『星のカービィ Wii』、という作品がある。大衆向けを絵に描いたような遊びやすさを30年以上に渡って提供し続ける本家『星のカービィ』シリーズの9作目にあたる作品で2011年発売、プラットフォームはWii。昨年、某所にて行われたシリーズ人気投票では1位になるほどの人気作である。
さて、カービィシリーズの歴史において『星のカービィWii』の存在は極めて重要なポジションにある。理由は実にシンプルで本作がシリーズの転換点だから。本作が発売した当時におけるカービィシリーズは俗に言う『桜井カービィ』『下村カービィ』の2路線(+扱いに困りやすいフラグシップ製)で方向性がきっぱり分かれており、ソレ故かファン同士の抗争も絶えないものであったが、本作が発売したことで状況は一変。
なんせ『星のカービィWii』は『桜井カービィ』のシステムに『下村カービィ』のエッセンスを加えたものだったからだ。作品を問わず過去の全てのカービィシリーズからいいところを継承し、そのうえで充実したファンサービスをプレイヤーに提供する…そんなカービィの新路線…熊崎信也氏がディレクションを手掛ける通称『熊崎カービィ』の誕生である。
『もう〇〇以外はカービィじゃないなんて言い合う時代は終わった』…当時の不毛極まりない争いに辟易としていた両路線が好きなファンたちは、『星のカービィWii』、そして『熊崎カービィ』の誕生によってようやく安寧を得ることができたのだった。
(この辺はもっと掘り下げようと思いましたが軽く1万字を越えた+明るい話題でもないのでボツりました)
星のカービィWiiのクオリティは凄まじいものであった。元々カービィ自体が良作だらけのシリーズであること、そして前身となる『星のカービィGC(仮称)』からカウントすると発表から発売まで大体7年もの期間があったことで、ファンを満足させるためのハードルは極めて高い状況にあったが、本作はその期待を裏切ることなく真っ向から応えて見せたのだ。
シリーズでも特に完成度が高いとされた『SDX』を正当進化させた『USDX』をベースにし、グラフィックこそ3Dになったがシステム自体は従来通りの2Dアクションとしたことで万人受けのしやすさもバツグン。
更にカービィとボスの両方に対し過去作とは比較にならないレベルでアッパー調整を施し、パターン性をより強めたことでダイナミックかつド派手、かつ手強いボス戦を演出…そういった要素が全て噛み合い、奇跡的なまでのハイクオリティな作品として古参/新規問わず数多くのファンの心を掴むことに成功したのだ。
星のカービィWiiはその後の星のカービィシリーズの路線を決定づけた。その結果、このシステムをベースに3DSで『トリプルデラックス』『ロボボプラネット』、Switchで『スターアライズ』がリリースされるに至っている。もしもあの時星のカービィWiiが生まれることがなければ、おそらく2011年以降のカービィシリーズの動きは全く異なるモノとなっていたことであろう。
(なおこのシステムはファイターズやハンターズのようなスピンオフでも採用されている)
そんな歴史的に重要な『星のカービィWii』であるが、早いもので発売から12年もの時が流れ、立派なレトロゲーム(というとちょっと抵抗があるが…)となってしまった。プレイできる環境はWiiかWiiUに限られ、そろそろ『最近初めてカービィに触れたよ!』という人が手を出すのもツラい状況になりつつあった。
(余談だがプラットフォームのこともあってか『ディスカバリー』が初カービィという人はかなり多いらしい)
だがそう悲観することはない。『カービィWiiをやってみたい!』…そんな人に向けたリメイクがついこのあいだリリースされたのだ。その名は『星のカービィWiiデラックス』である!!今回はこの作品について語っていくことにしよう!!
さてさて、本作は『星のカービィ Wii デラックス』!タイトルこそWiiの名を冠しているがプラットフォームはNintendoSwitch、『ディスカバリー』でシリーズデビューした人も安心である。本作をきっかけに繋がりの深い『スターアライズ』や『Sカビハン』、『ファイターズ2』にも手を出しやすい。気まぐれに『グルメフェス』を遊ぶもよし、原典に触れたくばNintendo Switch Onlineで過去のシリーズ作だって遊べる…と、気が付けばSwitchはカービィを遊ぶのに最適なハードになりつつある。
タイトルが示す通り、本作は『星のカービィ Wii』のリメイクにあたる作品である。カービィシリーズのリメイクはそこそこ珍しく、『夢の泉デラックス(夢の泉の物語)』『ウルトラスーパーデラックス(スーパーデラックス)』『毛糸のカービィ プラス(毛糸のカービィ)』に続いて4回目。シリーズのお約束に倣い、本作でもタイトルに『デラックス』が付いている。
(毛糸だけプラスなのは現在でもちょいと謎)
リメイクゆえに基本的にはオリジナルと変わらない部分も多いが、まずはメインのシステムから説明していこう。なお今回の記事ではオリジナルとなる『星のカービィWii』を『Wii版』、リメイクである『星のカービィWiiデラックス』のことを『本作』と呼ばせていただく。ちなみにファンからの略称は『Wiiデラ』が主流っぽい。まぁ夢デラとかの前例もあったし納得である。
本作は王道オブ王道、わかりやすさなら右に出る者はいないオーソドックスなステージクリア型の2Dアクション。毎度おなじみピンクだまのカービィを操作してステージを奥へ奥へと進み、最後にゴールに辿り着ければステージクリア。クリア後は新しいステージが解禁され、更にそのステージをクリアすれば…という繰り返しで進んでいく。ステージの選択はレベルマップ内で行い、一度クリアしたステージでも再挑戦が可能、各レベルのステージを全て突破すればボスに挑戦できるようになり、ボスを倒せれば次のレベルへと進めるようになる。要は『夢の泉の物語』から続くおなじみのシステムである。
カービィについてもいつもの通り、『すいこみ』『はきだし』『ホバリング』といった伝統的アクションは全て使用できる。本作では新たに…というか厳密には『ディスカバリー』から逆輸入された要素であるが、プレイ中にRスティックを入力することでアピールできるようにもなった。アピールにはこれといった特殊効果などはなく、単純にカワイイだけ。スクショ撮影なんかにどうぞ。
言わずもがなコピー能力もモチロン登場。本作に登場するコピーは26種類、うち『ウィップ』『リーフ』『スピア』『ウォーター』の4つがWii版で初登場、本作ではそこに更に『サンド』『アーマー』そしてスタアラ限定だと思われていた『フェスティバル』が追加された。
ウィップはありそうでなかった実物のムチを使ったコピー、直接攻撃と掴み攻撃の使い分けが要求されるやや玄人向けアクションが特徴。リーフは火力こそ低めながらガードが専用技のこのはがくれとなり、(極一部の例外を除き)大半の攻撃を無効化できるという守備特化型。
スピアは読んで字の如くヤリを操るアクション、スキの大きさと無敵技の少なさがネックだが堅実に立ち回れれば輝くバランス型、どちらかといえばバンダナワドルディのアクションというイメージが強い。ウォーターは幻と消えた星のカービィGCから登場のコピー、もっといえば初出はアニカビことアニメカービィ。広い範囲への攻撃が可能なほか、通常移動で足元の炎ダメージを無効化するという特徴がある。
旧作からの続投能力はWii版に登場した折に大胆なテコ入れがなされ、一撃系コピーを除き全ての能力に最低でも3・4種類程度のコマンド技が用意された。特に長らく1ボタン1アクションを貫き続けてきたニードルやプラズマと統合されたことで一気に化けたスパーク、ガチな意味での波動拳コマンドが使えるようになったファイター等は印象的。今回のリメイクではWiiでのスペックはそのままながら、ソードのスカイエナジーソードをはじめとしたWii以降のシリーズ作で導入されたアクションも追加。このため以前よりも攻略の幅は広まっている。
そしてここからが本題の本作初出コピー、サンドはリーフ・ウォーター・ウィップを足して3で割ったようなスペック。それなりに広い範囲への攻撃のほか、正面の敵を掴むこともできる。一撃の火力が高いのが魅力であるが、無敵判定を持つ技がかなり少ないため、ゴリ押ししようとすると返り討ちに遭うといった塩梅の調整。一応リーフ同様完全無敵のガードが使用できるが、ほぼほぼコレを使いこなすのが前提といった感じである。
アーマーはなんというかオトコノコの夢を詰め込んだような能力。チャージからの極太レーザーや真上へ火炎弾、真下へ電撃機雷を使える。ホバー移動による空中制御もやりやすく幅広い状況に対応できるという魅力はあるが、一方でボス敵との戦闘では適当に扱うと苦戦を免れないクセの強い能力。この能力の真価は複数のアクションを組み合わせることでの立体的なコンボ連撃にある。
リリース当初のWii版で一番のウリとされていたマルチプレイは本作でもモチロン対応。2P以降はカービィのほかデデデ大王・メタナイト・バンダナワドルディといういつものメンツ…というかWii版からいつメンになったキャラたちを使用可能。本編では1Pはカービィしか使用できないが、後述する『格闘王』『真・格闘王』では残り3人も使える。3人はちゃっかりスタアラで追加されたアクションも使えるため、原作よりもやや扱いやすくなっている。
続いては物語について、本作は『突如ポップスターに異世界ハルカンドラからやってきた船ローアが不時着、その主であるマホロアを元の世界へと返してあげるため、カービィとその仲間たちは船のパーツを集めることになる』…というおはなし。導入としては一応『64』に近い感じで、シナリオ進行にムービーが使用されるのもあちらと同様。
本作のボス敵たちはみんなローアのメインパーツを所持しており、撃破することでそれらを取り返すことができる。5つのメインパーツを集め切れれば晴れてゲームクリア…というわけにはいかず、今度は舞台をハルカンドラに移して冒険は続く。
(Wii発売前はハルカンドラの存在が伏せられていた記憶がある)
星のカービィWiiにとってなくてはならないキャラなのが彼方からの旅人『マホロア』、これまでのカービィシリーズから一風変わったデザインが特徴で、ハルカンドラから来たとは本人の弁。彼は冒険に同行こそしないが、レベルマップと別枠のもう一つの拠点、天かける船『ローア』にてカービィたちの帰りを出迎えてくれる。
ローア船内ではマホロアとの会話を行うことができ、ソレによって本作、ひいてはカービィシリーズ全体にまで渡る設定が掘り下げられる。会話はシナリオ進行によって内容が変化し、また同じ状況でも複数の会話パターンが用意されている。本家のカービィシリーズでここまでテキストが用意されたキャラはマホロアが初である。
(外伝込みだとあつカビのドロッチェの方が一足早いが)
そんなマホロアだが、なんというか噛めば噛むほど味が出てくるかのような絶妙なキャラ付けが行われているため、とにかく印象に残りやすい。もはやカービィWii=マホロアといっても過言ではないレベルである。当然ながら色々な意味で人気も出て。それもあってかマホロアは『スペコレ』『ハンターズ』といった後の作品にも登場を果たし、『スタアラ』『ファイターズ2』ではあろうことかプレイアブルキャラにまで昇格したりした。
(最早未プレイでもみんな知ってる彼の秘密だが、一応ネタバレなので本記事では伏せます)
ポップスター、およびハルカンドラにはメイン5つのパーツ以外にローアの動力源となるエナジースフィアまでもが散らばっている。その数はなんと120個。こちらが本作の収集要素となっており、集めていくとローアの部屋が解禁され、コピーのお試し部屋やチャレンジステージ(後述)に入れるようになる。ちなみに『鏡の大迷宮』で初登場し星のカービィGCに内定までしていたガレブくんはお試し部屋のサンドバッグとしての出演である。
エナジースフィアは各ステージに3~5つずつ隠されており、入手にはある程度のテクニックが要求される。とはいえ集め切れなかったとしても数字カービィのようにバッドエンドになったりとかはしないので、そこまで気負わずともよい。あくまでコレは100%クリアを目指すプレイヤー向けのやりこみ要素である。
星のカービィWiiを象徴するシステムといえば『スーパー能力』、一部のステージにだけ登場する特殊なザコをコピーすることで、通常よりも遥かに強力なスーパー能力が発動する。スーパー能力はド派手な演出に圧倒的な攻撃範囲と攻撃力を兼ね備えたまさしくスーパーな能力である。
外部のステージに持ち込むことはできず、また登場するステージはスーパー能力ありきの設計になっているため、アクションというよりはどっちかというとステージギミック寄りの扱いだが、変身中は専用BGMに切り替わることも相まってとにかく盛り上がる。コレが実に好評であったためか『ビッグバン(TDX)』『ロボボアーマー(ロボプラ)』『フレンズスター(スタアラ)』といった近いシステムが次回作以降も取り入れられている。
今回のリメイクではスーパー能力の使い方やスペックは据え置きながら演出面が強化。発動時のモーションが更にその能力の特徴に合致したカッコいい/カワイイものになっている。なおWii版でのモーションは使用されなくなったわけではなく、とある重要シーン限定となったためより印象的になった。
スーパー能力を使って一部の仕掛けを起動すると稀に異空間への入り口『異空間ゲート』が出現することがある。異空間は通常ステージよりも難易度が高めで内部はコピー能力が(原則)使用不可、圧し潰し用の壁や天井に常時追われ続けるといった内容。中には一見無理ゲーかのような場面もあるが、どのステージも『すいこみ』『はきだし』というカービィの基礎さえ忘れなければクリアできるようになっている。
最深部にはココ限定の特殊な中ボス『スフィアローパー』が待ち構えており、撃破することでエナジースフィアを回収可能。ただしスフィアローパー戦は不利な地形での戦闘を余儀なくされたり、そもそもローパー自体がそこらの中ボスよりもかなり厄介な強さをしているので油断は禁物である。
本編ともいえるゲームモードは『ストーリー』『エクストラ』の2種類、初期から選べるのはストーリーのみで、特定の条件を満たすとエクストラもプレイできるようになる。『夢の泉の物語』と同様にエクストラは本編のハードモード的な趣。Wiiのエクストラはちゃんとセーブができる(ストーリーとは別枠)ので、しっかり腰を据えて遊ぶべし。
エクストラで何が変わるかというと、まず体力最大値がストーリーの半分になる。途中で最大値が増加することもない。そして登場するボスたちが中ボス大ボスラスボスまで全員ひっくるめて『EX』と名の付く強化版に総入れ替え。ドイツもコイツも本編に比べると『そんなんありか!?』といった強化が施されているので気は抜けない。オマケにサプライズ枠でエクストラ限定のボスなんかもいたりする。
難易度はストーリーだけなら歴代シリーズでも真ん中くらい、難しすぎず簡単すぎずの絶妙な塩梅である。エクストラになるとそこそこ厳しめではあるが、一部を除けばストーリーでの攻略がそのまんま通用するのでストーリーをクリアできる腕前のプレイヤーなら丁度いい難しさである。
今回のリメイクでは『ストーリーでも難しい…』というプレイヤーに向け充実したお助け機能が2つも搭載。まずは『おみやげアイテム』でコレはマホロアランド(後述)で入手した様々なアイテムをストックできるというもの。次回作のTDXから導入されたシステムを逆輸入した感じだが、今作では(事前にアイテムを入手しておけば)メニューを開くだけで即ストックが可能という極めて便利なモノとなっている。
そしてもう一つが『おたすけマホロア』、その名の通り冒険中にマホロアが力を貸してくれる機能であり、コピー星をプレゼントしてくれたり、落下した時にも引き上げてくれたりする。オマケに体力ゲージも通常の2倍に上昇…と歴代作品でもトップクラスの救済要素のオンパレードである。コレをONにすればいかなるプレイヤーとて本編をクリアできるはず。ちなみに当然だが最終盤のボス戦では力を貸してはくれない(微ネタバレ注意)。
『おみやげアイテム』と『おたすけマホロア』の登場により、手段を選ばない場合におけるストーリークリアの難易度はおそらくシリーズでも最も簡単。当然この機能は一切使わない設定にもでき、その場合はWii版ストーリーとほぼ同じくらいの難易度になる。
ストーリーモードは先ほど挙げたようにWii版とほぼ変化がないのだが、一方でエクストラはWii版からだいぶアレンジが加えられた。プレイしてみると一目瞭然なのだが回復アイテムの数が減らされている。敵のドロップは言わずもがな、各ステージにデフォルトで配置されている回復アイテムはほぼ全てポイントスターに差し替え。このおかげでプレイ中の回復が殆ど見込めなくなった。体力最大値が半分で進行する点はそのままのため、回復アイテムが徹底的に絞られるこの調整はいつ何時でも油断ならない緊張感を生み出すことに一役買っている。
加えてステージの敵配置もほんの少しだけ変化、目に見えて大きく変わる箇所はそこまでないが、一部のエナジースフィア回収ルートの敵配置が多少イジワルになっていたりする。トドメにボスの行動パターンが変化…というか一部の攻撃に追加効果が発生するようになっている。どの追加効果も『ロボプラ』や『Sカビハン』で見覚えがあるヤツなので察しが良ければ対処は可能だが、Wii版の知識からアップデートせずに挑むと返り討ちに遭うのは避けられない。
このようにエクストラに限っては露骨に高難易度調整が施されているが、Wii版のエクストラはあまりにも変化が少なく、『大して変わらない本編をもう1周やらされてるだけ』という不満もそこそこあったので個人的に嬉しい変更点である。『おたすけマホロア』は完全封印されているが『おみやげアイテム』はエクストラでも使えるので、どうしてもクリアできなければソレを使ってゴリ押しもできる。回復を徹底的に絞ってるのは『おみやげ使ってね!』ってことなんだと思う。
本編におけるやりこみ要素としてはローアのパーツ回収のほか、高難易度ステージでのスコアアタックができるチャレンジステージなんてものがある。チャレンジステージでは最終スコアに応じてプラチナ・金・銀・銅の4段階評価がされる。プラチナ評価はそれこそ一切のミスすら許されない超難易度(エクストラだと更に顕著)なので、ガッチガチに本作を極めたい人は頑張ってほしい。ちなみに100%クリアを目指すだけなら評価は関係なく1度クリアすればいい。
ストーリーモードを一度クリアすることで『格闘王への道』が解禁、SDXのプレイヤーならご存じの通りボスラッシュモードである。任意のコピー能力でストーリーに出てきた全部のボスを返り討ちにしてやるべし。まずは単純なクリア、その後はタイムアタックを頑張るのもいいだろう。より高難易度版の『真・格闘王への道』もモチロン本作にあるが、Wii版とは解禁条件が変わっている。この辺りは後述。
カービィシリーズにおける熊崎氏の初ディレクション作品のウルトラスーパーデラックスにて導入され、好評を博した『スペシャルページ』はWiiでも続投。Wii版の時点ではまだUSDX同様に一部の重要ボスにのみ用意されていたが、それでもプレイヤーの想像を掻き立てる要素のオンパレードで多くのファンに受け入れられた。本作をきっかけにしてスペシャルページは熊崎カービィを構成する重要な要素となり、TDX以降は全てのボスにコレが存在するようになった。
今回のリメイクではTDX以降と同様に全ボスにスペシャルページが搭載。『ボスが何故パーツを持っているのか』『なんでこのボスがここにいるのか』といったWii版ではサラッと流されていた部分の補足を果たしている。通常版とエクストラ版で異なる説明文になっている点は言わずもがな、後者の方がより踏み込んだ内容で、後にリリースされた作品を踏まえたテキストなどもある。Wii版の時点で用意されていたスペシャルページも微妙に内容が加筆されているほか、スタアラと同じく一部のボスはメインストーリーと真格闘王でテキストが変わったりもしている。
さて、ここまではWii版と共通しているシステム部分とリメイクで微妙に変更されたポイントについて触れてきたが、いよいよここからが本題、『星のカービィWiiデラックス』で新たに用意されたデラックスな追加モードについて紹介していくとしよう!
ゲームをある程度(といってもホントに序盤だが)進めると、突如『わいわいマホロアランド』というモードが遊べるようになる。マホロアランドとはここではないどこかの時空間にて『支配人マホロア』が建造したテーマパーク。ランドの中は沢山のワドルディたちがごった返す遊園地になっていて、カービィもそこへ遊びに行くことができる。マホロアランドに来た時のカービィの『わぁ~』が可愛くて悶絶する。
マホロアランドの中には10個のアトラクションが用意されていて自由に遊ぶことができる。そのラインナップは下記の通り。
たまごきゃっちゃ(夢の泉の物語)
刹那の見切り(スーパーデラックス)
おちおちファイト(星のカービィ64)
爆裂ボンバーラリー(夢の泉デラックス)
ギガトンパンチ(鏡の大迷宮)
スマッシュライド(参上!ドロッチェ団)
タッチ!早撃ちカービィ(ウルトラスーパーデラックス)
一撃!手裏剣道場(星のカービィWii)
みつけて!マホロア図書館
ガンガンブラスターズ
…そう、もうわかっただろう。このマホロアランドとは本作のサブゲーム枠…。そして収録されているサブゲームは歴代最多の10種類!そのラインナップは歴代のサブゲームが搭載されたカービィシリーズから一つずつ厳選されたモノとなっている!絶妙に被りが発生せずそのうえで人気のモノを取り揃えたこのチョイスは実に素晴らしいというほかない。個人的な欲を言えば『なみのリスターライド』か『カービィのエアグラインド』が欲しかったけど『スマッシュライド』と被ったんだろう。
ちなみにWii代表が手裏剣道場になったため『ガンガンバスターズ』は残念ながらオミット。ただしBGMだけは残っており、そちらは本編の特定ステージで流れるようになっている。まぁ収録されたとして早撃ちカービィと被ってたろうし仕方ない。USDX枠をコンベアタッチにすればワンチャンあったかもね。
収録されているサブゲームは単なる再録ではなく、現代向けに元のゲーム性を崩さない範囲で多少のアレンジがされている。おちおちファイトはハイスピードモードという原作以上に高速化したモードが新たに追加され、スマッシュライドでは原作のチューリン・スピンのほか、同じくドロッチェ団のドク・ストロンが乱入するようになっている。地味に難易度設定がサブゲームごとに異なり、易~難やよわい~めちゃつよといった原作準拠の表記になっているのが細かい。
本作の新規サブゲームは『みつけて!マホロア図書館』と『ガンガンブラスターズ』の2種類。
マホロア図書館はどんどんバリエーションが増えていく司書マホロアが提示する本を図書館の中から他のプレイヤーよりも素早く探し出すゲーム、まぁ要はカービィを操作するカルタみたいなモノである。後半25秒で一気にゲームスピードが跳ね上がるので、そこからどれだけ追い上げるか/引き離すかがカギ。あと本の表紙は歴代の最終決戦コピーのアイコンだったり、どっかで見たような心のヤリのようなやんごとない絵柄が多い。
ガンガンブラスターズは名前こそ似ているがWiiのガンガンバスターズとはまるっきり別物。トップビューのシューティングみたいなゲームである。弾切れに警戒しつつ他プレイヤーを真っ直ぐ飛ぶショットと斜め上に飛んで爆風が広がるやまなりショットを使い分けて撃ち抜いていく。最後まで生き残ったプレイヤーが勝ち。
マホロアランドのサブゲームはいずれもマルチプレイに対応、最大4人でわいわい遊ぶことができる。もちろん一人でも遊べるのでほっちプレイヤーでも安心な設計。たまごきゃっちゃや刹那の見切りといった原作だとマルチ非対応/2人プレイだったサブゲームもちゃんと4人プレイできる。『アトラクションツアー』というランダムで選ばれたサブゲームを連続でプレイして、その総合結果を競うというモードもある。
サブゲームのBGMは全て旧作からのアレンジ。難易度選択画面では原作でのメニュー画面(或いはソレに近いポジション)の曲のアレンジが流れ、その後のBGMも原作通りのアレンジ…そんな当時の記憶を思い起こしてくれる嬉しい采配になっているのだ。特定条件を満たせれば各サブゲームのBGMを裏曲に切り替えることができる。裏曲は原作そのまんまの原曲であり、これまた当時のファンにとっては嬉しいオマケ要素。
本作からの新規サブ2種類もBGMは旧作アレンジになっていて、マホロア図書館は可愛らしい方向性での『彼方からの旅人マホロア』のアレンジ。ガンガンブラスターズはカッコいいオリジナル曲となっているが、特定のステージギミック発生時に初代とUSDXとロボプラのミックスアレンジ、最高難易度ではエアライドのアレンジメドレーが流れる。どの曲のアレンジかは聴いてみてのおたのしみ。こちらにも裏曲が用意されていて、表曲のチップチューンなアレンジになっている。
マホロアランドはひとりで/みんなで純粋にサブゲームを遊ぶ以外にやりこみ要素として『スタンプカード』と『ミッション』が設定されている。スタンプカードは結果に関係なくサブゲームをプレイするとどんどん押されていき、一定数以上が押されると本編で使える『おみやげアイテム』や『なりきりおめん』が貰える。
『ミッション』は各サブゲームごとに9個前後があり、全部合わせて100種類。単純にサブゲームをプレイするだけでクリアできるものもあれば、『特定の行動を縛って勝利する』『カンストスコアを出す』など一筋縄ではいかないものも少なくない。そしてデフォルト解禁の100種類を制覇すると更に上級者向けの『真・エクストラミッション』が登場、こちらは『最高ランクを相手にノーミスで連勝する』『圧倒的大差を付けて勝利』といった相当な高難易度のオンパレード。こちらを含めて合計120種のミッションを完全クリアで専用のイベントが発生、そこまでいければようやくマホロアランドを制覇したといえるだろう。
マホロアランドはテーマパークらしく随所に遊び心が満ち溢れているのが特徴で、例えばパークの内部を探索してみると『かくれマホロア』なるモノがみつかることも。また本編でボコった出会ったボスたちが条件を満たすと遊びに来るため、どんどんパークは賑やかになっていく。ワドルディたちの前でお手玉を披露してにっこり微笑むMr.ダウターのように本編と違った一面を見せてくれたりもするのがイイ。
やりこみの報酬では先に挙げた『おみやげアイテム』のほか『なりきりおめん』というものがある。その名の通りのお面で、マホロアランドや本編で使用可能。持っていればスティック押し込みで付けたり外したりできる。基本的に性能には影響しない賑やかしのためのアイテムである。ちなみにサブゲームで対戦するNPCやパーク内のワドルディ達がお面を付けていることもある。
なりきりおめんの種類は80種類以上、いずれもカービィシリーズの過去作のキャラのお面になっており、その網羅具合は初代からディスカバリーまでシリーズ全土に渡る。皆勤賞のワドルディはもちろんのこと、カービィ2におけるしもべたちや、カービィ3に登場した仲間たちや伴侶まで用意されている。クーだけ2Pカラー(というかGBカラー?)のお面なのは苦肉の策。
装備するとSEが変わるお面もあり、それらは原作のモノが流れるようになる。マルクやマホロア、ドロシアの笑い声のようなシリーズプレイヤーなら馴染み深いもののほか、ダークゼロのチカチカ音のような『ソレ声扱いでいいの!?』となるマニアックな拾われ方をしているものもそこそこ。ロボプラのハルトマン(麦人氏)、スタアラの三魔官(上田麗奈氏/高橋李依氏/柚木涼香氏)やハイネス(千葉繁氏)、ディスカバリーのエフィリン(間宮くるみ氏)やレオンガルフ(三宅健太氏)のように原作でCVが付いていたキャラはちゃんとそのボイスになるのが嬉しいポイント。ただしナイトメアだけは普通に原作SEなのでボイスはなし。あくまで銀河万丈氏ボイスなのはアナザーナイトメアだけなのだろう。
マホロアランドのエントランスにいる『おみやげ屋ワドルディ』に話しかけることで『おみやげアイテム』と『なりきりおめん』をセットできる。一度でもマホロアランドに来たあとなら本編側のレベルマップやローアの外にも出現するため、どこでも変更可能になる。…ぶっちゃけるとポーズ画面からも変更できちゃうのでおみやげ屋ワドの存在意義はその可愛らしさにしかないのだが…。でも可愛いから無問題。
そしてマホロアランドと並び本作最大の目玉となっている要素が『マホロアエピローグ 異空をかける旅人』!本編終了後、とある事情から全ての力を失い異空間に閉じ込められてしまったマホロアが主人公で、本当の意味での『星のカービィWii』のエピローグにして、長年謎に包まれてきた『星のカービィWii』から『ハンターズZ/Sカビハン』や『スペコレ』に至るまでのミッシングリンクを埋めるためのシナリオである!
その内容ゆえ解禁はストーリーモードのクリア後、難易度もソレ相応に高めである。エクストラとどっちを優先してプレイするかはお好みで。どうせ100%クリアを目指すなら両方やることになるんだし。
さて、このモードはマホロアが主人公、よってプレイアブルキャラもマホロアである。マホロアが操作キャラになるのは『スタアラ』『ファイターズ2』に続き3度目、アクションや操作方法もそちらを踏襲したものになっている…が、本作の彼は全ての力を失った状況にあるため極めて貧弱。
その弱さたるや攻撃手段は至近距離にしか届かない『まりょくきゅう』だけ、その威力もザコ敵すら一撃で倒すことが叶わないレベル。移動に目を向けてもカービィとは比較にならないほど鈍足、他キャラのような浮遊技はほんの少ししか持続せず、足場を乗り渡るのにすら一苦労、オマケに体力ゲージはカービィたちの半分でちょっとの被弾にも耐え切れない…と『スタアラ』のバランスブレイカーぶりや本作のストーリー中の強さを思うと泣けてくるほど悲惨。それもあってかアピールも涙を拭うものやため息をつくものなど哀愁漂っている。
冒険の舞台となるのは異空間、『エデンの間』と呼ばれる祭壇を中心に4つのエリアに分かれた巨大なレベルマップになっていて、各エリアのステージを1つずつ順番に突破していく。エリア内のメインステージを全て突破すればエリアボスに挑めるようになり、エリアボスを倒せればマホロアのアクションが1・2種類ずつ増えていく。そして増えたアクションを使ってレベルマップを進めば新たなエリアに入り…といったことを繰り返していく。最終目標は全ての力を取り戻し異空間から脱出すること。
このモード特有のシステムが『コンボ』システム。アクションゲームにはありがちな要素であるがカービィに取り入れられるのは極めて珍しい。本作のコンボは『敵キャラor仕掛けにダメージが入ればダメージ判定の数だけコンボが加算されていく』というシステム。敵キャラでも星型ブロックでも一定時間内に攻撃を当てればコンボは持続する。コンボの持続には敵キャラの体力や攻撃の威力は関係なく、純粋なヒット数が加算されていく…つまりオーバーキルも死体蹴りも上等、敵をじわじわと痛めつけコンボを維持していくべし。
コンボ終了時にはそのコンボ数に応じた『魔力ポイント』が手に入る。コレはいわゆる経験値のことで、レベルマップからマホロアの各能力やアクションを強化していくことができる。純粋な数値的な強化のほか、アクションそのものが増えるケースもそれなりにある。強化によって何が得られるのかは事前に教えてもらえるほか、どの能力から強化していくかは完全に自由(強化しないというのもOK)なので、それぞれのプレイスタイルに見合った育成をするべし。
先に挙げたように初期段階のマホロアは極めて貧弱だが、ゲームを進めていくことでかなり強くなってくれる。目の前にした届かなかった『まりょくきゅう』は連射ができるようになり…画面端まで届くようになり…やがては本編と同様に『レボリューションボウル』『レボリューションフレイム』が使えるように、空中移動は無制限になり、体力ゲージはカービィたちの2倍、ガードは全ての攻撃を反射する『リフバリア』へ。アクションではスペコレで登場した『マホロアストーム』や魔術師系キャラの十八番『キルニードル』も習得し、やがてはマホロアを象徴する大技『マホロア砲』『ブラックホール』までもが解禁される。最終強化状態のマホロアはシリーズでも屈指のスペックを誇る。流石に火力面はスタアラ版に劣るがアレはウルトラソードとかいうやべーもん担いできてるんで…。
各エリアの最深部にいるボスたちはいずれも本編に登場したボスたちの強化版。元々Wiiの時点でEX個体が存在していたボスたちだが、このマホロアエピローグに登場するヤツらは更なる強化を施されており、もはや見た目以外は完全に別物なレベルで違う。終盤に行くほどこの差は顕著になる。
レベルマップ内には通常ステージとは別の『しれんのトビラ』というものもある。こちらは1部屋だけのシンプルなアクションステージ。突入にはある程度の能力強化が必要になるが、その分ステージ構成も要求される能力を前提としたものになっているのが特徴。無視してもゲームクリアは可能だが魔力ポイントが報酬で手に入るのでできれば挑戦しておきたい。
事前に大々的な宣伝を打たれるだけあってこのモードのボリュームは中々のモノ。4エリア(各エリアに複数のステージとボスとしれんのトビラ)に更にマホロアの育成要素もあるため、遊びつくそうとすると旧作のカービィ一本くらいのボリューム感。クリアするころには大満足している事であろう。やりこみ要素ではメダルシステムがあり、こちらは一度のプレイでどれだけ魔力ポイントを集め切れたかで評価される。目指すは最高評価のプラチナ!であるが100%クリアだけなら金が取れればOK。
気になる物語についてだが、シナリオの進行はいつものカービィシリーズと変わらず、僅かな演出とスペシャルページでの記述でのみ理解できる作り。しかしながら全くと言っていいほど描写不足を感じさせず、ソレだけで完全に『カービィWiiの完結編』と『その後に繋がる物語』を描き切っているのはお見事だといえる。
ちなみにストーリー・エクストラ・マホロアエピローグを全てクリアすると、シリーズ恒例の『真・格闘王への道』が登場、言わずもがな高難易度版ボスラッシュであるが、その解禁条件から察せられる通りWii版とは名前以外ほぼ別物となった。
登場する面々はWii版でも登場したEXボス軍団といつものアイツ、今回はそこにマホロアエピローグでの追加ボスが全員参戦!おかげさまで総試合回数が1.5倍に増加…にも関わらず回復手段のトマトはWii版から据え置き…と本当に容赦のない難易度と化している。ラストに何が待ち受けるかは諸君ら自身の目で確かめるのだ!!
…と、こう説明すると難しそうに思えるかもだが、実際のところ近年の2Dカービィの最高難易度モードの中では割と並レベルの難しさ。そもそもWii以降は作品を重ねるたびに難易度がインフレを起こしていた(スタアラでちょっとマシになった)せいでもあるのだが、これまでのシリーズ経験者であれば初見でも充分勝ち目が見込めるレベルではある。
本作が初カービィという人も絶望するにゃまだ早い。存在を忘れがちだがこのモードでもおみやげアイテムが使用可能、困った時は遠慮なくゴリ押すべし!過程はどうあれクリアできればキミは立派なカービィマスターだ!
さてさて、カービィといえば欠かせないのがBGMの話題、本作ではWii版の時点で存在したBGMはほぼそのまま使用されている。おそらくSwitchに合わせて多少の調整はされているのであろうが、とりあえず自分の耳で聞いた限りでは『ほぼ変化なし』という感想である。とはいえWii版の頃から本作の楽曲評価は折り紙付き。本作を象徴する『4人の仲間と:クッキーカントリー』や『CROWNED』をはじめ、星のカービィGCから引き継がれた『スカイタワー』『勝利への道』等のハイクオリティなサウンドたちはそのままでも令和の時代に通用する。
ちなみにWii版にて複数箇所で同一の楽曲を使いまわしていた場面では、本作だと別のBGMに差し替えられている。差し替え後の曲はいずれもWii以降のシリーズ作からのチョイス。一例を挙げるとナッツヌーンの5面…いわゆる中ボスタワーのBGMはWii版だと『激突!中ボスタワー』1曲のみであったが、本作ではストーリーとエクストラ、表ルートと裏ルートでそれぞれ別の曲が流れるようになっている。
曲自体も『激突!中ボスタワー』と原曲を同じくする『マッチョオブデデデ(スタアラ)』、ボスのテーマ繋がりの『VS.ワドタンク(Wii)』、戦いながら塔を登るシチュが一致する『ヒストリーオブカービィファイターズ(ファイターズ2)』と違和感が少ない選曲である。中には最新作である『ディスカバリー』からの流用曲もあるが、Wiiとディスカバリーの両方をプレイしていないと気付かないくらいマッチしたシーンで使用されている。
地味にものっそい進化を遂げたのがサウンドテスト。ストーリーを一度クリアすればサウンドテストが解禁…というのはWii版からそうであったが、本作ではディスカバリーと同様に全ての楽曲の再生時に曲名が表示されるようになった。たったそれだけではあるがファンにとってはありがたいことこの上ない。カービィWiiのサントラは当時のクラブニンテンドーの景品として入手可能ではあったが、こちらは全体の半分程度しかBGMが収録されておらず、その後も全曲収録サントラがリリースされたりもしなかったため、結局発売から10年以上にわたり曲名不明なBGMが多かったのだ。
しかしながら本作はこうして全楽曲のタイトルがフルオープン!気になってたあの曲も!お気に入りのその曲も!もう『何面で流れるヤツ』などの曖昧な呼び方をしなくていいのだ!ちなみにサウンドテストは流用曲も再生可能のため、同じくサントラが出なかった旧作やスピンオフの曲名もある程度公開される運びとなった。曲名が初公開された中では3のアイスバーグのアレンジである『地下水道イングレス(Wii)』とWiiのデンジャラスディナーと64のファイナルスターをミックスした『高きデンジャラスなファイナルへ(ファイターズ2)』がイチオシ。
ちなみに例によって例の如くサウンドテスト中の音符の色で作曲者の判別が可能。今回の音符は赤青緑黄白の5色、赤が石川淳氏、青が安藤浩和氏、緑が下岡優希氏、黄が小笠原雄太氏が担当。白はバンプールの櫨本清氏と加藤優貴氏。加藤氏はバンプール所属かどうか正直よくわからんが多分バンプール…だと思う。
(ここについては情報求ム)
白だけ該当スタッフが二人いるのは単純にHAL研の社外の作曲者さんだから。ちなみに流用曲だと『鏡の大迷宮』の原曲も同じく白音符。こちらは(少なくとも当時は)ディンプス所属の伊勢村篤義氏と稲垣博信氏のどちらか(或いは両方)が作曲したBGMである。
本作からの新規楽曲/アレンジを手掛けているのはおそらくこのうち石川淳氏(赤)、安藤浩和氏(青)、下岡優希氏(緑)、櫨本清氏(白)の4名。クレジットの並びからして加藤優貴氏(白)と小笠原雄太氏(黄)は原曲流用のみ、或いはSEのみの対応だったのかも?
(少なくとも白音符に『鏡』以外からの原曲流用はない)
本作での新BGMはその殆どが旧作アレンジというスタアラと同じスタイル。上述したサブゲーム以外のBGMのアレンジ元は『Wii』『Sカビハン』そして『ディスカバリー』の3作が中心。マホロアランド/マホロアエピローグというマホロア中心のモードが2つも追加されたことも相まって、彼のテーマともいえる『彼方からの旅人マホロア』と『CROWNED』の2曲は特に起用率が高い。とはいえ禍々しいモノからヒロイックなものまでアレンジの幅は広いので『またこの曲か…』となることはほぼない。
個人的にイチオシの曲(ネタバレ注意なヤツは反転)は『Y.Y. WONDER MAGOLOR WORLD !』『わいわい!アトラクションツアー』『断罪のマルスプミラ』『翠の風のリミックス』『ココロ知る喪失の航海へ』『トライアルドアーズ』『王亡き樹冠のミストルティン』『アトシマツ ~Pay For One's Sin !~』『覇王戴冠 ~OVERLORD~(アレンジ版)』『あのパラレルを越えて、キミと』『黄色く輝く遥かな星よ』の11曲。…多すぎだって?コレでも絞った方だよ。なんなら全曲挙げたいくらいだ。
(『黄色く輝く遥かな星よ』は普通に100%クリアするだけでは聴かずに終わる曲なので要注意である)
さて、記事の締めくくり前に一つだけ絶対に語っておきたい点がある。この部分については割と勢い任せで書いてる面もあるので見苦しいとこもあるかもしれないが、なんとか耐えて読んでみて欲しい。
本作における最大の見どころというのはやはりマホロアの描写にある。元よりカービィWiiとマホロアは切っても切れないくらい深い関係にあったが、今回のリメイクでは更にその方向性を突き詰めている。Wii時代から存在した(本作でちょっとだけ追加された)ストーリーモード中の会話、本作で出てきたマホロアランドにおける支配人マホロアの夢、何もかも失いそれでも戦い続けたエピローグのマホロア、その姿はそれぞれ全く違う印象をプレイヤーに抱かせつつも、過去マホロアが登場してきた『スペコレ』『ハンターズ』での描写と違和感なくリンクし、マホロアに纏わるこれまでの全てに納得がいく代物に仕上がっている。
その究極の例こそが本作の最後に見ることになる追加スペシャルページだろう。その内容は諸君ら自身の目で確かめていただきたいが、あのどこまでが嘘でどこまでが本当なのかわからないテキストを読んだときにプレイヤーに襲い来るであろう感情の洪水、そのまま始まる真のラストバトル…ソレを乗り越えた瞬間の達成感こそが『星のカービィWiiデラックス』における最大の魅力だと伝えたい。
『星のカービィWii』で登場し、『20thスペシャルコレクション』で謎の復活を遂げ、『ハンターズZ』『Sカビハン』では謎の商人として姿を現し、そして『スターアライズ』『ファイターズ2』ではついにベストフレンドとして共に戦ったマホロア…気が付けば彼もまた初登場から10年以上の時が流れ、数多くのファンを獲得するに至っていた。
本作『星のカービィWiiデラックス』は他でもないマホロアのファン、そしてマホロア自身のために作られた作品…そう言い切ってもいいほどマホロアに向けられた内容になっている。この10年の間にマホロアを少しでも好きになった、或いは印象的に思ったという人ならば、本作をプレイしない選択肢はない。コレだけは断言できる。
もちろんカービィらしい遊びやすさは健在であり、現代の『星のカービィ』のフォーマットを作り出したそのクオリティは今の時代に初めて遊んでも充分に楽しめる。故に本作で初めてシリーズに触れる人でも安心である。本作は歴代のファンにも、これからの未来のファンにも自信を持ってオススメできる名リメイクであった!!
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