いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

Air Twister (エアツイスター)

日本におけるコンピュータゲーム業界の歴史はまだ半世紀とそこらといったところ、娯楽文化の中ではまだまだ若い部類である。どれくらい若いかといえば、それこそ黎明期を彩ったレジェンド級のクリエイターたちがご存命で、しかも今でもなおゲーム業界のどこかで活躍しているほどである。コレはいちクリエイターとしての身分でいえば身が引き締まる思いであるし、一方でいちゲーマーの視点であればレジェンドがまた新たな伝説を築き上げる姿を目の当たりにできるということでもあり感無量というほかあるまい。今宵語るゲームはそんなレジェンド級クリエイターによる新たな伝説である。

今回の主役はコレ!Air Twister(エアツイスター)!!レジェンド級クリエイターが送る完全新作レールシューティングである!!プラットフォームはNintendoSwitch/PS5/PS4/XSX/One/PC…つまりは現行機種全部コースである。ただしパッケージ版が存在するのはPS5版とSwitch版のみ、それ以外のプラットフォームはDL販売オンリーである。今回はPS5の特別版をチョイス。2023年の10月-12月はホントに大忙しであった…ただゲームがいっぱい出るだけならまだしも、そのどれもが衝動的に語りたい作品ばかりだったのでさぁ大変。大量のゲームに埋め尽くされながらゲーム記事を執筆するてんてこまいな状況だったのである。
(ソニックスーパースターズ・龍が如く7外伝・ゆめいろユラム・Air Twisterの4本)

販売元はININ GAMES、現行機向けに様々なゲームを販売しているパブリッシャーでありSTG好きであればその名を知る人も多かろう。我が今年プレイした作品でいえば『コットン16bitトリビュート』なんかもここが販売であった。そしてここからが重要なポイント、本作の開発を手掛けるのはYS NETである。YS NETというのはスペースハリアー』『アフターバーナーII』をはじめとする体感型ゲームシリーズバーチャファイター』『シェンムー』等の生みの親として知られるSEGAのレジェンド鈴木裕氏が立ち上げたゲームデベロッパー!この説明だけで往年のSEGAマニアであれば期待マックスとなるハズだろう。YS NETという会社単位で見ていくと本作の前にはシェンムーIII』の開発も手掛けていたところである。

本作はもともと今から1年と半年ほど前にApple Arcade向けにリリースされ、そこからアプデを繰り返された後に各種コンソール機への移植が決まった作品である。我はApple系製品を一切所有していなかったためAir Twister』を楽しむゲーマーたちの姿を長きに渡って指を咥えて見ているほかなかった。今回ようやくCS機でもリリースされたためプレイできるようになった次第である。…一応言っておくと我は別にAppleに悪感情は持ってないのだが、純粋に触れる機会が一切なかったのだ…。でもこないだ発表された『Sonic Dream Team』といいApple Arcade専用のタイトルがここ最近ちょくちょく目立つようになってきているので、ゲーム専用機として一台くらいは確保しておいてもいいのやもしれぬ…。

最初に触れたように我が購入したのはPS5の特別版パッケージ。特別版の何が特別なのかといえば、パッケージソフトのほかに鈴木裕氏のサイン色紙やサントラ、インタビュー冊子が同梱されている点が違う。たったそれだけと思うかもしれないが、ぶっちゃけ本作を購入するような層はイコール鈴木裕氏のファンだとも考えられるので、意外と需要にピッタリ合致した特典だともいえる。TGS2023で本作の試遊をし終えた際に(たぶん)スタッフの方から『鈴木裕さんのファンですか?』『であれば特別版がオススメですよ』と強く推されたのもよく覚えている。まぁその時にはとっくに予約済みだったのだけど。

ここからはお待ちかねのゲーム自体について語っていこう。本作は完全新作のレールシューティング、レールシューティングというのは文字通りレールに沿うようにステージが自動スクロールする中、現れる敵を次々と倒していくタイプのシューティングである。タイムクライシス』や『THE HOUSE OF THE DEAD』のようなガンシューと結び付けられやすいジャンルだが、その概念を考えるとスペースハリアーアフターバーナーのような『奥スクロールシューティング(疑似3Dシューティング)』もレールシューの一種という考え方もできる。過去記事的にはぎゃる☆がんRezだって立派なレールシューの分類、もちろん本記事の主役たる『Air Twister』は言わずもがな。

基本的なゲームの流れは一般的なレールシューティングのソレに準じる。プレイヤーは自動でステージを進み、上下左右へ移動して敵弾を避けつつ、適宜ショットを行い敵を打倒していく。ステージの最後に待ち受けるボスを撃破したらステージクリア…と鈴木裕氏の作品で例えるならばそのものズバリの『スペースハリアー』と同じシステム。強いて違いを挙げるとすればスクロール方向が奥→手前だけでなく上下左右と様々な方向へと動くようになっている点か。つまりはスぺハリ以上に一般的なレールシューの作りに近いということである。まぁ何はともあれ本記事ではクリエイターのこともあるため『スぺハリ』のことを度々引き合いに出して色々と語っていく。なのでスぺハリについての知識は事前に身に着けておいた方が今後の説明はわかりやすいかもしれない。

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/M/Monozuki/20220906/20220906094831.png

(鈴木裕氏監修によるPS2のリメイク版スペースハリアー)

ところでここらでひとつ過去を振り返らせてもらうが、今回比較対象としてちょくちょく名が挙がるSEGAの大傑作スペースハリアー』はPS2の時代に1度だけ鈴木裕氏監修のもとリメイクが行われたことがある。スペハリに限らずSEGAのアケゲーファンであれば色々な意味でよく覚えているであろうSEGA AGES 2500シリーズ初期のハナシである。で、そのスペハリのリメイクであるがその内容はかなり否よりの賛否両論であった。

まぁぶっちゃけリメイク版がボロクソに言われた最大の原因は当時基準で見てもちょっとアレな3DCGにあると思うのだが、それ以外でも『ステージ自体の追加』はともかく『ロックオンレーザーの追加』『ボムの追加』『シールド等プレイヤー強化のアイテム追加』といったシステム面での拡張は間口を広げた一方で、元々が完成しているシステムに無理くり要素を追加したことで追加要素が悉く死に要素となってしまったのは事実であり、だからこそあまり好意的に受け入れられることはなかった。一応フォローしておくとリメイクならではの遊び方もできたのは間違いないのだが…。

…さて、なぜ急にこんな話をしたかというと、ここから『Air Twister』を語っていくにあたりこの『リメイク版スぺハリ』のことを頭に入れておくとスムーズに話がしやすくなるためである。

ハナシを再び『Air Twister』に戻そう。本作の操作はスぺハリ同様に極めてシンプル。使用するのは基本的に移動のスティック操作と攻撃ボタンの2つのみ。一応右スティックを利用することで微妙に攻撃方向を補正することはできるが、ほぼほぼオマケレベルの機能ゆえ役に立つ場面は皆無で覚える必要もない。というわけで本作でプレイヤーができる攻撃はスぺハリ同様に真っ直ぐ飛ぶ射撃…だけではない。本作では通常射撃のほか『ロックオン攻撃』『チャージ攻撃』の概念が新しく追加されているのだ!

プレイヤーを敵と重ねることでその対象を『ロックオン』、ロックオンは複数体に対して行うことができ、その状態で攻撃ボタンを押すと敵をホーミングする攻撃を放つ。この攻撃は(敵が画面内にいるのであれば)どこまでも追尾し、障害物に阻まれない限りは確実に命中するというかなり高性能なものになっている。

『チャージ攻撃』は読んで字のごとく攻撃ボタンを押しっぱなしにした後に離すことで発動。その内容についての詳細は後回しとさせていただくがいずれも極めて強力。チャージ攻撃・ロックオンの追加によって従来のスぺハリとは一味も二味も違う新しい楽しみ方ができるようになっているワケである。

ロックオンがあるのならば通常ショットはお役御免…のように見えるがそんなことは全くない。ロックオンは確かに強力であるが連射が行えないため、自前で敵を狙えるのであれば通常ショットを連打した方が高火力を叩き出せるのだ。一方でロックオンは敵とプレイヤーが重なればいつでも発動するため、敵の攻撃を避けながら定期的に攻撃ボタンを押すだけで安定した攻撃が可能。そしてチャージ攻撃はいちいちチャージこそ必要であるが、チャージ中もロックオンは変わらず行えるため、チャージ攻撃→すぐにロックオン攻撃なんてことも可能。極論昔ながらのスぺハリのようにひたすら連射し続けるプレイスタイルでも十分戦えるのも素晴らしい。

…そしてお気付きであろう、この『ロックオン』の概念はかつてリメイク版スぺハリにて導入されたシステムなのだ。『チャージ攻撃』についてもその一部がリメイク版に登場したボムと近い効果となっており、さながら本作は『リメイク版スぺハリのリベンジ』ともいうべきシステムに仕上がっている。もちろんかつてと同じポカはやらかしておらず、ゲーム全体を通してソレありきで調整されているため『なくてもどうにかなるが、上手く活用できれば爽快感のある立ち回りができる』という一定の存在感を出すことに成功している。ステージ道中でもリメイク版スペハリの追加面にあったようなチューブ構造の箇所がそこそこ見受けられる。

なによりも素晴らしいのはやはりロックオン攻撃の演出である。通常ショットとは異なりロックオン攻撃はピンク色の軌跡を描きながら飛んでいく。そして前にも触れたようにロックオン攻撃は(障害物に阻まれない限り)敵に命中するまでずっとホーミングする一方で、本作の敵はロックオンを前提にしたかの如く激しくあっちこっちへ飛び回る。ロックオン攻撃はそんなド派手に動き回る敵をホーミングするのだが、この時もホーミング弾はピンク色の軌跡を描き続ける…つまりはロックオン攻撃時には美しすぎる光の軌跡を目の当たりにすることになるわけだ。
かつてリメイク版スぺハリに同種のシステムが導入された際には、出現した敵がすぐにいなくなってしまうという大本のスぺハリのシステムとの相性が悪くファンには受け入れられなかったのだが、本作ではこのように芸術的かつ爽快感が溢れる作りになっておえい、紛れもなく本作ならではの魅力へと昇華されている。

なお通常ショットは通常ショットで青い光の軌跡を描く。スぺハリ同様障害物に当たると弾かれてしまうのだが、むしろ本作の場合は弾かれた方が様々な方向に光が飛ぶためより美しい景観を作り出してくれる。ちなみにスぺハリとは異なり『弾かれた後のショット』にも攻撃判定が残っているので、コレを上手く活用して敵を倒すなんてことも可能である。エリアによってはロックオン以上に活躍するなんてことも…。

ゲーム内に登場する敵キャラは無機質なものから生物的なものまで色々。ただ単にすれ違うだけで終わるだけのものもいれば、直接突進して来たり自機狙いのショットをしてくるものも色々。中には登場時は無敵だが攻撃を始めるとダメージが通るシーカー(トモス)画面奥から突っ込んでくる謎生物グリ(スケッグ)といった見た目こそ違えどもスぺハリの敵に極めて近い動きをしてくるヤツもいるので、スぺハリをやりつくしたプレイヤーならば『お前か!お前なのか!?』となって楽しい。一方でパール(ルーパー)のように見た目がそっくりでも攻撃方法が違うヤツもおり、『これスペハリで見たヤツだ!』『なんだコイツ!』が混ざり合った結果、新鮮な中に懐かしさも感じる流石にドムっぽいヤツはいない。

なお敵の登場パターンは完全に固定、かつスクロールによる障害物の位置が固定されていることも相まって本作はスぺハリ以上にパターン性が強い。しかしながらやっぱり高速弾にぶち抜かれる場面は全くないので目視で避けるのでもある程度は大丈夫。むしろ本作はスペハリに比べると自機狙い弾の速度がかなり遅めなので『一か所に待機→射撃音がしたら回避』というスタイルが一番遊びやすいかもしれない。むろんスぺハリほどではないがあちらと同じように『クルクル回り続ける』だけでもやっぱり生き残れる。

システム的な話でスペハリと大きく違うのは『残機制』ではなく『体力制』を採用している点。敵の攻撃を受けるたびに少しずつ体力が減少していき、ゼロになったらゲームオーバーコンティニューは2回まで可能でステージの最初からやり直しとなる。初期体力はかなり高めなうえステージクリア時にはある程度回復してくれるのでミスの許容量はかなり多め。更にこの体力は強化することもできる。自機強化については後述。

ここからは世界観について。本作の舞台はAIRと呼ばれるどこかの世界。ここでは様々な民族的文化カニカルなSF要素ファンタジーがごちゃまぜになっているのが最大の特徴。SFとミスマッチな文化を混ぜ合わせた際に生まれる違和感を逆にその世界の特徴にしてしまうというのはまさしくスペハリから続く系譜を感じさせる。気球が飛び交う古城、巨大な植物が立ち並ぶ庭園などなど、ステージが移るごとに本作の舞台はそれまでとガラリと違った印象を与えてくれる。

突如として組み込まれる人面岩(モアイ)ステージにニヤリとする人も多いだろう。まぁ本作のモアイはスペハリのアイダと違ってただの背景なんだけども。いつ動いてくるのか警戒してたのは我だけではないハズ。グラフィックもしっかりハイポリで作り込まれており、つい背景に目を取られてしまうこともしばしば。ステージ中盤あたりから目的地(ボス戦エリア)が見えていることも多くなかなかにワクワクさせてくれる。

周回なしの1周全12面構成とスペハリに比べるとやや小粒な印象を受けるが、先に挙げたように全てのステージが100%異なる景色となっており、そのうえでボス戦開始時にはムービー(スキップ可)も流れ、相対するボスも全てがそのステージに合った代物なので満足度も高い。4面と9面はボスの登場しないボーナスステージであり大量に出現し消えていく敵キャラをガンガン倒していく。ここでの敵キャラは超高速で動き回るため、通常ステージ以上にロックオン時の美しさが際立っている。それ以外での個人的なお気に入りステージはやっぱり6面や12面あたり。ちなみに一周にかかる時間は30分から40分ほどである。

今度はボスのおはなし。ボス戦ではスペハリ同様ザコ敵とは比較にならないほど巨大な相手が登場する。だがソレに合わせてロックオンできる部位も複数箇所あるため、上手い具合に立ち回ればスムーズに撃破できるはず。ボスの攻撃パターンは毎度お馴染み自機狙いのショット…だけでなく、広範囲に対する直接攻撃レーザーの薙ぎ払い、攻撃以外だとシールド展開なんかも行ってくるため一筋縄では行かない。

スぺハリでは事実上のザコラッシュや他ボスのスキン差し替え的なヤツも一定数いたのだが、本作では全てのボスが個別のデザイン&個別の行動パターンを持っているため実にバリエーション豊か。攻撃内容も1ボスあたり最低でも2・3種、体力を減らすたびに弱点部位が変わって行動パターンも差し替わるという力の入れよう。耐久力自体は控えめゆえにボス戦でダレることも稀である。

STGといえばもちろんBGMについても気になるところだろう。本作のBGMはオランダ出身の作曲家Valensia(ヴァレンシア)氏が手掛けている。ゲーム畑の方ではなさそうなので我は本作で初めて名を知ったのだがどうやらかなり著名な方らしい。そんな氏による楽曲群は…なんというか世間一般でいう『STGのBGM』からイメージされるソレとは大いにかけ離れているのが特徴。クラシック・オペラ調な楽曲群は確かにハイクオリティながらSTGとしてコレはどうなんじゃろ…?』とプレイしていて何度も思ったが、プレイしていくにつれてだんだんとクセになってきたSTGらしい曲かといわれるとやっぱり違うものの、この『Air Twister』というゲームで描かれる摩訶不思議な世界観にはピッタリ合致しているのは間違いない。

さてさて、シューティングというジャンルは常々ボリュームという問題点と戦う運命にある。ガッチガチでスコアタやノーミスクリアを目指すならばいざ知らず、大概のプレイヤーは1回2回クリアしたくらいで満足してしまうため、ボリューム面の薄さを取り沙汰されやすいという弱点があるのだ。それをどうにかするために数多のシューティングはわかりやすいやりこみ要素を用意している。というわけで本作のやりこみ要素についても語っていこう。

本作のやりこみ要素として最もわかりやすいのが『アドベンチャーマップ』である。アドベンチャーマップはすごろくのようなマス目状のフィールドになっており、メインゲーム中に敵の編隊を全滅させると入手できる『スター』を消費してマスを解放し先へと進んでいく。それぞれのマスには何かしらの効果があり例えば『イエローハート』のマスを解放するとメインゲーム中のプレイヤーの体力ゲージがほんの少し伸びる。…つまりアドベンチャーマップというのは『マップ攻略式のプレイヤー強化システム』なのだ。もちろん強化内容はこれだけにとどまらず、ロックオンの最大数を増やしたり新アクションや新装備の追加/パワーアップもここから可能。

ほかにも性能に関係ない衣装サウンドテストゲーム開始時の面選択チャレンジモードのミニゲームなどの解禁もここで行う形になっている。マスには分岐点もたくさんあり、中には条件(メインゲームで特定ステージクリア等)を満たさないと進めないところもあるので様々な進め方が可能。またマスを解禁していくごとに世界観設定や敵キャラ紹介も少しずつ読めるようになっていくため、本作の新しい魅力にも気付ける…かもしれない。アドベンチャーマップはとにかく広くここの踏破だけでも相当のボリュームがあるため、やりこみ要素の面で不満に思うことはほぼないだろう。

同じようなやりこみ要素(?)で『イベント』というものもある。こっちは毎日/毎週更新されるお題を達成することでスターや装備が貰えるというもの。要はデイリー/ウィークリーミッションである。Apple Arcadeでリリースされていた名残なのだろうが、正直コレはCS機との相性がすっごく悪いような…。『期間限定ミッション』というものもあるのだが、こっちはApple Arcade版のアプデで追加されていたであろうものも条件そのままに丸ごと全部そのまま突っ込んでいるらしく、期間限定といっても特に制限はなく速攻でコンプできてしまうのはありがたい半面ちょっと物足りなかったり…。

アドベンチャーマップほかの説明を終えたところでここからはプレイヤーの装備についてである。本作ではアドベンチャーマップやイベントのクリアにて様々な装備を入手できる。これらはゲーム開始前に装備可能で、コスチュームヘッドフェイス武器シールドの5ジャンルが存在する。このうち実際の性能に影響があるのは武器とシールド武器ならばチャージ攻撃が変化し、シールドは防御性能が変化する。残り3つは完全に見た目装備なのでお好みでどうぞ。かっこいいものからシュールなもの、どっからどうみてもネタなものまで結構色々なコーディネートができる。

武器は全部で7種類。どれを装備しても通常ショットとロックオンは共通して使用でき、違いはチャージ攻撃のみである。ただしこのチャージ攻撃がひっじょーにバリエーション豊かであり、武器が違うだけで攻略方法が大きく変わるのが楽しい。例えばオートで敵を攻撃し続ける『ライトニングチェイサー』ならばある程度適当にばら撒くだけでもOKであるが、一定時間分身を作り出して敵のターゲットを逸らす『ウィッチ』は貯めも長く自機狙いの攻撃以外には効果なし『スパーキー』は高火力ながら範囲が微妙かつこれまた貯めが長いため、敵の攻撃パターンを事前に頭に入れておかなければ使いこなせない。

ボスによっては『この武器だったら楽勝だがあっちの武器だと異様にキツイ』という調整のものも多く、実に攻略しがいがある。超初心者向けのモノでは実質無制限にボム(画面内の敵全てにダメージを与える)が連射できる『スターバースト』があまりに無法な性能を誇っているためオススメ。

シールドは全部で3種類あるものをそれぞれON/OFFする形式。効果としては『特定条件下で発動するバリア』であり、ONにしていると体力がギリギリになったタイミングなどに無敵化できる。強化を進めるまでは効果時間はそこまで長くはないので正直気休め程度ではあるが便利ではある。

装備のカテゴリとはやや違うものとして『スーパースロー』がある。その名の通りSTGでたまに導入されることがあるスロー機能で、本作だと回数制限制連続使用こそできないがワンボタンで一定時間スローになる。3DSTGというシステムの都合で回避で役に立つことは稀だが、どっちかといえばスロー中にガンガン連射して一気にボスの体力を削り切る攻撃的な使い道の方が多いか。強化を重ねていくと使用回数が増えていく。

これらのプレイヤー強化システムはシールドのON/OFFを除くと元には戻せないため、良くも悪くも強化が反映されるメインモードの難易度は下がっていく一方。メインモードの難易度こそ固定ながらこの仕様のおかげで初心者でも何度かプレイしていけばそのうちクリアできるようになるハズ。強化を戻せないのは少々残念であるが、そういったプレイヤーに向けて用意されているのが後述するチャレンジモードなのであろう。

ここまで触れていなかったが本作のプレイモードは大きく分けて2つ。ここまでずっと語ってきたのは『メインモード』で一応本作の中核ともいえるのはこちら、そしてもう一方は『チャレンジモード』である。チャレンジモードでは本編とはまるで異なるゲーム性のミニゲームからガチ難易度を求めるシューター向けのやりこみ要素など様々な遊びが用意されている。本編の延長ではStardustBossRushArcadeExtraTurboミニゲーム的なものでは回転する数字が書かれた箱を順番通りに選択していく『Tap Breaker』横スクロールで敵を避けつつスターを集める『ふわふわ』がプレイ可能。ミニゲームはどっちも小規模な内容だがいい気分転換になる。

『Arcade』ではオーソドックスに本編と同じ全12面をプレイする。本編と何が違うのかといえばこっちは…というかチャレンジモードでは基本的にプレイヤーの強化状況や装備・スキンなどが反映されないため純粋な実力勝負となるのが特徴。難易度選択も可能でEASYからHARDESTまでの4段階+一撃即死のOne Hit Death。昔ながらのSTGらしい楽しみ方ができるため往年のシューターはぜひ挑戦すべし。『Extra』では純粋なスコアアタック目的の専用ステージに挑める…のだが難易度が尋常でないほどに高い。完走するだけでもひと苦労なその内容は『絶対にプレイヤーをぶっ殺す』という確固たる殺意を感じるレベルなので瞬殺されても気にしないように!

『BossRush』は読んで字の如く作中に登場したボス戦のみをプレイするモード。全ボス通しのもののほか1-3面/5-8面/10-12面で区切られたものにも挑戦できる。『Stardust』ボーナスステージと同じ仕様のステージでハイスコアを目指すもので先に挙げた美しいロックオンの軌跡をいつだってお手軽に楽しめるのが魅力。解禁が最終版になるであろう『Turbo』はステージ内容こそアーケードと同じながらゲームスピードが通常よりも倍化。必然的に難易度も上がるが一方で爽快感も圧倒的にパワーアップしているので、スぺハリの速度にほれ込んでいた人ならばこのモードできっと満足できるハズ。ちなみに雑に倍速にしただけでなく、きっちりボスなどの耐久力も抑えられているため、間延びすることはないからご安心あれ。ついでにこのモードでのみ自機強化が反映されるため、困ったときはスターバーストが解決してくれる。

さてさて、本作は純粋なSTGとしての面白さは言わずもがな、アドベンチャーマップとチャレンジの存在も相まってボリューム面も充分『レジェンド級クリエイターの最新作』という前提を事前に聞かされていなくとも、現代のSTGの最前線に躍り出るくらいその面白さは確かなものである。

そしてスペハリの名を冠してこそいないものの、その内容は紛れもなく現代に生まれた新たな時代のスペースハリアーかつて『リメイク版スぺハリ』が目指し、あと一歩で及ばなかった『全く新しいスペースハリアー』の姿がここにある

だからこそ我は本作のことを『長年スペースハリアーというゲームを追い続けてきたファンに送る鈴木裕氏からのアンサー』なのだと感じている。過去に一度でもスペハリに触れ、その面白さを感じた経験のある人ならば手を出して損はないのである!

『Air Twister(Switch版)』のAmazonページ

『Air Twister(PS5版)』のAmazonページ

---オマケ---
なんやかんやでアーケードモードの1周クリアを達成したので動画として残したのである。参考までにここに貼っておくので暇つぶしにでもどうぞ。

・アーケードモード1週クリア動画

・メインモード(スターバースト装備)クリア動画

---------------