11年の時を経て復活した名作ARPG、
『すばらしきこのせかい -Final Remix-』。
今から11年ほど前、スクウェア・エニックスよりリリースされたARPG、
それが『すばらしきこのせかい』(略して『すばせか』)である。
2画面が最大の特徴であるニンテンドーDSの機能をフル活用したゲームシステムと、
ノリノリになれる良質なBGM、起承転結がキッチリ描かれるストーリー、そして、
どことなく中二で、どことなく引き込まれる魅力的な世界観が特徴のゲームである。
自分も、6年ほど前に今作をプレイしたのを覚えている。
(発売当時の時点ではプレイしていなかったハズ)
当時は裏ボス直前で投げてしまっていたが、それでもDSで発売されていたARPGの中で最高傑作なんじゃないかとずっと思っているぐらいの良作に感じた。
しかし、シリーズ展開などはされず、長らく取り上げられる事もなかった。
…が、発売から5年後にリメイク作である『SoloRemix』がスマホ向けに配信され、『キングダムハーツ3D』でなんと今作のキャラが登場するという謎の大抜擢を受けた。
(これで『すばせか』を知った人も多いと思う。自分もそう。)
自分はスマホ版は未プレイ(というより、android向けに配信されていたことを知らなかった)のため、細かいことは知らないので、この記事ではスマホ版には特に触れない。
スマホ版の配信からはや6年、ついにニンテンドースイッチにてついにこの、『FinalRemix』が発売した。
で、今作はスマホ版のリメイクである。
流れとしては『DSリメイクのスマホリメイクのスイッチ版』という立ち位置。
ベースになっているのはスマホ版なので、DS版とは大きくゲームシステムが異なる。
(少なくともDSと比較すると99%違う)
そもそも今作は主人公である『ネク』と『パートナー』のタッグで戦う。
DS版では上画面のパートナーを十字キーで、下画面のネクをタッチで操作するという共闘システムになっていた。
今作では基本的に操作するのはネクのみ、特定の操作を行うとパートナーが一時的に一緒に戦ってくれるというシステム。
光球リレーのシステムもなくなり、必殺技ゲージの上昇方法も変わった。
また、全ての敵味方が一画面に表示されるようになったのでボス周りはDS版の演出を引き継ぎつつ大きく異なる攻略を要求される。
このため、DS版プレイ済みのプレイヤーでも完全に別物として楽しめる。
DS版の時点で大量に存在していた楽曲はごくごく一部を除いて殆ど続投。
『原曲』『スマホ版での追加曲』はもちろんのこと、ほぼ全曲にアレンジ版が用意され、なんと『キングダムハーツ3Dのすばせか曲』もオマケで選択できる。
無論、新規の楽曲もあり、どれもこれもクオリティが高い。
今作の一番の目玉要素と言えるのは、『Joy-Conを使用した2人プレイ』と、完全新規シナリオの『A NEW DAY』である。
2人プレイはそもそも一緒にプレイするプレイヤーもいないので、細かいことは書けないが、ソロでの2人プレイで満喫した事を書くことにする。
ソロ2人プレイという言葉だけ聞くと、多分意味が分からないと思う。
今作の操作方法は『携帯モードでのタッチ操作』と『TVモードのポインタ操作』の2種類。
2人プレイはプレイヤーが互いにJoy-Conを持ち、ネクとパートナーを個別に操作する。
ソロ2人プレイはこのJoy-Conを両手に持ち、一人でネクとパートナーを動かすというもの。
『ソロ2人プレイ』とかいう名前からして完全に矛盾しているような操作だが、これが意外となんとかなるし、面白い。
両手を使って全く異なる操作をしつつ、ネクとパートナーで共闘することができる。
操作難易度自体は間違いなく一人プレイよりも高くはなるが、この方法でしか使えない技やテクニックも多く、ゲームとして一番『すばせか』感ある遊び方ができる。
後述するポインタのズレのせいでたまにイラっとすることもあるが、是非とも色々なプレイヤーにオススメしたい操作方法である!
『A NEW DAY』は本編の後日談とも言えるストーリー。
本編でとある条件を満たすとプレイできる。
これまで、平和になった後のネク達については断片的にしかわからなかった。
(DS版の時点でANOTHER DAYというものがあるが、これはパラレルなので少し違う)
それを短めながらも知ることができる、という点でこの『A NEW DAY』は非常にありがたい。
自分が今作を購入したのはこの追加シナリオが目当てである。
また、『A NEW DAY』中には『ディゾナンスバトル』という通常プレイとは一風変わったバトルを行う。ディゾナンスバトル中は勝手にネクの体力が減ったり、放っておくと敵が分裂したり、触れると大ダメージのボールが出現したりといった現象が発生する。
このため、本編バトルよりもずっと難易度は高いが、これまでと違った面白さがある。
総合的にみてDS版プレイヤーでも新規プレイヤーでも十二分に楽しめる素晴らしいゲームであることに間違いはない。
ただ、不満点が一切ないわけじゃない。
第一に、やっぱり操作性についてが挙げられる。
タッチ操作はそこまで悪くないのだが、ポインタ操作が割とズレる。
さっき書いた『ソロ2人プレイ』が原因かと思っていたが、一人プレイでも普通にズレていくので多分仕様。
ポインタ操作中はYボタンで画面中央にリセットできるものの、修正して間もなくまたズレてくるのでこれが地味にキツイ。ポインタ操作でもタッチと同様の操作、つまり繊細な操作が要求されることが多いので、割と只事じゃない。
次に、『A NEW DAY』について。
これ、少なくとも自分はコレで問題ないと感じている。
けど、コレを不満に感じる人もいるんじゃないかなとは思う。
ここからは割とネタバレ感想なのでこれからプレイするのならこの部分は飛ばしてほしい。
『A NEW DAY』の内容自体はすばせからしいセリフ回しと、短いながらもよく纏められた物語が素晴らしく、非常に面白かった。
…のだが、肝心のラストが純度100%の続編エンドである。
随所に挿入される『新宿の少女』『死神ココ』『インバージョン』などの伏線は数多くあるのだが、それらが回収されることもなく終了してしまう。
発売前のPVで1瞬だけ映り期待されていたゼタ様復活が本当の意味でのラストシーンだったのが悲しい。
追加のシークレットレポート*で細かく説明がされているかと思いきや、伏線を増やすだけである。
*シークレットレポート
DS版から存在する要素。
特定の条件を満たすことで今作の裏設定を知ることができる。
『A NEW DAY』は『本編後のエピローグがプレイできる』と期待すると肩透かしを食らってしまう。どっちかというと『一足先に続編のプロローグを遊べる』と期待するのが正解である。
続編エンドに行きつくまでの物語は素晴らしいので、続編さえ出てくれれば不満はない…というのが正直な感想である。
同じスクエニ系でも『キングダムハーツシリーズ』は時間こそかかったがキッチリ続編を出してくれているので今作の続編にも期待はできる…が、時々続編エンドやった上で続編が発売しないというトンデモナイ代物があったりすることもあるので不安である。
とりあえず続編が発売してくれないとネクが生死不明のまんまなんで困る。
ネタバレ感想終わり。
DS版とスマホ版のいいとこどりをしつつ、スイッチならではの進化を遂げた今作、やはり何年たっても名作は名作なんだと感じた。
良質なシナリオにBGM、ボリュームに世界観、システムとどこを取っても満点なゲームなので、これを機に多くのプレイヤーにプレイしてほしいと感じた。
そしてもっと売れて続編に繋がってほしい!
---オマケ---
ココのデザインは初めて見たけど表情豊かで可愛らしくて好き。
続編にも出てくるっぽいし、これからも楽しみである。
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