『上上下下左右左右BA』…それは全てのゲーマーの記憶に刻み込まれているであろう隠しコマンドである。
1986年にリリースされた名作STGの移植作、FC用ソフト『グラディウス』にて誕生した通称『コナミコマンド』と呼ばれるこのコマンドは、その大ヒットと共に全世界のありとあらゆるゲーマーへと知れ渡り、やがて『グラディウス』だけでなく『魂斗羅』や『ときメモ』といったKONAMIが誇る名だたる名作シリーズに出張、それどころかゲーム会社の垣根すらも超えて『マリオパーティ(任天堂)』『Tetris Effect(Enhance Games)』等のKONAMI社外のゲームにまで搭載され、果てには『Alexa(アプリ)』『Twitter(SNS)』『シュガー・ラッシュ(映画)』というゲーム外ですらその存在感を示すようになった。
コナミコマンドが『世界で最もよく知られている隠しコマンド』としてギネス認定が行われているのも、ある意味必然と言えるのではなかろうか。
*コナミコマンド
我がブログでわざわざ説明する必要はないと思うが
『上上下下左右左右BA』、コレがコナミコマンドである。
作品によってはコントローラを逆さまに持ったり、追加で別の入力が必要になったりもする。
最初に触れたように初出はFC版の『グラディウス』、ポーズ中に入力するとフル装備状態になる。
元々はスタッフ向けのデバッグコマンドだったものを
当時の裏ワザブームに乗っかる形でそのまま残したもの…と言われている。
あんまりにも有名になりすぎたため、一部作品では入力すると自爆するトラップとして作用したり…。
ところでこのコナミコマンドだが、当然ながら令和の時代でも健在。むしろKONAMIが販売する作品では超高確率で仕込まれているため、もはや発売と同時にコナミコマンドの入力箇所を探し出そうとするプレイヤーすら現れるほどである。特に近年のものでは2020年12月から稼働を開始した『武装神姫 アーマードプリンセス バトルコンダクター』、2021年5月からアーリーアクセスを開始した『GetsuFumaDen: Undying Moon』等にて既にコナミコマンドの存在が確認済みである。ちなみにこの記事を書いている時点でのKONAMI公式での最新のコナミコマンドはおそらく2021年12月に配信された『アーケードアーカイブス XEXEX』である。
KONAMI公式のもの(かつ自分が知っているもの)だけでもコレだけ存在し、更にKONAMI社外のものまでカウントに含めるならばそれこそ数え切れないレベルで存在する。なんならこの記事を自分が書いている/誰かが読んでいる今この瞬間にすら新たなコナミコマンドが生まれている可能性すらもあるだろう。
そんなコナミコマンドだが、なんと去年(2021年)の時点でついに35周年を迎えた。初出がファミコンなので35周年なのはそりゃ当然な話なのだが、それでもゲームそのものではない、普通ならば1作限りで終わってもおかしくないであろう『隠しコマンド』が35年に渡り忘れられることなく生き続けたという事実はまさしく称賛に値する。他でもないKONAMI自身も35周年という一大イベントを前にKONAMI関連作品のグッズを多数リリースしたり、様々なアーティストとコラボしてコナミコマンド縁の楽曲をリミックスしたり、特殊なものでは『KONAMI アクション&シューティングゲームコンテスト』として『グラディウス』『ツインビー』等を始めとしたKONAMI(とハドソン)の休止IPの企画及びスタッフを募集したりと多方面に力を入れている。
(自分はゲームコンテストについては作品応募はせず開発セミナーにだけ参加したクチですが、アレも興味深い話が聞けて実に最高であった…)
そしてその35周年記念イベントの一環として、まさかまさかのコラボカフェの開催が発表された。特定のシリーズとのコラボカフェならばまだしも『隠しコマンド』とのコラボカフェなぞ前代未聞としかいうほかない…開催場所は我がホームグラウンドたる秋葉原…ならば選択肢はたった一つ、『行く』だけである!!
ハイ、ということでいつものように最初の語りが長くなりましたがココからが今回の本題である。今回語るのはゲームではない。ズバリ、コナミコマンドとのコラボカフェ、『↑↑↓↓←→←→BA 35th×プレイピーコラボカフェ』である。なんと読めばいいのかサッパリわからんが、多分正式名称は『コナミコマンド35周年プレイピーコラボカフェ』あたりなのだろう。
我がブログでコラボカフェについての記事を書くのは1年半以上前のカービィカフェ以来である。当初は特に記事を書くつもりもなかったのだが、いざ現地に行ってみると想像以上に素晴らしい場所であったため、今回こうして語ることに決めたのである。
(今月分のノルマとして必死こいて書いた前回のVitaTV記事の立場は…)
今回のコラボカフェの開催場所は『創作空間caféアトリエ あきば店』、JR秋葉原駅からJR御徒町駅まで続く路線の高架下、その一帯に用意された商業スペースである『2K540』*…ここのM区画にこの店舗は存在している。
*『2K540』
JR秋葉原駅から路線沿い、
或いは東京メトロ末広町駅からJRの路線側に向かってまっすぐ歩いていくと見えてくる商業スペース。
高架下という一見変わった立地、加えて一般的なアキバのビル等とは
だいぶ違う雰囲気がある場所なので、現地に行ってみればすぐにわかるハズ。
全体的に白基調のカラーリングで、その中に沢山の店舗が入っているのが特徴。
ちなみにJR東日本が運営してるらしい。自分は何度かここに足を運んでたが知らなかった。
入り口の目印になるのは立て看板、入り口自体は割と小さめなので見逃さないように。
入店してすぐの場所にカウンターがあり、そこで注文を行うことになる。コラボメニュー自体は後述の5種類のみなので、コラボ目的の人はどれを注文するかある程度目星を付けておくのがオススメ。ちなみにこの『創作空間caféアトリエ』、普段は『美術部カフェ』という形での営業を行っており、『最初の1時間は500円、以降は1時間あたり800円』といった時間料金を支払うことで店内の画材等を自由に使用して創作活動を行うことができるというシステム。コレは今回のコラボカフェとしての営業中でも変わっていない。
(フリータイムでの支払いもアリ、食事メニューは別料金)
故にコラボカフェ目的での入店でも初回1時間分の500円は必要になる…と言いたいところだが、どうやらコラボメニューには最初から1時間分の価格が含まれているとのことなので、とりあえず1時間いる分には気にする必要はないらしい。この辺りは入店時にも説明される。
店内の一角では今回のコラボ関係のグッズが販売されている。グッズのモチーフ元は言わずもがな『グラディウス』『ツインビー』『がんばれゴエモン』『イー・アル・カンフー』、そして『コナミコマンド』。やはりこういった場ではつい購入したくなってしまうような魔力があるのか、気が付くとTシャツやパスケース、小物ケースなどを購入してしまっていたのである。後悔はない。
注文した料理が出来上がるまでの時間は店内で時間を潰すこととなる。前述したように自由に画材を使って自分なりに絵を描くもよし、入り口近辺に設けられたコラボグッズ販売スペースを覗いて、ビビッと来たものを買い漁るもよし。自分は店内に置かれていたスケッチブックに残された過去のお客さん方が描いたであろうイラストの数々に見惚れているうちに時間が過ぎ去ってしまいそうになったのである。
店内では今回のコラボ関係のMVが流れていたり、『グラディウス』の1シーンのパネルが飾られていたりとそこかしこでコナミ感が強められている。とはいえコナミの自己主張はやや抑え気味、この辺りは通常の『美術部カフェ』としての営業も行っていることとの兼ね合いでもあるだろう。あんまりコナミコナミしすぎて一時期ここで生まれる作品が全部ビックバイパーになっても困るだろうし…。
グッズの買い物等を終え適当な席に着いて待っていると、同じくコラボ目的で来たと思しき他のお客さん方の話し声が聞こえてくる。会話の節々に交じる単語や固有名詞から『オトメディウス』の話をしているのはすぐにわかった。まぁかといってコンタクトを取るような真似はしなかったが、それでも『こんなところに同好の士が…!』と内心ちょこっと嬉しい気分になったのは本当。…そんなこんなで絶妙にコナミ要素が混ざった創作空間の雰囲気に浸っているうちに料理が届く。
コラボメニューは全部で5種類、より詳細に言うならばドリンク4種とホットサンド1種である。ドリンクについては今回のコラボで中核に添えられている4つの作品、『グラディウス』『ツインビー』『がんばれゴエモン』『イー・アル・カンフー』がモチーフになっているのが特徴。ちなみに通常のメニューはもっとほかに色々あるらしく、そちらのメニューを見ることもできる。今回自分が注文したのは下記の3つのメニューである。
(例によって例の如く食レポのセンスは察して欲しい)
KONAMIが誇る縦スクSTGの傑作『ツインビー』をモチーフにしたドリンク(左)と同じく横スクSTGの傑作『グラディウス』をモチーフにしたドリンク(右)、こちらを注文するとそれぞれのモチーフ元のコースター(写真手前)が貰える。
(写真撮る時にコースターを真逆に置くポカをやらかしてるのは許して…)
グラディウスはコーラ+柚子のシャーベットで銀河を、ツインビーはクリームソーダに乗ったフルーツとマーブルチョコでどんぶり島をイメージ(?)した外観となっている。グラディウスの柚子+コーラというのは個人的には未知の組み合わせではあったが、その酸味のミックス具合がなんともイケる。時折混ざるシャーベットのシャリシャリ感もいいアクセントである。ツインビーについてはまさしく理想的なクリームソーダともいうべき味わいであり、メロンソーダとフルーツの酸味・クリームとマーブルチョコの甘みがベストなバランスでまとまっている。ただしチョコとフルーツはソーダを飲む前に食べておかないと後で氷に阻まれ回収が困難になるので注意。
・たまごとベーコンのホットサンド
見給えよこの外観を。もはや説明不要。どっからどう見てもコナミコマンドが刻印されている。斜めに切られてるから一瞬コナミコマンドに見えづらいかもだが…。その名の通りあったかいトースト2枚から成るホットサンド。齧り付けばサンドされたタマゴとベーコンが溢れ出してくる。コレが純粋に美味であり、ボリュームもそこそこなので満足感も高い。
コラボメニューのうち食事用のものはこちらのみ、しかしコレだけでも充分やっていけそうだと感じられるメニューであった。コラボメニューである(=コラボが終わると注文できなくなる)のが勿体ないとも思ってしまったが、通常メニューの方に『ホットサンド』があったので、コラボ終了後でも近いものを食すことができる…かもしれない。
ホットサンドを注文するとランチョンマット(最初らへんの写真で下に敷かれてるヤツ)が貰える。コレまた非常に可愛らしいものなのだが、それなりに大きいことから持ち帰りに難儀することになるので、キレイに持ち帰りたい場合は大きめのエコバッグなりなんなりを持ってくることを推奨。(グッズ購入などを行うならば尚更)
自分は以前この辺りで仕事をしてたこともあり、この近辺についてはちょくちょく足を運ぶこともあったものの、このカフェについてはこれまで存在すらも知らなかった。しかし、今回コナミコマンドを通してこのカフェを知ることができたのは大きな収穫である。店内の落ち着いた雰囲気・料理の味わい、いずれをとっても最高だったというほかない。特に日常的に創作活動を行うというような人であるならば、これ以上ないほどのベストな空間と言っても過言ではなかろう。
とはいえ今回のコラボカフェの開催期間は1月21日~1月30日と非常に短く、ましてやこの情勢では『今すぐに行くべき!』と声高にオススメするのは少々難しい。しかしながら、この雰囲気も料理のクオリティもコラボ関係なく素晴らしいものであることには間違いがないため、今のこの状況がもう少しでも落ち着いたならば、是非とも足を運んでみてほしい。きっと後悔はしないはずである!
---以下、過去のKONAMI関係の記事---