誰もが知っている世界一有名な配管工、スーパーマリオ、任天堂の歴史はこの男の歴史と言っても過言ではない(…とまでいくとカラーテレビゲームシリーズ辺りに失礼な気もする…)。ではでは今回のテーマは『スーパーマリオ3Dコレクション』!
スーパーマリオ35周年記念、期間限定のNintendoSwitch用ソフトである!
とりあえず3作品ともにパワースター&シャインをコンプリートするまでプレイしたので語るのである。ちなみにオリジナル版は3作とも当時コンプ済みなのである。
さて、今作はかつてスーパーファミコンやWiiで発売された『スーパーマリオコレクション』の3D作品特化版!ゲーム業界で最も有名なキャラの一角である彼は、2Dだけでなく3D作品でもいくつもの伝説を残している!
今作では64・GC・Wiiと各ハードで一時代を築き上げた、ゲームの歴史的に避けては通れないマリオシリーズの3Dアクションゲーム3作を一本にまとめて収録されている!
収録作品の内訳は以下の通り
・スーパーマリオ64(ニンテンドウ64)
・スーパーマリオサンシャイン(ゲームキューブ)
・スーパーマリオギャラクシー(Wii)
単純な収録作品数で言えば2D版の『スーパーマリオコレクション』よりも少ないものの、1作当たりのボリュームはこちらの方が圧倒的に上である。全て遊びつくすにはかなりの時間を食われることだろう。
本題であるコレクションそのものの内容の話に入る前に、まずは収録されている3作についてじっくり語るとする。ただし、この記事では事実上3作品+αの情報について触れるため、過去類を見ない長さになると思われる。よって今回は珍しく目次を用意したのである。『3作の概要なんて聞かなくてもわかってるんだよ!コレクションの出来についてだけ語ってくれ!』という人は目次の『本題』を選択してほしい。
---2021/09/08追記---
この記事では『操作性』と『カメラ』が問題であると散々書きなぐっているが、あれから今作にはアプデが行われ、『ゲームキューブコントローラ操作』および『カメラのリバース/ノーマル切り替え』が実装されている。つまり、完全無欠のスキのない移植となったのである。ここから先の文章はアプデ前の情報なので、操作周りの問題点は改善されていると思って頂きたいのである。
---追記分終了---
スーパーマリオ64(概要)
まずは『スーパーマリオ64』である。オリジナル版は1996年にニンテンドウ64にて発売。タイトル画面では1997年の表記もあるが、コレは1997年発売の振動パック対応版(後述)を収録しているためである。
ピーチ姫からパーティに呼ばれたマリオだが、ピーチ城はクッパによって占拠されてしまっており、キノピオやピーチ姫たちは様々な絵画に閉じ込められていた!クッパを倒し、ピーチ姫を救うためマリオは絵画の世界を冒険する…というストーリー。
拠点となるピーチ城に飾られた絵画から15+αのコースに突入し、それぞれのコースに隠されたパワースターを集めていくことになる。基本的に1コースあたりに用意されたパワースターは7つで、入手条件も様々。一部はコース自体が隠されていたり、コース外で手に入る『おしろのかくれスター』などがあったりと、一筋縄ではいかない。
ピーチ城と各コースは箱庭のような作りになっており、いずれも自由な探索が可能。そのコースに入れるようになった時点でコース内のほぼ全てのマップにアクセス可能。
どのコースもかなり広く、シリーズおなじみの平原『ボムへいのせんじょう』や危険な溶岩地帯『ファイアバブルランド』等、バリエーションも豊か。仕掛けも独特なものが多く、特にサイズ以外がそっくりな二つの島を行き来する『ちびでかアイランド』や水位を上げ下げして謎の都市を回る『みずびたシティ』などは特徴的。
パワースターは全部で120枚だが、クリアに必須なのはそのうち70枚のみ。更に70枚所持してさえいればその内訳に関係なくラスボスに挑めるため、攻略の自由度はかなり高い。パワースターの中には取得難易度が高めのものもいくつかあるが、コンプを目指さない限りはそれらを無視してもいいのである。
マリオシリーズおなじみの変身も存在、ただし今作ではいつものファイアマリオなどは登場せず、空を飛べる『はねマリオ』、無敵かつ水中を歩ける『メタルマリオ』、そして壁をすり抜ける『スケスケマリオ』の3種のみ。いずれも特定エリアだけの能力だが、そのおかげで特別感がある。
マリオシリーズ初の3D作品だが、今作の時点で3Dマリオのベースは完全に完成していると言っていい。2Dマリオを3Dに落とし込んだと言わんばかりのシンプルな操作性はゲームに不慣れな初心者にも取っつきやすい。
全体的に高い完成度を誇る作品ではあるが、唯一のネックはカメラ。3Dゲーム黎明期であるため仕方ないとはいえ、今作のカメラシステムはかなり難がある。移動中にカメラが勝手に変な方向に向いてしまい、思った方向に移動できないことも稀にある。まぁそれも含めてのゲーム性と思えばさほどツラくはない。むしろ当時の3Dゲームとしてはこれでもマシな方である。
今作は『3Dマリオの金字塔』とも呼ばれており、3Dフィールドを自由に動き回れるゲーム性は当時のゲーム業界全体に多大な衝撃を与え、『バンジョーとカズーイの大冒険』や『キングダムハーツ』などハードの垣根すら超えて今作から影響を受けた作品は少なくない、まさしくレジェンドともいえる作品である。
今作のように『3Dフィールドを自由に歩き回り、ゲームの進行も自由に決められる』という作風は『箱庭マリオ』と呼ばれており、今でも根強い人気を誇る。
スーパーマリオサンシャイン(概要)
『スーパーマリオサンシャイン』は2003年にゲームキューブ向けに発売された3Dマリオシリーズ2作目である。
南国の島『ドルピック島』へバカンスにやってきたマリオ一行だが、そこではラクガキによって島の守り神『シャイン』が失踪するという大事件が発生していた。よりにもよってその事件の実行犯と人相が酷似していたため、マリオが逮捕されてしまう。ピーチ姫らによる証言もむなしく有罪判決を受けてしまったマリオは贖罪として、そして自身の濡れ衣を晴らすため、新たな相棒『ポンプ』と共に真犯人を追うこととなる…という物語。
冒頭からマリオが逮捕→裁判→有罪→収監の流れがハイスピードで行われる衝撃的な展開だが、ここに限らず今作の舞台『ドルピック島』は全体的に牧歌的な雰囲気が装われているものの、冷静に考えると住民におかしなポイント(マリオに八つ当たり・冤罪のまま放置・シャインを複数隠し持つ…等)が妙に多く、どこか闇を感じさせる雰囲気が特徴。
他作品に比べるといつもの見慣れたキャラ・デザインはそこまで多くはなく、マリオなどのメイン陣から雑魚敵に至るまで今作限定のデザインがかなり多い。例えばマリオの服装はノースリーブだったり、ピーチ姫の髪型がポニーテールとなっていたり。また、シリーズの雑魚キャラの顔ともいえるクリボー・ノコノコ・パックンフラワーは今作では不在であり、クリン・デンノコ・ボスパックン等の亜種が登場するのみとなっている。
純粋に過去作からそのまま続投しているのはテレサとプクプクくらいだが、それらもデザインが大幅に変わっている。ちなみに以降のシリーズでおなじみとなる『クッパJr.』と『キノじい』は今作が初登場である。(キノじいは近年ご無沙汰だが)
所謂『箱庭マリオ』の2作目であるため、今作でもほぼ全てのステージが箱庭構造となっている。今回の舞台は拠点となる『ドルピックタウン』と、そこから突入できる7つのエリアがメイン。
南国が舞台ということもあり、全てのエリアにリゾートらしいランドマークが用意されているのが特徴、華やかな遊園地『ピンナパーク』や豊かな別荘地『ビアンコヒルズ』など、シナリオの暗さからは想像もできない明るいエリアが多め。
単純なエリア数自体は64より少なくなってしまったが、その分マップごとの広さや作りこみはアップしている。例えばすべてのエリアに1~2つのアスレチック専用ステージが用意されていたり、『シレナビーチ』に至っては1つのエリアに『海岸』『ホテル』『カジノ』の3つのマップが存在していたりするため、探索のし甲斐は前作をも上回る。
なお、これらのエリアは全てドルピック島の一部であるため、各エリアの背景をよく見てみると別エリアのランドマークが見つかったりするのも今作独自の魅力、島の立地を考えながら冒険するのもまたオツである。
今作ではパワースターではなく全120枚のシャインをエリア内から集めていくことになる。シャインは1エリアあたりに基本的に11枚用意されており、そのうち8枚は取得するまでの流れに明確な『ストーリー』が用意されている。残りの3枚は隠し扱い。このため、シャインの数だけ専用のシナリオが存在し、ストーリー性を増すことによってより世界観に没入しやすくなっている。ただしその一方でシャインの取得順がほぼ固定されてしまったため、64と比べるとゲーム全体の攻略の自由度は下げられている。
ステージ自体の箱庭構造は相変わらずであるため、シャインに到達するまでのルートはプレイヤーが自由に選ぶことができる。簡単に言えば64は『複数用意されている目的地から、自由に好きな場所を目指す』、サンシャインは『目的地は明示されてる一つのみ、そこに行くまでの道のりは自由』といった感じだろうか。方向性こそ違うがどちらも箱庭だからこそできるゲーム性である。
マリオのアクションも基本は64を下地にしているものの、若干の変更が加えられたため、しゃがみや近接攻撃などの一部アクションができなくなっている。その代わりに新たに『ポンプ』を使った放水アクションが登場、基本的な放水の『ノーマル』、一定時間だけ空中に留まれる『ホバー』、超高度へ飛び立つ『ロケット』、高速移動の『ターボ』といった、様々なポンプの機能を扱いながらステージを探索していくことになる。また前作ではオマケ止まりだったヨッシーもメインで登場、一部ステージのみであるがマリオと一緒に冒険することができる。
マリオの操作にそのままポンプの操作が追加されたことで操作はかなり複雑化…のように見せかけて、ポンプの操作は右手人差し指のRトリガー一つにまとめられているため、シンプルな操作性は変わらない。特に空中制御が可能なホバーノズルの存在は大きく、多くの初心者を救済した。
オリジナル版の場合はGC特有のアナログトリガーをメインに扱っており、完全押し込みならその場に固定して狙い撃ち、そうでないなら押し込み具合によって水量の調整も可能である。ちなみにスティック一回転+Rで発動する『スプリンクラー』やジャンプ+R押し込みで発動する『ショットガン』等の上級テクニックも用意されており、初心者から上級者まで楽しめるようになっている。
ただし、それはそれとして難易度自体は普通に高い…というか本家マリオシリーズの中では通常クリア・コンプ共にかなり上位の難易度、3Dマリオに限ればおそらく最難関である。例えるならば3D版マリオ2というところか。
通常のステージ攻略はさほど難しくはないが、多種多様なアスレチックステージの難易度の高さは今でも語り草となっている。今作には『〇〇のヒミツ』というストーリーが数多く存在し、それらでは必ずアスレチックステージに挑むことになるのだが、なんと初回プレイ時はポンプが使用禁止となってしまう。
アスレチックではいずれも不安定な足場を乗り継ぎながら、ワンミスほぼ即死のエリアを連続して突破しなくてはならない。当然、ポンプがないためホバーなどを使った空中制御もできない。しかも近年の作品にあるような中間ポイントなども存在しない。おかげである程度シリーズに慣れたプレイヤーでないと最初のアスレチック(順当に進めれば3番目のステージ)すら苦戦することになる。
オマケに、ラストステージの解禁条件が『全エリアのストーリー7をクリアする』となっているため、『〇〇のヒミツ』に限らずストーリー7以前のステージは全てクリアする必要がある。(ごくごく一部の例外を除き)ストーリーを飛ばすことはできないので、ストーリー7までで一つでもクリアできないものが出てきた時点でラスボスにすら挑めなくなる。
『ヒミツ』系ステージ以外にも『マンタ』『おおすなどり』『大掃除』『マグマの海』といった初見殺し要素がわんさか存在するため、初見プレイヤーはクリアまでに数多のマリオの死体の山を築くことになるだろう。まぁコンプを目指すとその辺りがヌルゲーに思えてくるもっとヤバいのとか出てくるのだが…。
よって、今作は64の『誰でもクリアできるような難易度』から一転して、『ある程度以上のスキルを持ったプレイヤーしかクリアできない難易度』と化している。おそらく、当時でも今作をクリアできたプレイヤーは64と比べてかなり少なかったことだろう…。コンプまで行けたプレイヤーは猶更。
ただし、難易度こそ高いが理不尽というほど難しい箇所はそう多くはない。一般的に難所と呼ばれている箇所には全て安定した攻略法が用意されているほか、ポンプあり・ポンプなしの両方で問題なく成立するアスレチックステージのデザインはまさにお見事である。高難易度ではあるものの、ゲーマーが好むような『やりごたえ溢れる難易度』であり、クリアした時の達成感もかなりのものとなっている。
ちなみに豆知識だが、今作の『ヒミツ』は最低限ジャンプと壁キックさえ使えれば全てクリアできるように作られているので、難しく考えない方がクリアしやすかったりする。むしろヘッスラやスピンジャンプを使う方が難しくなる。
シナリオ・システム・雰囲気のすべてが異質な作品であるため、ファンの中でもかなり賛否が分かれやすい作風。難易度の件も相まってとにかく人を選ぶ内容だが、その分刺さる人にはとことん刺さる。プレイヤーのスキルや趣向によって今作の評価は『黒歴史』から『シリーズ史上最高傑作』にまでなりうるかなり挑戦的な作品である。(ちなみに自分は今作こそが3Dマリオ最高傑作だと思っています)
スーパーマリオギャラクシー(概要)
『スーパーマリオギャラクシー』は2007年にWii向けにリリースされた3Dマリオシリーズの3作目である。
ピーチ姫からキノコ王国の『星くず祭り』に招かれたマリオ、しかし星くず祭りにクッパ軍団が攻め込んできてピーチ城ごとピーチ姫をさらってしまう。彼女を救うためクッパ軍団を追うマリオだが、抵抗むなしく振るい落とされてしまう。
花畑で目を覚ましたマリオは、そこで謎の魔女『ロゼッタ』と出会う。彼女もマリオと同じくクッパの被害者であり、クッパの企みによって自分たちの船である『ほうき星の天文台』の動力源『グランドスター』を奪われてしまったらしい。ロゼッタに力を貸すことを決めたマリオは、新たなる銀河を創造しようとするクッパを止めるため、新たな相棒『ベビィチコ』と共に冒険に旅立つ…という物語となっている。
というわけで今度の舞台はなんと宇宙。マリオランド2やペーパーマリオシリーズで宇宙に行くこと自体はあったものの、全編通して宇宙を舞台とするのは今作が初。宇宙が舞台ということもあり、今作では本家マリオシリーズ史上最も壮大で大規模な物語が展開される。
キャラクターのデザインは独自要素多めのサンシャインから打って変わってマリオらしいものに戻ってきた。クリボーやパックンといったおなじみのキャラも登場。今作で初登場した『ロゼッタ』は以後のシリーズで準レギュラーとなる。ちなみに64とサンシャインで不在だったルイージは今作でようやく登場、とある条件を満たせばプレイヤーキャラとしても使用可能である。
今作の拠点は『ほうき星の天文台』、64やサンシャインの拠点に比べるとやや狭め。天文台には『キッチン』や『エンジン』などの施設があり、それらの施設から『ギャラクシー』と呼ばれる各ステージに飛び立つことができる。
ギャラクシーは複数の惑星で構成されており、星と星を繋ぐ装置『スターリング』を使い星々を渡り歩いていくこととなる。惑星の形状もバリエーションに富んでおり、オーソドックスな球体から、ロボットやマリオなど特定の形を模したものまで。惑星ごとに重力が異なることもあり、引力に引っ張られる事で他作では歩けなかったようなエリアに行くことも可能である。
マリオの操作感としてはサンシャインではなく64の延長といった形だが、当然新アクションも習得している。今作の代表アクションといえばやはりベビィチコの力を借りて発動する『スピン』である。スピンはその名の通りその場で回転するアクション、直接攻撃にも使えるが、空中で使うと少しだけ浮き上がったり、特定の場所で使用すると仕掛けが発動したりと色々な場面で使える。とりあえず困ったらスピン。
また、プラットフォームがWiiということでリモコンを画面に向けて扱う『ポインタ操作』も採用、ゲーム内のアイテムを集めたり、特定の仕掛けを起動したりできる。微調整はかなり難しいものの、直感的な操作ができるためかなり楽しい。
今回のキーアイテムは64とおなじく『パワースター』、今作では全部で121枚用意されている。一つのギャラクシーあたりに用意されているパワースターの数はまちまちであり、1枚しかないところもあれば、7枚近く用意されているところもある。
さて、重要なポイントだが今作は『3Dマリオシリーズの3作目』ではあるものの、『箱庭マリオ』の3作目ではない。64やサンシャインの路線とはまるっきり別物となっている。ギャラクシーごとにパワースターは複数用意されている…というところまではサンシャイン以前と同様だが、今作ではパワースターまでの道のりも殆ど固定されている。
そのため、『箱庭を探索する』のではなく『用意された3Dステージを進む』という作りになっており、ステージ攻略は事実上の一本道、本質的には2Dマリオシリーズのゲーム性に先祖返りしたものとなっている。
この路線変更については今でも賛否分かれるところもあるが、箱庭探索は『やれることが多すぎてどうすればイイかわからない』という問題点を孕んでいたのもまた事実。今作で一本道になったことで『頑張れば誰でもクリアできる』というマリオらしい難易度に回帰している。よって、今作に収録されている3作の中では最も初心者向けの作品と言っていいだろう。
基本クリアまでの難易度はかなり控えめ、クリアに必須なパワースター枚数は60枚まで減らされたうえ、球体型の惑星ステージが多いことで落下死の機会も少なくなっている。ただし、完全コンプを目指そうとすると難しいのは相変わらず。特にクリアに縛りが課せられる『いたずらコメット』や条件を満たすと挑戦できる『試練の銀河』はかなり厳しい。正真正銘、初心者から上級者まで楽しめるゲームに仕上がっている。
ただし一つだけ注意点がある、今作ではとにかく色々な方向に重力がかかるため、マリオが変な位置を移動したりカメラがあちこちに動いたりすることが非常に多い。これがどういうことを意味するかというと、とにかく酔いやすい。これはもう個人差とかそういう問題なので、3Dゲームへの耐性がない人はちょくちょく休憩を入れながらプレイすべし。
オリジナル版のバージョン差
さて、収録されている3作品の解説を終えたところだが、続いてはもう少しディープな話題を語ることにしよう。ある程度濃いファンなら有名な話だが、3Dマリオシリーズはバージョンによる違いが非常に大きい。当然、今作に収録されている3作品のオリジナル版にもバージョン差というものがあり、最初に発売されたバージョンと、最後に発売したバージョンとでは別物レベルの違いがある。今度は3作のバージョン違いについて語っていく。
まずはスーパーマリオ64だが、こちらは大きく分けて初期版・海外版・振動パック対応版の3バージョンが存在する。まず最初に日本で初期版が発売されたのち、海外で初期版を改良した海外版が発売された。海外版はマリオとピーチ姫にボイスが追加されたほか、一部小物などのデザインが変更されている。そのあと、海外版を日本向けに逆輸入したうえで様々なバグを修正し、振動パックに対応させ発売したものが振動パック対応版である。なお、海外版はその名の通り日本では流通しておらず、初期版と振動パック対応版はパッケージデザインからして別物であるため、こちらのバージョン違いについてはかなり有名である。
(ちなみにDS版もあるのだが、こちらはシステムの根幹から別物なので今回は触れない)
続いてはスーパーマリオサンシャイン、サンシャインは大きく分けて日本初期版・日本後期版・海外版の3種類が存在。まず日本向けに最初に流通したのが日本初期版、その後細かな改良を加えたのが日本後期版、最後に日本後期版に追加要素を加えたのが海外版である。64では海外版の改良をしたものを日本向けに販売していたが、サンシャインは逆に日本版を改良して海外向けに販売したことになる。日本初期版と後期版の違いは明白で、再現性のあるフリーズや壁抜けが修正されたほか、SEやサウンド回りに大幅な変更/追加が行われた。一部局面に至っては新BGMまでもが用意されている。更にゲームバランスにも手が加わっており、溺死が起こりにくくなったほか、シレナビーチの難易度が大幅に引き下げられている。この通り日本初期版と日本後期版の差は非常に大きいものだが、一方で日本後期版と海外版との差はほぼ存在しない。せいぜいドルピックタウンの各所にフルーツが配置されたことでヨッシーが使いやすくなったくらいである。
(海外版はここから更にリージョン差があったりするらしいのだが、触れてくと大変なことになるのでスルー)
64のバージョン違いについてはかなり有名だったが、サンシャインのバージョン違いについてはほぼ知る人ぞ知るレベルであった。というのも日本国内におけるバージョン差がパッと見ではわからず、生産・出荷された時期によって変わるためである。一応ディスクが手元にあれば裏面に刷られているIDで判別は付くものの、そんなところを見るのはよほどのマニアくらいなので…。
(ちなみにGCソフトは全てこの方法でバージョンを確認できる。スマブラDX等の例がとくに有名)
最後にスーパーマリオギャラクシー、コチラは前2作と打って変わってバージョンによる差がかなり少ない、当然国ごとに僅かながらの違いはあるのだが、全てのバージョンにおいて内容はほぼ共通である…少なくとも、Wiiでリリースされたバージョンは。実は一つだけ他と大幅に違うバージョンが存在する。それこそが中国版である。基本的にスーパーマリオギャラクシーはWii版と中国版の二つに大分することができる。
中国版についてだが、実は中国では当時のギャラクシー(というかWiiそのもの)は発売されず、実際にリリースされたのはWii版から11年後の2018年のこと、プラットフォームもWiiではなくNVIDIA SHIELDである。NVIDIA SHIELDはWiiの目玉機能であるリモコンやポインタ操作には非対応であるため、そういった操作を別の方法に置き換えている。具体的には『リモコンを振る』等の操作をボタン式に変更し、『ポインタ操作』は画面タッチとなっている。
操作体系が置き換えられたことで、直感的な操作(特にポインタ)がやりづらくなってしまったが、その一方でWiiよりも高性能なハードでのリリースということで新たにHD画質までサポート(Wii版はSD画質)されているなど、Wii版と比較すると一長一短の内容となっている。
ただしそれ以外の要素は殆どWii版と同じ内容である。これといった追加要素もない。あくまでWii以外でも遊べるように調整されているだけである。
本題(スーパーマリオ3Dコレクション)
主なバージョン違いについてもこれにて解説できた。
さて、本当に長くなってしまったが、ここからが本題である。今作、『スーパーマリオ3Dコレクション』についての解説を再開するとしよう。
最初に触れたとおり、今作では『64』『サンシャイン』『ギャラクシー』が収録されている。より厳密にいえば今作に収録されているのは
『スーパーマリオ64 振動パック対応版』
『スーパーマリオサンシャイン 海外版』
『スーパーマリオギャラクシー NVIDIA SHIELD版』
となっている。
バージョン差の項を読んでいただければわかる通り、いずれのバージョンも各作品で最後にリリースされたバージョンである。基本的に後期に発売されたバージョンであるほどバグ修正が徹底されていたり、追加要素があったりするため、これらのバージョン収録は妥当である。
ちなみに、海外版仕様のサンシャインとNVIDIA SHIELD版仕様のギャラクシーが日本向けにリリースされるのは今回が初である。(逆に振動パック対応版仕様の64が海外にリリースされるのも初)
収録に際し一部修正や高解像度化がなされているため、実質的には3作のリマスターと言えるだろう。ちなみに『リマスター』であって『リメイク』ではないので作品そのものにこれといった追加要素はない。
リマスターということでグラフィックはより美麗になっている。まぁ元が4世代~2世代前のゲームなので『とんでもなく高画質!』というわけではないが、やはり当時を遊んでいたプレイヤー視点だとなじみ深い世界がクッキリと映るのは嬉しいものである。
ちなみにコレクションでのゲーム中の解像度は64が『960×720(HD画質)』、サンシャインとギャラクシーはTVモードだと『1920×1080(フルHD画質)』、携帯モードだと『1280×720(HD画質)』である。64は常時HD画質、サンシャインとギャラクシーは最大でフルHDとなる。更に、サンシャインに限っては画面サイズが4:3から16:9に広まっているため、よりプレイしやすくなった。
収録に際して操作方法は大きく変更された。元々の操作体系が近いギャラクシーに関してはNVIDIA SHIELD向けに用意されたタッチ操作にWii版のポインタ操作をミックスさせたものとなっている。携帯モードではNVIDIA SHIELD仕様、TVモードではWii仕様と考えてもらえればいい。前者は繊細な操作向き、後者は直感的な操作向きである。
64はボタン配置の近い『64DS』のような操作方法、64の配置に慣れていると若干違和感もあるが、『64DS』をプレイしていたならばすんなり入れる。まぁ慣れれば特に問題ないだろう。
若干厳しめなのがサンシャインで、当時1ボタンでの操作だった『ポンプ』アクションがR/ZRの二つのボタンに分割されている。これはアナログトリガーに該当する機能がスイッチ(というかGC以外の全てのハード)に備わっていないためである。完全押し込みがR、途中押し込みがZRとなっており、水量の微調整などはできなくなった。このおかげでサンシャインのみは操作感がオリジナルとかなり違う。
まぁ操作に関してはそれ以上にヤバい問題を抱えているのだが…これはまた後述する。
基本的に丸ごとそのまま収録しているため、当時該当のバージョンで使えたバグ技はそのまま使用可能。言い換えれば当時の時点で修正されているBLJ(通称ケツワープ)やヨッシー天井抜け(透明タウン)などはできない。ただしそれ以外の部分は問題点も含めてまるまるそのまま。サンシャインで顕著だったとある場面での壊れたテクスチャ/おかしなテクスチャなども残っている。
ただし、完全にベタ移植かというと、それも違う。
例えばUIなどで指定されるボタンのデザインや内容はスイッチ用のキーコンに合わせたものに変更。ご丁寧に専用の新しいフォントまで用意されている。
チュートリアルがフルボイスのムービーで進行するサンシャインはどうなるのかと思われていたが、コチラはオリジナル版の『R Button』というボイスから『R』の部分を消し、『Button』という汎用的なボイスにして再生する大胆な力業で対応していた。なお、字幕ではボイスと違い普通に『ZRボタン』のように表示されるため、これでも一応意味は通じる。
その他、ネタバレなので詳細は伏せるが、ギャラクシーにおける『Wii伝言板』を利用したギミックはゲーム内演出+スイッチの機能を組み合わせた方法で再現されていたりする。
更に全体的なロード時間の高速化が図られている。暗転ロードなどの時間を比較すると一目瞭然、オリジナルでもロード時間はほぼ感じられないほど短かったが、今作ではさらに短くなった。
コレクションを起動するとゲーム選択画面に入るが、ここでプレイするゲームの言語を選択することも可能。基本的に後に出た作品ほど対応言語は多い。
対応言語の内訳は以下の通り
・64(5言語)
日本語,US英語,UK英語,フランス語,ドイツ語
・サンシャイン(7言語)
日本語,US英語,UK英語,フランス語,ドイツ語,スペイン語,イタリア語
・ギャラクシー(10言語)
日本語,US英語,UK英語,フランス語,カナダフランス語,ドイツ語,スペイン語,ラテンアメリカスペイン語,イタリア語,韓国語
言語はいつでも変更可能、たまには言語を変えてプレイしてみると微妙なニュアンスの違いとかで楽しめるかも。ちなみに言語を変えてもセーブデータは共通なので、途中から別言語にすることもできる。
ただし、言語を変えてもゲーム内テキスト以外には何も変化がない。例えば64をUS英語設定にしたところでBLJ(ケツワープ)をできたりはしないし、サンシャインを日本語設定にしたところで草原アスレチックのフリーズバグを起こせたりもしない。
そして目玉要素の一つがサントラの収録である。マリオシリーズといえばやはりハイクオリティなBGMも魅力の一つ、当時からどの作品もBGMで一定の評価を得ていたのだが、ゲーム内にサウンドテスト等といった気の利いた要素は存在せず、じっくり聞くことができなかった。
今作では新たに64・サンシャイン・ギャラクシーのサントラをまるごと収録!今でも通じる人気曲を余すことなく堪能することができる。特にサンシャインはサントラが発売していなかったため、全曲の音源化は今回が初である。(単曲のみの収録はあった)
ほかのサントラと同様、サンシャインはほぼ全てのBGMが1ループの収録だが、ドルピックタウンやリコハーバー等、ヨッシーのパーカッション付きバージョンが存在する場合は1ループ終了後にそちらのバージョンが流れ出す。なので一部は実質2ループでの収録、ヨッシー版を単体で聞くことはできない。また、あくまでサンシャインのサントラで聞けるのは『ゲーム中で流れるBGM』だけなので、オリジナルに没データとして存在していた『アスレチック(パーカッション付き)』や『マーレのいりえ(パーカッション付き)』は未収録。(欲を言えばこの辺も欲しかったなぁと)
音源化が既に行われている64とギャラクシーはサントラを丸ごと収録している。サントラの実物は64は流通量が極端に少なく、ギャラクシーは今は亡きクラブニンテンドーの会員限定商品であったため、超ド級にプレミアがついており、今回の収録はサントラを持っていない人にとってはありがたい。もちろん、64のサントラに限定収録されたオリジナルアレンジ曲も収録されている。
サントラ機能は各種ゲームから独立しており、ゲーム選択画面のメニューから聞くことができる。選択画面にあるサントラのマークはいずれも当時のサントラのデザインそのままである。(サントラが存在しないサンシャインのみはキービジュアルの流用)
ただし、問題点がないわけではない。
特にサンシャインの移植が若干雑なのが気になるところ。
一番バグの少ない海外版の収録のはずなのだが、なぜかオリジナル版に比べてかなり壁抜けが発生するようになっている気がする。少なくとも壁抜けを狙ったプレイはしなかったはずだが、今回120枚集めるまでの間に、オリジナル版じゃありえない箇所で壁抜けが発生し、理不尽にミスしたことが4回ほどあった。特にアスレチックなどでは結構な頻度で壁抜けが起こる。あくまで体感的な話なので自分の運が悪かっただけな可能性もあるが、明らかにオリジナルよりも頻度は高い。
更にエミュレーションの都合なのかとあるステージのアスレチックでオリジナル版のデバッグ用オブジェクトがそのまま表示されてしまっている。これに関してはステージの雰囲気も相まって、今作からのプレイヤーなら違和感もなく、『ステージの背景かな?』と思うだろうが、オリジナル版をやりこんだプレイヤーほど違和感を抱くことになる。
まぁサンシャインの移植度に関しては最早揚げ足取りに近い部分もかなりある。単純に初移植ということで必要以上に期待値が上がってしまっているというだけである。
(自分はサンシャインで3Dデビューし当時何周もプレイしているため他作品より思い入れが強い分厳しい目で見ているのもある)
最大の問題点はやはり操作体系である。64・GC・Wiiというまるっきり違うハードの3作を一つにまとめているため、当然ながら違和感が生まれてしまう。
特に『何故かカメラ操作が反転している』という点。64・サンシャイン・ギャラクシーの3作はいずれもオリジナル版ではカメラ操作がリバース固定となっていたのだが、どういうわけか今作からノーマルに統一された。
うち64とギャラクシーはそもそもカメラがいうほど自由に効くわけではなく、主観操作も趣味の領域であったため、そこまで影響はないのだが、ここで問題になるのがサンシャイン。サンシャインは『主観視点/位置固定で敵を狙い撃ち』という局面が全編通して非常に多く、この際にカメラを操作する必要があるのである。
オリジナル版当時のノリで操作してしまうと、思ったように狙いを定めることができず、一方的に敵にやられてしまう。オリジナル版ではカメラ操作のコンフィグが存在せず、リバース操作で固定であったため、当時のプレイヤーほどコレクション版のサンシャインは操作がやりづらくなってしまっている。
強制的にリバース操作固定だった当時の仕様がおかしかったのは間違いないのだが、だからってノーマル操作固定で反転設定すらできないのはそれはそれで問題である。原作そのままにするか、デフォをノーマルにするなら設定でリバースを選べるようにもしてほしかったところである。
(カメラのリバース設定が不可能なのはサンシャインに限らず3作全てにいえる問題)
操作性の面においても64とギャラクシーは好みの範疇に収まっているものの、かなり複雑な操作や独特な仕様を持つサンシャインはやっぱりモロに皺寄せが来ており、オリジナル版と比較するとかなり無茶苦茶なキーコンとなってしまっている。
マップ表示のボタンが真逆の位置(Z→ZL)になったのはまだしも、頻繁に使う主観切り替えが突発的に押せないボタンに変わった(Y→Rスティック押し込み)ため、全体的にボス戦の難易度が上昇している。また、細かい点だが会話に使うボタンも変わった(ヘッスラ→ジャンプ)ため、『会話位置をジャンプで微調整する』という一部アスレチックで重要なテクニックが使えなくなり、これまた意図しない方向に難易度が上がっている。
なお、前述したようにゲーム中最も使うことになるであろう放水(R→R/ZR)が二つのボタンに分割されたため、ゲーム全体の操作感もかなり違う。ただ、こればかりはGCコンの独自仕様の問題であるため、仕方ない面も強い。ハッキリと『固定』『少量』が切り替えられる分、初心者向きになったともいえる。自分としてはオリジナルの方が直感的だと思うが、一方でショットガン等の上級テクニックは今作のキーコンの方が扱いやすいと感じた。つまり好みの問題である。
ちなみにスイッチはスマブラ用の接続タップを利用することでGCコントローラを使用することができるのだが、今作でGCコンを使おうとしてもPROコンとして認識されてしまい、無茶苦茶なキーコンはそのまま、それどころかボタン数が足らないのでクリアすらできなくなる。
(まぁ今作がGCコン非対応なのは発売前から発表されてたので当然だが)
よってサンシャインの操作は『オリジナル版をやりこんだプレイヤーであればあるほど違和感を覚える代物』に仕上がってしまっている。当然、今作単体としてみれば特に問題はないと思うが、オリジナル版と比較すると違和感しかない。オリジナル版のプレイヤーは一度当時の操作を頭から外してコレクション版をプレイした方がずっと遊びやすいだろう。
なお自分はコレクション仕様のキーコンに関してはシャインを120枚集めきる頃にはある程度慣れて使えるようになっていたが、カメラ操作に限っては最後の最後まで混乱したままであった。
目玉要素の一つであるサントラ機能もありがたいと言えばありがたいのだが、欲を言うと物足りない。曲を自由に聞けるのは嬉しいし、収録楽曲のクオリティにも申し分ない…が、サントラ機能として見た場合は明らかに機能が少ない。いや聞けるだけでありがたいんだが、流石に再生(最初から)と停止しかできないのは不便である。ループ再生にも非対応であるため、『同じ曲を連続して聞きたい!』という時もいちいち再生しなおす必要があり実に困る。
まぁこんなところまで気になるのは自分のようなメンドクサイマニアだけなので、一般的な人が遊ぶ分には問題ないと思われる。操作性も『やっていくうちにそのうち慣れる』という面が強く、今作からの新規プレイヤーならば特に気にならず受け入れられるだろう。
何より、収録されている3作はいずれも当時大人気だった傑作揃い、そのうち1本でも未プレイの作品があるならば今作は買いなのである。
今作はDL版・パッケージ版共に2021年までの期間限定販売、少しでも気になっているのであれば手を出してみるのが吉なのである。
----------------余談-------------------
さて、ここからは余談中の余談、ゲームの直接評価に響かない内容かつ、信憑性が100%とはいえないアングラな部分について語るのである。
風のうわさ(歪曲表現)で来た情報によれば、どうやら今作に収録されている3作品はいずれもエミュレータによって動作しているらしい。
先に注釈をつけておくと、自分は『エミュレータとか手抜きじゃねーか!』とか言うつもりは一切ない、というか手が加わってるエミュは手抜きとは呼ばない。むしろ『エミュレータなのか!(歓喜)』と喜んでる側である。
これまたディープな話題になるのだが、3作のうち『エミュで動作するマリオ64』に関しては今更珍しくとも何ともない。WiiやWiiUのVCで配信されたマリオ64も同じくエミュ動作だからである。
(コレクション版はUI変更や多言語対応など手が加わっているが)
ここで重要なのはむしろサンシャインの方である。
『サンシャインだってエミュなら64と変わらないんじゃないの?』と思うかもしれないが、それは違う。よく考えてみてほしい、サンシャインが移植されたのは今回が初である。もっと言うとゲームキューブ向けソフトがほぼ当時そのままで移植されたのも今回が初。これで理解していただけたであろうか。今作は『ゲームキューブのソフトは配信されない』という、多くのゲーマーが諦めて受け入れていた事実を真っ向から否定してみせたのである。
ある程度熱心なゲーマーは知っての通りだが、ゲームキューブは(さほど期間の空いていないWiiUを除き)任天堂の主流据置ハードのうち、互換性が失われて以降そのままの復刻が一度たりとも行われていない。
(互換性があった時代は『Wiiであそぶセレクション』なんてのもあるにはあった)
64やWiiなど、前後の世代のタイトルがVCやDL版販売などで復刻される傍ら、ゲームキューブのソフトだけはゲームキューブ(と互換性のあるWii)以外のハードではプレイできなかったのである。
その理由は至極単純で、『任天堂公式のGC用エミュレータが存在しなかったため』である。まぁ根本的にこれまで任天堂がGCエミュを作らなかった(or作っても世に出さなかった)理由については不明だが、このおかげでGCだけは飛びぬけてプレイ環境の構築が厄介になり、更にソフトの出荷数自体が(他世代に比べ)多くなかった結果、GCソフトそのもののプレミア化につながり、GC向けソフトのファンはオススメしようにも中々できない状況にあったのである。(エアライドやFE蒼炎などは有名な例)
そんな中発売された今作『スーパーマリオ3Dコレクション』のスーパーマリオサンシャイン、確かにエミュレーションについては前述したとおり64/Wiiに比べると完璧とは言い難かった(デバッグ表示・頻発する壁抜け等)が、何よりも今作が世に出たことで『任天堂が公式にゲームキューブ用タイトルの復刻ができるようになった』という事がハッキリしたのは素晴らしい。
操作性(キーコン)周りについて自分はさんざん文句を言っていたが、今作がこうなってしまったのは9割がた『GC独自のアナログトリガーを利用していたせい』であり、言い換えれば『アナログトリガーの独自機能を使わないタイトルであれば当時そのままの移植も可能』であるという事実に他ならない。ちなみにGC特有のアナログトリガーをメインに使ったタイトルはさほど多くないため、大抵のタイトルなら復刻の目が見えてきたといえよう。
(有名どころでアナログトリガーを使っているのはせいぜい『スマブラDX』くらい)
ちなみにギャラクシー…つまりWiiもエミュだが、こちらはスイッチの機能を前提とした『スイッチ専用Wiiエミュ』のようなものとなっているらしい。スイッチ以降のゲームハードが出るであろう将来のことを考えると、今の時点ではなんとも言い難いが、少なくとも今世代でもWiiのDL版の配信が可能である可能性は普通にあり得ると言える。
旧世代ゲームハード…とりわけGCファンにとっての希望の星、それこそが今作『スーパーマリオ3Dコレクション』だったのである。まだ希望的観測の段階であるが、今後GCタイトルのVCなり配信なりが行われることを祈っているのである!