いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

バニーガーデン (BUNNY GARDEN)

、それはどことなく甘く、妖しい響きの世界。昼間はフォーマルにして真面目、そして清潔な街であっても『夜』の魅力には抗えない。日が落ちるのを境にして街はその表情を大きく変える。昼には目立たぬ不思議な灯りが輝き、社会の喧騒に疲れた老若男女は夜の店へと引き寄せられていく。宛らこれから捕食乃至は駆除される虫の如く…。その後の彼ら彼女らがどうなるかなぞ、誰も知ったことではない。

この記事を書いている我とて当然ながら夜の街を歩き回る時も少なくない。…ふとこんなことを思う日もある。言葉を遮断し歩き去る表通り…時には誘惑に身を委ね、夜の街を妖しく彩るお店に足を踏み入れるのも悪くはない。キャストと客、カネで培われた偽物の愛、偽物の絆、偽物の関係…だがそれでもいい。ソレを甘んじて享受するのも時には必要なのだ…と

…まぁエラそうなこと言っておいてなんだが我は今のところこの27年の人生でそういった夜のお店に行った経験が今なお一度もなかったりする。別に忌避感があるとかそういうのではないのだが、純粋にそういう機会がマジで一切なかったというかなんというか。ゲームバーを夜の店にカウントしていいなら行ったことあると言えるんだけど、ソレやるとその手のプロからフルボッコにされそうなもんで…。

というわけでこんなわけわからん導入からスタートする今回の記事における主役はこちら。配信当初からとんでもない話題作であったため、諸君らも存在を知っているであろう『バニーガーデン (BUNNY GARDEN)』である。一般的な略称は『バニガ』っぽい?前回から引き続いて珍しく2回連続でNintendoSwitchのゲーム作品を語ることになった。

…ホントのハナシをすると今回はWiiのとある作品を語る予定で下書きまで既に終わっていたのだが、ふとプレイしてみた本作がぜひぜひ語りたい内容であったがために、急遽取り上げていくことにしたのである。完全クリアした流れで勢い任せに書いてるところもあるので、いつもよりも文面がアレだったりするところもあるかもだが、今回は深く考えずお酒のように流してほしい。それから今回の作品はADVという都合上ある程度のネタバレ要素も記事内にあるので、そちらについても要注意である。

(我がスイッチ内に入っているqureate作品)

本作の販売&開発を手掛ける『qureate(キュリエイト)』Switchを主軸とするゲーマー層にはそこそこの知名度を誇るメーカーである。良い意味でも、そして悪い意味でも。『良い意味で』なのは沢山の作品をニンテンドースイッチ向けに販売しているから、そして『悪い意味で』というのは、その作品の内容ゆえに度々Switchの市場をお騒がせしているからである。

配信後わずか1週間で配信停止となった『デュエルプリンセス』配信されることすらなく発売中止となった『マッサージフリークス(現:ビートリフレ)』のメーカーといえば、ゲームメディアをある程度目にする人なら『ああ、あそこか!』と思い当たる人もいるだろう。
(ちなみにどちらもCS機ではNGだっただけでSteam版は生きている)


(qureate作品のひとつ『廃深』、2Dのホラーアドベンチャー)

そんなこのメーカーの作品の最大の特徴といえばやはり『セクシー要素』だろう。作品によってゲームジャンルやシチュエーションの方向性こそ異なれど、いずれの作品でも美女/美少女キャラが最前面に推し出されており、ゲームを進めるとちょっとセクシーなスチルが表示される…というのが共通している。CSでは現行機でおそらく最も基準が緩いとされるNintendoSwitchでのみリリースしているのもこの路線ゆえなのだろう。

そのSwitchでもCERO(レーティング機構)のかなりギリギリのラインを攻めているらしく、確かにそのセクシーっぷりは同条件の他タイトル群に比べると頭ひとつ抜けている…いやまぁ一部ギリギリのラインを超過してしまった結果が『デュエルプリンセス』と『マッサージフリークス』だったりするんだが…。もっともセクシー要素といってもあくまでCEROに許される範疇で、もはや無法ともいうべき一部の海外タイトルに比べるとまだ一般的に見せられるレベルである。


(qureate作品のひとつ『センチメンタルデスループ』、クォータービューの謎解き脱出ゲーム)

まぁ要約するとこのメーカー…qureateのやり口は『セクシー要素で釣る』という単純明快で極めてシンプルなものである。…このように言ってしまうとあまりいい印象を与えないかもだが、お色気で釣るのもゲームを売るために最適化した結果と考えると理解も納得もできるし、実際需要があるからこそ今の今までこのメーカーは多彩な作品をリリースできているのだ。

何よりも素晴らしいのはセクシー要素という一点こそ共通している一方で肝心のゲーム内容は(シリーズものでない限り)毎回異なるところにある。こういったセクシー路線を突き詰めようとしたメーカーが陥りがちの『絵柄を挿げ替えただけの同じゲーム』なんてものは存在せず、毎度新作を出すたびに(根底はどっかで見たことあるシステムでこそあるが)違ったゲーム体験を与えてくれるのはチャレンジ精神とゲーム概念そのものに対するリスペクトを深く感じるゆえに我はqureateを高く評価している

改めて今宵語る『バニーガーデン』だがプラットフォームはSwitchPC(Steam)、このメーカーの作品は基本的にまずSwitchで先行リリースを行い、その数か月後にSwitch版からバグ修正&やや過激な描写を追加したSteam版をリリースするのがお約束である…が、今回はあまりにもSwitch版の話題性が爆発していたためか、Switch版の僅か1日後に前倒しでSteam版も電撃配信するというムーヴを決めている。フットワーク軽いなオイ。

本ブログは例によって例の如くCS機贔屓なのでSwitch版基準で語っていく。とはいえ公式もSteam版をここまで早くリリースするのはやや想定外だったのか、これまでのqureate作品と違いSwitch-Steam間の明確な差は(少なくとも現時点では)存在しない

お値段はqureate作品にしては少々お高め、その分ゲーム自体がいつもより結構気合いの入った作りなのは間違いない。お高めといってもまだ2980円(Switch版)/3480円(Steam版)で一般的にはロープライスの範疇ではあるのでご安心あれ。

本作が発表されたのは今年1月のこと。『お紳士様向けタイトル』と称してまさかの5本同時新作発表が行われ、そのうちの1本が本作『バニーガーデン』であった。ちなみに残りの4本は『メイド・オブ・ザ・デッド』ファンタジスタ明日翔』『プリンセスシリーズ3作目』『ドッキドキで胸が膨らむ乳プロジェクト』リリースペースもゲームのアイデアもぶっ飛んでおる。
(このうち『メイド・オブ・ザ・デッド』は既に発売済み)

同時発表された5本の中でもとくに注目度や話題性が突き抜けていたのが本作。理由としてはやはりドリームクラブ…通称『ドリクラ』シリーズの幻影を追い求めていた層が多かったためであろう。夜のお店を舞台に女の子と交流し、時には酔わせて攻略するゲームというのはオンリーワンであり、そのうえでそういった需要を一手に引き受けていた『ドリクラ』シリーズが長期的(ざっと10年)に停止していたところに突如投入された本作の存在はあまりにも大きかった…と我は推測している。なお一応言っておくが本作は『ドリクラ』の関連作というわけではない。そもそもパブリッシャーが違う。

物語は主人公『乾田杯人(かんだ はいと/名前変更不可)仕事をクビになった場面からスタートする。失意の彼が偶然発見したのはお紳士様たちの夢の空間『バニーガーデン』、なんやかんやで新たな仕事に就くことができた主人公は、その給料をバニーガーデンに注ぎ込むことになる…とまぁそんなオハナシである。

それでは早速だが皆様のお目当てであろう本題…ガールズバー『バニーガーデン』での夢のひとときについて紹介していくとしよう。

バニーガーデンにて待つのはバニーガール風衣装で着飾ったキャストの美少女たち包容力が魅力の愛犬家『花奈(CV:星谷 美緒)』オタクに優しいギャル…というかギャルがオタクの『凜(CV:鈴木 絵理)』、そしてダウナーにしてクールな『美羽香(CV:田澤 茉純)』の3名である。

彼女たちは店に訪れた主人公を盛大にもてなしてくれる。当然主人公…もといプレイヤーもそんな彼女たちに応えるためお酒やおつまみを注文し、ときにはプレゼントを渡したりする。コレがこのゲームの基本である。

バニーガーデンに来店したらまずドリンク(お酒)のオーダーを行う。お酒のラインナップは幅広く、お値段もまた800円から150,000円まで様々お財布と相談してお好きなものを選ぶべし。…そしてこういったお店の作法としてキャストのお酒も注文しなくてはならない。どんなお酒をあげるかはプレイヤー次第である。

ちなみにここで『キャストのお酒を頼まない』という選択肢も取れる。その場合キャストの娘はすぐ他のお客の元へ向かい、プレイヤーのところには別の娘がやってくる。実に無情なものだが、お目当ての娘がいるならときには心を鬼にするのも大切である。来店時に出迎えてくれるのは必ず『その時点で最も好感度が高い娘』なので、コレができないといつまで経っても他の娘にはたどり着けないのだ。

お酒をオーダーしたら今度はキャストとの交流タイムがスタート。おつまみを追加でオーダーしたり、プレゼントを渡したりできる。キャストにはそれぞれ好みが設定されており、好きなモノを注文した時はいつもよりも喜んでくれる

プレゼントは1回の来店で渡せるのはひとつまで、事前に用意しておく必要こそあるがその効果は絶大なので、彼女を振り向かせたい時にはガンガン貢ぐべし。中には『特定のキャストにしか渡せない/誕生日にしか渡せない』といったプレゼントもある。

その後はキャストと色々な会話ができ、より彼女たちのことを深く知れるようになる。どういった夢を持ちこの仕事にありついたのか、どういった生い立ちなのか…ひとつひとつ情報が明かされるたびに、気が付く頃にはハートを彼女たちに鷲掴みにされているやもしれない。お酒を飲ませているとキャストが酔っぱらうこともあり、酔い状態の彼女らは普段とは全然違う一面を見せてくれるため、新たな魅力をきっと開拓できることだろう。会話の中には酔い状態でしか聞けないもの、あるいはその逆も存在するので周回プレイではそのあたりを心がけてみるのもいいかも。

会話の中では選択肢が表示されることもあり、一部の場面ではそこで正しい選択をすることで好感度を上昇させることもできる。そのほかにも彼女たちのと過去の会話内容についての質問が行われることも。こちらは3×3で解答を選ばなくてはならないので当てずっぽうで正解を引き当てるのは至難の業。彼女たちのハナシをしっかり聞いているならば簡単なのでちゃんと覚えておいてあげよう。こらこら、怪しいところをスクショに残しておけば大丈夫とかいわない。

会話を終えると延長するかどうかを聞かれる。延長した場合は再びお酒のオーダーを行うことができる。延長は1度の来店で2回まで可能。そういうわけでドリンク→フード/プレゼント→会話を繰り返していくことで、キャストとの仲を進展させていくのがゲーム全体の目的となる。

キャストと交流を進めていると、時折ミニゲームのお誘いが来ることも。ちょいとばかしお値段はかかってしまうが、彼女たちとの仲を深めることができるので基本的に断る選択肢はないだろう。ミニゲーム『チェキ撮影』『手押し相撲』『Tゲーム』の3種類が用意されている。キャストの酔い状態によって微妙に差分があるのも特徴。

『チェキ撮影』ではキャストに任意のポーズをしてもらい、カメラを自由に操作してチェキを撮ることができる。ポーズの種類は全部で8種類で、真っ当に可愛らしい物からセクシーなもの、どっかで見たことあるものまで様々。ポーズ指定の時にXボタンを押すと後ろ向きにもできる。ただし一部のポーズはある程度仲良くなってからの解禁。

カメラの操作パートに入ってからは制限時間があるので要注意。思った通りにチェキが撮影できなかった場合は撮り直しも可能だが、そのたびに撮り直し料金が課せられる撮ったチェキはチェキ帳に保存されるため後から見返すことができる。あの子との思い出を大切にするべしである。

『手押し相撲』ではキャストと向き合っての手押し相撲となる。画面に表示される表示に合わせてタイミングよくボタンを押すことで成功、連続で一定回数成功すると勝ちになる。…想像以上に成功判定の猶予時間が短いので慣れるまではちょい難しいかも。とりわけ酔わせていない状態の手押し相撲はかなりシビア。

とはいえミニゲームにおける『おてつき』は…諸君らがご想像の通りなので失敗もまたご褒美といえる。おてつきを一度でもしてしまうと問答無用で負け。ただし追加料金を支払うことで再挑戦も可能。何度かの挑戦でタイミングも掴めてくるハズだ。…再挑戦してわざとおてつきするのもまた一興か。

『Tゲーム』とは世間一般でいうところのツイスターゲームのこと。たぶん正式名称は商品名なので使えなかったのだろう。ルーレットの結果に合わせてキャストの女の子が際どい姿勢をしてくれる追加料金を支払うたびにルーレットを回すことができる。ルーレットを回し続け、キャストが姿勢を保つことができなくなれば終了。

…何周かプレイすると誰もが気付くと思うのだが、実は『Tゲーム』における出目は2パターン(酔い状態か否かで分岐)しかなかったりする。そのため何度もプレイしていると必ず同じ姿勢になるのはちょいと寂しいところ。姿勢を変更している間はカメラアングルを自由に操作できるため、そっちで毎回違う気分を味わうといいだろう。彼女たちの姿を目に焼き付けるのだ。

会話やミニゲームを全て終えるといよいよ夢の終わり退店のお時間である。しかしその前にお会計をお忘れなく。実はここまででチマチマと『〇〇料』といった細かな代金は見え隠れしているのだが、実際に使ったお金の総額は退店時に初めて表示されるようになっている。嫌なところでリアルなシステムだが、身に覚えのないサービス料の上乗せとかはないので優良店なのは間違いない…と思う。何はともあれこういった理由から、自身の所持金をしっかり把握したりそこまでにどれだけお金を使ったかを覚えておかないと退店と共に素寒貧にされるのもザラなので要注意。

ところで退店後にキャストから『アフター』のお誘いが来ることもある。そのお誘いを受け入れればアフター開始!バニーガーデンの外を舞台に彼女らとのデートができる。アフターにはそれ相応のお金が必要になってしまうが、店内にいるとき以上に彼女らのことを深く知ることができる。普段着も基本的にここでしか拝められられないぞ!

さてさて、キャストとの好感度が高い状態だと来店時にVIP待遇で2人きりになれる『個室』に案内してもらえることも。個室ではキャストがすぐ隣に座ってくれ、いつもよりも近い距離かつムード全開で仲を深めることができる。女の子が座るのってガールズバー(風営法)的にアウトだった気がするが気にしてはいけない。そして更にこの状態でキャストを喜ばせられたならば『イイ事』に誘われることも。ここで彼女たちに身を任せると…それはそれは濃厚な愛の時間…具体的には『ASMR』がスタートする。

というわけでここからは『ASMR』についてのオハナシ。基本的には専用のスチルをバックに会話イベントが進行するだけのものなのだが、この時のボイスは全てバイノーラル音声での録音となっている。言わずもがなその真骨頂はヘッドフォンを付けた状態でこそ発揮される。というわけで本作のプレイ時には前もってヘッドフォン等のオーディオ機器を用意しておくべし。

ASMRパート中は主人公の台詞が入ることがないため、文章をオート設定にすればシチュエーションに合わせたASMR音声を心行くまで楽しむことができる。ASMRパートはひとつひとつがそこそこの長さなだけでなく、なんと1キャラにつき大きく分けて4種類も用意されている。おまけに酔い状態でのボイス差分まであるため満足度は極めて高い。ちなみにASMRパートは公式サイトに記載がある通り、許可を得ていない限り原則配信NG、配信者などで本作をプレイしたい場合はちゃんとスキップするべし。

というわけで主軸ともいえるバニーガーデンのハナシを大体したところで、今更ながら本作の基本進行について語っていこう。

本作はカレンダーに従ってゲームが進行。ただし平日(月曜~金曜)は仕事に注力していてスキップされるため、実質的に行動が可能なのは土日の2日間だけ。この2日間をどのように活用するかはプレイヤーに委ねられている。もちろん最優先はバニーガーデンに来店することなのだが、お金を稼ぐために派遣の仕事をしたりギャンブルに興じたり、次週の仕事のために眠ったりもできる。

なおキャストの女の子たちも毎日バニーガーデンに出勤しているとは限らず、日によっては不在なこともしばしば。実際に出勤しているかどうかは来店するまでわからないものの、周回プレイで特定の一人を狙う場合『この日は来店しなくてもいいから別の行動をしよう』といった手段は取れなくもない。

そして7月の15日/16日は水着デー。この2日間限定で彼女たちがひっじょーにセクシーな水着で接客してくれる。だからこそ何があろうとも、例え借金をしてでもこの日だけは絶対に会いに行くべし。もちろん水着はミニゲームにも反映される。

要注意なのはキャストの誕生日で、この日ばかりはキャストから認められた太客だけが来店を許される。この日を迎えるまでにお目当ての娘とアフターで交流を深めておかないと、誕生日に限って会うことができず泣く羽目になるから気を付けよう。無事に来店できた場合はその日限定のスペシャルなメニューを注文できるほか、これまたその日にしか渡せないスペシャルなプレゼントを贈ることができる。…もちろんお値段もスペシャなので、お財布の方も覚悟しておくべし。

キャストとの仲がかなり進展した状態ならば、彼女らを『旅行』に連れていくことも可能。旅行は土曜日のみ実行可能かつ日曜まで潰れ、更におっそろしい出費となってしまうが、そこまでしてでも行く価値は間違いなくある。

旅行ではシチュエーションこそ異なれどキャストと一緒のお泊まりになるため、長めのデートイベントに加え専用のスチルも見ることができる。当然、好感度は超大幅上昇。旅行にまでありつけたなら、愛しのあの娘とのゴールインは目前と断言できる。

本作はカレンダー上だと5月の頭からスタートし、イムリミットは9月の終わり。それまでに愛しのあの子とのハッピーエンドを迎えられるよう尽力すべし。誰かとのハッピーエンドを迎えることができればその時点でクリアとなる。

一方で誰とも結ばれることなく9月末を迎えると『バニーガーデンそのものが閉店する』というバッドエンドに。…ぶっちゃけそれまでいくらお店に注ぎ込んだとしても閉店しよるし、どのキャスト相手でもハッピーエンドに分岐するのは9月中なあたり、どう転んでも店の消滅は既定路線だったのでは疑惑があるガサ入れされて夜逃げでもしたか。

とにもかくにも本作で何よりも大切なのはやっぱり『お金』お金がなければ愛しのあの子に振り向いてもらうことなど夢のまた夢。お酒や料理の注文はモチロン、プレゼントすら買うことができない。お金は毎週土曜日に『給与』という形で振り込まれるため、まずはその範囲内でやりくりしてみよう。

バニーガーデンに通うと主人公のやる気が上昇するため、その週の仕事で給与が上乗せされるシステムとなっている。ソレに加えてゲームが進んでいくと昇給という形で得られる金額もガンガン増えていく。…最終的に月給換算で80万円くらい貰えるようになるので『コイツなんで冒頭でクビにされてたんだ…?』『杯人くんがやってる"仕事"とはいったいなんなんだ…?』となってくるのは誰もが通る道。

ちなみに『所持金が足らずお金が使えない』のような場面は全く存在しない。所持金を超過した散財を行ってしまうと所持金がマイナスとなり、設定上は『借金』という扱いになる。ならば安心してお金を使える…わけではなく、借金を放置しているとこわーいお兄さんたちに連れられてマグロ漁船に乗るバッドエンドとなるため、早いうちに借金は解消しておきたい。言わずもがなだが借金状態でもバニーガーデンに通うことは問題なく可能なのでそこはご安心。怖いモノ知らずかコイツ。

給与だけじゃまだ足らない!という人の為に『派遣』というコマンドもある。『派遣』では土日を使ってお仕事をすることで追加でお金を稼ぐことができる。使用できるのは土曜日のみであり、実行すると土日をまるごと消費してしまう。うっかり借金を抱えてしまった場合はこのコマンドで埋め合わせるのもいいだろう。ただし派遣で貰える金額は雀の涙程度で、実行すると少しずつ疲労がたまっていってしまう。疲労を回復するために時折『寝る』コマンドを使うのもお忘れなく。こっちの日数経過は1日のみである。

とはいえプレゼントや旅行等の要因で急な出費が発生し給与の中でやりくりできず、おまけに1日たりとも猶予がないなんてこともきっとあるだろう。そんな時に頼りになるのは…ズバリ、『ギャンブル』である。

『ギャンブル』といってもそんな大層なミニゲームがあるわけではなく、コマンドを選択した瞬間から有無を言わさずギャンブル開始→即座に結果が帰ってくるという非常にシンプルなもの。ギャンブルでは当然勝ちもあれば負けもあり、勝てばお金は増えるし負ければお金は減る。勝ち負けの額にもブレ幅があり、大勝ち/大負けもあればショボい結果に終わることも。

なお借金の状態であったとしてもギャンブルを行うことができる。だからこそ極まると『こさえた借金をギャンブルで返済する』とかいうどこのギャンブル漫画だよみたいな状況にもなったりする。それで勝てるならともかく負けたら更に借金増えてマグロ漁船行き待ったなしだが。てかコレ大丈夫なヤツ?やたらキャラの濃いお爺さんたちが運営する闇ギャンブルの可能性とかあったりしない?妙に実入りがいい杯人くんの『仕事』も含めなんか今作アウトローの匂いを感じる場面がそこはかとなくある。

何はともあれギャンブル最大の強みはソレ単独では日数消費が行われない点にあり、バニーガーデンへの来店を目前にして纏まったお金を用意したりする時に活用できる。一応、1日に10回ギャンブルを行うと強制的に翌日になってしまうペナルティこそあるが、逆に言えば9回までならペナルティなしでギャンブル可能。そしてギャンブルの直前にセーブ→失敗したらロードを繰り返すことで、時間さえかければ多大な金額を稼ぐこともできる

…ぶっちゃけセーブロードギャンブルがあまりにも強力すぎるせいで、日数消費が必要な派遣(+寝る)コマンドが全く息してないのはナイショだ!!まぁこの辺シビアにされすぎると窮屈だからありがたいっちゃありがたい。というわけでセーブロードギャンブルのご利用は計画的に。シビアな資金(リソース)管理ゲーを楽しみたい場合はオススメしないが、お手軽にプレイしたいならば手段の一つとして覚えておいて損はない

ところで3人のキャストそれぞれに個別のエンディング(+汎用バッドエンド2種)があるならば周回プレイをしたくなるのがゲーマーの性…というわけで本作には周回プレイをしやすくするシステムも導入されている。1周でもゲームをクリアすると次周からはゲーム内ショップにて『ラブカウンター』なるものが購入でき、各キャストの好感度をいつでも確認できるようになる。通称スカウターコレを活用すればもう誰のエンディングも思いのままだろう。

…ところで、だ。コイツを使用することでひとつトンデモナイ真実が明かされることになる。ラブカウンターを使うと一目瞭然なんだが、実はなんとフード&お酒オーダー時における好感度演出(好き嫌い)には殆ど意味がなく、彼女たちの好感度の殆どはシンプルに"いかにお金を貢いだか"が大半を占めている(ネタバレ反転)。コレには『まぁそりゃそうか』と嫌な納得をする一方で『そう来たかぁ…』と思わず感嘆してしまった。…1周目をプレイ中の諸君らにはフレッシュな気持ちで遊んでほしいのでここでは反転文字とさせていただくが、それでもいいという方のみこの真実を目の当たりにするとよい

そして3人のキャストのエンディングを全て迎えると、なんと『成金モード』とかいうこれまた凄い代物が解禁される。このモードではシナリオの内容こそこれまでと変わらないが、プレイヤーの所持金が最初から5000万円となっている。つまりはギャンブルや派遣などに時間を費やすことなく、思う存分バニーガーデンにてキャストたちに貢ぐことができるのだ!!…まぁそれでも節操なくお高いメニューを注文し続けるとマグロ漁船行きも考えられるのが恐ろしいところか。

成金モードともなればどのキャストの攻略だって一瞬で可能…いや、それどころか夢にまで見た3人全員同時攻略…すなわちハーレムを目指すことだってできるだろう。オトコの夢を叶えてくれた本作には言わずもがなそういったルートも用意されているし、専用のスチルだって存在する。カネだ、カネさえあればなんでもできる札束の力で女の子たちを振り向かせ、最高のエンディングを掴み取るのだ!!…とはいえ成金モードではなくとも一応ハーレムルートは不可能ではない…ような気がする。通常の稼ぎじゃまず賄いきれないのでギャンブラーになるしかなさそうだが。

強くてニューゲーム的な要素以外にもクリア特典は充実している。タイトル画面にある『エクストラ』からはこういったゲームでお約束の『CG鑑賞』『チェキ鑑賞』のほか、いずれかのキャストとのエンディングを迎えた後からはミニゲーム『ASMR』の項目もアンロックされる。どちらも読んで字の如くな内容で『ミニゲーム』では『手押し相撲』『Tゲーム』『チェキ撮影』が自由にプレイできる。選択できるのは一度でもエンディングを迎えた女の子だけだが、衣装や酔い状態の差分まで選択できるので実に至れり尽くせり。ただし『チェキ撮影』はそのシステムの都合上チェキ自体の保存ができない点は注意。

『ASMR』は先に挙げたようにひとつひとつがそこそこボリューミーであり、酔い差分込みなら1キャラあたり8種類も存在するのでかなり満足度が高い。下手するとASMRだけを目当てに本作に手を出したとしても充分お釣りが来るレベルである。ちなみにいずれもゲーム本編で差分を回収する必要はなく、純粋にエンディングを迎えるだけで攻略した女の子に関連するミニゲーム/ASMRは全パターンがプレイ可能になる。

さて本作で何よりも魅力的なのは…やはり『セクシー要素』だろう。ぼかさず言えばえっちな要素である。なぁに、隠さずともよい。本作…というか本作に限らずqureate作品を手に取る人間は多かれ少なかれそういった要素がお目当てなのだから。かくいう我とてそうである。

今更わざわざ言及するまでもないと思うが、本作におけるセクシーな要素のクオリティはまさしく一級品のモノ揃いである。最初にも触れたようにqureateは過去いくつもセクシーさをプッシュしたタイトルをリリースしてきたが、本作のソレはその中でも突き抜けている。命ともいえるスチルは言わずもがな、これまであまり印象に残る作品が少なかった3D方面が圧倒的にパワーアップモデリング・モーションのどちらも『かわいくて、そしてセクシー』を極めた珠玉の逸品である。そっち方面を求めて手を出したいのならば本作は全力でオススメしておきたい。

特に本作の3Dの良質さが際立つ場面ともいえるのがバニーガーデンにてお酒を注文したシーン。本作ではお酒をオーダーすると、キャストがプレイヤーに背を向け後ろの棚からお酒を取り出す演出が入るのだが、この時のキャストは無防備にも下着が見えそうな姿勢になるのだ。いや、見えそうというか…実際に見える。そしてこの時にカメラ操作が可能になるというのなら…もうやることはひとつだろう。というかSteam版だとコレに纏わる実績があるあたり公式も承知の上である。

ひとつ付け加えると、お酒の中でお安めのもの…例えばグラスなどであれば棚の高い位置に、お高めのボトルであれば棚の低い位置に置かれている。だからなんだと思うだろうが、つまりはお酒を取り出す時の姿勢が変わる。もっと具体的にいうとボトルを注文するとかなりガッツリと『見える』のだ。…とはいえ我の個人的嗜好を書かせていただくとグラスを取るときの慎ましやかなパンチラの方が好みではある。モロに見える方とは違った趣があるというのもそうだが、絶妙なカメラアングルとモーション、そしてモデリングの3つが揃ったことで繰り出される『見えそうで見えない…あ、でも今ちょっと見えた』まさしく奇跡といっても差支えない代物なのだ。
(…素面のハズなのだが何を書いているのだろうか我は…)

しかしながらそういったセクシーさも何度も見ていればいずれは飽きが来るのも仕方のないもの。だが本作には少しでも飽きを遅らせるために『PTA』システムなんてものを搭載している。なんか急に堅苦しくなったなと思うかもしれないが、PTAというのはPants Takusan Arigatou…すなわち『パンツ・たくさん・ありがとう』の略である。…いやホントなんだって、ほんとに『パンツ・たくさん・ありがとう』が正式名称なんだよ、公式の呼び方なんだよ。バカみたいなネーミングだが事実なのだよ。何をどうしたらそんな名称を思いつくんだ。

コレはつまるところ日によってキャストが穿いているパンツのデザインが変わるという代物である。もちろんゲーム中にプレゼントとして下着を渡すと更に穿いてくるバリエーションが増える。パンツのバリエーションで気合い入れるメーカーなんてぎゃる☆がん』作ってるときのインティ・クリエイツ以外にいないと思ってたのに…。コレは認識を改めねばならぬ…。

とにもかくにもこのPTAシステムと絶妙なカメラアングルの合わせ技から、毎回ドリンクを注文してもついつい目を向けてしまい中々に飽きが来づらいのだ。キャストが背を向けている時間は決して長いわけではないものの、おかげさまで本作において最も気合が入り、そして本作を語るうえでなくてはならない要素になっているのだ。

ソレと同じくらい素晴らしいのは会話バリエーションの豊富さにある。例えば一周プレイにおいて誕生日など特殊な日を除いた全てのタイミングで来店し、(出勤している場合)毎回同じキャストを選び続けたとしても、繋ぎの会話(延長を促すテキスト等)以外は一切過去の会話が繰り返されることがなかったレベルである。正直プレイを開始した当初は『多分これ終盤は一度見た会話を適当にボタン連打で読み飛ばすプレイになるな』などと考えていたのだが、最高の意味で予想を裏切ってくれた。しかもそれらの会話は主人公以外全てフルボイスというのだから恐れ入る。この手のコミュニケーション/シミュレーションゲーム会話パターンの底が見えた時点でプレイヤーがゲームの限界を察し没入感が一気に失われてしまうため、そういった懸念を完全に潰しているのは素晴らしい。

元来よりqureate作品は値段相応のボリュームのものが多く、本作も1周にかかる時間はざっと5時間-7時間程度。先に挙げた会話パターンの作り込みなんかはそれこそ1周自体の期間の短さもあるからこそできているのだろう。しかしながら、全ENDを回収しようとすると(ハーレムを成金ですっ飛ばすとしても)都合3周かかるため、体感的なボリュームはその3倍、個人の嗜好次第ではASMRやミニゲームを何度も繰り返すことになるので更に満足度は高くなる。それでいて1周そのものの短さのお陰で気軽に遊べるのもいい。

本作はハッキリ言って我が今まで遊んだqureate作品の中では最もクオリティが高い作品である。というのも絶妙なボリューム感qureate特有の作りジャンルに対する需要奇跡的にマッチしきっているのだ。流石に細かい点を挙げていくとTゲームのバリエーションだとか一部の息してないコマンドだとかのようにロープラゆえの限界や粗もないわけではないが、その一方でフルボイス会話のバリエーションの豊富さやグラフィックの可愛らしさなど、公式が売り出したいであろうポイントはとことん突き抜けている

…詳細なデータはないのでわからないが、おそらく世間一般の反応を見るに本作がqureate作品でトップレベルの大ヒットをしたのは間違いない。これほど売れたのであればワンチャンシリーズ化の目も望めるだろう。続編があるのであれば本作の良さを更に伸ばしたもっとトンデモナイ作品が生まれるハズだ。我はそんなよりパワーアップした『バニーガーデン』が再びやってくるのを楽しみにしているのである!!

 

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