いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

龍が如く8

クリアした!!やっと完全クリアしたぞ!!
いやほんと、覚悟はしていたんだよ…。今年は初っ端から大型タイトルのリリースが予定されており、一本をクリアするだけでも睡眠時間どころか自らの命すら切り詰める必要があるのだと…。

………だが……それにしたって大ボリュームにもほどがあるじゃろ!?基本的に一本のゲームを遊びつくすのに早くて数日、遅くとも2-3週間で次のゲームに向かう我が1ヶ月近くひとつのゲームに付きっ切りになる例は極めてレアである!睡眠時間切り詰めすぎて危うく本業のお仕事にすら悪影響が出始めるところじゃったぞ!?
(シンプルに自己管理ができていないだけです)

…まぁ何はともあれDLC含めて完全クリアに至れたので全ては結果オーライ、ブログでもガッツリ語りたくなる作品でもあったため、今宵の記事の主役としてピックアップするに至ったのである。

というわけで今回の主役はSEGAを代表するヤクザゲー龍が如く』シリーズの最新作龍が如く8』!!実は龍が如くシリーズの本家ナンバリング作品でサブタイトルが付かないのは2009年の『龍が如く3』以来15年ぶりだったり。プラットフォームはPS5/PS4/XSX/One/PCという現行ハイスぺ機組、パッケージ版が存在するのはいつものようにPS5/PS4版だけ

初っ端から余談を挟むと本作の海外版タイトルは『Like a Dragon: Infinite Wealth』で日本とは異なりサブタイトルが設定されている…が注目するべきはそこではなく『Like A Dragon』の方。文字通りコレは『龍が如く』の英訳なのだが、実はこれまで本シリーズは海外だと『Yakuza』シリーズで通ってきたため、本作はナンバリング8作目にしていきなりシリーズ名を変更したという珍しいムーヴを行っている。

なお『Like A Dragon』自体は龍が如く7 -光と闇の行方-』の海外版タイトル『Yakuza: Like A Dragon』が初出、つまりは前作のサブタイトルが本作からメインタイトルに昇格したことになる。2023年発売の龍が如く維新! 極』龍が如く7外伝 -名を消した男-』の時点で海外版タイトルがそれぞれ『Like A Dragon: Ishin!』『Like A Dragon Gaiden: The Man Who Erased His Name』になっているため、『Yakuza』シリーズを『Like A Dragon』シリーズとして再出発させるのはだいぶ前から決まっていたのだろう。ちなみに公式は『近年の龍が如くはヤクザだけの物語に留まらないため』と改題の理由を挙げている。

ところで龍が如くシリーズはファンが離れるのを防ぐためなのか、ほぼ毎年何かしらのシリーズ作品or大規模DLCがリリースされるという特徴があるのだが、2023-2024の1年間はそれにしたって驚異的な販売スパンで作品を世に送り出している。具体的には龍が如く維新! 極』から9カ月で龍が如く7外伝』龍が如く7外伝』から僅か3か月も経たないうちに本作をリリースしているのだ。すごい。
(本作と7外伝と維新極はいずれも同じ日に発表された)

さてさて、『龍が如く』は主人公交代を行った『龍が如く7』にてまさかまさかのコマンド式RPGへと変化したものの、その後のスピンオフ/リメイク/外伝作品の『LOST JUDGEMENT: 裁かれざる記憶』龍が如く維新! 極』龍が如く7外伝』では引き続き従来と変わらないアクションゲームでのリリースとなっていた。そんな中に登場したこの龍が如く8』は『龍が如く7』と同じくコマンド式RPGとなっている。やはり今後もメインのナンバリング作品はRPGで行くということなのだろう。そのため本記事においては龍が如く7』のことを『前作』と呼称する。ややこしいがシナリオ的にもジャンル的にもそちらの方が伝わりやすかろう。

本作の年代設定は相変わらずリアタイ連動の2023年、時系列的に最も近いのは『LOST JUDGEMENT:裁かれざる記憶』の大型DLC『海藤正治の事件簿』アレから1年後(ロスジャ本編からは2年後)のハナシになる。龍が如く7』『龍が如く7外伝』から見て4年後の物語となる。主人公は前作で見事バトンタッチに成功した『春日一番』、そして過去の龍が如くシリーズで毎回主人公を務めてきた伝説の男桐生一馬の2人。そう、本作は『龍が如く0』以来のW主人公制を採用しているのだ。…まぁそれはひとまず置いておいて、ゲームシステムの方のハナシからやっていくとしよう。

前作ではまだRPG1作目ということもあり良くも悪くも粗削りだった戦闘システムは圧倒的にパワーアップ。公式から『新ライブコマンドRPGバトル』と称される本作のバトルは的確に前作の問題点を潰しつつ、更に本作ならではの要素でシステムを拡張させている。ベース部分は前作と同じゆえに詳細は割愛するが本作のシステムはザックリ言うと『リアルタイムで複数のキャラが自動で動き回る中で、キャラごとの位置関係を考えてコマンドを選択していく』といったもの。

とりあえず前作からどこが変わったのかから触れていくとしよう。何よりも一番大きいポイントとして『ターンが回ってきているキャラで自由に移動できる』ようになった。ターンが回ってきた時点でのキャラを中心とした一定の範囲内に円が出現し、その範囲内を自由に移動することができる。移動はコマンドを選択しながらでも問題なく可能でコマンドを選択したら移動後の現在地からアクションを実行する。前作では位置の概念が最重要にもかかわらず味方の移動が完全ランダムという作りであったため、プレイヤーの戦術が介在する要素が目に見えて増えた

『通常攻撃を普通の敵に使うと吹き飛ばせる』『ダウン中の敵には大ダメージ』の仕様はそのままに、本作では『吹き飛ばした敵が壁に当たれば追加ダメージ』というシステムが追加。更に『吹き飛ばした敵が他の味方の近くに飛んだならば、そこから更に味方が吹き飛ばし効果ありの追撃を行う』といったものも。

この2つの要素は重複するために『敵を吹き飛ばす』『近くの味方が追撃して更に吹き飛ぶ』『壁に当たって追加ダメージ』といった立ち回り次第で大ダメージを与えられるようにもなった。そこから更に前作からあったダウン中の敵に対するオート追撃(絆追撃)も繋がるため、上手い具合に連続攻撃を成功させたときの爽快感は中々に素晴らしい。もちろん吹き飛ばした先に他の敵がいた場合はそちらにもダメージが通る。攻撃系のコマンド選択中は『どの方向に敵が吹き飛ぶか』『どの範囲にダメージが及ぶか』が矢印で記されるのもわかりやすい。

重要なのは攻撃後の吹き飛ばしだけでなく通常攻撃開始前の位置関係もそう。例えば敵との距離が近ければ『近接ボーナス』として威力が上昇し、後方からの攻撃ならばバックアタック』になり確定クリティカル+必中攻撃となる。マップ内のオブジェクトを用いた攻撃も『攻撃キャラ-攻撃対象の間にオブジェクトがあればソレを攻撃に使う』ものから『攻撃キャラがコマンドを実行した地点の近くにあるオブジェクトを攻撃に用いる』というモノに変化。

他にも一定以上の絆を育んだ味方が近くにいる状況ならば通常攻撃がより強力な『連携攻撃』にパワーアップするというシステムまで。ちなみに『連携攻撃』『近接ボーナス』『バックアタック』『オブジェクト使用』の有無は攻撃対象の選択中にUIで表示されることもあり非常にわかりやすい。先に挙げた『自由移動』を最大限駆使して最適な位置から最適な攻撃で敵を殲滅するべし!!

これらの要素が改良/追加されたおかげで前作時点だとまだ粗削りだった『位置管理を中心とした戦闘システム』が超大幅に進化。『自ターン中にどう動いて敵を誘導するか』『どの方向に敵を吹き飛ばすのが最適なのか』を考えるのが実に楽しい。なおその一方で前作の『攻撃キャラ-攻撃対象の間に別の敵キャラがいたら妨害される』システムはオミット、コレは賛否ありそうではあるものの複雑になりすぎないための措置と考えている。何事も要素を増やすのが正解とは限らないのだ。

もちろん前作にて登場したケレン味溢れる極技も多くが続投&新技も追加されている。通常攻撃同様に攻撃範囲が視覚的に表示されるようになっただけでなく、前作ではコマンド無しだったものにもコマンド入力が追加。コマンドの内容もボタン連打/QTE以外に『スティック操作』が追加されたため幅が広がっている。前作では極技のいちカテゴリだった『絆技』はゲージ消費の大技に変化。ゲージが溜まっていないと発動こそできないが強力&スキル封印の影響を受けないという特徴を持つ。

前作における最大のストレス要素だった『前方からの攻撃を高確率で回避/ガードする』タイプの敵キャラは本作にも続投しているが、『自由移動によって後ろに回り込むことが容易』『組技属性の極技ならばガード状態を解除可能』など対処法が増加した結果、ストレス要素から戦略性を向上させる要素に昇華されている。

シナリオに関わる箇所でいえば通常時だと最大4人パーティで進行するところ、特定場面の戦闘に限り『5枠目の味方』が登場。一般的なRPGにおける『スポット参戦』『ゲスト参戦』というヤツで操作は完全オートではあるものの極めて強力。5枠目の味方は『本来は敵同士/戦えないキャラだがやむを得ない事情で共闘する』モノが殆どなので、シナリオ的にも燃えるし印象に残りやすいことだろう。また(アクションゲー時代は)シリーズ恒例の要素だったのに前作では特定のバトルに限られていた『シナリオの重要バトル中におけるQTEが本格的に復活。成功させればその後の立ち回りがやや有利になり、しかも格好いい。QTEの内容もロスジャほど理不尽ではないため一安心。

バトルの幅を広げる『ジョブ』のシステムも前作から更に改善されている。前作のジョブは文字通りの『職業』でハローワークにて変更可能だったが本作のジョブはRPG的な意味合いのソレに近く、各地のアロハッピーツアーズの更衣室にて変更可能。ジョブ追加の流れもシンプルなパラメータ依存から『旅行会社アロハッピーツアーズにて観光ツアーに参加、その時の経験をバトルスタイルに昇華させる』というものになっている。

解禁時にはパーティメンバーが仲良くツアーをエンジョイするムービーが流れるのだが、ツアー映像は過去の如くシリーズにおける『天啓』のノリで進むバカゲー感全開な内容で見ていて実に楽しい。またある程度ゲームを進めると『料理人』『ダンサー』のように前作で登場したジョブも使用できるようになるため、最終的に使用可能なジョブ数は本当に多い。

前作にあった『ジョブを一定以上育成すると、そのジョブの専用技の一部が他ジョブでも使用できるようになる』要素も形を変えて登場。システムとして『スキル継承』という概念が追加され、なんと他ジョブで習得したことのある技を『なんでも』他のジョブでも使用できるようになっている!!

各キャラにはスキル継承枠が用意されており絆を深めていくごとに枠が拡張、最終的には通常スキル5枠+大技1枠の計6枠が使用できるようになる。もちろん継承するスキルはジョブチェンジのタイミングで何度でも自由に変更可能。このおかげで前作では最終的に『どのジョブになるか』程度しかプレイヤー間の差がなかったところ、本作では『どのジョブでどういったスキルを継承するか』というカスタマイズ要素が誕生、プレイスタイルの幅がより広がった。何はともあれRPGとしての龍が如く』は本作のシステムでようやく完全なものとなったと自信を持って言えることだろう。

キャラ関係でいうのなら本作でついにRPG作品でのプレイアブル化を果たした『龍が如く0』-『龍が如く6』、そして『龍が如く7外伝』の主人公である桐生一馬の強さは見逃せない。本家アクションシリーズでは単身で数々の組織を壊滅させてきた生ける伝説にして最強の男である彼の強さはRPGとなっても健在。特に専用ジョブ『堂島の龍』はこれでもかと言わんばかりに特殊仕様のオンパレード

龍が如く0』の頃と同じく十字キー『ヤクザ』『ラッシュ』『壊し屋』3種類のスタイルチェンジが使用可能。敵との位置関係が特定の状況下ならば『ヒートアクション』が自動的に発動し高火力or即死技に変化する『ヤクザ』1ターン2回攻撃が可能な『ラッシュ』高耐久&高火力かつ通常攻撃が組技属性(ガードブレイク)になる『壊し屋』が1人で賄えてしまえるため、桐生さんの人外っぷりがよく表れている。

桐生さんの絆技ポジションにあるのが『絆覚醒』、絆ゲージが溜まっている状態でR2を長押しすると発動し…なんとシステムが一定時間龍が如く6』以前のアクションゲームのソレに切り替わる。もちろん操作方法は過去作と同じで□でパンチ△でキック〇で投げが可能。時間切れまでのあいだ好きなように移動して敵キャラをタコ殴りにできる。もちろんパンチを連続で命中させたりダウン中の敵に△を押すとヒートアクション風の演出も発生して大ダメージ。『如く6』や『極2』のアルティメットヒートモードをイメージすればわかりやすい…というかモーションがまんまソレである。

おまけにイベントをこなすとヤクザのガードで反撃可能(弾き返し)など更に無法ぶりに磨きがかかる。もちろんモーションも過去作で散々見覚えのあるソレ。一応『武器が初期装備で固定』という弱点が用意されてはいるものの、素のパラメータが異常に高いため少なくともシナリオ攻略においては全くと言っていいほど気にならない。ちなみにこれでも設定上は(後述の要因もあり)全盛期に比べるとはるかに衰えており弱体化しているらしい。このひと本当に人間なのだろうか。

デリヘル…『デリバリーヘルプ』も前作から続投。サブストーリーで絆を深めた一部のキャラたちを召喚して絶大な効果を発揮することができる。呼び出せる面々は一新されており、本作からの新登場のキャラもいれば龍が如く』からお馴染みの一輝&ユウヤ龍が如く2』のヒロイン狭山龍が如く4』の主人公の一人である秋山などなどシリーズファンに人気のキャラが大集合

前作の時点でいたキャラも援護攻撃の内容が大きく変わっているので必見。前作では演出に違いこそあれ『敵全体/単体にドデカイ攻撃を一発』なのは変わらなかったが、本作ではそのほかに『フィールドに3ターン残り続け、毎ターン攻撃を行ってくれる』といったモノも登場。前作同様の『ドデカイ1発』系はターン消費をせずに呼び出せることもあって、いざというときの一発に非常に役立つ。ただし連続で呼び出そうとすると馬鹿にならない割増料金を請求されるだけでなく、前作にあった初回無料サービスも消えているためお財布には要相談である。

街中でエンカウントするチンピラは前作よりも視界が狭まっただけでなく、こちらに気が付いても追いかけてくることは稀になった。このおかげで『さっさと目的地に行きたいのに無駄なエンカウントをする』という事態が減ったのがありがたい。オマケに目に見えて格下レベルの相手とエンカウントした場合はL2ボタンを押すだけで即座に戦闘に勝利できる『クイックバトル』も搭載。コレは『MOTHER2』をイメージすればわかりやすいか。クイックバトルでも経験値とお金は入手できるので転職直後のジョブレベルが低い時なんかは地味に便利だったりする。

ちなみに街中のチンピラのバリエーションは過去作よりも更に多彩になっていて、普通に歩いているヤツから狭い場所に座り込んでいるヤツ車で優雅にドライブ中のヤツ…果てには砂山に潜ってこちらを待ち構えているヤツヤシの木にぶら下がっているヤツまで様々である。

難易度は前作よりもやや上昇傾向…というよりも前作よりも戦闘を回避しやすくなった影響でメインシナリオだけを追いかけると前作以上にレベル不足に陥りやすいというのが正直なところ。とはいえ定期的に解放されるレベル上げ要素にしっかりと挑めば適正+αくらいの強さにはなるし、難敵との戦闘を目前に控えた自由行動期間の終わりには必ず警告メッセージ+適正レベル&武器が提示されるお節介仕様もあるので、よほど猪突猛進に突き進まない限りは苦戦こそすれ詰むことはないハズ。あとリリース当初は転職による能力値強化のパッシブが反映されていないバグがあったので猶更難易度が上がってたりしたがこっちも修正済みである。

基本システムのハナシも終わったところで改めましてW主人公制について語っていこう。本作はW主人公といえど少々特殊な構成が特徴。具体的に言うと序盤は桐生さんが一番のパーティに仲間入りする形で進行…つまりは桐生さんはあくまで『仲間の一人』ポジションに収まった事実上一番の単独主人公のように進行していき、ある程度ゲームが進むとパーティが『一番パーティ』『桐生パーティ』に分断され、そこから実質的なW主人公になる感じである。

パーティの分断後は『龍が如く0』のような構成になり、一番視点でボスを倒す桐生さん視点に切り替わる桐生さん視点でボスを倒す一番視点に切り替わる…といった繰り返しで進行する。両パーティはそれぞれ戦いの舞台となる街が異なる。そして本編中に双方のパーティが合流することはなく、主人公の切り替えを自由に行える場面はクリア後まで一切存在しない(ネタバレ反転)。とはいえシステム的な都合で持ち物&装備品は双方で共用だったりする。

本作の舞台となる街は3つ、街の数だけなら前作と同じではあるがその広さはもはや比較にならない。まずは前作から引き続き登場の横浜・異人町、それまでのシリーズ作における最大規模のマップであることもあり本作でもその歩きごたえはバツグン。中に入ることこそ叶わないながらも『LOST JUDGEMENT』にて登場した誠稜高校や横浜九十九課もちゃっかり存在する。そしてシリーズ恒例の東京・神室町、もう幾度となく訪れた見覚えのありすぎる場所ではあるが、やはりその安心感は折り紙付き。神室町と異人町は基本的に桐生さんパーティの舞台となる。ちなみに神室町-異人町はタクシーで移動可能。

そして一番パーティの舞台となるのが本作から新登場の…ハワイ・ホノルルシティである!!そう、Japanese Yakuza in Hawaii!!龍が如くの舞台は日本を飛び出してとうとう海外に進出したのだ!!その規模はなんと異人町を更に超えて正真正銘のシリーズ史上最も広大、隅から隅まで歩き回るだけでトンデモナイ時間がかかるのは間違いない。

そのくせ裏路地なんかもちゃんと作りこまれており、ロケーションも街中のほか海岸ショッピングモールなど、なかには日本人街チャイナタウンなんかもあるため一言で『ハワイ』といってもそのバリエーションが多彩である。我はリアルのハワイに行ったことがないので確かめようがないのだが、本作のホノルルシティもある程度現実の地形を再現しているとのこと。ロケーションに海岸ができたことで本作ではマップ中で『泳ぐ』ことも可能、まぁやってることは普通に歩くのとそう変わらないのだがイイ感じに雰囲気がある。

広大なマップを用意すると必然的に付きまとうことになる移動のストレスだが、本作はソレを抑えるために様々な移動手段を用意してくれているのも嬉しい点。まずはマップ全体にタクシーが大量に配置されており、マップを開けば1ボタンでタクシー移動(実質的なスキップトラベル)が可能

暗転移動が味気ないというのならトロリー(ハワイの路面電車的なもの)に乗って景色を楽しみながら移動もできる。また新たな移動手段として『OKAサーファー』なるものも登場。このOKAサーファーというのは…まぁセグウェイである。通常の徒歩移動よりも遥かに早い速度でスイーっと道路を走ることができる。トロリーと違うのは自身で進行ルートを決められる点で小回りはこちらの方が効くだけでなく、マップのガイド機能を使えばオート走行までも可能という至れり尽くせりな代物である!!

シナリオの途中から挑めるようになるレベル上げダンジョンはハワイと異人町にひとつずつ登場するほかシステムが大きく変化。本作のダンジョンでは第X層といった階層に分かれており、それぞれの階層は5-10フロアから構成されている。特定フロアを除きそれぞれのフロアの構造は自動生成…つまりは『不思議のダンジョン』システムである。道の作りから部屋の中身まで全ては完全ランダム。運良くさっさと次のフロアに行けるときもあれば、運悪く大量の敵とエンカウントする可能性もある。脱出は各フロアのゴール地点から行える。また『行方不明者』という概念があり、各階層ごとに紛れ込んだ行方不明者を救出していくと強力なアイテムを入手できるというやりこみ要素になっている。

特定のフロアにはそれまでの敵に比べ非常に強い中ボス/大ボスが待ち構えていることがあり、ボスを撃破できれば以降その次のフロアから再突入が可能になる。最終的には全フロアの踏破が目標となるが、ほぼゲームクリアくらいのレベルにならないと最深部への到達は厳しいので、シナリオ進行に合わせて少しずつ攻略していくといい。…このあたりの説明から一部の人はなんとなく察したかもだが、ぶっちゃけ本作のダンジョン周りのシステムはそのまんま『ペルソナ3』の『タルタロス』のソレ(行方不明者はP3P)である。前作はリリース当初『汚いペルソナ』とか呼ばれていた記憶があるが、あながち間違いでもなかったらしい。そして偶然にも本作とほぼ同時期にP3のリメイクが出ているという…。そもそも今は同じ会社なんだけども。

また本作から追加された機能として自由に様々な楽曲を流せる『プレイリスト』が登場。BGMを流せる機能自体は前作から存在していたものではあったが、あちらは拠点でしか流せないオマケ程度の代物であった。一方で本作のプレイリスト機能はメインシナリオ進行中のダンジョンなど一部の例外を除き、街中やダンジョン内などあちこちでいつでも流せるようになっている。

流すことのできる楽曲はデフォルトだと2曲のみながら、DLCを購入したりプレイスポットを攻略してCDアイテムを収集することでどんどん増えていく。ラインナップは『恋のディスコクイーン(如く0)』『鼓動(維新)『Receive You -North Star-(北斗が如く)のような過去の如くシリーズ楽曲のほか、SEGA繋がりから前作で流せたきみのためなら死ねる(きみのためなら死ねる)『琅玕(BORDER BREAK)『怪盗Rのテーマ(リズム怪盗R)などだけでなく、更に本作からは『へっぽこ魔王最強伝説(ぷよぷよフィーバー)『JUNGLE CLUISE(スーパーモンキーボール2)『A world Beyond The Sky(PSO2 NGS)『一緒に歌おう!(初音ミク プロジェクトセカイ)なども追加。

ここぞとばかりにその子会社であるATLUSのコンテンツもフル活用しており、そちらでは『Battle -Da'at-(真・女神転生V)『Take Over(ペルソナ5 ザ・ロイヤル)『COMP SMITH(ソウルハッカーズ2)などが収録。ただ出典作品がリマスター・移植版・シリーズと名義が混在しているのがちょいややこしいか。ところで本ブログで贔屓にしているソニック枠では『Open Your Heart(ソニックアドベンチャー)『Reach For The Stars(ソニックカラーズ アルティメット)『I'm Here(ソニックフロンティア)が用意されている。

プレイリスト機能の一環である『ラジオ番組』も見逃せない…いや、聞き逃せない。ゲーム進行に合わせてラジオ番組『アフター6ジャンクション2』『マイク・フラとDJビビ・スチューのSegWaves』が少しずつ解禁されていき、BGMの一種扱いで自由に流せるようになる。現実のラジオについてはさほど詳しくはないのだが、どうも少なくともアフター6ジャンクション2…通称『アトロク2』は実在する番組らしい。

実在する番組といえどもその内容は本作オリジナル。開幕のトークから投稿コーナー、幕間の宣伝までフルボイスで進行し、龍が如く世界にラジオ番組があればこんな感じなんだろうな』というのが察せられる内容になっている。尺が本当にリアルのラジオ番組ばりにあるので地味にボリュームがあるのも魅力。それもあって流しながらの『ながらプレイ』が実に捗る。ガッツリ聞いても楽しいし、適当に聞き流しながらのプレイでもOK、長尺ゆえに自由行動期間に流しはじめて『この番組を最後まで聞き終わったら次行こう、それまではコレ流しながらレベル上げだ!!』のような遊び方ができる。ただし一部のイベントを挟んでしまうと再生終了してしまう点だけは注意。

ここからはお待ちかね(?)のシナリオについてのオハナシである。本作の具体的なあらすじは『前作(龍が如く7)から4年後、春日一番とその仲間たちはそれぞれの目標に向かって人生を謳歌していた。だがある日VTuber"多々良ひそか"によってデマを告発され職を失ってしまう。そんななか一番は服役中だったはずのかつての兄貴分"沢城丈"と再会、死んだはずだった母親がハワイにて生きていることを知らされる。母と再会するためハワイに足を踏み入れた一番だったが、そこでは母を狙うギャングやマフィアの影があり…』といった感じである。

東京・横浜・ハワイという海外含めた3都市が舞台ということもあってか、そのシナリオの規模感は歴代でもおそらくトップクラス。2つの主人公PTに各都市を取り巻くマフィアやヤクザ、カタギの中にも政府や大道寺一派といった組織単位から動画配信者のような一般市民まで、非常に数多くの人間の野望と思惑が交錯する内容になっている。そこに前作龍が如く7』から続く因縁までもが絡んでくるのでさぁ大変。

本作のメインシナリオは平たく言えば『とんでもなく壮大な前作の後日談』である。冒頭から問答無用で前作ラストのネタバレが突っ込まれるほか、シナリオの随所に龍が如く7』を知っている前提の描写がとにかく多い。そのうえで本作の発端となる出来事も前作の事件であり、言ってしまえば『前作の時点で解決していなかった(宙ぶらりんになっていた)描写に区切りをつける物語』が本作なのだ。だからこそ本作をプレイする前に龍が如く7』のクリアはほぼ必須といっていい。

単独でキレイに纏まっていた作品の続編ということもあって、良くも悪くも本作で生えた後付け設定が気になる人は少なからずいるかもしれない。一応前作と矛盾しない範疇の後付けには収まっているものの、『前作で死んだと言われていた母親が実は生きていました』『前作で殺人を犯したある人物は(その件に限っては)冤罪でした』は流石に無理があるように感じられなくはない。

…もっとも龍が如くシリーズは『(前作の味方キャラが)実は海外のマフィアの幹部で裏切者でした』『(過去作の重要人物に)実は弟がいてCIAに所属していました』みたいに昔から無茶な後付けやるのもお馴染みなので今更ツッコむのも野暮なのだろう。それこそ本作に登場する『大道寺一派』だって組織そのものが『7外伝』で急に生えてきたヤツだし…。

本作で何よりも素晴らしいのは章と章の間を挟むヒキである。章間には必ずといっていいほど『この先に何があるんだ!?』『何があったんだ!?』と先の展開が気になるようにクリフハンガーが挿入される。どんどん明かされる衝撃的な事実、変わっていく勢力図…これらのおかげでとにかく辞め時を見失いやすい。主人公交代のタイミングなんかは特に顕著である。

時事ネタを多数取り入れることに定評のある『龍が如く』シリーズということもあってか、本作でもそういった要素は多数登場。感染症』『転売屋』など軽く口頭で触れられるものから、ガッツリ本筋に絡むものでは本作の発端ともいえる告発系Vtuberや個人の動画配信チャンネル、その反応が多数集まるSNSなどなど。

…一方で裏テーマに『盲信』というものでもあるのか、本作のシナリオでは立場や規模/程度の差こそあれど誰かの言葉を(真偽はどうあれ)鵜呑みにして、別の誰かを正義の名のもとに傷つける人々がモブ・非モブ問わずめちゃくちゃ登場する。故に本作は過去記事でも触れた『ロスジャ』とはまた少し違ったベクトルで『リアル』な物語となっている。もちろん胸糞展開もそちらに負けず劣らず多い流石に悪意マシマシに描きすぎだろとは思ったが『コレが如く世界の民度だ』と言われたら返す言葉もないのでこれ以上は口を閉じる。

で、ここからはサブストーリーについて。本作のサブストーリーは一番パーティ側にのみ用意されている。前作のサブストーリーは人情3割ギャグ7割といった感じであったが、本作のサブは9割くらいが人情話。世話焼きの一番が老若男女国籍問わず迷える人々の問題に首を突っ込み、悩みながらも色々な人々の助けを得て解決に至る内容が大半である。『如く6』のようにフルボイスとは言わないまでも、冒頭とラストがちゃんとボイス付きでドラマチックに進行するようになっているのが嬉しいところ。

前作以上に一番のまっすぐ人を信じる性格が何よりも表れていることもあって、本作のサブストーリーは歴代でも特に印象に残るモノが多い。というか本編に義理人情なんて知ったことかと言わんばかりに胸糞要素がたんまり詰め込まれているため、その反動がサブストーリー側にしわ寄せで来ている雰囲気をひしひしと感じる。…そういえばロスジャをプレイした時も似たような感想を抱いたな。

もちろん前作で好評を博したトンチキなギャグテイストのサブストーリーも登場…どころか専用BGMだの妙に凝った演出だのが用意されていたりもするため、そっちも見どころ全開である。いいよね視界に入った時点で全てのオチを察する重機おそうじ丸。でも『トンチキだと思っていたのに人情話だった…』というトラップもあるので油断するべからず。まさかこれまでギャグ要員だった権田原組長に泣かされる日が来るとは思ってませんでした…(ネタバレ注意)

桐生パーティにおけるサブストーリーに該当するシステムとして用意されているのがエンディングノート。発表時点でずいぶんと話題になっていたが、本作の桐生さんは既に末期癌で余命いくばくもない状態である。歴代シリーズ作品で主人公を務め戦い続けてきた桐生一馬という男が、その人生の終わりを前にして自身の人生を振り返る…それがこのエンディングノートなのだ。

桐生さんが主に歩き回ることになる東京・神室町横浜・異人町にはあちこちに『追憶スポット』と呼ばれるポイントが点在しており、追憶スポットを調べるとその地点に関連する過去作で縁のあるキャラや町の思い出を1枚絵と共に桐生さんが振り返ってくれる。思い出の内容は過去作の本編はもちろんのこと、温泉卓球(如く4)草野球(如く6)のような過去作のプレイスポットも登場。本当の意味で過去作をやりこんでいた人にとって感慨深いものがあるはずだ。…まぁぶっちゃけ異人町は桐生さんとの縁がそこまでないので、追憶というよりも連想ゲームみたいになっている感が否めないがそこは仕方なかろう。

一方で神室町は桐生さんにとっての思い出の場所だらけ『過去作で何かがあった場所』にはほぼ確実に追憶スポットが用意されているため、シリーズ経験者は実際にスポットを調べる前に『あー…ここあの作品でアレがあった場所だなぁ…』と感傷にふけるのもいいだろう。そんなことやってたら『ここ!!ゲイリーズブートキャンプの場所だよね!!(OTE)』→桐生さん『遥が事故にあった場所だ…(如く6)』『なんか…ごめん…』って気分になったのはナイショ。

追憶スポットを巡るごとに『追憶ダイアリー』がひとつずつ埋まっていく。追憶ダイアリーは文字通り桐生さんの思い出そのもの。イベントが進むにつれてページが埋まっていくと、桐生さんの人生というものが改めて実感できることだろう。追憶ダイアリーの出典は幅広くナンバリング作品はもちろんのこと、なんと『前世の記憶』『別世界線の記憶』扱いでスターシステム龍が如く見参!』龍が如く維新!』パラレルワールド龍が如くOF THE ENDのものまで用意されている。
(OTEは長らく本筋かパラレルかで意見が分かれていたが本作でついにパラレルと明言された)

『追憶ダイアリー』でネタが出てこないのはそれこそ桐生さんが微塵も関わらない『クロヒョウ』シリーズと『ジャッジ』シリーズ、それからOTE以上のパラレルといえる『PXZ2』くらいなものである。もっともジャッジシリーズに関しては本編でキャラがカメオ出演していたり、後述のエンディングドラマにて横浜流氓の『白面』が出てきたりと地味なところでネタが拾われていたりもするが。

追憶スポットはテキスト+1枚絵のみのシンプルなイベント止まりだが、ごくまれにフルボイスでそこそこ長めなイベント…『追憶イベント』が発生することがある。もちろんエンディングノートの延長にある内容なので、イベントには桐生さんが過去に深く関わってきたキャラたちが再登場。おなじみ古牧の爺さん(如く1)ポケサーファイター(如く0)のほか、ナンバリングだと如く4以来の柄本先生(如く1)のように10年ぶりレベルのキャラなんかもおり、これまた歴代ファンにとっては嬉しい内容になっている。桐生さんに救われその姿に憧れた人々が幾年もの時を経てどのように成長したのか…しかと見届けるのだ。

そしてある程度『追憶ダイアリー』を埋めていくと徐々に解禁されていくのが『エンディングドラマ』。これは先に挙げた『追憶イベント』から更に踏み込んでおり、如く1の頃からの相棒伊達さんと共に、桐生さんと縁の深い人物と再会する内容になっている。追憶イベントとの違いは再会する相手のラインナップ、エンディングドラマに関わる人物はいずれもシリーズのナンバリング作品において最重要クラスのメインキャラたちである。どんなキャラたちが出てくるか…それは自身の目で確かめてほしい。

正直、シリーズファンとしてみれば本作のシナリオ方面の魅力はこのエンディングノートに集約されるといっても過言ではない…かもしれない。

…本ブログでは以前龍が如く7外伝』を指して『桐生一馬伝説の総決算』と評していたが、7外伝が『伝説の極道、桐生一馬』の物語の完結編であるとするならば、本作は桐生一馬という一人の男』の最期を描く作品である。桐生一馬が築き上げてきた伝説、そして培った絆の数々それら全てを桐生さんと共に改めて巡るこの旅は、桐生さんと共に長年戦い続けてきたプレイヤーによる彼への最後の贐である。

桐生さんの戦いはゲーム内時間で18年(如く0を含めるなら35年)リアルタイムでも19年に渡って続いていた龍が如く』の歴史そのものである。その重さはシリーズファンにとっては計り知れないものであることは今更説明する必要もないだろう。本作の随所で過去作キャラと出会い、そして桐生さんの生きた証が数多く残されているのを目の当たりにするたびに、いちプレイヤーでしかないはずの我は不思議と涙が止まらなくなってしまったのだ。

だからこそ、シリーズファンであるならば『絶対に』本作をプレイしてほしいと我は伝えたい…が、一方でそれはできる限り後回しにした方がいいかもしれないと思ってしまうのもちょこっと悩ましい点。というのも先に挙げたようにエンディングノートは過去作ネタのオンパレードであるが故に、できる限り『過去の龍が如くシリーズ』を遊んでおいた方が、その魅力を強く感じられるからだ。仮に龍が如く7』だけの知識でエンディングノートに手を出したところで、大した感動は得られないことだろう。

というわけで無茶をいうのは百も承知だが、エンディングノート目当てに本作に手を出すというのであれば、最低でも『龍が如く0』-『龍が如く7』までのナンバリング作と『龍が如く7外伝』をクリアし、欲を言えばそれら全ての作品で裏ボスを撃破するまでやりこんでおくことを推奨したい『裏ボス撃破は必要か?』と思われそうだがエンディングノートのシナリオではその裏ボス本人が出てくるんだから仕方あるまい(ネタバレ注意)

こっからはキャラ要素について。本作のキャラたちも過去作と負けず劣らず魅力的な奴らが登場。龍が如くシリーズ特有の俳優キャラは続投組も合わせてかなり多め。本作新登場の俳優キャラはどこか頼りないタクシー運転手『トミザワ(演:井口理)車椅子の青年『三田村(演:成田凌)横浜星龍会の会長代行『海老名(演:長谷川博己)の3名。作中での活躍については諸君らの目で確かめてほしいが、3名とも演技に問題はなくそれぞれ見せ場ともいうべき場面では結構なインパクトを残してくれる

一方で前作から続投している俳優キャラは前作の相棒『ナンバ(演:安田顕)、まさかの復活を遂げた『沢城(演:堤真一)、そしてある種キーマンとなる荒川真(演:中井貴一)の3名。看護師という立場から桐生さんをサポートするナンバしがらみから解放された沢城のカシラ『殺しの荒川』としての一面を見せる荒川のおやっさん…と3人とも前作とは違った一面を見せてくれる。

本筋には絡まない箇所でもフェイスキャプチャーを活用した本人モデルキャラがそこそこ登場。アロハリンクスを教えてくれる『ケイ(演:kson)サシで戦える『アサクラ(演:朝倉未来)作中のラジオにも出演する『宇内アナ(演:宇内梨沙)、ある種衝撃的な…そして羨ましいポジションの『ウタマル(演:宇多丸)ドンドコ島ファーム担当『沙耶 & 結衣(演:檜山沙耶 & 駒木結衣)、そしてドンドコ島のマスコットガチャピン & ムック(演:ガチャピン & ムック)などなど。最後の2人はフェイスキャプチャいらなくねというツッコミ禁止。

もちろん声優さんが演じるキャラも続投組・新キャラ含め魅力的。中でも本作でついにパーティ入りを果たしたソンヒはまさかの桐生さんの大ファンであるという設定が追加され、ひっじょーに可愛らしく描かれている。ぶっちゃけ本作で一番株を上げたキャラと言っても過言ではないかもしれない。…というか軽いネタバレをしてしまうと、本作のコミジュルはほぼ事件の蚊帳の外なこともあって、登場するコミジュル勢がどいつもコイツもやたらカワイイ。こいつらホントにマフィアなのか。

…ところでここ数年、本編・スピンオフの双方でシナリオが評価されてきた龍が如くシリーズだが、本作のメインシナリオは手放しに高評価ができるかというと少々厳しい顔をせざるを得ないのが正直な感想である。サブストーリーとエンディングノートに関しては文句の付け所がないほどに素晴らしい内容だったのだが、少々アレなのがよりにもよってシナリオ本編である。

先に挙げた通り、本作のメインシナリオはとにかく読んでいて引き込まれる内容である。次々明かされる衝撃的な真実に、先が気になるクリフハンガー的なヒキ…シナリオを読み進めるにつれてどんどんドキドキワクワクが高まるつくり…なのだが、『ここからが本番だ!!』となった途端にいきなり最終章&ラスダンに突入し物語は締めくくられてしまう。素人目に見ても『強引に終わらせた』感が明白である。

もはや『大人の事情で最終章の直前の章や大ボスをカットしちゃいました』と言われても信じてしまうほどで、それまで積み上げてきた伏線の数々はスルーor放置(ネタバレ注意その1)因縁を抱えた敵の一人はプレイヤーの預かり知らぬところで既に破滅(ネタバレ注意その2)、おかげでプレイヤー的にはワクワクよりも先に『困惑』がやってくる。…一応フォローしておくが、物語自体は打ち切りなどではなくキッチリ完結しているし、クリア後に改めて各シーンの描写を照らし合わせると矛盾しているワケではないことはわかる。シンプルに凄まじく駆け足かつ説明不足なだけなのだ。

つまるところ本作のメインシナリオは『ひたすらに風呂敷を広げて広げて広げ続けて、畳み切れなかった』ものである。ラスト近辺に行きつくまでの展開は非常に良質かつ先が気になる内容であったからこそ、終盤の無理やり感が実に残念というほかない。もちろん本作のシナリオにも褒められるべき点は確かにある。風呂敷を畳み切れなかったとは言ったが、一方で『本作単独で風呂敷を広げつつ、ソレを畳み切れた』箇所に限っては本当に良い。特にハワイに流れ着いたヤクザ『山井』に纏わる一連のシナリオおよび描写はシリーズでも上位に入るくらい素晴らしかったのは間違いない。

『盛り上げ上手だが最後で急にアレ』というのに既視感を抱いた人も多かろうが、実際本作のシナリオに対する印象は龍が如くシリーズの中期作品…『龍が如く4』や『龍が如く5』に抱くソレと大体同一。全体としてみるとアレだが要素単位で見ていくと光るものがあるという点までまるっきり同じである。
(『如く5』等もシナリオでボロクソ言われがちだが、福岡・北海道・愛知の物語単位では純粋に面白い)

そんなところで原点回帰しなくても…とは思うが、コレが本来の龍が如くシリーズの味と言われたら反論できぬ。ちなみに『龍が如く0』『龍が如く7』『龍が如く7外伝』といった近年の如くシリーズ及び『ジャッジシリーズ』のシナリオで高く評価されてきた脚本家の古田剛志氏は本作だと脚本協力となっている。本作も確実にそうとは言い切れないが、過去作だとこのポジションはメインシナリオ以外のテキスト担当だったっぽいので、おそらく本作はサブストーリー(エンディングノートも?)が古田氏の担当なのだろう。
(あくまで推測です)

結構ガッツリ語りつくした気がするが、まだまだこの記事は終わらない。ここからは本作のやりこみ要素プレイスポットについてのハナシである。シリーズ恒例のやりこみ要素である『達成目録』は本作だと人間力チャレンジ(一番)』『未練ミッション(桐生さん)』という形で登場。まぁ名前が違うだけでやっていることは以前と同じ…ただし大半の項目の進捗が個別に管理されているため、完全コンプを目指そうとした場合の労力は実質歴代作品の倍である。トロコン目的だけなら全埋めが不要なのは救いといえるか。

龍が如くシリーズ恒例のプレイスポットは本作でも変わらず登場!過去作にあったものでは『バッティングセンター』『ゴルフ』『麻雀』『こいこい』『おいちょかぶ』ブラックジャック『ポーカー』『将棋』『ダーツ』『カラオケ』『サバイバル缶拾い』が続投。『ポーカー』については『m HOLD'EM』とのコラボで該当店舗でもプレイ可能、ルールは同じだがトランプの絵柄が変わる。

続投組の中でも触れておきたいのは『カラオケ』龍が如くシリーズでは初出から毎回人気を博していた要素である。システムこそいつも通りではあるものの、本作では仲間の数が前作の倍近い+旧作からの再録あり+新曲ありといった数々の要因から、シリーズ最多のラインナップを誇る。その曲数たるや21曲

龍が如く7』にて収録されていた楽曲は全て続投。そこに加え新メンバーの千歳が『Honolulu City Lithts』を引っ提げて登場。シリーズ恒例のデュエット曲『Like A Butterfly』は今回ソンヒの持ち歌として登場、デュエット相手はデフォルトなら桐生さん、クリア後なら一番とのコンビも組める。

前作のパーティメンバーも『AWAKE(紗栄子)『好きになれる人を好きになれたならば(超天佑)『GO!愁傷SUMMER(一番&足立)が追加、前作メンバーで唯一カラオケをプレイできなかったハンも専用曲でこそないが『好きになれる人を好きになれたならば(ハン)を歌えるようになったのが嬉しい。これにて晴れて全員がカラオケを楽しめる…ようにはならず、中の人が本職の歌手であるトミザワのみ残念ながら持ち歌ナシ。ちょっと残念。

そして言うまでもなく桐生さんが登場するということは彼の持ち歌もたくさんプレイ可能!『MachineGun Kiss(如く5)』『ばかみたい(如く5)』『JUDGEMENT-審判-(如く0)』『TONIGHT(極)』『hands(如く6)』『絶望頂プライド(極2)』という歴代桐生さん楽曲オールスター状態である。『7外伝』の新曲がプレイできないのは少々寂しいが、そこはまぁあちら側の優位性を残すために仕方ないのだろう。更にこれだけでなく桐生さんには新曲『ばかだろう』が追加、タイトルからわかる通り何故か海外でバズった『ばかみたい』のアンサーソング的な内容である。

ところで『JUDGEMENT-審判-』は桐生さんだけでなく一番も歌唱可能。中の人が同じであることから『如く0の錦バージョンの再録なのでは?』と思うかもしれないがちゃんと新録である。演じ分けもしっかり行われており、聞いてみればすぐに『錦山ではなく一番が歌っている』ことがわかるハズ。

新たなプレイスポットとしてサバイバル缶拾いの延長ともいえる『クレイジーデリバリー』なるものが新登場。SEGAとクレイジーの重ね技でうっすら察してそうだが、まぁ本当にクレイジータクシーな感じのミニゲームである。フィールドを自転車で爆走して食材を集め、到着を待つお客さんの元へ急げ!途中でジャンプしたりビルを超えたりドリフトしたりすることで、よりクレイジーな配達が可能!お給料にもボーナスが入るからひたすらクレイジーに突っ走れ!!あ、でも車には気を付けてね。

ハワイならでは(?)の頭おかしいプレイスポットなのが『不審者スナップ』、トロリーに乗りながら街中に出没するパピヨンマスクの変態どもを写真に収めていく。変態はその場に立っているヤツに走ってるヤツ、飛び出してくるヤツにぶら下がってるヤツなど無駄にバリエーション多彩。ちなみにカムロップくんは不審者としてカウントされない。何故だ。

要求されるテクニックは完全にレールシューティングのソレ。写真の判定はシビアとまではいかないがちょこっと厳しく、ハイスコアを目指すならば最適なタイミングでズームを行い、変態が中央に大きく映るようにするべし。…誰だ今『スジモンスナップ』とか言ったヤツ。だいたい合ってるけども。

過去作で言うところの『キャバクラ』に該当するプレイスポットがマッチングアプリ。自身のプロフィールをカスタマイズしてマッチング率を高め、チャットで相手が望む返答を送り、かつコマンド入力で素早く会話していくミニゲームである。無事デートまでこぎつければ大成功!マッチング相手はどいつもコイツもやたらキャラが濃く、大真面目に馬鹿をやる感じが歴代のキャバクラ系ミニゲームで一番面白い。ちゃんとした相手とデートできたらご褒美で実写映像が流れるが、ぶっちゃけ失敗ケースの方が面白いのがナイショ。失敗ケースの状況もさることながら、一番のツッコミ(フルボイス)がキレッキレすぎるのが悪い。

前作に登場していた悪ふざけ要素である『スジモン』は本作では更に悪ノリパワーアップして帰ってきた。ちなみにスジモンとはその筋のモノという意味で早い話が危険人物のこと。スジモンセンターにてスジモン研究を行っているスジモン博士が提唱した概念である。博士曰く『語呂がいいからこのネーミングにした』らしいので決してどこぞのパクリではない。

前作の『スジモン図鑑』はRPGあるあるのモンスター図鑑以上の機能はない名前だけの概念であったが、本作ではこの設定を広げての『スジモンバトル』が可能になった。スジモンバトルとは読んで字の如くスジモン同士を戦わせる競技!お互いにスジモンを3体出して対決控えも含めた最大6体のスジモンが全滅した方が負けというルールである。トリプルバトル?なんのことやら。

スジモンの入手方法は実に簡単。街のどこかに居座るスジモンを相手にレイドを挑み、勝利すればスジモンGETチャンスがはじまる。スジモンの心を引くためには『お歳暮』が必要不可欠、QTEを成功させしっかりした態度でお歳暮を贈るべし。またお歳暮には種類があり『ふつうのお歳暮』『スーパーお歳暮』『ハイパーお歳暮』『マスターお歳暮』とランクアップしていき高価なものほどゲットしやすくもなる。どっかで聞いたような…?

そこからは連打タイムでスジモンに全力アピールを試みることになり、上手くいけばスジモンをゲットできる。ちなみにバトルや捕獲が面倒だというのであればチケットを消費しての『ガチャ』で入手することもできる。ゲットしたスジモンはもちろん育成が可能。普通にスジモンバトルするだけでもいいが、効率を求めるならばアイテムを利用したいところ。ちなみにアイテムは『スジテイン』という名前。街のあちこちにある『スジスポット』を訪れることで入手可能。一定時間ごとにリポップするので近くに寄った時は利用したい。スジモンGOかな?

そしてスジモンにはレベル等の概念が存在し、ソレが一定以上になると『進化』することもある。そんなこんなでスジモンたちを育成し、様々な相手と熱いバトルを繰り広げていくのがこの『スジモンバトル』。『スジモンジム』を攻略して『ジムバッジ』を集め『四天王』を蹴散らし、最終目標はスジモンバトルの頂点『チャンピオン』を打破することである!!目指せ!!スジモンマスター!!!…やっぱりこれポケモンでは…?

そしてシリーズ史上最大規模のプレイスポットとの触れ込みなのが『ドンドコ島』!!シナリオの途中で一番が訪れることになる寂れたリゾート地『ドンドコ島』を発展させていくモードである。ドンドコ島はそこそこ広大なマップになっており、一番はその中を自由に移動しつつエリアを開拓DIYで作り出した家具や建物を並べて理想のリゾート地を作り上げていくことになる。ある程度発展が進んだならばリゾートにお客さんを招くことも可能。

ドンドコ島には自然がいっぱいであるため、虫取り網や銛を片手に駆け回り魚や虫を捕まえたりすることも可能。中々に自由度が高いモードであるため、ハマる人はとことんハマる。自分で何かを組み上げていったり、スローライフを満喫していくようなゲームを好きな人にはひたすらオススメできるコンテンツである。誰が呼んだか『あつまれ極道の森』。…まぁDIYで作れるオブジェクトは軒並み本編に出てくるものの流用であるため、特に拘りなく発展させていくとリゾート要素皆無な繁華街…というかプチ神室町が出来上がってしまうのはナイショ。

ゲームセンターでプレイできるSEGA系アーケード作品は3本と歴代よりもちょい少なめであるが、そのぶんボリューミーなタイトル揃いなので満足度は歴代並かそれ以上。本作の収録作品はバーチャファイター3tb』『ゲットバス』スパイクアウトFE』、いずれも90年代末期に稼働していたSEGAのMODEL3基板の作品である。

これまで代り映えしなかったUFOキャッチャーも地味に進化。これまではいかにもUFOキャッチャーらしい『掴んで落とす』ものだけだったが、本作からは『棒の上に乗った箱をずらして落とす』タイプのモノが新登場。無駄に挙動がリアルなのでクソムズイ。変なところで現実の要素を取り入れおって…。

バーチャファイター3tb』は1997年稼働のバーチャシリーズ3作目…のアレンジ版。『tb』とは『チームバトル』という意味で、元々のバーチャ3のシステムを改良しつつ、3VS3のチーム戦を行う形式にした作品である。ドリキャスのローンチで移植されてたこともあり、言っちゃアレだが3以降パッとしなくなったバーチャの中ではプレイしたことがある人は多そう。少し前にアーケードでオンライン対応で稼働開始した一幕もあったり。

相手チーム全員を倒したら勝利となるので実質3本先取。体力が減りすぎていた場合はラウンドを挟んでも最大値まで回復しないため、確実にラウンド取られるような状況でも最後まで足掻くべし。システム的にはフィールドが平坦ではなく高低差の概念が存在するのも特徴、お互いのポジションによって常に当たる技/ガードできる部位が目まぐるしく変わるため難易度はかなり高い。ちなみに達成目録の制覇にはコンティニュー不可のデュラルに打ち勝つ必要がある。コンプを目指す人はお覚悟を。

『ゲットバス』はそのタイトルから察せられるように1998年稼働の釣りゲー。当時のゲーセンではロッド型の専用コントローラで楽しめた作品であった。プレイヤーは挙動やターゲットが異なるルアーを選択して釣りスタート、竿を引いたりリールを巻き上げたりしてバスを釣り上げていく。釣った魚のサイズ(重量)は累積していき、その累積サイズが各ステージごとに設定された目標を越えたらステージクリア、次のステージへと進む。累積サイズが一定を越えると新たなルアーが使用できるようになるという要素も。

ステージ自体は全4面。最初に挑むステージのみ自由に選択できる。ゲームオーバーの条件はシンプルに制限時間のみであり、時間切れになったら魚が食い付いていようとそこで終了する。釣りを成功させると残り時間が少しずつ延びてはいくがぶっちゃけ焼け石に水だったり。もっともコンティニューはいくらでもできるし、コンテしても累積スコアはそのまま引き継がれるため遊びやすい。ついでに本作のゲーセン系達成目録の中では一番難易度が低め…というのも4面はクリアしなくてもコンプできてしまえるからである。

そして最後に1999年稼働のスパイクアウトFE』、非常に根強い人気を持つ作品ながらその知名度に反し長らくアケ版そのままの移植はされておらず、プレイするまでの敷居が高くなる一方だったところ本作で念願叶っての初移植。タイトルのFEとは『Final Edition』のこと。元々アケにて稼働していた無印『スパイクアウト』に改良を施したバージョンである。

ゲームジャンルは3Dになったベルトスクロールアクション、プレイヤーは解放されているエリアを自由に走り回りつつ、現れる敵を3つのボタンの組み合わせで発動可能なアクションを駆使して蹴散らしていく。エリアのボスを倒すかザコ敵を全滅させると次のエリアへの道が開き…という流れで進んでいく。プレイアブルキャラクターは全4種類複数のエリアから為るステージが全5面…ということもあり、これまでの如くシリーズに登場したアーケード作品では1周にかかる時間・ボリュームの両方で桁違いである。ちょこっと触るだけでわかる人にはわかるだろうがPS2時代の『龍が如く』のロングバトルに近いゲーム性であり、なんならスパイクアウト』にADV要素を加えた作品こそが後の『龍が如く』シリーズだという見方もできる。

難易度はそこそこ高めだが要求されるテクニックがPS2時代の龍が如くとほぼ同じなのでなんとかなるだろう。どうしても難しそうならコンティニューに頼るべし。コンプには全ステージクリアが必須なものの何も考えずにプレイすると3面か4面のどちらかがスキップされてしまう点には注意。まぁ2周やればいいだけのハナシではあるのだが、一周で済ませたいならば特定の条件を満たさなくてはならない。ボスだ!脇目も振らずボスだけを狙い続けたまえ!!

余談だが先に挙げた通り『龍が如く』は『スパイクアウト』の延長線上にあるのだが、龍が如くシリーズの初期…龍が如く3』の時代は攻撃のバリエーションを増やすため、この『スパイクアウト』からもいくらかモーションを流用したりしていた。今回の移植で改めて元ネタのモーションを観察してみるのも一興。
(如く3ではスパイクアウトのほかバーチャ5のモーションも流用している)

さてさて、ここまでこの記事を読んで理解できたとは思うが、本作は本当の本当にボリュームがえげつない。ストーリー1周にかかる時間もさることながら、マップもめっちゃ広いものが3つ、プレイスポットも歴代最多クラスにしてやりこみ要素もトップクラス。元々大ボリュームであることが売りの『龍が如く』シリーズだが、その中でも随一のボリューミーな作品になっている。

反面その圧倒的すぎるボリュームが仇となり、その全部を味わおうとすると逆に打ちのめされてしまう。だからこそ本作をプレイする時は全ての要素を舐ろうとはせず、少しずつ色々とつまみ食いしながら進めていくことを推奨したい。仮に諸君が完全コンプを目指したいという勇者ならば、有給なりなんなりでガッツリ時間を作ってから本作に向き合うべし。本作はそれほどまでに凄まじい作品なのだ。

というわけで本作、メインシナリオ周りにちょこーっと気になるポイントこそあれど、それ以外の箇所に限って評価するならば歴代の『龍が如く』およびその関連作の中でも上位に位置する名作である。総合的なボリューム・システムの作りこみのどちらの面においても悩むことなく満点をつけることができる

シリーズ初見の人が楽しめるかと聞かれると少々悩ましいものの、過去の『龍が如く』シリーズの経験者であればぜひとも手を出してほしい。特に『龍が如く6』→『龍が如く7』で『いやぁ、RPGはちょっと…』と敬遠してしまった人『遊んだけどやっぱりRPGよりはアクションの方がいいなぁ…』と感じた人こそ本作をプレイするべきである!!

 

Bon voyage!!

 

『龍が如く8(PS5版)』のAmazonページ

『龍が如く8(PS4版)』のAmazonページ