハリ3Dにももっと光を…(底なしの要望)

正直スペハリとスペハリIIだけでメガドラミニ2のお値段(約1万円)の価値はあると言い切れるが、それらを抜いても新規移植のファンタジーゾーンだとかソニックの現プロデューサーの研修タイトル『でびとぴー』とか、セガサターンからの逆移植『ふたりでぷよぷよSUN』セガマニアによるセガマニアのための新作セガクイズ『パーティークイズSEGA Q』…と、本機でしか遊べないボーナスタイトルはいろいろな意味でヤバい作品のオンパレード

ボーナスタイトル以外にも今なお語り継がれる名作の数々が収録されており、気になるタイトルがあってもなくてもぜひぜひ『メガドライブミニ2』に手を出してみるべしである。きっと新しい世界が拓けると思うのである!
(ちなみにイチオシは『シャイニングフォースCD』である。コレが発表された時点で即予約しましたぜ)

 

『スペースハリアーII』のAmazonページ

『メガドライブミニ2』のAmazonページ

 

 

---過去のスペハリ記事紹介---