全世界で知らぬものはいない大スター『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、そんな彼も今年の6月23日についに32周年を迎えた。毎年この時期にはソニック絡みのめでたいニュースが何かしら報じられるのがお約束なのだが、今年も例外ではなかった。2023年の6月23日、それはソニックシリーズの新たなコレクションが我々の元に届けられる日でもあったのだ。
…なに?『このくだり去年もやらなかったか?』って?
確かに1年前(2022年)にもほぼ同じテキストからスタートする記事を投稿した。そう、いうまでもなく『ソニックオリジンズ』の記事のことである。それもそのはず。今回のゲーム、今回の記事はその続きといえる内容なのだ!!
1年前にリリースされ、新規ファンのクラシックなソニック作品への橋渡しを担ってくれた名作コレクション『ソニックオリジンズ』が1年の時を経て超絶パワーアップを遂げて帰ってきたのである!!
…ソニックオリジンズ本編はソニックセントラルで華々しく発表された一方、こっちは公式Twitterで静かに告知されるだけというなんとも寂しい扱いであったのは気になるが…。
というわけでソニックオリジンズプラスについて語っていくワケだが、今回の記事で語るのはあくまでプラスでの追加要素のみである。大元である『ソニックオリジンズ』については発売間もない頃(具体的には1年前)にガッツリ語っているので、以下の記事を参照してほしい。
『1年前の記事なんざ読んでねぇし読む気もねぇよ』という方向けにソニックオリジンズの概要をザックリまとめると以下のような感じである。基本的にはアレンジ要素強めな移植コレクションが本作である。
・ソニック初期作品のアレンジ移植
・収録タイトルはソニック1、2、CD、3&Kの4作
・いずれもメガドラではなくスマホ版がベース、3&Kだけは新規移植
・↑の理由から実機とは挙動が違うが追加要素が多い
・残機性廃止により初心者向け
・ほかにもミッションやニューブルースフィアなども追加
・新規アニメムービー追加
・その他、充実したデータベース搭載
さてさて、前提知識を身につけられた(多分)ところで、ここからが本題である。この『ソニックオリジンズ・プラス』はちょうど1年前にリリースされた『ソニックオリジンズ』に様々な要素を『プラス』した作品である。この説明だけだと1年遅れて発売された完全版のようにも受け取られてしまえるが、どっちかというと有料の大型アップグレードに近い扱いで、無印版『ソニックオリジンズ』のプレイヤーは『エキスパンションパック』という追加DLCを購入することでプラスでの追加要素を全て楽しむことができる。
こういった方式の売り方はソニックでも本作が初めてではなく、同じくRetroEngineを利用して開発された『ソニックマニア』→『ソニックマニアプラス』でも採用された手法である。
プラットフォームは最早説明不要のSwitch/PS5/PS4/XSX/One/Steamという現行機種全部。いかなるハードであってもソニックの原点を楽しむことができる。元々のソニックオリジンズはDL専用タイトルであり、各種プラットフォーマー側のストアでしか購入できなかったが、今回の『ソニックオリジンズプラス』ではパッケージ版も販売されたため、リアルなお店で入手可能。
ただしROMカセット/ディスクの中身はソニックオリジンズ単体で、エキスパンションパックをDLするためのコードが同梱されているという形式。ちなみに『ソニックマニア』もプラスのみパッケージが販売されたのだが、あちらは最初からカセット/ディスクにプラスのデータも含まれていた。
あとソニックオリジンズにはBGMやレターボックスを追加する『クラシックミュージックパック』『プレミアムファンパック』というDLCがあったのだが、プラス版発売と同時に販売を終了している。ではもう手に入らないのか、というと少し違いこれらは全てソニックオリジンズ・プラス、つまり『エキスパンションパック』に内包されているためご安心。ちなみに過去のDLCを買っていても割引などはされないので、そこはお布施として受け入れておこう。
なおややこしいので今宵の記事では1年前にリリースされた元々の『ソニックオリジンズ』のことを『無印版』、今回の主役『ソニックオリジンズ・プラス』のことを『本作』と呼称させていただこう。
我は元々PS4/PS5の無印版を購入していたので、今回はSwitchのパッケージ版を購入し、PS5版をDLCでアップグレードすることにした。『元々持っていたならパッケージ版いらなくね?』と思うかもしれないが、やはりこういうのは実物が欲しくなるものなのだ。
本作のパッケージ版は『ソニックマニアプラス』のものと同じくリバーシブル仕様。裏面はメガドラ時代を思わせるパッケージになっているのが嬉しい。また小さいながらも過去のコンセプトアートやパケ画を纏めた『オリジナルアートブック』が同梱されている。そして初回特典として『特製レコード型ラバーコースター』。この裏面にはスマホ等で読みこめるQRコードがあり、そのリンク先には…ここから先は自身の目で確かめるべし。
(コレについては正直『あー、そう来たか』となった)
ではではいよいよ本作のゲーム内容…というか変更点について語っていこう。本作『ソニックオリジンズ・プラス』における変更点は大きく分けて2つ。1つはゲームギアのソニック作品、そしてもう1つは既存タイトルへの追加要素である。
まずはゲームギアのソニックについてからだが、なんと本作ではかつてSEGAが携帯機『ゲームギア』向けにリリースしていたソニック作品が『全て』収録されている。
・ソニック・ザ・ヘッジホッグ
・ソニック・ザ・ヘッジホッグ2
・ソニック&テイルス
・ソニック&テイルス2
・ソニックドリフト
・ソニックドリフト2
・ソニックラビリンス
・テイルスアドベンチャー
・テイルスのスカイパトロール
・ソニック・スピンボール(Sonic Spinball)
・ドクターエッグマンのミーンビーンマシーン(Dr.Robotnic's Mean bean machine)
・Gソニック
収録されているゲームギアのソニック作品の数は実に12種類。そのラインナップは上記の通り。『ゲームギアにソニックってそんないっぱい出てたの!?』とビックリするかもしれないが、実際いっぱい出ていたのだ。なんならゲームギアはソニックと共に歩み、ソニックと共に終わったハードなのだ。現役期間は年に1本から2本ソニックがリリースされ、なんならハード最後のソフトすらソニック(Gソニック)だったのだ。当時のソニックフィーバーっぷりが理解できるだろう。
日本のみのリリースだった『テイルスのスカイパトロール』はもちろん、海外でしか販売されなかったGG版の『Sonic Spinball(ソニックスピンボール)』や『Dr.Robotnic's Mean bean machine(Dr.ロボトニックのミーンビーンマシーン/ぷよぷよ)』も当然収録。
ゲームギア作品はいずれもマップ画面(メニュー)の『ミッション』の項目に追加されている。何故ミッションなのか一瞬疑問に思うかもしれないが、おそらく収録タイトルにGG版『ソニックスピンボール』があるからなのだろう。ミッション画面のあの島の元ネタが丁度あの作品に出てくるのだ。
なおGG向けソニック作品の復刻は今回が初めてではなく、初の復刻はゲームキューブ向けの『ソニックアドベンチャーDX』まで遡る。なんとこの時点で12本全てを収録している超大判振る舞いであった。…もっとも、やりこみのご褒美扱いなので12本解禁のためにはエンブレム全回収…即ち完全クリアを要求されたため、実際に全タイトルを遊べた人はそう多くはなかった。加えて便利機能の類が一切存在しない本当の意味でのベタ移植であった。
便利機能込みの移植ではそれよりも後のPS2/Xbox向けの『ソニックメガコレクションプラス』や3DS向けのバーチャルコンソール、ゲームギアミクロなどがあり、クイックセーブ(まるごとバックアップ)搭載により遊びやすくはなったが、こちらは12本全ての復刻がされたわけではなく、メガコレプラス+3DSのVC全購入でも遊べないタイトルがある程度存在していた。
(あと一応ジェムコレでも復刻そのものはされていた。制限時間付きだったが)
こういった理由からGGソニック作品は十数年に渡り『復刻はないわけではないが、ハードルが地味に高くオススメしづらい…』という状況が続いていた。そんな中に本作がリリースされたのはまさしく僥倖である。ちょうど3DSのVC販売が終了して間もないタイミングで本作が発表されたのも素晴らしかった。
先に挙げた『ソニックスピンボール』や『ミーンビーンマシーン』のほか、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』は同名の作品がメガドライブにてリリースされている…というか後者二つはオリジンズにも収録されているが、内容はステージ構成からBGMに至るまでまるっきり別物である。一方を既にプレイ済みであってもプレイするべし。GG版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』のBGMはなんとあのイースや世界樹でおなじみの古代祐三氏が作曲を手掛けていて、GG版『ソニック・ザ・ヘッジホッグ2』はメガドラ版よりも遥かに高難易度ゆえ手ごたえバツグン!
ゲームギアのソニックはいずれもコンパクトながらソニックのお約束を踏襲しつつ、派生作品ならではの挑戦的な独自要素が登場するなど見どころがかなり多い。例えばギミック扱いで乗り物が出てくる『ソニック&テイルス』やスーパードンキーコングの如くCGテイストなグラフィックの『Gソニック』などがソレである。
ソニックと一言でいっても全てが2Dアクションというわけではない。ソニックが走れなくなるクォータービューのパズル(?)アクション『ソニックラビリンス』とか、ソニック初のレースゲーム『ソニックドリフト』『ソニックドリフト2』なんかは他の作品にはないオンリーワンな魅力がある。コレを機会に触ってみるとよろし。
特にオススメなのは『テイルスアドベンチャー』、コレは2Dは2Dでもソニックでは極めて珍しいアクションアドベンチャー、昨今の探索型アクションのようにアイテムを駆使してステージを探索する楽しさは今の時代でも新鮮に楽しめるハズである。
この頃が全盛期であったゲームギア時代を象徴するライバル『ファング・ザ・スナイパー』のこともお忘れなく。初登場の『ソニック&テイルス2』では目一杯場を引っ掻き回してくれる。ライバルキャラといえば『テイルスアドベンチャー』にだけ登場した1作限りのテイルスのライバル『スピーディ』も必見。
ゲームギア作品は全てに共通してセーブ/ロード機能が実装されている。こちらは各作品内のセーブとは別物で、一般的にクイックセーブ/クイックロードと呼ばれる類のものである。セーブ枠は各ゲームごとに1つずつ。縛りたければ縛ってもいいし、サクサク進めたいならガンガン活用すべし。後述するように当時のパスワードも使えるので縛っても割とどうにかなる。
当時、対戦ケーブルを介した通信対戦ができた『ソニックドリフト』『ソニックドリフト2』『ミーンビーンマシーン』の3作はなんと本作でもマルチプレイが可能。流石にローカル対戦のみの対応であるが、実は過去のゲームギア移植だとフォローされてない部分だったのでありがたい。
そして個人的に特に素晴らしいといえるのは『グラフィック設定』の『パッケージ画像』!!
コレは『メインメニュー画面に出てくるゲームのパケ画を日本版/北米版/欧州版に変更できる』という超マニア向け設定である。無印版の時点で存在していたのだが、反映されるのはあくまでメニュー画面+αのみでゲーム内容自体は何一つ変わらないため、ほぼ触れる人もいなかった知る人ぞ知るレベルの要素だったのだが、本作でゲームギア作品が追加されたことで一気に化けた。
なななんと!!本作ではパッケージ画像を変更すると、ゲームギア作品のリージョン設定までもが切り替わるのだ!!
例えば『ソニック&テイルス』は『SONIC CHAOS』になるし、『ソニック&テイルス2』は『Sonic Triple Trouble』、『Gソニック』は『SONIC BLAST』になるのだ!ROMからして切り替わっているらしくゲームタイトルはもちろん、セーブデータ(先に挙げたセーブロード機能のもの)も別枠となる。
まぁゲームギア作品はそこまで国内と国外の差がなく、せいぜい一部のグラフィックが違ったり裏技が使えなくなる程度なのだが、それでもGGソニック作品の海外版が日本でプレイできるのはコレが初である!まさかこんなサプライズが用意されていたとは!!
…喜ぶのは一部マニアだけなのは百も承知だが、SEGAはこういうところをもっとプッシュすべきな気がするのである…。
ちなみに余談中の余談だが、ゲームギアのソニックの一部はセガ・マークIIIの海外版『Sega Master System(日本のSMSとは別物)』でもリリースされており、そちらもまた細かい仕様やBGMが異なっていたりした。だが残念ながら本作ではそちらはフォローされておらず未収録。一時期WiiのVCで配信されていたりもしたのでワンチャンあるかとも思ったがそんなことはなかったらしい。まぁ贅沢な悩みである。
さて、元々無印版に収録されていたメガドラ&メガCD作品はどれもスマホ版をベースにしたアレンジ移植となっていたが、プラスで追加されたこれらのゲームギア作品群は全て実機そのままのベタ移植。まぁこちらはそもそもジャンルからして据置作品とは大きく違うものが少なくなく、流石のRetroEngineでも対応しきれなかったのだろう。…というかGG作品をRetroEngineで再現したらソレは最早移植通り越してリメイクか新作とかそういうレベルになるし…。
ベタ移植ゆえ当時のパスワードや裏ワザ、隠しコマンドの類は全てそのまま使用可能。裏ワザについてもこの記事で紹介しようとも思っていたが、折角なので過去に『ソニックオリジンズ』の裏ワザを纏めたページを作っていたので、そちらにGG作品の裏ワザについて追記しておくことにした。
続いては無印の時点で収録されていた作品への追加要素だが、こちらもまたドデカイ追加要素がある。ズバリ、プレイアブルキャラが追加されたのだ。元々オリジンズは目コピゆえのふんだんな追加要素が元々の魅力であったが、その方向性がさらに強化されているといっていい。
プレイアブルキャラの追加についてはソニック1・ソニックCDのメガドラ版→スマホ版の折にソニック1でテイルスとナックルズが、ソニックCDでテイルスが追加されたという前例はあったが、それ以降こういった追加はなかったため大いに驚かされた。
(一応スマホ版→無印オリジンズでナックルズ&テイルスができるようになったりはしていた)
まずはソニックCDにおけるナックルズのプレイアブル化である。元となったスマホ版ソニックCDはRetroEngineでの初リリース作品ということもあってか、他タイトルと違い追加はテイルスのみでナックルズは使えないままであったが、今回ようやくナックルズが使用できるようになったワケである。
もちろんその性能はソニック3&Kのものと同一であるため、滑空や壁登りが使用可能。ジャンプ力の低さも相変わらず。そのため一部のボス戦で必要以上に苦戦することになったり、通常とは違うルートで転送マシーンに到達したりもできる。
またソニックCDはステージ内の構造の微妙に変更されており、ナックルズでプレイする場合はソニックやテイルスとは一味違うルートで走り抜けることができる。ソニックCDにまた新たな魅力が生まれた瞬間だといえるだろう。
そして追加要素の中でトップクラスに衝撃的であったのは全タイトルにてソニックシリーズのヒロインであるエミー・ローズがプレイアブルになった点。
純粋なアクションゲームにおけるエミーのプレイアブル化は3Dなら『ソニックアドベンチャー』や『ソニックヒーローズ』、2Dでも『ソニックアドバンス』シリーズといった前例があったものの、これらはいずれもデザインが変更されたモダン以降の話であり、旧デザイン…いわゆるクラシックエミーを2Dアクションで使用できる作品はこれまで一つたりとも存在しなかったのである。今回のプレイアブル化は快挙だといっていい。
(2Dアクションに限らないならドリフトやソニックR、ファイターズなどはある)
更にスマホ版のソニックCDやソニック1におけるテイルスとナックルズは(微妙にステージ構成が違うのもあったが)基本システムそのものはソニック3&Kの逆輸入でグラフィックもそちらの流用であったのに対し、エミーは正真正銘本作のためにイチから開発されている。当然グラフィックも新規のものである。
(そもそも2Dソニックにおけるエミーのスプライトは歩きと抱き着きくらいしかなかった)
2Dアクションのエミーといえば『ソニックアドバンス』のかなりトリッキーな性能が思い起こされるが、本作のエミーはソニックをベースにした性能なので普通に扱いやすい。
ソニックとの違いは専用アクションの『ジャンプハンマー』と『ハンマーラッシュ』の二つ。ジャンプハンマーはソニック3&KにおけるW回転アタックのようなものなのだが、あちらよりも攻撃範囲が一回り広いうえ、一度発動すれば着地まで持続するのでぶっちゃけ上位互換。このアクションがあるためかバリアアクションは相変わらずソニック専用アクションになっている。
ハンマーラッシュはソニックで言うところのドロップダッシュの操作で発動、ハンマーを振り回しながら高速移動ができる。『着地と同時に高速移動』という点だけを見れば完全にドロップダッシュと同じだが、こちらは発動中に方向転換が可能。スピードを保持したまま向きを変えられるため、主にソニックCDあたりで活用できるだろう。ただし一定時間が経過すると自動で解除されてしまうので、扱いはソニック以上に慎重にするべし。
更にカオスエメラルド/スーパーエメラルドをコンプすればほか3人と同じようにスーパー化…即ちスーパーエミーに変身も可能!地味にエミーがスーパー化するのは(少なくともゲーム作品では)シリーズ初である!
ソニックCDにてエミーやナックルズを使用した場合のイベントの扱いは従来のテイルス使用時のものと同様。つまりエミーが分身するような自体にはならない。またソニック3&Kにおけるエミー使用時はソニック編のルートを通ることになるが、微妙に冒頭のシーンが変わっておりナックルズが出てこなかったりする。
(オープニングシーンから先は普通に出てくる)
無印版の時点で存在していた各モードにもエミーとナックルズ(ソニックCD)は対応。マイデータから閲覧できるレコードにもちゃんと登録されるし、ボスラッシュモードやニューブルースフィアでも使用可能。クラシックモードだと表向きは使用不可という扱いになっているが、ソニックCD以外は隠しコマンドを使うことでエミーを使用できたりもする。元々クラシックモードがクラシックとは名ばかりの代物だからこそである。
その他、非常に小規模ながら『パネルイラスト』なるものが新たなやりこみ要素として追加されている。コレはミッションの一部で、条件を満たすごとにイラストが完成していき、10個全てを達成するとチュートリアルにとある項目が追加される。
本作で追加されたものということもあり、条件は全てエミーとナックルズ(ソニックCD)関連の内容となっている。とはいえ難易度自体はかなり低く、ぶっちゃけ『エッグマンの像を壊す*』以外は適当にプレイするだけでも確実に達成できる。なのでやりこみ要素としてはちょっと微妙なところ。
*エッグマンの像(ソニックCD)
ソニックCDのラウンド5『Wacky Workbench』にあるギミック。
過去の世界で中盤-終盤の隠し部屋に天使の像が置かれており、近付くとリングが貰える。
だが未来(BAD)で同じ部屋に来るとエッグマン像になっているというもの。
『侵略された未来では天使像が壊され、エッグマン像が立てられてしまった』
という世界観のフレーバー要素の一部だったのだが、
オリジンズプラスではエッグマン像がやりこみ条件になっている。
(天使像の方はスマホ版ソニックCDでの実績だった)
エッグマン像があるのはあくまでBAD FUTUREのみ。
ここに辿り着く前にタイムストーンをコンプしてしまうと、
未来がGOODに固定されてしまい条件が満たせなくなるので要注意(1敗)
ここからはちょっとだけ残念に思う部分のハナシ。本作は無印から確かにパワーアップしているが、元々の無印版がボリュームたっぷりだったからこそ、『もう一声!もう一声欲しい!!』となる箇所が割かし多いのだ。
例えばミュージアムモード。コレは無印版収録タイトルの日本/北米/欧州版のマニュアルをそれぞれ閲覧できたり、収録タイトル(+DLC導入なら更に3本)のBGMを自由に聴けたりした無印版における魅力のひとつで、ここまでの語りでは影も形も出てこなかった要素。そう、本作ではミュージアム関係に何一つ追加要素がないのである。ゲームギア作品のBGMはおろか、マニュアルすら一切載っていない。ハッキリ言ってゲームギア作品へのフォローは皆無なのだ。
(なお以前あった曲名間違いは過去のアプデで修正されている)
正直なところ、自分は本作でようやくゲームギア作品の楽曲を自由に聴ける環境が手に入ると思っていただけにコレは残念というほかない。マニュアルの方も操作説明そのものはゲーム選択画面から閲覧できるが、かなり簡素なものとなっていて、当時のマニュアルの代替になるとは言い難い。
そしてミッションモード。こちらも無印版から一切追加要素がない。ミッションモード自体はアレンジ移植であるアニバーサリーモードが前提のものなので、ベタ移植のゲームギア作品を増やせなどという無茶振りは言わないが、それでも1-2つでもいいのでエミーやソニックCDにおけるナックルズ関係のミッションは欲しかったなと感じている。
やりこみ要素についても先述した極めて難易度の低い『パネルイラスト』以外の追加はないため、もう少しやりこみの目標が欲しいなと思ってしまったり。てっきり追加トロフィーの類もあるものかと思ったが、そういったものも残念ながら存在しない。
あとコレは気のせいか、或いは我が家のスピーカーが原因の可能性があるのだが、ゲームギア作品の音が実機や過去の移植版と微妙に違うような気がする…がコレはハッキリとした根拠はないのでこれ以上は何も書かないこととする。
とはいえ、この辺りの不満は確かにある一方で、冷静になって考えてみると仕方ないと思わないでもない。そもそものハナシ、忘れがちだが本作はあくまで1100円のDLCである。新作ではなく大型アプデ…というかDLCなのだ。僅か1100円でゲーム12本に追加キャラ2つ、そう考えれば妥当…いや、むしろオトクな内容であることには変わらないだろう。高望みしすぎるのも宜しくないのだ、と受け入れている。
さてさて、アレンジを多数加えたメガドラ&メガCDの本家ソニック作品のコレクション『ソニックオリジンズ』に更に様々な追加要素をプラス、オマケに12本ものゲームギアのソニックを全て遊べるようにしたこの『ソニックオリジンズ・プラス』は、なんだかんだでまさしくクラシックソニックのコレクションにおける決定版として相応しい。
…ぶっちゃけたハナシ、ほんの7-8年前までソニックシリーズは低迷が続いていた。特定の作品を悪しようにいうつもりはないが、それでも無視できないほどに問題を抱えた作品がスピンオフどころか本編でも続き、キャラの扱いですら『何をどうしたらそうなる…』と感じるほどには公式に不信感を抱かせるものもあり、20年来のファンですら今後のソニックに不安を覚えずにはいられない状況であったのだ。
なんなら『我はもしやソニックを愛する心を失ってしまったのでは…?』『メンドクサイファンと化す前にソニックから離れた方がいいのでは…?』と思いつめるほどであった。
だが今ならばハッキリと言える。『我はソニックが大好きである!』と。我の心を繋ぎとめたのはいうまでもなく、ここ数年のソニックシリーズの頑張りに他ならない。ここにきて最高傑作といえるくらいバラエティに富んだ『マリオ&ソニックAT東京2020オリンピック』に、ファンの願望をそのまま具現化した『ソニックマニア(プラス)』、喪われつつあったスマホ版を現代に再びよみがえらせた『ソニックオリジンズ』、そして新世代の風を感じさせてくれた最新作『ソニックフロンティア』…一時期の悪評をまるごと払拭するかの如くリリースされたこれらの作品は、改めて我にソニックの未来への希望を抱かせてくれた。
上に挙げた例はあくまでゲームにまつわる部分のみで、このほかにもアメコミ『IDWソニック』の刊行も続いているうえ、実写映画『ソニック・ザ・ムービー』まで好調と、いまソニックシリーズは十年に一度くらいの大フィーバーの最中にあると言っていい。この勢いを維持できるかは当のSEGAの働きにかかっているだろう。だが今の我はSEGAの…そしてソニックの開発を手掛けるソニックチームやオリジンズを手掛けたHeadcannonに大いに期待している。ソニックを深く愛する者たちの作った作品にハズレなし。これから先リリースされるソニックシリーズも楽しみである!!
そしてつい先日には『ソニックマニア』以来の2Dソニックシリーズ最新作、『ソニックスーパースターズ』まで発表されている。こちらは(現状の発表によれば)『ソニックアドバンス』シリーズの如くマルチプレイ対応の2Dソニックながら、本作と同様にクラシック版エミーがプレイアブルとなっており、更に本作に収録されているGG時代にブイブイ言わせていたファングまでもが再登場するという、とにかく期待が持てる作品となっている。…というか今になって思えばソニックオリジンズ・プラスは完全にソニックスーパースターズの予習用に作られたゲームである。
本作をきっかけに古の時代のソニックを知り、その先にどのようなルートを選ぶかはプレイヤー次第。SEGA公式が想定しているのは『ソニックオリジンズプラス』→『ソニックスーパースターズ』なのだろうが、別にソレに従う必要もない。メガドラ時代の正当進化たる『ソニックマニア』でもOKだし、新世代の『ソニックフロンティア』でもいい。どれを選んだとしても後悔することはないと保障しよう。なんてったって今世代のハードでリリースされているソニックたちは全て名作なのだから!!
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