『缶詰』…それは読んで字の如く何かしらが詰められた缶の事である。
サバなどの食品は勿論、中には火山灰や空気が詰められた缶なども存在している。
と、上記はWikipediaから知った情報ではあるものの、流石のWikiにも『ゲームソフトが詰められた缶詰が存在する』という記述は見当たらなかった。
ということで今回語るのはコチラ。
メガCDにて発売された『ゲームのかんづめ』である!
名前からして多数のゲームが収録されたコレクション的な作品を『かんづめ』と比喩しているのだろうかと思いがちだが、残念ながらコレは比喩ではない。
なんと、マジでケースが缶詰そのものになっている。
蓋を開けてみると中には缶にピッタリ収まったCDがお目見え。
当たり前だが、こんなケースを採用したディスクメディアの作品は今作以外に見たことがない。(あっても困る)
外観からして出オチ感満載だが、内容について語っていくとしよう。
今作はかつてゲーム図書館*にて配信されていたゲームタイトルをメガCD向けに多少の修正を行ったうえで複数収録した作品である。
*ゲーム図書館
かつてメガドライブに存在したサービスの一つ。
電話回線を利用して専用のオリジナルゲームをダウンロードしてプレイするというモノ。
オンライン前提のシステムという都合上、何かしらで移植されない限り現在でのプレイは不可能に等しい。
とはいえ、自分はその時代を生きた人間でないためコレは人から聞いた知識だが。
ちなみに海外(ブラジル除く)ではこのサービスは存在しないため、これ用の一部タイトルは普通のROMカセットとしてリリースされている。
ゲーム図書館のタイトルはその形態からか移植の機会に中々恵まれないため、現存するメディアとして移植が残る今作は非常に重要な存在である。
また、今作は『VOL.1(赤)』と『VOL.2(青)』の2種類が存在し、それぞれ収録タイトルが異なる。
タイトル数だけ考えればVOL.2の方が少しだけオトクかも。
選択画面では案内役の女性(名前不明、CV:林原めぐみ氏)が登場。
ただ可愛い以上に語る事は特にない、変なボタン入力をすると反応してくれるケド。
ということでVOL.1、VOL.2それぞれの収録タイトルの紹介である。
(テキストアドベンチャーだけ、少し説明しづらいので後回し)
※VOL.1の収録タイトル
・フリッキー
ソニックシリーズでお馴染み、小鳥さんたちのデビュー作。
地味にソニックよりも先のデビューだったりする。
左右が繋がったフィールドを走り回り、大切なピヨピヨ達を回収、ニャンニャン達に襲われないように家に帰るゲーム。
ソニックやメガドラのコレクション作品でセット移植されることがかなり多いため、ゲーム図書館系のタイトルでは飛びぬけて優遇されている。
なお、海外では普通のROMカセットとしてリリースされている。
・パドルファイター 大宇宙一のエアロホッケー野郎!!
『パドルファイター』やら『エアロホッケー』やら、謎の単語ばかりが並んでいるが、
早い話が『エアホッケー』である。レジャー施設とかゲーセンとかでよくあるアレである。
ただし、現実のアレとは異なり、ちゃんとゲームならではの要素もある。
まず、各キャラに専用の必殺技(回数制限付き)が用意されており、また、時間経過によってお互いのゴールが広がり特典チャンス/失点の危険が増えていく、フィールドの形も四角形以外というパターンも存在する。
試合に勝利すると対戦相手の必殺技を教えてもらうことができ、一味違ったプレイングが可能(それまでに使っていた技は忘れてしまう)。
これだけならただの面白そうなスポーツアクションなのだが、このゲームを起動すると唐突に『エアロホッケーを神とするエアロホッケー皇帝が治める星間国家がある』とかいうナレーション(しかもフルボイス)が入るという謎のシュールっぷり。
敵キャラや自キャラの設定も無駄に壮大で、フルネームから種族、詳細なプロフィール(というか自己アピール?)まで設定されている。じっくり読んでみるのも一興。
・ハイパーマーブルス
おはじきの様にマシン同士をぶつけ合い、破壊するゲーム。
こういうゲームってそこそこ見かけるが正式なジャンル名がよくわからないのである。
マシンのブーストを利用して他マシンに体当たり、大きく吹っ飛ばしてフィールド端の電撃に命中させれば破壊可能、自分以外を制限時間以内に全滅させればステージクリア、この繰り返しである。ただし、ブーストには制限があるほか、ある程度距離を取らないと吹っ飛ばすこと自体ができない。
小型タイプの敵ばかり出てくる序盤ならともかく、吹っ飛ばしづらい中型・大型の敵が出てくるステージ3あたりから難易度が大幅に上がって来る。
また、フィールドによっては電撃の前に壁が出現し、一度破壊する必要が出て来たりと中々に厄介。
そして敵と同様にプレイヤーも電撃ヒットでアウト、時間切れでもアウト、(他ゲームにも言えるが)途中からの再開もナシ、ということでVOL.1収録タイトルの中では最も難しい。
良く言えば超ストイック、悪く言えばかなり地味なゲーム。
・ピラミッドマジック 総集編
ピラミッドから脱出するため、ブロックを持ち上げたり、運んだり、破壊したりして各フロアの突破を目指すパズルゲーム。
何が『総集編』なのかというと、元々4作に分かれていたのを一つにまとめたため。
ルールはゲーム開始時に長々と説明される…が読んでても眠くなるだけなのでやりながら覚えていった方が早い。
難易度は序盤は簡単、奥へ進むにつれて少しずつ難易度が上がっていく。
一手ミスっただけで詰むことも少なくないが、そういった場合はギブアップしてそのフロアの初めからやり直すことができる。序盤フロアに限りパスも可能(回数制限アリ)。
ギブアップや死亡時には残機が減るも、割と残機には余裕があるのでそこそこ気楽にチャレンジ可能。
粗削りな面もそこそこ見受けられる他作品と異なり、今作は現代でもそのまま通用するオンリーワンな魅力を持っている一作。
ちなみにステージエディットも可能。
※VOL.2の収録タイトル
・死の迷宮
メガドラではおそらく唯一のダンジョン自動生成型ローグライクゲーム。
ダンジョンの構造は突入するたびに変化し、プレイヤーはその中で敵を倒しながら階段目指して進み続ける。
操作方法はどえらくシンプル、攻撃方法も敵に向かって方向キーを入力するだけ。
敵を1体倒すのにも時間がかかり、行き止まりに追いつめられると高確率で死ぬため、ヤバいと感じたら大人しく逃げるのもコツ。かといって逃げすぎると今度はレベルが低くてやってられなくなるというジレンマ。
こういうゲームでおなじみの空腹システムも健在、油断していると死ぬ。
華やかさこそはないものの硬派かつシンプルな面白さを持つ一作。
なお、フリッキー同様に海外では普通のROMカセットとしてリリースされている。
このため、海外のメガドラコレクションには高確率で収録されている。
・パターゴルフ
読んで字の如く、純然たる『パターゴルフ』である。
少し狭めのホールの中、パターだけを使ってカップインを目指す。
ホールごとに決められたパー以内でホールアウトできればOK、パーをオーバーしてしまうとその分だけ持ちボールがなくなり、全てなくなるとゲームオーバー、ボールの回復手段はいくつか用意されているとはいえ、上級者向けなので可能な限りパーでのクリアを目指したい。
ホールには超大幅に滑る氷の床や、乗るだけで流されるベルトコンベア(?)、一定間隔で出入りする壁、一気に吹っ飛ばされるバンパーなど様々なギミックが用意されており、どこも一筋縄ではいかない。
また、パターは力の調整が非常に難しく、少しミスっただけでボールはゴルフ場の果てまですっ飛んでいく。
しかし、このスピード感がなかなか癖になるため、今作で思い通りにボールを操れた時の爽快感は他のゴルフゲームにはなかなかない。
・メダルシティ
ひたすらメダルを稼ぎ続けるゲーム。
初期メダル数は30、ここからどんどん稼いでいく。目指せ100000枚!
所持メダルがすっからかんになったらゲームオーバーだが、全BETのような自殺行為でもしない限り早々ないはず。
ゲームはポーカー・ブラックジャック・スロットの3種類、突き詰めればどれも運試しだが、体感的に一番効率がいいのはスロット。というかポーカーとブラックジャックはリスクがデカすぎる。
ただしスロットはアタリを引いてもこれといった演出がないため割と地味なのがネック。
(ポーカーやブラックジャックが派手というわけでもないケド)
ちなみに収録タイトルの中では非常に珍しくパスワードセーブ対応。
・16t
おそらくゲームのかんづめ収録タイトルの中で最も(ネタ的に)有名な作品。
SEGAの歴史の中でもトップクラスの怪作にして問題作。
一言で言えば『電波』なゲーム。
開幕のバグみたいな挙動やら『どくでんぱ』やら主人公である『アップルがいきち』やら何の説明もなく武器として扱われる16t(潰された敵は真っ赤なナニカを撒き散らして死ぬ)やら、色々とヤバいネタには事欠かない一作。
というかコレよくメガドラミニに収録する許可下りたな…。
この色々と頭おかしい世界観からは想像もつかないが、ゲーム自体はよく考えて行動しないとすぐ死ぬタイプのアクションゲーム。惑わされないよう慎重に行動しよう。
スタート時のメッセージによれば『このゲームはどくでんぱによってつくられている』らしいが、この域にまで来ると『このゲーム自体がどくでんぱそのものなのではないか』という疑惑が出てくる。
ちなみにとあるシーンでパカパカ演出があるのでそこだけは注意。
・ロボットバトラー
自分で自由にカスタマイズしたロボットを戦わせ、どんどん勝ち進んでいくゲーム。
最初にロボットの能力を振り分け、以降は武器を購入・装備しながら試合に挑んでいく。
別に武器がないなら体当たりでも戦えるが、初心者向けじゃないので注意。
ゲームが進むにつれて敵は勿論ステージも厄介なものに変わっていく。
勝利の為にはフィールドをうまく利用するのがコツ。
最初から終わりまでとにかく物資がカツカツなのでかなり難易度は高い部類。
奥深さを感じる1作だが、恥ずかしながら自分にはいささか難易度が高かった気がする。
・テディボーイブルース
元々はアイドルとのコラボ作品だったらしい。
『ようこちゃん』という少女がおもちゃの国に連れてかれるのを防ぐため、ぬいぐるみの少年『テディ・ボーイ』が大冒険するゲーム。
所謂マリオブラザーズの延長のようなアクションゲームで、一定時間ごとに時計から出現するおもちゃ達を制限時間内に全て倒しきればラウンドクリア、一定ラウンドごとにようこちゃんを操作するボーナスゲームにも挑戦できる。
敵も味方もおもちゃが元になっているだけあってどこかメルヘン、しかし一方で不気味な印象も受けるのが特徴。
敵の行動は完全にパターンだが、ステージの上下左右は簡単にループし、油断しているとすぐに被弾してミスになってしまうため、時に慎重に、時に大胆にプレイするのがいい。
純粋なゲームとしてはVOL.2収録作品の中で最も面白かった気がする。
・イカスぜ!恋のドキドキペンギンランドMD
ACの名作の移植版(マークⅢ)の移植版(ゲーム図書館)の移植版(コレ)。
タマゴを割らないように足場を崩しながら下へ下へと進んでいくパズルアクション。
タマゴは踏んづけたら割れてしまうし、高い位置から落としても割れてしまう。
タマゴのルートを確保しつつ、よく考えていく進んでいく必要がある。
1手だけならやり直しが可能なほか、旗を立てればミスになってもその地点から再開可能だったりとユーザーフレンドリー。
ラウンドが進むにつれて少しずつ仕掛けも厄介なものに変化していく。
全30ラウンドだが5ラウンドごとに再開用のパスワードを教えてもらえるので便利。
主人公のペン太といい、なかなか振り向いてくれないペン子ちゃんといい、全体的に可愛らしいノリが特徴的な1作。
・アウォーグ
『アウォーグ』という言葉だけ聞けばそこそこ硬派なSTG的な雰囲気がそこはかとなく感じられるが、この名前の由来を聞けば脱力すること請け合いであろう。
アウォーグの由来は『扇ぐ』、今作の主人公アウォーグはうちわで空を飛ぶ正義のヒーローなのだ!…文字にすると猶更意味わからんなコレ。
ゲームとしてはステージ内にあるゲートキーを全て集めてゴールを目指すゲーム。
アウォーグの移動手段はうちわで扇ぐのみ、自分の足で歩くことすらない。
うちわで扇いで空を飛び、ちまちまとステージを進んでいく。
バルーンファイト辺りをイメージするとわかりやすいかもしれない。
結構な頻度で遭遇する敵キャラはうちわの風で動かすことができる。
これで邪魔な敵をどかしながら進んでいく。どうしようもない時は必殺技で蹴散らすのも一つの手。
移動・敵の吹き飛ばしなど、ありとあらゆる操作全てが独特なため、慣れるまでは大変かつつまらないが、操作に慣れてくるとどこか面白くなってくる不思議な1作。
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(SHILKA'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(AMIA'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(HUEY'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(EUSIS'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(NEI'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(RUDGER'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(KINDS'S ADVENTURE)
・ファンタシースターⅡ テキストアドベンチャー(ANNE'S ADVENTURE)
メガドラを語るならば避けては通れない傑作RPG、『ファンタシースターⅡ 還らざる時の終わりに(以後PSⅡ)』、その過去編を描くアドベンチャーゲーム。
VOL.1ではシルカ・アーミア・ヒューイ・ユーシス(PSⅡ主人公)の冒険、VOL.2ではネイ・ルドガー・カインズ・アンヌの冒険をプレイ可能。それぞれのシナリオは基本的に独立しているものの、とりあえずプレイは『PSⅡ』クリア後を推奨。
ゲーム内容は超シンプルなアドベンチャー…とはいえ、ちょっと昨今の…というか当時出ていた他のアドベンチャーゲームと比べてもかなり不親切な面が強い。
現在位置などの情報が一部シーンを除いてテキストでしか描写されないため、最早アドベンチャーゲームというよりは純粋な小説を読み進めるような雰囲気。
ただし、一部シーンやゲーム開始時に挿入されるスチルや、常に表示されている顔グラフィックはかなりハイクオリティ、顔グラは状況次第で変化することもある。
BGMも絶妙に盛り上げてくれるのも特徴。
当然だが、『ファンタシースター』シリーズにある程度精通したプレイヤー向け、原作における固有名詞が説明無しで大量に登場するため、原作ファン以外がプレイするのは少しだけハードルが高め。
原作がRPGなので一応戦闘シーンのようなものはあるが、あくまでオマケ程度、基本的にはテキストを読み進めたり謎解きをする方がメイン。
後述する『お徳用』や『メガドラミニ』の収録からはあぶれてしまったものの、過去にPS2のコンプリートコレクションにも移植されているため、ほかのタイトルに比べればプレイ環境を整えるのは容易な部類。
さて、最初に語ったようにゲーム図書館のタイトルは移植に中々恵まれず、プレイする手段が現在存在しない幻の作品も少なくない。
そんな作品を僅かでも引き上げてくれる今作は、レトロゲーマーにとっては英雄ともいえるコレクションである…と言いたいところなのだが、そもそもメガCD自体がマニアックもいいところなのでライト層には手を出しづらいのがネック。
(というか現存する本体が普通に貴重、特に2じゃない方のメガCD)
しかし今日(2019/09/19)、そんな『ゲームのかんづめをプレイしたいがメガCDを持っていない』というプレイヤーについに光明が差すこととなる。
その名も『メガドライブミニ』、令和初となるのSEGAの新ハードである。
『あくまでメガドラメインでありメガCDや32Xの収録はされない』とされたメガドラミニだが、半ばサプライズ的な形でなんとこの『ゲームのかんづめ』が収録されることとなった。
内容はセガチャンネルにて配信されていた『お徳用』バージョン。
『ゲームのかんづめ お徳用』は自分も先日まで存在すら知らなかったので軽く調べた程度の情報しか知らないのだが、どうやら音源がメガドラ内臓音源になっている以外に特に変更点はないらしい。収録タイトルは『テキストアドベンチャー』を除くVOL.1とVOL.2の全作品となっている。
『テキストアドベンチャー』は良くも悪くもPSシリーズファンに向けたゲームという側面が強いため、こちらが未収録でも今作の価値はほぼそのまま残っている。
(というかテキストアドベンチャーは過去にも移植されたこともあるし…)
また、昨日(2019/09/18)発表されたばかりの新情報だが、メガドラミニに収録される『ゲームのかんづめ お徳用』には更にオマケとして『Kiss Shot(キスショット)』までもが追加収録されるという。
『Kiss Shot(キスショット)』も他の収録タイトルと同様に、ゲーム図書館にて配信されていた作品であり、更に今回が初移植、つまり今の今までプレイする手段が一切存在しなかった幻の作品である。
ということで、プレイ環境を整えるのが難しかった今作であるが、明日発売のメガドラミニを購入することで、誰でも簡単にプレイできるようになる。
数あるメガドラソフトの中でもとりわけ意欲作の多い今作を今の時代に改めてプレイしてみるのもいいかもしれないのである。
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