いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

グノーシア

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インディーゲームには当たり外れが激しいイメージがある。それがまたインディーゲーの良さでもあり悪さでもあるワケだが、ごくごくまれに超が付くほどの大当たりに出会うこともある。今回もそのパターンであった。

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さぁさ今宵語るは『GNOSIA(グノーシア)』
開発はプチデポット『メゾン・ド・魔王』のところと言えば伝わりやすいか。
元々はPSVita用のタイトルだったようだが、先日NintendoSwitch向けの移植が配信された。自分はVita版にはノータッチであり、ニンテンドーダイレクトで存在を知ったクチであるが、プレイしてみたところそりゃもうビックリするくらいのめり込んでしまった

気が付くと3日間ずーっとプレイしてクリアにまで行ってしまったので、その勢いで今作について語っていこうと思うのである。

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さて、今作のジャンルは『SF人狼ゲーム』、まずそもそも『人狼ゲーム』というのは『複数名のメンバーに僅かながら紛れた狼を、会話などの流れから推測し言い当てる』というゲーム。今作はそれにSF要素を多数加えたうえで更にストーリー性を深めたものとなっている。

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舞台は宇宙船、宇宙船にはプレイヤーを含めた乗員が5~15名おり、『人間』『グノーシア』の二つの大きなカテゴリに分けられる。『グノーシア』は毎晩『人間』を1人ずつ消していくため、『人間』に割り振られた乗員は対策会議を行い、『グノーシア』だと思われる乗員をコールドスリープしていくことになる。最終的に『グノーシア』を全員コールドスリープすることができれば『人間』側の勝利、逆に『グノーシア』の人数が『人間』以上になってしまうと『グノーシア』側の勝利になる。

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『人間』側には更に細かな役割が用意されており、『乗員』『エンジニア』『ドクター』守護天使『留守番』『AC主義者』『バグ』の7つに分けられる。
『乗員』は特に大きな権限を持たない普通の乗員特筆すべき能力はない

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『エンジニア』1日につき1人だけ他の乗員がグノーシアか否かを知ることができる『人間』側にとっては最も頼りになる味方だがその分『グノーシア』に狙われやすい
『ドクター』コールドスリープした乗員がグノーシアかどうかを調べることができる。長期的に見れば『人間』側の間違いを見つけることができる存在であるため、『エンジニア』に次いで『グノーシア』に狙われやすい

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守護天使は毎日誰か1人だけ自分以外の人間を『グノーシア』から守ることができる。『守護天使』であるかどうかは他の乗員には伝わらないが、『グノーシア』に狙われるとひとたまりもないため、いかにして目立たないかが重要になる。
『留守番』は他の乗員に対して『自分は絶対にグノーシアではない』と伝えることができるコールドスリープされる心配はないものの、その一方で『グノーシア』からはやや狙われやすい

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『AC主義者』は特殊で『人間』側ではあるものの、『グノーシア』側に味方するような動きをする必要がある。嘘をついたりヘイトを自分に向けたりすることで議論を混乱させることができる。当然コールドスリープされる可能性は高いうえ、『グノーシア』からも都合のいいデコイとして見捨てられる危険もある。
『バグ』はかなり厄介で『グノーシア』によって消される心配はないものの、『エンジニア』に調査されると消えてしまう『バグ』が残っている状態で勝敗が決まってしまうと『バグ』の勝利となり宇宙そのものが崩壊する。『人間』と『グノーシア』の双方から狙われる存在なので、いかにして目立たないまま素早くケリをつけるかが重要になる。

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『エンジニア』『ドクター』は自分から名乗り出ることで自身の調査結果を伝えることができるが、自分の身を守るために名乗り出ないという手もある。
ただし、『グノーシア』『AC主義者』『バグ』身分を偽って名乗り出ることが可能なので、そいつらが名乗り出た場合は全力で止める必要がある。コレを放置したり、止められなかった場合は間違いなく泥沼の議論となる。

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議論中ではプレイヤーに『静観して話を進める』『誰かに疑いを向ける』『誰かを庇う』など様々な選択肢が与えられる。プレイヤーはその時々に応じて最適な行動をとり、議論を正しい流れ(或いは自分の望み通りの流れ)に導いていくこととなる。
例えば、『コイツは明らかに怪しい!』と疑いの目を特定の対象に向けたり、『ここまでの情報から絶対にコイツは人間だ!』と選択肢を絞ったりなどなど。
だが、無責任な発言は不要にヘイトを稼いでしまうため、必死になればなるほど発言者が怪しまれることになる。そういった事態を防ぐため、時には聞き手に回る必要もある。ただし、聞き手に回りすぎるとそれはそれで『発言を避けている』として怪しまれる原因になりうる。

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プレイヤーを含めたすべてのキャラクターには『カリスマ』『直感』『ロジック』『かわいげ』『演技力』『ステルス』という6つのパラメータがあり、例えば『カリスマ』が高ければ議論での影響力が大きくなったり、『直感』が高ければ他人の嘘を見抜きやすくなるなど、それぞれ意味を持つ。当然、議論ではこれらのパラメータが高い相手ほど厄介な敵となる。

プレイヤーのパラメータはゲームを進めていくごとに上昇し、ある程度パラメータが上がると『疑われた事を哀しんで同情を誘う』『追及された際に話題を逸らして有耶無耶にする』『議論の決定を土下座で保留にさせる』などプレイヤーが取れる選択肢も増えてゆく。ちなみにプレイヤー以外もパラメータが高い場合はこれらの行動を取ってくる
(当然そういった相手はだいたい強敵)

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また、プレイヤーを含めた乗員たちには友好度が設定されており、仲が良い相手なら議論でも味方をしてくれることが多かったり、協力関係を結ぶことができたりといいことづくめ、一方で仲が悪い相手は積極的に議論では敵対してきたり、なんならグノーシアとして告発してきたりもする。プレイヤー的には仲が悪い相手を処理したいところだが、そういった相手がグノーシアによって消されたりした場合は真っ先にプレイヤーが怪しまれることとなる。『アイツが消えて一番喜ぶのはオマエのハズだ!』ってコトである。

友好度はゲーム中にも変動し、何度も庇ったりしているとドンドン仲良くなり、逆に何度も疑ったりすると滅茶苦茶嫌われる。コレを利用して議論に強そうな相手へ取り入る作戦も取れなくはない。

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議論が終了し誰か一人がコールドスリープされる(泥沼化して現状維持というパターンもある)と、ひとまず自由時間となり他の乗員と交流することができる。この時条件が整っていると専用のイベントが発生することもあったりなかったり。そして自由時間の終了後、グノーシアが残っていた場合誰かが襲われることとなり、翌日また議論が始まる

『勝敗が決定する』『プレイヤーがコールドスリープされる』『プレイヤーがグノーシアに襲われる』など、プレイヤーがその先の展開を見れなくなった時点でゲームは終了する…が、そこで終わりではない。

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ゲームが終了する度に、その世界はループする。ループした際に登場人物たちの記憶はリセットされ、再び議論を行うこととなる。ループ後に記憶が引き継がれているのは『銀の鍵』を持つプレイヤーとセツのみ。プレイヤーはセツと力を合わせてループを繰り返し『なぜ世界はループするのか』という謎を解き明かそうとする。

しかし、ループする度に世界は微妙に変わる乗員の顔ぶれその立場プレイヤーとの関係性から何もかもが変わる1つ前のループでただの乗員だった人間が、次のループではエンジニアやAC主義者、グノーシアなどになっている事も多い。コレはプレイヤーも例外ではなく、プレイヤーはそのループごとにそのポジションにあった行動を取っていくこととなる。

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このため、何度ループしたとしても同じ展開になることはまずありえない。ループするたびに全く違う展開、全く違う楽しみ方ができる。このリプレイ性のトンデモナイ高さが今作最大の魅力の一つである。

更に、勝敗決定後のイベントはかなり豊富であり、プレイヤーの立場生存者の顔ぶれ友好度によって大幅に変わる。中にはこの時にしか見られないスチルも多数用意されている。勝敗決定後のイベントはゲームクリアには関係ないことも多いため、通常クリアまでに見られないイベントもかなり多いだろう。コレもリプレイ性の高さに繋がっている

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ただし、あくまでプレイヤー(とセツ)の目的は『ループの調査』である。調査のためには議論をわざと間違った方向に導いたり、邪魔な人物を意図的に消したりする必要があることもしばしば。プレイヤーとセツの立場がそれぞれ『乗員』と『グノーシア』であるパターン(或いはその逆)でもそれは変わらず、場合によっては『AC主義者』以上に議論を引っ掻き回すことも少なくない。

プレイヤーとセツは何度も何度もループを繰り返し、様々なイベントを回収するのが目的となる。イベント発生のためには『人物Aが特定の立場である時に人物Bを排除したうえで人物Aを勝敗決定まで生存させる』などかなり難しい手順を踏む必要もあったりする。

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一見難易度は高そうだが、ループの開始時に『乗員とグノーシアの数』『バグやエンジニアの有無』『自分の立場』など、そのループの設定を簡易的に決めることが可能なので実はイベントの発生自体はそこそこ難しくはない。ワンボタンでイベントが発生しやすくなる設定にすることもできるので地味に便利。

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一つ謎が明らかになるごとに、また新たな謎が出てくるようなシナリオ構成になっているため、ガンガン物語に引き込まれていくことになる。

1ループで発覚する情報はわずかではあるものの、何十・何百とループを繰り返して手に入る断片的な情報を組み合わせることで一つの大きな物語が出来上がるつくりはまさにお見事、矛盾や未回収の伏線などは一切なく、ゲーム終盤の怒涛の伏線回収にはひたすら驚かされることになるだろう。

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シナリオにも深くかかわってくる他の乗員たちは全員癖のある人物揃い、ごくごく一部を除きどいつもこいつも腹に一物抱えており敵に回したくない相手が揃っている。高圧的なお嬢様『夕里子』すぐに話題を逸らす船長『ジョナス』何を考えているか読み取れない『ラキオ』周りを味方させることに長けた『ククルシカ』などは特に相手にしたくない。

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どっからどう見てもリトルグレイな『しげみち』宇宙服着て喋るイルカ『オトメ』猫と人間のフュージョン『シピ』など一見ヤバそうな外見のヤツほどむしろ安心できるというのが今作の恐ろしいところか。

全員が癖だらけではあるものの、それぞれのイベントを進めていくにつれてその人物の過去や性格が少しずつ読み取れるようになっていく。気が付くと乗員全員のことを好きになっているだろう。

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人狼ゲーム』というモノ自体をよく知らなかった自分でも簡単に入ることができた内容なので、人狼ゲーム初心者でも問題なく楽しめる
今作は純粋な人狼ゲームとしても、伏線が張り巡らされた読み物としても楽しむことができる1作であり、ADVゲーム好きならばぜひオススメな作品である!

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---オマケ---
自分は138ループでED到達に到達したのである。
上手い人ならもっと早くクリアできる気がするので、
人狼ゲーム経験者は少ないループ数でのクリアを目指すのもいいかもしれない。