
メガドライブにて本格デビューして以来長らくSEGAの顔を勤め続けるワールドワイドな青いハリネズミ『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、そんな彼のソニックシリーズの最大のウリといえば言わずもがなスピード。作品によってある程度幅があったり、ちょこっと違う路線に進んでみたりなんてこともあるにはあるが、最終的にそのスピードを自在に操り素早く/美しくクリアするタイムアタック/スコアアタックに行き着くのが大多数のソニック作品におけるお約束である。
これほどまでにスピードに注力した作風ゆえに、ソニックシリーズは昔からアクションゲームでありながらレースゲームに近いベクトルで評価されがちだった。ならば最初から本格的にレースゲームとして開発されたソニックならば究極のゲームが誕生するのではないか?
実際のところ、ソニックシリーズのレースゲームはそれこそ30年以上前からちょくちょくリリースされている。ラスタスクロールで表現された『ソニックドリフト』シリーズ、初の本格3Dレースの『ソニックR』、スタイリッシュさと重厚なシナリオをウリにした『ソニックライダーズ』系列に、SEGA全体からコンテンツを引っ張ってきた『オールスターレーシング』およびその延長『チームソニックレーシング』などなど…。

まぁどうしても競合(主にマリカ)が強すぎるし、一部作品はハード自体がマイナー寄りだったり、日本だけ発売が年単位で遅れたりサイアク発売すらされなかったり、マイナー周辺機器が必要だったりするうえに、なにより隙あらばゲーマー向けな高難易度調整にするSEGAの悪いクセを発揮することがやたら多く参入ハードルを引き上げてしまったことから過去作がヒットしたかと聞かれるとNOと言わざるを得ないのが悲しいところではあるが。
まぁ過去作がヒットしたかどうかなんてハナシはあまり関係ない。ヒットなんてのはあくまで副次的なもの。ゲームの面白さはゲームそのものが語ってくれるものであり、売れたかどうかなんてのはゲーム自体の面白さにはさほど影響はないのだ。というわけで今宵はつい先日リリースされたばかりの完全新作のソニックのレースゲーム『ソニックレーシング クロスワールド』を語っていこうじゃないか!
…実際のところ、これまで毎度色々な意味で逆風に晒され続けてきたソニックのレースゲーにしては珍しく追い風吹きまくってる感じがするんですよね今回。ゲーム自体の純粋なクオリティが高い上にマルチ展開かつライバルが実質不在の状況なもんで…。今回の記事もその勢いを少しでも後押ししたくて急遽執筆したものである。このせいで本来予定していた我がブログの7周年記念回は来月に回されました。

前談はさておき早速語っていくとしようか。本作『ソニックレーシング クロスワールド(以後ソニックレーシングCW)』はそのタイトルが示すように『ソニックレーシング』シリーズの完全新作。この路線に限ってもその歴史は意外と古く、事実上の1作目『Sonic & Sega All-Stars Racing(以後オールスターレーシング)』に至っては15年前まで遡る。
この『オールスターレーシング』がマシンの変形要素を加えた『ソニック&オールスターレーシング TRANSFORMED(以後TRANSFORMED)』に進化し、そこからソニック単体&マシン変形をオミットしつつチームプレー要素を追究した『チームソニックレーシング(以後TSR)』に変化、本作はそこから更に新たな一歩を踏み出した作品となっている。
なお過去の『オールスターレーシング』-『TSR』までの作品はいずれもSEGAのオールスターゲーを手掛けてきた『SUMO Digital(スモウ・デジタル)』開発によるものであったが、本作では開発元が本家本元のSEGAにバトンタッチ。より正確にはアーケードで稼働している『頭文字D THE ARCADE』の開発チームが手掛けているとのこと。

プラットフォームはソニックシリーズの例に漏れずNintendoSwitch2/NintendoSwitch/PS5/PS4/XSX/One/PCという現行機種コンプコース。ただしSwitch2版だけはちょっと発売が遅くDL版およびSwitchからのアップグレードパスは2025年冬、パッケージに至っては2026年の発売予定である。
今回はオンライン対戦でクロスプレイにも対応しているので、どの機種で買ったとしてもオンラインの過疎に悩まされることは(おそらく)ない。なお今回の我はPS5版をチョイス。クローズドネットワークテストがPS5向けだったのでそこからの流れである。

開発元が変わったとはいえ基本的な操作やシステム周りに関する要素は『TSR』からの延長。アクセルとドリフトを使い分けながら進行し、ドリフトが一定以上溜まったらドリフト解除で『ブースト』、ジャンプ台などで飛び上がった時はスティックを動かして『エアトリック』を行い着地時にトリック回数に応じた加速ができる。
もちろん道中で獲得できるアイテム(2つまで保有可能)による逆転要素だってある。早いハナシが絵に描いたようなオーソドックスなレースゲームとなっているわけだ。本作は一部で『ソニックカート』なんて揶揄されることもあるだけあって、過去作に触れていなくとも『マリオカート』シリーズのプレイ経験さえあればすんなり入っていくことができるだろう。
ところで実を言えば本シリーズは『TRANSFORMED』→『TSR』でアイテムを中心とした基本システムを一気に『マリオカート』に寄せてしまったせいで、一時期は某サークライの『こりゃあ完全に"マリオカート"でよいでしょう!』という言葉が世界一ブッ刺さりかねない状態と化していた。
(TRANSFORMED時代はシステム的にマリカよりもディディコンに近かった)

そしてコレこそが本シリーズが抱える最大の問題点にして弱点でもあった。もちろんチームプレー要素をはじめ差別化要素はあるにはあった。しかしながら『マリカ』にシステムを近付けてしまったことがプラスとマイナスどちらに働いたかでいえばぶっちゃけマイナスである。ゲームとしての作りがほぼ同じ『マリオカート8DX』と『チームソニックレーシング』のどちらをユーザーが手に取るかといえば、よほどのソニックマニアでもない限り前者を選ぶであろうことは想像に難くない。というかそもそも『TSR』の発売自体が『マリカ8DX』から2年も遅れてたワケで。
『TSR』から6年もの時が流れいよいよ本作『ソニックレーシング クロスワールド』が世に出ることになったが、キャラものレースゲーということでライバルは相変わらず任天堂の赤い配管工の『マリオカート』。しかも6年前と同じように『マリカ』の方が先行してリリース済み。これでは『TSR』と同じ流れを辿るだけ…と思いきや、今回はちょっとだけ風向きが変わっていた。

ライバルである『マリオカート』シリーズが最新作『マリオカート ワールド』にて新機軸に挑んだのだ。シリーズの停滞を許さず革新を求める実に任天堂らしい判断であるが、その結果『マリカワールド』はそれまでの『マリカ8DX』までとは良くも悪くも大きく異なる方向性の作品に変化を遂げた。
そしてマリカの変化は偶然にもソニックレーシング側に影響を齎すことになった。これまでソニックレーシングが抱えていた『マリオカートのコンパチ』という弱みが、マリカ側の変化によって逆に『従来のマリオカートに近いゲーム体験ができる、8DX以前のマリカプレイヤーの受け皿』という強みに化けたのだ。とんだバタフライエフェクトである。
ぶっちゃけキャラ要素とかを抜きにシステムやら操作感にだけ着目した場合、本作のゲーム性は『マリオカート8DX』の延長線上にあるといっても差支えない。なんなら『マリカワールド』と『ソニックレーシングCW(本作)』のどちらが『マリカ8DX』に近いか聞かれたら、我は迷わず本作を選ぶことだろう。
(良い悪いは別としてどちらがゲームとしての作りが近いかというハナシ)

ライバル(マリカ)に打ち勝った…というよりはライバルが新たなステージに進んだおかげで戦わずに済んだみたいな状況ではあるが、結果的にマリカの後釜みたいなポジションに座れてしまった『ソニックレーシング』。だがしかし『ソニックレーシング』もまた現状に甘んじて停滞を選ぶような軟弱者ではない。終生の好敵手である赤い配管工が歩みを続ける以上、我らが青いハリネズミとてその足を止めるわけにはいかないのだ。
そういうわけで本作では大まかな基本システムこそそのままに、過去の差別化要素を復活させたり新システムの導入することで過去作から大幅に進化&ライバルとの差別化に臨んでいる。一度プレイしてみれば『……こりゃあ"マリオカート"でよいですね』とは口が裂けても言えなくなるだろう。

基本システム周りの変更点で最も大きいのは『TRANSFORMED』以来にマシン変形が復活した点。本作ではコースの各所に用意された緑色の巨大なリングを通過することでマシンが自動的に変形し操作スタイルも変化する。マシン変形はカート・飛行機・ボートの3パターンでそれぞれ地上・空中・水上に対応。
地上のカート操作は言わずもがなオーソドックスなもので、空中の飛行機は上下左右に自由に移動可能、水上のボートは基本はカートと同じながらドリフト操作でゲージを溜めることで少しだけ飛び上がる『チャージジャンプ』が可能。地上ドリフトと異なり旋回はしづらい反面、直進中でも使用できるほか左右エアトリックと組み合わせることで更なる加速や方向調整が行える。
緑色の巨大リングはルート分岐の一部にだけ用意されたものも多いため、コースによっては『マシンを変形させるか、今の状態をキープして走り続けるか』という駆け引きも生まれるのがミソ。また細かい点だが過去作だと『エアトリック中に着地すると失敗判定になって減速する』という仕様があり、エアトリックを途中で抑える必要があったのだが本作ではこれを完全にオミット。つまりエアトリックは使えば使った分だけ得となり新たな爽快感を生むことにも繋がっている。

基本中の基本に触れたところで本作のレースの流れを紹介しよう。本作のレースは数多のレースゲーのお約束に則り、先にコースを3周したプレイヤーが勝者となる。レースの参加人数は12名。1周目はごくごく普通に進行するものの、1周目の終わり…コースのスタート地点兼ゴール地点にて『トラベルリング』と呼ばれる巨大なリングが出現、レースの参加者は全員コイツを通過することになる。
トラベルリングを潜るとそこにあるのは別世界。背景が一瞬にして切り替わりそれまでと全く異なるコースで2周目が開始する。そして2周目の終わりにも再度『トラベルリング』が出現するため、再び別コースへ移動することになる。今度の行先は1周目で走ったコースと同じもの…なのだが3周目ではそれまで背景や賑やかし止まりであったギミックが活発に動き出しており、アイテム配置やショートカットルートの開通なんてのは可愛いモノ、場合によってはコース構造そのものが大きく変化した全くの別コースへと変貌を遂げているのだ。

つまるところ本作のレースはこういったレースゲーにありがちな3ラップ制でこそあるものの、その内容は『普通に進行する1周目』『完全な別コースを走る2周目』『1周目から仕掛けが激化したり地形が変化してハプニングが多発する3周目』から構成されているわけだ。『TRANSFORMED』時点でも一部コースで周回によりギミックが変化する概念は既に導入されていたが、本作ではそれを全コース・全周回で採用したうえで更にド派手にパワーアップ。加えて後述のトラベルリング選択やコース内に用意された多彩な分岐により視覚的にも攻略的にも全く飽きを来させないレース体験を成立させている。

本作のコースはおおまかに1周目・3周目で走行する『メインコース』と2周目でのみ突入できる『クロスワールド』という2つのカテゴリに分けられる。先に挙げたように『メインコース』は1周目と3周目でまるで別物になるため変化を楽しむことができる。『クロスワールド』は1周で終わることを前提にコースが作られており、僅か1周でありながら地上・空中・水中と目まぐるしくセクションが切り替わったり、巨大ボスによる介入が行われたり、これでもかというほどダイナミックなギミックが詰め込まれていてインパクトは抜群である。なお初期状態だと2周目コースは必ずクロスワールドから選出されるものの、ある程度ゲームをやりこんでからは2周目にメインコース(1・3周目とは別のもの)が来るようにもなり、よりレースの先が読めなくなってくる。

1周目ラストのトラベルリングの行先は完全ランダムというわけではなく、ある程度だがプレイヤー側に選択の余地がある。トラベルリングは同時に2つ出現し、その先のコースをほんの少しだけ見ることができるのだ。片方は行先が固定された確定枠、そしてもう一方は行先が開示されておらず完全ランダムとなる。そしてトラベルリングの選択権を持つのは1周目を終えた時点でトップを走るプレイヤー。確定枠に見えているコースが得意なものであれば言わずもがなそちらを選べばいいし、逆に苦手なコースが確定枠にあるならランダム枠にワンチャンかけるのもいい。
後述するフィーバーの有無もトラベルリングごとに明示されているのだが、フィーバー中はとにかくレースが大荒れして順位に大変動が起こりやすいので、得意なコースが確定枠にあってもフィーバーアイコンがついていたら避ける…といったケースもそれなりにある。どちらにせよトップを走るプレイヤーが2周目をはじめレース全体の流れをコントロールしやすいシステムになっているのは言うまでもないだろう。

2周目では『フィーバー』という現象が発生することがある。フィーバーは2周目が終わるまで持続し、コース或いはシステムに大きな影響を与える。例えばコースの各地に通過すると加速するダッシュエリアが大量に配置されたり、ドリフトが一時的に限界突破&爆発的に溜まるようになったり、一定のクールタイムが経過するたびにホワイトウィスプ(加速アイテム)が自動的に補充されたりなどなど…。
フィーバーの効果は全プレイヤー平等に発生し、総じて『プレイヤーを超加速させる』方面に特化。『ハプニングが増えてプレイヤーを減速させる』といったようなものは存在しないため、『走ることの楽しさ』を追究したソニックシリーズらしさがよく表れていると言えるだろう。まぁ調子に乗って加速しすぎると事故るのもお約束なのでそのあたりは自身の腕との相談になるが。

続いてはアイテム絡みのハナシをしていこう。前作『TSR』では多くがマリオカート互換の性能と化したことに加え、なによりソニックチームが隙あらばウィスプ(カラーズ初出のエイリアン)をやたら起用したがる時期だった煽りをモロに食らい、全アイテムがウィスプに統一されシリーズファン以外には…なんならシリーズファンでもアイテムの効果がわかりづらかったりする問題が発生していたのだが、本作では大半のアイテムが『TRANSFORMED』以前に近い一目でわかる効果/デザインのものに変更されている。…なお一応フォローしておくと『TSR』の件はウィスプ自体が悪いのではなく、本来別ゲー(カラーズ/ロストワールド)向けに用意されたパワーアップキャラを無理やり『マリオカート』のアイテム効果に当てはめていたのが最大の原因である。

肝心のアイテム性能だが効果そのものは前作のものを踏襲しつつ、そこから更に本作オリジナルのアレンジを加えられ個性が強められている。例えばロケットパンチ(ミドリこうら/オレンジ・ロケット)は前方かつ一定角度内にいる相手にマーカーが出現しその状態で使用すると相手をホーミング、ブラック・ボム(ボムへい)は手元に抱えている時間が一定を超えるごとに巨大化し効果範囲がどんどん強化されていく…といった具合である。
もちろん数こそ減ったがアイテムとしてのウィスプは健在。『TSR』の時点でマリカと差別化できていたシアン・レーザーやバイオレット・ヴォイドは性能・グラフィック含め前作からそのまま続投している。イエロー・ドリルだけは相変わらずマリカのキラー互換のままだがコレに限ってはシンプルすぎるゆえに調理しようが無かったのだろう。どう見てもテレサなジェイド・ゴーストとまんまサンダーだったアイボリー・ライトニングがリストラされているあたりむしろ続投できたことを褒めるべきか。

説明だけ聞いていくと『マリカ』以上に攻撃的かつ容赦ない性能のものばかり揃っているので、あちら以上のアイテムゲーかと思ってしまいがちだがそれについての心配はいらない。確かに本作のアイテムはマリカ以上に凶悪なものが多い。しかしながらソレと比例するかのように高い防御性能を誇るアイテムが多数用意されているうえに、どれだけ強力な攻撃アイテムでも対処方法が必ず用意されている。
例えばキングブーブ(範囲広めのトゲゾーこうら)やウェイト(1-2位のみ対象のサンダー)、スライム(スリップ効果ありのゲッソー)のように下位プレイヤーが上位をピンポイントで狙う…要は『妨害を受ける側が発生タイミングを読めない使ったもん勝ちのアイテム』は全て発生まである程度のラグが設けられており、この猶予期間に防御アイテムを使えば確実に回避できるようになっている。

防御用のアイテムもシールドとトルネードの2種類があり、この二つは上位でも問題なくそこそこの頻度で出現するため的確なタイミングでのアイテム使用とある程度のプレイヤースキルがあれば首位を独走することだって充分可能である。なおシールドはいかなる攻撃も無効化、トルネードは防御と同時に周囲に攻撃判定を発生させるがキングブーブだけは防げない…といった違いがあるのでよく覚えておくべし。
また上位では流石に出現しないがシアン・レーザーやイエロー・ドリル、モンスタートラックといった一時的に変身するタイプのアイテムも発動中は無敵となるほか、ウェイトやスリップに関しては適切なタイミングでブースト(要はキノコ)を発動すれば回避できるので、アイテムが全体的に強力な反面それらへの対処法も非常に充実している。
そのため本作ではアイテムによるマリオカート譲りのド派手な戦況変化といったバラエティ・ハプニング・逆転要素は強めつつ、一方で実力差がそのままレース結果に繋がりやすいバランスとなっているワケである。流石に防御アイテムを切らしたタイミングでの下位プレイヤーから集中砲火など運負けの試合だって当然あるが、突然のアイテムひとつで首位からいきなり下位まで転落という状況はかなり起こりづらい。

キャラもののレースゲームとして気になるのはやはり参戦キャラ。本作のプレイアブルキャラはDLC抜きのデフォルトで23名、そこにとある条件で解禁できる『ソニックR』からおなじみの隠しキャラが更に1名いるほか、性能こそ据え置きだが見た目が変わる『スキン変更』が存在する。ちなみにスキン替えは内部的に元キャラと別物として扱われているらしく、プロフィールから見られるキャラ使用回数も別カウント、グランプリのライバルバトル(後述)でもスキン変えを利用すれば実質同キャラ対戦ができるようになっている。

『ソニックヒーローズ』以降の主要キャラは軒並み登場。『ヒーローズ』における4チームのメンバー全員や『新ソニ』のシルバーやブレイズといったおなじみキャラはもちろん、ソニックのレース作品でも屈指のコア人気を誇る『ソニックライダーズ』シリーズのメインキャラであるバビロン盗賊団の面々が『フリーライダーズ』以来実に15年ぶりに本流のレースゲームに復帰!
またCS機の作品でクリームが主要キャラ陣に名を連ねるのも久々、更にカオティクス探偵事務所の3人が1作に集いかつ全員プレイアブル化するのも久しぶり…というか下手すると『ヒーローズ』以来22年ぶりくらいかも。『ライバルズ2』だとエスピオのみ、『フリーライダーズ』や『TSR』だとベクターのみプレイアブル、『マリソニ』でもチャーミーだけ不在だったりとセットにみえて結構バラバラに活動してたのよねこの3人…。

過去のレースゲー参戦経験のない新キャラとしては本家ソニック最新作『ソニックフロンティア』からセージがついに登場。また『ロストワールド』で初登場し、近年は『マリソニ』でパーティーゲー客演の経験を積んでいた六鬼衆の先鋒ザズが参戦。変わり種でいえば『ヒーローズ』以降おなじみのザコ敵であるエッグポーンもこの名義でプレイアブル化するのは初。まぁ『ライダーズ』と『フリーライダーズ』に似てるヤツはいたけどアイツら特殊カスタムされた個体だしなんならE-10000Bに至っては…。

レースの舞台となるコースはメインコース24のクロスワールド15の計39種がデフォルトで用意されている。これは『ソニックレーシング』の系列だけで考えるとシリーズ史上最多クラス。参考までに『オールスターレーシング』がDLC込みで25、『TRANSFORMED』がDLC込みで21、『TSR』も21コースである。本作ではメインコースだけで旧作ばりのコース数を誇るにも拘わらず、更にクロスワールドが15個もあるというのだから驚き。当然DLCも控えておりコース選択画面を見るに最低でもあと6つDLC枠のメインコース追加が確約されている。
更に過去作であれば『ヒーローズ』の『シーサイドヒル』をモチーフにしたコースとして『オーシャンビュー』『ロストパレス』『ホエールラグーン』の3つが用意されているなど複数コースで同一のテーマを共有しており、(作品を重ねるにつれてロケーションを大きく変える等の差別化はされるようになったが…)どうしても総コース数の割には実際のビジュアルにあまり変化がない問題もあった。その点本作の場合はどうか?なんと複数のコースでテーマを共有することがなくなり、全コースが異なるモチーフを持つようになっている。

コースのラインナップは明確に本家ソニックの特定ステージをモチーフにしたものと本作オリジナルのものが半々といった割合。原作ステージはシリーズ全体からメジャー・マイナーを問わず幅広く拾われており、メインコースの有名どころでいえば『ソニックアドベンチャー2』の『メタルハーバー』『ラジカルハイウェイ』や『ソニックワールドアドベンチャー』の『アポトス』あたり、マイナーながらコア人気のあるコースだと『ソニックフォース』の『ミスティックジャングル』がルミナスフォレストとアクアロードをミックスした構成で登場。
個人的にアツイと感じたのは通常プレイの過程で最後に解禁されるグランプリ(後述)の内容が『クロノス島』『ノーススター諸島』『ホワイトスペース』だったコト。言わずもがなそれぞれフロンティア・スーパースターズ・シャドウジェネレーションズが原作であり、これらは現行におけるシリーズ最新作3つの組み合わせである。いずれも近年までシリーズを追いかけ続けたファン向けのご褒美といってもいいくらい原作ネタに満ち溢れていることもあって満足感も凄まじい。

クロスワールドもメインコースに負けず劣らず様々な作品からネタを引っ張ってきているが、こちらはメインに輪をかけて知る人ぞ知るマイナー寄りな選出。『ソニックと秘密のリング』の『ダイナソージャングル』、『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』の『デジタルサーキット』なんてのはまだ理解しやすい部類で、なかには『ライダーズ』の『ホワイトケイブ』のようにシリーズファンですら度肝を抜くチョイスが行われている。
収録コースの中で『サンドロード(アドベンチャー/TSR)』『オーシャンビュー(ヒーローズ/TRANSFORMED)』『ルーレットロード(ヒーローズ/オールスターレーシング)』『マーケットストリート(ソニワド/TSR)』『ギャラクティックパレード(カラーズ/TRANSFORMED)』『スカイロード(オリジナル?/TSR)』の6コースは過去作からの続投。とはいえ先述したように本作だとモチーフ被りがないうえ、コース内容にアレンジが加えられていたり基本がクロスワールドでの登場だったりと扱いは慎重なので過去作のように『またここか…』といった印象は抱きづらいのは実に良心的。

過去のソニックシリーズにありそうで意外と少ない蒸気機関車や謎の工場の中を高速で駆け抜ける『スチームパンクシティ』や見ているだけで楽しくウキウキな気分を味わえる『チャオパーク』『カラフルモール』など、本作オリジナルのコースたちも原作コースに負けず劣らず魅力的なものが揃っている。
一定の周期でダークフェニックスがレースに介入しコースが切り替わる『ドラゴンロード』、『ヒーローズ』のハングキャッスルやミスティックマンションの如く建物内の上下を入れ替えながら進みつつ、周回するたびに進行ルートが巨大カボチャで塞がれ変化する『パンプキンマンション』、あまりに多彩すぎるルート分岐ゆえに予想だにしない相手からの妨害を食らったり、逆に思わぬ形で妨害を回避できたりする『コーラルタウン』などビジュアル抜きで考えてもコースデザインも良質なものばかり。

オリジナル/原作コース問わず『TSR』のように複数の作品のネタが組み合わせられているケースも多く、例えば本作オリジナルコースの『エッグマンエキスポ』は名前通りエッグマンロボットが大集合。『ソニック2』時代と『フォース』時代のデスエッグロボの共演に加え、ステージ道中では古くはエッグマンロボ(3&K)から始まりエッグポーン(ヒーローズ)、エッグガンナー(新ソニ)にエッグファイター(ソニワド)といった歴代ザコが展示されているほか、3周目ともなると近年おなじみのエッグドラグーンが直接攻撃まで仕掛けてくるようになる。
原作の同名エリアが複数ステージの組み合わせで成立するものであった場合、当然本作でもそれを再現したコース構成となっている。とくにわかりやすいのは『ノーススター諸島』でなんと『スーパースターズ』における序盤ステージ5つを1コースにまとめあげている。目まぐるしく切り替わる…しかしながら見覚えのありすぎる景色に原作プレイヤーのテンションは爆アゲ間違いなし。

クロスワールド枠で収録された『ロストワールド』出典の風邪ひいた時に見る夢『ヒドゥンワールド』も再現度の高さが際立っている。原作のZone2-Zone4をそのまま繋ぎ合わせた摩訶不思議な世界観は原作プレイヤーなら爆笑必至、ロスワに触れてなかったプレイヤーは困惑すること請け合いだろう。大丈夫、ロスワ原作やっててもあそこ意味不明だから安心せい。もちろんヒドゥンワールドの象徴ともいえるあの気色悪いパックマンのパチモンも出てくるぞ!…ところでこのゲーム後日パックマンさんご本人がゲスト出演する予定なんですけど大丈夫だったんですかアレ。

『TSR』にて好評だったパーツを選んでマシンをカスタマイズするシステムは本作で更にパワーアップ。本作ではスピード・アクセル・ハンドリング・パワー・ダッシュというカテゴリごとにパーツが存在し、同じカテゴリの範囲内でパーツを自由に組み合わせることができる。
ダッシュ以外のマシンはいずれもフロント・リア・タイヤの3パーツ、ダッシュのみフロントとリアの2パーツからマシンを組み立てる。各パーツには個別にパラメータが設定されており、これらの合計が最終的なマシンの性能となる。パーツはカテゴリごとにある程度性能の傾向こそ分かれているが、基本的に同カテゴリ内ではせいぜい誤差レベルで横並び。そのため明確な強弱の差は殆どなく好きに組み上げることができる。

また性能に関係しない部分としてマシンにオーラを纏わせたり、一風変わったクラクションを搭載したりもできるほか、ステッカーを貼ってみたりカラーリングを好きに変更できたりもする。とある条件を満たすと得られるステッカーには各キャラをフォーカスしたものなんかもあるので、特定のキャラが好きで好きで堪らない人は痛車を作ってみるのもオツ。
あと本作は『龍が如く』ばりに数多の企業とのタイアップを行っており、『ASUS』『msi』『Lenovo』など比較的近い業界はおろか、『一蘭』『くら寿司』『ココ壱番屋』といった飲食業界、果てには『ドン・キホーテ』などのステッカーも収録。これらをマシンに貼ってみればさながら気分はスポンサーがついたプロレーサーである。

最終的に組み立てられるマシンは4輪のカートが殆どだが、ダッシュタイプのマシンに限りボード…すなわち『ソニックライダーズ』シリーズでおなじみの『エクストリームギア』となる。流石に操作方法はカートと全く同じだし、ライダーズのようにタービュランスでの駆け引きやハーフパイプでのトリックができるわけではないのだが、シリーズファンをノスタルジックな気持ちにさせてくれる。あと多分このおかげで久々にバビロン盗賊団が再登場できたのだと思われる。
ちなみに本作の自機性能は『マシン』+『キャラ』の組み合わせで決まる。ただし大まかな能力としてはマシンに依存する形であり、キャラは自身と異なるタイプのマシンでも問題なく乗せられる。よって『このキャラが好きだけど性能が低くて使いづらい…』ということはあまりない。
肝心のマシンについてもガジェット(後述)込みのカスタマイズが非常に幅広いため、もっともっと研究が進んでからは流石にわからないが、少なくとも現時点では『このマシンが最強!』みたいなものはなく、オンラインに行けば様々なキャラやマシンを見かけることができる。

本作ではマシンとは別の新たなカスタマイズ要素として『ガジェット』といったものが新登場。コレは縦2*横3の計6枠からなるガジェットプレートに任意のガジェットを装備することでレース中に様々な効果を発揮する代物であり、純粋にパラメータそのものを強化するものもあれば、所持リングの上限を上げるもの、特定のアイテムやアクションを強化するものまで実に多彩。
なかにはドリフト自体に攻撃判定を増やす『スピンドリフト』やタイミングよくドリフト解除でブースト効果が強化される『ジャストチャージダッシュ』、1周目or3周目だけ性能が大幅向上する『スターター』『スロースターター』やアイテムの所持数を増やせる『アイテムストックプラス』など一風変わったものもちらほら。ただしガジェットは強力なものほど枠を多く食ってしまうのでじっくり取捨選択すべし。バランスよく組むもよし、シナジーを狙うもよし、どこかいち方面に特化させるのだっていいだろう。

ソニックシリーズといえばやはりBGMにも期待したい。本作もまたBGMは珠玉なものばかり。原作コースの場合はその大半が原作BGMのアレンジ。メインコース・クロスワールドの全てに個別のBGMが存在するだけでなく、ファイナルラップではコーラスやボーカル付きになったり『メタルハーバー』では1・3周目が『That's The Way I Like It.』、3周目で『Can't Stop, So What!』のアレンジになるなど天才的な盛り上がりを見せてくれる。基本モードでは1周で終わってしまうクロスワールドもタイムトライアル用にファイナルラップ用アレンジがしっかり用意されている。

大谷智哉氏(ソニワド・カラーズ等)・甲斐考博氏(チェインクロニクル等)を中心に、大国奏音氏や藤本多恵氏、TeeLopes氏にZARDNIC氏、更にはかめりあ氏やGiga氏などSEGA社内・社外問わず多方面のサウンドクリエイターをアレンジャーとして招くスタイル。スタンスとしては『スーパースターズ』に近いものを感じるか。意外な楽曲のアレンジを担当しているケースもあり、いままでにない新たな魅力を発揮している楽曲も少なくない。個人的にはAiobahn氏に『ヒドゥンワールド』のアレンジを任せたスタッフに称賛を送りたいところ。

BGMといえば『ジュークボックス』機能についても触れておこう。本作では事前にジュークボックスに楽曲を設定しておくことでレース中に流すBGMを各ラップごとに差し替えることができるのだ。差し替えられる楽曲はデフォルトで用意されている全コース分のBGMのほか、初音ミク×ソニックのコラボ『Project ONSOKU』用の楽曲5つやCreepy Nutsの『Get Higher』、更には後述の『タイムトライアル』をやりこむことで過去作での人気BGMまで随時解禁されていく。好きな曲をバックにノリノリでレースを駆け抜けるといいだろう。
とはいえジュークボックスは全レース一律での設定しかできず、プレイヤーが任意でカスタマイズできるリストは『お気に入り』の一種類しかない。そのためスマブラの『オレ曲セレクト』のような『ここのコースは必ずこの曲で走りたい!』『あのコースは絶対デフォルトにしたい…』といった運用ができないのは玉に瑕。全部ごった煮のランダムなリストを作ってレースのカオスさを引き立てる分には悪くないのだが。コースごとに細かく設定できればベストだったように思わんでもない。

システム的な紹介はこの辺りでフィニッシュ。今度はオフラインで楽しめるゲームモードに触れていく。オフラインで主に楽しめるのは『グランプリ』『レースパーク』『タイムトライアル』の3モード。残念ながら前作にあったようなストーリーモードはオミットされてしまったが、その分のキャラ描写は別のところ(後述)で存分に発揮されているのでご安心あれ。
『グランプリ』はお察しの通り4つのレースに連続して挑み、最終成績で優勝を目指す内容。グランプリは全部で8つ存在し、1グランプリは3つのメインコースから構成されている。ルールは言わずもがなオーソドックスな内容で2周目にクロスワールドへ突入、3周目で仕掛けが激化するのも相変わらず。ただし4レース目…各グランプリごとの最終レースに限り『○○グランプリファイナル』という特殊ルールのレースとなる。

ファイナルレースではトラベルリングこそ出現するが、その行先は完全固定。1周目・2周目・3周目でそれぞれ各グランプリごとの1レース目・2レース目・3レース目のコースに突入…早い話がそのグランプリの総決算ともいうべき内容になっているわけだ。ギミックが激化するのはあくまで3周目のみではあるが、BGMは1周目の時点で各コースごとのファイナルラップ版が流れるため非常に盛り上がる。
またファイナルレースに限り1位の獲得ポイントが15点→18点に引き上げられるため、3レース目までで大差を付けられてても逆転の目が出てくるし、油断していると捲られる可能性もある。グランプリを採用したレースゲームはプレイヤースキルが上がるとどうしても『勝ち確の消化試合』が生まれるものだが、本作ではこのシステムゆえ最後まで油断できない雰囲気になりやすい。

グランプリにおけるゲームスピードはノーマルスピード・ハイスピード・ソニックスピード・スーパーソニックスピードの4段階、当然スーパーソニックスピードに近づくほどゲームスピードは上昇する。デフォルトではソニックスピードまでしか選択できず、難易度不問で全グランプリを制覇するとスーパーソニックスピードと鏡写しのミラーソニックスピードに挑めるようになる。なお上位スピードでグランプリを制覇した場合は自動的に下位スピードでも制覇した扱いになる。
最高速のスーパーソニックスピードはゲーム側から『ブレーキ必須』とかいう文言が飛び出すことからもわかる通り、マリカにおける200CCのポジション。あまりのハイスピードっぷりに何も考えずにプレイするとハンドリング特化以外はまず激突、ハンドリングタイプでもたまに事故る。微妙なカーブでは無理してドリフトしない、急カーブではアクセルしない、そしてドリフト中はスティック入力だけでなくアクセルのオンオフを使い分けるのが攻略のカギとなる。

マリカの200CCは後からアプデで増えた代物ゆえやや調整不足な面もあったが、本作のコース群は最初からスーパーソニックスピードありきで調整されているため、コツさえ理解できれば簡単にスピードに乗って最後までスムーズに走り抜けられるようにもなる。当然その時の爽快感は一級品である。ただし同期の都合からかオンラインでは使用不可能である。
またメインコースにはグランプリモードの1-3レース目限定でコース内に『レッドスターリング』が配置される。本家ソニック同様にこれらを集めることがやりこみ要素の一種となっているので余裕があればぜひとも集めておきたい。もっとも『ソニックR』のトークンやカオスエメラルドほどひねくれた配置はなく、更に収集状況は保存されるので1レースで集めきる必要もないためかなり良心的である。

さて、グランプリでは開始前にプレイヤーが『ライバル』を設定できる。ライバルは他のCOMより遥かに強力な相手として立ちはだかり、プレイヤーが介入しなければ高確率でトップ入りを果たすことになる。早い話がグランプリのシステムを搭載したレースゲーでゲーム設計上確実に存在しうる『有象無象のCOMのなかでコイツだけ妙に強いな…?』となる対象をプレイヤーが自由に選べるわけである。
ライバルの強さは10段階で設定可能。どうやら本作のCOMの強さはライバル自身の強さに比例するらしくライバルの強さを引き上げれば(一番強いのがライバルなのは変わりないが)レース全体の難易度も上がっていく。自分の実力に見合った相手に挑戦するといいだろう。なおやりこみ要素として『全ライバルに勝利』といったものが用意されているが、相手の強さは問わないので無理して難易度を上げる必要はない。
レース中はライバルを追い抜いたり、逆に追い抜かれたりなど状況に応じてライバルが悔しがったり煽ったりしてくれる。最終結果で1位になるのがベストなのは言うまでもないが、そのほかに『1レース単位/最終結果でライバルに勝利する』という小目標が生まれるのがナイス。勝利した暁には相手の強さに応じてマシンパーツなどの解禁に使用できるドンパチケットを入手できる。

『レースパーク』では特殊ルールのレースを楽しめる。こちらはより『TSR』の後継に近い内容であり、大半のルールがチーム戦となる。チームの人数は4VS4VS4だったり6VS6だったりルールによって様々。ラインブーストやアイテム受け渡しこそオミットされたままだがタッチダッシュは健在である。
ルールはリングを集めるほど有利になる『リングゲット』や攻撃をガンガンヒットさせる『アイテムヒット』など様々。ルールごとに求められるアクションをするごとにチームで共有されるゲージが上昇し、これがマックスになると一定時間だけ爆発的に加速&無敵状態…つまるところ『TSR』における『アルティメットブースト』が発動する。
レース終了時は全員の順位を元に各チームの勝敗が決定するが、要求アクションを最も多く行ったチームには10点のボーナスが加算される。1チームが上位を独占している場合なんかは流石に無理だが、多くの場合はこのボーナスで勝敗がひっくり返ることもある。

先に挙げたようにこのモードはチーム戦が主軸であるが、個人戦のルールも一部用意されている。なかでも注目なのは『エクストリームマッチ』、このルールは順位に関係なく最強格のアイテムしか出現しなくなる。いうまでもなくこのルールは運ゲーと断言してもいいくらいド派手に荒れる。ガチるにはあまりにも向かないが、たまには気分転換にプレイしてみるといいだろう。
実質フリープレイともいえる『カスタムマッチ』では細かなルールを指定してプレイ可能。コースやCOMの強さはもちろんのこと、トラベルリングの行先やアイテムのスイッチも用意されている。このモードで再現できないのはせいぜい3周とも異なるコースに突入するファイナルレースくらいである。
レースパークが基本的にチーム戦ということはライバルももちろんチームで登場。チームソニック→チームローズ…といったふうに段階的に挑むことになり、各チームごとに3勝するとアイテムやマシンが解禁。なおこちらもグランプリ同様に強さを10段階で調整できるので自分の実力と要相談。『マルチプレイにオススメ』とゲーム側から提示されるのでソロプレイヤー視点では優先度が低く見られがちだがマシン解禁のために全ライバルの撃破を目指すべし。

そして最後が『タイムトライアル』。速さを求めるソニックマニアが最後に行き着くのは言うまでもなくこれだろう。その名の通りソロで任意のコースを3周走りきるまでのタイムを突き詰めるモードとなっており、タイムに応じたランク評価も行われる。本モードでオールAを達成できる頃には晴れて初心者を脱却できることだろう。
タイムトライアルでは他プレイヤーがいない・トラベルリングで別コースに移動しないほか、コースの随所にウィスプ確定のアイテムボックスが固定配置で出現。厄介なのが1度取るとそのレース中は復活しないという点。短いスパンで拾ってもいいがアイテムを2つ持った状態で拾うと当然無駄になる。よって『1周目・2周目でどのアイテムを拾い、どこで使用するか、どのアイテムを無視するか』といったレース戦略を組む必要がある。

メインコース3周目での地形変化はこちらでも発生するので、アイテムによっては『1・2周目でしか拾えないアイテム』『3周目でしか拾えないアイテム』なんかも存在する。言わずもがなギミックの周期やアイテムボックスの配置は何度プレイしても完全固定で変わらない。だからこそ高ランク・好タイムを目指すならコースを隅から隅まで研究し、徹底的なパターン構築を行うべし。またタイムトライアルはクロスワールドでも対応、こちらはメインコースほどの変化はないものの、一応1・3周目と2周目とでギミック配置が入れ替わるため気を引き締めて挑むべし。
難易度…というかゲームスピードはソニックスピードとスーパーソニックスピードの二段階、当たり前だが後者の方が操作難易度が高くランクの設定も厳しい。なお変化するのはあくまでプレイヤーの速度だけであり、ギミックの周期や速度は変わらない。これによって一部の(ソニックスピード前提だった)ギミックをスーパーソニックスピードではアッサリ無視できてしまえたり、その逆にスーパーソニックスピードでは一部アイテムの獲得がほぼ不可能になっていたりと、コースによって簡単になったり難しくなったりしているのが興味深い。

タイムトライアルでのAランクの取得数に応じて過去作のBGMがジュークボックスにて解禁されていくシステムとなっているが、Aランクのタイム基準は特段厳しいかといわれるとそうでもない。ごくごく一部の例外はあるもののアイテム配置を覚えある程度のショートカットを行いつつミスなく走りきれば、大抵のコースでAランクの到達はできることだろう。
逆に最高評価のSランクはマシンやガジェットの組み合わせから見直しつつ、超上級者向けの加速テクニックをガンガン利用しないとまず到達できない本作最難関のやりこみ要素となっている。ただしSランク達成で解禁される要素はないためそこは安心。隠し要素の解禁で初心者を門前払いするようなことがないのは好印象である。『TRANSFORMED』とかただのキャラ解禁ですらライトユーザーバイバイな難易度してたからね…。

さてさて。人によっては本作最大の魅力になるやもしれない要素…それこそがあまりにも膨大すぎる会話ボイスである。例えば先に触れた通りグランプリではプレイヤーが指定した1キャラがライバルとして登場するワケだが、各グランプリの第1レース開始前には自キャラVSライバルによる専用の掛け合いが発生する。この会話はDLC除く全キャラの全組み合わせ分が存在するだけでなく、同じ組み合わせでも自キャラとライバルが入れ替われば別の会話となる。本作はデフォルトで23キャラいることを考えると単純計算で506パターンが用意されているワケだ。いうまでもなく全て本作のための新録である。まぁ設定上喋れないせいでお互い何言ってるかわからんメタルソニックVSエッグポーンの組み合わせとかもあったりするが。

こういったボイスはグランプリ開始前の掛け合いだけではない。レース中に妨害アイテムを他キャラに命中させた場合、低確率だが専用の会話が発生することもあるし、キャラによっては特定のコースに突入した際にこれまた専用のボイスが流れることだってある。当然これらのボイスの内容は過去作での出来事やキャラ同士の因縁や関係性にフォーカスを当てたものとなっており、言わずもがな長年シリーズを追いかけた人ほどニヤリとできるものだらけである。なかにはマリンやトリップのように本作に登場していないキャラに言及されるものもある。とにもかくにもこれらは本作が30年以上もの歴史があるソニックシリーズだからこそ成立する要素だといっていい。

『TRANSFORMED』→『TSR』の過程で一度は失われてしまったオールスター要素は今回DLCという形で復活。本作では無料アプデによる追加キャラとシーズンパスによる追加キャラが存在し、前者はSEGA社内で(ほぼ)完結するものでキャラとマシンのみの追加、後者はSEGA社外とのコラボで複数人のキャラとマシン、更に専用コースがセットになっている。ちょっと離れたポジションだが早期購入特典として『ソニックワールドアドベンチャー』のウェアホッグ、シーズンパスの購入特典で『ソニックプライム』のナイン・ラスティ・ドレッドもプレイアブル化する。

DLCでの追加キャラは無料配信でバーチャルシンガーの初音ミクに『龍が如く7 光と闇の行方』から春日一番、そして『ペルソナ5』からジョーカーが参戦。シーズンパス(有料)では『マインクラフト』からスティーブとアレックスにクリーパー、『スポンジ・ボブ』からスポンジボブとパトリック、『パックマン』シリーズからパックマンとゴースト、そして『ロックマン』シリーズからロックマンとブルースが参戦。コースやキャラの詳細こそ明かされていないが『ミュータント・タートルズ』『アバター 伝説の少年アン』からの参戦も発表されているだけでなく、まだこの他にも無料枠のSEGA社内キャラも複数人予定されているようだ。

ただしDLCキャラには掛け合いなどが全く用意されていない点だけはちょっと残念。ゲストゆえキャラ描写に慎重になるのは仕方ないだろうが、かといってミク以外にボイスすら一切存在しないのは流石にいかがなものか。新録が厳しいとしてもジョーカーや一番など原作でボイスが潤沢に存在するキャラは原作流用でなんとかしてほしかったと思わないでもない。映像作品の『ソニックプライム』組がいるし無茶言うなって?でもこのシリーズ日本語ボイスを旧作のムービーシーンから流用しまくって新録ほぼゼロのキャラが何人もいた『TRANSFORMED』って実績(前科)あるんですよ。

…それにしてもソニックにジョーカーにパックマンにロックマンにマイクラ勢が揃うとなると『スマブラSP』の二次会みたいな感じにも思えてくる。ここまで来たらいっそのこと初代『オールスターレーシング』に参戦してたバンカズとMiiにも来てもらう?流石に後者はクロスプレイ対応の本作だと厳しいか。
ちなみにソニック×ロックマンは先んじてアメコミでコラボ済み、ソニック×マイクラもソニック側の30周年記念の折にマイクラ内にSEGA公式のソニックMODが登場…といった感じなので『スマブラSP』だけの縁かというと違う。なおソニック×パックマンは相互コラボのような形になっており『パックマンワールド2 リ・パック』のDLCにてソニックのゲスト出演が予定されている。

本作の要素をだいたい語り終えたことでそろそろまとめに入らせてもらおうか。ショージキなことを言ってしまうと我は本作が発表された当初、クオリティにやや不安を抱いていた。それは本作への…というよりは『ソニックレーシング』というシリーズ自体に対する不信感によるものだった。
『TRANSFORMED』→『TSR』の時点でオールスターという強みを自ら捨てたうえ、競合する『マリオカート』との差別化に挑むのではなく、あろうことか逆に仕様を近付け迎合するかのようなムーブに対し、言葉を選ばず言ってしまうと失望に近い感情を抱いてしまっていたからである。無論『TSR』とてゲームとしてはつまらないものではなかったのだが、物足りなさ・寂しさを感じてしまったのは事実である。

それから数年の時が流れ登場した本作。『まぁソニックだし一応買うけど…』などと思いつつも日々を過ごしていたのだが、情報が公開されるにつれて少しずつ…ほんの少しずつだが期待値が増していった。一度はオミットされたマシン変形やオールスター要素の復活に、周回ごとに別コースに遷移する『トラベルリング』。そしてキャラ同士のかけあいにおける原作ネタの数々…。情報公開の段階だとまだほんの少し期待できる程度ではあったが、その後に行われたネットワークテストにおいてその期待は確信へと変わった。マリカに近付けたシステムは継承しつつも、ソニックならではのエッセンスを用いて更に別方面の面白さを切り拓こうとするその姿にはかつてと同じ輝きが間違いなくあったのだ。
本作はまさしく期待通り…いや期待以上の、思い出補正を抜きにしても『ソニックレーシング史上最高傑作』と評してもいいレベルの一本であった。公式で『セガ史上最高峰のレーシングゲーム』を豪語するのは伊達じゃない。これから先もタイトル通り継続的なアップデートで拡張が予定されている本作『ソニックレーシング クロスワールド』、今後の進化にもぜひぜひ期待したいところである!!
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