いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

小林さんちのメイドラゴン 炸裂!!ちょろゴン☆ブレス

毎度の如く唐突だが、諸君らはメイドさんはお好きかい?まぁ『メイド』とは一言では言い表せないほど多岐に渡る小分類が存在するため、拘る人はこの質問そのものに対して申したいことが一つ二つあったりするかもしれないが、今回の本題はやっぱりそこにはないので気にしないでほしい。

ゲームに限らず、創作作品の世界においてメイドさん』というジャンルは常々高い人気を誇ることはよく知られている。メイドという属性やメイドを表す各種意匠そのものが魅力的であり、ソレに惹かれる人がいるのも納得できる。

ところで個人的な認識の話になるが『メイド』とは割かし万能な属性であり、基本どのような属性とミックスさせても美味しい、さながらカレールーのような存在であると自分は考えている。創作作品を色々と追っていくと、『メイド×〇〇(何かしらの人気属性)』といったようなメイドさんのバリエーションに遭遇することは非常に多く、その度にスタッフや製作者のアイデアに感服させられている。まぁ、そろそろ枕はオシマイなので、今宵もゲームを語るとしようか。
(言わずもがな本題にはあんまり繋がらないので忘れていただいても大丈夫です)

今回語るのは久々に比較的新しいゲーム、小林さんちのメイドラゴン 炸裂!!ちょろゴン☆ブレス』である!クール教信者先生の漫画作品小林さんちのメイドラゴンのゲームで、公式での略称は『ちょろブレ』このブログで語るにしては非常に珍しい『原作モノ』の作品であるが、最初に宣言しておくと、我は今作で初めて『メイドラゴン』という作品を知った。ならば何故今作に手を出したのかというと、それはズバリ今作を構成する様々な要素に惹かれたからである!

そもそもの前提としてまず今作はNintendoSwitch/PS4向けの『CS作品』である。ひと昔前ならばいざ知らず、原作モノの作品はまず真っ先にスマートデバイス向けにリリースされることが主流になった近年…というか今年(2022年)発売の作品であるにも関わらず、本作はわざわざCS機オンリーでのリリースを選んだのである。
(なおこの記事を書いている間にSteam版が発表されたが『当初CSオンリー』ってことでスルーしてほしい)

もっとも、昨今でも原作モノのゲームがCS向けにリリースされる事自体は珍しいながらも決して無いワケではない。例えば長年愛され続けているような長寿作品であれば、ゲームもCS側でシリーズ化していることもあるだろうし、近年生まれたばかりのヒット作でもユーザー層が合致していれば普通にCSにてゲームがリリースされることもある。そして一般的には原作モノのゲームのジャンルはアクションやアドベンチャーが主流…まぁコレについては原作とゲームジャンルの親和性によるものもあるだろう。

さて、これからの話の前に原作となる『メイドラゴン』は現代日本のOLの小林さんが異世界から来たドラゴンのトールと運命的に出会い、ソレをきっかけに人間界でメイドとして暮らすようになったトールをはじめとするドラゴンたちの物語』…まぁ平たく言えばファンタジーを交えた日常モノ(時々シリアス有り)の作品であることを念頭に入れておいて欲しい。この説明からして自ずとジャンルについても絞られてくるだろう。

準備もできたところでハッキリ申させてもらうと、今作のジャンルは『縦画面弾幕シューティング』である。もう一度言う。弾幕STGである。
(公式でのジャンル名は『飛んで、撃って、殴って、超!爽快シューティング』となっている)

ここらで一度情報を纏めてみよう。本作は『2022年発売の』『原作モノの』『(当初)CS専用の』『完全新作の』弾幕シューティング』なのだ。一つ二つの要素であれば該当する作品もあったかもしれない。しかしながらコレらが全て纏まった作品ともなるとそうそう見られない。前例は果たして何十年前なのか、そして次なる例は果たして何十年後になるものなのか…。自分はそんな奇跡ともいえる本作に惹かれて手を出したのだ。
(なお自分が知る範囲で『STG要素のない原作モノがSTGになった例』は『火の鳥(1987)』くらいです)

開発はカミナリゲームス雷電シリーズカラドリウス等でお馴染みの株式会社MOSSの子会社である。そしてサウンドベイシスケイプが担当。この時点で察しのいいお方はお気付きであろう。今作、ガチでSTGを作る布陣で開発を行っている。ただ話題性だけを求めて弾幕STGにさせられたのではなく、スタッフたちは正真正銘完全新作の弾幕STGを作ろうとしていたのである!まぁそれはそれとして題材が弾幕STGに不向きすぎるのは避けようもない事実なのだが。

何はともあれ改めまして今作は小林さんちのメイドラゴン』を原作にした『弾幕STGである。自機となるのは原作から登場するドラゴンであるトールカンナエルマの3名。今作ではこの3人を1チームとして操作していく。

3人はそれぞれショットの性能が異なり、『(ほぼ)真正面にしか飛ばないが連射力が抜群のトール』『連射力は低いが自動で相手をホーミング&敵弾を反射できるカンナ』『連射そこそこで超広範囲をカバーできるエルマ』といった形で差別化が行われている。3人はいついかなる時でも1ボタンで交代可能

攻撃方法はショットぶっ飛ばし(直接攻撃)ちょろゴン☆ブレス(ボム)の3種類。純粋なクリアだけであればショットオンリーでも割とどうにでもなるが、ハイスコアを求めると残り二つも活用する必要が出てくる。

『ショット』は前述のようにキャラごとに異なる挙動をする遠距離攻撃。ただし一般的なSTGのショットに比べると火力が控えめなのが特徴であり、大型どころか小型の雑魚でも複数回当てないと倒せないことも多い。まぁヒット数自体は多いので手数でゴリ押せはする

『ぶっ飛ばし』はその名の通り敵を直接攻撃するSTGの直接攻撃といえば『カラス』のようにその場から動かない、或いは『エグゼリカ』のように敵の方を引き寄せるモノを思い浮かべがちだが、本作の直接攻撃はソレとは真逆で『発動と同時に敵に急速接近する』という特徴がある。

そして攻撃と同時に倒した敵を吹っ飛ばすため、ある程度の範囲を巻き込むことができる…が、コレを狙って行うのはかなり難しいので、ガッチガチにスコアタをやり始めるまでは考えなくて良し

発動の際にはチャージが可能であり、チャージした分に応じて火力が上昇即座に発動した場合でも急速接近は行えるので、状況に応じてチャージの使い分けも大切。ちなみに近付く対象は『最も近い位置にいる相手』なので、適当に使うとあらぬ方向にすっ飛んでいくことも…。

本作では自機の移動速度がかなり抑えられているため、この『ぶっ飛ばしの急速接近』はなかなかバカにできない高速で飛び回る敵に奇襲を仕掛けたり、逆に動かない敵に対し急速接近→ゼロ距離ショット連射でHit数を増やしたりといった扱いができる。急速接近中の自機はスーパーアーマーなので敵弾は気にせずガンガン仕掛けるべし。
(ダメージは受けるので過信しすぎると乙るけど)

敵を倒しきれなければ距離を詰めたことで絶体絶命になるのは言うまでもないが、そんな時のため本作には『バックステップ』というSTGにしてはかなり珍しいアクションが用意されている。

バックステップは後方(画面下側)に大きく下がるアクション。攻撃性能はなく移動方向も一方向のみだが、ぶっ飛ばしとほぼ同等の速度で移動できるため、敵に近付き過ぎた時に便利。コイツが輝くのは言うまでもなくぶっ飛ばしと組み合わせた時である。

というわけで基本はショットで立ち回りいざという時はぶっ飛ばしで突撃直後バックステップで距離をとる…といったように本作のプレイはある程度慣れてくると弾幕ゲーとは思えないアグレッシブな立ち回りをするようになるのが特徴。とはいえぶっ飛ばしもバックステップも慣れるまでは完全封印で問題ないくらいの塩梅のため、難しく考える必要はあんまりない。

『ちょろゴン☆ブレス』一般的なSTGにおけるボムの役割。発動するとブレスのデモが流れ画面全体にダメージ+敵弾を全て消すことができる。使用回数はゲージ性となっており、最大で3回(デフォ設定)までストック可能、ゲージは時間経過で回複する。ちなみに今作はそこまで敵の攻撃が激しくないため、緊急回避用というよりもコンボの持続目的で使うケースの方が体感多め。

一連のプレイを通して引き継がれる要素として『龍玉』というシステムがあり、コレが今作における成長システムとなっている。敵に攻撃が命中するたびにエネルギーが溜まっていき、一定を越えるごとにレベルアップ、自機のショットが強化されていく。とりあえず撃ち漏らしがないように立ち回っていれば自ずと上昇するので、プレイするうえで気にする必要はあまりない。

あと重要なシステムだと…『コンボ』があるか。他のコンボシステムを導入しているSTGと同様に敵を連続して倒していくごとにコンボが持続、スコア倍率が上昇していく。

コンボの猶予時間と最大倍率は後述のリスクレートによって設定され、高難易度ほど猶予時間が短くなる代わりに、最大倍率も上がりガンガンスコアを稼げる。逆に低難易度ではかなり簡単にコンボを繋げられるが、スコア倍率が低いまま上がらないので最終的なスコアは頭打ちになる。

ハイスコアを目指すと必然的にこのコンボ維持が求められるのだが、ここで大事なのは『ショットでは火力不足で中型以上の敵だとコンボが続かない』というところ。そう、ここで出てくるのがぶっ飛ばしである。ぶっ飛ばしは一撃の火力が高いため、いざという時のコンボの繋ぎに役立つのだ。
(ブレスでもコンボは繋がるがこっちは最終手段)

そして今作で特筆すべきはSTGにありがちな『被弾によるペナルティ』を徹底的に抑えている点にある。今作は体力制を採用しているため、一度の被弾ではミスにならず体力が削られるのみ

体力の最大値はキャラごとに異なるのだが、最も体力の低いカンナであっても(後述のリスク設定にも依るが)2発程度の被弾なら耐えることができる。加えて体力はキャラごとに別々で管理されているほか、操作していないキャラの体力は時間経過で回復していく。そのため被弾→即交代という立ち回りを忘れないようにすれば、どれだけ弾避けが苦手でもガンガン進んでいける
(回復アイテムも存在するが、1プレイ中に2回、決まったポイントにしか登場しない)

原作ファン(非シューター)が手を出すことも考慮してかチュートリアルが非常に充実しているのも特徴。今作特有の要素であるぶっ飛ばしや龍玉の概念は当然として、『スティックで移動できる』『ボタンを押すと弾が出る』というSTGの基礎オブ基礎から懇切丁寧に教えてくれる

…まぁその割に弾幕STGにおいて最も重要な概念である『自機の当たり判定は見た目よりもずっと小さい』という説明が見事にスルーされているのは如何なものかと思ったが、まぁコレはプレイしてればそのうち気付くということなのだろう、多分。

システムの説明が終わったところでゲームモードの話をしていこう。本作の主なゲームモードは『ストーリー』『ステージ探索』。前者がいわゆるメインモードで順番に全ステージをプレイしていくモード、後者が任意のステージのみをプレイできるステージセレクトになる。クリア後にはボス戦のみを連続してプレイする『ボスラッシュ』どんどん強化されていくラスボスの猛攻にどれだけ耐えきれるかを競う『ルコアチャレンジ』が解禁。

『ストーリー』は全6面構成最初の3ステージは自由な順番で攻略可能。後に回したステージは難易度が上昇するため、苦手なステージを先にプレイするようにしたい4面以降のプレイ順は固定で、5面クリア時、6面クリア時の状態でEDが変化するマルチエンド制。なお周回という概念は存在せず、5面/6面クリアでそのまま終了する。

ストーリーと銘打ってるだけあって、ステージ間の幕間はおろか、ボス出現時にすらADV風味の会話パートが挿入されるのが特徴。純粋なSTGとして考えると、ボス登場の度にゲームが停止するのでかなりテンポが悪くも思えるが、この会話パートは完全OFFにもできるのでご安心。

ステージの攻略中は特定局面に差し掛かるたびにノンストップでキャラ達のフルボイス会話が挿入される。この時の会話はプレイアブルの3人のほか小林さんルコアさんイルルも交えたものになるため非常に賑やか。こちらはADVパートと異なりOFFにすることはできないが、ボイスOFFは可能なので気になる人はカットできる

『ステージ探索』では任意の難易度/リスク設定(どちらも後述)で好きなステージをプレイ可能。1ステージのみのプレイとなるため、『途中のステージからストーリーを再開』といったことはできない。任意のステージ練習にも使えるが、大抵は後述する収集要素コンプのため潜ることになる。

突入する順番で難易度が変わる最初の3ステージは『何番目に挑んだ際のステージか』も指定できるのでありがたい。また、2面以降のステージを選択すると龍玉レベルがある程度上昇した状態からスタートするので、ストーリー時に近いプレイができるようになっている。

今作の難易度は通常の『難易度』『リスク』の2つの要素によって決定される。この二つはどちらもゲーム開始時に設定でき、プレイ中に変化することはない。難易度とリスクはそれぞれ5段階あるため、実質的に本作の難易度は5*5の25段階あるといっていい。

『難易度』は一般的な意味合いでの難易度設定、高ければ高いほど敵の攻撃頻度や敵の数が増加する。『リスク』は今作独自のシステムであり、高くなるほど一撃の被弾によるダメージが上昇するほか、前述した通りコンボの持続時間が短くなる代わりにスコア最大倍率が上がる。また後述する『秘宝』の入手確率も上昇する。

『難易度』と『リスク』はスコア稼ぎの面で密接に絡んでおり、例えばリスクを上昇させればスコアは稼ぎやすくなるものの、難易度が低いと高リスク時のコンボ猶予時間に対し敵の頻度が少なすぎるため、コンボそのものが繋がらない…といったジレンマが生まれる。自分にあった難易度を模索している時はなんだかんだで結構楽しい

全難易度の中間である難易度3/リスク3で考えると、世間一般の弾幕STGと比較して中の中あたりの難易度1まで下げればSTG初心者でも楽々クリア可能なレベルまで簡単になり、逆に5まで引き上げるとSTG上級者でも歯ごたえを感じる高難易度になる

道中やボスは(おそらく)完全パターン化できるようになっており、自機狙いの弾も非常に低速高速弾にブチ抜かれるような場面は全編通して一切ない。そのため何度も何度もプレイして攻略や立ち回りを覚えれば、今作がSTG初プレイでも充分クリアは目指すことができる

また、ちゃっかりオプション画面から体力最大値(デフォの1%-200%の範囲)とブレスのゲージ最大値(3-5)も変更できるため、こちらを利用すれば更に難易度が下げられる。『クリアできるか心配…』という人は遠慮なく使ってしまおう。この二つは弄るとオンラインランキングの集計対象外となってしまうがEDや収集要素への影響は全くない

EDは全部で5種類あるが、これらのEDはいずれも難易度不問。ただし最高ランクのEDだけはある程度のスコアを要求されるのでちょっとばかりリスクを上げておく必要はあるかも。それでも難易度2/リスク2くらいあれば充分達成できるレベルなのでご安心あれ。

弾幕STGはじめ多彩なゲームサウンドで定評のあるベイシスケイプが手掛けるBGMのクオリティは言わずもがな高い。なお本作では作編曲を工藤吉三氏(怒首領蜂大復活/エルデンリング等)渡邊里佳子氏(十三機兵防衛圏/ドールズフロントライン等)が、マスタリングを金子昌晃氏(雷電V/カラドリウス等)が担当している。

各種ステージはいずれも異なるゲーム世界だからか、ステージごとに曲の雰囲気がガラリと変わるのが特徴。個人的なイチオシ曲は『シュガーアスレチック』タキオンブレイズ』の2曲である。…ただし本作はステージ道中のザコ敵にまでボイスが用意されており、いい意味でも悪い意味でも基本ずっとボイスが流れ続ける作りのため、プレイ中は折角のBGMが聴こえづらいのが難点。じっくりBGMを楽しみたいときはオプションからボイスの音量を最低まで下げるべし

ADVパートやEDを抜きにした一周のプレイ時間は20分ほどで一般的なSTGと比較するとやや短めADVをボイス付きでマトモに聞くとSTG部分と合わせて計30分~40分くらい。これだけ聞くとボリュームが少ないようにも感じられるが、そこで出てくるのが『想い出のかけら』『秘宝』である。

『想い出のかけら』『秘宝』はどちらも収集要素であり、繰り返しプレイしながらコイツラのコンプリートを目指すのがスコアタと並びクリア後の目標となる。どちらも共通してステージの攻略中に敵を倒すとドロップすることがあり、コレを拾った状態でステージクリアすると正式に入手できる。

『想い出のかけら』はパズルのピースのように分かれており、集めていくことで何かしらのイラストが完成する…という要素。イラストが完成するとご褒美にそのイラストに関連するフルボイス会話を聴けるようになる。

イラストの絵柄は全部で34種類。大半は原作単行本や掲載紙の表紙絵や扉絵だが、一部本作のために掻き下ろされた新規イラストもある。新規イラストはどれも著名イラストレータが手掛けており、原作者であるクール教信者先生のほか、なつめえり先生トモセシュンサク先生ぽよよん♥ろっく先生にゅむ先生…と名だたる顔ぶれが揃っている

想い出のかけらは1プレイ(1ステージクリア)までに3枚までしか手に入らないという制限こそあるが、後述の秘宝と異なりダブりが一切発生しないためコンプリートは容易。完成前のイラストを選択すればどのステージでピースが入手できるかも表示できるので、とりあえず想い出のかけら集めで詰まる事はそうそうないだろう。

もう一つの収集要素である『秘宝』はとにかく数が膨大各ステージごとに20種類以上用意されており、敵を倒した時に稀に出現する宝箱を拾うことで取得可能。取得した秘宝はメニュー画面から説明を読むことができ、いずれもそのステージの雰囲気に因んだものとなっている。

こちらは1プレイごとの入手数に制限はないものの、ダブりが普通に発生する…というかめちゃくちゃダブりまくる未入手の秘宝に対する補正らしきものも(おそらく)存在しないため、コンプリートを目指す場合は何度も何度も同じステージを周回することになる。とはいえ秘宝を集めたところで得られるのは簡易的な秘宝紹介テキストとコンプ時のトロフィーくらいなものなので、そこまで気にしなくていいのは幸いか。

…というわけで本作を簡潔に表すとSTG初心者にもオススメしやすく、それでいてシューターも満足できる良質な弾幕シューティング』である。ただそんな本作にも致命的…とまでは行かなくとも唯一絶対の避けられない弱点がある。

本作が抱える最大の弱点、それは『メイドラゴンのゲームである』という点。今作は非常に面白い…確かに面白いのだが、それでも身も蓋もないことを言ってしまうと『なんでSTGにしようと思ったのか』というところに落ち着いてしまう作品なのだ。

いやまぁ開発会社などを見ればわかるように作っているのはSTG開発のプロなので、弾幕STGとしてのクオリティは確固たるものである…がソレはソレとして『メイドラゴン』という作品を原作にしてSTGを作ること自体がハッキリ言って無理があったのだ。

ぶっちゃけたハナシ、弾幕STGというジャンル自体が原作モノとの相性がすこぶる悪いため、プレイすればするほど原作を知らない状況であっても『これメイドラゴンでやる必要ある…?』という思考に度々至り原作履修後に再プレイするとこの思考は更に加速することとなった。

一応ステージの一つであるシュガーアスレチックはアニメ1期でトールたちがプレイしている作品がモチーフになっていたり、一部ステージの秘宝が原作に因んだものになっていたりと、スタッフもどうにか弾幕STG』というフォーマット上で『メイドラゴンのゲーム』を作ろうとした努力は垣間見えるのだが、それでも限界というモノはある

そもそもの本作のあらすじからし『PCの中に閉じ込められたため脱出する』というだけであり、キャラ同士の掛け合いこそあるが、ストーリーなんてほぼあってないようなもののような状態。登場キャラも非常に少なく、作中でメインに登場するのはプレイアブルの3人のほか、進行役の小林さん、ボス枠のルコアとイルルのみ

滝谷くんとファフニールは度々言及こそされるものの、登場は一部EDのスチルのみでセリフは一切ない『ゲーム世界を冒険する』というお誂え向きな設定なだけに勿体ないことこの上ない。

登場キャラの少なさは想い出イラスト完成時のご褒美ボイスにも響いており、最初に挙げた6人以外は一切セリフがない形になってしまっている。想い出の絵柄の中には本作に登場しないキャラがいるものも多いため、一部のご褒美ボイスの内容が無理矢理なものになってしまったりしている。
(才川姉妹とカンナがメインのイラストでカンナだけが喋る等)

原作にはまだまだ魅力的なキャラが沢山いるため、どうしてもコレばっかりは寂しいと感じてしまう。まぁご褒美ボイスのためだけに声優さんを呼ぶ必要が出てくるためコストが嵩むのもわかるのだが…。

自分は今作をきっかけに『メイドラゴン』を知り、それから原作を履修した珍しいタイプの人間なので、多分今作のターゲット層である『元々のメイドラゴン原作のファン』視点とはだいぶ異なった感想を抱いている自覚はある。ただそれはそれとして原作ファン層が今作にどのような感想を抱いたのかは正直気になるところ。

さて、何故弾幕STGにしようと思ったのか(≒弾幕STGにしたことが間違い)と散々突っ込んでは来たのだが、一方で今作がもしも昨今よくあるスマホ向けの作品であったなら、或いはCS向けでもありふれたADV等のジャンルであったならば、決して自分は本作に手を出すことはなかっただろう。本作がひたすらに奇特な方面に突き抜けてくれたことで、こうして自分はこのゲームと、そして『メイドラゴン』という作品と出会うことができたこれは間違いなく大きな収穫であった

『原作のファン』から見た場合の評価は自分では行うことができないので保留とさせていただきたいが、何度も述べている通り本作は『純粋な完全新作STG』としてよくできた作品であるため、久々に全く新しいSTGを遊びたいというシューター、或いはSTGに興味を持っているが中々手が出しづらいゲーマーに非常にオススメできる一作。当初原作を知らなかった自分でもガッツリ楽しむことができたので、STG部分のクオリティについては間違いなく保証するのである!!

ちなみに本作はちょうど今月、2022年10月にSteamでもリリースされるとのこと。Steam版にて追加される新要素は今回語っているSwitch/PS4版にアプデで追加されるとのことなので、お好きな機種でぜひともプレイすべし!である!

 

『炸裂!!ちょろゴン☆ブレス(Switch版)』のAmazonページ

『炸裂!!ちょろゴン☆ブレス(PS4版)』のAmazonページ

 

---以下20221103追記部分---
さてさてそんなこんなで10月27日に『小林さんちのメイドラゴン 炸裂!!ちょろゴン☆ブレス DIRECTOR'S CUT』としてSteamにもリリースされた本作であるが、そちらにおける追加要素を先行配信のCS版へフィードバックするアップデートもつい昨日(11/02)に配信された

主な追加要素は『DIRECTOR'S CUT』モードボスの逆鱗スパーク(所謂『被弾絵』)の2点。前者はCS版での難易度を更に調整したモード、まだ細かい検証をしたワケではないが、体感ちょっと難しくなっているような。ちなみに以前の調整に戻す『オリジナル』モードもあるのでどちらを選ぶかはお好みで。

後者はゲーム内では3Dモデルしかなかった1面~4面の各ボスに対し擬人化した立ち絵が追加された。一応ボスについては従来でもなんかやたらヘンテコな設定(オマケ機能で見られる)があったり、見た目の割にやたら声が可愛かったりする面もあったのだが、これによって更にその可愛らしさがパワーアップした。一度見た逆鱗スパークはギャラリーからいつでも鑑賞できるので、じっくり見たい人はとりあえずボスラッシュに突撃すべし。
---追加部分終わり---

 

-----オマケ-----

スクショ漁ってたら本作の1周プレイ分の動画が見つかったのでオマケがてら投稿したのである。
難易度簡単(2)/リスク3、オプションで体力200%/ブレス5本にした状態でのプレイ。
見ての通りミスりまくっており、スーパープレイ目当てで見ると後悔するレベルであるが、
『このくらいのプレイスキルでも最高ランクのEDは見れるぞ!』という参考までにどうぞ。
(動画ではネタバレ防止のためカットしてますが、EDは最高ランクのモノでした)---------------