いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

ソニックフロンティア

我はソニックが好きだ。あのSEGAの顔役でもある音速の青いハリネズミ速さの象徴にして風のように自由な彼が、そして彼の活躍を描くソニックシリーズ』はもっと好きだ。その『好き』の原動力はどこから来ているのかは正直わからない、思えば23年前のWin95版『ソニックR』でソニックシリーズに初めて…いや、ゲームという概念そのものに初めて触れたあの瞬間から全てが始まったような気もするのだが、なんか我をソニックに向けて突き動かしているのはそれだけでもないような気もしないでもない。

まぁそれはさておき今一度宣言するが、我はソニックが好きである。23年前よりシリーズをずっと追いかけ続けてきたCS向けにリリースされたシリーズ作はスピンオフ含め全て購入しクリアしてきたし、海外でしか出ない作品や限定版は必死こいて輸入したり、ソニックのためだけにネオポケカラーだのメガCDだのスーパー32XだのKinectだのの世間一般でアレ扱いされるハード&周辺機器群も買い揃えてきた。このソニックに対する意思や熱意は多分この先の人生でも冷めることはないとどこかで心の中のどこかで確信している。

さてそんな自分が、ソニックシリーズの新世代の到来となるソニックフロンティア』を見逃すことなど、当然あるはずがないのだ!そういうわけで今回はこの新世代のソニックについて語っていくとしよう!!

いやー、楽しかった!ほんっとーに楽しかった!月並みな感想だがコレが率直な本作に対する自分の評価である。ここまで純粋にソニック作品を真っ向から面白いと感じたのは『ソニックマニア』以来である!3D作品なら…『ジェネレーションズ』以来かな?『フォース』もゲーム部分は良かったんだけど、他が足引っ張っちゃったのがね…。最初に言っておくが本作はここ10年以内の3Dソニックの中では一番の大当たりである!

販売されているプラットフォームはNintendoSwitch/PS4/PS5/XSX/One/PC、まぁソニック的にはいつもの事だが現行機種全部である。プレイ環境としてはパフォーマンスorグラフィックのどちらを重視するかを選べるPS5/XSX/PCが最良なのかな。今回はPS5版でのプレイである。

今回の語りではひとまずソニックの歴史のお勉強からはじめなければならない。興味がないなら序盤部分の説明をまるごとすっ飛ばして頂いても平気だとは思うが、まぁ一応は読んでおいた方が全体的な理解も深まるかもしれない。

ソニックシリーズ31年という歴史の中で多種多様な作品がリリースされてきた。アクションレーススポーツ格ゲーRPGなんてのもあった。その中でも特に中核にある所謂『本家ソニック』の作品は今まで公式で大きく2つに分類されていた。それこそが『クラシック』『モダン』である。この2つの違いは平たく言えば『2Dアクションか3Dアクションか』ソニックの原点であるソニック1』から初期シリーズの区切りである『ソニック3&K』までがクラシックソニック初の本格3Dデビューである『ソニックアドベンチャー』から先の作品がモダンとして扱いである。

…もっとも、モダンの時代であっても携帯機を中心に『アドバンス』『ラッシュ』『ライバルズ』のような2Dソニックはリリースされてきたし、3Dソニックという一言で纏めるには『アドベンチャー』から『新ソニ』までの箱庭3Dアクション『ワルアド』以降のハイスピードリニアアクション(所謂『ブーストソニック』)のまるで違う二つの路線が存在するなど、実際の歴史はもっと複雑なのだが、とりあえず今のところはクラシックとモダンという時代に分かれていたということだけ理解すればいい。
(そもそもクラシック/モダン区分は10年くらい前に唐突に生まれた概念なので割と定義がザツなのだ)

期間的にはクラシックが7年(SS時代の空白期間込み)で終わったのに対し、モダンは20年以上も続いている。モダンを更にアドベンチャーとブーストに分けたとしてもアド9年ブースト13年という超長期間であり、これだけ続くとなると必然的にあの話が出てくる。そう、『世代交代』である。SEGAは本作『ソニックフロンティア』を第1世代(クラシック)第2世代(モダン)に続く『第3世代』…即ち新世代とし、これまでの要素を引き継ぎつつも全く新しいソニックとして世に送り出したのである!!

さて、ここからいよいよ本題に入るワケだが、その前に一つ注意点を。一応この記事では出来る限りネタバレを書かないように進めていき、ヤバそうな部分は反転文字にしようと思っているが、一部終盤エリアのスクリーンショットを使用している箇所がある。『オチはこうだよ!』『ラスボスはこういうヤツだよ!』みたいなクリティカルなネタバレはしないが、何一つのネタバレも抜きでプレイしたい!という人であればブラウザバックを推奨する。

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ソニックの新機軸となった本作はゲーム全体の作りが大きく変わった。今作においてメインとなる舞台、その名は『オープンゾーン』。オープンゾーンは極めて広大なフィールドとなっており、プレイヤーはこのオープンゾーンの中を自由に走り回り、飛び回り、探索を進めていく。一つ一つのマップは半端なく広く、一見するとオープンワールドっぽく見えるものの一応は『〇〇島』というマップ単位で区切られているため、厳密な定義(かなり曖昧だが…)ではオープンワールドというよりは超デカい箱庭型のステージである。だからこそ公式もオープンワールド』ではなく『オープンゾーン』という呼称を使っているのであろう。

オープンゾーンの中には踏破率を上げるための『ミッション』メイン/サブのシナリオが進行する『仲間/カオスエメラルド、それから後述の電脳空間(アクションステージ)への入口となる『ポータル』が点在。ミッションを攻略していくとマップの情報量が増えていき、他の要素の場所も明示されるため、フィールドこそ広大ながらも攻略はそこそこやりやすい

このオープンゾーンでプレイヤーが何をするかは完全に自由。点在する全ての要素をしらみつぶしに攻略していくもよし。とにかくシナリオ攻略に全力投球するもよし。明らかに登れなさそうなエリアに無理矢理駆け上がるのもいいだろう。本作はとにかく自由なのだ。ソニックと共にスターフォール諸島を気の赴くまま満喫するべし

『自由に駆け回れる3D箱庭マップ』でかつ『アクションステージの入口が点在している』という要素からソニックファンはピンとくるだろうが、コレはずばり『アドベンチャー』や『新ソニ』にて登場したアドベンチャーフィールドが正統進化したものである。過去作のアドベンチャーフィールドはソニックのスピード感に対しフィールドが狭すぎる』だとか『相応に広くなったが全体的にスカスカ』だとか、ハイスピードとの相性の悪さを象徴する問題点がそれなりにあった(ので毎回続編で消されていた)のだが、オープンゾーンではそれらの不満点を的確に潰す形で進化している。

言わずもがなフィールドのサイズはシリーズ史上最大規模。それでいてフィールド内には所狭しとギミックが敷き詰められ、密度も通常ステージと遜色ないレベルにまで上がっている。各地に配置されたスプリングやグラインドで気持ちよく飛び回っているうちに、気が付くと離れた位置に到達しているということもザラ。もちろん任意の場所にマーカーを設置することもできるので、最初から目的地に向かって一直線に駆け抜けるのもいい

ファストトラベルこそある程度探索を進めないと解禁されないのだが、一方でミッションを達成していくごとにフィールドにグラインドレールが敷かれるため、移動の利便性はぐんぐん増していく一方。踏破率を上げた島でグラインドレールに乗り続け島を巡るのもまた一つの楽しみ方である。

ところでオープンゾーンではソニック自身のスピードをある程度オプションから弄ることができるようになっているのだが、本作からの新規ファンがソニックに振り回されて事故らないようにという配慮からか、デフォルトのパラメータがかなり低く設定されている。本作からのプレイヤーならばそのままでも問題ないだろうが、ファンから見ると初期状態のソニックはかなり遅いので、問答無用で最高速まで上げてしまうことをオススメする

そしてオープンゾーンと並ぶ本作のもう一つのメインがポータルからアクセス可能の『電脳空間』。電脳空間はアクションステージ、平たく言えば『いつものソニックである。ブーストやホーミングといったアクションを駆使し奥へ奥へとステージを進んでいきゴールを目指す。いつものようにランク評価やレッドスターリング集めだってある。

本作のアクションステージのコンセプトは『過去作の再現』である。背景やゲーム中のモデルこそグリーンヒル『ケミカルプラント』『スカイサンクチュアリという(何回目だよとツッコミたくなる)お馴染みステージ群本作オリジナルのハイウェイが追加されただけとなっているが、そのステージ構成は紛れもなく過去作の人気ステージのソレ。歴代のソニック作品を遊んできたプレイヤーであれば、その特徴的な構造を見た瞬間に『これは!あの時の!!』となることであろう。

過去作ステージの再現自体は3D作品だと既に『ジェネレーションズ』で一度やっているネタではある(『フォース』は名前同じなだけの新ステージ)のだが、あちらは『歴代本編作品から1-2つずつピックアップ』という作りだったのに対し、ピックアップ元を『アドベンチャー2』『ワールドアドベンチャー『ジェネレーションズ』の3作に絞ることで、1作品あたりのステージ数を増やしている。このおかげで『スカイレイル(SA2)』『ドラゴンロード(SWA)』のように人気こそあったが他の代表ステージに枠を奪われがちだったステージ群が本作ではピックアップされているのが素晴らしい。以前『マニア』において2Dソニックの隠れた人気ステージが多数復刻されたことで人気を博したが、ソレの3Dソニック版が本作だといえるだろう。

また『ジェネレーションズ』に登場した『シティエスケープ(SA2)』『ラジカルハイウェイ(SA2)』『オレンジルーフス(SWA)』は本作でもピックアップされているが、それらも流用ではなく今作のために原作に近い構造でイチから作り直されている。SA2を中心に小型ジェットプロペラ付きスプリングといったご無沙汰だった過去作のギミックも復活。本作では操作性の変化もあってかプレイ感覚がかなり原作に近い。正直ソニアド2・ソニワドのファンはこれらのステージだけを目的に本作を購入するのも充分視野に入る

なおあくまで構造とステージギミックの再現を行っているのみであるため、原作を知らないプレイヤーが置いてけぼりを食らうようなケースは一切ない。原作を知らないプレイヤーにとっては、アド2だろうがワルアドだろうがジェネだろうが新規ステージとして純粋に楽しめるハズ『わかれば楽しい、わからなくても楽しい』という絶妙な塩梅である。おそらく全部のステージに元ネタがあるので、歴戦のソニックファンは過去作を引っ張り出して元ネタ探しに勤しむのも一興

操作についても触れておいた方がいいだろう。本作の操作は歴代のどの作品ともまるで違う本作独自のもの。アクションこそ歴代作品のものの実質オールスター状態となっているが、性能やボタンが大幅に変わっている。一度過去作の操作を全て忘れてから本作に入った方が一周回って遊びやすいかもしれない。

近年のソニックを象徴するブーストはまさかのボタンではなくトリガー発動、性能自体は従来から据え置きで、更に今作はブーストゲージが自動回復するようになったため、いつもよりも気軽に使えるのが特徴。ホーミングは基本的にはいつも通りだが、本作ではいつもよりもヒットストップが強いため一撃がかなり重い。またジャンプせずに地上から発動できるようになったため、後述の戦闘回りでは直接攻撃として大活躍することになる。

ストンピング発動後に元の高度よりも高く飛びあがるというバウンドに近い性能ライトダッシュはボタン(スティック押し込み)の都合上咄嗟の発動がしづらくなったのは事実だが、挙動が『アドベンチャー2』に近くなったので扱いやすく、それでいてスピード感もパワーアップ

特定の壁を登ることができる壁走りは『ロストワールド』のパルクールを思い起こさせるアクション。あちらとは違い助走は不要なうえ、その場にとどまることもできるのでより便利に、登るスピードも上昇。地味にドリフトも続投している…がコレは『カラーズ』のように特定セクションオンリーな上、登場シーンも僅かなので印象に残りづらい。

本作にてついに3Dデビューとなった『マニア』初出の『ドロップダッシュはブーストと被るアクションのため、発売前はかなり不安であったが、蓋を開けてみると『通常では滑り落ちる傾斜+そこから繋がる壁を(着地さえできれば)加速してゴリ押しで登れる』という性能が追加されたため、想像以上に便利。特に中盤のオープンゾーンはかなり高い山でエリアが区切られている…つまり山越えができれば無茶苦茶なルート構築が可能なのもあり、ドロップダッシュを使いこなせるか否かで劇的に世界が変わる。数多のオープンワールド系ゲームでTOZAN*を楽しんだプレイヤーもにっこりのハイスペックぶりである。

*TOZAN(オープンワールド)
自由度を重視した3Dアクションゲームで時たま出てくるワード。
『ポリゴンの出っ張りなどを利用して、通常では登れない場所に無理矢理登る行為』を指す。
いつの間にかそう呼ばれてたが、初出は多分WiiUの『ゼノブレイドクロス
ゲーム内のアクション+テクニックのみで登ることが前提であり、
チートや無限上昇バグを用いて本来行けない高さに行くことはTOZANではない。
TOZANの目的は高所からの絶景、あるいはTOZANそのものにあり、
ソレ以外の報酬はハナから期待しないのがセオリーだが、稀に公式がご褒美を用意してることも。
公式の想定外なこともままあるので、本作のように作り込まれているゲームならともかく、
フラグ管理がザツなゲームだと色々不整合が起こることもあるので注意。

今作からの完全新規アクションである『サイループ』走って円を描くことで、その円の中にある対象に何かが起こるというもの。まぁ早い話がある種兄弟的な『NiGHTS』のパラループのソニックである。敵がいるなら攻撃となり、仕掛けであれば何かしら動作がある。使用タイミングはオープンゾーンに限られ、とりあえずオープンゾーンの謎解きで困ったらサイループがなんとかしてくれる

続いてはオープンゾーンにおけるバトルシステムの話をしていこうか。オープンゾーンではザコの『神兵』、中ボスの『守護兵』といった敵キャラが登場する。(ごく一部の例外を除き)戦うか否かはプレイヤーの自由であり、遭遇次第即座に逃げても別に問題はない。神兵・守護兵はどちらもそこそこの耐久力の持ち主で、何度か攻撃しないと倒せないものが大半である。

本作ではそういった敵に対してホーミングで近付き、そのままボタン連打でコンボを繋げて一気にダメージを与えていく。システムそのものはWiiU版『トゥーン(太古の秘宝)』のものによく似ているが、ゲームスピードが大幅に引き上げられているため爽快感は圧倒的にこちらの方が上である。基本はスピーディに、それでも重めのヒットストップで一撃一撃の爽快感も失われていない…と、まさしく本来『トゥーン』がやろうとしていたであろうバトルの面白さを本作は提供してくれる。
(『トゥーン』は一撃が重くはあったがゲームスピードが極めて遅く、爽快感は皆無であった)

ところで『ヒーローズ』『シャドゲ』の一部エネミー『ワルアド』の夜面のように、ソニックシリーズにおける高耐久の敵キャラはストレス要因にしかならないことがお約束だが、本作の敵は高耐久のものでもコンボ2・3セットで倒しきれるものが多く、そもそも戦うのが面倒なのであればその場で逃げることもできるので、ほぼストレスを感じないようになっている。このあたりも過去作の反省点がよく活かされている

敵の種類もかなり豊富であり、特にカットインと共に現れる守護兵たちは、とにかく戦っていて楽しい相手が多い。一例を挙げると切りつけや分身、レーザー反撃など多彩な行動パターンを持つ『NINJA』シリーズや、圧倒的な防御力を誇るが、サイループを活用することで完封させることもできる『SUMO』グラインドやブーストを使っての追撃戦→追いつき次第フィールド展開して一気にボコれるSQUID』『FORTRESSなどなど…。なお電脳空間の方にも敵キャラは出てくるが、そちらは従来作のように耐久力皆無で行動パターンもシンプルな相手なので、細かく説明する必要もないだろう。

ゲームを進めていくと経験値を消費してソニックのバトルアクションを拡張できるようになっており、こちらはやや発動が複雑ながらもとにかくド派手かつ高火力。やや威力は下がるがボタン連打で自動的に大技含めたコンボを繋いでくれるオカンモード『オートコンボ』もあるので実にユーザーライク。また、3Dバトルアクションではお馴染みの『パリィ』も搭載…というかほぼ必須テクニックとして出てくるのだが恐れるべからず、なんと本作のパリィは『ボタン押しっぱなしで常時発動』という、これほどまで簡単に扱えるパリィは今まであっただろうかと言いたくなる良心的なシステム。他のゲームでパリィを要求されて詰んだような経験がある人でも、本作ならば問題なくプレイできるようになっている。

オープンゾーンの中にはアクションステージに遷移しないポータルもあり、そこからはなんと釣り場に移動できる。釣り場ではもちろん『釣り』が可能。釣りは一連の操作がボタン1個で済むシンプルなミニゲーム。タイミングよく竿を引き上げて魚を釣り上げる。釣れる魚は(どっからどう見ても池なのに)川魚から深海魚まで、たまにゴールプレートやアイテムボックスなど旧時代…というかクラシック作品の遺物も釣れるなど中々にカオス。おそらくポータルで入れる空間なのでなんでもアリなんだろう。

釣り場の案内役はビッグ・ザ・キャット『アドベンチャー』での主人公の一人であったものの、本編作品では2003年の『ヒーローズ』を最後に長らくご無沙汰だった彼まさかまさかの再登場である。まぁ『クロニクル』やレース作品を中心に結構出番自体はあったんだが、本編だと本当に久々である。

釣りでは釣った魚に応じてトークンが入手でき、このトークンをビッグに渡すと様々なアイテムを交換してくれる。交換してくれるアイテムはゲーム進行に必要なエメラルドキーやポータルギアのほか、ソニックの強化に使える『チカラ/マモリの実』『迷子のココ』も。これらはどれもオープンゾーン内で普通に拾えるアイテムだが、釣りは楽々トークンを集められるので、手っ取り早くゲーム進行/ソニック強化を行うなら釣りをするのが一番。なんというか救済措置的な側面も強いので、じっくり世界観に浸りたい人は釣りは後述のボイスログだけに留めておくのもいいかもしれない。

唯一釣りでしか入手できないアイテムがエッグマンの音声ダイアリー(ボイスログ)なんでコレをビッグが持ってるのかはさておき本作におけるエッグマンの独白が記録されており、本作の世界観をより深く理解するのに役立つ代物である。実はシリーズを通してエッグマンの心情そのものが語られる場面は意外と貴重であり、コレはエッグマンおよびその関係性を好むプレイヤーにとっては堪らない。基本的にはシナリオ補完のためのアイテムではあるが、それ以上に本編を遥かに超える過去作ネタの宝庫で、『ブラックアームズ(シャドゲの敵組織)『ドンパ王国(TSRのとあるキャラの出身地)など、わかる人にはわかるレベルでニヤリとできるワードが頻出する。特にPr.ジェラルドではなく、その孫娘マリア(どちらもSA2の主要人物)に対してエッグマンの視点で語られるログには驚かされた。
(たまーに誤訳と思しき表現が混じっているのはご愛敬)

ゲーム全体の進行としてはまずオープンゾーンを探索しアイテムを集めつつ、ミッションを攻略して踏破率の向上、その途中で仲間と交流しつつ電脳空間を攻略してカオスエメラルドを入手…といったことを繰り返していき、仲間との一連のイベントを終えエメラルドが一定数集まったら大ボス戦…という流れである。

やることがかなり多いように見えるが、実際のところは『自由に冒険しているうちに気が付くとシナリオが進んでいた』ということもザラなので気にならない。またカオスエメラルドの回収には『守護者を撃退しポータルギアを回収』『ポータルギアを使って電脳空間に突入、クリアしてエメラルドキー入手』『エメラルドキーを使ってエメラルドを解放』という手順が必要なのだが、ポータルギアもエメラルドキーもそこら辺で普通に拾えるので、別にプレイスタイル次第ではこれらを無視してもそこまで問題はない。なんなら釣りでゴリ押せる

ゲーム中では時折ミニゲームが挿入されることがあり、これらは釣りとは異なりクリア必須。基本的にはオープンゾーンの延長でキャラを誘導したり草刈りしたり…といった簡単なものだが、ごくごく一部ガッツリとした別ゲーが出てくることがある。具体的にはピンボール『シューティング』である。

ソニックといえばピンボールピンボールといえばソニックといえるほどソニックピンボールの繋がりは深いので正直出てくること自体は予想の範疇であったが、本作のピンボールはシリーズでも随一のストイック仕様。なんとかつての『スピンボール』にあったボール操作ピンボールパーティ』の台揺らしも撤廃されているガッチガチなものである。

一応ボールを落とさずにいられれば倍率が凄い勢いで上昇していき、クリアノルマも甘めであるため、同じソニックピンボールゲーと比較するとせいぜい『スピンボール』の1面クリア、『ピンボールパーティ』の2面クリアよりも簡単なレベルだが、ぶっちゃけこの2作はシリーズでも屈指の難易度を誇るゲキムズゲーとしてもお馴染みなので、感覚が麻痺ってる気もしないでもない

そしてもう一方の『シューティング』敵の弾を避けたり相殺しながらボスの撃破を目指す内容。敵の弾を相殺するとゲージが溜まっていき、最大になればホーミングレーザーで一気に攻撃ができる。敵の弾は白と黒の2色、プレイヤーも白黒の弾を撃ち分けでき、白は白で、黒は黒で打ち消せる。ついでに現在撃っている弾と同じ色の敵弾に当たってもダメージはない

…ここまで言えば一部の層はだいたい察してそうだが、早い話がコレ、トレジャーの超有名な弾幕STG斑鳩とまるっきり同じシステムである。なのでそちらのプレイ経験があれば楽勝で突破可能。今作がSTG初体験であっても先に挙げたシステムさえ覚えておけば死ぬことはないハズ。STG慣れしていない人にとっては敵の弾数に初見は面食らうかもしれないが、弾の相殺と自機の属性変化をしっかり覚えて攻略すべし
(流石に『斑鳩』ほど覚えゲーにはなっておらず、充分アドリブ攻略できる)

メインゲームにハイスピード+探索の『オープンゾーン』とハイスピード+ステージ攻略の『電脳空間』を中心に、『釣り』ピンボール『シューティング』といった別ゲー部分が挿入されるあたりは、『ハイスピードアクションを中心にバラエティ豊かな別ジャンルも搭載』というソニックアドベンチャー』の魂を感じさせる作りをなっているのは見逃せないポイント。

…まぁ本作の別ゲー部分はオマケと割り切るには(流石にそれぞれの本家よりもシンプルだが)些か本格的+本編クリアに必須なだけあり、それなりにプレイヤーの悲鳴を耳にするのも事実なので、ここは正直調整は欲しいカモ。『アドベンチャー』で一度は通った道であるが、そこは意地を張らずに時代に迎合してほしいところである。
(SA1は『ハイスピード』『探索』『レース』『チェイス』『STG』『釣り』というラインナップ)

島の探索を進め、エメラルド回収や仲間とのメインイベントを完遂すれば、いよいよ山場となる大ボス『巨神』との対決がはじまる。巨神はそれまでに出てきた神兵はおろか、守護兵ですら比較にならないほど巨大かつ圧倒的な力の持ち主、ハッキリ言って通常のソニックでは手も足も出ない。だがこの時、ソニックの手元には7つ(1つは巨神から奪う)カオスエメラルドが揃っている…そう、今こそスーパーソニックの出番である!!

というわけで冒険の大きな区切りである巨神戦は毎回スーパーソニックを操作してのアクションになる。まさかまさかのスーパー化大盤振る舞いである。余談だがシナリオでスーパー化→ボス戦という展開は一見お約束のように見えて、実は本編3D作品では2011年の『ジェネレーションズ』以来11年ぶりとなる。
(スーパーソニック自体は毎回出てきたがシナリオに関わらなかった)

歴代作品のスーパーソニック操作パートはアクションやシステムから専用のものに切り替わるものが多く、操作に慣れるまでに死ぬorボスが倒せてしまうというケースが度々発生していたが、本作のスーパーソニックは空中戦でこそあるが、その操作システムは通常のソニックと全く共通。オープンゾーンで行えたバトルアクションもそのまま、よりド派手になったものを使用できる。オートコンボも有効なのでボタンを連打しているだけでもスーパーソニックの圧倒的パワーを体感できる

ボス自体の強さも強すぎず弱すぎず、苦戦もしなければ楽勝でもないという絶妙な塩梅。攻略的な面白さはそこまででもないが、とにかくコンボをたたき込んだり、敵の攻撃を凌ぐことへの楽しさが限界突破している。シリーズ史上最も楽しいスーパーソニック操作パートかもしれない。当然演出周りも極まっており、スーパーソニックに負けず劣らず巨神の攻撃もダイナミックソレを見切る瞬間の爽快感は言うまでもなかろう。戦闘時のBGMも暗黒の騎士(本編ではシャドゲorヒーローズ)以来となるボーカル曲の起用、プレイヤーのテンションはブチアゲ間違いなしである。その盛り上がり具合は『コイツ倒したらスタッフロール流れて終わったりしない?大丈夫?』となってしまう程である。

ゲーム全体の難易度については『オープンゾーン』『電脳空間』ミニゲームのそれぞれで分けて語る必要がある。

まずオープンゾーンだがこれは『探索そのもの難易度はそれなり、オープンゾーン内の謎解きは簡単』といったところ。踏破率を上げるまではファストトラベルができない+エリア間の移動手段がグラインドしかない箇所では繋がりが極めてわかりづらいため迷子になりやすい。散りばめられた謎解きの方は一転してどれも楽勝であり、基礎レベルの操作さえできればクリアできるものが殆ど。なので『オープンゾーンのアクションが難しくて進めない』ということはほぼないだろう。守護兵たちも特殊な倒し方を要求されるヤツは毎回しつこいように仮想空間(チュートリアル)のアナウンスが来るので、そちらを見れば問題は全くない。

続いて電脳空間、コレは比較対象を過去のブーストソニックとして『歴代で最も難易度が低い』1ステージが短いとされた『フォース』よりも更に短いうえ、初見殺しは『カラーズ』並かそれ以下に減らされているため、初見でもノーダメージで突破できることもザラ。本作がシリーズデビューであっても楽々と気持ちよく走り抜けられることだろう。『過去作ステージの再現』というコンセプトの都合もあって、歴代のプレイヤーならば苦戦する要素は更に少ない。これは後述するやりこみ要素のリング集めやSランクでも同様。

最後に『ミニゲーム』…まぁ具体的にはピンボール』と『シューティング』のことだが、この2つに関しては求められる技術がいつものソニックとはまるっきり違うところにあるので、人によって向き不向きがきっかり分かれる…というか人によってはここで詰まる可能性もあったりする。どっちも仕組みさえ理解してしまえばどうにでもなるのだが、こればっかりは適性の問題なのでどうしようもなさすぎる。ピンボールは簡単だけどシューティングは楽勝だった(或いはその逆)『どっちも簡単だった』『どっちも難しかった』…どれも普通にありえるパターンである。

本編シリーズでは(ジャムのように移植で追加されたモノを除くと)シリーズ初の難易度選択機能が追加。『エンジョイ』『チャレンジ』『スリル』の3段階であるが、ぶっちゃけ最高難易度である『スリル』でもかなり簡単な部類なのでご安心。スリルでのみ登場するボス+イベントもあるので、どうしてもクリアできない場合を除けばスリルでのプレイを推奨する。まぁ難易度はいつでも上下ともに変更可能なので、困った時は自由に上げ下げすれば良し。

人によりけりなミニゲームの部分を除くと、全体を通した難易度はソニックシリーズの中でもかなり下の方にあるため、『カラーズ』並にシリーズデビューに向いた作品と言っていいのは間違いない。こういった初心者ライクもまさしく『新世代』のソニックとして本作を位置づけるにあたり、間口を広げようとしていたのであろう。

シリーズ恒例のやりこみ要素の話だが、本作のやりこみはソニックの強化』『踏破率100%』と、その殆どがオープンゾーン側に集約されているため、従来のようなアクションステージ側のやりこみは抑えられている。いやSランクとレッドスターリング集めはあるにはあるのだがレッドスターリングはかなり親切な位置にばかり配置されているし、Sランクも本作はタイムのみの評価でそのタイム設定も1・2回死んでも余裕で間に合うくらい激アマなので、かなり簡単なもの。

より踏み込んだ先にはいつも通りのタイムアタック(クリア後に事実上のタイムアタックが解禁)があるので、従来のソニックを楽しんだ層は最終的に電脳空間の好タイムを突き詰めることになる。本作は歴代作品よりもヒットストップが重く、それでいてブーストを気軽に使えるシステムになるため、『如何にして敵をガン無視して突き進むか』がいつも以上に求められる。…ちなみに既に高速ですっ飛んでいくテクニックがガチ勢の方々の手で発見されている。気になる人は調べてみるとよろし。

ここ十数年のソニック作品で毎回の如く不安視され続けてきたシナリオについてだが、本作では前作以前とメインライターがバトンタッチ。今作のメインライターはIDWソニックこと現行で連載中の新アメコミ版ソニックを手掛けているIan Flynn(イアン・フリン)氏。なので全体的な作風もキャラの描き方もそちらに寄っているソニックの性格も『カラーズ』から続く三枚目路線を脱却しヒロイックなものになった。ただし『ストーリーブック』シリーズのようなアンチヒーロー的なイメージは抑えられており、例えるならば『ワルアド』のソニックに更に正義感をプラスした感じである。ソニックの性格としてはかなりイイ感じになったが、ローカライズの問題なのかいつものような英語交じりの口調が一切なくなっているのは少々寂しいところではある。

氏のテイストなのか、シナリオの随所に過去作のネタやワードが多数出てくるのも本作の特徴。なおあくまで『〇〇みたいだな』という言い回しで使われるのみで本編には絡まないため、過去作を全く知らずとも問題なく楽しむことができる。本作をプレイするために必要な事前知識を無理にピックアップするにしても、せいぜいソニックエッグマンは敵同士』カオスエメラルドとかいうヤバい宝石が7つある』という程度。

シナリオそのもののクオリティは(ぶっちゃけ近年の作品が毎回底値をマークし続けたせいなのもあるが)ここ10年以上のソニックシリーズで一番よくできているといっていい。一つ一つの島のクライマックスにやたらと力が入っていることからメリハリがあり、それでいて全体を見ていくと『序盤で散りばめられた謎を終盤で一気に明かす』という構成なので、インパクトも(しっかりと読み進められたなら)充分。エッセンス程度に加えられた過去作要素によってシリーズファンもニヤリとできるうえ、本編とは少し離れた位置に考察のし甲斐がある要素もちゃっかり残されている

ただし、システムの弊害で新規・ファン問わず大多数のプレイヤーは本作のシナリオから置いてけぼりを食らいやすいという難点があるのも事実。本作のシナリオをごくごく普通にエンディングまで進めた場合、まず真っ先に浮かぶであろう感想は『説明不足/描写不足』である。少なくとも自分はそうだった。

先に言っておくが、本作で語られるべき描写は全て本作(と公式HPのコンテンツ)に内包されており、シナリオの大筋はかなりシンプルかつわかりやすいものとなっている。だが、それはあくまで『全てを余すところなく見れたなら』という前提でのハナシである。

というのも、どうも本作は従来のようなリニア形式(一本道)での進行を前提としたシナリオを、後からバラバラに分割し広大なフィールドに散りばめたような作りになっているのだ。そして散りばめられた物語の大半は『サブシナリオ』という扱いになり、本編である『メインシナリオ』の進行には不要になっている。

加えてサブシナリオの存在はゲーム中でそこはかとなく示唆されるのみであり、マップにこそアイコン(グレーの仲間の顔、色付きはメイン)が表示されるものの、プレイヤーが自分でマーカーを付けない限りそちらへの誘導は一切行われない。つまり、注意深くプレイしていなかったり、ゲーム側で設定されたマーカーにだけ従ってプレイしていると、ほぼ間違いなく大半のサブシナリオを見逃すことになるのだ。

もっともサブ(つまり寄り道要素)が膨大であることと、サブを見逃しやすいことはこういったジャンルのゲームではありがちであり、ソレ自体はさして問題にはなりづらい。今作の何がマズいかというと『明らかにメインに入れなければならないシーンすら殆どサブに回されている』という点である。

『スターフォール諸島に対する仲間たちの所感』くらいならまぁ別にサブに回しても問題はない(コレも終盤への伏線ではある)のだが、ソニックが会得した新アクションのルーツ』カオスエメラルドのうち一つは敵が持っている』などは明らかにメインでやるべき内容である。しかもメインはメインでサブシナリオを全て終わらせている事が前提で進む。

とりわけ本作初出のメインキャラである謎の少女セージ(彼女の心境に変化を与える)ソニックとの交流』はおろか(敵対時のエンカウントを除いた)ソニックとのファーストコンタクト』に至るまでその大半がサブシナリオに回されているため、それらのサブを無視して進めてしまうと『なんか知らないうちに敵と仲良くなってた』という印象を抱きがち。

そのうえオープンゾーンの自由度との兼ね合いもあるのだろうが、発生順が固定のメインシナリオとは異なり、サブシナリオは進行が完全にプレイヤー任せ。流石に同じ島のシナリオで不整合が起こることはないが、本編を進めたうえで過去の島のサブを進めてしまうと、ゲーム全般の進行とは不釣り合いなイベントが流れることしばしば。本作のシナリオをガッツリ楽しみたいならば基本的に『巨神との戦いまでにその島の全てのサブシナリオを終えておく』ことを強く推奨する。

正直なことを言ってしまうと、メイン/サブという概念を捨てて最初から全部本編に統合してしまえば…と思ったりしないでもないのだが、まぁそれだと攻略の自由度が著しく制限される事にも繋がるので、このあたりのハナシはかなり難しいところ。ぶっちゃけソニックに限らず自由度をウリにした作品の永遠の課題であろう。

あとそれとは別に日本語ローカライズ(翻訳)にかなり難があることには触れておきたい。本作のシナリオは上に挙げたようにイアン・フリン氏、つまり海外ライターによる執筆であるため、我々の元に届くまでにローカライズが行われている。先に言っておくと、ローカライズやらかしのあるあるで日本語が崩壊するような事態には(そこまで)陥っていない。ならローカライズのどこに問題なのか、答えはそのアレンジにある。

実を言うと本作のシナリオはスタッフから『このままでは日本に受けない』と判断されたため、ローカライズの折にかなり大胆に、それも意訳すらも通り越した別物レベルに書き換えられているのだ。言い回しを変えるとかそんな生易しいものではなく、原文と日本語では掠りすらしない全く別の会話が行われているシーンもあるレベル。また、そこまでのレベルで別物と化しているにも関わらず、肝心の映像そのものは原文と共通。結果日本語版では明らかにテキストと実際の動作が食い違っているように感じられる箇所が多い。本作のシナリオでサブすっ飛ばした以外で『なんか変だな?』となる箇所はだいたいローカライズが悪さをしていると言っていい。

一部のキャラの言動はおろか場合によっては立場すらまるっきり異なり、その中でも特に影響が大きいのはやはり本作からの新キャラのセージに纏わる描写の数々。公式インタビューによれば『わかりやすすぎるから、含みを持たせた表現にする』というコンセプトでローカライズしたようだが、ハッキリ言って日本語の一連の描写は含みを持たせようとさせすぎてやたら回りくどい。結果、原文では最初から最後まで親子/家族(ネタバレのため反転)』というテーマで一本筋の通った物語が、不必要にとっ散らかりわかりづらくなってしまっている

我は本作を一度完全クリアしたのち、英語字幕で今一度翻訳しつつプレイしなおしているが、ハッキリ言って原文の方が遥かに理解しやすく面白い。なんなら原文をプレイして初めて本作のテーマをようやく理解できたレベルである。シナリオ自体のクオリティはシリーズ通してもかなり上位に入るかもしれなかっただけに、ローカライズでこのテイストを捨ててしまったのは実に惜しいというほかない。
(まぁシナリオの理解しづらさはローカライズだけじゃなく、その前に触れたサブの問題もあるが)

とはいえ、日本語のテキストの全てが悪いというわけではなく、例えばナックルズが関わる一連の場面などは原文でも日本語でもどちらも高いクオリティを発揮していたり、日本語ならではの言い回しが出てくる箇所があったりなど、ローカライズによる良さもしっかりあることは伝えておく。原文よりもとっ散らかってしまっているとはいえ、全体の流れや大オチはそのままなので、しっかりとサブも含めて読み進めれば近年のソニックでは最も楽しめるハズである。

それはそれとしてエッグマンがセージの事をメタルを差し置いて『最高傑作』呼び(日本のみの表現)したのは今でもなんか引っかかってるケドも…。ちゃっかり日本でもヒーローズ版メタルの正式名称が『ネオメタルソニック』に確定したのは嬉しかったが。
(そもそも日本のこのシーンは言葉通りに捉えるべきじゃない場面だろうが)

さて、暗い話はそこまでに本作を彩る様々な要素を語っていこう。本作を語る上で絶対に触れておきたいのはやはりそのグラフィックである。電脳空間の方はまぁ見慣れた風景なのでそこまで感動はないかもだが、オープンゾーンの美麗さはSEGAソニックチームの本気というモノをただひたすらに感じ取ることができる。時間経過のほかゲーム性に影響のない『天候』の概念もあるため、その時々でスターフォール諸島はソニックとプレイヤーに様々な顔を見せてくれる。中でも配置リセット時に行われる『スターフォール』は本作ならではの幻想的な光景である。ソニックの移動スペックを利用すればかなり高いところにも登ることができるので、自分だけの絶景を見つけスクショを残すのを旅の目的にするプレイスタイルも充分アリだろう。

ソニックといえばBGMの話もしないわけにはいかない。本作のBGMはオープンゾーンと電脳空間でそれぞれ大きく毛色が違うオープンゾーンのBGMは良くも悪くも歴代のソニック作品とはかなり異なり静かで落ち着いた所謂アンビエントサウンドが主体、確固たるメロディなどはありはするが自己主張は控えめ。簡単にいえば探索向きで世界観に浸りやすいものとなっている。自由度の高いオープンワールド系との相性がいいことでお馴染みのジャンルなので本作でも使用されているのだろう。ただし、守護兵と遭遇した時はBGMが緊迫したものに切り替わる。基本的に落ち着いたサウンドでの探索だったからこそ、このギャップというかメリハリがハッキリしているのが実に素晴らしい。

電脳空間はオープンゾーンとは逆にノリのいいアクションゲームらしいサウンド、こちらもまた歴代作品とは若干毛色が違うものの、オープンゾーンに比べるとかなりソニックらしい。シリーズ全体で比較するならば『フォース』のアバターステージのソレが最も近い。少なくとも『フォース』のサウンドが気に入っている層であるならば、本作の電脳空間BGMはとにかく刺さりまくることだろう。

そして『フォース』で復活を遂げ今作でも期待されていたボーカル曲だが、その期待に応え本作でも多数が起用されている。ボーカル曲の主な使用箇所は一部の電脳空間巨神戦、それからエンディングである。そのクオリティについては最早説明すら不要であるが、いずれも期待を遥かに超えてくれた。正直全ての曲をお気に入りとして挙げたいところだが、それでも数曲に絞れと言うならば、2番目の巨神戦『Break Through It All』とエンディング『One Way Dreamメインテーマ『I’m Here』の3曲を推したい。

本作のサウンド面で驚くべきはそのサウンドの豊富さにあるだろう。本作のBGMはとにかく数が多い、多すぎる誇張抜きでシリーズ最大規模である。なんならゲーム進行で同じBGMが流れる箇所なんか殆どないんじゃないかというレベルでバリエーションが豊富なのだ。例えばオープンゾーンのBGMは各エリアごとに個別なのだが、それらもエメラルドの入手に合わせて少しずつ変化していく守護兵との戦闘曲も(大まかに分けて)10種類近い守護兵のカテゴリごとにそれぞれ専用曲が割り当てられ、電脳空間は全ステージに個別の曲が与えられている。全ステージ専用曲というのは『フォース』からもそうだったのだが、本作はフォース以上にステージ数も増えているためトンデモナイことになっている。それもあってか本作のサントラは驚愕の6枚組である。
(ちなみに今年12月に発売予定、自分はもちろん予約済みでっせ)

30年以上前から培われてきたありとあらゆる過去作の要素をパワーアップさせ導入した本作は、まさしくクラシック・モダンに続く第3世代ソニックの新世代の幕開けとして相応しい作品に仕上がっている。もちろん問題点が決して無いワケではない。シナリオとシステムの競合もそうであるし、やや扱いづらいマップ機能だとか、オープンゾーンの2Dパートで軸がブレて落下するケースが時々起こるのは間違いなく今後のシリーズ作における課題点である。だがそういった粗削り故の問題が生まれるのもまた、シリーズの新たな挑戦に付きまとう運命のようなものである。

自分としてはソニックシリーズが従来の作品に甘んじて進化を止めるより、本作のようにこれまでとは違った全く新しい未来に向かってチャレンジし続けてくれることに感謝するほかない。これからのシリーズも、これまで同様に追いかけていきたい…本作ソニックフロンティア』はハッキリとそう感じさせてくれるソニックシリーズの未来を切り拓く大傑作だったのである!!

 

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