いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

Pokémon LEGENDS Z-A (ポケモンレジェンズZ-A)

日本…というか全世界においてトップクラスの大人気IPであるポケットモンスター、縮めてポケモン。初代である1996年の『ポケットモンスター 赤・緑の時点でその基本システムは既にほぼ完成されており、それをベースに改良していく形で昨今のポケモンの本家ゲームシリーズは約30年にわたって展開されてきた。

ポケモンや技、ときにはタイプそのものの追加が行われているのはもちろんのこと、ダブルバトル(RS)・トリプルバトル(BW)・メガシンカ(XY)・Zワザ(SM)・ダイマックス(剣盾)・テラスタル(SV)と目玉ともいえるバトル関連の新システムもほぼ毎世代ごとに導入されており、バトル環境はそのたびに異なる様相を見せ、世代ごとに異なる面白さを味わうことができる

しかしながら長年シリーズを追い続けていると、この対戦システムにマンネリを感じてしまうこともあった。もちろん変わらないからこその味だってある。だがあくまで大元は約30年前の『ポケモン赤緑』で確立されたターン制コマンドバトル。何百・何千…人によっては何万回と戦い続けていれば流石に行き詰まりのようなものだって感じてしまうのは当然である。


(Let's Go! ピカチュウ / Let's Go! イーブイ)

それでも対戦システムの根本にテコ入れが行われなかったのは良くも悪くも『ポケモン』というコンテンツ自体が巨大だったかだろう。新作で基本システムの大幅な転換を図って失敗しシリーズそのものが派手に爆散した例がゲーム業界に過去いくらでも存在する以上、ポケモン公式がそんな博打のような一手を打ちたくない気持ちはよくわかる。一方でプレイヤー側もこのシステムに何十年と付き合ってきたわけなので、システムに飽きを感じたとしても『でもコレがポケモンだから』で許してしまう空気感があった。マンネリとは裏を返せば『いつも通りの安心感がある』という意味でもあるのだ。

結果、長年に渡って『ポケモンHOME』経由で繋がる…要は本家に連なるポケモンシリーズはいずれも『ターン制コマンドバトルRPG』の枠組みの中に収まる物ばかりとなっている。シリーズ随一の異色作である『Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ(ピカブイ)』や世界観が非常に異質な『ポケモンコロシアム』『ポケモンXD』ですらバトルシステムはいつも通りのもの。数少ない例外は『ポケモンGO』くらいだろうか。


(Pokémon LEGENDS アルセウス)

…風向きが変わったのは2022年のこと。そう、『Pokémon LEGENDS アルセウス(アルセウス)の登場である。『アルセウス』はヒスイ地方の広大な大地を巡り、ときには草むらに身を隠してポケモンを捕獲するシリーズ作。捕獲・育成したポケモンを『ポケモンHOME』で他の本家作品に送れることからもわかるようにスピンオフでありながら本家に近い作品なのだが、特筆すべきはその戦闘システム。

この作品の戦闘は本家で培われてきた相性や技こそ引き継がれているが、『すばやさ順にターンが回り、技の効果によって行動順が随時前後する』といったもの。ターン制であることは変わらないが、従来のポケモンのとはまるで異なる代物になっていることがわかるだろう。

我は『アルセウス』を初めてプレイした時、『ここまで本流に近い作品でこれほどの挑戦を見せてくれるとは!』と強く感銘を受けたのを覚えている。そして確信した。このポケモンレジェンズ』がシリーズ化することがあれば、きっと再び『ポケモン』シリーズの新たな可能性を見せてくれるに違いないと。
(じゃあなんで当時ブログで語らなかったかというとシンプルにめっちゃ忙しい時期だったからですね)

というわけで長くなってしまったが今回の記事ではいよいよ登場と相成った『Pokémon LEGENDS Z-A (ポケモンレジェンズZA)』を語っていこう!『アルセウス』のクオリティの高さもあって我は本作に多大な期待を寄せていたせいか、一気にプレイして完全クリア(メイン・サブ完遂+ひかるおまもり獲得)してしまった。この記事もほぼほぼ勢いで書いているものである。

本作『Pokémon LEGENDS Z-A』はポケモン』シリーズのスピンオフにして『ポケモンレジェンズ』シリーズの2作目。前作『アルセウス』から引き続きメインの開発はポケモンの本家本元ゲームフリークが担当。プラットフォームはNintendoSwitch2およびNintendoSwitchポケモンなので任天堂ハードなのは当たり前だが、ポケモンシリーズは主要プレイヤーであるライト層のためか新ハードがリリースされようとも十分に普及するまでは前世代機に展開することが多かったため、このように縦マルチでリリースされるのは極めて珍しい
(他の例はポケダン赤青くらいか)

ちなみにSwitch2のパッケージ版は言わずもがなSwitch2で起動した場合パーフェクトに楽しめるが、実は従来の無印Switchでも起動可能。この場合はSwitch版相当の内容となる。この仕様はあまり知られてないもののNintendo Switch 2 Edition』を冠している作品全てで共通。他の例だと『龍の国 ルーンファクトリー』なんかが該当する。…なのでぶっちゃけSwitch2エディションが存在するゲームはSwitchのパッケージ版の存在意義が殆どなかったりするんだが、それでもわざわざSwitch版を作るのはユーザー視点でのわかりやすさのためなのだろう。
(一応Switch版が1000円ほど安いので将来的にSwitch2を買うつもりがないなら選択肢になるのか?)

またSwitch版を所有している人は1000円のアップグレードパスを購入することでSwitch2版にアップグレードできる。でもってそろそろ寿命を迎えつつある酢昆布こと『2本でお得 ニンテンドーカタログチケット』はSwitch2タイトルには対応していないのだが、この仕様を利用することで『カタログチケットでSwitch版ポケモンZAを購入』『アップグレードパスを購入してSwitch2版にアップグレード』という手順を踏み、定価8100円のところ実質5990円(9980÷2+1000)でSwitch2版の本作を購入する荒業が使えたりする。

なにはともあれタイトルから既にお察しの方も多いだろうが、本作は2013年にリリースされたポケットモンスター X・Y(ポケモンXY)』をフィーチャーした作品となっている。『ポケモンXY』の当時を思い返すとポケモンというコンテンツ全体がやや失速(といっても腐ってもポケモンなので人気自体はあったが)気味だった記憶がある。ゲーム内要素で明らかにマイナーチェンジ版であるポケモンZ(便宜上こう呼ぶ)』の存在を示唆していたにもかかわらず最後までマイチェンがリリースされることなく世代交代したのがまさにその象徴。

結局『Z』のタイトルはアニメ版(アニポケ)に捻った形で拾われ、XYで初登場した第3の伝説『ジガルデ』の真の姿『パーフェクトジガルデ』もアニポケでのお披露目、本家ゲームのジガルデは最後まで活躍することなく次世代『ポケモンSM』にて収集要素のひとつに押し込まれて終わりなど、シリーズ全体で見てもポケモンXY』の扱いは『宙ぶらりん』という言葉が似合う状況だった。

そのままシリーズの歴史が積み重ねられていき、いい加減ポケモンZまだ?』というネタすら擦られなくなった2025年…ついに行われたポケモンXY』の12年ぶりの掘り下げこそが本作ポケモンZA』である。

なお本家ポケモンシリーズでいえば直近の前作は『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット(ポケモンSV)となるわけだが、今回の記事ではどっちかというと『アルセウス』と比較して語る場面のほうが多いため、本記事で『前作』と記述された場合は『Pokémon LEGENDS アルセウス』のことと読み替えていただきたい

本作の舞台はカロス地方の中心ともいえる大都市ミアレシティカロス地方は『ポケモンXY』の舞台でもありモチーフとなったのはフランス、そのなかでもミアレシティはパリにあたる街。本作から登場した『クエーサー社』によりポケモンと人間の共存を目指した都市再開発計画が進められている。ミアレシティはもともとポケモンXY』の時点でシリーズ史上最大級の広さ*を誇る街であったが、それは本作でも変わらない。

XY当時の地形をできる限り再現しつつそのままスケールアップしたかのような構造であり、そのサイズ感は縦横ともに非常に広大。とはいえボタンひとつで開けるメニューから各所に点在するカフェやポケモンセンターにファストトラベルできるのでそこは安心。あのXY当時は無駄に多いだけだったカフェが初めて役に立っておる…。

*ミアレシティ(ポケモンXY)
XYの舞台であるカロス地方の中心にある巨大な街
シリーズ最大の広さを誇るのが最大の特徴で、とにもかくにも迷いやすい
ミニマップがないせいで地名や背景から現在地を把握しないとNGなのだが、
どこまで行っても似たような地形かつXY特有の気取ったネーミングゆえ覚えづらい
街のサイズに比例して施設も相応に多いものの、
歩き回るのでさえ一苦労なのでよほどのガチマニア以外にはスルーされがち
しかもXY初期版ではここでセーブするとフリーズする致命的なバグまであったため、
『Z-A』発表前まではガチでマイナス寄りな評価をされていた

気配を消す『しゃがみ』や回避用の『ローリング』など基本的な操作そのものは前作『アルセウス』を踏襲、ただしプレイヤー自身の移動アクションは前作と比較すると控えめ。『ダッシュ』こそデフォルトで使用可能となったが、ライドの概念が消滅したため空を飛んだりジャンプしたりはできなくなっている。本作からの新アクションでは特定の地形を登れるパルクールといったものがあるが、やはり移動の自由度は前作の方に軍配が上がる。まぁ前作はポケモンたちの力を借りられたのに対しこっちは主人公の身ひとつなので当然っちゃ当然である。

特にジャンプが自発的に行えない点は大きく、屋上などの高台に登りたいときは周囲にパルクール地点やホロベーター/ハシゴがないか探したり、より高い位置からローリングで届かないか考えなければならなかったりと、それだけで頭を使う必要が出てくる。

一応中盤になるとロトムグライド』という一風変わった空中ジャンプが使えるようになるが、使用できるのは空中のみ+一度下降してからバネのように上昇するというクセの強いアクションなので活用には慣れが必要。使いこなせればわざと落下→即ロトムグライドでちょっと高めの足場に登れたり、壁に遮られた裏側に回り込んだりいろいろできるようになる。

移動が制限されていることを逆に利用した要素として『足場アスレチック』なるものもある。これは街の各所に点在しているもので、狭い足場を慎重に進んだり、迷路のように入り組んだ中からハシゴを探し出したりパルクールを活用したりして高台に登り、最後まで到達できれば『カラフルなネジ』という収集アイテムを獲得可能なやりこみ要素。…更に高台にアクセスできるならロトムグライドやらなにやらを悪用して半ばズルしてクリアできちゃったりもする。まぁネジさえ取れればOKなワケじゃし。『カラフルなネジ』は作中のとある場所で『カナリィぬい』と交換でき、プレイヤーの捕獲率やら賞金に補正をかけられるのでできる限り挑戦したいところ。

本作のミアレシティでは都市再開発計画の一環として街中に野生ポケモンが生息。無害なポケモンであれば人間たちの居住区域にも普通にいたりはするが、それとは別にポケモンたちの領域である『ワイルドゾーン』も各所に設けられている。ワイルドゾーン内にいるポケモンは全て野生なのでプレイヤーが自由に戦ったり捕獲したりができる。…ただし街中の個体と違い獰猛なヤツも多いので要注意。ポケモンはあくまで怖い野生動物自身の縄張りに足を踏み入れた異物(人間)は排除しようとするのが自然の摂理である。

ワイルドゾーンはゲーム開始当初こそ少なめだが、メインシナリオが進行するにつれもともとの街の区画(人間たちの居住区域)を置き換える形で増えていく。同じマップを使い回しつつ新たな街の一面をみることができるのは面白い試みである。これによってプレイヤーが捕獲できるポケモンの選択肢の幅も広がっていくのもナイス。本作ではマップ画面から各ワイルドゾーンごとに生息するポケモンの一覧(および入手済みか否か)が確認できるのでコンプのモチベも保ちやすい。

…傍から見てると完全に外来種に侵略されてる絵面でしかないってのはまぁそう。シナリオ進行ごとに人間のテリトリーがだんだんモンスターの生息区域に変わるあたりに龍が如く OF THE END』を思い出したのは我だけじゃないと思いたい。とはいえこれに関しては作中のNPCからもちょくちょくツッコまれているのである程度意図的なもの。ホントに大丈夫かミアレシティよ。ちなみにワイルドゾーンが増えても店舗の位置は変わらないので、一部のカフェなんかは店舗がワイルドゾーンになってしまっても健気に営業を続けているゾンビが跋扈する中でもパチ屋やキャバ営業してた神室町かよ。

本作では基本的に好きな手持ちを一匹ボールの外に出して一緒に歩き回ることもできる。各所のカフェやベンチで休憩するときは手持ちポケモンと一緒にくつろげるので、可愛らしい相棒たちと戯れつつ心の赴くまま癒やし写真をガンガン撮っていくといい。簡易的ながら『ひでんわざ』に近い要素も復活しており、街中に発生した岩やメガ結晶・ヘドロなんかをポケモンのわざで除去することでアイテムを回収したり、道を開通させたりもできる。在りし日の秘伝技とは違いギミックを除去できるわざは1種類ではないので、さほど取り回しに苦労することはないだろう。

着せ替え機能が初めて導入された『ポケモンXY』の延長ということもあってか、本作のキャラメイク/着せ替えシステムはシリーズでも随一の気合いの入り具合である。キャラクター自身も髪型や顔のパーツはもちろん、髪色は新たにメッシュやグラデを採用できるようになった。なおサブイベントを進めていくと選択できる髪型・髪色・カラコンが増加するのでデフォルトのパターンに刺さるものがなかった人も諦めるべからず。

ポケモンSVから引き続き服装は男女兼用となっているが、制服縛りだったSVと異なりパーツごとに様々な衣装を細かにコーディネートできる。性別通りの服装はもちろん男装・女装のどちらも可能。服はブティックで購入可能だがマジでお値段が高いので序盤はお財布との相談。

なおブティックはミアレシティ内に大量に存在し、それぞれの店ごとに品揃えも全く異なる。新たなファッションを求めて街歩きに興じるのもよかろう。ゲームシステムの都合上XY時代にあったようなスカートはほぼ存在しないがこればかりはしゃーなし。

かつてのポケモンXYでは女性向け(女性専用)衣装ばっか充実してて男主人公を選ぶとその時点で悲しみを背負うレベルの男女格差が存在したことを考えると大きな進歩である。…まぁ女性向けデザインの方が充実しているのは本作でも変わらないので、結果的に男主人公で女装するプレイヤーの大量発生に繋がったワケじゃが。
(男主人公は女装解禁するか否かでカスタマイズの幅が目に見えて変わる)

メインシナリオに直接関係しない『サイドミッション』100種類以上が存在する。誰かとバトルをするだけの簡単なものから、特定の条件を満たした個体を連れてくるものまで内容は様々。前作のサブ任務では『あらゆる意味で未知の存在であるポケモンのことを人間が少しずつ知っていく』といったものだったのに対し、本作のサイドミッションは『再開発計画により距離が縮まってしまった人間とポケモンが、お互いのことを改めて理解しあい適切な距離感を探っていく』という点に焦点が充てられている。前作とはまた一風変わった異なるアプローチでこそあるが本作のソレもまたポケモンならではの内容である。あとときたま謎に濃ゆい準モブが出てくるのも相変わらず。

そしてここまでで紹介したのはあくまで平和なお昼のひととき…だがミアレシティにはもうひとつ…危険な夜の顔があるのだ。本作では(一部のイベント中を除き)時間経過によって昼と夜が切り替わるミアレシティでは夜を迎えると街のどこかしらに『バトルゾーン』と呼ばれる区画が出現、そこでは『ZAロワイヤル』なる催しが執り行われており、トレーナーたちは毎夜バトルに明け暮れている。本作の主人公はこのZAロワイヤルに参加することになり、最低ランクのZランクから最高のAランクを目指して戦い抜くことになる。ZAロワイヤル自体の内容についてはまた後述しよう。

というわけでシナリオやキャラのおはなしである。本作はポケモンXY』から5年後の物語。主人公が観光のためミアレシティに訪れた場面からはじまる。ひょんなことからガイ/タウニーに出会ってしまった主人公は彼/彼女に連れられホテルZに滞在することになり、ミアレの平和を守る『エムゼット団』の一員として最強のメガシンカ使いを目指しZAロワイヤルに挑む…というのが大まかなあらすじ。

主なシナリオはガイ/タウニーデウロピュールといったエムゼット団のメンバーを中心に進行する。『同年代の子供たち』という観点で見るとポケモンXYの仲良しグループ(おとなりさん)のオマージュ乃至はリベンジも兼ねているかもしれない。XYの仲間たちはスタート地点こそ同じであれ夢も旅の目的もバラバラだったため本筋に絡むことが少なく影が薄かったが、本作のエムゼット団は目指すべき夢は異なれど団としての目的は共通+同じ拠点で生活していることもあり影の薄さは全く感じさせない。

まさかの2連続配信者キャラかと思いきや異なるベクトルで突き抜けた『カナリィ』や、グレーな手段で裏側からミアレシティを守ろうとするアウトローというかヤクザ『カラスバ』などなどエムゼット団の面々以外も本作のキャラは良くも悪くも非常に尖ったキャラが目立つ。関係者含めどいつもコイツも一回絡んだら忘れられないレベルでインパクトを残すキャラであるため、初見は面食らうこと間違いなしだがプレイを終える頃にはみんな好きになっていることだろう。

キャラデザの方向性はポケモン剣盾』と『ポケモンXY』を足して2で割り、そこから更に頭身を上げたような雰囲気ポケモンシリーズ全体でも特に頭身が高いためどのキャラも従来作品より大人びた印象である。前作キャラの衣装が飾られているミアレ美術館に行くと頭身の変化がわかりやすい。

ポケモンXY』の5年後ということもあり、少ならからずXYの主要人物や事件との関係を匂わせるキャラも多い。なんなら国際警察ハンサムから探偵を継いだ『マチエール』やまさかまさかのフレア団からの大出世『モミジ』、そして事件の当事者である『AZ』および『黒い花のフラエッテはそのものズバリの本人が再登場する。あの事件から5年を経て新たな道を生きる各キャラ(とくにAZ)の姿に感慨深い気持ちを抱く人も多かろう

…ところでややアングラ方面に足を踏み入れたポケモンマニアには有名なハナシだが、本作および『ポケモンXY』のメインシナリオで重要な役割を担うAZフラエッテ…もといフラエッテ(えいえんのはな)』は専用わざの『はめつのひかり』ともどもXYの頃から内部データ上に存在していた

単なるフラエッテの姿違いと見せかけ専用種族値に特殊仕様あり(フラージェスに進化不可)専用グラフィック持ちに加えて専用わざまであるにも関わらずゲーム中に入手できない…要は幻のポケモン』に近い存在だったため、内部データが確認された当初より『いずれくるマイチェン版(ポケモンZ)で解禁されるだろう』『そのうち映画なりイベントなりで配布されるだろう』と思われていた。

…だがその機会は訪れることなく、3DS→Switchの世代交代と共に内部データからも抹消。このまま歴史の表舞台に出ることなく消滅するかと思われていたところ、本作でまさかまさかの12年越しの再ピックアップである。

同様に『ポケモンDPt』で陽の目を見ることなく消えた『てんかいのふえ(はじまりの間)』イベントが前作および『BDSP』にて拾われていたように、もしかしたら『レジェンズ』はかつてフォローしきれなかった幻の要素を復刻する路線なのやもしれない…。まぁポケモンお蔵入り要素は『てんかいのふえ』と『えいえんのはな』が二大巨頭だったので、この手のネタはもうストックがなさそうじゃが。『ロックカプセル』だの『へんげのどうくつ』だのはどう調理しようが元が地味すぎてどうにもならなそうだしね…。

閑話休題、前作同様シナリオは『メインミッション(メイン任務)』をクリアするたびに進行する。ある程度物語が進むとZAロワイヤルのランクアップ戦に挑む流れとなるのだが、ランクアップ戦に挑むにはZAロワイヤルで勝ち抜いて『チャレンジチケット』を入手する必要がある。ただしチャレンジチケットはそれよりも前の時点から確保することもできるのである程度は自由にゲームを進めることができる。

本作ではランク昇格までのあいだに昇格戦の相手も交えた紆余曲折のドラマが用意されており、各ランクごとに1つの物語として楽しめる。昇格戦の相手は旧作でいうところのジムリーダーに近いポジションだが、互いに同じ目的を持つライバル同士で上位を目指して激突する…といったテイストからノーモアヒーローズ』を思い出した人は我だけじゃないと信じたい

ランク戦とともに描かれる本作のメインシナリオではかつて伏線ごと放置された伝説のポケモン『ジガルデ』*がコレ以上ないレベルで大活躍。まさしくポケモンXY』の物語の完結編といっても過言ではないため、同作のプレイヤーであれば無条件で本作をプレイすることを強くオススメする。

*ジガルデ
ポケモンXYにおけるゼルネアス・イベルタルに続く第3の禁止伝説
『カロスに生態系の危機が訪れると現れる』という設定があるのだが
肝心のXY本編の事件には一切関与しているようには見えず
住処である終の洞窟から最後まで一歩たりとも動かないせいで
当時は『自宅警備員』だの『職務放棄』だの散々な言われようだった
後にSMでパーフェクトジガルデなる強化形態が増えたり
剣盾のダイマックスアドベンチャーにてトラウマ級の強さを見せつけるなど
インパクトは残したのだが、活躍した作品が悉くカロス以外が舞台だったために
今度は『外行きの時だけ本気だすヤツ』の烙印を押された

ただしその内容ゆえに本作をプレイする場合は『ポケモンXY』の本編シナリオをできるかぎり知っておいた方が望ましいのもまた事実。もちろん本作単独で完結する物語ではあるしXYの物語についても作中で最低限の説明こそ行われるのだが、『フラダリ率いるフレア団が起こした5年前の事件(XY本編のシナリオ)『3000年前の戦争(AZおよびフラエッテの過去)やソレに纏わるキャラたちについては前作知識の有無でだいぶ温度感が変わってくる場面が多い

そして前作『アルセウス』は『ポケモンDPt/BDSP』の遥か過去を描いた作品だったため、アルセウス』→『DPt/BDSP』、『DPt/BDSP』→『アルセウス』のどちらの順にプレイしても楽しめる構成だったのだが、本作の場合は明確にポケモンXY』の未来かつXYのネタバレが作中でいくつも行われてしまうため、ポケモンXY』→『ポケモンZA』の順にプレイしないとシナリオの面白さが半減どころでは済まないことになる

そのため本作をプレイする前にまず『ポケモンXY』を先にプレイしてほしい…と言いたいところなのだが、困ったことにもう12年も前の作品なうえ対応ハードである3DSもとっくにサポート終了済みなのが困りもの。…やっぱりコレ『ポケモンXY』もリメイクしといたほうが良かったのでは…?

流石に今の時代にハード一式揃えてプレイするのはやや大変なので、ひとまずポケモン公式Youtubeチャンネルで配信されている短編アニメポケモンジェネレーションズ『Pokémon Evolutions(ポケモンエボリューションズ)』あたりでXY関係のシナリオを履修しておくといいだろう。本作と関わりが深いのはジェネレーションズのエピソード16-18およびエボリューションズの第3話である。

続いては本作から様変わりしたバトルシステム!前作の時点でも本家と異なるシステムを採用していたが、本作ではついにコマンド式を脱却したリアルタイムのアクションバトルとなったのだ!

本作の戦闘ではターンという概念は存在せずトレーナーやポケモンが常に動き続ける。そしてZLで対象に注目している状態でABXYのいずれかのボタンを押すと、ポケモンがターゲットに対してボタンに紐づけられたわざを使ってくれる。コレをお互いに使用して、先に相手ポケモンの体力を削りきればいいワケだ。詳細は後述するがザックリ言うと龍が如く7』『龍が如く8』あたりの位置取りシステムゼノブレイド』方式のクールタイムをミックスしたような内容となっている。

この戦闘システムではリアルタイムでの立ち回りが常に求められる。本作におけるポケモンのわざは威力・分類・タイプだけでなく『はつどうじかん』…要はクールタイムの概念が存在し、一度使ったわざはクールタイムが終了するまで再使用できなくなる。そのうえで数値以外にも『わざごとの挙動』『使用から攻撃発生までの時間』があるので、戦闘中に考えることはとにかく多い。

『たいあたり』『かみつく』のような直接攻撃は発動後まず相手に近付いていくので、相手との距離が離れているほど攻撃に移るまでが遅く迎撃されやすい『みずでっぽう』『かえんほうしゃ』といった飛び道具ならすぐ使えるものの、相手との合間に遮蔽物があると遮られてしまうほか、わざごとに弾速や溜め時間も異なるので『ハイドロポンプ』『パワージェム』のようにタイミングを見計らわないと回避なり迎撃なりされやすいものも。

どのわざも本作用に効果をアレンジされているのだが、本家における特徴をアクションゲーに落とし込んでいるため、本家での効果を知っているならある程度直感的に扱えるようになっている。例えばでんこうせっか』のような先制わざ『攻撃発生までの時間およびクールタイムが短い』『ほのおのうず』『すなじごく』のようなバインド技『フィールド上に長時間攻撃判定が残り続ける』でんじほう』『ばくれつパンチ』などの高威力低命中のもの『威力や効果こそ絶大だが、発動までが長かったり弾速が極端に遅い』といった方向性で調整されている。

もちろんコレはプレイヤーだけでなく相手がわざを使用してきたときにも重要なポイント。わざを発動していない状況ではポケモンはプレイヤーに追従するように動くため、あえてわざを使わず障害物に隠れたり相手の射線上から逃れたりすることで攻撃をいなしたりするのもひとつの手である。攻撃を凌がれた相手はしばらくわざが使えなくなるので、そこを狙って一転攻勢をしかけるべし。

なお攻撃対象として指定できる相手は1体のみだが、攻撃判定自体は対象以外にも有効。つまり敵が密集しているところにある程度広い攻撃範囲を持つわざを発動できれば、まとめて複数体にダメージを見込めたりもする。本家シリーズにおける範囲技である『なみのり』『ねっぷう』なんかはわかりやすく攻撃範囲が広いが、うまいこと複数体が密着しているところにぶち込めればストーンエッジ』『げきりん』あたりでも複数ヒットが狙える

足の速さや移動方法などといったポケモン自身の生態も戦術に組み込める。例えば自分-相手の間に低めの壁があった際に近接攻撃を使おうとすると、陸上歩行のポケモンはわざわざ壁を迂回してからでないと殴りにいけないのに対し、空を飛べるポケモンであれば壁を飛び越えてすぐさま攻撃できる…といった具合である。

同様にポケモン自身の移動速度によっては歩いて回避できるもの/できないものがあったりするのが実に面白い。どうしても回避できないわざに対処するため『まもる』『みきり』を搭載しておくとより安心。もっとも本作の『まもる』『みきり』は一定時間だけ攻撃を無効化する効果なので、きっちり相手の攻撃の発動タイミングに合わせて使用する必要はあるし、相手にロックオンしないとわざを使えない都合上『あなをほる』『とびはねる』には原則無効化されてしまったりもする。

とまぁこの通り『攻撃の命中成否』が完全に運次第だった本家シリーズと異なり、本作における攻撃の命中成否はプレイヤー自身の立ち回りによって決まる。むろんレベル差による圧倒的なパラメータの暴力で押しつぶされる場面だって普通にあるが、『瞬時の立ち回り/判断力』さえあればある程度レベルが格上の相手にだって勝利できる道筋はある。このバトルシステムの面白さは本家ポケモンを踏襲しつつも、従来の作品にはなかった類のものである。

パラメータ的な方面で見ていくと、前作だと攻めの力/守りの力でザックリ済まされていたパラメータ変化が攻撃/防御/特攻/特防に細分化されていたり、きそポイント(努力値)の概念が元々の仕様で復活していたりと、一部システムが本家シリーズのソレに近付けられている。とはいえ『とくせい』の概念が撤廃されたままなのは相変わらず。

でもってここまではトレーナー戦のハナシ。本作で真にヤバいのは野生ポケモンとの戦闘である。あくまで試合というフォーマットに従うトレーナーと違い、野生ポケモンはルール無用。前作だとプレイヤー操作パートと戦闘中のポケモン指示パートで完全にモードが分けられており、一度ポケモンバトルに入ってしまえば主人公が殺られる心配はなかったが、本作ではポケモンバトルの最中だろうとお構いナシに主人公の命を獲りにくる

当然主人公が倒されたら手持ちが残っていようとゲームオーバー。そのため本作の野生戦闘では先に挙げたようなリアルタイムのポケモン指示をこなしつつ、野生ポケモンからのダイレクトアタックに対しフィールドを駆け回り、ときにローリングを使いこなして回避していく必要があるのだ。相手からのタゲが自分のポケモンなのか、はたまた自分自身に向いているのか常々警戒しながら立ち回るべし。

プレイヤーの体力は前作同様ポストエフェクト(画面演出)で表され、時間経過で自動的に回復。逆に言うとポケモン側のダメージのようにアイテムで即時回復はできないので、状況を見計らって撤退するのも大切。

前作同様に巨大で強力な『オヤブンポケモンも相変わらず登場。他の個体よりも遥かにレベルが高いだけでなく、本作においては『デフォルトでHP努力値が限界まで振られている』という仕様までついてくるので、遭遇タイミング次第ではマジで絶望を味わわせてくれる。よほどポケモンの強さor立ち回りに自信がない場合は遭遇次第逃げるのが吉。…まぁ逃げ回る過程で他の野生ポケモンに見つかり、更に多くの敵から包囲されるなんてこともあるあるなんだが。

なおオヤブンを捕獲できればその強さで大いに活躍してくれるのは間違いないが、ソレはソレとして本作のバトルシステムでは図体のデカさが災いし、狭い袋小路では障害物やら何やらに突っかかり一度ボールに戻さないと満足に攻撃できなかったり、逆にデカすぎる分当たり判定も大きく被弾しやすかったりとデメリットも相応に多かったりもする。

捕獲のハナシもしておこう。物陰や草むらに隠れ気配を消してポケモンに近付き、ボールを投げることで戦闘を介さず捕獲できるのは前作同様。もちろん後方からぶつけて捕獲率を大幅に上昇させる最重要テクニック『背面取り』も続投している。戦闘中はアクションバトルゆえZRでいつでもボールを投げられるが、一定回数ボールをぶつけると『怒り状態』となってしまいボールを受け付けなくなる。

怒りは時間経過で解除されるとはいえこの仕様のおかげで前作や本家シリーズでおなじみの『とりあえず大量にボール投げて運良く捕まるまで粘る』といったことがやりづらくシリーズでもポケモン捕獲は難しい部類。いちおう野生ポケモンを倒したあとも一定時間シンボルがその場に残り、ここでボールを当てるとより高い捕獲率となる独自仕様こそあるが、それでも確定捕獲ではないし一発で捕まえられなかった場合は即座にシンボルが消滅してしまう点は注意。

前作だと捕獲率・飛距離が異なる程度の種類しかなかったボールだが、本作では現代設定ゆえに本家シリーズと同等のラインナップが用意されている。運こそ絡むがガンテツボールすら複数入手可能。投げるボールはZRで構え中に左右入力で切り替えられるのだが、ZRを離した時点で即座に投げてしまうので焦ってマスターボールなんかの貴重なボールを投げないように気をつけるべし。一応ボールがスカった場合は『ロストボール回収屋』なる存在が後でボールを返してくれるものの、ポケモンに命中したボールはそのまま失われてしまうため注意。

…ここまでの説明からお察しの方もいるだろうが、本作の野生戦闘における操作はポケモンシリーズ全体で見てもトップクラスで複雑かつ忙しい相手と自分の位置関係を元にZLでターゲットABXYでわざの指示を的確に出しつつダイレクトアタックが来た場合はスティック入力orターゲット解除後にYでローリング回避手持ちがピンチならXボタンでポーチを開いて回復するか十字キー入力で控えポケモンとの交代相手を捕獲できそうならばZLでロックオンしつつZRでボールメニューを開き十字キー左右でボール選択して投げる!ちなみにボール投げに入った後は一旦Bボタンでキャンセルしないと回避やポケモンへの指示が使えなかったりもする。…はっきり言おう、ややこしい!!!

そのため本作は操作性の面で過去のどのポケモン作品よりも人を選ぶ。一般的なアクションRPGと考えれば稀にみる程度の煩雑さではあるが、従来のコマンド式からいきなりコレは流石に飛び級もいいところである。これから本作をプレイする人は適宜挿入されるチュートリアルに目を通し、少しずつ操作を学んでいくといいだろう。

そしてここからは夜の『ZAロワイヤル』のシステムの紹介。ZAロワイヤルは前述した通り夜のあいだだけどこかしらに出現する『バトルゾーン』を舞台としたバトル大会である。ルールはシンプル、バトルゾーン内にいる人間は全て敵!本作では『目と目が合ったらポケモン勝負』ではなく、『視界に入ったら(相手が気付いてなかろうと)ポケモン勝負』なので不意討ち上等なんでもありの戦いとなる。

よってプレイヤーはしゃがみ移動で気配を消したり、障害物に隠れたりしながら敵トレーナー&ポケモンに近付き先制攻撃をお見舞いするのがセオリーとなる。うまく先制攻撃できた暁には大ダメージ…それどころか相性や能力差によっては1ターンキルならぬ0ターンキルすら可能である。ただし逆に敵トレーナーに見つかってしまった場合は怯んでしまい、無防備な状態で攻撃を受けることになってしまう。

相手トレーナーが主人公(トレーナー)を視認さえしなければいいので、カメラの角度を調整してロックオンするのが不意討ちの鉄則。場合によってはわざと物音を立てて怪しませ、ポケモンと共に近づいて来たところを奇襲したりなんかもアリである。出が早い『でんこうせっか』や障害物があろうとピンポイントで相手の位置を狙える『ゴーストダイブ』なんかは扱いやすい。

…ちなみにバトルゾーンのトレーナーはポケモンの動きは全く不審に思わないので、『ずつき』なんかの直接攻撃を相手に隠れながら発動するとドテドテ近付いてくる見知らぬポケモンに黙ってぶん殴られる実にシュールな絵面が誕生する

ZAロワイヤル中では『カード』を入手することがあり、『特定のタイプで抜群を取る』『奇襲攻撃を仕掛ける』などの条件が設定されている。カードは同時に3枚まで保持でき、条件を達成するとその難易度に応じたチャレンジチケット用のポイントやメダルを獲得可能。メダルは道中で拾うこともあり夜が開けると同時に賞金へと換算される。夜が開けるまでにどれだけトレーナーを倒せたか、どれだけメダルを集められるかに挑戦してみるのも一興だろう。

そして本作を語るうえで避けられない要素こそがメガシンカ!かつて『ポケモンXY』の目玉要素として登場しつつも、現代では長らく本流作品にて封印されてきた進化を超えたメガシンカが本作にていよいよ復活を遂げたのだ!わからない人向けに説明するとメガシンカ』とは本来ソレ以上進化しないはずの一部のポケモンにのみ存在する強化形態であり、『◯◯ナイト』という専用のアイテム(メガストーン)を持たせることで使用可能だったシステムである。

本作でも『メガシンカ』を使用すれば対象ポケモンが大幅パワーアップ!圧倒的パワーで戦況を優位に進めることができる。本作のメガシンカゲージを溜めることで発動可能。ゲージは相手ポケモンを攻撃するごとに上昇するのでまずはガンガン殴るべし。メガシンカ後は能力が大幅に向上するだけでなく、覚えている4つのわざ全てが自動的に後述のワザプラス状態となる。ただしメガシンカが永続だった過去作と違い、本作では時間経過で解除されてしまう点は注意。もっとも回数制限も撤廃されているため、ゲージさえ溜められるなら1試合中に複数回メガシンカが可能

過去作のメガシンカ登場作品では『キーストーン/メガストーンといったメガシンカにまつわるアイテムは限られた数しかない』という設定があったため、シナリオ中にメガシンカを使用してくるトレーナーが極端に少なく(悪の組織のボスやチャンピオンくらい)印象にも残りづらかったのだが、本作ではクエーサー社がメガリングを量産したらしくランクアップ戦の相手などのボス級トレーナーはもちろんのこと、なんとシナリオ終盤のZAロワイヤルのモブですらメガシンカを使用してくるようになった。

またシナリオ中に戦うことになるメガシンカ使いは『キーストーンを仕込んだ道具』をどこかしらに装備しているというXY/ORASに近いキャラ描写が行われているだけでなく、メガシンカの発動時は剣盾/SVのダイマックス/テラスタル使用時のような専用モーションまで用意されているのが素晴らしい。
(旧作ではキーストーンを仕込んだ道具の設定/デザインはあっても発動時の描写はテキストオンリーだった)

メガシンカに必要なメガストーンは多くがメインミッションを進める過程で手に入り、それ以外もお金で購入できる『いしや』、メガ欠片で交換できる『クエーサー社』に集約され大半がゲームクリア前に入手できるようになったため、過去のメガシンカ登場作品のように『相棒のメガシンカがクリア後までおあずけ/メガストーンが見つからずメガシンカできない』といった不幸はほぼ起きなくなった。

またメガシンカに近い新システムとして『ワザプラス』なるものも登場。ある程度ポケモンを育成するとわざを皆伝し、皆伝したわざをゲージ消費で『ワザプラス』して放てるようになる。早い話が前作の早業/力業に該当する要素だが、相応にデメリットがあったあちらとは異なり本作のワザプラスは純粋に威力強化のみが行われるため、スタンスとしては回数制限ナシのポケモンSMのZワザの簡易版といったところ。従来のメガシンカ登場作でどうしても存在していたメガシンカ持ちとそうでないポケモンとの格差をある程度埋める施策である。

そして作中で最もメガシンカが目立つイベントこそが『暴走メガシンカミアレシティにて発生するトレーナー不在の野生ポケモンメガシンカしてしまう現象である。前作におけるキング/クイーン戦にあたるイベントで、主人公は超強化されたメガシンカ個体を相手に手持ちポケモンと共に立ち向かうことになる。

前作だとポケモン勝負自体は任意であり、極論一切ポケモンを出さずとも主人公の立ち回り次第で勝利可能だったが、本作では主人公が直接攻撃の手段を持たないため否が応でもポケモンを出して戦わなければならない。

戦い方そのものは普段のバトルと同じながら、暴走メガシンカ相手の場合は特殊な補正が働いているらしくメガシンカ中の攻撃およびワザプラス以外ではマトモにダメージが通らなくなっている。そのためまずはメガシンカゲージの確保を最優先に考えるべし。

そして暴走メガシンカ個体は野生のポケモンということもあり、案の定主人公に対し直接攻撃を仕掛けてくるのだが、攻撃の規模感や範囲は通常時とは比較にならない。とにかく相手の行動パターンを覚えてローリングなりダッシュなりで回避するべし。また下手に動くと自分のポケモンが巻き込まれて甚大な被害に繋がるため、避けに徹するべき局面では一時的にポケモンをボールにしまうのも手である。

暴走メガシンカ戦はかなりの数が用意されており、その戦闘内容もポケモンによって『複数体に分身して波状攻撃』『一定時間内にある程度ダメージを与えないとペナルティで大技発動(DPSチェック)『一般ザコを召喚してタゲを逸らす』『エリア外に逃げて一方的にこちらに攻撃する遅延行為と実に多種多様。なおこれほどまでにド派手ながら、どのアクションも元を辿れば暴走メガシンカ個体がもともと習得可能なわざだったりするのも面白いところ。

続いては登場ポケモンについて。本作に登場するポケモン全230種XY初出のポケモンは言わずもがな全員登場するほか、ゲーム自体のテーマに合わせ過去にメガシンカを与えられたポケモンもほぼ全種登場する。もちろんORASメガシンカが増えたメンバーも登場。数少ない例外はミュウツーレックウザのような伝説級のメガ持ちとホウエン御三家くらいである。不在面子が露骨にORAS(ホウエン)組なのでDLCでそこらへんがピックアップされそうな予感…。

当然XY初出ポケモンのなかで特に目立っていたトリミアンも登場。XY同様に作中にトリマーが存在するので10種類のすがた(カット)を自由に選び素敵なトリミアンライフを送るべし。またXY初出ではないがミネズミ系統ヤナップバオップヒヤップ(いわゆる三猿)系統ポケモンUSUM以来に再登場。これにより晴れて現在存在する1025種類のポケモン全てがSwitchの本家作品に足を踏み入れることとなった

本作は将来的に『ポケモンHOME』への対応も発表されているため、同作の図鑑完成のハードルは一気に下がることだろう。ただし9世代(SV)以前のポケモンは本作への移行が一方通行とのこと。要はかつての『ポケモンバンク』におけるXY/ORAS→SM/USUMと同様の扱いである。

アルセウス』では既存ポケモンのリージョンフォーム(ヒスイのすがた)をはじめ、ごくごく一部新ポケモンが追加されたりもしたが、本作では種としてのポケモン追加は行われていない。ただしその代わりとしてメガシンカ』が幾つも追加されている。本作初出のメガシンカは総じて『暴走メガシンカ』やシナリオ中のボス級トレーナーの切り札扱いでお披露目されるのでインパクトも抜群。XY当時の『BW以降のポケモンメガシンカが極端に少ない』という不満に答えるかのごとく、本作ではそれらの世代のメガシンカ追加が多め。

やりこみ要素では毎度おなじみのポケモン図鑑があるが、本作ではソレとは別枠でメガシンカ図鑑』というメガシンカ個体のみピックアップした図鑑も登場。メガシンカ対象の個体とメガストーンを揃えるごとに埋まっていくので、従来作ではさほどプッシュされていなかったメガストーン集めへの意欲を掻き立てるものとなっている。なおオンラインのランクマ限定である一部メガはメガシンカ図鑑だと従来の幻のポケモンに近い扱い(入手するまで項目自体が存在しない)なのでその点は安心。

前作にあった『図鑑タスク』のシステムは『モミジリサーチ』と形を変えて続投。とはいえ本作ではやらずともポケモン図鑑の完成は可能。モミジリサーチを進める過程で手に入るのは無限使用可能のわざマシンくらい。更に前作と異なり『◯◯タイプのポケモンを一定数捕獲する』のような累計数を見るようになったため、意識せずともある程度は埋められるようになったのがありがたい。

ただし前作では『つながりのヒモ』の存在によってソロプレイでも図鑑完成が可能だったところ、本作では同アイテムが抹消されてしまったことで再びポケモン図鑑の完成には他プレイヤーとの通信交換が必須になってしまったのは非常に残念なところ。

『元来ポケモンってそういうもんじゃね』と言われたら返す言葉もないが、本作は本家シリーズのように複数バージョン販売ではない(=別バージョンの友達と通信して~の理屈が通らない)し、前作は(やや面倒ながら)ソロプレイで全要素が完結するスタイルだったのでどうしても引っかかる。一応、前作のようにメインシナリオ完遂に図鑑完成が含まれているわけではないので、実害としてはせいぜい『ひかるおまもり』が入手できない程度である。

ポケモンといえばやはりBGMの話もしておきたい。本作は題材が題材なだけにポケモンXY』の楽曲のアレンジが非常に多い。『ミアレシティ』『戦闘!トレーナー』『戦闘!ジムリーダー』など同作のプレイヤーであれば聞き馴染みがありすぎる印象的なフレーズがそこかしこで使用されているため、当時を知る人は懐かしくなること間違いなし。『戦闘!フレア団』『永遠の檻』なんかは本当にここぞというタイミングでピックアップされるのが素晴らしい。

更にZAロワイヤルにおける後半のランクアップ戦はなんとほぼ全員に専用BGMが用意されている。ジムリーダー的なポジションの相手にここまで個別のBGMが割り当てられた例はポケモンシリーズでも前代未聞。こちらは(ごく一部を除き)上記に挙げたような過去作BGMのフレーズを殆ど使わない完全新曲となっており、まさに新世代のカロス地方/ミアレシティを感じさせるものとなっている。個人的なイチオシ戦闘BGMは『カラスバ』『ユカリ』フラダリあたりか。

ところで本作はポケモンレジェンズ』の名を冠したシリーズ作でこそあるが、かといって前作が刺さった人全員にオススメできるような代物かと言われるとそうでもない。その理由は至極簡単、前作と本作では『目指しているであろう方向性』がまるで異なるからである。

前作『アルセウス』ではマップひとつひとつが非常に広いにも関わらず、冒険を進めるにつれて新たなエリアが解禁されるなど『世界が広がること』そのものが魅力であった。ヒスイ地方の広大な大地をライドポケモンの力を借りつつ探索し、続々と変わる景色やまだ見ぬ世界に思いを馳せる…要はオープンワールド』に近いスタンスの面白さがあったわけだ。

一方で本作『ポケモンZA』はさんざん触れた通り舞台は最初から最後までミアレシティただひとつ。シナリオ進行に合わせて地形が微妙に変わったりワイルドゾーンが増えたりなどで変化こそあるが、物語の全てがミアレシティのなかで完結してしまう。当然前作にあったような『世界が広がる面白さ』なんてものは殆どない。ならば前作から劣化しているじゃないか…と思うかもしれないが、それだけは違うと断言できる

マップをミアレシティ一本に絞った恩恵は『街の作り込み』の一点に表れている。街中で暮らすNPCの数は言うまでもなくシリーズ最多クラス、そして街ひとつの中にサイドミッションがこれでもかと詰め込まれているため、1つのサイドを進めているうちに2つ3つと別のサイドに遭遇するといったケースがとにかく多い。コレは一つの狭いマップを徹底してフォーカスする昔ながらの『箱庭RPG』的な作りであり、先に挙げた『世界の広がり』とは全く異なる『狭い世界を掘り下げる』面白さがあるのだ。本作が持つゲーム性を例えるならば龍が如く』シリーズのソレが最も近い。

そしてソレをより際立たせるのがミアレシティの中で生きるポケモンたちの姿である。本作では人間たちが暮らす風景の中においてあまりにも自然にポケモンたちが息づいているのだ。人々が行き交う街角では甘い香りに釣られたペロッパフが屋台の近くに身を近付け、裏手ではこっそりデデンネが商品のきのみを盗み食いつまみ食いし、ソレを街灯からヤヤコマが眺めている。

裏路地に入ればヤブクロンミネズミに出くわし、公園に足を運べばそこにはポッポの群れ。主人公が近づくと足音に驚いて一斉に群れは飛び立ち、ふと上を見上げたら幹にイトマルコクーンが止まっていたり、木の上で三猿がのんびり過ごしていたり…。驚くべきは先ほど例に挙げたポケモンたちはみんな野生であり、主人公にその気があればボールを投げて捕獲したりもできるということ。

そう、本作はミアレシティというひとつの街の中で全て完結してしまう非常にコンパクトな世界観ながら、『人とポケモンが生きる世界』の再現度は間違いなくシリーズ史上ナンバーワンであると断言する。本作を遊ぶプレイヤーはそんな世界の一員としてこの雰囲気に浸ることができるのだ。

更にここでプラスに働くのが昼と夜の時間経過である。本作には大量のサイドミッションやアスレチック、そしてワイルドゾーン内外で生きるポケモンたちが用意されているため『サイドを進めたりポケモンを捕まえたり観察しているうちに時間を忘れて夜になってしまった…』という場面がかなり多い。これはまさしくプレイヤーがこの世界の住人となっている証左にほかならない。我がブログに辿り着くような人であればシェンムーに近い感覚だといえば伝わるだろうか。

そのうえで夜は夜でZAロワイヤルという楽しみがあるし、バトル以外にも純粋にポケモンを愛でることができるカフェやベンチプレイヤー自身のファッションを気の向くままコーディネートできるヘアサロンやブティックなんかも大量に存在する。本作はこのミアレシティ』という徹底的に作り込まれた箱庭の中で心ゆくまで過ごすことができるのだ。これは紛れもなく前作にはなかった本作ならではの魅力であるといえる。

前作『アルセウス』のオープンワールド然とした『広く浅く』な方向性本作『Z-A』の箱庭RPG然とした『狭く深く』な方向性、プレイヤーの好みによって合う合わないは間違いなく分かれるだろうが、どちらが上とはっきり断定することは決してできない。ただし少なくとも我は本作の方向性のほうが刺さったのは事実である。…えっ、『アルセウス』並のマップで『Z-A』並の作り込みをしていれば万事解決だって?工数と予算ってもんを考えたまえ。

さてさて、最後に改めて本作のシナリオについて触れさせてほしい。致命的な部分は暈すがそれでも若干ネタバレ注意である。

本作における表向きのテーマは言わずもがな『共存/共生』だと思われるが、一方でその裏側に『継承』といったものがあると我は受け取った。本作の登場人物は2通りに分けられる。ひとつは『過去の時代を生きた者』、もうひとつは『これからの未来を担う者たち』である。とはいえ本作に登場するキャラの大半は後者に属している。というのも本作における『過去の時代を生きた者』というのはすなわちポケモンXYの主要キャラ』のことだからだ。

そして作中およびZA本編の開始前には『過去の時代を生きた者』から『これからの未来を担う者たち』に様々な『継承』が行われている。受け継がれるものはポケモンや道具、立場や意思、あるいは罪だったりと様々…。ハンサムから探偵の立場を受け継いだマチエールが『これからの未来を担う者』のわかりやすい例であろう。

もちろん『継承』が必ず良いものとは限らない。作中ではかつての慈善家だった…『与えるもの』としてのフラダリの思いを受け継ぎ動こうとする者たちがいる傍らで、『奪うもの』として堕ちた後のフラダリの罪を受け継いでしまった苦労を語る人物もいるなど『継承』の負の側面だって描かれている。

だが、それでもみんながみんな前を向いて歩いていくこれからの時代を担う若者たちが、自身の置かれた境遇や背負ったものにも負けじと一歩前に踏み出し、そして先人たちがそれを支え送り出す様を見届ける。まさしくポケモンXY』のZ(おわり)と、その先の未来…次世代へのA(はじまり)へと繋げる物語、それが本作ポケモンZ-A』なのだ。

そして時代へと受け継ぐのはシナリオ面だけの話ではなく、ゲーム部分とて同じである。本作が提唱した新システムのバトルは荒削りながら、従来のポケモンのエッセンスをアクションに落とし込んだものと考えたら上出来、同様に街の探索における『人とポケモンの世界』の表現においては、まさしくポケモンシリーズが目指すべき到達点のひとつを見せてくれたと確信している。

これらを更なる次代へ継承し少しずつブラッシュアップを続けていけばいつかは化ける未来だってありえるだろう。今後のポケモン』シリーズの未来への希望に思いを馳せたところで、今回の記事はそろそろお開きとさせていただこう。

 

Au revoir

 

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