いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

3D スペースハリアー

スペースハリアー…通称『スペハリ』、過去幾度となく我がブログで語ってきたように本作には数多くの移植版が存在する。そしてスペハリの移植にはいずれも顔とでもいえるような特徴があった。しかしある時を境にしてソレは控えめになっていく。その理由はシンプルに『ハードスペックが追い付いたから』である。

SMSやファミコンのようにスペックがスペハリ移植に追い付いていなかった時代では開発側が様々な施策、或いはゴマカシを行うことで、少しでも本家アーケード版のプレイ感覚を再現しようとしていた。しかしながらいかに感覚を近付けたとしてソレはアーケードの完全移植にはなり得ず、必ずどこかで差が生まれていた。

一方、ハードスペックがスペハリ移植に足るスーパー32X/セガサターン以降の移植では大多数がアーケード版の完全再現を成し遂げるに至っている。その後のPS2版(コレクション)でも、Wii版(VCA)でも…。これらの移植は移植という観点で見れば100点満点であることは言うまでもない。しかし我は一抹の寂しさも覚えていた。『スペハリの華こそは移植の度に生まれる差違にある』、コレは過去記事でも挙げた我のスペハリに対する持論である。

だがこれまで移植に際して多彩なアレンジが施されてきたスペハリが、完全移植を成し遂げられるようになったその時から、『完全移植の先』へと足を進めなくなってしまったのである。…無論、完全移植に余計なモン付け足すんじゃねぇよというのも理解できるが。

今宵語るは完全移植のまま停滞していたスペハリ移植の未来を切り開いた一作スペハリ移植界の革命児『3D スペースハリアーである!
リリースは2012年12月26日でプラットフォームはそのタイトルからも察せられるように3DS、当時3DS向けに展開された『3D復刻プロジェクト』のトップバッターである。

ちなみに本記事ではこの3Dスぺハリ…3DS版のスぺハリの主な特徴について語っていく。大本の『スペースハリアー』がどんなゲームであるかについては既に知っている前提で進めていくため、『まずスぺハリってなに?』って人は過去記事にてガッツリ語っているためそちらを参照していただきたい。

さてさて、3D復刻プロジェクトというのはSEGAが誇る往年の名作(アーケード/メガドライブ)を3DS立体視に対応させつつ移植しようというもの。移植開発を手掛けるのはかつてPS2向けの『SEGA AGES 2500』シリーズの後期作品で名を馳せた有限会社エムツー

ところでスペハリシリーズは本作よりも遥か昔の1988年…セガ・マークIII(マスターシステム)の時代にて『スペースハリアー3D』、通称スペハリ3Dなる作品が登場しているのだが、そちらは初代スペハリの続編。一方今回語る3Dスペハリは初代スペハリの移植なので完全に別のゲームである。

『3D スペースハリアー』は3DSのDLソフト。なので現在では入手不可…のように見せかけ、3D復刻プロジェクトはセガ3D復刻アーカイブス』というパッケージ版も存在するのでそちら経由で入手は可能。3D復刻プロジェクトと3D復刻アーカイブスの違いについては後述する。

本作は当時だともう珍しくもなくなったスペハリの完全移植ではあるが、地味にCS携帯機でAC版を完全再現したスペースハリアーが遊べたのはコレが初である。本作以前の携帯機移植はGBA版とGG版があるが、どちらもアーケードとは少なくない違いがあったのだ。

そのタイトルに恥じぬよう3DS特有の裸眼立体視にも対応。スペハリ自体が元より画面奥から巨大な敵が高速で迫ってくる3Dシューティングだったこともあって、3D立体視との親和性もバツグンである。本作の主な特徴は同開発による後のSwitch版『SEGA AGES スペースハリアー』に殆ど引き継がれることとなるが、流石に3D立体視はこの3DS版にしか存在しないオンリーワンな要素となっている。

ボタン押しっぱなしでの連射機能は標準搭載、連射速度も自由に調整できる。移動操作はスライドパットと十字ボタンの両方で可能。スライドパッドを使用した場合、入力後に中央に戻るアーケード版に近い操作、一方で十字ボタンを使う場合は数あるCS移植版やスぺハリII/スぺハリ3Dのような操作になるため、どっちのスタイルに慣れている人でも問題なく楽しめるハズ。

本作ならではの操作だと『タッチによる移動入力』もできる。とはいえタッチ操作の場合は実際のスライド入力とハリアーの移動速度が一致しているワケではなく、普通にプレイした方がやりやすいような気もするので、ぶっちゃけオマケレベルの要素である。

これまでのスペハリ移植になかった要素の1つとしてゲーム開始時に『ステージセレクト』も可能。1度でも到達したことのあるステージであれば次回以降のプレイでそこからゲームを開始できる。もちろんそのままステージを突破できれば先のステージもプレイ&ステージセレクト可能となる。

たかがステージセレクト、と思われるかもしれないが意外なことに本作以前の(CS向け)スペハリ移植では任意でのステージ選択がデフォ機能だとほぼ不可能であったのだ。例外はゲームギア版のパスワード、もしくはファミコン版の隠しコマンドくらいである。それらとは違ってステージセレクト画面ではステージ名のほか背景も表示されるので視覚的にもわかりやすい

これのおかげでお気に入りの面をいつでもすぐに遊べるようになったのは大きかろう。溢れんばかりのドム…じゃなくてバレルが出てくる11面/16面とかボスオールスターの18面とかいいよね。ステージセレクトがなくともゲームオーバー時のその場コンティニューも相変わらず可能なので遊びやすさも健在。デフォルト設定ではコンティニューは3回までとなってしまっているが、これについてはまたあとで後述する。

スぺハリに限らず移植ゲームに搭載されがちな便利機能群もあり。どこでもセーブ・ロードが可能なほか、プレイ終了時には1枠のみだがその時のリプレイを保存できる。ただしリプレイは再生/一時停止しか行えないため機能的にはちょいと寂しい。この辺りはSwitch版でようやく改善されるポイントなので今はまだガマンである。

完全移植ゆえ全18面のステージ&ボスはアーケード版からカットされることなく登場。だが本作はそれだけでは終わらない。本作ではとある条件を満たすことで本来のラスボスである18面のVALDA(バルダ)を撃破した後にヤツが…HAYA-OH(ハヤオー)が出現するのだ!!HAYA-OHとはマークIII/マスターシステム版にて追加されたオリジナルのラスボス!専用BGMとデザインの格好良さ、ラスボスらしい強さを兼ね備えたその様から当時はごく一部の移植版のみの登場だったにも関わらず絶大な人気を誇った存在である!そのHAYA-OHが!本作で久々に復活を遂げたのだ!!
(CSにおける本作以前での登場作品はSMS/GG/FC/PS2リメイク版のみ)

これまでHAYA-OHはスペック不足のアレンジ移植版のみの出演であったためアケ版相当のグラフィックなどは存在しなかったのだが、本作に登場するにあたりグラフィックはアーケード風味に描き直されており、あの印象的なBGMもアケ版らしいアレンジになっているのが素晴らしい。もちろん突如出現し、ソレと同時に画面が真っ赤に染まる演出も用意されている!
(なおX68k版独自の演出は本作だとナシ、コレが拾われるのはもっと先のオハナシ)

なお『HAYA-OHがいるならアケ版の完全移植じゃねーじゃねーか!!』というツッコミが入るのを承知してなのか、ハヤオーを一度でも撃破すると以降はスペシャル』というオプションが変更できるようになる。スペシャルはデフォルト設定で有効であり、無効にすると『HAYA-OHが出現しない』『コンティニューが無制限になる』というシステムに変化…つまりはアーケード版と同等の内容でも遊べるようになるのだ!!

スペシャル機能に限らず、ある種狂気的なほど充実したオプション面もまた見どころである。難易度設定や初期残機、エクステンドや画面サイズなんてものは当然として、なんとハリアーの移動範囲』も設定可能。コレはいったい何なのかというと筐体の経年劣化の具合を調整できるモノである。広い範囲に移動できる方が遊びやすいのは言うまでもないが、あえて不便にすることで雰囲気を出すこともできるのだ!

ゲーム開始後から60秒間は残機が減らない『トライアルタイム設定』もちゃんと搭載。本作以外だとGBA版(アーケードギャラリー)、PS2版(コレクション)、そして本作がベースのSwitch版(SEGA AGES)くらいでしか拾われていない要素である。…ところでコレ本作の公式サイトだと目玉のひとつみたいに扱われてるし、そのうえアーケード版でトライアルタイムになってるところ見たことないんだけど、コレはアケ版からあるやつなのかGBA版で初めて追加されたヤツなのかどっちなんじゃろ。
(この辺は情報求ム)

『ムービング筐体モード』なんてものもあり、コレをONにすれば移動入力に合わせて画面も動くようになる。画面サイズを小さくしてプレイすれば(視覚的に)実際にローリング筐体でプレイしているかのような感覚をほんの少し味わえるのも面白い。これ以外にも少しでもゲーセンの雰囲気を出すためボタン音などの『環境音を鳴らす』といった要素も。プレイ体験をよりよくさせるものから、当時を思い起こすマニアックな設定まで、ここまでやるのかと驚かされるばかりの設定項目の多さについてはまさに移植担当であるエムツーの執念を感じる。

スぺハリといえばやはりBGMのクオリティもまた魅力なのは過去記事で散々語った通り。本作ではそのサウンド群を余すところなく楽しめる機能としてサウンドテストが搭載、ゲーム内のすべての楽曲を聴ける…だけでなく、更にイコライザ設定として各種サウンドのバランスを調整できるようにもなっている。音使いが変わればプレイ中の印象もちょっとばかし変わるので気分転換にどうぞ。

ラスボス撃破後の挙動はアーケード版と同じで即THE END→ネームエントリーという流れで追加のエンディングなどはナシ。ただしクレジットはゲーム部分とは別枠に用意されており、こちらは敵キャラの紹介を行いつつスタッフクレジットが流れていく…という(キャラ紹介という点以外は別物だが)PCエンジン版やX68k版の系譜を感じられるものとなっている。とにかく華やかに、そして3DSならではの演出を生かしたクレジットはファンなら必見である。ちなみにこのクレジットは後述の3D復刻アーカイブスのものとは完全に異なる

…と、ここまでが大本となるDL版『3D スペースハリアーの紹介であった。ここからはそのパッケージ版であるセガ3D復刻アーカイブス』に収録された本作について語っていこう。『セガ3D復刻アーカイブス』とは3D復刻プロジェクトでリリースされたタイトルをひとつのパッケージに纏め上げた作品である。パッケージとしては全部で3作がリリースされており、本作が収録されているのはセガ3D復刻アーカイブス(Vol.1)である。

より具体的な収録タイトルは本作『3D スペースハリアーのほかに『3D ファンタジーゾーン『3D アウトラン『3D ベアナックル『3D ザ・スーパー忍II『3D エコー・ザ・ドルフィン、そしておまけ枠としてスペースハリアー3D』アウトラン3D』合計8本である。ちなみに収録順は復刻プロジェクトにおけるリリース順とは限らない。

『3D スペースハリアー』の内容はおんなじじゃないの?と思うかもだが、実はアーカイブス版だと細かなポイントで改良されていたりするのだ。理由としては元々3D復刻プロジェクトのトップバッターということもあり、後の作品に比べるとやや機能面で劣る点があったからである。

3D復刻アーカイブス版では基本的なゲーム部分はまるっきり同一ながら、設定項目がより詳細になっていたり新たな項目が増えたりしている。既存項目の変更点では画面サイズの種類(ムービング時に立体視を抑える設定)が増えたり、ショット音の調整が可能になっているなどなど。連射速度や初期残機のように機能面では変化していなくとも、アイコンが早送りを表す>>>やゲーム内の残機アイコンになっているなど視覚的にわかりやすくなるよう改良されているものもアリ。

項目そのものが追加された例は『ボタン設定』『操作タイプ設定』『なめらか3D』の3つ。『ボタン設定』ではABYLRのそれぞれのボタンに単発ショット/連射ショットの設定が可能、スペハリだと使用ボタンがそもそも少ないので恩恵はあまりなさそうだが、ないよりはある方がいい。ちなみにXボタンはクレジット投入で固定である。

『操作タイプ』はTYPE1/TYPE2から選択可能。移動入力後の挙動が変わる。TYPE1は元々の3Dスぺハリと同じくスラパ移動で入力後中央に戻り十字ボタンだとその場にとどまるもの、TYPE2だとその逆である。プレイできる層を更に広げる変更点である。

そして『なめらか3D』だがコレはキャラのテクスチャを更に細かく分割し表示するもの。その結果どうなるかというと…より高精細にゲーム内の立体視がクッキリとわかりやすく表示されるようになるというもの。いつでもON/OFFは可能なので敵キャラが出てきたタイミングで切り替えてみるとわかりやすいハズ!

こういったパワーアップぶりから3D復刻アーカイブスに収録された本作(3Dスぺハリ)の存在は、後の公式インタビューにてSMS版アフターバーナーの追加ボスに準えて『グラントノフ』と呼ばれていたらしいことが明らかになっている。ちなみにグラントノフとはこのプロジェクト内の用語として『オリジナルには無い新規要素』という意味のワードである。ある意味本移植の目玉であるHAYA-OHもこの意味合いではグラントノフの一種である。

3D復刻アーカイブス全てに言える特徴なのだが収録タイトル全員集合ともいうべきオープニングムービーは3D復刻プロジェクトに惹かれる層ならば確実に釘付けになる代物なので、ファンなら『GET READY!!』からはじまるオープニングムービーでまず引き込まれることだろう。同じようにクレジットも3D復刻アーカイブス用に新しく作り直されている。複数本のコレクションということも生かし収録作品全部の世界観をミックスした映像はカオスでもあり賑やかで非常に楽しい。なおパッケージやオープニングに登場するイラストを手がけているのはセガフリークとしても知られるゲームフリーク杉森建である。ポケモン』シリーズ全体のデザイナーといえばセガに詳しくない人でもすぐに理解できるだろう。杉森絵のハリアーは3割増しくらいハンサムでカッコイイ。

さてさて、先にも挙げたように『3D スペースハリアー』はエムツー&セガによる3D復刻プロジェクトのトップバッターである。トップバッターとしてスぺハリが選ばれるのは知名度・ゲームシステム・立体視との相性などの全ての面からみて納得として、そのクオリティはトップバッターとは思えないほど完成されている。本作によって復刻IPの魅力が世間に伝わったのか結果としてセガ3D復刻プロジェクトは長期に渡り続き、やがてはパッケージ版『セガ3D復刻アーカイブス』が3本もリリースされ、世代を跨いだ次世代機NintendoSwitch向けの新生『SEGA AGES』シリーズにも繋がっている。

スペースハリアーのCS移植の歴史はセガ・マークIII版からスタートしたのは言うまでもない。そして第二のスタートラインを定義するとすれば、ハードスペックが追いつき完全移植を成し遂げたセガサターンだろう。ならば第三は…『完全移植』だけにとどまらない、純粋な遊びやすさの向上、マニア向けを極めたこだわり設定の数々…新たなスペハリ移植の未来を切り開いたこの3DS版、『3D スペースハリアー』だと断言できる。

スペースハリアーの移植は本作の先にも幾度となく行われており、中には先に挙げた新生SEGA AGESを筆頭に本作よりもこだわりがこもった移植も存在するのだが、それでも本作…『3D スペースハリアー』限定の魅力は相変わらず残っている。DL版が購入できなくなってしまったことでプレイのハードルはやや上がってしまったのは事実であるが、もしも本体とパッケージ版を入手できる機会があればぜひともプレイしてみてほしい。そして立体視で描かれるスペースハリアーの魅力を味わうべしである!!

 

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---以下ボヤキ---
ところでお気づきの方も多いかと思いますが、
今年の頭くらいにGoogleアドセンスの申請が通りましたため、
本ブログのあちこちで広告が表示されるようになっているハズです。
ただできる限り『読みやすさ』は維持していきたいのは変わりません。
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それゆえしばらくは手探りで調整する形になりますため、
たまに読みづらくなることもあるかもしれませんがそこはご容赦頂けますと…。