さて唐突だが自分はこのところ『悪魔城ドラキュラ』もとい『キャッスルヴァニア』シリーズにのめり込んでいる。
アクションゲームの歴史を語る上で欠かせないKONAMIが誇る名作『悪魔城ドラキュラ』であるが、実のところ自分は『ドラキュラII』『悪魔城伝説』『Xクロニクル』『月下』『GBA3作』『黙示録』『PS2版』、およびこの後に語る『とある作品』くらいしかクリアしたことがなく、それらもまた完全クリアとは程遠い通常クリアだけで満足してしまっていた。
しかしそんな自分がある日『ボンバーガール』にドハマりすることになったわけなのだが…ああいやちょい待ち、話が脱線したかのように思われるが、実際今回の記事はコレが発端なので今は我慢して欲しい。
話を戻す…というか重要な点だけ述べるとこのボンバーガール、そこかしこにKONAMIゲー関係の要素が仕込まれている。KONAMI内容についてはBGMだったりセリフだったりと様々、それらの出典が特に多いのはゲスト出演のある『ときメモ』や『ツインビー』あたりだが、これは『特定のシリーズそのものを出典とするオリジナルキャラ』にも同様のことが言えた。
さて、『特定のシリーズそのものを出典とするオリジナルキャラ』…その一人として『セピア・ベルモンド』というキャラが存在する。ベルモンド姓の時点で察しのいい諸君らはもう気付いているかと思われるが、すなわち彼女は『悪魔城シリーズ』のオマージュに満ちあふれているキャラであり、ゲーム内での要素から漫画版での描写に至るまで悪魔城ネタが多数盛り込まれているのが特徴。ソレは悪魔城シリーズにかなり疎かった頃の自分ですらそこかしこに原作ネタが散りばめられていることに気付くほどであった。
(セリフなどは言わずもがなスキル発動時やゲーム開始時のモーションなども原作ネタ)
自分はそんな彼女をメインキャラの1人として使用しているワケであるが、『原作を大して知らないのにメインキャラとして扱うってどうなんだろ…?』などと自分の中のゲーマー精神が叫びだしてしまったがため、ここらで一度悪魔城シリーズにガッツリ触れてしまおうと感じたワケである。
(同じ理由で最近になって『武装神姫』や『ときめきメモリアル』にも改めて触れだしました)
…で、気が付くと
『悪魔城ドラキュラ アニバーサリーコレクション(8作)』
→『悪魔城ドラキュラXセレクション(2作)』
→『アーケードアーカイブス(2作)』
→『Castlevania Advance Collection(4作)』
という計16作品に渡る現行機の悪魔城完全クリアマラソンを敢行し、無事完走するに至っていた。
(裏でアーカイブスやVCの年代記やらMSX2版やらもプレイしてたり…)
ある程度シリーズ作について触れ好感度が鰻登りになり、その後改めて自分の悪魔城デビュー作を今一度プレイしてみたところ、自分の記憶していた以上に素晴らしい作品であると感じられたので、こうして今回語る作品に選んだのである。
そんなワケで長くなってしまったが今回語るタイトルは『ドラキュラ伝説 ReBirth』である!!
今作はそのタイトルからなんとなく察しが付くように、その昔ゲームボーイ初期にリリースされた『ドラキュラ伝説(ドラ伝)』の(一応)リメイクにあたる作品である。
プラットフォームはWii…というかWiiウェア*。よってWiiショッピングチャンネルが閉鎖された現代では入手が完全に不可能であるが悪しからず。なお配信してた頃は1000Wiiポイント(≒1000円)で購入できた。
*Wiiウェア
かつて任天堂が行っていたWii向けのサービスであり、
『Wiiショッピングチャンネル』にてWiiポイント(現:ニンテンドーポイント)を支払うことで
Wii用の新作ゲームソフトをダウンロードすることができた。
とはいえネットを通したゲームのDL販売は
任天堂としても初の試み(サテラビューで近いことはやろうとしてたが)のため、
現在のDL販売と比較してみると
『小規模なソフトしか販売できない』
『回線の問題でダウンロードに時間がかかる&DL中は何も出来ない』
『本体容量が少ないためSDカードに保存するもSDからの起動には制約アリ』
といった荒削りな問題点もそこそこあった。
2019年にWiiショッピングチャンネルが閉鎖されたことで
全てのWiiウェア(とWiiUに配信していないVC)は新規購入が完全に不可能となった。
Wiiウェアとしてリリースされたソフトは所謂『隠れた名作』が非常に多く、
一方でWiiウェア以外でリリースされることが非常に稀であったために、
この閉鎖を惜しむゲーマーは後を絶たない。
(維持費などを考えると止むを得ない話ではあるが)
開発は今じゃ誰も知らぬものはいないゲーム業界屈指の職人集団ことエムツー。
『エムツーといえば移植!』みたいな印象は根強いが、エムツーは移植以外でも凄まじい会社なのだ。ちなみにエムツーは『Castlevania Advance Collection』および『アニバーサリーコレクション』の移植を手掛けているワケだが、それらに至るまでの繋がりは今作から始まっているのかもしれない。
(KONAMIとエムツーの繋がり自体は『沙羅曼蛇ポータブル』等今作以前にもいっぱいある)
今作はエムツーが開発を担当した『ReBirthシリーズ』の1作にあたり、同じくWiiウェアの『グラディウス ReBirth』や『魂斗羅 ReBirth』と併せて『ReBirth三部作』と呼ばれることもある。いずれも原作の良さをよりブラッシュアップして復活させた名作として有名な作品である。
ゲームシステムはオリジナルであるドラ伝同様に『オーソドックスな面クリア型2D悪魔城』*といったところで全6面。『悪魔城伝説』『血の輪廻』等のようなステージそのものの分岐は存在しないため、それらに比べるとややコンパクトな印象であるが、1ステージごとの長さはそれなり(旧作の1.5倍程度)であるため、体感的なボリューム感は中々なもの。
また、『ステージそのものの分岐』は確かにないが、その代わりに『ステージ内での分岐』は数多く用意されている。
*2D悪魔城のゲームシステム
『面クリア型』と『探索型』に二分される。
前者は初代『悪魔城ドラキュラ』から続く、
純粋にゴールを目指すアクションゲームらしいシステムで、
後者は『月下の夜想曲』より定着した、
広大なマップを自由に巡って奥へ奥へと進むARPG的な側面が強い内容。
一般的に『メトロイドヴァニア』と呼ばれるのは後者。
基本的にはステージを順路通りに進んでいくことになるのだが、特定のポイントに差し掛かると次のエリアへと進むための扉が複数あり、プレイヤーはどちらを進むか選択することができる。ちなみに分岐したルートは最終的に同じステージ内で合流する。よってステージボスはどう頑張っても回避不可。
大抵の場合はどちらか一方のルートに繋がる扉は一筋縄ではいかない配置になっており、『別の場所にあるカギをサブウェポンとして持ってくる』といった面倒な手順を踏む必要があることが多いため、2周目以降のお楽しみ的な要素という見方もできる。
(流石にXXほどの縛りを課せられることはないため初見でも充分到達できるが)
『ただルートが違うだけ』などと侮るなかれ。今作の分岐ルートではステージの構造はもちろん、登場するザコ敵から仕掛けまで大きく変わる。すなわち、どちらの分岐も全く違うステージとして楽しむことができるのだ。中には一部の分岐エリアにしか登場しないザコ敵や、分岐を通らない限り戦えない中ボスも存在するため、今作を余すところなく楽しむのであれば全ての分岐の制覇は避けられないことであろう。
純粋なステージデザインもクオリティが非常に高く、落とすことで割と実用的な武器として利用できるシャンデリアや、ここぞとばかりに擬似的な3D表現をブチ込んだカッター等は必見。中でも個人的に特に高く評価したいのはStage4中盤の構成。
このエリアでは扉の繋がりが無茶苦茶なことになっているため、普通に目の前の扉を潜るだけでは先に進むことができず、むしろ妙な位置にワープさせられたり、前に来たエリアに戻されてしまったりする…要は少し複雑な無限ループステージのような構造になっている。
こういった無限ループの類は2Dアクションというジャンルにはありがちであり、大抵の場合は『特定の手順でステージを進む』や『特定の隠し扉を見つける』等の公式が用意した単一の正解ルートを見つけないと進めないものばかりなのだが、今作ではこの解法が複数用意されているため、プレイヤーごとに違った攻略ができるのが魅力である。
(ステージ4はこの迷路の攻略ルートが前述した分岐にも関係する)
ステージ内に登場するザコ敵は『悪魔城シリーズおなじみのザコ敵』『ドラキュラ伝説に登場したザコ敵』の両方が登場。シリーズプレイヤーなら散々見慣れたであろうスケルトンやメデューサヘッドのほか、ドラ伝プレイヤーならば決して忘れられないであろうブナグチーやナイトストーカーも登場。ドラ伝の顔役的存在であるビッグアイも登場する…どころかまさかのボスにまで昇格している。基本的に近い時期の作品に登場したザコ敵のグラフィックは過去作からの流用が多めだが、当然ながらドラ伝からの復活組は今作で新規のグラフィックが与えられている。またボスキャラの場合はドラ伝が初出でなくとも新規グラである。
ステージのクオリティの高さについては先程語ったばかりだが、ステージデザインに負けず劣らずボスキャラたちも個性的。ドラ伝では(初期作品故にお約束らしいお約束がなかったとはいえ)ドラキュラ以外の『シリーズおなじみのボス』はこれといって登場していなかったが、今作では多種多様なボスたちが登場する。
最初の小手調べとして出てくる『おおこうもり』やシリーズ通しての難敵デス様こと『死神』ももちろん登場。中には血の輪廻以来のボスに返り咲いた『ルーラーソード』やちゃっかり面クリア型初登場の『サキュバス』等の変わり種もアリ。戦闘中にランダムで姿が代わり行動パターンが変化する『サイクロプス』や画面に入り切らないほど巨大な『ゴーレム』、生半可な攻撃は無効化する『スライム』などなどボスのバリエーションは幅広い。一部のボスとはルート次第で会えないのが勿体ないほど。
どのボスも巨体ながらもガンガン動き回ったり、多彩な攻撃パターンを持っていたりするため、初見プレイでは面食らうことも多いが、一方で行動パターンがある程度決まっていたり、攻撃前の予備動作がわかりやすかったりするおかげで、『初見は勝てなくても何度も挑戦するうちに善戦できるようになる』というアクションゲームのボスとして理想的な調整になっている。
個人的なイチオシはやっぱり『死神』と『サキュバス』の2体。
死神は後期作品でありがちだった第二形態こそ持たないものの、分身と共に左右から小鎌で逃げ場を奪う・光る巨大鎌を飛ばす・大鎌による一閃…といったようなシンプルな格好良さを追求したスタイルであり、登場時の演出や背景の時計塔の雰囲気も相まって今作でも特に印象的。
自分が今までプレイしてきたシリーズ作の中で最も格好良かったデス様を挙げろと言われたら迷うことなく今作を挙げるだろう。
サキュバスは探索型だとほぼ準レギュラーみたいな敵だったので今作でもそれらをベースに…なんてことはなく、全ての攻撃パターンがほぼ今作用に新規で用意されている。それでも強いて言うならXクロニクルの『L.バンパイア』が近いが戦ってみると完全に別物…というかどっからどう見ても開発元たるエムツーの癖が全開であり、サキュバスの攻撃パターンはやたらとSTG然としたものが多い。おかげである意味本家シリーズとは一味違う新鮮さのようなものが感じられる。
プレイヤーが操作することになる主人公はドラ伝およびそのドラ伝IIから引き続き『クリストファー・ベルモンド』。名前だけなら初代『悪魔城ドラキュラ』の時点で登場しており、シモン・ベルモンドの時代から100年前にドラキュラを打倒した英雄クリストファーその人である。リメイクということもあってストーリーはドラ伝と大体同じ。なおドラ伝IIのリメイクではないため息子のソレイユは登場しない。
ドラ伝のクリストファーはそりゃもう救いがたいレベルの弱さ*だったが、今作では強すぎず弱すぎずいい塩梅の強さに落ち着いている。具体的には『オーソドックスな面クリア型悪魔城主人公』といった感じの強さ。強いて言うなら鞭を振るう速度だけはドラ伝を思い出す遅さなのでそこだけ要注意かも。
(その代わり後方にも攻撃判定があるので便利っちゃ便利)
*ドラ伝時代のクリストファー・ベルモンド
何度でも言うが信じられないくらい弱い。
まず根本的な機動性が悲惨であり、
おそらく歴代主人公で最も足が遅く、ジャンプ力も低い。
ロープなしで高所から飛び降りる(マップ移動する)と問答無用で死ぬ。
極めつけにサブウェポンが一切使用できない。
(使いづらいとかではなくそもそもシステムとして存在しない)
とはいえこれらは『GBというハードスペックの都合上なるべくしてなった』という感じなので
設定的にはだいぶ強い部類…なハズ。
最終的にソロでドラキュラを2回討伐しているやつが弱いはずがない。
移動速度・ジャンプ力共に並レベル、SFC版シモンのような鞭捌きも無ければリヒターのような体術やアイテムクラッシュも使えない。だが決して弱いわけではない。クリストファーが活躍できるか否かはプレイヤー自身のスキルにかかっている…彼はそんなストイックな主人公なのだ。
鞭の強さは3段階で、最高レベルになってから一定時間は炎を飛ばせるようになる。一定時間経過後でも再度パワーアップアイテムを拾うことで再び炎を使えるようになる。ちなみにドラ伝では『被弾する度に鞭の性能が下がる』とかいうマゾ仕様が存在したが今作ではオミット。もしこの仕様が残ってたら多分難易度が一気に跳ね上がってたと思う。
ドラ伝の頃には存在しなかった(ドラ伝IIでようやく使えるようになった)サブウェポンも追加。使用可能なものは斧・クロス・聖水・時計・ナイフ・カギの6種類。いずれも本家で恒例のサブであり、使い方も本家同様。ただしカギは前述したようにステージ分岐のためのアイテムなので縛り的な側面が強い。
面クリア型悪魔城でおなじみの『ジャンプ後の空中制御ができない』という仕様も今作では(デフォ設定で)撤廃されているため、純粋なアクションゲーム然とした操作感に落ち着いている。ただし『空中制御ができないのがベルモンドだろ!』という人のために後述する『CLASSIC』モードもあるので安心。
難易度はEASY/NORMAL/HARDの3段階でオプション画面から設定可能。NORMALはTHE・悪魔城ともいうべき難易度で、一般的なアクションに比べるとちょっと難しめだが、悪魔城シリーズ内では中間くらい。そしてHARDは敵の火力がだいぶエグいことになっているため、過去作を多数プレイした後であっても唸りたくなるような高難易度。しかし理不尽な難しさではなく、敵の行動やステージ構成を覚えて進めばしっかり攻略できるという歯応えのある難易度となっている。逆にEASYは徹底的に難易度が引き下げられており、『ダメージ時のノックバックが発生しない』『とあるボスの形態変化がカットされる』といったようなEASY専用の調整もいくつか存在する。EASYに限ってみればおそらく面クリア型悪魔城の中でも最も簡単。
同様にオプション画面からはゲーム開始時点の残機も選択可能。最大値である9に設定すればもうゲームオーバーも怖くない!難易度EASYと併用すれば『アクションゲームは好きだけど難しいのは…』という人でもノーコンクリアだって夢じゃない。ちなみに残機はいくら弄ってもソレ以外の要素には影響がないため、遠慮なく弄るべし!
難易度や残機設定とはさらに別に『プレイヤースタイル』というオプションも用意されており、こちらはNORMAL/CLASSICの二択。デフォルトはNORMALで後者を選択するとクリストファーがよりドラ伝時代を思い出すようなスペックに変わる。具体的には『ジャンプ中の軌道修正ができなくなる』『サブウェポンが一部のモノしか登場しなくなる』『鞭の攻撃が後ろに届かなくなる』等がソレ。流石にドラ伝よりはマシなレベルではあるが、これでも結構な弱体化である。難易度HARDと組み合わせると凄まじい地獄を体験することができるので、一度は挑戦してみるのもいいかもしれない。
タイトル画面にはGAMESTART(Stage1から開始)とOPTIONの2つの項目しかないため、今作をプレイする時は毎回1面からやり直さなくてはならない…ように見せかけて普通にステージセレクト機能も用意されている。やり方は非常に簡単で『GAMESTARTにカーソルを合わせて十字キーの→を長押しする』だけ。こうすることで任意のステージからいつでも再開可能。使用してもこれといったペナルティは存在しないためガンガン使用すべし。
ただしステージセレクトで選択できるのはあくまで『1度到達したステージ』だけなので、『最初からラストステージに挑戦!』のような無粋なことはできない。加えてステージの進行状況は難易度ごとに個別に保存されるため、『5面までNORMALでクリアしたけど、6面はEASYで挑戦しよう』等も不可能。ちゃんと各難易度で最初から挑戦しなおすべし。
ちなみに何故ステージセレクトがこんな隠し機能みたいな扱いなのかは不明。グラディウスや魂斗羅ならばいざ知らず悪魔城ならデフォで解禁されてても問題なさそうなものなのだが…。
ゲーム内で流れるBGMは大半が悪魔城シリーズの過去作からのアレンジとなっている。他のReBirthシリーズにもいえることだが、開発担当があのエムツーなせいか、ゲーム内で流れるアレンジの出典元が異常に渋いのが最大の特徴。熟年の悪魔城ファンでも中々できないであろうこの選曲センスには驚きの一言である。例えばStage2で流れる悪魔城ドラキュラ(AC)の『悪魔たちに送るララバイ』は元々の出典元がマイナー作品というのもあるが、その中でもこのBGMはステージ曲ですらなくネームエントリーで流れる曲である。
同様にStage4のBGMはX68k版の『Load BGM』。タイトルからも分かる通りこちらもステージ曲以外からの選出である。しかし決してミスマッチなチョイスというわけではなく、落ち着いた雰囲気の教会エリアで流れるため、むしろ緊張感を高めることに一役買っている。無論、単に気を衒ったチョイスばかりというわけではなく、『New Messiah』『Reincarnated Soul』のように人気あるステージ曲も流れるので一安心。まぁそれらも尽く出典元が渋いのは言わずもがな。
アレンジのクオリティも高く、特に『Aquarius』は月輪版のような目立ったパート追加はないものの、印象に残りやすいイントロ部分がループ直前に転調して再度繰り返されるという王道ながらもテンションが上がるアレンジが行われている。シリーズお約束の『Vampire Killer』もとある地点で流れる(が場所が場所なので放置しないとまずイントロ直後に終わる…)が、コレがまさかの悪魔城伝説の『Dejavu』にX68k版『Vampire Killer』のフレーズを盛り込んだアレンジである。正統派なアレンジかというと少し違うかもしれないが、『マニア向けな選曲に全力で振り切ったReBirth版におけるVampire Killer』と考えるとコレが100点満点の正解だと思うのである。
さて、今の時代にプレイし直しても今作は間違いなく名作であった…が、問題点…というべきかは正直微妙なところながら、原作(ドラ伝)含めて様々な悪魔城シリーズをプレイした上で戻ってくると少々気になるところが一つだけ今作にはある。
いや確かに今作は面白いし『面クリア型悪魔城』としてはパーフェクトもいいところな作品である…であるのだが…ぶっちゃけ今作、『悪魔城ドラキュラ』ではあるが『ドラキュラ伝説』ではない。なんと今作は『ドラキュラ伝説 ReBirth』というタイトルでありながら『ドラキュラ伝説』の要素は世界観と一部の敵キャラくらいしかないのだ。
ステージ構成は100%オリジナルなうえ、原作のボス(といっても4体しかいないが…)もドラキュラ以外に登場せず、前述したアレンジBGMも『ドラキュラ伝説』出典のもの*は1曲もない。
*『ドラキュラ伝説』出典のBGM
厳密に言えば『ステージ開始ジングル』だけはドラ伝のものを採用している。
『New Messiah』等、ドラ伝IIまで範囲を広めればそれなりにある。
サントラには未使用曲として『Battle of the Holy』が収録されているっぽいので、
そちらがゲーム中に流れてくれていれば印象も変わったかも…。
よって今作をもしも『ドラキュラ伝説のリメイク』として『ドラキュラ伝説』の大ファンがプレイした場合は、どうしようもないレベルの『コレジャナイ』感を覚えてしまうことは避けられないだろう。無論、ゲームとしての完成度は100%『ReBirth』のほうが勝っているのは言うまでもない。
しかし一方で原作のドラ伝はゲームボーイというハードの制約に縛られながらもなんとか悪魔城のシステムを携帯機に落とし込んだ力作であり、その弊害で悪魔城らしからぬ要素も少なからず誕生してしまったものの、それが逆に『ドラ伝以外には存在し得ない本家悪魔城にすらない独自の魅力』に昇華されていたという作品でもあるため、『ドラキュラ伝説 ReBirth』なのに『ドラキュラ伝説』らしくないというのは結構アレなのでは…と思ってしまったり。
(というか今作は元々『ドラキュラ伝説』の名を冠する予定はなかったらしいのでソレが元凶)
あとコレは最初にも軽く触れたとおり本当にどうしようもない部分なのだが、今作はWiiウェアという媒体の特性上、現在は新規購入が完全に不可能なのが最大のネックである。
今作がどれだけ素晴らしかろうとも、今の時代では手に入れることすら困難なのだ。
仮に現時点で入手しているプレイヤーであっても、動作しているWii本体が死亡したらそのまま今作もセットで消滅してしまう…。
コレほどのクオリティの作品が、このまま広がることもなく埋もれ消えていくなんてことは悪魔城シリーズ…いやアクションゲームの歴史においても重大な損失になりうるだろう。
(コレに関してはぶっちゃけReBirthシリーズ以外のWiiウェア全般にも同じことが言えるが)
悪魔城シリーズは直近だと旧作のコレクションとして纏めてリリースすることに注力している印象であり、また、それらの移植も流石のエムツー&KONAMIということもあり、概ね良移植として受け入れられている。おかげで少なくとも7~8年前と比較すればシリーズへの間口も広がったように感じられる。この流れでどうにか今作もいつかコレクションに収録されてくれることを祈るばかりである。
幸いにも今作の開発元であるエムツーとKONAMIは現在進行系で繋がりがあり、悪魔城で限っていえば上述したコレクション2作、直近ならばパワポケR初回特典の『パワポケダッシュ』やらSteam版GetsuFumaDenの初回特典である『月風魔伝』の移植も担当しているため、今後の移植が100%ありえない…とまでは言い切れないことだけが救いかもしれない。
まぁ最後辺りに少々暗いお話になってしまったものの、それでも『悪魔城ドラキュラ』が名作であることに変わりなし。今、自分たちにできることはたった一つ、悪魔城をプレイしていつの日か再び『ReBirth』シリーズに陽の目が当たる時を待つのみである。せっかく旧作を纏めて遊べる環境が提供されているワケなので、今はただひたすら楽しむべしである!!
(ちなみに12月15日にシリーズ作をほぼ全て網羅したサントラボックスも発売予定、今回語った『ReBirth』のBGMも収録されてるヨ。自分ももちろん予約しましたとも!)
---おまけ---
ちなみにオリジナルの方のドラ伝は3DS向けのVCで配信されているほか、
最初の語りでも少しだけ触れた『アニバーサリーコレクション』にて
続編のドラ伝IIと共に収録されているため、
現行のゲームハードほぼ全てで遊ぶことができるのである。
ちなみに現行機で遊べる悪魔城コレクションについてだが、
『アニバーサリーコレクション』は今回触れた『ReBirth』の源流たる
『面クリア型悪魔城』が8本収録された歯ごたえのあるコレクション。
『アドバンスコレクション』はメトロイドヴァニアというジャンルを大きく広めた
『探索型悪魔城』が3本と手応えある面クリア型が1本収録された大ボリュームなコレクション。
『Xセレクション』は元が元なのでPS4/PS5でしか遊べないが、
探索型と面クリア型の超人気作がセットになったカップリング…という感じなので、
面クリア型が遊びたい!!→『アニバーサリーコレクション』
探索型が遊びたい!!→『アドバンスコレクション』
気になるけどどっちが合うかわからない!!→『Xセレクション』
をそれぞれオススメするのである。
(アニバーサリーコレクションはちょうどセール中ですぜ!)
アーケードアーカイブスは…まぁ趣味でどうぞ。
『悪魔城ドラキュラ(AC)』はBGMが特にいいヨ。
手軽に地獄を味わえるという意味では『VS』も一度は体験してみる価値は…あるかも…。
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