いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

PAC-MAN MUSEUM+(パックマンミュージアムプラス)

ナムコ(NAMCO)といえば黎明期から数々の名作でゲーム業界を支え続けた老舗オブ老舗である。アーケード・コンシューマの双方で歴史に名を遺す名作を大量に排出してきたということもあり、ナムコ系作品は過去様々な復刻が行われてきた。諸君らとてナムコミュージアムナムコアンソロジーなどでナムコのゲームに初めて触れたという人も少なくなかろう。今宵語る作品もある意味ではそのナムコミュージアム』の延長にあたる作品である。

というわけで2024年最初のゲーム記事ではPAC-MAN MUSEUM+(パックマンミュージアムプラス)について語っていくとしよう。プラットフォームはNintendoSwitch/PS4/One/Steamと幅広い。移植を手掛けているのは過去にナムコミュージアム』シリーズアーケードアーカイブス』の初期作品を手掛けてきたゴッチテクノロジーが担当。ナムコ系の移植であればおなじみのところである。

本作はそのタイトルから察せられるようにナムコミュージアム』のパックマン超特化バージョンパックマンシリーズ自体は過去何度かナムコ系コレクションに収録されたこともある…というかほぼ皆勤賞だが、本作ではその名に違わず収録作品は全てがパックマン!本家のAC作品にCS作品、年代も古くは1983年から新しいモノでは2015年までこれまた幅広い。

より厳密にはかつてPS3/360向けに配信されていた『パックマンミュージアムに追加要素をプラスしたコレクション作品が本作である。プラットフォームを跨いでしまっているため、扱いとしてはパックマンミュージアム(無印版)』と『パックマンミュージアム+(本作)』はそれぞれ別のゲームとなる。なお本作発売に際して無印版の配信は終了してしまったらしい。

本作最大の特徴は『自分にとっての理想のゲームセンター作り出せる』という点にある。本作ではゲームの選択画面にあたるものがゲームセンターとなっているのだが、プレイヤーはこのゲームセンターの内装を自由にカスタマイズできるのだ。ゲームセンターには最大70個のインテリアと壁紙・床を設定可能。壁紙にはキャッチーなものだけでなく『初代パックマンの256面バグ』Atari 2600版パックマンを模したものなどわかる人にはわかるマニアックなものも混じっていたり。

ゲームセンター内には各種ゲーム筐体はもちろんのこと、(特に意味はないが)パックマンの像や両替機を設置したり、ベンチやテーブルで休憩スペースを作ったりできる。昨今のファミリー向けな明るめのゲーセンを作り出すもよし、ひと昔前のアングラな薄暗い治安の悪いゲーセンを再現するのもまたよいだろう。

ほかにも『ジュークボックス』を配置しているのであればゲーセン内のBGMを自由に流すこともできる。BGMは収録タイトルの原曲全て+本作オリジナルのアレンジ楽曲と中々に豪華。ゲーセン内に配置できるインテリア群は自販機やガシャポンから入手可能。どうでもいいがガシャポンバンナム(バンダイ)の登録商標なのでゲーム内でこの名前が出てくるのは結構珍しかったり。

さてさて、プレイヤーは自らがカスタマイズした理想のゲームセンターをパックマンで歩き回ることができる。『ゲーム筐体』の前に立てばもちろんゲームもプレイ可能。このシステムの都合上、コレクション系のゲームとしては若干各種ゲームへのアクセスが煩雑なのが否めないが、そこはロマンとのトレードオフである。

自販機・ガシャポン・ジュークボックスを除くとインテリアに副次的な効果などは全くないため、極論を言ってしまうとゲームをプレイするだけであれば筐体を8種類配置するだけでよかったりもする。でもズラッと同じ筐体が並んでいるのを見るとテンションが上がるのがゲーマーの性ってヤツなのでいっぱい並べたくなっちゃうよね…。

バンナムのゲームではないのだが、かつてどうぶつの森』の初期作品(64・+・e+)にてファミコン家具を集めて自宅にズラッと並べていたようなプレイヤーならば本作の内装カスタマイズ機能がを気に入ること間違いなしであろう。もちろん我にはド直球でぶっ刺さりましたとも。

さて本作では初回起動時にゲーム内で使用できる『コイン』が500枚支給される。コインは先に挙げた自販機・ガシャポンでのインテリア入手に使用するほか、各種ゲームをプレイするときのクレジットとして使用可能。ゲームのプレイ終了後はその時々のスコアに応じてコインが獲得できる。

ちなみにプレイにクレジット投入(コイン消費)が必要なのはアーケード作品だけ+コイン不要のCS作品をプレイした際にもコインが獲得できるため、『素寒貧になって詰む』というケースは全くないからご安心あれ。また後述する『ミッション』を全制覇すると『ゴールドパス』が入手でき、以後は全てのクレジット投入が無償…要はフリープレイとなる。…ぶっちゃけゴールドパスを入手するころには大概のプレイヤーが溢れんばかりのコインを獲得しているためありがたみが薄いのはナイショ。

まぁそんなこんなでここからはコレクション作品としては何よりも大事であろう収録タイトルについてのオハナシである。

パックマン(AC/1980)
スーパーパックマン(AC/1982)
パック&パル(AC/1983)
パックランド(AC/1984)
パックマニア(AC/1987)
パックアタック(SNES/1993)
*パックインタイム(SFC/1995)
*パックマンアレンジメント ACバージョン(AC/1996)
パックマンアレンジメント CSバージョン(PSP/2005)
パックマン チャンピオンシップ エディション(360/2007)
*パックモトス(Wii/2007)
*パックンロール REMIX(Wii/2007)
パックマンバトルロイヤル(AC/2011)
*パックマン256(iOS/2015)

本作の収録タイトルは上記の14作品、括弧内はプラットフォームと稼働/発売年を示している。米印が本作(パックマンミュージアムプラス)で新規収録となった作品である。元々の無印版の時点でアーケード作品をほぼほぼ収録していたため、本作ではCS作品のフォローが中心といった感じである。

パックマンの存在感を不動のものとしたドットイート作品はほぼ全て網羅されている。誰もが知る1作目パックマン一風変わったパワーアップシステムを導入した『スーパーパックマンNPCキャラのミルをうまく活用して優位にゲームを進める『パック&パル』基板の性能向上により3Dかつクォータービューとなったパックマニア…と時代順にプレイしていけばパックマンシリーズの進化を感じられることだろう。ドットイート型パックマンの到達点ともいえるパックマンチャンピオンシップエディション』をプレイするころには感慨深い気持ちにもなるはずだ。

80年代作品では唯一毛色の違うパックランドはかの『スーパーマリオブラザーズ』の開発に影響を与えたとされる横スクロールアクションの革命のひとつ。これまた歴史的に超重要な一作なのは言うまでもない。ちなみに元々のパックランドは黎明期ゆえか右移動・左移動・ジャンプをボタンで操作する変則的な操作体系となっていたが、本作に収録されているものだと左右移動が十字ボタン入力に変わっている。そして後述のキャラ差し替えが行われている作品のひとつでもある。

4人プレイ前提のパックマンバトルロイヤル』など、一部の作品はマルチプレイにも対応している。ソロプレイ時にはCOMがライバルとして出てくるのでぼっちでも安心である。…まぁ出てくるCOMは1人だけなのでやっぱり寂しいといえば寂しいのだが…。

同じく対戦プレイに対応している『パックアタック』は日本だとコズモギャング・ザ・パズルというパックマンシリーズとは無関係の作品としてリリースされていた落ちものパズル。やはりこの時代のパズルゲームは海外に輸出される際にキャラ差し替えを食らうものらしい。細かい点を挙げるとこの作品は無印版だとGENESIS版(北米メガドラ)のものだったところ、本作だとSNES版(北米SFC)に変わっているため、コレも内容はほぼ同じだが新規収録といえるかも。

新規収録タイトルのひとつパックマンアレンジメント ACバージョン』は元々アーケードの『ナムコクラシックコレクション Vol.2』限定で収録されていたパワーアップ版であるが、完全移植は日本だと本作が初である。原作のND-1基板*はいくつ現存しているかわからないブツなので本当にありがたい。もちろん同名ながら別物のPSP版『ナムコミュージアム』に収録されていたバージョンパックマンアレンジメント CSバージョン』としてプレイ可能である。

*ND-1基板
1995年にナムコが開発したアーケードゲーム基板。
システム基板とゲームが一体化しており、ゲームの切り替えは不可能。
この基板のゲームは『ナムコクラシックコレクション』の1と2のみ。
どちらも過去のナムコ作品の移植+現代版アレンジの詰め合わせ。
JAMMA規格なのでコントロールボックスさえあれば動作可能。
我もかつてとある喫茶店にて一度だけVol.2をプレイした記憶がある。
余談だが実はコレのVol.1は数少ない我が所有しているゲーム基板だったりもする。
(会社から貰ったものだが長期間に渡って通電してないので死んでるかも…)

『パックモトス』は同じくナムコのアクション『モトス』をベースにした作品でおはじきの要領で敵を倒していく。『パックンロール REMIX』はDSにてリリースされた『パックンロール』のリメイクで『マーブルマッドネス』や『スーパーモンキーボール』に近いボール転がし3Dアクションである。この2作は名前すら聞いたことがないという人も多いかもしれない。それもそのはず、この2作はWiiの『みんなで遊ぼう!ナムコカーニバル』にのみ収録されていたオリジナルゲームである。もちろん復刻は今回が初。ちなみに仕様上スタッフロールで本作には収録されてないディグダグゼビウスが映ってたりしてるが気にしてはいけない

2D横スクロールアクションの『パックインタイム』Wii/WiiUのVCでも配信されていなかった作品ゆえ、本作がおそらく初の復刻となる。難易度的にやや粗も多いがパックマンならではのシステムも残しつつステージ探索の面白さを追求した内容なのでぜひともプレイしてみてほしい。ちなみにストーリー的には同じくSFC『ハロー!パックマン』の続編なのだが、そっちは残念ながら未収録である。シリーズでも随一のアレ(独特)な作品なので収録されてても反応に困るがちょい残念。

収録タイトルの中では最も新しい2015年リリースのパックマン256』は初代パックマンの256面バグをパロった作品で、バグの海からひたすら逃げ続けるエンドレスゲーム。新しめの作品ということもあり結構なやりこみ要素が用意されており、ぶっちゃけこれだけでも相当なボリューム感を感じられる。

というわけで本作ではこのバラエティ豊かな14作品を余すことなく楽しむことができる。ドットイート作品は言わずもがな、2Dアクションに落ちものパズル、3Dアクションといった幅広いジャンルをコレ一本で網羅されているというのだから満足できる。パックマンシリーズに触れたことのない人でもお気に入りの作品がきっと見つかるハズ。

ちなみに現在では本作がリリースされたプラットフォームであるNintendoSwitchにて収録タイトルのうちパックマン』『スーパーパックマン』『パック&パル』『パックランド』『パックマニア』の5作品PS4ならばこれに『パックマン256』を加えた6作品が単品でリリースされているものの、本作の定価は2,400円という結構なロープライスなのでそれら全てをまとめ買いするよりもはるかに安上りなのも嬉しい点。
(後述するようにディップスイッチ関係はアケアカの方に軍配が上がるが)

収録タイトルにまつわる問題点としてよく挙げられるもので『Ms.Pac-Man(ミズ・パックマン)』に関わる要素が悉く抹消されている点はどうしても触れぬわけにはいかないか。Ms.パックマンとは初代パックマンをアレンジしたゲームタイトルであり、またその作品の主人公の名前でもある。

ゲームとしての『Ms.Pac-Man』は無印版ミュージアムではDLC扱いで収録されており、またキャラとしてはパックマンとの家庭を築き上げゲームセンターの『マリオカート アーケードグランプリ』へのゲスト出演も果たすなど存在感・知名度共になかなかのものであった。

だが本作パックマンミュージアム+』では一転して『Ms.Pac-Man』の収録はされず、またパックランド』『パックインタイム』でMs.パックマンが登場する場面では誰も知らない『パック・マム』という謎の存在に置き換えられてしまっている。あろうことかパックマン夫妻の息子と娘と飼い犬すら別のキャラにされているあたり『一片たりともMs.パックマンの痕跡を残さない』という固い意思すらも感じられるほどである。

(『ARCADE GAME SERIES Ms.Pac-Man』)

これについて公式のアナウンスはないため大部分が推測となってしまっているが、『Ms.Pac-Manの権利を継承したAtGames』パックマン自身の権利元であるバンナムとの間で訴訟沙汰になった経緯が絡んでいるのではないかと言われている。そもそもなんでMs.Pac-Manの権利がバンナム側にないのかという点についてすっごくシンプルに触れると『Ms.Pac-Man』自体がナムコに無断で開発されたクローンゲームに後からライセンスを与えた作品であり、権利の全てをバンナム側が持っているワケではなかったのだ。その後に訴訟沙汰になるまでの流れはほんっとーにメンドクサイ話なので各自ググって頂きたいところ。ちなみに各種CSオリジナル作品も網羅されているなか『ハロー!パックマン』が未収録なのもコレが原因なのだと我は推測している
(ハロー!パックマンは条件を満たすとMs.パックマンが遊べるため)

なおこのせいで現行ハードで『Ms.Pac-Man』が遊べなくなった…訳ではなく、それはそれとして現行機向けには『ARCADE GAME SERIES』という単品でアーケード作品を配信しているシリーズがあり、Ms.パックマンもそのラインナップの1つに含まれているので、別ゲーム扱いではあるが引き続き同一プラットフォームにパックマンとMs.パックマンを両立させることは不可能ではない。

閑話休題、ここからはやりこみ要素のオハナシ。本作では各種タイトル側にあるやりこみ要素とは別に、本作独自の『ミッション』というものが用意されている。ミッションはひとつのゲームあたり10種類-20種類があり、簡単なものでは『特定のタイトルをX回プレイする』『ゴーストを累計X匹食べる』のようなシンプルなものから、難しいものだと『(パックマンで)15ラウンド突破』『(パックマン256で)10種類のアイテムをレベルMAX育成』『(パックマンCEで)一定以上のスコア達成』などなど経験者でもやや厳しいものが登場したりも。

ミッションを達成するとその報酬としてゲームセンターに飾れるインテリアやジュークボックスで流せるBGMも増えていったり、ゲームセンターにパックマンの家族やゴーストたちが遊びに来たりするようになる。理想のゲームセンターを作り上げるためパックマンシリーズを極めるべしである。…まぁアーケード作品のモノは中断セーブ機能を活用すれば突破口は見えてくるから大丈夫。シンプルに腕前が求められるパックマンCEやパックアタック、時間がかかるパックマン256あたりがやっぱり鬼門だろう。

さてここまでは結構それなりに褒めてきたりはしたのだが、一方で本作には明確な不満点があるのも事実。どこが不満なのかと言われるとシンプルにコレクション作品として評価しようとすると『必要最低限の要素しか存在しない』点である。

まずこういったコレクションに当然期待されるであろう設定資料はおろかCS作品のマニュアルすら一切搭載されていない。あるのは最低限の操作説明だけであり、『あとはプレイして覚えろよな!』という中々のストロングスタイルである。本作で初めてパックマンシリーズを遊ぶプレイヤーはパックランドの川越え』『パックインタイムでの植物面』で引っ掛かりかねないだろう。というかそもそも作中キャラの紹介すらロクにないのだ。

ならば遊ぶ方に特化したコレクションなのか、と言われるとそれもまたちょっと違う。収録作品のうちのアーケード作品ではディップスイッチ(店舗側設定)によるオプションが全く行えず、必ずデフォ設定によるプレイになってしまう。コインとの兼ね合いなのかクイックセーブ・クイックロード機能もなく、強いて言うならばアーケード作品にて再開するたびに削除される簡易的な中断セーブが1つだけ…と昨今のコレクション作品の機能充実ぷりと比較するとやや見劣りしてしまうのが正直なところ。というかディップスイッチに至っては(1本あたりの値段だけみればあっちのが高額だが)既に『パックマン』『スーパーパックマン』などを同ハード向けに本作に先んじて移植しているアケアカで既に実装されていたハズの機能である。

…ただ機能面でやや不満があるとはいえ、なんだかんだで我はこのコレクションに満足している。というか満足しなかった作品はわざわざブログで語ったりなぞせぬ。本作の醍醐味はやはりゲーム内ゲームセンターのカスタマイズ機能にある。好きな位置に好きな筐体を、オブジェを置き、オキニのサウンドを流して自分のための理想の空間を作り上げる…本作はそんなゲーマーにとっての1つの『夢』を形にしてくれたのは間違いない。

…コレクション作品の遊び方としてソレはどうなんだと言われると反論のしようもないのだが、まぁここが一番の魅力だったのだから仕方あるまい。とはいえ機能面がやや不足しているのは事実として、デフォ設定の範囲内であれば目立った不具合などは少なく、移植度も良好。上記ゲーセンカスタマイズの解禁条件になっているミッションのおかげで、コレクションにありがちな『収録タイトルをちょこっと遊んではいおわり』みたいなことにならないのは嬉しいところ。

ナムコの顔、そしてゲーム業界の立役者の1人であるパックマン、その歴史の長さに比例しこのシリーズは膨大な作品が存在する。それら全て…とは言えないものの、そのうち14本もの作品に触れることができる本作は、これからパックマンのファンになるであろう若き世代にも、黎明期からのゲーマーにもきっと受け入れられるハズである!価格面でお安めなのも相まって手を出しやすいのも強みなので、ほんの少しでも興味があるのであれば迷わずプレイすべしであるぞ!!

---オマケ---
そういえば結構前に本作に収録されているバージョンの
パックマン256』のプレイ動画をアップしていたので
お時間があれば暇つぶしにこちらもどうぞ。

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