人気パズルの『ぷよぷよ』シリーズでお馴染みのキャラ達が、元を辿れば『魔導物語』というRPGシリーズ出身であるというのは、ある程度ゲームの事情に詳しい人間であれば誰でも知っているレベルのゲーム雑学である。
とまぁ、そんなこんなで(意味不明)今回語るゲームは『魔導物語Ⅰ』である。
ファンが便宜上シリーズの1作目を『〇〇1』などと呼ぶことはよくあるが、今作は『魔導物語Ⅰ』というのが元々の公式名である。
ただ、『魔導物語』の1作目は他にもいっぱい出ているため、今作は『魔導物語Ⅰ』よりも『メガドラ版』と呼ばれることが多い気がする。
ぷよシリーズはともかくメガドラの魔導物語は今作だけだからである。
とはいえ、自分の魔導物語歴はこのメガドラ版だけなので、シリーズについてもそこまで詳しいわけではなかったり。そもそも上記の説明もこれに合わせてわざわざ調べた結果だし。
基本のゲームシステムはダンジョン探索RPG、操作性は非常に良好でオートマッピング機能などもあるため、このジャンルの初心者でも手軽に遊ぶことができる。
ただし、オートマッピングでは階段や仕掛けの位置は一切表示されないため、完璧にやりこむ場合はやはりちゃんとしたマッピングを行った方が良かったりもするけど。
ダンジョンの中には全40問の問題が用意されており、後述する『得点』に関係する。
問題の内容は『特定のアイテムを使う』や『特定の魔導を使う』などのオーソドックスなものから、『体力全開状態で特定の行動を取る』、『特定の仲間を逃がす』等の一筋縄ではいかないものもある。
ゲーム序盤では『〇〇を使え』など、問題文が直球なものも多いが、ゲーム後半になってくると『〇〇と合成することで××となるアイテムを使え』のように中々難しい問題も出題されるようになる。
問題は攻略するごとに『得点』が加点されていく。
難しい問題は諦めてスルーしてもいいものの、今作の目的は『塔を脱出したうえで80点以上の点数を獲得する』という物なので、あまり無視しすぎると点数が足らずグッドエンドに辿り着けなくなってしまう。
探索においては上記の『問題』が少々特殊なだけで、他はかなりオーソドックス。
むしろ今作で特に見るべきポイントは戦闘面である。
本作の戦闘はランダムエンカウントで発生、『ぷよ』や『ケットシーズ』、『すけとうだら』、『ウィッチ』等可愛らしいモンスターたちが登場する。
どの敵も専用のボイスが用意されており、戦闘アクションや専用セリフもあり、つい夢中になって見てしまう。
(まぁじっくり見ていると殴られて死ぬのでそういうわけにもいかないんだケド)
戦闘の最大の特徴といえばやはりこの圧倒的なリアルタイム性である。
なんと、今作の戦闘画面では何のコマンドも表示されない。
ならどうやって攻撃などを行うかというと、ズバリコマンド入力である。
主人公であるアルルは基本的に魔導以外の攻撃手段を持たず、また魔導の発動方法は『Aボタンを押しながら特定のコマンドを入力する』というRPGにあるまじきシロモノである。
戦闘はターン性ではないため、プレイヤーの実力次第では連続で攻撃が可能。
逆に、プレイヤーの実力が不足していたりすると全然攻撃ができなかったりもする。
敵も攻撃直後などは一切動かず静止し続けるものの、それでもコマンド入力を手間取るとすぐ次の行動に入って来る。
当然、魔導のコマンド入力中に被弾すれば魔導はキャンセルされてしまうため、相手のスキをついて素早くコマンドを入れる必要がある。
また、攻撃魔導は基本的に低空+まっすぐにしか飛ばないため、空中の敵には当たらない。
敵の状況を見極めつつ、最適なタイミングで素早くコマンド入力、かつ相手の攻撃はジャンプかガードでやり過ごす、といったさながら格闘ゲームのようなバトルシステムになっている。
ちなみに敵の攻撃をやり過ごす方法は二つ、ガードで持ちこたえるか、ジャンプでやり過ごすかである。ちなみにガードは左、ジャンプは上でボタン入力を行えばいい。
こういったポイントも格ゲーらしさを助長させている。
魔導の種類は10種類、魔導に応じて入力するコマンドも異なる。
魔導はダンジョン内に登場する様々なキャラとの交流で教えてもらえる。
(教えてもらっていない魔導はコマンドを入力しても使えない)
一度教えてもらった魔導はコマンドをいつでも確認できるものの、戦闘中に確認している暇はほぼないのでやっぱり暗記するのがベスト。
特にファイアー(↑←↓→)、アイスストーム(↓←↑→)、ダイアキュート(↑↓←→←)、ワープ(↑↓↑)の4つはゲーム全編通して入力することになるので暗記が必須…というか気が付いたら指が勝手に覚えている。次いでヒーリング(↓↓↑↑)も使用頻度は高め。
アイテムも選択中こそゲームが止まるものの、使用中は普通に敵が動いてくるので、アイテムの使用時間も考慮しながら選択する必要がある。
(何も考えずに使うと回復アイテム食いながら敵に殴られるハメになる)
ただし、これを利用して一定時間特殊行動するアイテムなどを利用し、回避不能技を無効化する等のテクニックもある。
アイテムには少し特殊な『A(アミーゴ)カプセル』という物が存在する。
これは敵モンスターを味方にして操ることができるアイテムであり、
同時に1匹まで好きなモンスターを連れて歩くことができる。
Aカプセルで仲間にできるのはボス敵を除いた全ての敵モンスターであり、また、呼び出したモンスターは敵対時の技を(おそらく)全て使用可能であり、アルル使用時とは一味も二味も違うプレイを楽しめる。
ちなみにAモンスター操作時の攻撃も魔導と同様にコマンド入力で行う。
ダンジョン探索RPGといえばどうにも硬派なイメージがあるものの、今作は全編通してノリは軟派。
例えば敵味方共に体力や魔導力が数値化されていない…いや、内部的には数値化されているのだろうが、プレイヤー側にはその情報が与えられない。
ダメージの量は『いたい』、残りの体力は『元気!』や『そろそろばたんきゅー』等、少し砕けた表現で表される。
砕けた表現とはいえ、パターンはそこそこ豊富なのでなんとなくだが『あとどれくらい魔導を使えるか』、『あとどれくらい攻撃すれば倒せるか』等は掴むことができる。
シナリオ中に登場するメインキャラはたった3人、主人公のアルル、導き手のカミュ、半ばギャグ的立ち位置のラーラであり、3人とも見ていて微笑ましい性格付けとなっている。
登場人物が非常に少ないため、シナリオは超シンプルかつわかりやすい。
メイン3人は別行動を行っている(一応カミュはアルルを見守っているようだが…)ため、基本はたった一人での探索になるものの、ダンジョン内にはそこに住まうキャラ達も存在し、孤独な冒険の寂しさのようなものは特に感じない。
ぷよシリーズと同様にBGMはなかなかカッコいい。
特に塔の地下、塔の上層で流れるBGMや通常戦闘などのBGMは特にお気に入り。
ある条件を満たすとサウンドテストが解禁されるのでそれを目指してプレイするのもいい。
ちなみに魔導力が切れたり、体力がギリギリまで減っていたりすると探索画面のBGMがそれぞれ専用の物に変わるなど、細かいところにも力が入っている。
今作はパッケージが販売された最後のメガドラタイトル*である。
メガドラ後期も後期のタイトルなので様々なポイント、特にグラフィック面におけるクオリティの高さはメガドラ屈指。
また、格闘ゲームのような独自の戦闘システムは今の時代でも色あせない今作独自の魅力を放っているため、RPG好きなら一度は触っておくべきなのである。
*最後のメガドラタイトル
妙な表記を使っているのは、今月発売予定の『メガドラミニ』による影響である。
メガドラミニ発表前までは『魔導Ⅰ』は名実共に最後のメガドラタイトルだったのだが、メガドラミニに収録される『ダライアス』『テトリス』の2作は公式にセガのライセンスを受けた最新メガドラソフトであるため、厳密には最後のメガドラタイトルはこの2作になる。
とはいえ、これはかなりイレギュラー中のイレギュラー、奇跡のような事態である。
今作の移植はそこまで多くなく、また実機でのプレイもそこそこお値段が張ってしまい、少し前ならオススメがしづらかったが、今月発売される『メガドライブミニ(日本版)』にはなんと今作も収録されるので、今作の為にメガドラミニを購入するのもアリなのである!