いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

スペースハリアー(スーパー32X)

1985年、STG史に残る大傑作スペースハリアーがゲームセンターにて稼働を開始した。その衝撃はあまりにも大きく、『この名作を家庭でも楽しめないものか…』と数々のメーカーがSEGAからライセンスを取得し本作を移植した。マスターシステムPCエンジンファミコンゲームギアSEGA内外を問わず数多の家庭用ゲーム機に移植されたスペハリは各々独自の魅力を発揮した。これによって新たなファンを獲得していくことにも成功した…。だがひとつ問題があった。この時点ではまだどの家庭用ゲーム機でも『スペースハリアーの完全移植』を成し遂げられていなかったのだ。

とはいえこれらはどれも8bitのゲーム機だったことを忘れてはならない。この時代では携帯機のゲームギアはおろか据置機のマスターシステムPCエンジンファミコンですら当時の最高峰であるゲームセンターのド派手なゲームを移植するにはスペックが圧倒的に足らなかったのである。ところで1988年、新世代の到来を告げるあのハードがやってきた。そう、SEGAが誇る16bitハードメガドライブである。その姿が示す通りコイツのスペックは過去のソレとは比較にならない。なんてったって16bitの高性能なのだから!しかもローンチタイトルにはスペハリの続編であるスペースハリアーII』!これはもう『スペハリII』でそのスペックを見せつけてくれるに違いない!!

…で、結論から言おう。『スペハリII』で伝わったのは『ゲーセンのスペハリを楽しむには16bitでも性能不足』という悲しい現実であった。世界観やキャラデザについては関係ないのでひとまず置いておくとして、肝心のゲーム部分はアーケードのスぺハリと比較すると天と地ほどの差があった。低いフレームレート、ボス戦で止まるスクロール、お世辞にも早いとはいえないゲームスピード…スぺハリ最大の魅力の一つともいえるスピード感が、明らかにアーケードのソレから大きく劣ってしまっていたのだ。

一応フォローしておくと『スぺハリII』は『スぺハリ』とは異なる楽しみ方ができ、同じく家庭用機でリリースされたSMS版の『スぺハリ』『スぺハリ3D』と比較するならば順当に進化している…ということはハッキリ伝えておく。あくまで『アーケード版のスぺハリの続編』と考えると肩透かしになってしまうというだけなのだ。この辺りは過去記事でがっつり語っているのでそちらを参照していただきたい。

その後も16bitの性能を持つハードが他社からも発売されるようになったが、それらにスペースハリアーが移植されることはなかった。もっともコレについてはライバルにスぺハリ等自社IPの移植許可出してた8bit時代がおかしいだけだが。だがしかし仮にそれらのハードにスぺハリ移植が出たとしても、これまで同様にアーケード版とは大きくかけ離れたアレンジ移植となっていたことは想像に難くない。スぺハリの完全移植は16bit程度の性能では不可能なのだから。

…そしてスぺハリの稼働から実に9年が経過した1994年、ついに転機が訪れる。メガドライブの性能を32bit機相当に引き上げるアップグレードブースタースーパー32Xが登場したのだ!16bitなどに希望を持っていた時代はもう古い。これからは32bitの時代である。『32bitの高性能であればスぺハリでも或いは…?』、その疑問の答えはすぐに出されることとなる。スーパー32Xと同時にリリースされたローンチタイトル3本…その中にはあのスペースハリアーの姿があった!!
(実はこの時点でセガサターンも発売済みなのですが、それはひとまずおいておきます)

今宵語る作品はスーパー32X』版スペースハリアーである!つい先ほどもちょこっと名前が出てきたスーパー32Xというのはメガドライブの周辺機器のひとつ。世間一般でいうところのメガドラタワーの一番上にあるアレのことである。過去記事で既に一度紹介しているので、そちらを読んでいただければ最低限の知識は身につくはず。

アーケード版からはや9年メガドラ本体の発売から6年が過ぎ去ってついにやってきたスーパー32X、その性能はなんとセガサターンプレイステーションニンテンドウ64等と(一応)同格の32bitこれほどの性能があれば…ようやく叶うのだ!スペースハリアー』の!『完全移植』がッ!!!

そういうわけで、このスーパー32Xスペースハリアー家庭用スぺハリ移植の歴史においてかなり重要な存在である。なんてったってこれまで不可能とされてきた家庭用ゲーム機でのスぺハリの完全移植なのだから。DOOMスターウォーズ アーケード』と並びスーパー32Xのローンチタイトルでもあり、32X自体の知名度に反して32X版のスぺハリはそこそこ有名である。スーパー32Xのソフトといえば?』というお題で32X版スペハリの名を挙げる人はおそらく少なくないハズ。

移植を手掛けるのは当時の移植会社でも特に有名な有限会社ゲームのるつぼ。かつてX68k向けに様々なタイトルを移植してきたメーカーであり、32Xでは本作のほかアフターバーナーII(コンプリート)』の移植も担当、その後もサターンやドリキャス向けに多彩なタイトルを移植する職人集団である。

ここまでで散々触れたようにゲーム内容はアーケード版のほぼ完全移植である。ゲームギア/ファミコン版のような面/ボスカットもなければ、PCエンジン版とは違い地面の市松模様も再現SMS版よりも遥かにフレームレート/ゲームスピードも向上し、ちゃんとボス戦でも変わらずスクロールも行われる。スーパー32Xによる恩恵は32X抜きで動作しているメガドラのローンチタイトルスペースハリアーII』と比較すれば一発で理解できるスピード感が目に見えて違うはずだ。

とはいえやっぱりスペック的に相当無茶をしているようであり、14面やボーナスステージのように大量の敵or障害物が出てくるステージだとたまにコマ落ちするのは玉に瑕だが、通常プレイする分にはほぼ気にならないだろう。それ以外にパッと見でアケ版との違いがわかるところなど、せいぜい画面の上下がカットされて少し狭まっている点ラスボス撃破後に移植スタッフのクレジットが流れる点くらいなものである。

ほかにもROMカセットでのリリースということもありロード時間の類が全く存在しないのは嬉しいところ。グラフィック・サウンド・スピード感、それらのどこを見てもアーケード版のソレと遜色ない、(周辺機器に頼っているとはいえ)夢にまでみたメガドライブでのスぺハリ完全移植こそが本作なのだ!!

アーケード版に徹底準拠したつくりということもあり、システム的な面ではPCエンジン版が最も近い(デフォルト設定では)ゲームオーバー時に問答無用でネームエントリーに直行するため、その場コンティニューが行えなくなっている点もPCエンジン版と同様。コンティニュー以外の箇所はアーケード版を忠実再現する方向で徹底されており、SMS版などに見られた『HAYA-OH』は不在オプションでは難易度(4段階)と初期残機、操作のノーマル/リバース設定のほか、サウンドテストも可能である。

コンティニューPCエンジン版と同じようにタイトル画面から可能。直前のプレイで6面・13面に到達できていたならばそこから再開できる。つまりはボーナスステージにまで到達できればいい。PCエンジン版と違いネームエントリーに特定の名前を入力する必要はない『CNT』は兎も角『MD』は流石になんかあるじゃろと思って入力して落胆したプレイヤーは我だけではないと信じたい。

ところでバックアップ機能の類は残念ながら非搭載、そのため電源をオフにするとハイスコアもコンティニュー状況も消えてしまう。まぁコレについては当時のスペハリ移植だといつものことなのでわざわざツッコむほうが野暮ってもんである。

ゲームを起動した際のSEGAロゴが表示されている状態で2コンのAボタンとCボタンを押しながらスタートボタンを押すことでアーケードモードが起動。元々アーケードに近い作りなのにこれ以上どこをアーケードに近付けるか気になるところだが、ずばりコンティニューのシステムが変わる。アーケードモードではアケ版同様のその場コンティニューが可能になり、その一方でデフォルトの6面/13面からのコンティニューは封印される。コンティニュー自体の回数は3回までなので、難易度はこちらの方が高い。腕に自信のあるかたはどうぞ。

ちなみにアーケードモードが起動している状態で1コンのA+B+Cを押しながらスタートボタンを押すテストモードにも入れる。ただテストモードでしかできないことといえば一部SEの再生くらいであんまり見どころもないのだケド。

というわけでスーパー32X版のスペハリは史上初の家庭用完全移植スペースハリアー。その立場ゆえにスペハリの移植を語るうえでは決して外せない、まさしく歴史的な一作である。だからこそスーパー32Xのローンチタイトルという大役を任されたのだといえる。

しかしながらそんな歴史的な重要度に反して32X版スペハリの栄華は決して長くは続かなかった。プラットフォームのスーパー32X自体が極めて短命に終わったというのも理由のひとつであるが、いくらプラットフォーム自体がアレでもリリースされたゲーム自体の評価は決して覆ったりはしない。…32X版スペハリへの魅力が殺がれた最大の原因は32Xと同時期に展開された日本SEGA本命の32bit機…セガサターンにてリリースされたセガサターンスペースハリアーの存在にあった

セガサターン版のスペハリは32X版から1年と半年ほど遅れて発売となったのであるが…その内容はというと早い話がスーパー32X版の改良版』としか言いようがないものであった。移植を担当するのはもちろん32X版と同じくゲームのるつぼアーケード版を再現した完全移植なのは言わずもがな。32X版の数少ない弱点といえる画面の上下カットもなければ、コマ落ちが発生する場面もほぼなくなっている…文字通りの上位互換であった。結果として32X版が『スペースハリアーの完全移植』というオンリーワンの立場にいられたのは、この僅か1年半という短い期間だけだったのだ。

だがそれでも32X本体と同じように一瞬の…ほんの少しの間だけはその存在感を発揮し、『おうちでもアーケードと同じスペハリを!』という多くのメーカーやスぺハリプレイヤーの長年の夢を叶えたこの32X版スぺハリの功績はあまりにも偉大過ぎるものである。

…アーケードでスペースハリアーが稼働してから39年、32X版で初の家庭用移植が成し遂げられてからでも実に30年近くの年月が経過した現在。『スペースハリアーの完全移植』は咄嗟には数えきれないほどたくさん世に生まれている

中には32X版はおろかセガサターン版のソレを更に超えるレベルの追加要素や再現要素が詰め込まれたものも珍しくない。こんな時代においてわざわざ32Xでスぺハリを遊ぶなど一部の物好きでしか考えられないが、それでもたまにはスーパー32Xともども本作のことも思い出してみてほしいのである。

 

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