いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

役づくりパズル ゆめいろユラム

いつの時代でも変わらず愛され続けるゲームジャンル、『パズル』。そのカテゴライズの幅は広く、一言でパズルといっても様々なタイプのものがある。ピクロス』などのように固定画面でじっくり考えるものもあれば、パネポン』のように動的かつ素早い操作を求められるアクションパズル昔ながらのものではスライドパズルなんかもある。

その中でもアクションパズルの一種、落ちゲーこと落ちものパズルはある意味では現代でも最も勢いがありそしてまたある意味では現代では最も停滞しているといってもいい代物である。もっともパズルというジャンルに属すゲームは今も昔も一定数リリースされており、落ちものパズルとて例外ではない…むしろパズルの中でもコンスタントに新作が出続けているのは落ちものパズルである。

ならばなぜ停滞していると評したのか、落ちものパズルは先達があまりにも偉大すぎたのだと我は推測している。テトリスぷよぷよ落ちものパズルの金字塔である二者があまりにも強すぎたがゆえに、それら2作は時代と共に順当な進化を遂げつつも、両者とかち合うことを避けたためか落ちものパズルの革命を狙う完全新作がなかなか生まれなくなってしまったのだ。

一時期はそれでもルミネス『マジカルビート』のような野心的な作品もあるにはあったのだが、それももう10年近く前のオハナシ。今となっては企業が出すフルプライスの落ちものパズルの完全新作は絶滅一歩手前の状態である。

落ちものパズルの静寂は突如として破られた。そう、今宵語る作品…日本一ソフトウェアが送る完全新作パズルゲーム『役づくりパズル ゆめいろユラム』の手によって!!

本作はつい先月(2023年10月)にリリースされたばかりの全く新しい落ちものパズルプラットフォームはNintendoSwitchPS4、最近だとPS5向けでもなければXbox系列やPCへのリリースすらもないのは珍しいかも?パズルゲームが大御所のシリーズ以外はDL専売だったりロープライスだったりすることが基本となったこの時代にしては非常に強気なフルプライスのパッケージソフト。今回はPS4版をチョイス、公式通販でのサントラ同梱バージョンを購入したのである。

さてさて、まずは早速ルールから語っていくとしよう。冒頭でも語った通り本作のルールは(我の知る限りでは)過去類を見ないものとなっている。なお本作のシステムは(ソロプレイでのスコアタもあるが)基本的には対戦を前提としたものなので、対戦におけるルール・流れを説明していく。

ゲームがはじまると『ゆめぐも』と呼ばれるブロックを操作できるようになる。ブロックは必ず2つセットになっていて回転とハードドロップが可能。一応ソフトドロップも出来はするが、本作はぷよぷよなどと同様にブロックに重力がかかるシステムなので、特にソフトドロップが必要になる局面はない。ちなみにブロックは最初から落下し始めるわけではなく、出現してからある程度の時間は操作しなくても最上段に留まり続ける。そのため常に思考+操作の猶予時間が確保されていて『落下速度が速すぎてブロックを思った位置におけない』という落ちものパズルゲームのあるあるはあまり起こらない。

ブロックは青・緑・桃・黄の4色があり、同じ色ブロックが縦横に4つ隣接すると『図形』となる。一般的な落ちものパズルとは異なり、揃えたブロックは消滅せず図形として残り続けるため、徐々に窮屈になっていくというのは本作ならではの特徴である。そのうえ繋げるブロックは4つである必要があり、5つ以上を繋げようとすると無効な図形になってしまうペナルティ付き。図形の形は同色のブロック4つであればなんでもOK、まぁブロック4つからなるという都合上、図形はぶっちゃけテトリスのテトリミノと同じ形(OTILJSN)になる。ちなみにテトリスの方だとS/ZミノとL/Jミノは別物だが、本作においてはシステム上同じものとして扱われている。

そして図形を作ると『魔法力』が少しずつ溜まっていく。魔法力の最大値は25000、本作ではこの魔法力をぶつけ合って対戦していくことになる…のだが、魔法力はただ図形を作るだけでは無駄に終わってしまう

ここで出てくるのが『役』の概念である。これまではゆめぐもを組み合わせて図形を作ってきたわけだが、ここから先は作った図形を更に組み合わせていくこととなる。図形はソレ単独だと大した意味を持たないものの、作成した図形同士を隣接させたり、或いは図形を組み合わせて特定の形状にすることで『役』となる。役には『同じ形を複数隣接させる』『縦1列/横1列を1色で染める』など様々な種類があり、役ごとにその強さは異なる。役の強さは星の数で表され、成立時には星に比例して魔法力が大きく増加する。言わずもがな図形は置いたブロックの形そのままであり、あとから動かすことはできない。ゆえに図形を作り上げる時点で『いかにして意図した通りの形に組み上げるか』が大きく問われる。

なおそこまでガッチガチに考えずとも『オールカラー(4色全てを使う)』『コネクトカラー/コネクトシェイプ(同じ色or形を3つ以上隣接させる)』のように適当に図形を作るだけで偶然成立する役も多いため、ある程度は適当にプレイしても問題なく進行できる。しかしながら中には『スプレッド(フィールド全部を図形で埋める)』のように一切の無駄なく組み上げていく必要があったり、セイムスクエア4(T字型の図形4つで4*4の正方形を作る)』『スクエア9(図形だけで6×6の正方形を作る)』など早い段階で完成形を脳内イメージで固めておかなくてはならないものも。

当然ながら成立が難しい役ほど星の数も多くなっている。だからこそ高火力を叩き出そうとすると考えることが一気に増えて楽しくなっていく。また(デフォルト設定では)開始時点でフィールドにはランダムで3つの図形が最初から用意されているため、ソレを基にしてどういう形を目指すか考えるのが大切である。

…そして役が成立した直後、次のブロックを落とすまでのあいだゆめ魔法の『詠唱』が可能になる。詠唱を行ったプレイヤーはそれ以降ブロックが降らなくなり、そして詠唱された側はブロック3回分の猶予が設けられる。詠唱された側が残り3回のブロックを全て配置し終えるか、またはその3回までの間に詠唱を行えばいよいよお互いの魔法力をぶつけ始める。双方の魔法力を比較しあい、より大きい方の攻撃が成功、大きい側の魔法力がそのまま攻撃力となり小さい側のHPが減少する。ここでHPが0になれば試合終了、まだHPが残っていた場合はフィールドがリセット(初期配置も変化)されて仕切り直しとなり、どちらかの体力が尽きるまで続く…というのが本作の基本ルールである。

なおフィールドが全て埋まった、或いは相手側に詠唱された状態で役を成立させずに猶予期間が過ぎた場合でも魔法力の比較がはじまる。しかしこの場合は役を成立させられなかったプレイヤーの魔法力が半減してしまうため、よほど相手が事故りでもしなかった場合を除けばほぼダメージを受けることになってしまう。先に挙げたように詠唱ができるのは役が成立した『直後』のみなので役が成立したらすぐに詠唱するべきか、はたまた詠唱を後回しにしてより高火力を目指すか…というジレンマが本作特有の魅力である。

プレイ中の感覚としても自分or相手が詠唱を始める前ならば『いかに素早く図形を組み上げ役を成立させるか』というプレイングの素早さが問われるのに対し、相手に詠唱された後『残されたブロック3つの猶予でいかに役を作るか/魔法力を高くするか』という思考力が求められ、それに合わせて頭のスイッチを切り替える必要があるのが実に忙しくもあり、そして楽しい。逆に言うとこのゲームで一番恐ろしいのは『残り3つのブロックで役が成立させられないタイミングに詠唱される』こと。対戦においては相手プレイヤーの動向にも常に目を光らせておくべし。いつ相手に詠唱されてもいいようにあえて役の成立するトリガーを後回しにするのもひとつの手。

それから落ちものパズルでは『一定以上の高さまでブロックが積み重なってしまう』ことが敗北条件というものが殆どであるが、本作においてはブロックが画面の一番上にまで積み重なっても敗北とはならない。フィールド範囲外へブロックを置いた場合、置いてしまったブロックの数に応じて魔法力が減少するペナルティが課せられる…が一度に減少する魔法力は最大でも僅か500のみ、しかも範囲外に置いたブロックは即座に消滅するというシステムなので、『狙いのブロックが来るまで範囲外にブロックを捨て続ける』という戦法が普通に有効なのが面白いところ。むしろ早い段階で縦列を伸ばし不要なブロックを捨てられる状況を作り出した方が初心者は役を成立させやすいまである。

とまぁ、こんなところが本作の基本ルール&システムである。テキストで表すとそこそこ複雑なので最初はわかりづらいかもしれない。しかしながらソレを公式も理解していたためか本作にはお手本+実際に操作可能という充実したチュートリアルが用意されており、基礎中の基礎から応用テクニック、ゲーム内の全ての役を実例を通して覚えられるようになっているのでご安心。チュートリアルを読み終えたらあとは普通にプレイすべし、そうすれば自然と遊び方は身についていることだろう。

落ちものパズルにありがちなキャラ要素はもちろん本作にもある。本作では全部で10名のプレイアブルキャラが使用可能。2Pカラーは言わずもがなただの色違いなのだが、とある1キャラのみ微妙に演出が変わる(流石に声が変わるのはストーリー中だけだけど…)ので実質11キャラともいえるカモ。

初回起動時点で使えるキャラは本作の主役であるところのユナちゃんオンリーであるが、後述するミッションを攻略していくにつれてどんどん増えていく。いずれのキャラもほんわかするデザインで誰を見ても非常に癒されるのは間違いない。可愛らしい絵柄を見て少しでも惹かれたのであればきっと満足できることだろう。CVもちゃんと全キャラに存在しこちらもまたイイ感じ。調べたところフェザード所属ケンユウオフィス所属の声優さんたちが演じているようだ。ユナ役のななひら氏はニコニコ出身のアーティストである。どっかで聞いたことある声だなと思って調べてみたらパチスロ版ボンガの『ボンバー MY HEART☆』の人でビックリしたのはナイショ。

キャラ性能の概念もあり『NEXT(次に落ちてくるブロック)が増加する』『与ダメの割合回復』など、それなりに目立つ個性も設定されている。ちなみにキャラ性能はストーリーモードでは有効エンドレスモードでは無効となり、バトルモードでは任意でON/OFFできる。

我は基本的に対CPU戦オンリーで対人戦に全く手を出さないためそこまでキャラ性能を気にしているわけではないのだが、極まったプレイヤー同士の対戦だとやっぱりガブが最強なんじゃろか。魔法力上限25000を唯一突破できるので(他キャラにおける)カンストが飛び交う環境だと一方的に殴れるし。

なおキャラ描写はその大半が後述するストーリーモードで行われるのだが、それ以外にも対戦中のボイスや詠唱時の演出が各キャラごとに異なる。特にボイスのバリエーションは想像以上に豊富である。シンプルに人気なのはやはり人型キャラのユナノエラメリアあたりかな、アリフあたりもいいキャラしていらっしゃる。ちなみに性能とか抜きで好きなキャラはバイパーくんです。おへそカワイイよね。

ちなみに本作のキャラデザは日本一ソフトウェア古谷優幸氏をはじめとする3名が担当。かなり特徴的な絵柄なので普段から日本一ソフトウェアの作品を追っている人なら言わずともわかるだろう。…ところで古谷氏がキャラデザを手がけている作品『htoL#NiQ-ホタルノニッキ』を筆頭に『ロゼと黄昏の古城』『void tRrLM(); //ボイド・テラリウム』などいろいろなキャラ(特に主人公の少女)がものすっごく悲惨な目に遭う異様に殺伐とした世界観に定評があるのだが、本作は本当に優しい世界なのでご安心あれ。
(それはそうとホタルノニッキはお気に入りの作品なのでいつか語りたいね)

ここからは各モードについての紹介である。本作のメインモードはバトルストーリーエンドレスの3つが搭載されている。
まずバトルモードからだが、コレはシンプルに対戦を行うものでキャラも自由に選択可能。体力やキャラ性能の有無、フィールドの初期状態も変更OK、いろいろなシチュエーションで対戦を楽しめる。片方のプレイヤーだけ条件を変えたりもできるのでハンデマッチも可能。対戦相手はCPUだけでなくローカル/オンラインでの対人戦もできる。

続いてはストーリーモード、読んで字のごとくストーリーを読み進めながらCPUと対戦していくことになる。キャラはユナちゃん、ルールは本作で最もオーソドックスなモノで固定されている。物語としては『ゆめ世界に迷い込んだユナノエラと出会い、奪われてしまったゆめ工房ユラムを取り返して現実に帰る』といった内容。

キャラ同士の掛け合いはフルボイスで各キャラの魅力が短いながらアピールされているのも特徴。本作を始めたてのプレイヤーはまずストーリーモードから手を出すことをオススメしたい。なぜなら初回プレイ時にはストーリー内にて先に挙げたチュートリアルが差し込まれるためである。
(2周目以降はチュートリアルのON/OFFが可能)

ストーリーモードの難易度は全4段階、初回プレイ時は一番簡単なイージーしか選べないが、クリアしていくごとにノーマルやハード、そして最高難易度であるナイトメアに挑めるようになる。とはいえこの難易度で変化するのはCPUの強さとコンティニュー回数のみでシナリオの内容そのものはナイトメアのとある場面を除くと共通である。難しさはハードまではそこそこ簡単、しかしナイトメアになると一転してガチなので、挑むときは気を引き締めてかかるべし。

そして最後にエンドレスモード、コレは事実上のスコアアタック。プレイヤーは最初に120秒の持ち時間を与えられ、詠唱するごとに魔法力に応じたタイムが加算、タイムリミットまでに作成した図形の数・魔法力の合計・プレイした時間をいかに伸ばすかが目的となるモノである。キャラは自由に選択可能だがこちらでは性能差がないので好きなキャラを選ぶべし。パパパッと役を作りさっさと詠唱してしまうか、それとも地道に魔法力を貯めてドカンと行くかはプレイヤー次第。ただしエンドレスでは役が成立しなかった場合は即座に終了してしまうため、他モード以上にミスった際のリスクは高い。

やりこみ要素としてはミッションというものが用意されている。『特定の図形を一定数作成する』『特定のキャラで一定回数勝利する』などの累計で達成できる簡単なものから、『ストーリーを難易度ノーマルでノーダメクリア』『エンドレスモードで10分間耐久』などある程度の熟練度を要求するものまでさまざまなミッションが合計100個。コレを達成していくごとにプレイアブルキャラが順次解放されていく方式である。とはいえキャラの全解禁には全体の6割ほどクリアすればいいだけなのでご安心あれ。まぁ完全コンプは我には残念ながら無理だったけども、悔しいがエンドレス関係のミッションを突破できる気がしないのである…。

本作の難点を強いて挙げるとすれば…まぁやっぱりボリュームか。オンラインプレイが事実上のエンドコンテンツとして用意されているからか、ソロプレイだけを目的とした場合はそれとないボリューム不足を感じなくもない。ミッションもやりこみ要素としてはアリながら、キャラ全解禁後はモチベを保ちづらくもあるし、ストーリーモードのバリエーションがもうちょいあればよかったとは思う。

それでもオーソドックスな落ちものパズルのフォーマットを踏襲しつつ、これまでと全く異なる視点から新たなルールを編み出し、それでいて絶妙に難しいが快感にも感じられるこのシステムを作り上げてくれたことは素晴らしいとしか言えない。何よりも停滞しつつあった落ちものパズルの市場においてここまでオリジナリティ溢れる代物を送り出してくれたことに何よりも称賛を送りたいのである!!

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