ようやく手に入れた・・・
ニンテンドウパワー用ソフト、『ファミコン文庫 はじまりの森』
*ニンテンドウパワー
20年くらい前に存在していたゲームソフト書き換えサービスのこと。
ゲームボーイとスーパーファミコンが対応。
専用タイトルになにかと名作が多い。
パッケージ販売もされない、書き換え専用タイトルなのでかなりマイナー。
事実、自分も10年くらい前まで存在を知らなかった。
今作の存在を知ったのはWii版のVCがきっかけ。
タイトル画面の雰囲気に釣られて購入し、想像以上の傑作で驚いた記憶。
それから今作の世界観に惚れ込んで、WiiUのVCでも購入、そちらでもクリア。
でもやっぱり、惚れたゲームはオリジナル版をプレイしたくなるよね。
ということで、あれから今までずーっと探し求めてきたわけです。
で、これがそのソフト。
書き換え専用タイトルなのでSFメモリ版しか存在しません。
普段はスクショ撮影にレトロフリークを使用しているのだが、生憎今回はSFメモリであるため使用不可、ということでスーパーファミコン実機の出番である!
片手にスマホを抱えながらLet's Play!
『はじまりの森』は『トラキア』同様にメニューを挟まず直接起動。
物語は主人公である『ぼく』が祖父が住む田舎の駅に着くところからスタート。
祖父を待っている間に崖から落ちた主人公は謎の少女と出会い、物語は始まる。
ゲームは全7章構成で、ラストを除き1日=1章という扱い。
つまり、主人公が田舎で過ごす6日間+αの不思議な体験が描かれる。
1日の終わりには主人公の日記が表示されると共に、オートセーブが行われる。
一度クリアした日付は、その日の始まりからいつでもスタート可能。
基本システムはオーソドックスなもので、
『いどう』『しらべる』『みる』『はなす』『もちもの』などといったコマンドで情報を集め、物語を進めていく。
強いて言うなら『何度も同じ行動を取り続ける』のような特殊な攻略法があるシーンがちらほらあるのが特徴か。
(自分はあまりADVをやらないので他の例を知らないだけかもしれないけど)
物語自体は完全な一本道で、マルチエンディングとかルート分岐のような問題は存在しない。
難易度も低く、行動を間違えたことによるペナルティのようなものも(ラスト以外は)存在しないので、最終的には総当たりで簡単に攻略できる。
そもそも、一日ごとの目的が最初からハッキリしており、プレイヤーがどんな行動を取ればいいのかわかりやすくなっている。
---例---
2日目→少女を探す
4日目→『とある地名』について調べる
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簡単とはいえ、ADV慣れしたプレイヤーが飽きてしまうような内容ではなく、
シナリオの随所でいくつものミニゲーム(のようなもの)が挿入され、いい感じにアクセントを出している。
特に、ラスト周りのアクションシーンは異質なBGMとも合わさり、今作屈指の名シーンとなっている。
(ぶっちゃけ6日目~ラストは全部名シーンとして挙げたい)
会話シーンの見せ方もうまく、おじさんと釣りをしながら過去の出来事を聞き出すシーンなどはその筆頭。なんとマジで釣りを行いながら会話する。
シナリオ自体は単純に流れだけを追うならば『超王道なボーイミーツガール』。
しかし、読んでいてそこまで陳腐には感じない。
6日間という短い期間でありながらも、その中で
『田舎の人々との出会い』
『学校の悪ガキチームとの友情』
『謎の少女やその周囲のあやかし』
などといった要素はきっちり描かれ、
『木が生えてこない森』
『戦国時代と大飢餓』
『どんぐり上人とあや紫様』
など、終盤で重要になってくる伏線は序盤から張られており、作中でおかしな点は一切ない。
EDはちょっと…いやかなり切ない展開になるが、
その不思議な後味もまた、今作のいいところな気がする。
(バッドエンドではないです)
また、BGMをはじめ、様々な要素はどこか牧歌的(Wikipedia引用)で、
特にテキスト周りはどこかシュールだけど引き込まれるような魅力がある。
『~~のだ!』のような主人公の口調や、田舎らしい言葉遣いの人々、
どこか古風な謎の少女などが目立つが、個人的に一番良かったのは、
ヘンテコなナレーションだったり。
今作のナレーションは物語の状況説明の役割を担っている。
タイトルに『文庫』が入っているだけあって、作中のナレーションは恐らく主人公ではなく『文庫を読み聞かせている語り手』なのだと思うが、なぜかコイツが妙に馴れ馴れしい。
主人公が危険を顧みず崖から落下すると『危ないって言われてたでしょうに…』、
チビッ子を泣かせてまで情報を聞き出そうとすると『イジワルはいけません』
などなど…間違いなくプレイヤーに対して言ってくる。
明らかにコイツ(ナレーション)はプレイヤー側にいる人間なので、作中の人物(主人公やら謎の少女やら)からは認識されていない(ハズ)。
ただ、このどこか脱力感漂うようなナレーションが、またヘンな味を出しており、
更に今作を牧歌的にしているとさえ感じる。
強いて問題を挙げるとすれば、ゲームクリアまでの時間が短いことか。
大体6~8時間でゲームクリアまで行ける上、ADVなので何周も楽しめるわけじゃない。
(自分はかれこれ3周ほど楽しんだけど)
だから、ガッツリとゲームやりたいってプレイヤーからはNG食らうかもしれない。
今作は、幸いなことにWii/WiiUの両方でVC配信をしているので、自分のように『絶対にSFCカセットがないとヤダヤダヤダ!』みたいな奇特な人じゃない限り、プレイしやすいのがいいところ。(Wiiはポイント追加できなくなったけど)
ホンワカしたADVを遊びたい、クオリティの高いADVを遊びたいってプレイヤーにはぴったりのゲームである。
最近はめっきり出さなくなっているようだが、FDS~SFC辺りの任天堂はそれなりにADVを出していたらしい。
『ふぁみこんむかし話シリーズ』とか『ファミコン探偵倶楽部シリーズ』とか。
なんでこんな話をするかというと、『はじまりの森』はこれらの系譜のシリーズであるから。
伝聞調である理由?
なぜなら自分は任天堂系ADVだと『はじまりの森』しか遊んだことがないから。
というのも、プレイ環境の構築が厄介すぎるのが原因。
『探偵倶楽部シリーズ』はリメイクがニンテンドウパワー限定だし、
『遊遊記』と『タイムツイスト』はVC配信どころか移植もされてない。
(と書こうとしたけど、ファミコンミニで出てるのか。単にリサーチ不足だった)
おかげでプレイしたくてもなかなかプレイできない。
『鬼ヶ島』はVC配信されてるだろというツッコミは無しの方向で。
とにかく、今作レベルのクオリティが続くのであれば、是非ともそのまま『ファミコン文庫』
シリーズとして続けてほしかったものだが、まぁ知名度的にも厳しかったのかもしれない。
そもそも、『はじまりの森』の時点で既に64が発売してたし、
64で出てたらそれはもう『ファミコン』文庫ではないだろうしなぁ。
(そういう問題じゃない)
オマケ
小紫可愛い