いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

螺旋麗嬢 スパイラルお嬢様 超髪のマキナ

『お嬢様』、諸君らはそのワードからどのようなキャラを連想するだろうか。いや、具体的には答えなくていい。我が聞きたいのはそこではない。…さて、諸君らの思い浮かべたお嬢様…その『髪型』はどんなものだっただろうか?…もしや、金髪縦ロールとかそういうこってこてなお嬢様だったりしたかもしれないだろうか?…そういえばお嬢様キャラのテンプレデザインってほぼほぼ完成されてるけど初出はなんなんじゃろ、意識したことがなかったな…。

まぁそんなボヤキはひとまずさておき今宵語るゲームはこちら、『螺旋麗嬢 スパイラルお嬢様 超髪のマキナ』!!本日はクリスマスイブということもあってできる限り華やかな作品をチョイスしたぞよ!!…いやまぁタイミングの都合でクリスマスにかこつけただけでクリスマス回ってワケではなかったり…。

とにもかくにもガッツリ語っていくとしよう。本作は今年の12月のはじめにリリースされた作品である。…結局10月から12月にかけて購入した新作パッケージ作品はほぼ全部ブログで語る感じになってしまったな。それだけ魅力的なゲームが揃っていた理由の証明になるのであんまり悪い気はしないけれど。
(ソニックスーパースターズ龍が如く7外伝ゆめいろユラムAir Twisterコレ)

プラットフォームはNintendoSwitchのみ。この時代にプラットフォーマー以外で特定プラットフォーム限定という作品は結構珍しいかも。あとゲーム内容には関係ないハナシをすると、今回は初めてゲームショップ1983というサイトを利用して購入したのだが中々面白いところであるな。どう面白いかは利用してみればたぶんわかると思うのである。

開発・販売を担当するメーカーは…シルバースタージャパン。我は本作のメーカー名を目にした時、おもわず三度見くらいしてしまった。何故ならばこのメーカーにアクションゲーム・パッケージ・フルプライスのどの印象も全く存在しなかったからである。シルバースタージャパンというのは元々PC向けのゲーム・非ゲーム問わず様々なソフトを開発していたところで、CSゲーム業界では2010年代あたりに頭角を現してきたゲーム会社である。一番の代表作といえばやっぱり社名まで冠している『銀星将棋』『銀星囲碁』シリーズだろう。

今も昔も数多くの囲碁・将棋のゲームを幅広いプラットフォーム向けにリリースしているため、囲碁・将棋ゲームといえば真っ先にその名が挙がるであろうほど特定の界隈において確固たる存在感を放っている。なおCSゲームにおけるホームグラウンドはDSiウェア3DSウェア、VitaやWiiUなどのダウンロードソフトといったところで、そこでは先に挙げた囲碁・将棋に限らずタッチバトル戦車などを筆頭に華やかさとはほぼ無縁ながら低価格でライトに楽しめる作品を数多くリリースしていた。まぁたまには『ラビ×ラビ』シリーズとかもあるにはあったが。

……ね?無骨・低価格・ライトなミニゲームを貫いてきたメーカーが急にこんな華やか・そこそこのお値段・ガッツリしたアクションゲームをパッケージでリリースするとか『あの会社に何が起こったんだ!?』ってビックリするでしょ?
(一応本作より前にDLソフトの詰め合わせだがラビ×ラビのパケ版とかは出している)

そんな感情に突き動かされる形で気付けば我も本作を予約していたのだ。無論ファーストインプレッションで引かれたのはタイトルとキャラ方面なのはそうだけど…。というか当の公式も開き直ってこのギャップをウリにしており、公式X(Twitter)でも『将棋メーカーがまじめに作ったお嬢様アクション』とか書かれている。見事に釣られてしまった…。

さてさて、本作はオーソドックスなステージクリア型の2Dアクションゲーム。操作にはスティックによる通常移動のほか3種類のボタンを使用、スティック入力+ボタンの組み合わせで多彩なアクションが使用できる。こう書くと操作が複雑なように思えるかもしれないが、いざプレイしてみると結構シンプルで遊びやすい。いわゆるコマンド入力などの類も存在せず、全てのアクションが1ボタンで使えるためシンプルかつ直感的に操作可能。まぁちょこっと不満点がないかといえば嘘になるが(後述)。

そのタイトルからもわかるように主人公はこってこてなテンプレお嬢様『カミナガ・マキナ』!本作では彼女を操作し、様々なアクションを駆使して敵を蹴散らしゴールを目指していくこととなる。このマキナお嬢様、普通のお嬢様とは一線を画す特徴がある。なんと伸びるのだ!…何がって髪が。そう、マキナお嬢様のメインウェポンはずばりお嬢様のアイデンティティ(?)たりうる金髪縦ロールである!本作では髪を用いた様々なアクションが魅力なのだ!!

マキナお嬢様はモチロンお嬢様らしいお嬢様アクションが使用可能!先に挙げた通りBボタン+スティック入力の組み合わせで発動する。例えばデフォルト設定ではBボタンでパンチからの連続技、横+Bでヤクザキックお嬢様キック、上+Bでお嬢様アッパーカット、下+Bでお嬢様スライディングといったところ。これらは空中で使用するとまた異なるアクションになる。上下左右入力+Bボタンというところから『スマブラ』シリーズのソレをイメージすると伝わりやすいか。

Bボタンで使用できるお嬢様アクションは全てが攻撃技、立ちふさがる敵は華麗な体術で退けてしまうべし。アクションによって攻撃の持続時間・威力が異なるため状況に応じた使い分けは大切。攻撃中に移動できるお嬢様スライディングやお嬢様アッパーカットはもちろん、空中で下+Bで使用できるお嬢様急降下キックは攻撃だけでなく通常よりも素早く降下できるので、敵がいなくても役に立つ局面はそれなりに多い

そしてここからが最大の魅力!ZRボタンを押すことでマキナお嬢様は自らの髪を伸ばすことができるのだ。伸ばす方向はスティックによって自由に変更でき細かな微調整もOK。伸ばした髪が壁に刺さった場合、その位置に高速で近づいたりワイヤーアクションのようにぶら下がったりが可能。壁にくっついた後は壁キックもでき、そこからすぐに髪を伸ばして上の壁に…といったこともできるので、壁さえあるのであれば(移動可能な範囲なら)どこまででも進んでいけるのが特徴である!

伸ばした髪が敵に刺さった場合、『巻髪技』という特殊なアクションが発動。デフォルト設定での巻髪技『全力お嬢様スマッシュ』は高速で敵との距離を詰めて攻撃する代物なのだが、敵に近付いている間は完全に無敵(=途中に敵弾などがあっても無視する)という代物なのでシンプルながら超強力!ステージ攻略では間違いなく猛威を振るうことだろう。

地上・空中・そして巻髪技といった各種アクションは3種類から任意のものを選択してカスタムする形式。アクションのセットは2スロット用意されていて、ステージ攻略中にZLを押すだけですぐに切り替えられる。スロット1に移動重視やスピード重視、スロット2に威力重視…といった風に適宜使い分けるようにしたいところ。アクションは初期状態だとデフォルト設定の1種類しか選択できないが、ステージ内にあるPカプセル(後述)を入手することでひとつずつ解禁されていく。自分に最適なお嬢様アクションのセットを作り上げるべし!

移動操作がスティックでしか行えないのは操作周りの数少ない不満点。…というか先に挙げたようにお嬢様アクションのコマンドが『上下左右入力+Bボタン』なのでスティックだと意図しないアクションに化けやすいのだ。一応特定局面で十字ボタンは使えるが、スティックでも代用できるという扱いであり、これには『スティックと十字ボタンの扱い逆では?』と思ってしまったり。しかしよくよく考えると髪伸ばしはスティック入力前提のアクションなので悩ましいところ…。

あと良くも悪くも巻髪技が非常に強すぎるのは気になるところ。どれくらい強いのかというと…慣れてくると巻髪技しか使わなくなるくらいである。近接攻撃や空中攻撃を使うよりも密着して髪伸ばし→巻髪技の方がハイスピードかつ安定して攻略できるからである。まぁ髪で掴めない敵には他のアクションが必須なのだが、そういった対象はごく一部のボス格だけなので…まぁ巻髪技頼りになってしまうのだ。

冒険の舞台となるステージは序盤こそ狭めだが終盤になるにつれて大きくなっていく。一般的なゲームにおけるワールド的なポジションは『エリア』と呼ばれ、本作では全50面・7エリアが用意されており、総合的なボリュームはそれなりに多め。各エリアにはサブタイトルもついていて、その内容はどことなくロボットアニメ感溢れるダイナミックなノリなのでこれまた楽しい。

各エリアの最終面のみステージ道中のクリア後にボス戦も控えている。特筆して仕掛けの種類が多いというわけではないが、ちょうどエリアの切り替えタイミングにて砲台や移動床・スイッチなど新たなギミックが登場するので、ちゃんと飽きが来づらくなっているのは好印象である。
ロード中はカワイイお嬢様の姿が見れるものの、ステージ開始時のロードがちょいとばかし長めなのは難点か。ただ長いのはステージ選択→開始までのロードだけでリトライならば早めなのが救い。

ステージクリアのタイミングでその時のプレイがC-Sの4段階評価でランク付けされる。目指すは言わずもがな全ステージSランク。高ランクを目指すうえで一番大事なのは『コンボ』を持続すること。本作では敵を倒してから一定時間内に別の敵を倒すとコンボが加算されていく。コンボ継続を意識したプレイになると必然的にハイスピードかつステージ全土をスタイリッシュに飛び回ることになるので非常に楽しい。

ひとつのステージにつき3つのアイテムが隠されており、コレを見つけ出すのがやりこみ要素として用意されている。アイテムはアクションが増える『Pカプセル』最大体力が増える『ハート』世界観への理解を深められる『ヤブミレポート』の3種類で、取得した状態でステージをクリアすれば正式にゲットできる。スコアアイテムとしての役割もあり、一度入手したあとでも再取得は可能である。

こういったアイテムにありがちな『わかるか!』という位置に隠されているケースは稀であり、『ここなんかありそうだな』『ここ頑張ればいけそうだな』と感じられるところにあることの方が多い。3つのアイテムをスムーズに回収できるルートを考えるだけで結果的にハイスコア・高ランクへの道に近付けることだろう。

ステージ攻略における楽しさはその爽快感にある。うまい具合にスタイリッシュに敵を処理/回避しつつステージを突破できた時なんかはまさに最高の気分である。通常移動そのものはちょい遅めだが、髪伸ばしのワイヤーアクションが何よりもハイスピード。マキナお嬢様自体の性能もなかなか、多少のダメージであればごり押しも普通に視野に入るくらい耐久力も高い。

ステージの攻略も『通常クリア』だけでなく『アイテム回収クリア(探索)』『Sランククリア(コンボ重視)』『スピードクリア(スピード重視)』で違った一面が見えてくるのもいい。もちろんこの3つは両立可能。慣れてくればパーフェクトなプレイを目指してみるのもアリだろう。逆に言えばパーフェクトにプレイできずとも、ノーコンティニュー+コンボ持続orアイテム回収orスピードクリアのどれかさえできればSランクを取れてしまうくらい難易度も控え目なのでライト層にもオススメできる。

そしてステージ内で流れるBGMは素晴らしいというほかない。曲数自体はさほど多いわけではないが各エリアごとに個別のBGMが設定されており、どれもこれも揃ってハイクオリティ。自信たっぷりなお嬢様っぷりがよく表れたノリノリのビートが特徴。サントラがあるならぜひとも買いたいところなんだが、残念ながらそういった予定はない。…というかシルバースタージャパンのゲームでサントラ出た作品って過去にあったっけ…。

ところでコレは個人的にはかなり気になる不満点なのだが、本作にはスタッフロールがない。実をいうとシルバースタージャパンはスタッフロールがないゲームの方がはるかに多い。だが小規模なDLソフトだった過去作ならば気にならなかったものの、本作は曲がりなりにもそこそこのボリュームのパッケージソフトであるためどうしても気になってしまうのだ。ラスボスを倒しても全要素のコンプをしてもスタッフロールが流れないことで『やったー!クリアしたぞー!!』という達成感よりも『え、あ、終わった?』というなんともいえない(ボリューム的には十分なはずなのに)物足りなさを覚えてしまったのが正直なところである。

我はスタッフの名前を眺めるのがだいぶ好きなのだが、スタッフクレジットをじっくり見るというプレイヤーは全体の中では超少数派であることは理解している。しかしながら、クレジットがないならないでそれはそれで問題である。個人的に一番の問題は『作曲スタッフの名前が最後までわからなかった』という点である。誰だ…いったいどこの誰がこんな素晴らしい曲を作り出したのだ…?

今更ながらここからはキャラとストーリーについてである。本作ではステージとボスの開始前に幕間の会話イベントが行われストーリー描写が行われるようになっている。とはいえ幕間自体は非常に短いため、そこまで濃厚なものを期待すると肩透かしかもしれない。あらすじをザックリ言えば『不思議なカプセルを飲んで髪が伸びるようになったマキナお嬢様がロボットたちの暴走を止めるために戦う』といったところ。このテキストだけだとバカゲー感が凄いかもだが、その雰囲気に反してそれとなく不穏な雰囲気も醸し出しており、一発ネタのバカゲーというには少々違う。意外と根底にある設定周りはシリアス…かもしれない。

超絶前向きで素直な『カミナガ・マキナ』お嬢様と、そんなお嬢様のノリに合わせつつしっかりと真面目に状況を推察するメイド『コウセイ・ヤブミ』のペアで進行するシナリオは本作ならではの味わい。特に主人公であるマキナお嬢様の突き抜けた素直さは素晴らしい。

そういえば本作の公式サイトにて本作の序盤の展開をアレンジを加えつつコミカライズしたものが公開されているので、コレを読むだけでも本作の雰囲気は掴めるかもしれない。ちなみに漫画の作者はお嬢様繋がりなのか『ジャイアントお嬢様』の肉村Q先生である。

ゲーム内だと本編部分だけではキャラの魅力はそこそこ止まりで、キャラの生い立ち等の補完はステージ攻略で少しずつ解禁される『ヤブミレポート』で明かされていく。なお『レポート』という名前ではあるがそんなに堅苦しいものではなく、本当にほっこりするようなプロフィール開示がされる程度のものである。1つのレポートあたりの情報量は大したことないが如何せん総数が多く、一通りを読み終えることでまた新たな魅力に気付くことができるだろう。

さてさて、とにかく最大の魅力はお嬢様のかわいらしさである。シナリオで描かれる部分はもちろんのこと、ステージ内でもはきはき動いている。攻撃時のアクション、ダメージや仕掛け起動時のリアクション/インタラクションに至るまで、実に見事なものである。普段のふるまいはお嬢様キャラのテンプレでこそあるが、それにもきっちりした理由がついているので感情移入もしやすい。ほんの少しでも本作をプレイした時点でおそらくマキナお嬢様への好感度はマックスになっていることだろう。

…まぁなにはともあれ、本作はプレイしていて充分すぎるほどにお嬢様成分を接種でき、とにかく元気が貰える一作である。当初は『将棋メーカーの真面目に作ったアクションゲーム』という話題性にだけ惹かれてプレイしたわけだが、それでここまで満足できるほど楽しめるのはいい意味で予想外であった。本作の存在はシルバースタージャパン新たなアクションゲームの可能性を見せつけてくれたのは間違いなかろう。今後のこのメーカーの活躍にも期待したいところである!!
(個人的にはラビ×ラビもオススメであるぞ!)

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