いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

星のカービィ 20周年スペシャルコレクション

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突然だが自分はカービィが大好きである一般販売されたゲーム作品なら全て遊んできているし、アニメだろうと漫画だろうと小説だろうと絵本だろうと、カービィが関わるものであれば一通り手を出して来たなんか毎年同じようなことを言っているような気もする…。

さて、そんな自分にとって2022年はなによりも重要な年とも言える。何故かって?ソレはズバリ!2022年は星のカービィの30周年だからであーる!!!

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さぁさぁそんなこんなで今宵語る作品は星のカービィ 20周年スペシャルコレクションである!そのタイトルが示す通り今作は今から10年前となる2012年…即ち星のカービィシリーズの20周年を記念してリリースされた作品。ファンからの通称は『カビコレ』あるいは『スペコレ(本記事ではコレ)』となっている。

2022年にシリーズ30周年を迎え、NintendoSwitch向けに最新作にして本編シリーズ初*の3Dタイトル星のカービィ ディスカバリー』の発売を目前に控えたこのタイミングで、改めて10年前にリリースされた今作を振り返ってみるのである。

*3Dとカービィ
本編に限らなければ意外と3Dのカービィはそこそこ存在する。
有名なのはやはり『カービィのエアライド』あたりだろうか。
それ以外では初代をベースに3Dアクションへと変化させた『カービィのすいこみ大作戦』
カービィシリーズ初のオンライン3D対戦ゲーム『カービィ バトルデラックス!』等が存在。
本編でも一応『スターアライズ』にて局所的に3Dパートが挿入される箇所もあった。
とはいえ初心者から上級者まで幅広く楽しませる思想が根底にあるカービィと、
どうしても操作の複雑化が避けられない3D化は相性が悪く、これまで定着することはなかった。

今作について

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プラットフォームはWiiカービィに埋め尽くされたデザインの紙箱の中に、『SDX』を思わせる桐箱調のディスクケースが入っているという豪華(?)仕様。ちなみに今作のディスクケースはディスクが2枚入るWii用パッケージの中でもかなり珍しい構造。コレは今作のオマケとしてシリーズの楽曲を厳選した星のカービィ 20周年メモリアルサウンドトラック』が同梱されているため。さらにさらにオマケで開発資料等が掲載されたブックレットも付いてくる。オマケについてはまた後述するとして、まずは今作そのものについて語っていこう。

趣としては前年(2011年)のWii版『スーパーマリオコレクション』*と非常に近いポジションの作品であるわけだが、『過去のコレクションの再販』であったあちらに対し、こちらは『完全新規のコレクション』であるのが特徴。星のカービィシリーズ全体を通してコレクション作品が全くと言っていいほど出ておらず、今作は2022年現在シリーズで唯一のコレクション作品となっている。まぁVCやNSO収録をはじめとした移植は盛んに行われているので、コレクションが必要になること自体あんまりないのだが…。

*スーパーマリオコレクション(Wii)
スーパーマリオ25周年に合わせてリリースされた作品。
Wii向けのゲームであるが内容は『マリオ1』『マリオ2』『USA』『マリオ3』のリメイク…
SFCでリリースされていた同名タイトルの復刻である。
一応マリコレはVC配信が行われなかったため、そういった意味での価値はあるにはあるが、
正直な話、今作の価値の大半は同梱されていた特典ブックレットにあったと言っても過言ではない。
せめてSNESの豪華版に収録されていた特別仕様のマリオワールドが収録されていれば…。

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さてさて、今作は大きく分けて
星のカービィ コレクション』
星のカービィ ヒストリー』
『もっとチャレンジステージ』
という3つのゲームモードから構成されている。

星のカービィ コレクション

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今作のメインともいえるモードがコレ。当時多くのファンを虜にしてきたカービィシリーズの傑作達が纏めて収録。収録されているタイトルは星のカービィ夢の泉の物語星のカービィ2『スーパーデラックス』星のカービィ3星のカービィ64の6作。いずれも後のシリーズに多大な影響を与えてきた作品たちである。

Wiiでプレイ可能な旧作…ということで収録内容そのものは原則VC版*に準ずるが、今作に収録されているものはWiiリモコン単独での操作が可能といった違いがある。『64』を除き任意のタイミングでの中断・再開が可能(どこでもセーブ等はない)といった点もVCと同様。

*VC版における仕様
VC配信作品は必ずしもオリジナルと完全に同一とは限らない。
基本的には最後にリリースされたバージョンに準ずるものの、一部その内容が修正されることも多い。
修正の原因としては『現代にそぐわない表現』や『当時製品のタイアップ』等が主に挙げられるが
その中でも特に敏感なのがパカパカ表現(所謂ポケモンショック)であり、
ほんの少しでもそれらしき表現が用いられた作品は問答無用で修正が入る。
カービィも例に漏れず『スーパーデラックス』『3』の表現がオリジナルと異なっている。
(後者はバランス的な都合の方が大きそうだが、前者は明らかにパカパカを警戒した修正)
ちなみにコレはVCに限った話ではなく、ミニファミコン等復刻ゲーム機に収録されているものや
NSOの特典で配信されている旧作タイトルにも全く同じ対応が行われている。

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Wii/WiiUのVCではゲームボーイの配信が行われなかったため、大画面でGB作品がプレイできる…というのも今作ならではの魅力といえるかもしれない。ただし『2』のフレームはスーパーゲームボーイではない今作オリジナルのものとなっているほか、カラーではなく白黒表示となってしまっている。

ちなみに収録タイトルのリセット方法が地味にややこしく、ゲームの起動中にA+B+1+2ボタンを同時押しすることでゲームリセットが可能。こうすることで該当タイトルのタイトル画面に一瞬で戻ってこられる。HOMEメニューからのリセットは本来の『リセット』とは挙動が異なり、単純にタイトル選択画面に戻るだけとなっている。
(再度タイトルを起動するとリセットした瞬間から再開される)

とりあえずここからは各収録タイトルについてザっと紹介していくとしよう。

星のカービィ

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1992年ゲームボーイでリリースされた映えあるシリーズ1作目。後に『スマブラ』シリーズで時の人となる桜井政博氏が初めてディレクションを務めた作品でもある。プププランド中の食べ物を独り占めしたデデデ大王を懲らしめるため、そしてプププランドの秘宝であるきらきらぼしを取り返すため、はるかぜとともに現れたわかものカービィが冒険に出る。
(カービィプププランドに訪れただけの旅人、今作をきっかけに定住するようになった…という設定)

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『敵をすいこんで攻撃する』というシリーズ全体のベースは今作の時点で完成済みカービィ代名詞たるコピー能力こそまだ存在しないが、すいこみ/はきだしだけで完結するからこそのシンプルかつストイックなゲーム性は今なお見劣りしない。今作独自の要素として『アイテムを拾うと一時的にアクションが変化する』というものもあり、シンプルながらも決して単調さを感じさせない作りになっているのもナイス。

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ステージは全部で5面、白黒画面ながら草原・城・海とバリエーションは豊富。1作目で設定が固まっていないがゆえの独特な仕掛け(特に最終面)も見どころかも。各面のラストにはボスが待ち構えており、森の番人ウィスピーウッズ隻眼の雷雲クラッコのように以降のシリーズ作で何度も闘うことになるボスたちも今作から登場。中には同社の作品エッガーランド』からのゲスト(名前違うケド)もいたり…。

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元々が『アクションゲームが苦手な初心者でも遊べるゲーム』をコンセプトにしていただけあって、通常クリアの難易度は非常に低い。特に自由に空中移動可能な『ホバリング』によって落下死が起こりづらいのが大きいだろう。しかし簡単だからといって侮るなかれ。とある方法で突入できるエキストラモードは敵が総入れ替え&被ダメ増加&ボスの行動パターン一新といった調整が行われていることもあって歯ごたえ抜群。これまた隠しのコンフィグモードで無茶苦茶するのもまたヨシ。やろうと思えばいくらだって遊び続けられる…そんな作品なのである。

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星のカービィ 夢の泉の物語

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プラットフォームをゲームボーイからファミコンに移した本編シリーズ2作目、それが夢の泉の物語である。発売は1993年、後継機のスーパーファミコンブイブイ言わせている時代であるにも関わらずファミコンでのリリースとなった。以後十数年に渡りカービィ本編はハード末期に出るもの』などと囁かれるようになった要因の一つ。
(公式ライセンスのファミコンソフトが出たのは翌年の1994年が最後)

夢の泉のスターロッドデデデ大王に砕かれてしまい、みんなが夢を見られなくなったためプププランドに定住したカービィが再び冒険に出る。明確に『初代カービィの続き』として描かれていることもあり、初代のメインモードに登場したボスは大体登場する。

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敵を吸い込み相手の技を奪い取る『コピー能力』が初登場した革命的な作品。初登場でありながらコピー能力の数は24種類(+1種類)と非常に多彩。このおかげで自由度が圧倒的に上がったほか、『杭に対してはストーンかハンマー』『入り組んだ先のスイッチにはレーザー』『導火線の着火はファイアかバーニング』といったように、謎解きもバリエーションが増え、より攻略が楽しくなった。ちなみにだがコピー必須なルートは大半が『隠しスイッチ(後述)を押すためのもの』であり、通常クリアならば無視して構わないのも実によく出来ている。
(コピー初導入の作品故にライトやバックドロップのように一発ネタもいいところな能力も少なくないケドね)

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据置機でのリリースということもあり圧倒的にボリュームアップ4~6ステージとボスからなる『レベル』が7つ+α…と単純なステージ数だけで言えば前作の比較にならないほど。更にそれだけのステージの大多数に専用の背景が割り当てられており、より世界観を華やかに彩っている。コレに合わせて『ステージ選択マップ』が新たに登場、ステージ内のどこかにある隠しスイッチを押すことで通常クリアとは直接関係のない『サブゲーム』『闘技場』などに挑戦できるようになる。ゲームクリア後には前作から引き続きの高難易度モード『エキストラ』とボスラッシュの『ボスとたいけつする!』も出現、最初から最後まで魅力満点である。

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ファミコンの限界に挑んだ』とも言われる今作の表現はまさしく奇跡の産物といっていい。美麗な背景については先述した通りであるが、強風と共に大きく揺れ動くプロペラ時折挿入される高速スクロール等、『コレ本当にファミコンで動いているの!?』と驚かされる箇所は少なくない。その中でも特に語り草となっているのはやはりファミコンでありながら擬似的な3D表現を用いて回転するL3の塔であろう。コレは是非とも自分の目で確かめていただきたい
(ちなみに塔のギミックは後年のリメイクでも別の事情から再現されていない)

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今作で特に見張るべきポイントはやはりストーリー演出にある。テキストそのものは最小限ながらステージの背景で朝(L1)昼(L3)夕(L6)夜(L7)…と時間を経過させ、ラストバトルと同時に夜明けが来る構成は素晴らしいの一言。導入部のストーリーこそ非常にシンプルであるが、ただ単に『アイツを倒して終わり!』とはいかないドンデン返しな展開もあり、コレは後のシリーズのお約束にもなった。

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ちなみに以後のシリーズ作でも度々シナリオに絡む仮面の剣士メタナイト』は今作が初登場。彼が本格的に弾けるのは後述する『SDX』からであるが、今作の時点でもステージ攻略中に自身の配下である『メタナイツ』をけしかける一方で、アイテムを渡して手助けしてくれる時もあるなど、既に腹の底が読めないキャラ付けが行われている。終盤にて対決する際には今作屈指の難敵として特に印象に残るキャラである。

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星のカービィ2

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1995年発売、再びゲームボーイに帰ってきた本編カービィ星のカービィ2』というタイトルだが本編カービィ3作目
空の彼方からやってきた侵略者ダークマターにより奪われた虹を取り戻すため、カービィ虹の島々を冒険する。20年以上に渡って続くダークマター族』との長い長い因縁のはじまりとなる作品である。

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前作まではカービィ一人の戦いであったが、今作からは新しくカービィのしもべ達が登場、陸担当のハムスター『リック』海担当のマンボウ『カイン』空担当のフクロウ『クー』のトリオ。カービィと文字通り合体し、陸海空を駆ける!!
チョイ役ではあるが次々回作の仲間『グーイ』も顔見せ程度に登場あと何故か『ふぁみこんむかし話 遊遊記』からのゲストとして『ちゃお』がいる。

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初代同様ゲームボーイでのリリースだが、3~7ステージ+ボスからなるレベルが7つ…と初代よりも遥かにボリュームアップ。ステージ数だけで言えば据置機の前作に迫る勢いである。『夢の泉』で誕生したコピー能力はモチロン続投。コピーそのものの種類は僅か7種類と前作に比べ少なくなったなどと思うことなかれ。なんと今作ではしもべと合体することで全く新しい能力が発動する。

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例えば同じスパークの能力でも『その場で電撃を纏う(カービィ単独のスパーク)』『電撃をしなる鞭のように振るう(リックスパーク)』『電球を点灯させ暗所を照らす(カインスパーク)』『真下に強烈な雷を落とす(クースパーク)』といったように、全く違う使い勝手の技へと変貌するのだ。しもべは前述したように3人…即ち今作では都合28種類(+1種)のコピー能力が用意されているに等しい。

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そして今作から取り入れられた新要素として『ED分岐』が存在する。今作の舞台となる虹の島々のどこかには『虹のしずく』という不思議なアイテムが隠されており、コレを特定のボスを倒すまでに全て集め切れたか否かによりEDが大きく変化する。集め切れていれば真のラスボスとの一騎討ち、集め切れなかった場合はバッドエンド(通称偽END)へと突入する。偽ENDは一見ハッピーエンドに見えるが実は…。

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ゲームの難易度としては通常クリア(偽END)までであればアクションゲームとして簡単~並レベル、しかし虹のしずくのコンプリートや真ENDの到達を目指すとちょっとだけ難しい…といった感じである。このレベルバランスは以降のカービィシリーズ全体においてもほぼ共通完全クリア(100%クリア)はそこそこ大変ではあるものの、ボスラッシュやサウンドテスト解禁の条件にもなっているので頑張ってほしい。まぁ攻略情報でも見ない限り初見はまずバッドエンドを拝むことになるので、最初は気楽にやるべし。そもそも真ENDの条件を満たすとバッドエンドは二度と見られなくなるし。

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ちなみにだが今作の『コピーそのものの数は少ないが、独自システムによりバリエーションが多彩』『偽エンドとグッドエンドの2種類が存在』…といったシステムは今作同様タイトルに数字を冠しているナンバリング作品に数多く引き継がれ、後年のファンからは『数字カービィと呼ばれることとなった。

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星のカービィ スーパーデラックス

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1996年発売、満を持してスーパーファミコンに登場した本編カービィ4作目
(SFCカービィ自体は今作以前に『ボウル』と『Avalanche』があった)
ファンからの通称は『SDX』或いは『スパデラ』。ちなみに高級感を演出するため当時の箱は桐箱モチーフのデザイン。コレはスペコレのパッケージでも踏襲されている。

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シリーズ恒例となったコピー能力は今作で大幅にパワーアップ従来はコピー能力ごとのアクションはBボタンで発動する1種類のみであったが、今作ではBボタンを入力したタイミングや長さ、十字キー等のコマンド入力を組み合わせることでよりド派手なアクションを楽しめるようになった。

『ファイター』や『ニンジャ』のように今作から初登場した能力は言わずもがな、『ビーム』『ハンマー』等の続投能力にもコマンド技が追加されている。また、コレに合わせてバーニング/フリーズ』が『ファイア/アイス』に統合されたりもしている。ちなみに今作で登場するコピー能力は全部で24種(+α)、自分の肌に合ったコピー能力を見つけ出すべし!

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今作の目玉要素は『ヘルパー』コピー能力を保持している状態で特定のボタンを押すことで生成可能。ヘルパーは2Pが操作可能であり、性能は原則ベースとなったコピー能力のものに準ずる。このおかげで今作はシリーズ初、ゲーム全編に渡っての協力プレイが可能!

COMに操作させることもできるのでぼっちにも心強いぞ!
(COMはアホだし、ヘルパーがいるとボスの耐久力が上昇するので突き詰めるとソロになるケド…)

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7つのゲームが1つになったオムニバス形式であることが特徴であり、基本の操作やシステムこそ同一ながらも、ゲームルールそのものを変えることで多彩な『カービィ』の顔を魅せてくれる。プレイ可能なゲームモードは初期状態だと4つ(+サブゲーム)のみで、ある程度ゲームを進めることでまた新しいゲームモードが解禁されていく。当然ながら後半に解禁されるモードほど難易度は高め

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初代カービィを大幅にリメイクしたはるかぜとともに謎の怪鳥を追う白き翼ダイナブレイドデデデ大王を相手にしたレース対決『激突!グルメレース超広大な地下迷宮を探索する洞窟大作戦の4つが最初からプレイ可能。この時点でも今までとはひと味もふた味も違う面白さを体感できる。

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『はるかぜ』は初代と同様の一本道のアクション、『ダイナブレイド』は夢の泉以降のシステムに最も近い面クリア型アクション、『グルメレース』はレースゲームらしくゲームスピードが早めに設定されているため一筋縄ではいかず、『洞窟大作戦』はただひたすらまっすぐ出口を目指すもよし、あちこち探索してお宝のコンプリートを目指すもよしという自由の高さが魅力である。

ゲームを進めていくと夢の泉』の後日談にしてシリアス回メタナイトの逆襲、事実上最後にして最大のメインモード銀河にねがいを、そしてシリーズ恒例のボスラッシュ格闘王への道が解禁される。この3モードの全制覇がひとまずの目標になることであろう。

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『メタ逆』はシリーズでも非常に珍しいテキスト主体での物語展開が特徴で、ついに革命を起こしたメタナイト率いる戦艦ハルバードを相手にカービィが大立ち回り。ゲームとしては一本道であるがザコ敵(メタナイツ)とのバトルがとにかく多く、更に制限時間まであるためプレイヤー自身の腕が問われることとなる。

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銀河にねがいを』では太陽と月の大喧嘩を止めるため、銀河を飛び回って星々を巡っていく。星の順番は固定されていないため、好きな順番でステージに挑めばいい…と『メタ逆』とは対照的に高い自由度が魅力いつでもコピー能力が切り替えられるというオンリーワンなシステムとなっているため、多彩なコピーを全力で暴れさせることができる星々を繋ぎ辿り着いた銀河の果ての大彗星そこでカービィが目にしたものは…。

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ゲーム全体から滲み出る完成度の高さ、そして本編シリーズにしては珍しくハード中期にリリースされたこともあって、今作は知名度・人気ともにシリーズ内でもずば抜けており、その圧倒的なカリスマ性は今なお衰えを知らない。ソレは2011年の『Wii』から2018年の『スターアライズ』までの本編シリーズがいずれも今作のシステムを雛形にしていた事からも伺えることだろう。

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星のカービィ3

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1998年発売、プラットフォームはスーパーファミコン星のカービィ3』というタイトルだが本編シリーズ5作目。1998年といえば既にニンテンドウ64も世に出ているSFC末期の時代…ということもあって本編シリーズでありながら些か知名度が低め

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ダークマターに侵略された『ポップスター』を救うため、カービィ仲間たちと共に立ち向かう…というストーリーからも分かる通り、今作は星のカービィ2』の直接の続編となっている。シリーズ全体で見ると直近の前作は『スーパーデラックス』だが、あちらとは完全に別路線。続編ということもあり今作は『2』との繋がりが非常に強い敵対勢力もそのものズバリのダークマターであるほか、作中に登場する地名も大半が『2』のもの。それどころかとあるボス戦は事実上『2のボスラッシュ』になっていたりする。

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システムも『2』を踏襲しており、コピー能力のコマンド技はなく、一方で仲間との合体による能力変化は存在する。仲間は前作から続投の3匹のほか、巨体だが機動力のある三毛猫『ナゴ』癖は強いが強力な(一応)タコ『チュチュ』高い汎用性が魅力の小鳥『ピッチ』が新登場。2のコピー能力は全て続投しているほか、新能力『クリーン』も登場。6人の仲間と7種類のコピー能力により、今作の実質的な能力数は脅威の49種類(+1種類)。コレはシリーズでも最多クラスである。

2人同時プレイも可能で、今作で2Pが操作するのは善良な心を持ったダークマター『グーイ』。基本的にいつでも参加・離脱OK、微妙な性能の差異こそあるがカービィと同じようにコピー能力や仲間との合体もできたりと非常に高性能。一人プレイでもCOM操作で力を貸してくれるのも嬉しい。
(例によってアホの子なので慣れるとただの非常食と化すケド…)

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レベルは6つのステージとボスから成るものが5つ。つまり全30ステージ+ボス(+α)、一見すると携帯機の『2』とどっこいレベルだが甘く見るべからず。今作のステージには何かしらの悩みを抱えた依頼人が登場する。『依頼人』の悩みは千差万別、大切な人を待ちわびていたり生活圏を荒らす外敵に苦慮していたり…今作ではそんな彼ら彼女らの悩みに向き合い、その悩みを一つ一つ解決していくこととなる。

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依頼人の悩みについてはコレといってテキストなどで説明されるわけではないものの、なんとなくキャラデザやステージ内容からある程度推測できるようにはなっているのでよーく考えるべし。依頼人の中には『サムス(メトロイド)』『ヘクター博士(ブロック&ジャイロ)』『どんべ&ひかり(新 鬼ヶ島)』等といった任天堂系作品からのゲストが多数混じっており、それらの原作そのものがヒントになっていることも少なくない。これまでのゲーム経験をフル活用すれば、きっと解法が見えてくるハズ。
(ごくごく一部マジでノーヒントなヤツも混じっているが、そこは頑張れ)

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依頼人の悩みを解決することで、ゴール直前に感謝の印として『ハートスター』が手に入る。ちなみに依頼人を無視してもステージそのもののクリアは可能であるが、ハートスターは手に入らない。ハートスターをある程度集めると、ダークマターにより操られたボスたち『おはらい』し、救うことができる。…と、ココまで来ると予想できるように今作にもED分岐が存在する。真ED到達のカギはもちろんハートスター、感謝の心で闇を祓え!

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システム的にはいつもと変わらないが、ゲーム全編を通して水彩画の如し優しいタッチで描かれる暖かな世界観が最大の特徴。ファンシーなカービィにこれ以上ないほど似合ったビジュアルであり、いつも以上にカービィの可愛らしさを引き立たせてくれているのだが、この絵柄だからこそカービィならではの『異質』な存在が際立つこともチラホラ。コレを意図してやっているのであれば大したものである。

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ソレはソレとして、そのほんわかした雰囲気に反し難易度がやたらとハードなのも特徴。通常クリアだけなら平均的だが、真のEDを目指すと急激に難易度が跳ね上がり、100%クリアなど目指そうものならMG5JUMPINGぼすぶっち…とシリーズ本編でも最難関とまで呼ばれるほどの鬼難易度のオンパレードを体感することとなる。

ちなみに今作のキャッチコピー『最近のゲームってむずかしすぎ。もっとサクサク遊びたいよね。』…数多のプレイヤーから『お前が言うな!』と突っ込まれたのは言うまでもない。
(あくまで最難関は本編の括りであり、外伝込みならもっとキツいのはそこそこある)

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星のカービィ64

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20世紀最後の本編カービィこそが星のカービィ64、今作に収録されている作品の中では(完全新規のものを除き)最も新しい作品となる。2000年発売でプラットフォームはその名の通りニンテンドウ64N64にしては地味に珍しい3Dスティックを使わない操作スタイルこと、ファミコンポジション』を採用したタイトルでもある。
(ちなみに本当の意味での20世紀最後のカービィは『コロコロカービィ』である)

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任天堂初の32bit機でのリリースということで、そのスペックを遺憾なく発揮したフル3Dが最大の特徴。カービィもついに本編でポリゴンデビューである。ちなみにポリゴン化そのものはスマブラの方が少しだけ早かったりする。

突如現れた黒いカゲにより制圧された妖精たちの星リップルスター』、そこから唯一人逃れてきた妖精『リボン』の願いを聞き届けたカービィクリスタルに導かれながらポップスターを発つ…という物語。銀河を股にかけたシリーズでも特にスケールの大きい冒険となっている。

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すいこんだ敵をはきだして攻撃…というのは初代から続くカービィの伝統だが、今作ではただ吐き出すだけでなく敵をそのまま頭上に持ち上げる『リフトアップ』という動作が追加された。リフトアップした敵はそのまま投げつけることもできる。通常のはきだしとの違いは『持ち上げた敵が何らかのリアクションをとる』という点。リフトアップ中のアクションは千差万別で、空中/水中の移動がスムーズになったり、目の前の敵をオートで攻撃してくれたりと様々。必ずメリットがあるとは限らず、中にはリフトアップによってマイナス効果が発生することも…。

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リフトアップした敵がコピー能力を持っていた場合、ソレを更にコピー能力持ちの敵にぶつけることで特殊なコピー星が出現。コレを飲み込むことで通常とはひと味違うコピー能力が発動する。コレこそが今作を象徴するシステム『コピー能力ミックス』である。そう、今作ではコピー能力同士を合体させ、新たなコピー能力を生み出すことができるのだ。

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コピー能力ミックスは全てのコピー能力同士の組み合わせが対象。例えばニードルストーンドリル片手に掘り進んだり(ニードルストーン)スパークカッター光り輝く両剣を振り回したり(スパークカッター)と、既存コピーの型に囚われない変化が最大の特徴。無論同じコピー同士のミックスも可能であり、ボム同士のミックスでホーミングミサイル(ボムボム)アイス同士で巨大な雪玉(アイスアイス)…等といったように想像もつかないコピーの新たな一面を目にすることとなる。

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ミックスの元となる基礎コピーは7種類、言うまでもなくいずれも単独で活躍できる程度のスペックはあるので安心。7種類のコピーとそれらのミックスを合わせ、今作では35種類(+1種類)の能力が登場する。流石に前作の仲間との合体コピー超えというわけにはいかなかったが、それでもやはりシリーズ最多クラスなのは変わりない。

コピー能力ミックスの概念は『参ドロ』『スタアラ』等の後継作でも取り入れられているが、いずれも対応している組み合わせが限定的だったり、既存コピーの内容が強化される程度だったりといった内容であり、コピー能力そのものが完全に変化しなおかつ全てのコピー能力同士の組み合わせが存在する例は今なお今作をおいて他にはない

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3~4面+ボスから成るレベルが6つ(+ラスボス戦)ステージそのものは過去作よりも減ってしまったが、レベルがそれぞれ別の惑星ということもありロケーションの幅は非常に広くなっている。加えてステージの中には今作の収集要素兼真EDの条件であるクリスタルが巧妙に隠されており、全回収には中々骨が折れる。おかげで今作でも体感的なボリュームはそう少なく感じられない

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過去作に比べストーリー演出も強化されており、レベル間に流れる幕間ムービーの存在は最たる例。カービィとその仲間たちのイキイキした姿を楽しむことができる。冒険の内容を感じさせるステージデザインのセンスも輝いており、とりわけ敵の本拠地を目指す(6-1)仲間たちと力を合わせて潜入(6-2)本丸に向けてカチコミ(6-3)親玉との激突(6ボス)という物語展開をテキスト等を一切用いず表現しているレベル6は必見。

メインヒロインの『リボン』はモチロン、諸々の事情から共闘することとなった宿敵デデデ大王、いつもは敵だが今回は味方のワドルディ前作から引き続き(諸説アリ)登場した少女アドレーヌといった今作の仲間たちはムービーの存在もあってかシリーズでも高い人気を誇る。言うまでもなく全員がステージ攻略中にカービィに力を貸してくれる。
(ギミックとしての登場がメインなので操作はサブゲームを除き原則不可能)

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タイトルにある『64』はプラットフォームを示すものであり、ナンバリングというワケではないのだが、『2』『3』の要素が色濃く反映された作風コピー能力のバリエーションの多彩さ真EDの存在など、まさしく数字カービィらしい内容となっている。『2』→『3』ほどではないにせよ、『3』→『64』を感じさせる描写も作中で多数見られ、察しの良い方なら気づいているだろうが、黒いカゲというのも毎度おなじみダークマター(或いはその関係者)』である。今作でブチのめせば以後暫く大人しくなるので決着をつけてやるべし。
(後継作でもそれっぽいのはチラチラ出てくるけどね)

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ポリゴン化の恩恵により、コレまではサイドビューに留まっていた表現の幅は更に拡張。具体的には『斜めからの見下ろし』のステージが新たに登場、ステージ次第では3Dであることを生かした『仕掛けの裏の空洞』などのスペースもそこそこ見受けられる。そして何よりも大きいのは3Dだからこそできる『円周状のステージ』であろう。身も蓋も無いことを言ってしまうとゲーム的には『横に進むとグルグル回ってしまう』というだけなのだが、コレにより従来作以上にステージの縦幅・奥行きを感じられる作りになっているのは素晴らしいというほかない。

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ただし視点やステージデザインが特徴的とはいっても、カービィに出来ることはステージの順路に沿って進むことだけ。例えば目の前に明らかに危険な仕掛けがあったとしても迂回することは不可能上へ上へと登っていくようなステージだったらホバリングで迂回できなくも無いが、コレはレアケース。つまり見てくれが3Dになっても、今作の根底にあるのは2Dアクションの『いつものカービィである。よって過去のシリーズ作をプレイしていればすんなり入っていけることだろう。

ちなみに本編カービィは次回作の鏡の大迷宮(or夢の泉デラックス)』でハードスペックの都合からドット絵に立ち返りポリゴンが本格的に主流になるのは『Wii』以降の話になるのだが、それでも今作のような描写が行われる作品は『トリデラ』の一部仕掛け『ロボプラ』のボス戦フィールド等、非常に限られたものとなっており、その点で見れば『64』はかなり異質な作品ともいえる。
(未発売に終わった『星のカービィGC』には今作のような表現が多数見られた)

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さて、今作の収録作品のうち夢の泉『SDX』『3』の3作は既にスイッチのNintendoSwitchOnlineにて配信済み『64』も時期は未定ながら追加パックによる配信がアナウンスされているため、収録された過去作だけを目的とするのであれば、わざわざ今作を選ぶ必要はない。
(『初代』『2』については3DSのVC終了が視野に入っているのでそうとも言えぬが…)

しかしながら、今回のコレクションの魅力は過去作だけに非ず。ここからはこのコレクションならではの要素について語っていこう。

星のカービィ ヒストリー

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カービィが誕生した1992年からスペコレがリリースされた2012年まで、年単位でカービィシリーズの歴史を振り返ることができるのがこのモード。20周年記念という節目の作品だからこそ搭載されたモードであり、このモードこそが今作最大の魅力だと言う人もいるだろう。主に自分がそう。

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このモードで紹介されているのは主にカービィシリーズのゲーム作品』本家シリーズは勿論のこと、ピンボール『ブロックボール』等のスピンオフまで網羅されている。流石に『おもちゃ箱』*ピクロスNP Vol.3』*のようなマニアック極まりない作品スマブラ』等のゲスト出演日本未発売の『Kirby's Avalanche』はスルーされているが、それでも一般販売された作品はほぼほぼ触れられているため充分すぎるレベルである。
(『Avalanche』は海外版だと触れられているが、代わりに海外版では『きらきらきっず』が抜けている)

*カービィのおもちゃ箱
1996年に配信されたSFC用タイトル。
サテラビューを介して配信されたミニゲームであり、全部で9種類(うち1つはSDXの体験版)が存在する。
8Mメモリーパックに保存される『BSオリジナルゲーム』の類であるため、
BS-Xのカセットと今作が保存されたメモリーパックがあればプレイ可能。
なお8Mメモリーパック自体が究極レベルの希少品であり、
今作が収録されたモノともなればソレこそ値段も付けられないレベルのレア物である。
ちなみに自分は10年以上今作を探し続けていますが一向に見つかりません。
(サテラビュー云々については過去記事で触れているのでそちらを参照)

*ピクロスNP Vol.3
1999年に発売されたSFC用タイトル。
タイトルのNPはSFC/GB向けのソフト書き換えサービス『ニンテンドウパワー』に由来する。
現代にも続くピクロスシリーズの1作であるが、
今作は『収録されている問題が全てカービィに由来する』という特徴がある。
ちなみに1999年といえばニンテンドウ64やPS1はおろか、
ドリキャス(GC/PS2と同世代)が既に世に出ている時代。
そんな時代にSFCでリリースされた今作の知名度は…言うまでもない。
移植や配信が一切行われなかったこともあり、SFC屈指のレア物と化している。
ちなみに自分は10年以上今作を(以下略)

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それぞれの作品のページでは作品に対する概要のほか、その作品のプレイムービー当時のパッケージの3Dモデルを閲覧できる。紹介ページではご丁寧にその作品のBGMが流れるため、該当作品をプレイ済みであれば懐かしい気分になれるハズ。BGMが存在しない作品のページでも作品に合ったBGMがチョイスされているのでそれらしい雰囲気を味わえる。今作にゲームそのものが収録されている作品であれば、紹介ページからゲームそのものの起動も可能だったりする。

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また、ゲーム作品だけでなくこの当時に連載中の(或いは連載されていた)カービィの漫画作品*についても触れられており、それぞれの漫画の第一話を試し読みすることができる。コレも当時の漫画作品に触れていたファンからすればありがたい要素であろう。ちなみに今作に収録されている漫画の著者は全員現代でも何かしらカービィシリーズとの繋がりを持っているため、当時を知らない人でも今作を機に知ってみるのもいいだろう。

*カービィシリーズの漫画作品
1992年から連載されていたさくま良子先生の『星のカービィ(通称さくまカービィ)』
1994年から連載されていたひかわ博一先生の『デデデでプププな物語(通称ひかわカービィ)』
2006年から連載されていた谷口あさみ先生の『も〜れつプププアワー(通称谷口カービィ)』
の3作が今作にて触れられている。
ちなみにさくま先生は近年にカービィカフェのレポ漫画を掲載しており、
ひかわ先生は(掲載紙は変わったが)現在進行形でデデププを連載中、
谷口先生は現在でも続いている絵本『いつでもカービィ』シリーズに長らく携わっている。
なおカービィの漫画という括りでは光文社やエニックス出版のアンソロが数え切れないほど存在するが
流石にそちらはノータッチ。たぶん触れだしたらあまりの多さに収拾が付かなくなるせい。

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そしてカービィヒストリーで特に注目すべきはやはり2001年の項目
2001年におけるカービィの動きといえば…ズバリTVアニメ版『星のカービィ』*である。当然今作でもアニメ版星のカービィ…通称『アニカビ』について触れられているワケだが、なんと今作ではアニカビ全100話の中から厳選された3話を視聴することができるのだ!

*TVアニメ『星のカービィ
2001年10月~2003年9月までの約3年間放送されていたアニメ作品、全100話(+特別編1話)。
メインの下地になっているのは『夢の泉の物語』であるが、ぶっ飛んだ作風故にゲームとは別物。
『戦うホームドラマ』をテーマで作られており、大人から子供まで幅広い層が楽しめる作りが特徴。
マニアックなパロや危うい時事や風刺ネタを多数扱うことからネタアニメ的な扱いを受けることも多いが、
『デデデファクトリー』『魔獣教師』といった考えさせられる話や
『センチメンタル・カービィ』『カービィのおとうと』のようにしんみりさせられる話も
数多く存在する純粋な名作である。『戦うホームドラマ』は伊達じゃない。
ちなみに自分はアニカビでカービィを知り、エアライド→鏡とカービィデビューしました。

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視聴可能なのは栄えある初回放送『出た!ピンクの訪問者(第1話)』メタナイトにフォーカスした屈指のシリアス回『宝剣ギャラクシア!(第60話)』パロ満載ギャグ満載なネタ回ワドルディ売ります(第72話)』…とシリアスとギャグの両面からアニカビを純粋に楽しめるチョイス。

話数の都合で前期/後期のOP/EDをそれぞれ楽しめるのもいい。ちなみに次回予告とプププ通信(ED後のミニコーナー)は流石にカットされている。コレは少々残念だがプププ通信はお便り紹介の面が強かった(ような記憶がある)し、次回予告を入れたところで後述の理由から虚しさしか生まれなくなることを考えると止むを得ない話であろう。

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ところでこのアニカビだが、絶大な人気を誇る一方で公式の視聴手段が絶望的に少ないことで有名。というのもソフト化は20年近く前のVHSとDVDしか存在せず(他の任天堂IPのアニメにも言えることだが)Web配信等も全く行われていないのが原因。よってアニカビをマトモに視聴するならばVHSかDVDの2択になるワケだが、VHS版は通常販売されなかったため数少ないレンタル落ちのモノを購入するほかなく、DVD版は販売こそ行われたが売上不振により途中で打ち切られている
(一応『Wiiの間』にて有料レンタルという形で配信されたことはあったが現在はサービス終了済み)

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そんな状況の中アニカビを3本も収録してリリースされた今作は、当時のアニカビを懐かしむファンにとっては奇跡ともいうべき逸品であった。特に今作に収録されている第60話と第72話はどちらもDVD版がリリースされなかった話であるため、今もなお『スペコレが現実的に可能な唯一の公式視聴手段*』とまで言われる程である。

*2022年現在のアニカビ公式視聴手段
まず大前提としてVHS版もDVD版も媒体以前の問題で
プレミアが付き過ぎてとてもではないが手を出せるものではない。よってVHSもDVDも共通して論外。
となると現実的に今から比較的視聴しやすいのは『第1話』『第60話』『第72話』の3つである。
言わずもがな、本記事でも触れている『スペコレ』を用いた視聴である。
正直Wiiも二世代前なので媒体の問題が付き纏うのは否定しないが、それでも幾分かはマシである。
10年前なら『みんなのニンテンドーチャンネル』で『特別編』を視聴するのも選択肢に入っただろうが、
Wiiのオンラインサービスが終了した現在ではそれもできない。
(『特別編』はソフト化も一般放送も行われていないため、正真正銘公式の視聴手段が一切存在しない)

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余談だが今作の存在については言わずもがな、『あつめて!』にエスカルゴンやコックオオサカをはじめとしたアニオリキャラが登場したり、ほぼ同時期にリリースされた20周年記念ムック本『プププ大全』にてアニカビ全話分の設定資料が公開(中にはここで初めて公式名が明らかになったヤツもいる)…とスペコレ近辺は妙にアニカビのファンが救済された時期でもあったりした。
(それ以降は約10年に渡って冬の時代が続いたのは触れない)

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もっとチャレンジステージ

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前年に発売された星のカービィWii『チャレンジステージ』にフォーカスし、より大ボリュームに、より歯ごたえのあるモードへと進化させたのがこの『もっとチャレンジステージ』。旧作移植・データベースといった他2モードとは異なり、こちらは完全新規のモードということもあり、このモードこそが今作のメインと呼ぶ人も少なくない(この作品メインじゃないところ一切ないな)

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まず最初に『チャレンジステージ』とは何かというハナシだが、簡単に言うと『特定のコピー能力だけを使い、専用のステージを駆け抜ける』というものである。ステージ攻略にかかったタイムや倒した敵、被ダメ等を総合して最終スコアが決定され、そのスコアに応じて4段階のメダルが与えられる。最高ランクのプラチナ入手にはそのコピーの性能をを100%出し切ることが必要不可欠であり、カービィ上級者でも満足できる上級者向けやりこみ要素となっていた。

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今作では『もっと』の名に恥じぬパワーアップを遂げており、ステージ数が倍増。Wii』の時点から登場していたコピー能力も今作に合わせて新しくステージが作られている登場コピーは7種、大多数は『Wii』に登場したものであるが、その中にはなんと知る人ぞ知る伝説のコピー能力スマブラ』*の姿も!!

*スマブラ(コピー能力)
GBAの『鏡の大迷宮』にて初登場。
モチーフは言わずもがな『大乱闘スマッシュブラザーズ』であり、
ファイナルカッターやティンクルスターをはじめとしたスマブラシリーズにおける
カービィのアクションをほぼそのまま使用可能なのが特徴。
ファイター・ハンマー・ストーン・ニンジャ(一部作品のみ)・ソード(カッター)の技を
纏めて使えることから、汎用性・火力共にスキのない最強コピーの一角。
ちなみにカービィ&スマブラの生みの親である桜井政博氏は
内輪ネタを嫌い、このコピーを没にしようと考えていたのだが、
当時のスタッフ(フラグシップ)の理解度に感銘を受け、特別に登場を許可したという逸話がある。
それもあってか数あるコピーの中でもスマブラはプレミアムな存在であり、
初出の『鏡』、20周年記念の『スペコレ』以外では『ロボプラ』でしか登場していない。
(ロボプラでも通常入手手段がほぼ存在しない激レア能力扱い)

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ある程度チャレンジステージを攻略するとボスとしてWii』のプレイヤーであれば絶対に忘れられないイカサマたまごマホロア』とのレース対決が始まる。『あんだけの事しでかしておいてよくのうのうと顔出せるなオマエ』とか『よくアレで生きてたなオマエ…』とか色々言いたいこともあるかもしれないが、丁重にレースで叩きのめしてやろう。ちなみに一応今作の舞台はマホロアがお詫びとして用意したものらしい。日本語版だと明言されてないが…。

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ただ単にクリアしてエンディングを迎えるだけなら難易度はそれなりなので、『Wii』未プレイのプレイヤーでも安心。一方でメダルシステムも続投しており、最高ランクのプラチナ入手には些細なミスすらも許されないため、Wii』を完全クリアしたプレイヤーでも満足できる。腕に自信があれば挑戦してみるべし。今作ではベストスコアの合計値によって『トロフィー』も貰えるので、そちらもやりこみの指標になるだろう。

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豪華なオマケ

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20周年記念作品ということもあって、同梱されているグッズにもスキはない。前述した通り今作に同梱されているのは星のカービィ 20周年メモリアルファンブック』星のカービィ 20周年メモリアルサウンドトラック』の2つ。

『20周年メモリアルファンブック』はこのスペコレの説明書も兼ねた設定資料集、流石に同時期に刊行されたムック本の『プププ大全』に比べるとそこまで踏み込んだ情報は載っていないが、それでもここまでのシリーズの来歴や概要を理解するには充分なボリューム。一部ページの開発資料の中にはプププ大全にすら掲載されていない、このブックレット限定のものも…。おそらくブックレットをよく読み込んでいた人はきっと『スタアラ』で自分と同じ感情を抱いたハズ。間違いない。

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そして、『20周年メモリアルサウンドトラック』はその名の通りシリーズの記念サントラシリーズ1作目の『星のカービィ』から当時の最新作『星のカービィWii』までのシリーズ作から1作あたり1~2曲をピックアップ。収録曲数は全45曲(うち3曲は新規アレンジ)。本家シリーズはモチロンのこと、何よりスピンオフ作品からも楽曲の収録があるのがありがたい

ドロシア ソーサレス(タッチ!)』『コンフリクト(あつめて!)』夢の泉(エアライド)』…これらはスピンオフ作品を代表する人気曲だが、実は2022年現在これらの楽曲の音源化はこのメモリアルサントラ以外に存在しない。本編シリーズでも意外なところでは『VS.リアルダークマター(2)』『プリズムプレインズ(参ドロ)』などもこのサントラだけの収録である。

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過去に音源化が行われていてもサントラそのものが尋常でないプレミア化を起こしていた鏡の大迷宮』『USDX』の人気楽曲が収録されているのも嬉しい限り。不満点は1ループだけの収録というくらい。

今でこそ(本編作品は)サントラを毎回リリースしてくれるようになったカービィシリーズであるが、やはりというか初期のシリーズ作、特にスピンオフ作品を中心に音源化がなされていない作品/楽曲は少なくない。このメモリアルサントラはほんの少しながら旧作のサントラを求めていた人間に安らぎを与えてくれたといえよう。
(近年では『流用曲』という形で最新作のサントラに旧作の原曲が収録される例も増えてきた)

星のカービィ』のこれから

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…さて、重ねていうが今作は星のカービィの20周年記念作品』である。あれから10年星のカービィはついに30周年という節目の年を迎えた。スペコレがリリースされてから10年後の今でもカービィは健在であり、多数の名作が世に生み出されてきたことについては、最早説明の必要もないだろう。

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本編シリーズに目を向ければ、従来以上にファンサービスを多数盛り込んだ『TDX』『ロボプラ』、かつて儚くも消えた『星のカービィGC』のリベンジを果たした集大成『スタアラ』があり、スピンオフなら既存アクションの新たな路線を開拓した『ファイターズ』シリーズ『ハンターズ』シリーズ、少しばかり違うアプローチを試みた『スーパーレインボー』『デデデでデン』、その中には今後の全く新しいカービィを模索しようとする意思が感じられる『すいこみ大作戦』『バトルデラックス』なんてものも…。
ジャンルは違えども、いずれもクオリティは常に高い基準を満たしており、常々カービィはその魅力をゲーム業界に示してきたといえよう。

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そして『2Dアクション』として続いてきた本家カービィシリーズは『スターアライズ』でついに大きな区切りを迎え、次回作であるディスカバリーにてとうとう『3Dアクション』という全く新しい世界に進出することとなる。

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いかなるゲームシリーズにおいても『ジャンルの転換』とは一筋縄ではいかず、ジャンル転換期にしくじってきた先例はそれこそ星の数だけ存在する。よって今回の3D化を不安に思う人もきっといるだろう。

しかしながら、自分はカービィに限っては全く不安に思っていない星のカービィが誕生してはや30年、その歴史の中でこのシリーズのクオリティに裏切られてきたことなど、過去一度たりとも存在しないからである。故に『ディスカバリー』で挑むこととなる3Dアクションの世界にも多大な期待を抱くことができるのだ。

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きっと、これから先の未来でもカービィシリーズは躍進を続けていくことになるだろう。そうして10年・20年と月日が流れ、あのピンクだまはまた多くのファンを魅了していくのだ。

今回の記事で10年前の記念作品に着目し、今一度原点を振り返ったところで星のカービィ40周年に向けた新たな10年…その第一歩となる星のカービィ ディスカバリーを全力で楽ませてもらうとしよう。更に10年先の未来でカービィがどうなっているのか実に楽しみである!

 

『星のカービィ 20周年スペシャルコレクション』のAmazonページ

『星のカービィ プププ大全』のAmazonページ

 

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---ちなみに---
星のカービィ ディスカバリー』の発売はもう今週にまで迫っているのである。
発売は3月25日、モチロン自分も予約済みですぜい。
まだの人はお店にGO!である!
ニンテンドーeショップならカタログチケットも使えるからオトクだよ!
え?『3Dアクションが肌に合うかわからない』って?
そういう人の為に体験版も出てるから、四の五の言わず触ってみるべし!!
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---過去のカービィ関係のゲーム記事---