日本におけるゲーム業界はその前身ともいえるジュークボックス・エレメカから始まった。そして皆様ご存じ『KONAMI』はその時代から活躍し続けたレジェンドのひとつである。そしてゲーム業界が日本で勃興したその時より、アーケード・ホビーパソコン・コンシューマー・スマートデバイスetc…とコナミは時代に合わせて多様なゲームをリリースしていくこととなった。
(プラットフォームごとに会社が違ったりしますがややこしいので本記事では『コナミ』で統一します)
時代は流れ2017年、日本におけるアーケードゲームの展示会JAEPOにおいて、コナミはとある一つのゲームを発表した。かつてハドソンが生み出し一時代を築き上げた天下の名作『ボンバーマン』をアーケード向けに復活させようというのだ。それもただのボンバーマンとしてではなくそれらのキャラを美少女化させた…『ボンバーガール』としてだ。
(ちなみに前年にも『スーパーボンバーマンR』がリリースされている)
ちなみにゲーム業界に詳しくない人からすると『なんでボンバーマンをコナミが?』と思うかもしれないが、これはハドソン自体が1998年の北海道拓殖銀行の破綻をきっかけに経営難に陥り、コナミがそれに出資し筆頭株主となったものの、やはりどうにもならなかったのかコナミがハドソンを完全子会社化→吸収合併したため。これによりかつてハドソンがリリースした作品群の権利がコナミに移った形である。
さて話を戻そう。長期に渡るロケテストを経て2018年にようやく稼働した『ボンバーガール』…通称『ボンガ』だが最大の見どころであるデザイン面もさることながら、元々のボンバーマンを拡張させそのうえでMOBA用に洗練させたゲームシステム、一強のキャラが存在しえない良質なバランス調整から、誰がわかるんだソレとツッコみたくなるレベルのマニアックなハドソン/コナミネタといった諸々により徐々に口コミで人気が広がった結果、斜陽にあったアーケードというプラットフォームでありながら大ヒットを達成したのだ。
(まぁ知名度が爆発的に伸びたのは『藤崎詩織が伝説の樹を植林して自爆特攻』のアレもありそうだが)
『コロナ禍の少し前に稼働を開始し、コロナ禍を無事切り抜けたアーケードゲーム』といえば、さほどゲームに詳しくない人でもその凄さは理解できることだろう。
『ボンバーガール』という作品の存在は、もはやゲーマー層であれば(プレイ経験の有無はともかくとして)誰もが知っているレベルに浸透したといっていい。そして本作の大躍進はまだまだ続く。度重なる増台は当然として2021年に念願のPC版…もとい『ボンバーガール コナステ』がスタート、2022年にはメジャーアップデートを経て『ボンバーガール レインボー』へと進化し、とうとう今年…2023年に稼働5周年を迎えるに至ったのだ!めでたい!
(ちなみにボンバーガールのゲーム自体については過去記事で語っているのでそちらもどうぞ)
(折角なので過去のポップアップストアで購入したグッズと一緒に撮ってみた)
そしてそんな5周年をお祝いするかの如く、突如発表された一冊の書籍があった。それこそが『ボンバーガール オフィシャルアートブック』である!そう、5年目にしてとうとう発売したのだ!何がって?アートブックだよ!設定資料集!ボンバーガールの魅力のひとつであるデザインがこれでもかと詰め込まれた一冊であるぞ!!
というわけで長くなったが今回はひっじょーに珍しいゲーム以外を語る回!ついにリリースされた『ボンバーガール オフィシャルアートブック』を語っていくのである!!書籍を語るのは3年前のPollyanna(ポリアンナ)以来…かな。とりあえずざっくりと目を通した衝動のまま語っているのでいつもよりも文量は少なめだがそこはご容赦あれ。
また本記事で使用する画像はいずれもアーケードの本家『ボンバーガール レインボー』、或いはPC版である『ボンバーガール コナステ』のスクショであり、アートブック自体の写真は表紙のみ載せることとする。実際の書籍の内容は自分自身の目で確かめるのだ!先んじて言っておくと値段分…いやそれ以上の価値は間違いなくある内容である!
この本を手に取って最初に抱くであろう感想はおそらく『いや分厚いな!?』だろう。それもそのはず、ボンバーガールには既に5年もの歴史があり、その5年間をギュッと凝縮して…それでもなお247ページというフルカラー&大ボリュームになったのが本品である。この重さ・分厚さ・大きさはボンバーガールの歴史そのものなのだ。
なお特典として書き下ろしイラストのポストカードがあり、購入した店舗によってその内容は異なる。今回は出版を担当する本家本元のホビージャパンで予約したのでボマーとブロッカーをもらった。
(どうでもいいけどこういうのって『ポストカード』として実際に使われることはまずないよね)
(『武装神姫バトコン』のサブモニタ、ロケテ時はここにエメラが出てきたらしい)
そのタイトルが示す通り、過去にボンガ関係で発表されたイラストがこれでもかと詰め込まれている。キービジュアルからデフォルメ絵、特定のイベント用グラフィック、SNSでアップされていたイラスト群、ロケテのカウントダウンイラストもフォロー。もちろんタイトルが変わった『レインボー』や『コナステ』、『パチスロ』も網羅。意外なところでは『武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター』のロケテで何故か出てきたエメラや『カードコネクト』のコネクトンが変身したシロ&パインなんてのも。
その昔ポップアップストアにて販売されたグッズやサントラ、Lineスタンプのイラストも収録されている。Lineスタンプとサントラはともかくストアは正直すっかり存在を忘れていたのでよくぞ忘れず収録してくれたと賞賛したい。
(2023年のエイプリルフール、立ち絵が変化するほかBGMも『エスケープキッズ』に)
パロディイラストも本の後半にまとめられている。『エイプリルフールキッズ(エスケープキッズ)』や『リングの王者』風味なモモコはちゃんと差分混みで収録、カードコネクトで印刷できた『アクア城ドラキュラX(悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲)』『超究極爆祭ボボンボーン(究極戦隊ダダンダーン)』などもモチロンあり。ただし全収録というわけにはいかなかったらしく、『ベースの王者(リングの王者)』や『特殊部隊ボンバガル(特殊部隊ジャッカル)』のインストカード風イラストはそこまで大きく取り上げられていない。
(後者はボンガ自体の紹介ページでちょこっと載っている)
(周年イベントの折にはいつも会話イベントが発生、何度かプレイするとイベントが進行する)
イラスト以外だとガールランク上昇で見られる『告白テキスト』も99/111/120の全ての内容がフル公開されている。もはや文句の付け所がない。実際にプレイしているとわかるが99のテキストですら大量の時間とお金を注ぎ込まないと届かないので、奇跡的なまでの超大盤振る舞いである。このほかには『X周年イベント』におけるイベントテキストも読める。誕生日イベントのテキストが未掲載なのはちょこっと残念であるが、コレも含めるとページ数が更に膨れ上がることになるので仕方なかったのかもしれない。
公式Twitterにて週イチで連載され、ボンバーガールの知名度をより一般層へと広げたうえで人気をキープさせ続けた立役者といっても過言ではない公式マンガ『ボンバーマンガ』も初回から2023年9月1日の回(ブラスとセイジャ)までの約300話近くを一挙収録。パチスロ版や作者が同一である『麻雀ファイトガール』や『クイズマジックアカデミー(グリアロのフィギュア宣伝回)』の漫画も。
公式Twitter(X)で全話読めるとはいえ流石に5年前の過去回を遡るのも大変だったし実にありがたい。『コナミの新入社員とおるくん』だの『ミスティックウォリアーズ』だののとんでもなく濃厚なKONAMIネタの数々はいつ読んでも楽しめる内容なので、今一度初回から読み直してみるのもいいだろう。
(1Pあたりに6-8話収録されているので字が少々読みづらいのは難点か)
ちなみにボンバーマンガが収録されているのは本の終盤~最終ページで最新の回から徐々に遡る形で収録されている。つまりこのオフィシャルアートブックは1P目から順に読み始めることで『ボンバーガールのアートブック』となり、最終ページから逆に読み始めることで『ボンバーマンガの単行本』として楽しめるようになっているのだ。裏表紙と裏表紙のカバー裏には書き下ろしのボンバーマンガも載っている。表表紙のカバー裏では漫画ではないがこれもまた必見、何があるかは買ってからのお楽しみ。
そして本品はただのイラスト本ではなく、設定資料集としての顔も持っている。初期実装組から現状最新キャラのブラスまでのプレイアブル組に実況ガール/スタッフさんを含めた28名の紹介ページのほか、初公開となる身長比較表やありそうでなかった人物相関図もあるというファン必見の内容。ちなみに人物相関図にはプレイアブル以外のキャラ…具体的にはボンバーマンガに出てきた面々も含まれているので『ツインビー』勢や『マジアカ』のアロエちゃんが巻き込まれていたり。
各キャラの紹介ページでは公式プロフィールのほか、そのキャラの立ち絵がほぼ全て収録されている。水着や体操着のような立ち絵変化はもちろんのこと、細かな色違いや表情差分もちゃんとフォローしているのが素晴らしい。また驚くことに『スキル発動時カットイン』で表示される差分も掲載、正直カットイン専用差分とか藤崎詩織大先輩が黒い噂流すときの専売特許だと思っていたが、どうやら大多数のキャラが差分持ちだったらしい。ツガルなんかは顔部分しか見えないのにポーズも違っててビックリした。ほかにもゲーム内に実装されていなくても立ち絵らしき画像が公開されていたパイン/プルーンのベリーダンス衣装なんかもアリ。
(差し替え後のアクア様の撃破絵、差し替え前のモノはアートブックで見られる)
通常のゲーム中は画面サイズやUIの都合で立ち絵/撃破絵の全身を見ることができなかったため、本品で立ち絵の全体が公開されたのはうれしいところ。メインで使っているキャラといえど全身を改めて見ることで新たな一面が浮かび上がるかもしれない。
ところでパプルなど初期実装組の一部は理由は不明ながらある時を境に撃破絵が差し替えられていた(規制線とはまた別)のだが、本品では差し替え前の撃破絵も載っているので一安心。確かに見比べてみると差し替え前はワンランク過激なイラストなのでそりゃ修正されるなと思いましたね、ええ。
立ち絵だけでなく各キャラごとの設定資料も用意されている。こちらについてはどれも過去に公式Twitterで少しずつ公開されていたものなのだが、なんと以前公開された時には黒塗り(非公開)となっていた設定部分まで大多数が解禁されている。流石に資料の数があまりにも膨大なのでまだ全てチェックしたわけではないが、もしかしたらどこかに衝撃的な情報が載っている…かも?
更にそれぞれのキャラに対するキャラデザイナーさんのコメントも掲載。こういう人が携わっていたからこそこれほど濃厚なKONAMI/ハドソン愛溢れるゲームになれたのだなと感じられる内容なので、本作のプレイヤーはぜひぜひ目を通してみてほしい。特に大先輩と超先輩のコメントがお気に入り。
(ボンバーガール出身のパイにゃんはCCJでもMFGでも活躍中、画像はMFG)
ところで紹介ページは必然的に各キャラの立ち絵が多ければ多いほど長くなる。ならば全28キャラの中で最も紹介ページが長いのは誰だろうか、そりゃ当然白ボンたるシロ…かと思いきや意外や意外、まさかのパインである。何故なら『パイにゃんはボンバーガール出身だからいいよね!』と言わんばかりに彼女がゲスト出演している『チェイスチェイスジョーカーズ*』と『麻雀ファイトガール』のパイにゃん関係の立ち絵/カットイン/設定資料まで一緒に掲載されているからである。やっぱりパイにゃんこそが新世代のKONAMIの顔なのでは…?
*CCJのパイにゃんの撃破絵
余談だが当初チェイスチェイスジョーカーズは
『ヤラレたら服が敗れる』というボンガと同じ脱衣要素があったものの、
第2回ロケテ以降はオミットされたという経緯がある。
ボンガにおけるCCJ衣装の撃破絵はあちらの流用なのだが、
こういった事情もあって『CCJからの流用だがボンガでしか見られない』
という珍しい立ち位置にあったりする。
そしてこういった設定資料集の醍醐味である『初期イメージイラスト』や『没キャラ資料』も当然載っている。前者後者ともに過去Twitterで一部公開されていたりもしたが、今回は更にたくさん掲載されている。ボーイがいたりサイバネティックだったりとまだボンバーマン感があった初期から少しずつ現在のボンバーガールに近づいていくのが感じられるのが楽しい。
没キャラといえば過去に公開されたものだけでも『つぐみ(ドラグーンマイト)』や『ビックバイパー(グラディウス)』モチーフがあり、そのたびに『それを没にするなんてとんでもない』なんて思ったものだが、やっぱりまだまだ魅力的すぎる没キャラはいっぱいいた。最終的に別キャラのプロトタイプになったとはいえレグルス(爆ボンバーマン)モチーフが消えたのはホントに読んでて『なんて勿体ない!?』と声に出てしまった。
スタッフたちによる座談会も収録、登場しているのはプロデューサー・ディレクター・キャラクターデザイナーの3名。開発当初のお話からその後のロケテ、かの『藤崎詩織バグ』などボンガの歴史を懐かしみながら、裏話や今後の未来のお話を語ってくれている。3人全員からボンガ愛を感じられるのだが、やはりというかキャラデザの人の熱意が文章だけでも感じられるレベルで凄まじい。初期スケッチなんかも一緒に出てくるのでもしかしたら本品で一番価値のある箇所はここやもしれない。
さてさて完全にアートブックを読んだ時の衝動だけでこの記事を書いているので、本品…『ボンバーガール オフィシャルアートブック』の素晴らしさが伝わったかどうかがちょこっと怪しいところなのだが、それはそれとして本当にこの本は素晴らしい逸品である。『ボンバーガールの設定資料集』として満点なのはいうまでもないことだが、実際のところボンガは元々デザイン方面で抜きんでているゲームでもあるので、純粋なイラスト本/ボンガの漫画本としても充分すぎる価値があると言っていいだろう。
というわけでボンガのプレイヤーは勿論のこと、『ボンガはプレイしたことないけどキャラは知ってる』『ボンガは知らないけどかわいいものが好き』という人にもぜひぜひ手を出してみてほしいのである!そしてゆくゆくは本家ボンガorコナステボンガの世界に足を踏み入れるのだ!!
…アーケードゲームではなく書籍媒体なので『人目が気になる』とかいう言い訳も今回は通用せぬぞ。
『ボンバーガール オフィシャルアートブック(Kindle版)』のAmazonページ
---おまけ---
特にオマケネタが思いつかなかったので過去にアップしたアケ版ボンガでの
ミンボー狩りスコアアタック動画でも貼っておくのである。お暇な方はどうぞ。
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以下は関連(?)作品の過去記事