諸君らには生涯の伴侶たりうる相手…例えるならば『恋人』などはいるだろうか?いるなら一生かけて大切にするべし。そして残念ながら我にはそういった存在はおらぬ。彼女いない歴=年齢、なんなら連絡先に異性どころか同性すらいない、究極のぼっちこそが我である。
しかしながら、恋人という存在を欲しているワケではない。ほんの0.01%でもそういった存在と出会える可能性が期待できるのであれば、我も『恋人を作りたい!』と躍起になっていたのであろうが、人間とは不思議なモノで確率0%の全く見込みがないことを前にすると、一種の悟りを開き微塵も欲しいとは思わなくなるものなのだ。
もっとも、今は令和。婚姻率は右肩下がりで生涯伴侶ナシの人間も珍しくない時代である。おそらく我と同じように諦めの境地に至り、恋愛よりも各々のアイデンティティ(我の場合はゲーム)を重視する生き方を選ぶ人とて少なくなかろう。そういった人々に対し、『恋人を作った方が幸せだよ!』と伝えるコトほど不毛なモノはない。自身にアリもしない幸せを問われたとして感情が揺れ動くことなぞありえぬからだ。
(幸せのカタチは人の数だけあるので、他者の思想をどうこう言うつもりはないのは宣言しておく)
だが、我と同じような思想に至った人たちに一つ聞いてみたい事がある。もし、もしものハナシ、『今日1日だけはどんな人でも恋人になれるチャンスがある』、しかし『この日を逃せば永遠にチャンスは訪れない』…そんな運命の日が突然やってきたとしたら…諸君らはどうする?…なーんて、ありもしないフィクション染みた疑問をぶつけたところで、真面目なハナシはおしまい。今日も今日とてゲームを語っていくとしよう!!
今回のゲーム、その名は『ぎゃる☆がん だぶるぴーす ばいりんぎゃる』!本作は見た目や設定のトンチキさで話題に挙がりやすいが、その正体は堅実な作りのガンシューティング!最初に発売したのは2015年でプラットフォームはPS4/PS Vita、後にNintendoSwitchにも移植されたタイトルである。開発&販売を手掛けるのは『ロックマンゼロ』シリーズの開発や『蒼き雷霆ガンヴォルト』シリーズ、『ブラスターマスターゼロ』シリーズでおなじみの『インティ・クリエイツ』!
そもそも『ぎゃる☆がん』とはなんなのか、先んじてさっくり説明させていただくと、『とある事情によりモテモテになってしまった主人公が、その眼力から繰り出されるフェロモンショットを用いて、女の子たちの弱点を射抜き、エクスタシーを感じさせ昇天させていくシューティングゲーム』である。…何言ってるんだとツッコミたい気持ちはよくわかる。物凄く、よくわかる。実際、初代『ぎゃる☆がん』が発表された時は同じことを思ったものだ…。
『ロックマンゼロ』『ロックマンゼクス』といったダークでハードな2Dアクションを多数手がけてきたインティ・クリエイツ…そんなゲーム業界の大精鋭が突如として従来とは真逆の軟派を極めたような、それも当時からして絶滅危惧種となりかけていたレールシューティングとしてこの作品を世に送り出したことは、初代の発売当時オドロキを持って迎えられた。
(後述するように初代ぎゃる☆がんの販売はアルケミストだったが)
しかしそこはさすがのインティ、見た目の軟派さとは裏腹に、レールシューとしての作りはガチ。控えめな難易度もさることながら、キャッチーな世界観とノリでウケもバツグン。その評判は水面下で広がり、元々360オンリーでのリリースだった初代『ぎゃる☆がん』は後にPS3にも移植、更にPS3版での追加キャラであるえころが2Dアクション『マイティガンヴォルト/ぎゃるガンヴォルト』にて同社IPの出世頭『蒼き雷霆ガンヴォルト』のGV、かの『Mighty No.9』のベックと並びプレイアブルに大抜擢されたりもした。
これらのことから『ぎゃる☆がん』は名実ともにインティを代表するガンシュー…否、『眼シュー』としてその名を轟かせるに至ったのである。そして今宵語っていく作品、『ぎゃる☆がん だぶるぴーす』はその路線をしっかり受け継いだ正当な『ぎゃる☆がん』シリーズの2作目である。…ちなみに本作と同じくNintendoSwitch/PS4/PC向けに『ぎゃる☆がん2』というのもあるが、あちらはややこしいことにシリーズ4作目。
(初代→だぶるぴーす→VR→2の順、この辺は最後に再び触れる)
更に厳密に言うと本記事で語るのは『ぎゃる☆がん だぶるぴーす ばいりんぎゃる』なワケだが、コイツもまたリリースまでの経緯が特殊。元々は2015年にインティ開発/アルケミスト販売で『ぎゃる☆がん だぶるぴーす』がリリースされたのだが、販売元であるアルケミストが倒産。その後、開発元だったインティが本シリーズの権利を取得し、2017年に販売元・開発元ともにインティ・クリエイツとして『ぎゃる☆がん だぶるぴーす ばいりんぎゃる』として再リリースした…という流れである。
(この際に海外向けローカライズも行われた)
まぁ何はともあれ、ここからが本題。本作の基本システムから紹介していこう。大半のシステムは初代『ぎゃる☆がん』から引き継がれたものだが、どちらにせよ我がブログでは過去に語っていない作品なので、基本中の基本から説明する。
基本システムは完全にレール型シューティングのソレ。レールシュー(或いはガンシュー)とは『タイムクライシス』『THE HOUSE OF THE DEAD』などに代表されるジャンルで、自動で移動しつつ敵が出現したら適宜照準を合わせて狙い、撃ち抜いていくモノである。そのシステム上、主人公が銃をバンバン撃っていく内容になるので、必然的にその世界観も血生臭くハードなものになりやすい…が、本作の世界観はレールシューでありながら、その対極にあるとしか言いようがないライトなモノである。
本作では現れる『敵』が女の子、女の子に対する『攻撃』はモテモテオーラから発せられる眼力(フェロモンショット)であるのが特徴。ちなみに女の子が襲い掛かってくる理由は『モテモテの主人公とお付き合いするため全力でアプローチを仕掛けているから』である。
見た目や設定こそ奇抜ながらシステムそのものは古の時代より受け継がれるオーソドックスなレールシュー。もちろんレールシュー特有の弱点部位でのクリティカルもあるし、任意の方向を選択できるステージ内のルート分岐もある。一部の局面では都度都度向きを切り替えながら、襲い来る大量の女の子を捌く耐久戦…つまり雑魚ラッシュだってアリ。
というわけで基本的なゲームの流れは『ステージ内を進みつつ、突如としてアプローチを仕掛けてくる女の子たちをフェロモンショットで昇天させていく』というものになる。この時点でコミカル極まりないが、女の子たちからの攻撃(アプローチ)もまた本作ならではのモノばかり。
例えば抱き着いてキスしてきたりとか踏みつけてきたり、ラブレター渡してきたりとかラブコメ式な『ぽかぽかぱんち』だとか色々。抱き着きや踏みつけはレバガチャで回避可能。パンチやラブレターはやられる前に昇天させるべし。
ほかにも青春映画ばりの大声告白もあり、コレは告白の文字をフェロモンショットで撃ち落として回避できる。告白のテキストも女の子ごとに個別で、『もっと私を見て!』『だーい好き!!』のような王道感溢れるものから『100万点突破!』『サーモン食べる?』だのの『どうしてこうなった』と突っ込みたくなるものもチラホラ。ちなみにあとからプロフィール(後述)を見ると『あー…そういう…』と納得できるキャラ付けがされているのがわかったりもする。だからって愛の告白でそりゃねぇだろ…というのはそう。
女の子たちのアプローチを受けると主人公の精心力が減っていく。コレはいわゆる体力で0になるとゲームオーバー…なのだが、本作は設定上『アプローチを前に心が折れ、そのまま女の子との交際がスタートしてしまった』というもの。なのでゲームオーバー時にはプレイヤーにトドメを刺した女の子の告白が流れる。モチロンこの告白テキストはゲーム内の女の子の全員に個別のモノが用意されている。
ゲーム中にプレイヤーが行える攻撃はフェロモンショット・チャージショット・ドキドキモードの3つ。
フェロモンショットは一般的なSTGにおける通常ショット、弾切れなどの概念はないので(スコアタ狙いでないなら)ガンガン撃っていくべし!チャージショットは読んで字の如く溜め撃ち、ただし直接女の子を昇天させることはできず、あくまで足止め程度の扱いである。正直あんまり使わなかった覚えが…。
ドキドキモードというのはいわゆるボムで『ハートゲージ』を消費して発動できる全体攻撃…なのだが、ぎゃる☆がんのボムは一味違う。ガッツリ触れると長引くのでコレに触れるのはもう少し後になってから。ちなみに前作『ぎゃる☆がん』にも同名のシステムがあるのだが、本作のドキドキモードとは別物。あっちはあっちで名前を変えて続投している。
レールシューおなじみの要素だが本作にも弱点部位という設定がある。本作における弱点とはソレ即ち女の子の弱い…敏感な部分のことである。
この弱点部位は頭・胸・腰・脚の4か所のうちどれか。ご丁寧にその部位に照準を合わせた時に専用のエフェクトが出るのでかなりわかりやすい。まぁ弱点は女の子ごとに個別に設定されているので、何度かプレイしていると『この子は頭を狙えばいいから楽だな』『おっとこの子は腰…だったかな?』のように照準を合わせずともなんとなく何処を狙えばいいのかわかるようになってきたりもする。
弱点を見事撃ち抜くと『エクスタシーショット(ES)』となり、一撃で女の子を昇天させることができる。通常ショットで昇天させることなくESのみで連続して昇天させていくとコンボとなりスコア倍率が上昇、更にハートゲージまで溜まりやすくなる。ちなみに昇天さえさせなければ通常ショットを当ててもOKなので、フルコンボ前提のスコアアタック狙いだと、ショットの火力は低い方が良かったりもする。
このほかに狙いを定めやすくするための『ズーム』も使用可能。素で狙いを付けられるなら不要…と思わせておいて、本作のズームは障害物を透過しその奥にあるものを撃てるようになるのでかなり重要。コレを使うことで初めて発見できる女の子やアイテムもあるので、『ここ怪しいな?』というところはまずズームである。
ところでズーム状態で女の子を見るとほんの少しだけ衣服が透ける。つまり下着が見える。余談だが女の子の下着は各キャラごとに6種類、なんと合計450種類もあるとのこと(公式より)。なんつーところに気合入れておるのじゃ。ちなみに下着の切替はタイトル画面でL+R+L3orR3で可能。…まぁあくまで見えるのはほんの少しだけ。どうしてもガッツリ見たいという人はストーリーモードを終盤まで進めるとズーム時の衣服透過率が少しだけ上がる『天使の目薬』を買えるようになるのでソレを使うべし。
ついでに『オレはあの布地をパーフェクトに味わいたいんだ…!!』という色々な意味で末期なお方向けの究極手段で『フェロモンZ』なるDLCもPS4/Vita版限定で用意されている。このDLCを導入すれば『ズーム時の衣服透過率が100%(当社比)になる』らしい。…まぁ公式の文言そのまま引っ張ってきただけなので、実際どんなもんなのかは知らぬ。『実際に買って確認しろよ!』という意見はごもっともであるが、このDLC、10000円(税抜)するんですよ…。流石にそこで冒険する勇気は我にはなかった。
少し話が逸れるが今回語っているのはPS4版。Switch版はPS4/VitaのDLCをほぼ全部収録した内容なので、今からプレイするならそちらの方がいいだろう。…ただし、究極の10000円DLC『フェロモンZ』はSwitch版に含まれておらず、Switch版では追加購入すら不可能なので、本当の意味で極まったお方はPS4/Vita版の購入を視野に入れるのもいいだろう。なおその場合、『ばいりんぎゃる』が付かない方はDLCの販売が終了しているので要注意である。
次は後回しにしていた『ドキドキモード』について。『ハートゲージを消費して発動するボム的なモノ』とザックリ触れていたが、ぎゃる☆がんのボムは発動してからの流れがかなり特殊。ドキドキモード発動時に画面内の任意の女の子を選択、その後選択した女の子を不思議空間『ドキドキフィールド』にて昇天させていくことになる。昇天させる方法はフェロモンショットではなく、所謂『おさわり』である。なんでやねんと思うかもしれないが気にしてはいけない。
操作は1ボタンのみ。単押しで『つっつき』、長押しで『こすり』となり、女の子をつっつき、こすり、そして昇天させていくのが目的。モチロン触れる場所はどこでもOKなんて事はないので、ちゃんと感じやすい部位を重点的に攻めていく必要がある。ドキドキモード中は先に挙げた弱点の設定が更に細かくなるので、色々試して弱い部分を見つけ出すべし。同じ部位でもつっつきとこすりで感度が違ったりもするぞ!
ちなみにハートゲージの残量によって一度に発動できる人数も変わる。最大値の時は同時に3人の女の子をドキドキモードにご招待可能。ただし複数人相手のドキドキモードだと制限時間はそのままに、しっかり全員を昇天させなくてはならないため、カメラ切替を活用しないと少々難しいカモ。
見事、ドキドキモードで女の子を昇天させるとタイトル回収でもある『ダブルピース昇天』となり、元のSTGステージが再開。そして周囲の女の子を纏めて昇天させる『ドキドキボム』が発動する。単なるボム発動の割にはテンポが悪そうに思えるかもしれないが、前作に比べるとドキドキモードがサックリ終わるようになっているので、そこまで気になることはない。
ここからはストーリーモードの話。本作のあらすじは『天使えころのミスによって今日1日超絶モテるようになったが、そのかわり今日1日のうちに運命の人と結ばれなければ永遠に全ての女の子から嫌われてしまうという体質になってしまった主人公が、日暮れまでの残された時間で意中の女の子を振り向かせるために奮闘する』…というもの。
冒頭のシナリオやベースにある設定は前作のオマージュ(というかお約束?)的な側面が強いものの、焼き直しにはならない範囲でアレンジが加えられているので前作プレイヤーでも安心。ちなみに時系列的には前作の1年後のおはなし。
実質オマケ的なルート2つを除くとストーリーモードでの個別ルートは5種類。ネタバレを恐れずに紹介すると幼馴染である悪魔ハンターの少女『神園しのぶ』ルート、その妹の『神園真夜』ルート、どちらか選べない人向けな同時攻略『神園姉妹』ルート、(ある意味)事件の元凶である天使『えころ』ルート、同じく事件の発端となった悪魔『くろな』ルート…といったラインナップ。
一応のメインルートといえるのは最初から解禁されている『しのぶ』『真夜』ルートで、この2つは互いが互いのルートの補完しあう作り。クリア後から選べるえころ/くろなルートは一度『天使悪魔』ルートに入ってから分岐するシステム。くろなルートは更に最終盤に別ルートにも分岐する。またこのほかに『運命の彼女』ルートなるものもあるが、コレはかなり特殊なので触れるのは後回し。
ストーリーモードではチュートリアル+1面をクリアしたのち、ヒロインを選択したらルートが確定。以降はそのヒロインにフォーカスしたシナリオが進行するようになる。各ルートは章(チャプター)仕立てで1チャプターにつきX-1/X-2といった原則2ステージ。前半(X-1)はどのルートでも共通で好きなステージを選択可能、後半(X-2)は各ルートで個別の専用ステージになる。チャプターの最後にはだいたいのケースで後述する『バトル』か『イベント』が待ち受けている。
各ステージの終了後には『購買部』でプレイヤーの強化ができたり、『SakuraTalk』で女の子の依頼をチェックできる。購買部での強化は『レバガチャの難易度を下げる』といったサポート要素から『フェロモンショットの火力上昇』というクリティカルなものまで。いずれも一度購入すれば永続なのでガンガン利用していくべし。
『SakuraTalk』はメッセージアプリ的なアレで、女の子たちのお悩みが寄せられる。これらは一種のお題であり、ステージ内で特定の条件を満たすことでお悩みを解決することができお金(天使の羽)も手に入る。ただし一周のうちに全てのお悩みを解決するのは不可能。どの子の悩みを聞くかはプレイヤーの自由である。
各個別ルートではヒロインごとに深い掘り下げが行われ、本作がガンシューであることを忘れてしまうくらい濃密なキャラ描写やシナリオ展開を見せる。…まぁあくまでガンシューにしてはシナリオ重視というだけで、一般的なADVのように『シナリオを読み進める』ことに重きを置いた作品に比べるとアッサリ気味なのだが。それでも『朝から日暮れまで』という1日を描く内容としてはコンパクトにしっかり纏まっている。
前作になかった要素としてシナリオ展開に応じたスチルが表示されることもあり、こちらのクオリティも良質。3Dだけではない2DやSDキャラでの描写も行われるため、よりシナリオへの没入感を高めてくれているのも嬉しい。特定ルート限定は勿論のコト、特定のEDでしか表示されないモノもあるのでコンプするのは中々に大変だがやりがいもある。
ストーリーモードではステージ間に『バトル』や『イベント』が挿入されることもある。『バトル』というのは所謂ボス戦のこと。戦う相手は様々だが、基本的に魔界植物くん&バルーン魔物くんと戦うケースが多め。各ルートのラスボス戦はいずれも一筋縄ではいかないので、油断すると負けることも視野に入るかも…。
『イベント』は…説明に困るが…。ヒロインの身に降りかかったトラブルを解決するためのミニゲーム的なアレである。ただその絵面がなんというか…いかがわしい&アホらしい(誉め言葉)。『下着姿の幼馴染と女王&下僕プレイ』だとか『水着姿の姉妹に特殊な薬を塗りこむ』だとかそんな感じ。なおどのイベントでも大体タッチパネルをフル活用するので、見かけによらず意外と難易度は高い。あとDS4とDS5のタッチパネルの構造の違いのせいか一部イベントはPS5だと難易度が上がる。
エンディングはルートごとにそれぞれ2-3種類、目指すはもちろん最高のトゥルーエンド。EDの分岐条件は女の子からの好感度のみ。フラグ立てのように複雑な手順は全く不要でとにかく好感度さえ稼げればいい。好感度はステージ攻略では(おそらく)全く増減せず、ストーリー中における選択肢でのみ変化。好感度の変化はSEでわかるし、具体的な数値もステージごとのリザルトで確認できるのが嬉しい。
…ちなみにステージ攻略で増減しないとはいったが、極一部のボス戦のみは例外。魔界植物くんやバルーン魔物くんに取り込まれた女の子を救出する場面では、囚われた女の子をうっかり攻撃してしまうとペナルティで好感度が下がってしまう。とはいえ本作は好感度を低く保つことの方が大変なので、バッドエンド狙いのプレイヤーは捕まったままのヒロインに追い打ちをしかける外道と化すのがセオリーだったり…。
(なおスコアが悲しいことになるのでバッドエンド狙いの時以外はオススメしません)
ストーリーモードでは『勉強』『運動』『おしゃれ』『エッチ』という4項目の魅力パラメータがある。これらはゲーム開始前の選択で初期値が決まり、そこからはドキドキモードの発動や購買部でのアイテム購入によって増減していく。コレが何に役立つか、言わずもがな女の子の攻略である。
ストーリーモード中では何度も選択肢が表示されるのだが、それらの選択肢を選べるかどうかはこの魅力パラメータによって変わる。例えば頭脳を求められる選択は『勉強』が高くなければできないし、空気を読まないセクハラ発言は『エッチ』が高くないと使えないのだ。
もっとも、パラメータが高ければ取れる選択肢が増えることこそあれど、(多分)減ることはないので、基本的に全てのパラメータで高い数値をキープしておくことに越したことはない。このパラメータ調整の真骨頂は後述する『運命の彼女』ルートである。
難易度は数あるガンシューの中でも控えめ気味であった前作『ぎゃる☆がん』から更に輪をかけて引き下げられている。ストーリーだと難易度選択も可能。難易度は『恋のビギナー』『恋のエキスパート』の二段階だが、エキスパートでも強化を怠らなければ問題ナシ。ビギナーであれば本作で初めてSTGに触れる人でもそうそうゲームオーバーにはならないくらい簡単。ちなみに難易度限定のステージやエンディングは一切ないのでそこは安心。
さて、本作に登場するキャラ達はみんな魅力的。個別ルートがある女の子は勿論のこと、モブでは済まされない濃いキャラ付けの女の子も、ほかでもない主人公も、なんなら触手役の魔界植物くんだって魅力的である。
プレイヤーキャラである久時峰大(クドキ ホウダイ)はガッツリ喋るタイプの主人公で、個性もしっかりあり決める時はキッチリキメる。それゆえ一人のキャラとして好感も持ちやすい。各個別ルートでは攻略対象と向き合い一途なところも数多く見せてくれる。ただし選択肢次第では盛大にはっちゃけたりもする。さながらエロ魔神的な発言もあれば、唐突に『インティ・クリエーィツ!』などと叫んだりとか…。
もっともこの辺は特定の選択肢限定なのでそこまで悪い印象はない。むしろ普段が真面目だからこそギャップで笑わせてもらえるのだ。ひたすら誠実に進めたいならこれらの選択をする必要もない。早い話がどこぞの隊長の『体が勝手に…』と同じカテゴリである。なお主人公やその周辺人物、敵キャラに至るまで本作のキャラはみんなノリがいいので一度くらいは反応を見ておいて損はない。
女の子たちは全部で76名、メインヒロイン級の神園姉妹は言わずもがな、えころ&くろなも実に魅力的。えころはPS3版『ぎゃる☆がん』からの続投キャラであるが、本作から触れても問題なくいいキャラだと感じられる描かれ方がされている。悪魔という新ポジションで登場するくろなは誰と絡めても面白いキャラ付けで、出てくるだけでもう色々と楽しい。魔界植物くん&くろなの寸劇は大体好き。
モブの女の子はぶっちゃけ極一部を除くとシナリオ中に2回出番があればいい方のレベルのやられ役でしかないのだが、全員に専用のグラフィックが用意され、更に細かなプロフィールまで個別に設定されている。このため本作…というか『ぎゃる☆がん』に登場する女の子たちは単なるモブ敵A・モブ敵Bとは思えないレベルの存在感があるのが特徴。おかげさまで弱点部位を覚えるのに苦労しないのも嬉しいところ。
前作から1年後、同じ学校を舞台とした作品であるため、前作『ぎゃる☆がん』に登場した1年生・2年生・教師メンバーは大半が本作でも続投、みんな進級して学年が1つ上がっている。そして1年生メンバーは全員が新キャラ。なお前作の3年生メンバーは流石に卒業してしまったのか出てこない…が約1名留年してる人がいる。中には1年間のうちに何があったのか雰囲気がガラリと変わっている人もいるので、前作プレイヤーは見比べてみるのも一興。
メインヒロインも魅力的だが、モブの女の子たちも捨てがたい!そういう人のために用意されているのが『運命の彼女』ルートである。このルートこそが個人的に本作で最も推したい要素でもある。
ゲームを一定以上やりこむと、ストーリーモードで『運命の彼女』ルートへと進めるようになる。このルートは幕間の会話こそあるが、基本的にはオマケ寄りのポジション。その内容とは『メインヒロインとの恋愛を完全に諦め、これから先出会う女の子の中から運命の相手を見つけ出す』というもの。攻略対象となるのはゲーム内で個別ルートを持たない…つまりモブの女の子たち。
運命の彼女ルートでのみ『女の子との運命度』なるものが登場。コレは読んで字の如く『女の子との運命の繋がり』を示すパラメータ。ゲーム内の女の子全員に個別で管理されていて、色々なことで少しずつ上昇していく。
運命度が上昇するきっかけはあまりにも多彩。SakuraTalkでお悩みを解決すれば上がるし、ドキドキモードで昇天させれば一気に跳ね上がる。もっと言えばステージでフェロモンショットを当てるだけでも少し上昇するし、エクスタシーショットなら更に倍率ドン…ぶっちゃけステージ中に遭遇しただけでも上がるうえ、女の子からの攻撃を食らってもUP。とまぁこんな風に何も考えなくてもマッハで上昇していく。コレがMMK(モテてモテて困っちゃう)のチカラか…。
ただし、これはあくまで女の子から興味を持たれている場合のハナシ。モチロン女の子にも理想の彼氏像といったものがある。『勉強ができる』『運動神経バツグン』『顔がイイ』といった部分だ。いくらモテ体質であろうとも、100%守備範囲外の男に靡くほど女の子たちは単純ではないのだ。ならばどうすればいいのか?ここで出てくるのが先述した魅力パラメータである。
女の子たちにはそれぞれ好みがあり、魅力パラメータが彼女らの好みに合致したモノであれば運命度は上昇しやすくなる。逆に掠りすらしてなければピクリとも上がらない。『全パラメータMAXならラクショーじゃん!』と思いきや、パラメータが高すぎると興味をなくす女の子がいるのが難しい。女の子ごとの好みはいつでも確認できるので、狙いの子がいる場合はその子の好みになれるようパラメータを配分すべし。
運命の彼女ルートには他ルートにあるような専用ステージといったものは存在せず、ゲーム内の全ステージから任意のモノを選択して挑戦していくことになる。わかりづらいので例を挙げると『運命の彼女ルートの3-2』では『しのぶルートの3-2』『真夜ルートの3-2』『姉妹ルートの3-2』『天使悪魔ルートの3-2』の中からいずれか一つをピックアップする…といった形。
ステージごとに出てくる女の子/出てこない女の子は固定されているので、『目当ての子が出てくるかどうか』をよく考えてステージを選択する必要がある。好感度稼ぎのためのSakuraTalkも考慮すると実に悩ましい。必然的に他ルート以上に本作に対する知識が求められることになる。
最終面をクリアした時点で運命度がMAXになっていた女の子がいる場合は、無事その子とのハッピーエンドが迎えられる。運命度MAXが複数人の場合はその中からお好きな子を選択可能。逆に最終面クリア時に運命度MAXがゼロの時はバッドエンドになる…が前述したように運命度は簡単に上昇するので、特に意識してプレイせずとも最低一人は運命の相手が見つかるハズ。
…というかこのルートはバッドエンドを見る方がはるかに難しい。運命度はありとあらゆる行為で上がるため、ドキドキモードはおろかESすらほぼ封印のセルフ縛りプレイを敢行する必要があるためである。魅力パラメータを下げればラクショー、と思いきや全パラメータが最低値でも(だからこそ?)靡いてしまう子もいたりするので…。
『運命の彼女』ルートはお目当ての子ひとりの為だけにパラメータを調整する古の恋愛SLG的な遊び方もよし、とにかく片っ端から運命度を稼ぎハーレム気分を味わうもよし、相性チェックや購買部を完全封印して最後まで誰と結ばれるかわからない…みたいな遊び方もよかろう。ストーリー面だけを楽しもうとすると薄味気味ではあるが、その一方で自由度の高いプレイングをできるのが最大の魅力である。
続いてはやりこみ要素について。本作はやりこみ要素もかなーり充実している。
やりこみでメインになるものといえば『女の子のプロフィール集め』が該当。モードを問わずゲーム中で一度でも登場した女の子たちは『女の子一覧』に登録され、後から見返せるようになる。
最初は名前と顔くらいしか閲覧できないのだが『ステージのどこかに落ちている生徒手帳/教員手帳を拾う(性格)』『遭遇時に胸・腰・お尻を一定時間ズームし続ける(スリーサイズ)』『ドキドキモードでダブルピース昇天させる(弱点/コスチューム)』といった条件を満たすたびに適宜該当箇所のプロフィールがアンロックされていく。ステージ内に出てくる時点からひしひしと感じられるように、彼女らは大半がモブとは思えないかなり濃いキャラとなっているので、プロフィールを読んでいるだけでも十分に楽しめる。
『プロフィールを完全に埋める』『コスチュームを全回収する』『運命の彼女ルートでエンディングを迎える』という条件のうち、1つ達成で銅、2つで銀、3つで金色の勲章が付き、ソレに応じて『妄想する』コマンドが解禁される。妄想を行うと自由にその女の子の3Dモデルを眺めたり、各ルートのラストでプレイすることになる『ラストドキドキモード』を実行可能。金勲章で解禁される『告白』では個別ルートのクライマックスで流れるボイスを聴くことができる。最終目標はもちろん女の子全員に金勲章を付けることである!
モード単体ではやりこみプレイヤー向けに『スコアアタック』モードも搭載。こちらはルートまるごとのものとセクション単位のものがプレイ可能。ルートまるごとのスコアアタックではそれぞれのヒロインの個別ステージ+ラスボス戦のみを通しプレイすることになる。難易度は『恋のエキスパート』で固定。ストーリーモードにあった会話シーンが全カットされているのは言わずもがなだが、ゲーム的な意味での最大の違いは『ステージ間で体力が全く回復しないこと』、そして『プレイヤーの強化が一切行えないこと』の2点。
プレイヤーは体力こそ最大値でスタートするが、ソレ以外は最小値…つまり中盤からES以外での昇天がままならない状況になり、踏みつけや抱き着き使われた時点でダメージが確定する(こっちは単に自分のレバガチャが遅い可能性もある)。特に大きいのはショット強化が行えないことで、ラスボス戦では本編以上に苦戦するのは免れないだろう。しかしながらそれでも難易度は一般的なガンシューに比べれば控えめなので、ある程度気楽にプレイできるのは変わらない。ついでに終盤ステージやラスボス戦のスクショ/動画が撮れるのはスコアアタックモードだけだったりもする。
配信周りの話が出たので余談も一つ、本作はプラットフォーマー側のスクショ/録画配信機能に厳しいんだか厳しくないんだかよくわからない制限が掛けられているのも特徴。通常ステージなどは問題なく録画できるのだが、『イベント』の操作パートやドキドキモードになると一変、スクショが完全に不可能になる。これだけならまだわかるのだが、実はこの場面ではスクショができないだけで録画は可能。そしてこの場面で録画した映像はまさかまさかの真っ黒に塗りつぶされる。
…仕事柄、こういった機能でどういうことができるのかについて、我はそれなりに理解しているつもりなので、こういうのが不可能でない事はわかるのだが、コレには流石に面食らったのが正直なところ。『こんなんアリかよ!?』というよりは、『コレ、OK出るんだ…』と感服する意味合いで。とはいえ、ドキドキモードで録画を完全封印ではなく黒塗り対応を行うことで、上記のようにスコアアタックモードの動画を残せたりするわけなので、英断っちゃ英断ではあると思うのである。
さてさて、本作について語りたいことは大体書き終えたので、最後に本作以降の『ぎゃる☆がん』シリーズの展開についても触れておこう。本作の無印版(ばいりんぎゃるが付かない方)が発売してかれこれ8年、権利こそインティに移ったが今なお現行でこのシリーズは展開され続けている。本作に続いてPC向けにまさかのVR対応ゲーム『ぎゃる☆がんVR』が、本作と同じプラットフォーム向けに『ぎゃる☆がん2』がリリースされ、初代のリマスターである『ぎゃる☆がん りたーんず』も登場。今年…2023年にはなんと世界観を引き継ぎつつもアクションゲームへと進化した『Grim Guardians: Demon Purge(グリム・ガーディアンズ デーモンパージ)』までもが発売され、最早ガンヴォルトと並ぶインティ・クリエイツの自社IP代表として文句ナシの大躍進を遂げている。
これらの作品はいずれも独自の魅力を持ち、『ぎゃる☆がん』らしさたる可愛いキャラ要素と絶妙なバカゲー感は着々と受け継がれている…のだが、少々残念なのは初代『ぎゃる☆がん』から引き継がれたオーソドックスなレールシューティングの作品は(リマスターを除くと)この『だぶるぴーす』を最後に途絶えてしまっているという点。続編にも続編ならではの面白さはあるのだが、システムまで含めたうえでの初代の純粋進化といえる作品は本作のみなのである。
最初にもさっくり触れたが、本作は奇抜な外観とは裏腹にしっかり作りこまれている超初心者向けなレールシューである。可愛らしいキャラが好きでレールシューティングにも興味がある人であればぜひぜひ手を出してみてほしい。そこから『ぎゃる☆がん』の道に進むにしても、レールシューの道に進むにしてもきっと後悔はないはずである!
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