はじめが肝心だからって
カンケイないさ
ドキドキは止められない
自分が自分でいられるかぎり
今日も
走りつづけるゼ!
_________________『ソニックアドバンス』説明書2Pより
…さて、初期のソニックシリーズ特有、説明書orパケ裏の謎の格言で気分を高めたところで、今回もゲームを語っていくとしようか!!
(とうとう冒頭の挨拶部のネタが切れました)
今宵語るは『ソニックアドバンス』!その名が示す通りプラットフォームはゲームボーイアドバンス、後に3作に渡って単独シリーズ化され、やがてはその路線を継承した『ソニックラッシュ』シリーズにまで繋がる『ソニックアドバンス』シリーズの1作目である!ファンからの通称は主に『ソニバンス』、名前的には『ソニアド』の方がしっくり来そうにも思えるが、これは同シリーズの名作『ソニックアドベンチャー』との混同を避けるためである。
発売は2001年、2001年といえばSEGA最期の砦であるドリームキャストがハード事業から撤退…即ちSEGAがプラットフォーマーから勇退しサードパーティとして生きていくことを表明した、ゲーム史における歴史的なタイミングである。
(この時点ではまだドリキャスへのソフト供給はまだ続いていたが)
最初に触れたように本作のプラットフォームはゲームボーイアドバンス(GBA)なワケだが、言うまでもなくGBAは任天堂のゲームハードである。ついでに言えばこの日には本作だけでなく、同じく任天堂ハードであるゲームキューブにて『ソニックアドベンチャー2バトル』も発売されている。つまるところ本作は『SEGAの看板たるソニックが、最大のライバルであった任天堂のゲーム機で登場』という、ある種ゲーム業界の時代の変革を示す作品でもあるのだ。余談だがSEGAハード以外で出たソニックは前年のネオジオポケットカラー用ソフト『ソニックポケットアドベンチャー』の方が先。また任天堂ハードにSEGAが最初にリリースした作品はソニックではなく『チューチューロケット!(GBAのロンチタイトル)』だったり。
まぁいずれにせよGBAというこれまでよりも知名度のある+一般層に広く普及しているハードでのリリースということもあってか、本作or同時発売の『ソニアド2バトル』で初めてソニックに触れたという人は少なくなかろう。
ゲームシステム的にはオーソドックスな2Dアクション。当時の本家ソニック作品は『ソニックアドベンチャー』を皮切りに3Dアクションへとシフトしていたため、本作はピンポイントで本家ソニックが抜けた2Dアクションの穴埋めを果たしていた。10年後の『ソニックジェネレーションズ(PS3/360/3DS)』にまで続く『据置機は3Dアクション、携帯機は2Dアクション』というソニックシリーズの展開はここから始まったといっても過言ではない。
開発を担当するのは当然本家本元SEGA…ではなく、Dimps(ディンプス)。本作ではSEGAもソニックチームも監修のみでの参加である。『星のカービィ 鏡の大迷宮』でも出てきた名だが、ディンプスはかつてカプコンで『ストリートファイター』を、SNKで『餓狼伝説』を開発したスタッフたちが立ち上げたデベロッパー。近年でも数々のアクションゲームを手掛けているが、この頃のディンプスはソニックシリーズの開発にも多数携わっていたのだ。
『ソニックアドバンス』もそのうちの一つであり、本作のクオリティを買われたからか、以降は『アドバンス2』『アドバンス3』と同社開発によるシリーズ化が行われ、更にその路線を引き継いだ『ソニックラッシュ』『ソニックラッシュアドベンチャー』が誕生、やがて本家ソニックが性能の異なる2機種で開発*されるようになると、ロースペック側の開発を任されるようにもなった。
*ソニックシリーズのマルチ対応
00年代後半~10年代後半のソニックは特殊なマルチ展開が行われている。
具体的には『性能が違う機種でリリースをする場合、高性能版と低性能版で
ステージ構成からゲームシステムまで別のものをリリースする』というもの。
該当するのは『ソニワド(SD機/HD機)』『カラーズ(DS/Wii)』
『ソニジェネ(3DS/据置機)』『ロスワ(3DS/WiiU)』で、
ソニワドとロスワ以外は高性能版が純粋な3D、低性能版が2Dになっている。
ディンプスはこれらのロースペック側の開発を手掛けている。
(トゥーンも近いマルチ対応があったが、こちらはディンプス開発ではない)
本作発売時点で既に10年近い歴史を持つ2Dソニックの新作ということもあり、内容そのものはメガドラ時代のソニックの良いとこどりといったところ。基本は2つのACTで1つのZONEとなり、ACT2のラストでボスが出現するという『ソニック2』に近いスタイル、一方でBGMはACT1とACT2で異なるアレンジが流れる『ソニック3&K』パターン。ボスの登場前に簡易的な演出+専用BGMがあるというのも『ソニック3&K』の系譜だろう。
システムそのものは純然たるメガドラ時代の延長ではあるものの、一方で新規ファン獲得のためか、ソニックたちのデザインは『アドベンチャー』以降に代表されるモダン仕様、アクションもメガドラ時代のスピンジャンプ/スピンダッシュだけでなく、新たにジャンプダッシュ・サマーソルト・グラインドといったモダンソニック特有のモノが使用できるようになった。
ただし、追加アクションは一切使わなくても完全クリア可能になっているため、『アクションが増えすぎて難しくなった!』ということはない。上記の新アクションはカッコよく駆け抜けたいという人向けな側面も強いため、メガドラ時代からのファンでも安心してプレイ可能。本作も歴代2Dソニックと同様、最低限のスピンジャンプと移動だけでクリアできるのだ。
プレイアブルキャラはソニック・テイルス・ナックルズ、そしてエミーの4名。隠しコマンド(本記事ラストで紹介)を入力することでソニック2モード(ソニック&テイルス)でもプレイ可能。ソニックはW回転アタック、テイルスはヘリテイル、ナックルズは滑空+壁登りができるという『ソニック3&K』に近い調整。ただし素のジャンプ力が全キャラ共通になったので、相対的にナックルズが旧作に比べるとだいぶ強化されている。また一応新アクションとして尻尾攻撃やパンチ→アッパーといった近接アクションが追加されたが、使い道はぶっちゃけほぼない。
キャラの性能差は割とハッキリしていて、どのキャラを使用するかで難易度は大きく変わる。本作のキャラごとの難易度は高い順にエミー>ソニック>ナックルズ>テイルス、といったところ。ヘリテイルでどんな状況からでも復帰が望めるテイルスであれば、本作がソニックデビューでも楽々ラストまで辿りつけることだろう。ナックルズはテイルスに一歩劣るがこちらも滑空によるショートカットができるのが大きい。
ソニックはコレといった救済措置などのないオーソドックスな性能なので、良くも悪くもプレイヤースキルが求められる。その分使用できるテクニックも多いため、パーフェクトに走り抜けた時のスピード感や爽快感は全キャラでもトップクラスである。非常に地味だがサマーソルト中にスピンジャンプをするとバックジャンプになり専用のモーションを取ったりもする。特に活用できる場面はないのだが、『アドベンチャー2』のプレイヤーであれば一度くらいは見ておいて欲しい。
『ソニックCD』で初登場して以来、長らくヒロインor狂言回しのポジションに収まっていたエミー・ローズは本作でついにプレイアブルとなった。3Dなら『アドベンチャー』、ソレ以外でも『ドリフト』や『ファイターズ』、『ソニックR』にて操作キャラになったりもしていたが、ソニックの原点たる2Dアクションで彼女を使用できるのは本作が初めて。
本作のエミーは歴代2Dソニックの中でもかなり特殊な性能になっている。なんと彼女はソニックシリーズのお約束ともいえるスピンジャンプもスピンダッシュも共に一切使用できない。彼女のジャンプは文字通りの『ジャンプ』であり、スピンはしない。つまり、ジャンプそのものに攻撃判定がないのだ。
エミーで敵を倒すためには彼女のトレードマークたるピコピコハンマーが必要不可欠。地上、或いは空中でBボタンでハンマーを振るうことができ、そしてこの『ハンマーを振っている間』だけ攻撃判定が発生する。つまりエミーは敵とぶつかる瞬間にタイミングよくボタンを押さないと攻撃ができないのだ。
…これだけ聞くとこう思うだろう。『エミー、弱くね?』と。実際のところ、エミーは歴代の2D作品におけるプレイアブルキャラだとかなり弱い部類である。しかし、彼女はただ弱いワケではない。彼女最大の魅力はそのトリッキーなアクションの多彩さにある。
例えばスピンダッシュの代わりに発動できるステップ移動、一見すると小刻みにしか動けない移動アクションだが、ステップ中にタイミングよくジャンプするとヘッドスライディングに変化。移動性能こそ低いものの、素早い攻撃ができる。
ジャンプ中に下とBを同時押しすると真下に向かってハンマーを振るいながら急降下。残念ながら活用できる場面はほぼないものの、本作では唯一の急降下アクションでもあるので、スピードが出過ぎた時の急ブレーキとして役立つこともある。
そして特に目立つのがハンマーを用いた大ジャンプ。地上でしゃがみながらBを押すと通常よりも高く飛び上がれるのだが、そんなものはまだ序ノ口。なんとエミーのハンマーには地上・空中問わずスプリングを攻撃すると、そのスプリングによるジャンプ力が爆発的に伸びる特徴があるのだ。
コレに気付くか否かでエミーの扱いやすさは目に見えて変わる。ハンマー+スプリングの移動量やスピードは他キャラのアクションを大きく上回るため、時には大胆なショートカットだってできる。この加速は一瞬ながら、その刹那の爽快感こそがエミー操作における一番楽しいポイントである。
ところで、ソニックファンの方々はここまでのテキストを読んでお察しの通り、本作のエミーは『ソニックアドベンチャー』におけるエミーをそのまま2Dに落とし込んだスペックになっている。基本アクションこそソニックをはじめとする他キャラに大きく劣るため最初は不便さを感じやすいが、ハンマーを用いた専用アクションをフル活用し難所をトリッキーに突破していく面白さは、他のキャラでは決して味わえない。
エミー自体は次回作のソニバンス2以降にもプレイアブルキャラとして登場するが、ソニバンス2からはスピンジャンプ等も使えるソニックのコンパチキャラになり、ソニバンス3はそもそもの基本システムが本作とは大きく異なるため、こういった楽しみ方ができるのは正真正銘ソニックアドバンスだけである。
ちなみに本作はキャラごとにゲームの進行状況が保存(オートセーブ)され、到達済みのステージからいつでも再開可能。なおソニック2モードはソニックのセーブデータ扱いで、カオスエメラルド(後述)の収集状況のみは全キャラで共有されている。そのためわざわざ各キャラでエメラルドを集め直す必要などはない。
続いてはゲーム全体のボリュームのハナシ。本作で登場するZONEは9つ、ただし後半4ZONEはACTが1つだけなのでACTでカウントすると全14面でありボリュームとしては携帯機相応。比較対象*が据置作品(というかソニック3&K)だとやや見劣りするかもだが、ゲームギア時代の作品群と比較すればいつも通りといったところ。GG時代に比べるとACT1つあたりのサイズも大きくなっているので、順当にパワーアップしている。
*過去作のACT数
『ソニック1』が19面、『ソニック2』が20面、『ソニックCD』が21面、
『ソニック3&K』が前半12面、後半13面の計25面。
ここまでが据置機作品で、携帯機の場合だと
『GGソニック1』が18面、『GGソニック2』が21面、
『ソニテイ』が18面、『ソニテイ2』が18面、
とはいえGG作品はほぼボスのみのACTがある。
コンセプトによってステージの規模感も大きく異なるので、参考までに。
各ZONEのACT2ラストには毎度おなじみエッグマンがボスとして登場。過去作にはなかった要素として本作のボスは体力が減ると行動パターンが変わったり、新たに大技を使ってくるようになっている。ソニバンス2以降やラッシュでもこの要素は引き継がれた。
本作が任天堂ハード初の2Dソニックということもあってか、それぞれのZONEは『ソニックのお約束』を徹底的に踏襲したラインナップ。しかしながらハードを跨いでも追い続けるファンでも楽しめるように『お約束』は踏襲させつつも、これまでとは違ったアプローチを試みている。
例えばZONE1(ネオグリーンヒル)はソニックの象徴たる360度ループや3D風演出による壁走り、新アクションのグラインドまで取り入れられたものとなっているが、そのロケーションはまさかの海岸。ZONE2(シークレットベース)では早くも終盤の代表たる基地面がやってくる。基地面らしく滑車や蒸気といったギミックが盛りだくさんだが、難易度は序盤らしく控えめで『ギミックを使って走る』ということの楽しさを初心者でも理解しやすい。
ZONE5で訪れるのはまさかまさかの『エンジェルアイランド』。そう、シリーズでも度々登場するあの島である。『ソニック3&K』では1面として、3D作品でも『アドベンチャー』で訪れる機会があるので、シリーズファン的にも見知ったエリア…などと思うなかれ。
本作ではエンジェルアイランドにこれといった異変が起こっていない…つまり地上に落ちていないため、空に浮かんでいるのだ。エンジェルアイランド自体は過去作に何度も登場しているのだが、毎度の如く地上に落下しているため、こうして空に浮いたままのエンジェルアイランドを冒険できる作品はかなり珍しい。他の例はそれこそ『ソニッククロニクル』くらいである。クロニクルは直後に落下して大変なことになったが。
更に最深部で待ち構えるのはなんとナックルズ…のメカ!正式名称『メカナックルズ』というまさかのソニック2のメカソニックのナックルズ版である。その行動パターンはそのまんまソニック3&Kのヒドゥンパレスにおけるナックルズとほぼ同じ!コレは燃えるしかない!ところでソニックRにメタルナックルズというのがいるため地味にややこしい。まぁメタルソニック/メカソニックも一度は通った道なので気にしてはいけない。
エンジェルアイランドと並び要注目なのがZONE6-1(エッグロケットゾーン)、このゾーンはロケットで宇宙に飛び立とうとするエッグマンを追いかける…という設定なのだが、ソレを見事なまでにステージ内の描写で表現しているのが特徴。まずこのゾーンにはポイントマーカーが存在しない。…しかしチェックポイントともいうべきスポットはある。
チェックポイントを通るたびにエッグマンのロケット発射シーケンスが進行し、直前までいたエリアがまるごと切り離され後戻りができなくなる。それと同時に制限時間が設定され、次のチェックポイントまで時間内に向かわなければミス…という特殊ルールで進行するのだ。ちなみに本作はタイムリミットのON/OFFが可能なのだが、OFFにしていてもこのゾーンのみは制限時間アリとなる。
チェックポイントは一つだけでなく複数用意されていて。一つ通るたびに発射や切り離しといった専用の演出が流れ、最後には背景までもが切り替わるという2Dソニックでも屈指の良演出を堪能できる。曲がりなりにも最終盤ステージなのでギミックも敵も盛りだくさん、難易度的にも全く気は抜けない。…なお上へ上へと登っていく構造+スプリングが大量に配置されていることから、本作で最もエミーが猛威を振るうゾーンでもある。
さて、特定のACTのどこかには『スペシャルバネ』という特殊なスプリングがあり、コレに乗ることで一度だけシリーズ恒例のスペシャルステージに挑むことができる。本作のスペシャルステージは落下しながらリングを集めるタイプの擬似3Dステージ。キャラは自動で前に進むため、プレイヤーは上手い具合に左右移動をしてリングを拾っていく。擬似3Dゆえにリングの位置関係が少々わかりづらいが、そこは何度もやって覚えるしかない。
オレンジの壁に触れた瞬間にBボタンを押すとトリックが使用でき、一気に多数のリングを入手できるのでソレを活用するのがカギ…というか活用しないとムズすぎる。一定以上進んだ時点でクリアノルマに達成していれば続行、更に難しくなったノルマが提示され、ソレも達成できればカオスエメラルドを入手できる。カオスエメラルドはいつも通り全部で7つ、7つ全て集めた状態でソニックで(表向きの)最終面をクリアすると、真のラスボス戦に挑めるようになる。…ただし、本作のエメラルド集めはシリーズファンからすら『本作最大の問題点』として槍玉に挙げられやすい。
エメラルド集めにおける問題点はその異常な高難易度っぷりにある。どこが難しいかというと、まずそもそものスペシャルバネ探しからしてキツイ。ソニック3&Kのスペシャルリングをはじめ旧作だとスペシャルステージの入口はそこかしこにあり、1プレイで何度も挑戦するチャンスが与えられていたのだが、本作のスペシャルバネはゲーム全編を通して7つ…つまりカオスエメラルドと同じ数しかない。
各バネとエメラルドは1対1の関係にあり、そのうえでエメラルドの収集状況が保持されるといった繰り返しプレイを前提とした仕様と言われればまぁそうなのだが、ここで問題なのは『どのアクトの、どこにスペシャルバネがあるか』が全くプレイヤーに明かされていないことにある。ACTによっては全くスペシャルバネが存在しないものもあるので、本当にバネ探しは不毛である。
序盤ステージであれば後戻りも容易ではあるものの、中盤以降は入り組んだものが多くなるので、通常プレイではまず見つかることはない。3&Kのスペシャルリングもノーヒントであったが、こちらはギミックを攻略するとオマケ的に到達できたりするくらいにはそこら中にあるので本作とはワケが違う。結局多くのプレイヤーがエメラルド集めのためだけに攻略本に頼らざるを得なくなってしまったのだ。
スペシャルバネを見つけても安心はできない。その先に待つのは地獄のスペシャルステージである。概要については先述した通りなのだが、とにかくノルマが厳しい。その厳しさたるや最も難易度が低いはずである最初のスペシャルステージですら1ミス以上の失敗は許されないほどである。基本的にアドリブ攻略がほぼ通用しないので、攻略方法はリング配置をフル暗記する以外にない。
そしてスペシャルステージを失敗したら、言わずもがな元のACTに強制送還される…のだが、こうなってしまうとスペシャルバネが機能しなくなる。スペシャルステージに再挑戦するためには、ゲームを一度リセットorゲームクリアして再びACTを最初から攻略しなおさなくてはならない。コレが本当にキツイ。
(本作はソニバンス2以降とは違いポーズからタイトルに戻れない)
スペシャルバネの捜索の不毛っぷり、覚えゲー前提のスペシャルステージの厳しい難易度、そして著しいリトライ性の低さの三重苦により、本作のカオスエメラルドのコンプリートはシリーズでも屈指の難易度を誇る。抜け道や裏ワザなんてものは存在しないので、何度も何度も繰り返し挑戦してガンバレ。心が折れなければいつかはなんとかなる!…ちなみに、この『カオスエメラルドのコンプが異常に難しい』というポイントは次回作で改善されるどころか、より悪化した形で引き継がれることになる…。困ったことに本作の完全クリアは『ソニバンス』シリーズでは一番シンプルかつ低難易度なのだ…。
(次回作『ソニバンス2』のコンプ難易度は今なお2Dシリーズ史上最難関と評される)
本作のBGMはほぼ全てが本作のオリジナル曲で構成。今までの作品に比べるとやや毛色が違うのだが、当時のソニックシリーズのサウンド担当はほぼ毎作変わっていたような状態であったため、特に問題なく受け入れられた。
ちなみに本作のサウンド担当はディンプス所属の伊勢村篤義氏と稲垣博信氏、ソニックシリーズには本作が初参加であり、後に『ソニバンス』シリーズや『ラッシュ』を手掛けることになる二人であり、伊勢村氏は『ソニックロストワールド』、稲垣氏は『ソニックラッシュアドベンチャー』までソニックシリーズに携わった。過去記事で触れた中では『星のカービィ 鏡の大迷宮』の作曲をした方々でもある。
オリジナル曲はそれぞれのZONEの雰囲気にピッタリあったもの揃いであり、特有の音使いも相まって耳に残りやすい。ソニックらしいパンクな曲調の『Secret Base Zone Act 1』『Secret Base Zone Act 2』や、大人しい『Ice Mountain Zone Act 1』から一転して賑やかになる『Ice Mountain Zone Act 2』といった曲が印象的。シナリオが佳境に入ってから流れ出す『Egg Rocket Zone』『Cosmic Angel Zone』も素晴らしい。ほぼ一瞬でフェードアウトしてしまうが『X Zone』も一度はじっくり聴いてみて欲しい。
本筋で流れるものはほぼオリジナルであるが、一方でオプション画面やパーソナルデータ画面などではメガドライブ時代を象徴するUFOキャッチャーの曲ソニック1の5面『STAR LIGHT ZONE』や6面『SCRAP BRAIN ZONE』といった名曲のアレンジが流れる。ほかにも本編中で僅かながらメガドラ時代の曲が流れる場面もある。このため本作にはソニック1・ソニック2の作曲を担当したDREAMS COME TRUE(ドリカム)の中村正人氏のクレジットがある。
ここまででソニックアドバンスの本編部分について触れたが、本作にはもう一つしっかり触れておくべきオマケ要素がある。その名も『チャオのプチガーデン』!モダンソニック初期特有の大人気要素であるチャオ育成は携帯機にもあったのだ!
このモードではゲーム本編で稼いだリングを消費して木の実やおもちゃを購入しチャオに与え、パラメータを成長させることができる。本作では更にじゃんけん・神経衰弱といったミニゲームを遊ぶことが可能。本作単独では本家本元である『ソニックアドベンチャー』シリーズほど凝った育成はできないものの、チャオを愛でるだけなら十分満足できる代物である。ちなみにプチガーデンのチャオは普通に喋る。
育成したチャオは同日発売の『ソニックアドベンチャー2バトル』、そして少し後に発売された『ソニックアドベンチャーDX』のチャオガーデンにGBAケーブル*を用いて送ることができる。まぁ早い話がドリキャス時代のビジュアルメモリに該当するシステムをソニバンスで代用した感じである。
*GBAケーブル
ゲームキューブ/ゲームボーイアドバンス向け周辺機器。
ゲームキューブのコントローラポートにGBA本体を接続できる。
ポケモンやゼルダ、FFといった人気作品が対応していたため、
使用したことある人、今でも所持している人も多かろう。
GBプレイヤー使用時にはGBA本体をコントローラとしても代用できる。
個人的にはどうぶつの森e+のファミコンで一番活用していた思い出。
ほんの少しではあるがチャオを愛でられるこの『チャオのプチガーデン』は人気を博したため、本作だけでなく次回作である『ソニックアドバンス2』、そして『ソニックピンボールパーティ』にも引き続き収録された。また『ソニックアドベンチャー2バトル』『ソニックアドベンチャーDX』のジョイキャリー機能でソフトを持っていなくても遊ぶことができる。基本システムはいずれも同じながら、ソニバンス・ソニバンス2・ピンボールパーティ・ソニアドDXでそれぞれミニゲームのラインナップが異なる。
(ただしソニバンス2だと隠し扱いで解禁条件が厳しい)
さてさて、本作は懐かしくも新しく、オーソドックスにして挑戦的な一作である。途中でも触れたようにソニバンスシリーズは後に3作目まで続いていくことになるが、ソニバンス2ではブーストによるハイスピード重視、ソニバンス3ではタッグアクションによるギミック重視なスタイルなので、どちらもオーソドックスな本作とは異なる魅力を持っており、逆に言えば本作の魅力は本作にしかない。
ある意味ではメガドラ時代の良さをそのままブラッシュアップしたともいえる本作『ソニックアドバンス』にはコンパクトにギュッとソニックの面白さが詰め込まれている。『ソニックアドベンチャー』でソニックを知った人や、それまで任天堂ハードオンリーだったユーザーといった当時の新規層から、それ以前の時代からのファンまで満足がいくことであろう。単純クリアから完全クリアまで、ひたすらに遊びやすい2Dソニックのデビューにもオススメできる一作である!!
---以下、オマケの攻略(?)と裏ワザコーナー---
オマケ1(スペシャルバネ&スペシャルステージ攻略?)
一応メモ的な感じなので攻略として役立つかは微妙なところ。一応ソニック前提で書いているのでエミー以外なら同じ手順で取れるハズ。まぁ拘りがなければテイルスを推奨。ちなみにカオスエメラルド全回収後はソニック使用+ZONE7を選択してクリアで通常エンド、ソニック使用+ZONE6-2から続けてZONE7へと突入してクリアでデモシーン+最終ゾーンといった分岐になる。
カオスエメラルド1(赤)
1-1(ネオグリーンヒルのACT1)、ゴール地点の真上。
ステージ開始直後からトランポリンやグラインドなどを利用して、一度も落ちることなく上へ上へと登っていくと、ポイントマーカー+グラインドレールがある地点まで差し掛かる。そこでグラインドに乗らずにスピンダッシュで進むと本来のゴール直前の壁ギミックの真上に登れるので、そこにあるスプリングからゴール直前の浮遊足場に乗って更に上った先にスペシャルバネ。
足場乗り継ぎなどのギミックをノーミスで進まないといけない+最後の浮遊足場がスプリングの位置から見えないため、テイルス以外ではかなりのテクニックを要求されるうえ運まで絡む。ぶっちゃけゴールプレート直前からテイルスのヘリテイルを使えば最後の浮遊足場まで直接行けるので、そっちを使った方が安定する。
赤エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは60枚→120枚、前半はトリックを失敗or一度でもリングの波を取りこぼすとほぼクリア不可能になるので、何度も挑戦して配置を覚えるべし。後半のスプリングはトラップなので無視してリングだけを集めるように。最初のスペシャルステージにしては難易度がやたら高いが本作だと平常運転である。
カオスエメラルド2(青)
2-2(シークレットベースACT2)、上ルート中盤。
ステージ開始直後の分岐(蒸気足場・回転棒)でどちらも上へ進み、そこからは道なりに。その先にあるトランポリンでの分岐(上下)では下を、蒸気足場(上下)では上を選択。道なりに進んでいくとループが2つあるのだが、2つめのループの途中で減速or途中でジャンプしてスピードを落とす。滑車に掴まらなければ成功。ループ終端を逆走しジャンプ台などを利用して2つめのループに登った先にスペシャルバネ。
スペシャルバネの中では多分一番わかりやすい+到達しやすい位置にある。飛んでショートカットなどはできないため、誰で挑戦しても難易度はそう変わらない。強いて言うならソニックとエミーはルート選択をミスった時のリカバーが効かないので注意。
青エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは70枚→120枚、トリックさえしくじらなければ枚数に余裕はあるので落ち着いて対処していこう。後半からは本格的に爆弾が出てくるようになるので死ぬ気で避けるべし。2回くらい被弾したら大体クリア不可能になるヨ。なお2回目のトリック後は即座に中央から爆弾が迫ってくる初見殺しがある。ソレだけはしっかり覚えておこう。
カオスエメラルド3(黄)
3-1(カジノパラダイスACT1)、上ルート旗地帯の更に真上。
ステージ開始直後の風船の真下からスピンダッシュ+ジャンプで上の足場に登る。その先のポピンの上を上手い具合に渡ってその先の足場へ(落ちてもスピンダッシュ+壁の旗でリカバリ可能)。上下に道が分かれているのでポピンで弾かれて上の道へ。『SONIC』の足場を渡って先へ進む。SONIC足場は黄色く光っている時だけ乗れる。
ベルトコンベアに乗って先の足場へ渡り、ポピンが3つある場所から下に降りる。更に右下にあるスプリングに乗ってポピンに当たらないように飛び、着地したらすぐにブレーキ。真上に見える風船に触れて左上へ。左上のスプリングから更に上へ。坂に旗がいくつも並んでいるので7枚目か6枚目の旗を掴んだ瞬間にブレーキ。7枚目の旗がある場所から左側にジャンプした先にスペシャルバネ。
黄エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは80枚→160枚、前半が難所でトリックを一度でも失敗した時点でほぼクリア不可能、連続スプリング地帯は気持ち左下からスプリングに触れるようにすれば、一切操作せずともリングを回収できる。後半は一転して簡単で、時計回りのリング取得と爆弾避けさえ徹底すればクリア可能。
カオスエメラルド4(緑)
4-1(アイスマウンテンACT1)、最初のポイントマーカーの真上。
スタートしてから道なりに進みポイントマーカーのところまで。上下に道が分かれているので上ルートへ、落ちないように右へ右へと進んでいき、回転足場が真上に見える坂道へ。坂道をスピンダッシュで駆け上がり回転足場に乗る。落ちないように左へと進んでいくと、一番奥にスペシャルバネ。
実はテイルスならポイントマーカー直後の上ルート入口から直接飛んでいける。スペシャルバネの位置が絶妙でステージ構成の腕前を感じさせる隠され方をしている。スピンダッシュが必須なのでエミーだと到達できないかも…。
緑エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは80枚→160枚、欲張ると爆弾に当たるような配置が特徴なので、何度も挑戦して引き際を見極めるべし。また、左右に広がっているリングの波はトリックを使うことでまとめて回収できる。
カオスエメラルド5(白)
4-2(アイスマウンテンACT2)の中盤。
スタート直後の大穴をジャンプで飛び越し、道なりに進む。ループを超えて横穴に入ったら後ろの坂をスピンダッシュで駆け上がりスプリングを使用、上に登っていく。右側の足場を進み滑車を使って右下に降りる。降りた直後のスプリングで弾かれるとアウトなので、地面に着いた瞬間にジャンプか急ブレーキ。
氷を壊してスプリングを使用、上の足場のスプリングを使って進み、上り坂をスピンダッシュで走り抜ける。上り坂の最後にあるスプリングで更に上の足場へ。浮遊足場を乗り継いでスプリングのある足場へ着地。十字キーをほぼ入力せずスプリングを使用。スプリングに飛ばされた先の足場にスペシャルバネ。
手順通りにやらないと辿り着けないどころか、そもそもバネ自体を見つけられない本作屈指の難所。左下の斜めスプリングで回転足場を乗り継ぐのが正規ルートっぽくもあるが、まず無理ゲーなのでコチラの方が安定。ちなみに最後のスプリングに飛ばされている時に移動入力をしてしまうと、スペシャルバネを飛び越してしまい、テイルス/ナックルズ以外はスペシャルステージに進めなくなるので要注意。
白エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは90枚→180枚、ノルマは増えたがリング枚数に余裕は全くない。奥過ぎず手前過ぎずの絶妙な位置にリングが配置されているので、何度もチャレンジして感覚をつかむしかない。後半戦最後のスプリング地帯は中央の一番下からスプリングに触れるだけでその後のスプリングまでノーダメ+リング回収が可能。
カオスエメラルド6(水)
5-2(エンジェルアイランドACT2)、終盤の最上段。
ステージ開始から2回目の流砂(中間ポイント直後)まで道なりに進む。流砂直後のスプリングに飛ばされて浮遊足場に乗り、鉄棒をつたって奥へ進む。道なりに進み360度ループへ勢いよく入る。上手くいくと最後の坂から飛び出してループの上へと登れる。ループの上からスプリングを使って左上の足場へ。そこから更にダッシュで動く足場を利用して登っていく。最上段まで登ったら右側の浮遊足場を乗り継いでいく。
スプリングで更に飛び上がりダッシュで動く足場に乗る。そこからは落下足場→ダッシュ足場→落下足場と乗り継いで先へ。更に先のダッシュ足場を渡った先にスペシャルバネ。最後のダッシュ足場の真上にいるハチには要注意。
場所そのものはわかりやすい…が要求されるアクションが多く、加えてダッシュ足場のパートに入ってからは一度でも足を踏み外すとアウトというシビアなスペシャルバネ。落ち着いて進めていけば大丈夫なので、焦らず挑戦するべし。
水エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは90枚→180枚、これまでのものに比べると露骨に意地悪な配置こそはないが、そもそもの回収難易度が高く、それでいてワンミスすら許されないほどシビアなノルマが特徴。つまりここのスペシャルバネ同様アクションの純粋な腕が問われる。全てのテクニックを活用してできるかぎりリングを回収すべし。
カオスエメラルド7(紫)
6-2(コズミックエンジェル)、最終盤の最上段。
スタート直後は真っ直ぐ走り抜け、正方形の足場が上下するU字坂まで進む。U字坂の左側へスピンダッシュをして正方形の真上へ。正方形の右側にあるスプリングで上の足場へ。
トゲや敵に注意して下に落ちないよう進んでいく。その先にあるスプリングで上の足場へ。ダッシュボードで坂道を駆け上がり道なりに。スプリングでトゲを何か所か乗り越えると最後は横向きスプリングと坂道がセットになったエリアに着く。スプリングで坂道から飛び出し右上の浮遊足場→右の足場と渡っていく。渡った先を走っていくと最後は坂を駆け上がって上の足場へ。その先のベルトコンベア地帯にスペシャルバネ。
紫エメラルドのスペシャルステージのクリアノルマは100枚→200枚、前半はかなり簡単、後半から急に難易度が跳ね上がる。後半に複数ある爆弾に囲まれたトリックポイントはスピードアップ(A)で中央を進みつつ、触れた瞬間にBボタンでトリックが使用できるがハイリスク。安定を取るなら無視した方がいい。ただし爆弾トリックをしない場合は前半のうちにリング枚数にかなり余裕を持たせる必要がある。
オマケ2(裏ワザ:ソニック2モード)
キャラクターセレクト画面にて
1.ソニックにカーソルを合わせて上
2.テイルスにカーソルを合わせて下
3.ナックルズにカーソルを合わせてL
4.エミーにカーソルを合わせてR
5.最後にソニックにカーソルを合わせてA
上記の手順を踏むと、リング音が鳴る。
そのままステージを選択するとソニック2モードとなり、テイルスがソニックの後をついてくるようになる。テイルスはほんの少しだけ役に立つので、ソニック使用時は有効にしておくといい。
オマケ3(ゆっくり実況プレイ動画)
折角こうして記事も書いたということで、過去に我がニコニコ動画にて投稿していた『ソニックアドバンス』のゆっくり実況プレイ動画…の総集編も載せておくとしよう。へたっぴプレイではあるがお気になさらず。