いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

TVアニメ『星のカービィ(アニカビ)』を語る

ふっふっふ…
ハーッハッハッハ!!
とうとうこの日がやってきた…!!

今日という日を待ち続けいかほどの年月が経ったか…。
15年…否、ギリギリ20年くらいにはなるだろう…。
しかーし!!事実としてこの日はやってきた!!

『アニカビ』ことTVアニメ版『星のカービィ、そのフルHDリマスター版のBlu-rayボックス…『アニメ「星のカービィ」HDリマスター版 まるごとコンプリートBOX』の発売であーるー!!!

というわけで今宵語る作品はゲームにあらず!その名はテレビアニメ星のカービィ!!20年という時を超えついに!ついに全話収録のBlu-rayボックスがリリースされるに至った超・名作アニメである!!

ずっと…ずっと待っていたんだよ我は!この時を!!

※ここから長い思い出話ゆえ、お見苦しい内容になっています。ここをクリックして飛ばすのを推奨

カービィファンであれば有名なハナシであるが、このTVアニメ星のカービィ…通称『アニカビ』は長らく視聴困難なアニメの代表格であった。なぜなら本作にはVHS以外に全話視聴可能な環境が存在せずDVDも売上不振が原因で途中で打ち切られていたからである。唯一の視聴環境であったVHSも一般販売はなされず、レンタル落ちのモノを購入するしかなかったのだ。

DVDが出た当時にちゃんと買い支えればよかっただろって?当時のメイン視聴者層がアニメの円盤買えるほどのお金捻出できたワケがないだろ!放送と同時期の2002年~2003年だぞ!?良くて中学生!悪くて小学校の低学年だったのだぞ!!

自分だって当時買えるものなら買っていたさ!小学校1年のころファミ通キューブ+アドバンス』のカービィコーナーに掲載されていたDVDの販売予定表を眺めては両親におねだりしてたさ!結局一度もOKは出なかったけども!!そりゃそうだよね!当時の我が家にゃDVDの再生環境なんざ無かったんだから!!!
(DVDの爆発的普及は2002年前後ですが、当時はまだVHSオンリーの家庭も少なくありませんでした)

後年になってアニカビの視聴環境を揃えようとしても時既に遅く出回りの悪さゆえの大高騰(プレミア化)、そしてソレを乗り越えても全話視聴は不可能という絶望的な現実を前に膝をつくほかなかった。我にはもう、Twitterでアニカビの円盤化をうわごとのように呟き続けるアニカビ円盤化要求botと化す道しか残されていなかったのだ…(なんでやねん)

自分を含め数多くのアニカビ勢たちは長らく公式からの供給に飢え続けていた。しかし待てど暮らせど再びの円盤化は訪れなかった。一応、キッズステーション等で再放送されたり、今は亡きWiiのオンラインサービス『Wiiの間』で有償配信がされたりもしたのだが、時が経つにつれ再放送は行われなくなり、Wiiの間もサービス終了という運命を辿った。

残されたアニカビ勢は、経年劣化によりどんどん数を減らしていくレンタル落ちVHS、或いは当時の録画テープを見返したり、唯一の劣化ナシ公式視聴環境である『20周年スペシャルコレクション』収録の3話を無限ループすることで約20年近くにわたり飢えを凌ぎ続けていたのであった…。

さて、そんな日々に一筋の光明が差すこととなったのは2022年の8月11日のこと。この日は星のカービィ30周年を記念した『星のカービィ30周年 ミュージックフェス』という一大イベントが催される日であった。東京ガーデンシアターにてこの日のために集められた『星のカービィ30周年記念スペシャルデラックスバンド』によるビッグバンド演奏が多くのカービィファンに届けられる…ということもあり、ファンからの期待は最高潮。事前に無償でのYoutubeライブ配信が告知されていたにもかかわらず10000円の(8000人が収容できる)現地チケットが数分足らずで鯖落ち+完売、その後のチケット抽選も驚異の高倍率、急遽ライブ配信ナシの昼公演が追加で開催される事態になったりもした凄まじいイベントである。ちなみに追加開催の昼公演のチケットは最初から抽選でした。

カービィマニアである我も当然このイベントには参加していた。ただし夜公演の方は先に挙げたようにソッコー完売+その後の抽選にも落選したため、自分が現地参加したのは昼公演の方。実際素晴らしいイベントであったし、こちらも円盤が欲しい内容ではあった。ちなみに上記はソレが終わった直後の上機嫌な我がツイートである。…さて、その後の夜公演の配信で情緒がグチャグチャにされることを、コイツはまだ知らない。

2022年8月11日夜、フェス会場から自宅へと帰還しカービィフェスの夜公演のページを開く。やがて夜公演のライブ配信が開始…相変わらず素晴らしい演奏である。幕間のトーク内容こそ別物ながら、セトリは昼公演と全く同じ。だからこそ昼公演で聴いた時の感動を思い返しつつ、Twitterでフェスの実況を行っていた…。唐突に、『その時』は訪れた。

会場を通してPCのウィンドウに一つの映像が映し出される。聞き覚えのありすぎるイントロに、見覚えのありすぎる名シーンの数々、そして…。

『おめでとう!カービィ!!』

TVアニメ『星のカービィ
HDリマスター版
ブルーレイボックス
発売決定

全てを察して、我はPCの前で叫んだ。
気が付くと、泣いていた。
約20年。
耐え忍び、待ち続けた瞬間が、ついに訪れたのだ。

今思えば、結果的に夜公演のチケットを入手できなかったのはラッキーだったのかもしれない。なんせ我はこの発表を見てから先の記憶が残っていないのだ。おそらく現地でこのザマであったのなら、間違いなく会場からご退場願われていたことであろう。

さて、20年近く続いたアニカビ勢の氷河期にようやくはるかぜが吹き抜けたワケだが、上記はあくまで単なる告知にすぎない。実際に発売されるまでは一切の油断も許されなかった。我はこの日から発売告知のツイートを見逃さないよう、カービィ公式アカウントのツイート通知を有効化し、更に口座にはいつでも自由に支払いができるように20万円のストックを用意、いついかなる時に予約が開始しても購入できるようにスタンバイ。晴れて『アニカビ円盤化要求bot』から『アニカビ円盤の続報いつbot』へとクラスチェンジを遂げることとなった(それはそれでどうなんだ)

そんなこんなで事態が進展したのは2022年12月16日昼、この日はコレといったイベントもない日ではあったが、本当に何事もないかの如くサラッとカービィ公式が受注開始の告知を行った。あまりのシンプルぶりに流石に面食らったが、この機を逃すかと言わんばかりにソッコーで注文したのである。我が注文が無事受け付けられたのは受注開始から10分後のこと。ちなみにこの時職場だったのでコッソリとスマホから注文しました。おかげさまで住所入力ミスって一度修正の連絡を入れるハメになったり…。

値段やボックスの内容については注文を終えてから確認することにした20万円までなら即決で出すつもりだったし、内容がなんであれアニカビが見れるなら買う以外の選択肢はもとよりなかったからだ。実際のお値段は約5万円であり、そうそう売り切れるものではないと思っていたのだが、驚くことにコイツがほんの数時間で完売。おそらく自分に近い思想の人間が少なからずいたのだろう。顔も知らぬ同士たちと心の中で喜びを分かち合った。

そして、実際のアニカビ円盤の発売日は2023年3月14日、この日、とうとう約20年に渡る我が悲願が果たされたのであった…。

 

というわけで今度こそここからが本題、改めまして今回の記事ではTVアニメ『星のカービィについてガッツリ語っていこうと思うのである!基本的にゲーム主体の我がブログでは極めて珍しいアニメ回となってしまい、ちょっとばかし頓珍漢な事を言うかもしれないが、そこは普段のカービィ愛で乗り切ってやるのである!!

なお今回の記事で利用する画像はカービィ人形を隅に移した状態での直撮り写真である。低画質なのは百も承知であるが、普通にそのままアニメのスクショ載せるのはあかんじゃろ、ということでの対策である。キレイな画面を見たい方は今回のBOXを購入すべしである。まぁそれでも怒られが発生したら全部まとめてゲーム側のそれっぽい画像に差し替えようと思う。

この作品についてはだいぶ昔からガッツリ語ってやりたいと思っていたのである。なんてったってこのアニカビこそが我にとってのカービィ歴のスタートラインであり、またソレと同時に生まれて初めて見たテレビアニメでもあったのだから。我にとってのアニカビという存在は、ほかのどんなアニメ作品よりも大切なモノだったのだ。

自分のほかにも1990年代中盤~後半生まれのカービィファンは『アニカビを見てカービィシリーズを遊び始めたよ!』という人の割合はかなり多いことだろう。アニメを見てカービィに興味を持ち、近い時期にリリースされた夢の泉デラックスエアライド鏡の大迷宮で本格的にカービィデビュー…というのはこの時代のカービィファンにはお約束のルートである。
(当時のシリーズの入口としてはアニカビとひかわカービィが二大双璧であった)

しかしながら、かくいう自分も全話視聴可能な環境になかった(=内容を思い出せない話がある)こと、記事を読んで興味を持った人が手を出すにはレンタル落ちVHS/プレミアDVDの2択はハードルが高すぎたということもあり、これまでは本ブログで語ることも避けていたのだが、こうして無事円盤がリリースされたので安心して語っていこうと思うのである。

最初に断っておくと、我は基本的にCSゲーム一辺倒なマニアであり、アニメについては門外漢もいいところである。アニメは今も昔も年に1本見れば多い方…とかそんなレベル。それゆえ『この作画がー』とか『このコンテの切り方がー』とか、そういうディープなハナシはできない。その点については事前に了承してほしい。

さて本作は2001年10月から2003年9月までの2年間に渡って放映された大人気ゲーム星のカービィ』をベースにしたテレビアニメ。ファンからの愛称は『アニメカービィ、或いはそこから更に略した『アニカビ』である。数あるカービィシリーズメディアミックスの中でもとびきり有名な作品であり、リアタイ勢でなくともそのウワサを耳にした人は少なくなかろう。

放送開始は毎週土曜の朝7:30から、今になって思うとよくリアタイできてたなというくらいには早い…。アニメ作中でも『こんな朝早くに見る人いるんですか?』とかいう自虐ネタが出てきたことも。なおそんな自虐に反して視聴率はそこそこ高かったらしく、平均視聴率は5%前後、最高視聴率は7.6%だったとか。

ちなみに当時はまだ『学校週6日制』の時代であったため土曜日にも学校があり、本作を学生時代にリアタイしていた層からは『アニカビを途中まで見てから登校していた』というハナシを聴くことができる。なお我もリアタイ勢ではあるが、放送開始当初は未就学児+入学した頃には学校週5日制になっていたため、その辺りの話題には置いて行かれてたり…。
(学校週5日制が公立校で導入されたのは2002年度から、ちょうどアニカビの放送時期と被る)

全100話とゲーム原作の30分アニメにしては中々の長寿作品であり、制作はCBC電通、それからア・ウンエンタテインメントスタジオ・ザインオーヴァーロード総監督は『ルパンVS複製人間』の吉川惣司が担当。みんな大好き強い星の戦士カービィが銀河の危機を救うため、ホーリーナイトメア社が送り込む魔獣と戦っていく…という内容で極一部の例外を除き1話完結型の作品である。

カービィが主役敵側にデデデどっちとも取れない位置にメタナイト、そして黒幕にナイトメア…という構図からわかるように、FCのシリーズ2作目星のカービィ 夢の泉の物語』が根底にある世界観となっている…が、ぶっちゃけるとアニメとゲームで共通しているのはその程度であり、キャラやノリ、設定まで含めてアニメオリジナル要素が極めて多く、実質的には『キャラだけ借りた別作品』という見方が主流

舞台となるのは本作オリジナルの『ププビレッジ』、一応設定上はポップスターのプププランドの中にあるらしい集落である。自称大王のデデデ大王が統治(?)しており、ゲームにも登場するキャピィをベースにした『キャピィ族』が生活している。豊かな自然に囲まれているのが特徴で、また本当に僅かだが車を所有している住人がいたり、コンビニや警察署があったりと文明レベルはけっして低くはない。またアニメ序盤以降は全住民の家にテレビも置かれるようになる。

『ププビレッジの日常が描かれる』『デデデが悪だくみする』『デデデが魔獣を買う』『魔獣とカービィが戦う』カービィが追いつめられる』『フームたちの機転でカービィが変身』『逆転勝利で一件落着!』というフォーマットが基本であり、シナリオ展開はいつも王道そのもの。

物語のレギュラーキャラは毎度おなじみピンクだまのカービィ自称大王デデデデデデ城の働き者ワドルドゥ&ワドルディ謎の仮面剣士メタナイトその部下ソードナイト&ブレイドナイト、料理人コックカワサキ、更にそこに本作オリジナルキャラであるフーム&ブン姉弟デデデの側近エスカルゴンナイトメアの窓口カスタマーサービスといった面々が加わる。ここに各話ごとのゲストキャラまで混ざって物語が動いていく

ゲストキャラは殆どが本作オリジナルだが、原作ゲームから登場するキャラもいる。『夢の泉』がベースにあるとはいったが、キャラ自体は当時の本家シリーズ全体からチョイスされており、チョイ役ではあるもののカービィ2のしもべたちカービィ3のポン&コンなども出てきたりもする。ただしカービィ64初出のキャラだけは不自然なまでに登場しない。コレについては当時から色々と物議を醸していたのだが、比較的近年になって別件の話題で『64のキャラは事情があって出せなかった』という旨のインタビュー回答があったため、おそらくソレ絡みが原因だったのだろう。
(この辺りは詳細不明な点が多いので推測もかなり含みます)

原作ゲームにおける敵キャラは本作では『魔獣』という設定で登場。本作における敵組織ホーリーナイトメア社が銀河を侵略するため『魔獣販売サービス』と称してププビレッジに度々送り込んでくる尖兵である。一部の例外を除いて意思疎通は行えない純粋な敵キャラで、基本的に登場した話のうちに倒され、以降再登場することもないため、戦隊モノの怪人とかそっち系の役回りである。

登場する魔獣はゲストキャラと同じく本作オリジナルのもの原作ゲームの敵キャラから引っ張ってきている例が半々ほど、ゲーム出典のキャラは攻撃方法は同じながらデフォの見た目が別物になったブロッキー(fromカービィ2)や逆に見た目はそのままでも攻撃がまるで違うバグジー(from夢の泉)といったように、アニメ登場の際に少なくないアレンジが施されている。たとえ原作では吸い込み一発で倒せるサスケ(fromカービィ3)などのザコでも本作では一話まるごと戦えるくらい強化されているので見逃せない。とりわけ原作の面影を微塵も残さないレベルで魔改造されたマッシャー(fromカービィ2)は今でも語り草。

カービィお約束のコピー能力はアニメでも健在。原作同様なにかしらを吸い込むことでコピー能力が発動、吸い込む対象は敵キャラでなくともコピーができる…というのがゲームとの違い。コピー取得時の変身シーンはバンクとなっているが、各コピーごとにバンク映像は異なり、それぞれの特色を生かしたもので見ていて楽しい。出番が1話だけの能力であってもしっかり変身バンクは作りこまれている

登場するコピー能力の数はかなり多く、恒例のソードファイアはもちろん、当時はまだ一作限りの能力だったニンジャミラーも起用。コックペイントなど原作で一発系だった能力もちゃんとバトル映えするようアレンジされている。当時はゲーム側でコピー帽子が設定されていなかったクリーンクラッシュは本作で帽子付きになり、クリーンは『スタアラ』で再登場した際に本作をベースにしたものが採用されたりした。なおクラッシュの帽子は本作オンリーの完全オリジナルデザインである。

また、放送当時はED後の『プププつうしん』というおまけコーナーで視聴者オリジナルのコピー能力を募集しており、採用されたコピー能力はアニメ末期にて実際に登場。軽くネタバレになってしまうがそのラインナップはウォーターアイアンバトントワリングトップの4種類。これらの能力は名前やデザインを変えつつ本家のゲームシリーズにも引き継がれ、ウォーターは幻の星のカービィGCを経て『星のカービィWiiに、アイアンバトントワリングも近いテーマのメタルスティックとしてそれぞれ『参ドロ』『スタアラ』へと登場を果たしている。トップは今のところ後年の作品に登場する気配はないものの、これもまた面白い能力であるため、いつかは陽の目を浴びて欲しいものである。

作品としての最大の特徴は2Dと3DCGを融合させたアニメであるところ。基本的にはバトルシーンのカービィは3DCGオンリーで、デデデ大王エスカルゴンと日常シーンのカービィは2Dと3DCGが混在ソレ以外のキャラはいずれも2Dとなっている。

3DCGをアニメ制作で用いる例は2001年時点でもある程度はあったらしいが、本作は2Dのキャラと3DCGのキャラが同一画面に共存する場面がかなり多いのが他と大きく違う点…にもかかわらず、絵面に違和感がある場面がほぼないのが驚かされる。デデデ大王のシーンなんかは2D3DCG2Dとカットと共に目まぐるしく切り替わるケースも少なくないのだが、急に3DCGになった時の不気味さのようなものは全く感じられない。3DCGも2001年~2003年のものにしてはかなりハイクオリティな部類であり、中でも末期の戦艦ハルバードのシーンは当時の3DCGでも頭一つ抜けた迫力がある。

本作のBGM…アニメ的には『劇伴』は本作オリジナルのものが中心だが、中期あたりを境にして『キャッスルロロロ』格闘王への道『プランテス』などゲーム側の楽曲をアレンジしたものも使用されるようになった。アレンジの出典は『スーパーデラックス』が多め。同じ曲でも複数種のアレンジが用意されているため、ゲームの方をプレイ済みだと『おっ!』となれる曲も多い。

オリジナル曲のクオリティもかなり高く、コミカルな場面からシリアスな場面までそれぞれのシーンにピッタリなBGMが流される。曲ごとにある程度使用される局面が固定されているからこそ、その曲を聴いただけでも『〇〇の場面の曲だ!』と思い出せる。曲名がハッキリしている中ではカービィは最高』『ポップスター』がイチオシである。アニメの顔ともいえるオープニング/エンディングはそれぞれ2曲ずつ。放送開始時点ではカービィ★マーチ』『きほんはまる』、ラスト半年に差し掛かる72話からはカービィ!』カービィ☆ステップ』に切り替わった。どの曲も極めて高い人気を獲得している。

また開発/制作時期が被っていたであろうカービィのエアライド』とはある程度楽曲が共有されていて、曲名こそ違えども双方で同じ曲が使用される場面も少なくない。流用曲の一例だと『チェックナイト』『強いぞ星の戦士』として、『バトルロイヤル』ワープスターとして使用されている。そのほかにもシティトライアルでのイベント曲はほぼほぼアニカビでも流れている。これらの楽曲がアニカビのサントラに収録+アニカビの作曲家である宮川彬良エアライド側のクレジットにスペシャルサンクス扱いで記載されていることを考えると、アニカビがエアライドの曲を使用というよりはエアライドがアニカビの曲を使用、といった感じだったのだろう。

余談だがカービィのエアライド』はエアライドモード以外のサントラが存在しないため、結果的にアニカビのサントラが数少ないエアライドの音源化ということになっている。…まぁそれでもエアライド・アニカビ共に全曲カバーできているわけではなく、アニカビ側にもサントラ未収録曲はそこそこ多い。個人的にアニカビで一番好きな『工場シーンやアニゲー戦で流れるBGM』が未収録だったのが当時残念であった。

ところで今更ながら重要なハナシを一つだけさせていただくが、本作を楽しむための最大の秘訣『ゲームをはじめ、他メディアのカービィとは別物』と事前に理解しておくことに尽きる。なんせ本作は原作ゲームから登場しているキャラであってもアニメ登場の折にかなり大胆に改変されているため、ゲームのイメージを引き摺ったままアニカビに手を出してしまうと『〇〇はこんなこと言わない』となりかねんのだ。

とはいえ漫画作品つばさカービィ(+Wiiノベライズ)といったメディアミックスを通し、数々のパラレル世界観のカービィを経験してきた近年のファンであれば『アニメとゲームは別物』と割り切って楽しむことに抵抗はなかろう。なお本放送当時はカービィというとゲームさくまカービィひかわカービィくらいしかなかった中に突如アニカビがぶち込まれる形であったため、困惑したファンが大層多かったそうな。

そしてアニメとゲームでキャラが違う筆頭こそがデデデ大王…否、デデデ陛下。前提としてこの当時のゲーム作品におけるデデデ大王の描写は『基本的にイタズラ好きの悪いヤツだが、本当にヤバイ時は助けてくれる』といった感じであった。初代や数々のスピンオフで悪役ポジを培っていたものの、直近の星のカービィ64』にて頼りがいのある一面を見せたのが大きかったのだろう。

さて、デデデ大王にそんなイメージがついて間もない時期に放映されたアニカビではどうだっただろうか?その性格を簡単に表すと『傍若無人『狡猾』『短絡的』『馬鹿』『自分勝手』の極みのような存在である。散々な言いようで申し訳なくなってくるが、コレは視聴者側が数々の描写を通してそう判断しているのではなく、最初から制作側が意図してそういったキャラ付けを行っているのだ。

この極めて強烈なキャラ付けにより、本作のデデデの評判はファンから真っ二つに分かれている。しかしながらその一方で本作の狂言回し役ということもあり、セリフ量・出番ともに作中の全キャラでもトップクラス。加えて声優さんの名演/怪演も相まって、とにかく印象に残りやすい。結果的にアニメのデデデはゲームのデデデ大王とは別方面に多大な人気を獲得するに至っている。ただしほんっとーに別物なのでゲームとアニメのデデデは混同して語らないようにすべし。ちなみにファンは区別のためにゲームの方を『デデデ大王アニメの方を『デデデ陛下』と呼ぶ人が多い。

デデデ陛下と同じくらいにアニカビで爪痕を残したキャラなのがコックカワサキ、この当時と言えばゲームでの出番はSDXとサブゲームとスピンオフのみと一部のファンしか知らないような存在であった。アニカビでは料理人という設定を生かしレギュラー入り…したのだが、こちらもアニメ化の折に派手に弾けてしまっている

アニメにおけるカワサキの特徴はそのあんまりにもな失言の多さにある。『なんとか努力しないで商売繁盛しないと』『計算できないとお釣りを誤魔化せて便利だね』などの人間性を疑うものから(ゴミ捨て場のフライパンを拾い上げ)餃子じゃんじゃん焼けるよ』『添加物いっぱいで腐らないよ』『占いよりオレの食中毒の方がよく当たるよ』などなど最早ギャグでも許されない料理人としてタブーの発言すらもちょくちょく飛び出す。そしてお察しの通り凄まじいメシマズ設定持ち

特にメシマズ設定は作中で度々料理を披露することから完全にそのイメージは定着してしまい、同時期のひかわカービィから後年のつばさカービィまでの多彩なメディアミックス、果てには本家本元の原作ゲームから、かのカービィカフェですら料理上手キャラとして描写されているにも関わらず、今なおコックカワサキ=メシマズとして語られることの方が多いほどである。むしろゲームでメイン級ではない(=挽回のチャンスが少ない)ことからアニカビによるイメージ被害の規模はデデデの比ではない

ただし一応フォローしておくと味付けが致命的なだけで技術力は確かに本物であり、終盤の回ではそこそこ上達しているそぶりもある。また正義感や料理に対するプライドもちゃんと持ち合わせているため、彼がメインとなる回ではカッコいい一面もめいっぱい見せてくれる。アニオリキャラでコックナゴヤ/コックオオサカという兄弟弟子/師匠も登場。本作独自の見どころがとにかく多いので、ある意味アニカビにおける最大の注目ポイントでもあるといえるかもしれない。

キャラの話が続いているが、本作のキャラはとにかくみんな強烈で魅力的。どんなキャラでも一度見てしまったら忘れられないくらいには濃い。ぶっちゃけレギュラー勢を全員語ってもいいくらいではあるが、そうなるといつまで経ってもこの記事は終わらないので、今回はあと一人だけ触れることにする。

その名はエスカルゴン。本作における敵陣営のレギュラー勢では唯一の完全アニオリキャラであり、デデデの側近を務めているカタツムリの科学者である。デデデともども悪だくみを画策してはカービィたちに嫌がらせをする…が割とデデデに対しても反抗的だったりすることもある。デデデともども声優さんのアドリブがかなり多くそれでいてキレッキレのため、単なるイヤミなヤツではない妙に味のあるキャラに仕上がっている。

アニメ作品であれば絶対触れるべき声優さんの話もしておこう。
まずはゲーム出典のキャラからだが、カービィは一足先にボイスが付いていたカービィ64(厳密にはスマブラが先)から引き続き大本眞基子が担当、カービィ64では生みの親(本作では監修)桜井政博氏がボイスを担当していたデデデは本職である緒方賢一にチェンジ。ほかのキャラは全て本作でCVが付き、レギュラー勢ではメタナイト私市淳コックカワサキ飛田展男ナイトメア銀河万丈。本作オリジナルキャラではフーム吉田小百合ブン小松里歌エスカルゴン龍田直樹となっていて、ゲーム原作/オリジナル問わずかなり豪華なキャストとなっている。

特徴的なのはとにかく兼役が多いことで、上記に挙げたレギュラーキャラの声優さんですら数多くのサブキャラ/モブキャラを兼任している。特に凄まじいのはコックカワサキ役の飛田展男であり、1話限りのゲストを含めると本作だけで最低でも20キャラ以上を演じている兼役による演じ分けもお見事であり、かの『星のデデデ』回において『カワサキがカブーの声優を任される』という中の人ネタをやるまで兼役に気付かなかったという人も多かろう。ほかにもパーム大臣・レン村長・キュリオ氏が長嶝高士氏メーム・メーベル・ワドルドゥ水谷優子による兼任だったり…。個人的に一番ビックリしたのはメタナイト・ボルン署長・オタキングのバンダナ男が私市淳氏の兼役だったことである。

本作のCV設定は(元からそうだったカービィを除き)本家のゲーム作品に取り入れられることは殆どなかったものの、スマブラXにてメタナイトとナックルジョー(アシストフィギュア)が登場した際には本作のキャストである私市淳氏と高山みなみ氏が採用されている。また本家ゲームでのメタナイトは一貫してスタッフボイスであるが、『Sカビハン』に登場したパラレル設定のナイトメアであるアナザーナイトメアがアニカビのナイトメア同様の銀河万丈氏ボイスになっていたりする。
(逆にスマブラのナイトメアはCVが異なる)

ところでアニカビが放送されたことでゲーム側にどんな影響が出たかも気になるだろう。アニカビによる本家ゲーム側の変化は多そうに見えて意外と少ないというのが実情。ぶっちゃけたハナシ、本作の放送から間もない時期のゲームでは『ゲームとアニメでイメージを統一させよう』という動きが感じられる部分があったのは事実である。一番わかりやすいのはメタナイトの扱いで、本作で明確な味方キャラとして登場したのを皮切りに同時期の鏡の大迷宮をはじめ、以降全てのシリーズ作で『事情により敵対することもあるが基本的に味方』というポジションが定着するようになった。

メタナイト以外でも『タッチ』にてワドルドゥが『ドゥ隊長』と呼ばれる『参ドロ』にてデデデ城のデザインがアニカビ準拠になる、デデデ戦の背景に魔獣デリバリーシステムがあるといったアニメ要素が取り入られ、『毛糸』ではデデデの口調がアニメと同じ『〇〇ぞい』となっていた。とりわけ北米版の『夢デラ』に至っては実際のゲーム内容にほぼ関係ないのにカセットのラベルやパケ画にアニカビの画像を使用するといった謎ムーブを決めていたりもする。

ただし、この流れは当時かなり否定的な意見が多かった。まぁここまでの記事を読んでいただけるとわかる通り、根本的に『アニメとゲームは別物』であり、分けて楽しむならばともかく両者を同一のものとして扱うのはアニメ・ゲームのどちらに傾倒していても、またその両方が好きであってもいささか難しいものであったのだ…

というわけで近年ではアニカビと本家ゲームの間には明確な線引きがされており、ゲーム側にアニカビネタが出る時もUSDXメタナイトのヘルパー呼び出しでソード/ブレイドが出る』『スタアラのアドレーヌ(アニカビ未登場)の敵召喚技でアニオリキャラのオクタコンが出てくる』といった、元々のゲーム側設定を崩さない範囲での出番に収まっている。

唯一の例外といっていいのが2011年発売のDSのあつめて!カービィであり、サブゲームであるカービィマスター』と『空中探検隊EOS』ではなんとアニメオリジナルキャラのコックオオサカやマッチョサン、エスカルゴンカスタマーサービスのほか、後述する特別編のカブキカービィまでもが登場するというまさかまさかのアニカビファン救済作品であった。あろうことかマッチョサンに至っては専用曲まで引っ提げての起用である。

余談だが2010年代初頭はアニカビのファンが妙に救済された時期でもあり、2011年に上記の『あつカビ』がリリースされたほか、2012年には『スペコレ』にアニカビの3話が厳選収録され、また全100話分のあらすじや資料を掲載したムック本『プププ大全』まで発売されるというミラクル続きであった。

さて、世間一般における本作の扱いは一言で表すと『ブラックジョーク&パロディ全開、カオスでシュールな社会風刺ネタアニメというもので大体一貫している。実際には後述するようにそれらは本作が持ついち側面でしかないのだが、まぁわざわざ否定するほど間違っているというワケではない。実際本作には作中の随所でかなり際どい描写が頻出する

例えばキャラクターに限ってもアニメ作家オワルトデゼニー(ウォルト・ディズニー)ファンタジー作家ローリン(J・K・ローリング)とある暴動を止めるために呼びだされるモウ・タクサン(毛沢東)などなど。その周囲のワードもソレに因んだネーミングが用意されており、『これカービィでネタにしていいヤツ?』と素で心配になるモノが多い。この辺りはまだ普通?のパロネタの範疇であるが、セリフになると更に黒い部分が隠れなくなってくる

セリフでは『環境破壊は気持ちいいぞい』産業革命尊い犠牲となるぞい』『国家ぐるみの場合は犯罪にならんぞい』『何をやっても許されるのが特権階級ぞい』『歴史はスタジオで作られる』といった挙げていったらキリのないヤバい発言が凄まじい頻度で飛び出すことになる。しかも先に挙げたものは全てゲーム出典の原作キャラのセリフだというのだから恐れ入る。

パロディについては危うい箇所こそ少ないながらも、改めて見直すと演出やカメラワークまでその全てに至るまでが忠実に元ネタをパロっている箇所がかなり多く、その再現度に感服する一方で、明らかに(当時の)カービィのメイン視聴者層に合っていないパロネタのチョイスに驚かされるばかり。まぁ子供たちと一緒に見ていたであろう親御さん向けのネタ…ということにしておこう。ガッツリパロられた中でネタ元がわかりやすい例だと『サイコ』ジュラシック・パーク風と共に去りぬ『生きる(黒澤明)あたりがソレ。

本作の攻めた描写の数々は一部の層から『和製サウスパーク』だとか呼ばれたりすることにも繋がった。ぶっちゃけ下手すると放送開始までの約10年間でカービィシリーズが築き上げてきたブランドイメージすらも毀損しかねないレベルのカオス&フリーダム具合であるが、内容そのものはしっかりカービィの開発元たるHAL研究所の監修を受けており、生みの親である桜井政博氏も全話分の脚本をチェックしていた旨を語っている。そのため、攻めた内容ではあるものの本当の意味で一線を越えてしまうようなシーンはないのでご安心あれ。

ところで、先に挙げたように本作はブラックジョークやマニアックなパロネタが多数目立つ作風であるがゆえ、後年語られる時もそちらを中心とした話題になることが多いのだが、『カオスアニメ』というのはあくまで本作が持ついち側面に過ぎないということは声を大にして伝えたい。確かに攻めた描写は間違いなく多いのだが、実際にそれ一辺倒の作品であるというワケではなく、真っ当に平和な話だとか心温まる話感動できる話考えさせられる話も相応に多い。

中には救いのない現実を突き付けるかのような終わり方をするシビアな回もあり、普段の勧善懲悪ないしはギャグ回とのギャップも相まって、視聴者の心に消えない傷跡を刻み込んでくることもあった。当時の視聴者でも『誕生?カービィのおとうと』『さよなら、雪だるまチリー』といった回を忘れられない人は多かろう。

またパロディや社会風刺が主体でカオス回として扱われがちな話でも、形はどうあれ現代にまで通ずる社会問題をきっぱり描いており、『子供だから軽い内容でいいや』ではなく、『子供にもしっかりこの問題を考えてみて欲しい』と押しつけがましくならない範囲で考えるきっかけを与えてくれる内容になっている。合計3週に渡って体罰を振るう教師』『不良生徒による学級崩壊』『教師の社会的な立場の弱さ』といった学校を取り巻く問題を扱う『魔獣教師』シリーズはその最たる例。

捏造された映像をテレビで報道されたことでカービィが住民から孤立してしまう『お昼のデデデワイドをつぶせ!』などは当時もさることながら、『与えられた情報を鵜呑みにしてしまう』ことに対する警鐘として現代の人々にも大きく刺さる事であろう。また舞台が自然の豊かなププビレッジということもあり、『私利私欲のために森林を伐採する』レベルのシンプルでわかりやすいものから、産業革命で住民が豊かになる代わりに排気ガスで枯れ果てていく自然』というものまで環境問題をテーマにした回は特に多い。

なお本作での悪事は主にデデデ・エスカルゴンの2人が主体で執り行われるが、元凶はそいつらであっても被害を拡大させているのはほかでもなく思慮の浅いまま彼らの口車に乗せられ、無意識のうちに利用されている(或いは気付いていても声を挙げない)住民たちである。産業革命がテーマの回において住民たちを切り捨てるメタナイト『愚か者たちは痛い思いをしなければ理解できない』、キュリオの『真実を叫ぶ者は常に僅かじゃ。大多数の人々には理解されない』というセリフはある意味本作を端的に象徴しているといえるだろう。メタはともかくキュリオは別の回だと普通に利用されるポジションだったりもするが。

本作の社会風刺は『こういうのあって困っちゃうよね』的な一過性の時事ネタとして風刺を消費しているのではなく、社会問題を子供にもわかりやすく噛み砕き、『こういう問題があって、こういう考え方があって、でもこっちの考え方もあって…』とその事象による功罪をハッキリさせたうえで視聴者である子供たちに『考えさせる』ことを目的としているのがよく伝わってくる。そういった意味では本作はこれ以上ないくらい真の意味での『社会風刺アニメ』といえるのかもしれない。

本作はとにかくたくさんの魅力や特徴を抱えているアニメである。子供向けらしい『勧善懲悪ヒーローもの』であるし、上に挙げたような風刺などもバリバリに効かせた『社会風刺・ブラックジョークアニメ』として扱え、やたらマニアックなパロネタを指して『カオスアニメ』と称されることだってある。それゆえに本作をどう言い表せればいいものやら、この記事を執筆する際にも頭を抱えるハメになってしまったのだが結局のところ、スタッフや監修の桜井氏が本作を指す際に使う『戦うホームドラマという表現がこれ以上ないくらいしっくり来る。

ホームドラマ』というのは家族や家庭の関係・絆をテーマにした作品のこと。本作は宇宙からやってきた赤子同然のカービィが少しずつフーム・ブンを中心にしたププビレッジの住民たちに受け入れられ、そして良いところも悪いところも併せ持つ人々の中で大切なことを学んでいく内容であり、ププビレッジをひとつの『家族』として見るのであれば確かにこの表現は的確である。

最後に今回とうとう発売するに至れた悲願のBDボックスについて紹介させていただくとしよう。最初にも触れたが正式なネーミングは『アニメ「星のカービィ」HDリマスター版 まるごとコンプリートBOX』で、文字通りアニカビの全100話をHDリマスターして収録したボックスである。

(アニカビBDの直販サイト、度々ここをチェックすべし)

先んじて大事なハナシをしておくが、今回のBDボックスはValueMall(通販サイト)での直販限定となっている。仮にAmazon楽天メルカリヤフオクほかその他諸々のネット通販サイトで出品されていたとしても、そやつらは転売屋なのでガン無視してValueMallに向かうべし!!
(Amazonのアフィリンク貼ってるヤツにあるまじき発言)

本記事の執筆時点では一般販売分も売り切れてしまっているが、今の時点ではまだ再販の目も見込めるだろう。第一次先行受注が即死し、第二次先行受注でもそこそこ好調、そこから来ての一般販売分も第一次とほぼ同じ速度で完売したので、需要はきっと伝わっているハズHAL研究所と株式会社ワープスターを信じたまえ

ディスクはDisc.1~Disc.10までの全10枚組。基本的にディスク1枚ごとに10話ずつ収録されているのが地味にわかりやすい。Disc.9のみ11話収録だがこれは90-91話が前後編なためなのだろう。全100話分がOP/ED、次回予告と共に収録されており、『プププつうしん』はDisc.10に特典映像扱いで一部をカットしつつ纏められている。前述したように本作は際どい描写がかなり多いのだが、今回の円盤化ではコレといった規制や修正は行われておらず、放送当時そのままの映像。強いて言うならオリジナルコピーが登場する場面で採用者の名前がカットされている程度である。特典映像ではこういう円盤ではお約束のノンクレジットOP/EDのほか、ED後のおまけコーナー『プププつうしん』、ある意味有名な特別編『倒せ!!甲殻魔獣エビゾウ』北米版アニカビこと『Kirby: Right Back at Ya!』の第1話知る人ぞ知る星のカービィ PILOT』が収録されている。

『プププつうしん』ED後のおまけコーナー、これまで(日本向けの)ソフト化はされてこなかったので見返すには当時の録画テープ以外の手段がなかったところ、まさかの収録である。プププつうしんは全部で100回あるのだが、今回はそのうち17回分を収録。より具体的には第35回までのおたより受付やプレゼント告知を除いた全ての回と、ラストとなる第100回が抜粋されている。視聴者が参加するタイプのものは最初から諦めていたが、欲を言えばエアライドなどのゲームの宣伝回は収録してほしかったなと思わないでもない。まぁ贅沢な悩みではあるが。
(収録外のプププつうしんの内容はカービィWiki様を参考にさせて頂きました)

『倒せ!!甲殻魔獣エビゾウ』2008年に一部のイベント会場でのみ放映されたフル3DCGの完全オリジナルストーリー。後にWiiの『Wiiの間』、3DSの『ニンテンドービデオ』にて無料配信されたため、アニカビをリアタイできなかった層でも本作だけは見たことあるという人も多いハズ。

しかしこちらはソフト化などが一切行われてこなかったため、上記の配信サービスが終了したその瞬間からアニカビの中でも唯一『正規の視聴手段が100%存在しないアニメ』と化してしまっていた。それゆえに今回のBD収録はありがたい。最終回から実に5年後に制作された作品ではあるが、そのノリは紛れもなくあの頃のアニカビそのもの。本編ともども楽しむべし!そしてみんなでカブキカービィに( ゚д゚)となろう。

続いては北米版アニカビ『Kirby: Right Back at Ya!』の第1話、まぁこれは文字通りの北米版がまるごと1話視聴できる。『ただの海外版じゃないの?』という油断は禁物。北米版のアニカビは日本のものと音響周りがまるっきり違うのだ。BGM・SEともに別物に差し替えられているため、各シーンの印象がだいぶ異なるモノになっている。OP/EDも日本とは違う曲で、そのノリはさながらコメディ・ショー。リズミカルに各話の映像を継接ぎした公式MADのOPは一度は見てみて欲しい。日本の1話と同じディスクに収録されているので比較もしやすかろう。

そして最後に星のカービィ PILOT』、コレはいわゆるパイロット版…つまりアニメ会社がアニカビのイメージを固めるために制作したプロトタイプ版である。言うまでもなくテレビ放送などはされなかったものの、一度だけファミ通キューブ+アドバンス』の付録として収録されたことがあり、ファンの中での知名度はそれなり。

キャラのセリフなども存在しない短めの内容であるが、この時点で2Dと3DCGを両方使用していたり、フーム似のオリジナルキャラの少女がいたりといった後のアニカビに繋がる要素がチラホラある。時期の都合なのかカービィとデデデのデザインが『夢の泉』『カービィ64』風味なのでちょっと不思議な感じ。

メインの登場人物はカービィ・デデデ・オリキャラの少女のみであるが、終盤に敵キャラとして原作キャラがいっぱい出てくる。ほぼほぼ一瞬の出番だがアニカビに出てこなかったキャラもいるのでゲーム側の…とりわけ数字カービィのファンは必見アニメ映像でダークマターが出てくるのは本作のみあとイフリーティだのMr.ピー・アンプキンだのやたらとチョイスがマニアック。

先に挙げたように一度は雑誌の付録で一般人にも公開された映像ではあるのだが、この時代のゲーム雑誌というのは新刊(ファミ通キューブ+アドバンスは月刊)が出るとバックナンバーは公式通販以外で手に入らなかったため、出回りはそこまで良くなかった。そのためこうして改めて収録してもらえたのは資料的価値の観点から見てもありがたいところ。

物理的なオマケでは『アクリル万年カレンダー『第1話のストーリーボード』、それからスペシャルブックレット』が同梱。ストーリーボードというのはいわゆる絵コンテ集、なんと第1話の冒頭からラストシーンまで345カット分正真正銘全ての絵コンテが掲載されていて、ファンにとっては実にたまらない代物である。スペシャルブックレットには『プププ大全』からの再録も含めたアニカビにまつわる設定資料と全話分のあらすじ、更に本作のキャスト陣へのインタビューが掲載されている。

注目すべきはやはりインタビュー。インタビューに答えてくださっているキャストさんは大本眞基子(カービィ役)吉田小百合(フーム役)小松里歌(ブン役)緒方賢一(デデデ役)龍田直樹(エスカルゴン役)私市淳(メタナイト役)の6名。このインタビューにはがっつりページが割かれており、キャストの皆様方のアツい思いが当時の貴重なおはなしと共にガッツリ語られている。アニカビはかれこれ本放送から実に20年近くが経過している作品であるのだが、20年越しにオリジナルキャストの方々が本作について言及してくれることの嬉しさは計り知れないものがある。

当時の内容そのままに綺麗な映像になった全100話、幻と消えかけていたパイロット版と特別編キャストの貴重なおはなしが聴けるブックレット…これだけの豪華な内容であるにもかかわらず、お値段はなんとたったの49500円!破格のお安さである。ちなみに一般的なアニメのBDボックスの相場はよく知らんのでなんともいえないのだが、アニメ業界としてもかなり安い部類であるらしい。

20年という時を超え、ついに蘇った平成の名作『星のカービィ!その面白さは令和の時代でも衰えを知らず、大人になった今見返しても笑わせて、そして泣かせて貰えるのである。本作は子供もさることながら、大人だからこそわかるネタも多く、幅広い年代にオススメできる。当時アニカビに慣れ親しんだ人も、そしてアニカビよりも後の時代にカービィを好きになった人にも本作を楽しんでほしいのである!!

そしてHAL研究所様ならびに株式会社ワープスター様…一度は採算が取れず打ち切られ、売上が見込めるかどうかが正直怪しかったであろうアニカビの円盤化を叶えてくださり、本当にありがとうございました!!!

 

『星のカービィ(アニメ) サントラCD』のAmazonページ

『星のカービィ プププ大全』のAmazonページ

 

---オマケ---
折角100話全てが見られるようになったので、
我DENRYUこと物好きな自称ゲーマー的な
『アニカビこれだけは見ておけ15選』を以下にリストアップする。
ぶっちゃけハズレ回などは一つもないので全部見て欲しいが、
全100話はかなり多いので、忙しい人向けに15個をピックアップした。
それでは最高のアニカビライフを!!

第5話『怒れ!ウィスピーウッズ
第6話『見るぞい!チャンネルDDD』
第15話『誕生?カービィのおとうと』
第26話『忠誠!ソードとブレイド
第35/36話『栄光のプププグランプリ 前後編』
第41/42話『メーベルの大予言! 前後編』
第51話『センチメンタル・カービィ
第61話『肥惨!スナックジャンキー』
第77話『ロイヤル・アカデデデミー』
第80話『強壮!ドリンク狂騒曲』
第82話『合体ロボ リョウリガーZ!』
第89話『オタアニメ!星のフームたん』
第92話『ワドルディの食文化大革命
第95話『デビル・カービィ!』
第96/97話『ワープスターの危機! 前後編』

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