いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

グラディウス リバース (ReBirth)

ある程度ゲームを嗜むものであれば誰もがみんな知っているであろう横スクロールSTG御三家が一角グラディウス、その影響は世代を超えて昨今の数あるSTGにも及んでいる、文字通りレジェンドともいうべきシリーズである。しかしながらインディーを中心に数多のSTGがリリースされるようになり、静かながらSTG人気が復興しつつある傍らで、本家本元の『グラディウス』シリーズは完全に停止してしまっている

まぁソレ言い出すとかつて栄華を誇ったSTG作品で生き残ってるのは何があるんだよというハナシになるし、そもそも昨今の大手がSTGの新作をほぼ出さなくなった理由って『開発費の高騰で新作を出そうとしても採算が取れない』のがシンプルに原因だとわかりきってるので…。何はともあれここらで諸君らにひとつ問題。現在完全に動きを止めてしまっている『グラディウス』であるが、パロディウス/オトメディウスといった派生やアケアカ/アニコレ等の移植を除いた直近の作品…つまるところ『2024年現在でのグラディウスの最新作』はいつのどの作品なのかご存知であろうか?

グラディウスIV(1999年/AC)?まずCS機に目を向けよう。グラディウスV(2004年/PS2)?ナンバリングだと確かにそうだが違う。『リファイン版グラディウス2(2007年/PSP)?新作だって言ってるじゃろ、第一それよりも後に出たヤツがあるじゃろ!…え、グラディウスVI(開発中止/PS3)…そうだね、いつか出るといいね…。

というわけで答え合わせ!!今宵の記事における主役、2024年現在のグラディウスシリーズの最新作…その名は…グラディウスリバースである!!そんなこんなで今回もゲーム語りをやっていこう!

本作はシューティングの歴史におけるレジェンド、『グラディウス』シリーズの1つでプラットフォームはWii…のDL専売ソフト、つまりはWiiウェアである。リリースされたのは2008年のこと。非常に地味ながら2024年4月現在最後の『グラディウス』の名を冠する新作でもあったりする。本作より先にも『オトメディウス』としてこの系譜は続いていくものの、『グラディウス』というタイトルなのは本作が最後なのだ。

Wiiウェアの例に漏れず価格は1000Wiiポイント(=1000円)と非常に安価、それゆえにさぞかし小粒なボリュームなのかと思えるかもしれないが油断するべからず。本作『グラディウス ReBirth』はその小粒な中にこれでもかというくらい愛と魅力が詰め込まれた『グラディウスである!!

開発を担当するのはリバースシリーズや数々の移植作品で毎度おなじみ職人集団エムツー。本作はエムツーWiiの時代においてKONAMIの名作IPを現代向けアレンジを施しつつ復活させていた『ReBirth』シリーズのトップバッターでもある。ReBirthシリーズは本作グラディウスReBirth』を皮切りにしてドラキュラ伝説ReBirth魂斗羅ReBirthと続いていき、その全てで高評価を獲得したということでも知られている。ドラキュラ伝説については過去記事でも一度語ったことがあるので過去記事を参照して頂きたい

ゲーム自体のシステムはわざわざ説明するまでもなく毎度おなじみ『グラディウス』シリーズのソレ。横スクロールで進行しながら度々出現する敵or敵編隊を壊滅させることで得られるパワーアップカプセルを取得し、ゲージに応じた武装を一つずつ取得していく。パワーアップゲージの内訳もいつも通り『スピードアップ』『ミサイル』『ダブル』『レーザー』『オプション』『?』の6項目。ただし本作では『グラディウス外伝』のように多段階パワーアップも採用されており、同じ武装を2回取得すると通常よりも強力なものに変化する。本作の多段階パワーアップはミスしない限り永続である。また初期のアーケード作品同様に敵+敵弾全消し効果のある『青カプセル』も登場する。

本家のグラディウスシリーズはグラディウスIV 復活』グラディウスV』にて3Dポリゴンを採用した作品となっていたが、それらよりも後のリリースとなる本作は2Dに回帰している。『リバース』の名の通り懐かしさを優先しているのか、絵面だけ見れば『グラディウスIII 伝説から神話へ』あたりの時代にリリースされたと言われても信じてしまうほど。まぁ動きの滑らかさが段違いなのでプレイしてみると『絵面は古いが操作感は快適』というのは理解できる。

Wiiというプラットフォームの都合上、操作に使用できるコントローラは4種類Wiiリモコン横持ち』Wiiリモコン+ヌンチャク』クラシックコントローラゲームキューブコントローラ』の4つからお好きなものを選択しなされ。

キーコンはコントローラごとに可能かつ、連射の有無も設定可能。デフォルトではミサイルとショットが同じボタンに設定されているがコレを分けることもできる。同時入力や連射の有無の使い分けを考えるならやはりボタン数の多さからGCコンかクラコンに落ち着くかと思われる。…というかWiiリモコンの十字ボタンがSTGに不向きすぎるせいでもあるが。

ここからはストーリーについても語っていこう。従来の『グラディウス』では原則ストーリーなどほぼ存在しないものが殆どであったが、こと本作においてはそういうわけにはいかない。タイトル画面で流れるOPデモでは本作が『サイレント・ナイトメア事件』の2年前の物語であることが明かされる。この『サイレント・ナイトメア事件』とはズバリ『グラディウス2(MSX)』本編のこと

そう、つまり本作はグラディウス2沙羅曼蛇(MSX)『ゴーファーの野望 エピソードII』と独自路線で突き進みつつも、いつからか完全に停止してしまっていたMSXグラディウスシリーズ』の系譜に含まれる作品であるのだ。ちなみにMSX版シリーズとはシステムはもちろんのこと、何よりシナリオにやたら力が入っており、(せいぜいOPとEDぐらいしか描写の機会がない)STGにここまで濃厚なシナリオいらなくね!?』とすら思えてしまうぐらいガッツリしたあらすじが用意されていた作風が特徴であった。

というわけで本作には明確なシナリオが用意されている。本作でシナリオ描写が行われるのはOPデモと1面の開始直前とラスボス撃破後のみ沙羅曼蛇(MSX)』の『Odysseus(デモ画面のBGM)をバックに会話を行うのは本作や『グラディウス』『グラディウス2』で主人公を務めるジェイムス・バートン、そしてグラディウス2』ひいてはMSXシリーズ全般の宿敵ヴェノムである!!

…なんでグラ2の主人公とラスボスが仲良くしてるんじゃいと本シリーズをよく知らない人は突っ込みたくなるだろうが、元々ヴェノム博士はグラディウス帝国宇宙科学庁長官だったがクーデターを起こし逮捕、その後追放される』という設定であり、グラ2の前日譚である本作ではまだ両者は仲間同士であったわけである。

ついでに本作の自機は毎度おなじみ超時空戦闘機ビックバイパー、完全1人プレイという都合上ロードブリティッシュはお留守番である。本作から直接続く『グラディウス2』では自機がメタリオンにバトンタッチするため、本作は初代『グラディウス』から戦い抜いてきた初代ビックバイパーの引退戦という見方もできるかもしれない。まぁそもそも本作のビックバイパーがグラIと同じ機体という保証もないけども。

TYPE-A…ノーマルミサイル/ノーマルダブル/ノーマルレーザー/シールド
TYPE-B…2Wayミサイル/テイルガン/リップルレーザー/フォースフィールド
TYPE-C…スプレッドボム/バーティカル/ツインレーザー/シールド
TYPE-D…ナパームミサイル/ダブル/アップレーザー/シールド
TYPE-E…2Wayミサイル/Vショット/ベクトルレーザー/フォースフィールド
※ミサイル/ダブル/レーザー/?の順に記載、スピードアップとオプションは省略

グラディウスII GOFERの野望』から導入されたウェポンセレクトはモチロン登場、本作で使用可能なのはTYPE-AからTYPE-Eの5パターン。ただしデフォルトだとTYPE-CまででTYPE-D/Eはとある条件を満たした時に『ヴェノム博士が開発した新機体』という扱いで初めて解禁される。詳細な条件については謎なものの、とりあえず我の時は散々リトライしながらの1周クリア時点でどっちも解禁された記憶があるのでシンプルなプレイ時間によるアンロックかもしれない。装備の内容は上記の通りであり、他作品以上にセクションごとの得手不得手がハッキリわかれているので要注目。

グラIIIにあったEDITモードはなく、また『?』枠もタイプによって固定されている。ほかにもTYPEごとの特徴がテキストで説明されているのが少々珍しい点で、ソレによればTYPE-Aから順に『万能型』『広範囲攻撃』『攻撃力重視』『試作型』『初心者向け』とのことらしい。本作初出の装備などはコレといって存在せず、いずれの武装過去のグラディウス関連作品からの続投。よくよく見てみるとA・B・C装備はそれぞれグラディウスグラディウスII』グラディウスIII』を思わせる構成である。

ところでD装備『試作型』というのは何なのか気になるだろうが、コレは即ち『グラディウス2』の自機『メタリオン』の試作型『スペース・ファイター』という設定。ソレに合わせて武装も全てグラ2に登場したものとなっている。あちらとは異なりパワーアップゲージの長さは変わらないため一安心…に見えるが実際のところD装備限定で装備可能なオプションが2つに減らされてしまうのでやっぱり上級者向け。後の『オトメディウスX』のハイパー亜乃亜でもそうだがそんなところまで再現しなくても…。

D装備同様にメタリオンの試作型という設定を持ち、更に初心者向けを謳うE装備にはグラディウスでは見かけないモノが揃っている。これらは同時期にアーケードで稼働していたオトメディウス』からの逆輸入*。『2Wayミサイル』も名前こそ同じながらE装備のもののみ地形に沿って飛ぶというオトメの『ツインミサイル(或いは沙羅曼蛇のミサイル)』に近いスペックになる。STGでも屈指のマイルド調整だったオトメ武装を扱えることで初心者向け…と言いたいのだろう。ただダブル枠のチョイスがネタ抜きで正面への攻撃手段を失う『V-ショット(V-アクシス)』なのでぶっちゃけ扱いづらい。

*内部データこっそり話
本作(グラリバ)の開発元であるエムツー
本作と同時期に『オトメディウス』の移植版である
オトメディウスG(ゴージャス!)』も手掛けている。
そしてなんと解析によりオトメディウスの主人公である
亜乃亜のグラフィックがグラリバ内にあることが発覚している。
コレは我の推測なのだが、E装備の内容がオトメのソレであることと
亜乃亜のグラフィックがあることを照らし合わせると、
もしかしたら開発当初は隠し機体で彼女を出す予定でもあったのかもしれない。

そしてレーザー枠の『ベクトルレーザー』は初出こそグラ2なもののエフェクト・性能の両面ともにやっぱりオトメディウスの『ウェーブ』の方が近い。具体的には『地形を貫通して攻撃できる』という代物なのだが、本作のベクトルレーザーはオトメのウェーブと異なり『地形を貫通できるが障害物を破壊できない』というとんでもない弱点を抱えており、迂闊に装備すると一部の面で泣く羽目になる。

ちなみにD装備でプレイした時に限り自機のグラフィックがグラ2のメタリオンと同じものになるほか、D装備&E装備のみ空中戦BGMが『A Journey To The Start(グラ2の空中戦)のアレンジに切り替わるというファンサービスがあるのが地味にニクイ。
(なおE装備時の自機はビックバイパーともメタリオンとも異なる黒い機体になる)

ゲームを取り巻くシステム的なハナシをすると本作はグラディウスIII&IV 復活の神話(PS2)』バージョンのグラIIIに近い作りになっており、ゲーム開始時に周回数+復活ポイントを選択してのステージセレクトが可能、難易度が全5段階かつ『敵弾が破壊できるようになる(EASY以下)』『敵がそもそも弾を撃たなくなる(VERY EASYのみ)』といった一定難易度限定の易化措置も施されている点も共通。もちろんあちらと同じように『前回ゲームオーバーになった復活ポイントから何度も挑戦して突破、少しずつエンディングを目指す』という遊び方もできる。実はこういう楽しみ方ができる作品はシリーズでも本作とPS2版『グラIII』だけだったりする。
(グラ外やPS2版グラIVはステージセレクトに一周クリア必須、グラVは単独の面でのプレイしかできないため)

家庭用グラディウス作品でお約束ともいえるコナミコマンドはもちろん搭載。本作のコマンドは『↑↑↓↓←→←→12』、コントローラによって最後の『12』の箇所は『BA』になったりもする。ポーズ中に入力すると瞬時にオプションが4つ装備されるため、プレイヤーにとって心強い味方になってくれるハズ。ただしスピードアップやレーザー・ダブルといった他の装備は変化しないため、そこからのパワーアップは自力で行わなければならない。

また難易度ごとに使用回数にも制限が設定されていて、難易度NORMALならばデフォルトで1回のみ、ボスを撃破するたびに1回ずつ使用回数が回復していくようになっている。早い話がグラディウス(FC)』と同じ仕様。これだけだとSTGへたっぴ勢に厳しいようにも聞こえるが、一度タイトル画面に戻れば使用回数はリセットされる。コナミコマンドはいつだって初心者の味方である。
(タイトル画面→ステージセレクトでコナミコマンドが再使用できる)

プレイヤーが挑むことになるステージは全5面歴代グラディウスの中では特に少ない。しかし少ないステージ数ながらも印象に残りやすい構成なので満足度は高め。1面に火山、2面に細胞、3面にモアイというシリーズおなじみのチョイスを持ってくることでグラディウスらしさを出しつつ、歴代のギミックを交えながら『進め方次第でステージ背景&ギミックが3パターンに変化する(1面)『カプセルをドロップする敵が後方から押し寄せるので壁にくっつくよう誘導して大量にパワーアップ(2面)のようにこれまでとは一味違うギミックが搭載されているため、最後まで飽きさせない。

火山・細胞・モアイというお約束ステージ群に続く4面はまさかまさかの骨ステージ。コレは知る人ぞ知るMSX版やPCエンジン版の『グラディウス』で用いられたモチーフ元であり、当然MSX版のザコ敵やPCエンジン版の骨ギミックまでもが再登場する。このひっじょーに渋いチョイスに唸らされた人はきっと多いはずだろう。中盤からは巨大な虫が沙羅曼蛇』のプロミネンスの如く襲い来るパートなんかもあって実に楽しい。あと非常に地味だがこの巨大な虫のSEが沙羅曼蛇2』のサナダムシのモノと同じだったりといった小ネタもある。

また、基本的なステージ群のほかに家庭用のアレンジ移植にて半ば恒例となっていた『エクストラステージ』も登場。ステージ中の特定の地点にアクセスすると突入でき、クリアの可否(突破orミス)に関わらず終了後は次のステージに進むことができる。ただしミスった場合は残機&装備が消えるので絶対絶命だが。

内容は完全にかつての『エクストラステージ』のソレであり、ショットで壁(というか障害物)を破壊しながらスコアアイテムを集めていくことになる。もちろんBGMは『スクーターシューター』…否、グラディウス(MSX)』の『Extra Stage』のアレンジ。…ところでだが、エクストラステージの障害物はE装備のウェーブだとすり抜けてしまい破壊できないので注意。Vアクシスなら破壊できなくもないがほぼ無理ゲーゆえ、E装備でエクストラステージに入ったらまず詰むと考えていい。

各種ステージのラストを飾るボスたちもまた印象的。本作のボス勢はオリジナルというものより『過去作に登場したボスのアレンジ』という趣が強い…が例によってやっぱりチョイス元が渋い。1面ボスこそ毎度おなじみビッグコア(まぁコイツも結構衝撃的なギミック持ちだが…)ながら、2面で登場するのは『ネメシス』のクロウラー、5面の中ボスには沙羅曼蛇(MSX)』のエニグマまで現れる。3面に至っては背景に超巨大モアイが出現、その額から飛び出す巨大なボールが壁を反射して跳ね回るというどっかで見たことある絵面を目の当たりにする羽目になる。アルカノイド』はKONAMIじゃなくてTAITOだろというツッコミは禁止。

ありとあらゆる敵を打倒し、無事5面のラスボスを撃退できたのであれば晴れてエンディング…だが本作はまだそこでは終わらないグラディウス恒例の周回要素はもちろん本作にもあるのだ。NORMAL以上の難易度でプレイしていた場合、ラスボス撃破後のデモシーンにて『さっきまで戦っていたバクテリアン軍は偽物だった』とかいう『魔界村』みたいな真相が明かされ2周目がスタートする。

そして難易度の上がった2周目も同じように5面ラスボスまでクリアすると今度は『ガウディ(本作とゴーファーの野望EpIIに登場するサポートAI)バクテリアンに感染したのでデバッグしろ』とかいう更にわけわからん理由から3周目に突入。この流れからすると4周目・5周目と続いていきそうなものであるがシナリオ自体は3周目のラストで終了し、3周目の5面をクリアした時点で強制的にゲームオーバーとなるので本作は事実上の『3周END』のゲームである。

周回プレイのシステムがゲームのストーリーに組み込まれているのはグラディウス2』のオマージュともいえるかもしれない。『グラ2』は周回ってよりも往復だが…まぁ似たようなもんじゃろ。なお2周目に入れるのは難易度NORMAL以上のみであり、難易度EASY以下の場合はここで専用の会話が挟まり強制ゲームオーバーとなる。

この周回の説明からして薄ら察してそうなものだが、本作のシナリオはグラディウスの中でも極めてギャグ寄りである。会話を行うのは先にも触れたようにMSXシリーズの主人公ジェイムスとMSXシリーズの宿敵ヴェノムであるが、その内容は徹底的にコミカル。幾度となく飛び出すメタ発言の数々に面食らう人も多かろう。

なんなら冒頭のニュース画面も今は亡きWiiの『ニュースチャンネル』のソレであり、そこで語られている内容もKONAMIネタ、片やけっきょく南極大冒険、片や『シャロム 魔城伝説III 完結編』とかいう妙にマニアックなチョイス。作中にて登場するガウディもその外観はスナッチャー』のメタルギアMk-IIそのもの、しかもちゃっかりWiiらしき機械と合体している。トドメとばかりにガウディのデバッグ用としてジェイムスに渡されたのはどっからどう見ても『Wiiリモコン(いい意味で)ふざけきっている。

だが面白くはある一方で『天下のグラディウスがこんなノリでいいのか?』と思う人もいるだろう。そういう人は3周目をクリアするのだ。3周目をクリアしたときのデモシーン…本作の真のエンディングを迎えたその時、本作がグラディウス2』の前日譚であることを改めて思い知ることになるハズだ。 

ストイックに自らの腕を試したい人は『スコアアタックモード』をプレイすべし。こちらでは残機2固定かつコナミコマンド禁止で1面からスタート、純粋に自らの限界に挑戦できる。本編とは違い3周エンドではなく4周目以降もゲームオーバーになるまでエンドレスにゲームが続く。難易度も自由に選択可能であり、スコアアタックのランキングも難易度ごとに個別集計される。ニンテンドーWi-Fiコネクション(Wii/DS時代のオンライン機能)が生きていた頃はハイスコアをアップロードして全国のシューターと競い合うこともできた。またスコアアタック終了時にリプレイを容量の許す限り保存できるのがシューター的に中々嬉しい要素。

ステージ数の少なさも相まって1周クリアまでであれば『グラディウス』名義のシリーズ作ではかなり簡単な部類、しかしながら本作の本番は2周目以降。2周目以降はシリーズ恒例の撃ち返し弾が飛んでくるだけでなく、驚くことに各ステージの地形までもが変化する。もちろんエクストラステージの入り口も変わる。難易度や周回によって敵のバリエーションが変化する例は過去にもあったが、地形自体が変わる例は極めて稀…というか本作のみかもしれない

当然ながら前の周回で使えた攻略法は役に立たず、周回ごとに違った攻略・復活パターンを構築しなくてはならない。地形は1周目・2周目・3周目でそれぞれ異なるため、本作はステージ数こそ全5面ながら、体感的なボリュームはその3倍に感じられるのだ。ちなみにスコアアタックモードでの4周目以後は1-3周目の地形がループする…らしい。
(らしいと伝聞調なのは相変わらず通しで3周クリアできてないからです、ハイ)

ここからはサウンドのはなし。本作の作曲を手掛けるのは他のReBirthシリーズと同じく『さんたるる』こと並木学(現:並木學)、ReBirthシリーズ特有の音使いゆえに一度でも耳にすれば強く印象に刻み込まれることだろう。グラフィックに合わせてかグラディウスII GOFERの野望』『グラディウスIII 伝説から神話へ』と同じ音源を採用しているのも特徴のひとつ。過去の『ドラキュラ伝説ReBirth』の記事にて渋い選曲こそが魅力とも触れていたが本作でもソレは同様。

グラディウスを追い続けたシリーズファンに向けたマイナー名曲たちがチョイスされている。空中戦に『The Universe of Blackness(ゴーファーの野望EPII)、1面道中に『Heavy Blow(FC版グラディウスII)、3面道中に『The Ruin(ネメシス)など選曲元はMSXシリーズと数々の家庭用作品のオリジナル曲が中心。中でも最終面の後半パートに本来ステージ曲ではない『Departure Again(MSX沙羅曼蛇)を持ってくるのには痺れた

言わずもがなこれらは(当時の)アーケード作品で流れなかったもの揃いであり、それらがグラII/グラIIIに近い音源で奏でられるというのだから往年のファンからすると感慨深いものがあるだろう。ちなみに本作のサントラはItunesストアにてDL配信中。サントラには本作収録楽曲とそれらの原曲だけでなく、サントラ用の新規アレンジがメドレーという形で収録されている嬉しいオマケも。

サントラ用アレンジメドレーは『Unpleasant Cell(SFCグラディウスIII)『SENSATION(沙羅曼蛇2)『ENDING(ネメシス)などこれまたゲーム本編に負けず劣らず知る人ぞ知る名曲だらけのチョイスとなっており、シリーズファンであれば『おお!?』となること請け合い。むしろ全ての楽曲の出展作品がわかれば立派なグラディウスフリークである。特にこのうちの『Fighter Blood(ゴーファーの野望EPII)『A Journey To The Start(グラ2)『Cosmic Heroes(ゴーファーの野望EPII)の3曲はアップデートにてゲーム本編にも逆輸入されている。

さて、本作の最大の難点は言うまでもなくプレイ環境を構築するハードルの高さにある。なんせリリース形態が既に販売終了して久しいWiiウェア、後継機/他プラットフォームへの移植も行われておらず、本作をプレイしたいならば必然的に『本作を当時購入したWii/WiiU本体を入手する』という非常に高いハードルを乗り越えなくてはならない。

『事実上最後のグラディウス作品』という歴史的な重要度もさることながら、1本のSTGとしてとにかくハイクオリティである本作のプレイ手段が絶たれたままなのはとにかく勿体無いというほかないだろう。ましてやWii/WiiUも既に登場してから10年以上が経過しているため、いつ動かなくなるかわからぬ状況である。場合によっては本作そのものが幻として歴史の闇に消えてしまう恐れすらある

唯一幸いなことは本作のIPを持つKONAMI(コナミデジタルエンタテインメント)も開発元であるエムツーも共に現役バリバリでゲーム業界にて大活躍中であり、『権利の所在が分からない』という状況に追い込まれていないことだろう。この両メーカーは近年でも変わらずタッグを組んで数々の作品の復刻を行っていることもあって、(外から見る分には)メーカー同士の仲も険悪とは思えない。だからこそ、今でも『本作も含めたリバースシリーズの移植』という希望に縋ることができているのだ。

…いつか『魂斗羅ReBirth』について本ブログで語る機会が訪れた時、その頃には『このプラットフォームに移植されてるよ!』『ReBirthシリーズはどれも超オススメだよ!!』といったテキストで記事を締められる日が来ることを祈っているのである!!

 

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