いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

星のカービィ ディスカバリー

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ついに!ついについに!発売されましたぜ星のカービィ ディスカバリー!!

2022年、星のカービィ30周年という記念すべき年にリリースされた星のカービィシリーズ最新作である。今作最大の特徴といえば、最早説明の必要はなかろうが『3Dアクションである』という点。そう、今作は3Dなのだ!!!

カービィをよく知らない人からしてみれば『3D?だからどうしたの?』と思われるかもしれない。しかし星のカービィ』にとって『3Dアクション』とはただのいちジャンルに非ずこれ以上ないほど非常に重要な意味を持つ概念なのだ。

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30年の歴史を持つカービィシリーズであるが、実は過去12作ある本編作品(初代~スタアラ)はすべて『2Dアクション』。近い時期に誕生した他の名だたる名作シリーズたちが着々と3Dという新たな次元に踏み込んでいく中、カービィだけは一貫して2Dにとどまり続けていたのである。

無論、カービィ自体も2Dに胡座をかいて3Dを疎かにしていたワケではない。本編作品の一部局面で擬似的な3Dパートを挿入することがあったり、何よりも星のカービィGC(仮)』というフル3Dの世界でカービィが冒険する作品を開発していたという事実がある。しかしながらこの作品は結局世に生み出されることもないまま、開発中止となってしまった。

こうなってしまった原因はいくらでも思い当たるが、一番大きいものはやはり『操作の複雑化が避けられない』ということだろう。同じように『進行方向が分かりづらい』というのもありえる。まぁ総合すれば『ゲームの入門編といった位置づけのカービィ『中級者以上を対象とした3D』相性が根本的に悪すぎた…というワケである。しかしながら、ソレで諦めるようなHAL研究所ではなかった。

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挑戦的なことを行うことに定評のあるカービィシリーズのスピンオフ作品ではそんな『3Dカービィへの未練』のようなものを少なからず感じ取ることができる。例えばカービィのエアライドは曲がりなりにも360度自由に移動可能な初めてのカービィであり、カービィのすいこみ大作戦』ではとうとう吸って吐くいつものカービィを3Dアクションとして落とし込むことに成功、そしてカービィ バトルデラックス!』ではついに念願のコピー能力を3Dアクションで扱えるまでに至っていた

このようなHAL研の思いというか3Dに対する意地を感じられる数々の作品の積み重ねの末、ついに誕生したのが今作、本編初の3Dアクション星のカービィ ディスカバリーである。星のカービィGC(仮)』が歴史(発売予定)から消滅してはや12年…この日をどれだけ待ち望んだことか!!

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というわけで今作のジャンルは『面クリア型3Dアクション』、ステージという単位で区切られた3Dエリアを自由に歩き回りゴールを目指す、古き良き3Dアクションの代表例である。他作品で例えるならばスーパーマリオ3Dランドクラッシュバンディクーが近い。『箱庭アクション』や『オープンワールド』のような自由度こそないが、シンプル故に手堅いジャンルである。

ゲーム的にはカービィのすいこみ大作戦』をベースにしつつ、コピー周りで『バトルデラックス』の要素をミックスしたような内容になっている。元がミニゲーム故にシンプルを極めていた『すいこみ大作戦』が根底にあるため、操作は飛びぬけて簡単。一方でゲームのボリュームはあちらとは比べ物にならないくらい増大、特にステージデザインのバリエーションの豊富さは凄まじいものがある。

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3Dの世界でもカービィの基礎は変わらない。吸って吐いて敵を倒していくいつものスタイルはそのまま、能力持ちの敵を飲みこめばコピー能力が発動する。『すいこみ大作戦』と同様のシステムであるため、ホバリングは普段と比べると大幅に弱体化、ジャンプした地点から一定以上の高さには登ることができず、また『64』のように時間制限までもが設けられてしまったまぁ3Dでいつものホバリングなんかしたらトンデモナイことになるのは目に見えてるので…。
このホバリングの仕様により、今作は歴代でもとにかく落下によるミスが起こりやすい。とはいえ今作にはゲームオーバーや落下死の概念はないので安心。
(ダメージは受けるので落ちすぎるとそのうちやられるが)

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星のカービィWii』から導入された回避アクションは今作でも引き続き登場、今まではほぼあって無いような存在の回避だったが、今作では回避中の無敵時間が大幅に伸びたうえ、敵の攻撃に合わせてタイミングよく回避を行うことで敵がスローになるというシステム(ベヨネッタのウィッチタイム的なアレ)が追加されたため、重要度が圧倒的に増した。後述するが今作は近年の作品のような無敵技がほぼ存在しないため、回避を使いこなせるか否かで難易度に天と地ほどの差が生まれる

3Dアクション故にカメラをグリグリ動かしたいところだが、残念ながらカメラの可動域は非常に狭いため、あくまでオマケレベルの扱いである。このあたりは被写界深度を誤魔化したユーザーフレンドリーな判定の存在もあるため仕方ない点でもある。ちなみにこのあたりの話は公式のインタビュー記事でガッツリ触れられているのでそっちを参照。かなり読み応えある内容である。

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コピー能力は相変わらず健在、今作では全部で12種類のコピーが登場する。『ファイア』『アイス』『ソード』のようにいつものメンツだけでなく、『ニードル』『トルネイド』のように久々の復活能力もある。そして今作からは『レンジャー』『ドリル』が新登場

新コピーの『レンジャー』はひたすら遠距離攻撃に特化したコピー、ボタンを押して狙いを定めて敵を射抜く!今作のコピーは大半が中~近距離コピーであるため、レンジャーが活躍できる機会は非常に多い。あとスナイパーとエンジェルは泣いていい。

一撃の威力は控えめながら、チャージショットの火力には光るものがある。ただし狙いを付けたりチャージしている最中は無防備かつ、発射直後にはスキが生まれるので過信は禁物。また、このコピーの存在により背景に仕掛け(狙撃で作動するスイッチ)があることも珍しくないため、より注意深く周囲を見渡す癖をつけるべし

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そして『ドリル』はお察しの通り地中を掘り進む新能力ストーンニードル?なんのことやら…。硬い地面でさえなければいつでも自由に地中に潜ることができる。ただし『参ドロ』のアニマルのように別ルートに突入…なんてことはできず、主な用途は埋められたアイテムの発掘になる。

正面しか攻撃判定がない+突進系能力なので戦闘では非常に使いづらい…かと思いきや、地中にいる間は大多数の攻撃を無効化するという特徴を持ち、加えて地中で円を描くと発動する大技が恐ろしいまでの超火力なため、その正体は今作屈指のボスキラーだったりする。
(ダメージ無効化は『地面を直接攻撃する』類の技には無力なので過信は禁物)

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更に今作独自のシステムとして『コピー能力の強化』というものが新登場。今作では条件を満たすことでコピー能力そのものをパワーアップすることができる。強化を実行すると外見や攻撃力が変化するほか、攻撃技そのものの特性が変化したり、全く新しいアクションが使用可能になったりといったメリットが生じる。中間段階の強化コピーにも特色があるのが面白いポイントであり、例えばソードはソードギガントソードメタナイトソードと強化されていくのだが、メタナイトソードはシンプルにソードの強化版といった性能である一方で、ギガントソードは一撃の火力と攻撃範囲に特化した一方で連射ができない大剣を振るう能力だったり…といったふうな差別化が行われている。

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そして今作最大の目玉アクションが『ほおばりヘンケイ』、ステージ内に配置された特定のオブジェクトをすいこみ、頬張ることで特殊なアクションが使用可能となる。一例を挙げると車を頬張ることで高速移動ができたり、三角コーンを頬張ることで真下に強力な攻撃ができたり…といった感じである。明らかに使い方が本来と違うほおばりも少なくないがツッコミ禁止である。

ほおばりヘンケイは『ロボボプラネット』のロボボアーマーのようなポジションであり、コピー能力というよりはステージギミックに近い。コピー中の能力が解除されることもないのはありがたいところ。ロボボとは異なりいつでも解除可能であるため、そこそこ自由度は上がっている。ギミックの中には途中解除を前提としたものもチラホラ。なんにせよ冒険がダレそうになるタイミングで毎回出てくるため、いい感じに絶妙なアクセントになってくれている。

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いつもお馴染み、あきれかえるほど平和なプププランドで暮らすカービィだったが、突如として上空に現れた大穴に吸い込まれてしまう。平和とは…。

カービィが目を覚ますと、そこは見知らぬ『新世界』、そこではカービィと同じように迷い込んできたワドルディたちが『新世界』を牛耳る『ビースト軍団』に襲われていた!

ワドルディを助けるうちに謎の生物『エフィリン』と出会ったカービィは、共に冒険の旅に出ることとなる…というのが今作の物語。

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というわけで今作の舞台はいつものポップスターやプププランドとは別『新世界』!『新世界』は従来の舞台とは一味も二味も違うのが特徴。新世界と従来のシリーズ作の舞台での決定的な違い、ソレは『現代文明の有無』にある。そう、新世界には、我々が生きているようなこの世界、そしてソレを形作る『現代文明』の技術がそこかしこに散りばめられているのだ。

先に注釈を付けておくと、カービィシリーズにおいて現代文明、或いはソレに類する技術が出てきたのは今作が初めてではない
例えば星のカービィ64』のブルブルスターのステージ3は明言こそされていないものの、その内装や構造はあからさまに現代的なデパートであったし、『ロボボプラネット』ではHWCのキカイ化によって車道が整備されたり、あちこちに工場が作られたりもしていた。しかし前者は明らかにカービィらしいデフォルメがなされたデザインであり、一方で後者は行き過ぎたオーバーテクノロジーで最早『SF技術』の域に入っていたため『現代文明』と称するには些か抵抗があるモノであった。

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今作、ディスカバリー』ではこれ以上ないほどハッキリした『現代文明』が登場するビル街ショッピングモール…それこそ我々が普段から見慣れているような景色がそのままの姿で登場するのだ。道路や工場などのように過去作でもモチーフになったようなロケーションも少なからず存在するが、それらも従来とは異なり一切のデフォルメすら加えられていないため、いい意味で『異質』な世界をカービィは冒険することとなる。カービィの寸法と照らし合わせると奇妙な事になっているが、そこは触れたらダメ。

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今作の1つのレベルは一部例外を除き4つのステージとボスから構成1ステージあたりの長さはある意味では『歴代で最も短い』、そしてまたある意味では『歴代で最も長く、ボリュームもある』。一見矛盾してそうに思えるが、今作のステージは実際『短くて長い』のだ。少なくとも一つだけ言えることは『作り込み』に限って言えば歴代シリーズでもトップクラスであるということ。

ステージにはワドルディたちが囚われており、彼らを救出するのもステージ攻略の目的の一つとなる。ワドルディは特定の仕掛けを作動させたり、強敵を撃破したりしないと助けられないことの方が多い。ただし居場所そのものは近付くだけで『わにゃわにゃ~』助けを求めるカワイイ声が聞こえるので、案外すぐにわかる。

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また、それぞれのステージごとに『ミッション』が5つ設定されており、このミッションを達成することで更にワドルディを救出できる。ミッションはワドルディ探しに比べると少々複雑で『特定の敵を倒す』『隠し部屋を見つける』という簡単なモノから『特定のアイテムを一定数集める』『特定の条件でボス撃破』という厳しいモノ、中には『ランドマークの頂点に立つ』『特定セクション内でのタイムアタックのように初見では到底達成不可能なものまで。

ミッションの内容は初回攻略時点だと非公開なものの、ステージをクリアするたびに一つずつ内容が公開されていくので、繰り返しプレイしていけばそのうちミッションの全達成は可能。初回攻略でもしっかりと探索を心がけていれば5つとまではいかずとも4つくらいのミッションは達成できる

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というわけでステージ攻略中の目的は大きく分けて『ゴール』ワドルディ捜索』『ミッション』の3つ。実を言うとこのうちゴールだけを目標とするならばどのステージも案外短めですぐにクリアできる。しかしワドルディとミッションのことを考え出すと一変し、今作のステージを隅から隅まで見て回ることになる。

コレが先ほど挙げた『短くて長い』の真相である。ただクリアを目的としてステージの触りだけ駆け抜けるならば一瞬で終わり、一方でステージ内に隠された要素を余すことなく回収しようとすると歴代最大ボリュームに化ける…ソレが今作のステージデザインなのだ。

完全コンプを目指すならば必然的にステージ内のほぼ全てのロケーションを巡ることになるため、今作が持つ魅力を余すところなく楽しむことができる。勿論体感的な満足度も物凄く高い。更にクリア率に関係ない隠し要素として恒例のHAL部屋を始めとした隠しエリアも多数用意されており、それらを探し出すといくら時間があっても足らなくなる

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ボス戦についてだが、今作のボスは敵対勢力であるビースト軍団の幹部が大半を占める。いずれも野生感溢れるパワフルな攻撃が特徴的。歴代シリーズの例にも漏れず段階変化持ちのため、ダレることもなく常に緊張感を持って戦うことができる。前述した回避からのスローのおかげで攻め一辺倒になりづらいのもイイ。またボスの攻撃技はその多くが大振りで回避タイミングを見切りやすい調整になっているのもナイス。

勿論シリーズお馴染みのキャラやその亜種もボスとして登場、過去作で散々戦った相手対処法を理解しきっていた攻撃であっても3Dとなれば一味違い『あの技3Dだとこうだったの!?』と驚かされるばかりである。むしろ(2Dでは)どんな技かを完全に理解しているからこそ(3Dだと)意表を突かれて避けられないといった事態が頻発するため、歴戦のファンよりも今作からの新規ファンの方が戦いやすいカモ。このおかげで見慣れたボスでも毎回新鮮に感じられるのが魅力である。

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また、エリアマップのどこかには通常のステージとは一味違う『トレジャーロード』が隠されている。コレは通常クリアには不要な高難易度ステージ。ステージそのものは小規模ながら制限時間が設けられているほか、敵配置が本編を遥かに超えるレベルで凶悪だったり、仕掛けや足場の配置が厭らしかったりと中々に歯ごたえがある。

それぞれのトレジャーは何かしらのコピー能力かほおばりヘンケイをテーマにしており、突入時には強制的にそのコピーで挑むこととなる…とここまでいえばわかる通り『星のカービィWii』に登場した『チャレンジステージ』のポジションにあたるステージである。あちらとの違いはランク評価とスコアの有無くらい。

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トレジャー内の仕掛けはテーマとされている能力専用アクションや特性を有効活用しないと突破できないように作り込まれており、プレイ時にはその能力のチュートリアルや操作方法が画面上に表示される。つまるところトレジャーは『チャレンジステージ』でありチュートリアルということになる。ちなみに今作にはいつものようにポーズ画面に操作説明が表示されないため、操作はここで覚えることとなる。ややスパルタ気味だがある意味歴代で最も操作が身に付くであろうチュートリアルである。
(身に着けないと突破できない的な意味で)

更に言えば通常の制限時間の他に『目標タイム』というものも用意されており、こちらはそこそこどころかトンデモなく難しい。コピー能力やほおばりヘンケイの特徴を理解した上で使いこなし、かつノーミスで突破しなければ達成は不可能…というレベルのギリギリで絶妙なタイム設定も多く歯ごたえ抜群。ただしクリアしてもちょっとしたボーナスが貰える程度で無視しても特に問題はないのでご安心あれ。

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救出したワドルディたちはワドルディのまち』に集っていく。街はゲーム開始当初こそ廃墟と化しているが、ワドルディが増えていくにつれて復興が進んでいく。街の発展に合わせて施設も少しずつ解禁されていき、映画館のワドルディシアター』路上ライブの『町かどワドライブ』などが登場する。お察しの通りこれらは従来作の『ムービー鑑賞』サウンドテストに該当する機能である。

ワドルディのまち』は従来の『モード選択』の役割も兼ねており、過去作であれば別モードとして分断されていた『かちぬきボスバトル/格闘王への道も今作では『コロシアム』という施設の一つという扱い。このためモード選択がちょっとばかり面倒になったのは否定できないが、それでもワドルディがカワイイので許せてしまう。

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ワドルディのまち』はとにかくワドルディたちがかわいい。ただそこにいるというだけでなく、のんびりお昼寝していたりご飯を食べていたり見ていて癒される。更に十字キーカービィが挨拶するとしっかり反応してくれるし、攻撃してもやられたフリをしてくれる…とひたすらに可愛すぎるワドルディだけでなくカービィの可愛さも突き抜けており、特にカービィハウス』で見られるお昼寝ムービーは何種類もパターンが用意されていて、見るたびに可愛さに悶えさせられる

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毎度恒例のサブゲーム『はたらく!ワドルディカフェ』『ドキドキ!せつなのつりぼり』『コロコロ!タマコロカービィの3つ、これらも街の施設の一部という扱いなのでクリアすると報酬アイテムが手に入る。流石に3DSの2作ほどの作り込みはないが、それでもシンプルながら中々に楽しい。そしてやっぱりカービィたちがひたすらにカワイイ

ワドルディカフェ』カフェの店員となり、いち早くお客様にオーダーされた商品を届けるサブゲーム。オーダーされるメニューの中には現実のカービィカフェでも提供されている『カービィバーガー』『ほおばりケーキ』も登場する。ピーク時には恐ろしいほど混雑するがワドルディのために死ぬ気で働くべし!明らかにフロアスタッフ足りてないのでカービィは待遇改善の要望出した方がいいと思う。

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『せつなのつりぼり』名前から察せられるように反射神経のサブゲーム。釣り針にブリッパー(魚)がかかったら即座に指定されたボタンを押して釣り上げるべし!目指すは黄金のヌシ釣りである。一見難しそうに見えて実はかなり簡単なので安心したまえ。

『タマコロカービィは一風変わってボタンを使用しないジャイロ操作のみのサブゲーム。スイッチ本体を傾けてカービィを転がし、穴に落ちないようにゴールを目指せ!GBC屈指の挑戦作にしてカービィ屈指の難ゲー『コロコロカービィ』を思い出した人は同士だから握手しよう。難易度は他二つに対しやたらとガチであり、特に条件を満たすと解禁される『ゲキムズ』モードは叫びたくなるレベルの高難易度。その代わり報酬もスゴイので頑張る価値はある。
(最高難易度はクリア率に影響しないのであんまり気負わずプレイしよう)

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さてさて、カービィといえばやはりそのBGMについても触れないわけにはいかない。最早説明する必要はないような気もするが、そのクオリティについては折り紙付き過去作のアレンジが大半を占めていた前作(スタアラ)とは対象的に、今作のBGMはその殆どが完全新曲旧作のフレーズらしき部分が取り入れられた曲は少なからず存在するが、明確な『アレンジ』といえる曲は基本的に『過去作と関連の深いボス戦』とクリア後のやりこみステージでしか流れないよう徹底されているように感じた。とにかくこのおかげで過去作のイメージに囚われない今作ならではの魅力を醸し出すことに成功している。

今作からの新曲だが、本作の顔ともいうべき楽曲『新世界をかけぬけて』をはじめ、今作らしい雰囲気の中にカービィ特有のフレーズが散りばめられた『ブリザードブリッヂの戦い』焦燥感の中に僅かながらの希望が見える『フォルガトゥントレジャー』といずれの曲も凄まじいというほかない。

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『SURVIVAL SWORD BOUNCER』『BAD MASKED WILD : D.D.D.』といった数少ない過去作からのアレンジ曲今作でしか有り得ないアレンジや今作からの新曲とのミックスが施されており、ディスカバリーの楽曲』として相応しい内容になっているのが特徴。アレンジは数が少ないからこそここぞというタイミングで流れ出すため、プレイヤーのテンションも自ずとMAXとなる。

ほぼ全曲が新曲ということもあってか、今作の作曲陣はカービィシリーズお馴染みの石川淳安藤浩和氏のほか、スタアラ/ファイターズ2カービィファンの心をガッツリ掴んだ小笠原雄太氏/下岡優希氏、そしてメインテーマソング『WELCOME TO THE NEW WORLD!』を担当した池上正氏を含め計5名となる歴代最大規模の布陣、さながらカービィサウンドのオールスターである。

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Wii』以降の例に漏れず今作でもサウンドテスト(ワドライブ)の音符の色で作曲者がわかるのがありがたい。今作では更に曲名まで表示されるので実に便利。もう今までのようにサントラでの曲名開示を待つ必要はないのだ!!
(ソレはソレとして今作のBGMを無限ループしたいのでサントラが待ち遠しい…)

ちなみにイチオシは『いつしか双星はロッシュ限界へ』『褪せ色のサイコメトラードリーム』の2曲、どのタイミングで流れるか、どんな楽曲かはご自身で確かめて頂きたい特に前者は間違ってもググっちゃ駄目だぞ!!

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今作特有の収集要素として『ガチャルポン』なるシステムも登場、名前からだいたい想像つくだろうが要はガチャガチャであり、ステージ内で収集したコインスターを消費してガチャを回したり、或いはどこかに落ちているカプセルを回収してステージをクリアすることで入手可能。今作のキャラや小物を模したフィギュアが手に入る。ちなみに手に入れたフィギュアはカービィハウス』にてカービィと一緒に眺めることもできる。かわいい

4つのVolに分かれているため膨大な種類が存在し、その数なんと256目標は勿論コンプリート達成率にも影響するので100%クリアを目指すならば避けられない壁である。ガチャゆえにダブりも少なくないが、未入手のものに対し補正がかかっているらしく、連続で引き続ければそのうちコンプはできる。中には特定のボスを撃破したり、一定以上施設を利用しないと手に入らないモノもあるため、隅々まで今作を遊び尽くすべし
(特殊条件があるモノは一覧画面にヒントが表示されるため良心的)

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まぁぶっちゃけ『64』のカードから継承され続ける『TDX』のキーホルダー『ロボプラ』のステッカーと同システムの収集要素であるが、それらとの最大の違いは『説明文』にある。ガチャルポンには~★★★★★のレアリティが設定されており、このうち★★★以上には『説明文』が設定されている。★★★以上に該当するモノは主に『コピー能力』『ほおばりヘンケイ』NPC『今作から新登場した敵キャラ』『ボスキャラ』『世界観の考察材料となる残骸』等々。

例えばコピーやほおばりヘンケイであればその能力について紹介するような文章になっているのだが、この内容がやたらとフリーダム。さて、シリーズファンであればこの『フリーダムなコピー説明文』でコレがどんな要素であるか想像がつくだろう。そう、ガチャルポンは従来作で人気を博した『ポーズ画面』の役割を果たしているのだ。もちろんそのノリも従来同様めっちゃぶっ飛んでいる。今作ではポーズ中の説明文が撤廃されていたため、初見は『あの説明文が読めないのか…』などと残念に思っていたが、しっかりとHAL研はその期待に応えてくれたのである。

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そしてお察しの通り『ボスキャラ』の説明文は従来作のスペシャルページ』に該当するような内容となっており、単純なボス紹介に留まらない『敵側に感情移入したくなるような内容』がこれでもかというくらい描かれている。もちろんフィギュアは通常版と強化版で個別に存在し、強化版の説明文ではより踏み込んだ内容について描かれている。更にこれまではスペシャルページが用意されることのなかった中ボス組や、今作初登場ゆえにキャラを掴みづらい今作のザコ組にも説明文があるため、より今作のキャラに対する愛着を高めさせてくれる

NPC…はまぁぶっちゃけ施設を経営するワドルディのフィギュアなので『説明文とか何書くんだよ…』と思わないでもないが、施設経営に対する心構えやちょっとした悩み、経営の裏事情などついついクスリとしてしまうような説明が記載されている。それぞれのフィギュアを集めることで施設のワドルディたちの健気さ、可愛らしさがより引き立つことだろう。
中には『名シーン』『集合絵』に近いフィギュアもあり、それらも当然説明文付き。こっちは純粋に格好いい内容なのでこれはこれで必見である。

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なお、通常クリアまでのボリュームはシリーズ全体で見てもかなり多い、ただし今作はクリア後のやりこみモード(に該当する要素)がいつもよりも控えめなので、総合的なボリュームはいつものカービィとそう変わらない。参考までに自分が100%クリア(+目標タイムとタマコロゲキムズ制覇)までにかかった時間は20時間程度である。(ここまで来ると完全に趣味の領域だが)攻撃力を含めた全コピー能力の完全強化を目指すともう10~20時間くらいだろうか。

ゲーム全体の難易度はシリーズでも特に簡単な方…と言いたいところだが、これまでとはジャンルからして別物なので比較のしようがない、というのが正直なところ。ぶっちゃけプレイヤー自身の3Dゲーム適正によりけりな感じである。3Dアクションは初めてで心配…という人のために今作ではシリーズでも珍しく2つの難易度モードを搭載本当に簡単な『はるかぜモード』いつものカービィに近い『ワイルドモード』の2種類。どちらを選んでもステージクリア時の報酬以外に変化はなく、またいつでも変更可能なのでご安心を。

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ちなみに一般的な3Dアクションとして考えると相当簡単な部類に含まれる。その気になればコピー能力をガンガン強化できたり、ワドルディのまちで使用できる一定時間の自己バフが非常に強力だったり、ボスバトルですらコンティニューが可能だったりと、『とりあえずクリアor裏ボス撃破+100%クリア』までなら手段さえ選ばなければ歴代で最も簡単、そこからどれだけ難易度を上げていくかはプレイヤー次第自分の腕にあった難易度で挑むべし
(100%の先を求めだすとやたら難しいのはいつも通り)

これまでカービィシリーズ『クリアまでなら簡単、100%クリアを目指すと難しい』という難易度設定で人気を博していたが、今作では更に『100%クリアまでの難易度を徹底的に引き下げ』『クリア率に関係しない目標タイムやサブゲームの高難易度モードを追加』したことで、より初心者から上級者まで幅広い層が楽しめる難易度に仕上がっている。

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ところで近年のカービィシリーズでは半ばお約束と化していた濃密なファンサービスは今作ではやや控えめ気味過去作オマージュやファンサについては前作『スタアラ』までで全てやりきったということなのだろう。
こればっかりは近年の作品が往年のファン向けに特化しすぎて新規を置いてきぼりにしかねなかった面もあるので、残念ながら仕方のないところもある。Wii『TDX』程度ならまだしも『ロボプラ』『スタアラ』はファンとしては最高の一作ながら行き過ぎ感も否定できぬ
逆に言えば今作はカービィシリーズ初体験にコレ以上無いくらいお誂え向きということになる。ファンサが控えめなのは今作が初の3Dということでジャンルの一新に合わせ流入してきた新規プレイヤーのため、という見方もできるかもしれない。

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一方でファンサービスそのものも完全に消失したワケではなく、例えばニードル強化の一形態『ジャンクニードル』はデザインがほぼ『64』のニードルニードルであったりするし、『じはんきほおばり』『でんきゅうほおばり』というヘンケイがこれまた『64』のアイススパークボムスパークと同じ特性を持っていたりするなど、細かなところで懐かしいネタを引っ張ってきている
(旧作ネタは体感『64』のモノが多め)

敵キャラについてもホットヘッドニードラスをはじめ、長らくご無沙汰であったキャラたちが久々に起用されており懐かしい気分にさせてくれる。特にコロリは『3』以来、実に24年ぶりの再登場であり本当に驚かされた。更に近年のキャラでは『ヤツ』が再登場しているため、前作辺りでカービィデビューしたファンでもきっと楽しめることであろう。

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個人的に今作の魅力として挙げたいのは、やはり『ステージの雰囲気』である。新世界には現代文明の象徴的なロケーションが多数存在する…というのは少し前に述べたポイントだが、ソレらを生み出した種族は今となっては新世界のどこにもいない。新世界にはあくまで現代文明の残照が残されているだけなのだ。故にどんな施設であれ手入れが行われていないため、建物は倒壊していたまま放置されていたり、植物による侵食が進んでいたりする。

このなんともいえない寂寥さ、ないしは『廃墟感』こそが今作のステージの印象を決定づけていると言っていい。『廃墟』特有のその雰囲気が好きという人はそれだけで今作を手にとってみる価値はある

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さてさて、3Dアクションというシステムは紛れもなく新しいものではあるものの、その根底にある思想はどちらかといえばシリーズ初期のものに立ち返っているという点は決して見逃せないポイント

例えばコピー能力がソレだ。3Dでは複雑な操作が難しいと判断されたのか、今作のコピーからは従来のようなコマンド技の大半が撤廃されている。とはいえ1ボタン1アクションの数字カービィ*のようにシンプルを極めているというわけでもなく、チャージ技や入力時間による技変化のシステム自体は存在する。『基本シンプルだが最低限のコマンド技がある』と考えるとフラグシップ作品*のソレが一番近いといえよう。

*数字カービィ
数ある本編カービィの中でも下村氏がディレクションを務めたタイトルの総称。
該当する作品は『2』『3』『64』の3作。
数字と呼ばれる由来は言わずもがなそのタイトルから。『下村カービィ』とも。
主な特徴は
カービィと同行する仲間が登場する』
『アイテム収集率によるエンディング分岐』
『一つのコピーにつき技は一つだけだが、合体等によりバリエーションが多彩』
といった点。
シリーズで『ダークマター族』と呼ばれる敵が出てくるのも主にコレ。
夢の泉』や『SDX』といった所謂『桜井カービィ』と同時期に展開されていたこともあり
一時期は何かと比較されることが多かったりした。

*フラグシップ作品
数ある本編カービィの中でも
HAL研ではなくフラグシップというデベロッパーが開発(つまり外注)したタイトルの総称。
該当する作品は『鏡の大迷宮』『参上!ドロッチェ団』の2作。
システムの根底にあるのが『夢の泉』のリメイクである『夢の泉デラックス』なので、
基本的なシステムは同じく『夢の泉』を下地にした数字カービィに近い…が、
一部アクションに桜井カービィの要素もミックスされており、両者の間の子のような存在。
あとは…『宝箱』とか『やたらデデデの扱いが悪い』とかだろうか。
ちなみに当のフラグシップは現在カプコンに吸収される形で消滅している。
(元々フラグシップ自体がカプコンの子会社なので元鞘に戻った形)

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また、コピー能力の性能そのものも近年の作品と比較すると大きく変わっている。具体的に言えばソードの『かいてんぎり』をはじめとする大多数のアクションから『無敵判定』が失われているのだ。
Wii』以降…俗に言う熊崎カービィ*とそれ以前のシリーズ作におけるシステム的な最大の違いとも言えるのがこの『無敵判定』の存在であり、近年のシリーズ作では如何なるコピー能力であっても何かしら『攻撃中は無敵状態』という効果を持ったアクションが用意されていたのだが、今作ではそういったアクションの大半が撤廃、或いはアクションそのものは残っていても無敵判定が無くなっているのである。

*熊崎カービィ
数ある本編カービィの中でも熊崎氏がディレクションを務めたタイトルの総称。
該当する作品は『Wii』『TDX』『ロボプラ』『スタアラ』、そして『ディスカバリー』の5作。
基本システムは桜井カービィ…というか『SDX』を下地にしつつ、
桜井カービィ・下村カービィフラグシップといった過去作を幅広く拾ったファンサが最大の特徴。
スペシャルページ』というボス側の裏事情を説明する要素を追加したことで、
カービィシリーズ全体の繋がり、そして世界観の奥深さを更に濃密にした。
カービィの裏ボス代表である『ソウル』が登場する本編作品は全て熊崎カービィである。
(なお『ディスカバリー』のみ、この特徴の大半に合致していない)

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(前作『スタアラ』のとあるボスの攻撃、避けるのも大変だが食らったらひとたまりもない)

コピー能力の無敵技の消失、コレが影響する箇所は言わずもがな『ボス戦』である。Wii』以降とそれ以前のシリーズの違いが決定的に表れていたのもここ。『Wii』以降の作品ではボスの攻撃がインフレ気味に激化しており、初見では『コレ避けるの無理じゃねぇ?』となることも珍しくなかった。そこで活躍していたのが『無敵判定技』。察しのいい人は既にお気付きである通り、こういった強力なボスの技は『避ける』のではなく『無敵』でやり過ごすのだ。つまるところ『Wii』以降のボス戦は『敵の容赦ない猛攻を無敵判定で凌ぎ、押し返す』という少々独特なゲーム性に仕上がっていたワケである。
(無敵技抜きでも戦える作りにはなっていたが、その場合難易度が跳ね上がる)

このゲーム性を開拓したことによる功績は非常に大きく、『画面が賑やかで楽しい』『ボス相手のド派手な立ち回りができる』『無敵技を連打していればそうそう死なない』といったオンリーワンな魅力を打ち出すことに成功していた。Wii以降のカービィはボス戦がメイン』等という声も少なくない。しかしながらその一方で『的確に相手の攻撃を見切って戦う』という初期のカービィをはじめとする古き良きアクションゲームらしいゲーム性から離れてしまっていたこともまた事実。

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そんな作品が続く中リリースされた今作では一転してフラグシップ時代以前にあったような『敵の行動パターンを読み、的確に回避する』ことに重点を置いたレベルデザインになっている。ボスの攻撃は従来作に比べるとやや抑えられているが、その分カービィのコピーやアクションも相応に弱められているため、よりシンプルでわかりやすく、それでいて絶妙に歯ごたえもある…という実に攻略が楽しいバランスになっている。

過去作から唯一強化されたといっていい『回避』とジャスト回避によるスローも相まって『敵の攻撃を見切る瞬間の緊張』『スローからの一転攻勢』こそが今作の爽快感の根底にある魅力である。今作はシリーズ初期にあったようなアクションゲームの本質に立ち返った面白さを今一度改めてプレイヤーに提供してくれたのだ。

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2Dの時代から追いかけてきたファンも、3Dの時代…つまり今作から新しくカービィに触れた人等しく満足できる今作カービィ名実共に3Dの世界へ最高のスタートを切れたといっていいだろう。これからもカービィシリーズにはひたすら躍進を続けていって欲しいものである!!

 

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