毎度おなじみ星のカービィが毛糸の世界を大冒険!
そんなゲームこそが今作、『毛糸のカービィ』である。
ちなみに明日(03/07)にはリメイク版である『毛糸のカービィプラス』が発売する。
折角なので今のうちにリメイク前のWii版について語るのである。
今作は『アクションゲームであるが本家シリーズ*ではない』という珍しい立ち位置。
つまるところ、カービィシリーズの外伝のうちの1作である。
*カービィシリーズの本家と外伝
一般的にカービィシリーズは本家と外伝に分かれる。
本家は『2Dである』『横スクロールのアクションである』という共通点を持つ。
外伝は本家に分類されない作品全てを表す。
まぁ『スターアライズ』でドリームフレンズが登場した作品が本家と覚えておけばいい。
まずは物語、カービィは怪しい男『アミーボ・アモーレ』に遭遇し、イザコザの末、毛糸の世界に送られてしまう。
そこで毛糸の王子『フラッフ』と出会い、共に冒険していくというものである。
今作の最大の特徴はやはり毛糸の世界。
毛糸の世界では建物も、人物も、何もかもが毛糸。
カービィも毛糸になってしまっているが、可愛いのは相変わらず。
しかし、毛糸になった事で従来作で使えたアクションがほぼ使えない。
基本操作からゲームルールまで何から何まで別物になっている。
今作ではレベル間のムービーが絵本風になっている。
フラッフ・デデデ・メタナイト等、キャラのセリフがある箇所でも
本家シリーズの声優による演技ではなく、読み手がマネして喋るようになっている。
優しい声で子供に読み聞かせるようにストーリーが進んでいくため、
全体的に優しい雰囲気が続くのが特徴。
(実はゲーム内ムービーでボイスが使われたのはカービィ初だったり)
地味にデデデの口調がアニメ仕様*だったりした。
『スーパーレインボー』や『エアライド』でアニメ曲が使われたり、
『ドロッチェ団』でデザインがアニメ仕様になったりしたが
ここまでがっつりアニメに寄せたのは珍しい。他の例は『あつめて』くらいだろう。
*アニメ版デデデ要素
語尾に『ぞい』が付いている。
アニメ以外の作品でこの口調が用いられたのは毛糸のみ。
近年のゲーム作品では特徴的な語尾はない。
漫画や小説を含めればその限りはないがその辺は特に統一されてないのでスルー。
次はゲームシステムについて。
毛糸の身体では空気がすり抜けてしまうため、従来作のアクションは全く使えない。
お馴染みのすいこみも、ホバリングも不可能。
しかし、その一方で新たに毛糸を使ったアクションを習得している。
今作の基本アクションは『敵を巻き取り』『ぶん投げる』というもの。
敵に糸を絡めて巻き取ることでボールにでき、放り投げることで別の敵に攻撃できる。
巻き取る前にボタンを離せば敵をバラバラにすることができる。
(冷静に考えると容赦ない…)
立場としては従来の『すいこみ』『はきだし』に当たるアクションになる。
その他にもカービィは空中で『パラシュート』や『錘』、水中で『潜水艦』、ダッシュ中は『車』などなど、毛糸の身体を生かして様々なものへ変身する。
このため、2DACTではあるが操作感が本家シリーズとだいぶ違うのが特徴。
毎度おなじみのコピー能力も今作には存在しない。
がしかし、新たに『メタモル能力』というものを習得した。
これはステージ内の特定ポイントでのみ使用可能な特殊技で、
どちらかといえばスーパー能力とかビックバンに近いシステムである。
種類も『ビックロボ』『UFO』『ドルフィン』『ロケット』『パワーモール』『スプラッシュ』『ナミノリ』『エスエル』『バギー』と豊富。
操作方法からして別物になるのでいい感じのアクセントになる。
終盤にはシリーズファン向けのファンサービスもあったり。
ちなみにこの頃のカービィにしては珍しく全編2人プレイが可能。
2Pは物語にも絡む毛糸の王子フラッフを操作する。
使ったことはないが多分操作とかは同じだと思う。
(このせいか1人プレイだとフラッフ王子の影が薄い…)
通常クリアまでの難易度はカービィの外伝作ではトップクラスに低め。
本家シリーズと比較してもかなり簡単な部類になる。
その理由として、今作にはミスという概念が存在しない。
例え穴に落下したとしてもすぐ直前から復帰が可能。
体力という概念も存在しないため、攻撃に被弾しても少し動けなくなるくらいで済む。
また、接触ダメージがある敵もほぼ存在しない。
このため、スコアに拘らなければ誰でも簡単にラストまで進めることができる。
ただし、全ステージで金メダル*を目指すとなると話は別。
金メダルを入手するためには大量のビーズ(本家のポイントスターみたいなもの)を持った状態でゴールする必要があるのだが、このビーズは被弾したり落下したりすると大量にばらまいてしまう。
*今作のランク評価
今作ではステージクリア時に所持しているビーズ数を基に
最終的なランクが銅・銀・金の3段階で表示される。
100%クリアには無関係なので全ステージで金を取るのは趣味の領域だが、
なかなかに燃えるので挑戦してみるのもいいかもしれない。
つまり、金メダルの取得は必然的に『いかにミスを減らすか』にかかって来るので、そこそこ緊張感のあるプレイを楽しむことができる。
特に終盤辺りの一部ステージなんかはゲーマーでも割と苦戦するハズ。
カービィシリーズ恒例のやりこみ要素も豊富。
全てのステージに『インテリア』『CD』が配置されており、
それらはただ進んでいるだけでは取れない位置にばかり配置されている。
今作のやりこみのスタートラインはこれらを全て集めるところから始まるだろう。
『CD』を入手すると、自由にBGMを聞くことができるようになる。
今作のサウンドは全てほんわかした優しい曲調。
新曲・アレンジ共に過去のカービィになかった雰囲気なので聞き入ってしまう。
『インテリア』と『ぬの』はカービィの部屋の模様替えに使う。
今作では拠点『キルトのまち』にカービィが住むことになるのだが、
この家は自由に模様替えできる。インテリアの種類は豊富なので地味に楽しめる。
他にも『ぬの』という物もある。これは住人との交流で入手可能。
しかし、この住人たちがなかなかの曲者。
住人は全部で5人。
彼らはそれぞれカービィへお題を提示し、お題達成のご褒美としてぬのが貰える。
お題のバリエーションは『一緒におでかけ』『制限時間内にビーズ集め』『制限時間内に敵を撃破』『ゴール地点までのレース』『かくれんぼ』と住人ごとに様々。
通常プレイとはまた違った楽しみ方ができるはず。
お題の数は90種以上。完全クリアまでにはそこそこ時間がかかる。
こちらは難易度がそこそこ高め。『ビーズ集め』と『敵撃破』は頑張らないとつらい。
つまり、今作の難易度は『物語を最後までプレイする』だけならばシリーズでも一番簡単だが、『お題と金メダルコンプリート』を目指した場合はそこそこの難易度になる。
『クリアまでは楽勝、完全クリアを目指すと難しい』というのはカービィシリーズお馴染みの調整である。初心者から上級者まで楽しめるという理想的な調整である。
メインのゲームシステムはこんな感じだが、今作の一番の見所はそこではない。
今作の一番の見所、それこそは『可愛らしいキャラクター達』である!
最初に触れた通り今作の舞台は毛糸の世界。
全てが毛糸によって作られているため、全体的に平和かつ優しい印象になっている。
そんな世界に住まうキャラ達も、みんな可愛らしい。
外見的なデザインもそうだが、放置した時の仕草なども見所。
身体の一部を使って縄跳びするカービィや、おっとりしていたりずっこけたりするワドルディ、武器を無くして一目散に逃げだすヤリヘーなどなど、ほぼ全キャラに『あ、これ可愛い!』と感じる仕草が用意されている。
通常プレイではあまり見ることがない仕草などもあるので、たまにはのんびり敵を観察するのもいいかもしれない。
(個人的なお気に入りはやっぱりUFOに怯えるワドルディだけど)
ゲームシステムは本家カービィと大きくかけ離れているものの、カービィらしい調整やキャラの可愛らしさは健在。いつものカービィとは少し違う毛糸らしいアクションや穏やかな曲、不思議な世界観など、今作でしか味わえない独特な優しさのようなものは確かにある。
激しいゲームに疲れたときなんかは是非ともプレイしてみるといいだろう。
明日(2019/3/7)には3DSでのリメイク版『毛糸のカービィプラス』も発売するしね。
(無論、予約済みでっせ)
---オマケ---
ちなみに明日発売の3DS版は体験版も配信中。
少しでも気になったのなら体験版をプレイしてみるといい。
気に入る要素一つでもあったら購入をオススメするのである。
3DS版はこちら