いろいろとゲームを語ろう

物好きなゲーマーがただただ最近遊んだゲームの感想とか内容とか書いていくブログ。レトロゲームの割合が高いかもしれない。更新は気が向いた時にだけ。

シャインポスト Be Your アイドル! (+ 攻略メモ)

ついに…ついについについに!!!登場しましたぜ任天堂の最新機種が!8年という任天堂でも有数の長寿ハードとなったNintendo Switchの後継機…その名はNintendo Switch 2(ニンテンドースイッチ2)であーるー!!!無印Switchで評価された携帯機-据置機のハイブリッド路線はそのままに、本体は大画面になりHDRやVRRの搭載によってよりリッチなビジュアルでゲームを楽しめるようになり、TVモードでは最大4K解像度まで対応!

性能面も無印Switchから大きくパワーアップ。流石に現行機であるPS5やXSXには及ばないものの、PS4以上のスペックを携帯できるとはまさしく時代が変わったとでもいうべきか。当然の如く無印Switchとの互換も備えており、旧ソフトは全体的に動作が向上している!我にはぶっちゃけ不要だがCボタン(ゲームチャット)の搭載やUSBカメラへの対応によってマルチプレイも更に大盛り上がり間違いなし!

…とまぁ開幕から勢い全開でSwitch2について触れたところで申し訳ないが、ぶっちゃけ今回の記事の主役はSwitch2ではなかったりする。いや、ホントはね?『Nintendo Switch2 ファーストインプレッション』ってなタイトルでSwitch2に初めて触れた感想だとか、多言語対応版における海外ソフト起動の検証とかの記事を途中まで用意してたんですよ。でもそんなんどうでもよくなってしまった。そんなことよりもまず語らなくてはならない…そう心に訴えかけてくるとんでもない作品に出会ってしまったのだから!!

というわけで今回はこの作品について衝動的に語らせていただこう!!冒頭で触れた任天堂の最新機種Nintendo Switch 2』!そのローンチタイトルにして数少ないSwitch2独占のこの作品!!今宵の主役は『シャインポスト Be Your アイドル!』であーるー!!!

…あんまりにも本作にのめり込んでしまったがために、今回の記事では最後に攻略メモ的なものも作ってしまった。どうしても攻略に行き詰った人がいたらそこを参照すればベストエンド到達も視野に入ってくる…かもしれない。『長々とした語りは抜きにしてさっさと攻略情報を教えろ!』という人はこのテキストをクリックすれば攻略メモのところまですっ飛ばしますぜ。

さて、そもそものハナシ『シャインポスト』とはコナミストレートエッジが共同で執り行うメディアミックス企画である。一応説明しておくとメディアミックス企画というのはひとつの作品を特定の媒体だけに留まらずゲーム・アニメ・漫画・小説など多方面に渡って展開するプロジェクトのこと。でもって『シャインポスト』も例に漏れず2021年に小説を刊行2022年初頭には漫画の連載もはじまり、2022年なかほどからはTVアニメが放映と順当にメディアミックスの歩みを進めていた…のだが、その後に発表されたiOS/Android向けのゲームは待てど暮らせど出る気配が全くなかった

…それから約2年もの年月が流れた2025年初頭、『シャインポスト』の公式アカウントが突如として『ゲーム版シャインポストのプラットフォームをスマホから家庭用ゲーム機へ変更する』旨の発表を行った。ちなみに我が本作のことを認知したのはこのタイミング、『CS機で出るなら注目だな、マークしておこう』なんてことを思ったのを覚えている。
(本ブログの節々から滲み出ていますが物好きな自称ゲーマーはCSハード至上主義者です)

…まさかこの『家庭用ゲーム機』というのが当時まだ名前すら明かされていなかったスイッチ次世代機…もとい『NintendoSwitch2』であり、あまつさえそのローンチタイトルとして『シャインポスト』が開発されていたことをこの時点で予見していた人間はそうそうおるまい…。

というわけで改めまして本作『シャインポスト Be Your アイドル!』について語っていくとしよう。先ほども触れた通り本作はコナミ×ストレートエッジによるメディアミックスプロジェクト『シャインポスト』のゲーム版にあたる作品である。なお作中では他メディアの『シャインポスト』のことを『原作』と表記しているため、本記事においてもそれに則りゲーム『シャインポスト Be Your アイドル!』のことを『本作』他メディア版のことを『原作』と記載していくことにする。

プラットフォームはNintendoSwitch2、発売日は説明不要の2025年6月5日で本体と同時発売のローンチタイトル。開発元は硬派なイメージも軟派なイメージも併せ持つ多方面なゲーム展開でおなじみコナミのCS部門、コナミデジタルエンタテインメントである。

Switch2のローンチタイトル25本のうちパッケージソフト16本と非常に多いものの、そのなかで他ハードからの移植ではなく、かつ無印Switchとの縦マルチでもない…つまり正真正銘の『Switch2独占のパッケージタイトル』プラットフォーマーたる任天堂謹製のマリオカート ワールド』を除くと、本作『シャインポスト Be Your アイドル!』サバイバルキッズの2本だけサバイバルキッズコナミ販売の作品なので、コナミ『Switch2のローンチにパッケージソフトを独占供給した唯一のサードパーティだったりする。
(DLソフトを含めると独占タイトルはこのほかに『NINTENDO SWITCH 2のひみつ展』『Fast Fusion』がある)

そういうわけで本作は無印Switch向けにはリリースされておらず、プレイするにはSwitch2が必要。またSwitch2から導入された『キーカード』タイプのゲームなのでパッケージ版でもダウンロード版相当の空き容量が必要なのは注意。

ところで本作はYoutubeやニコニコなどでの配信こそ可能なのだが、XとDiscordに限り『スクリーンショットのみOK(動画はNG)』という他のコナミ作品とは少し違ったガイドラインになっているのは気を付けるべし。…えっ、じゃあはてなブログ(ここ)へのスクショ投稿はどうなのかって?いやコナミ作品は今も昔もブログは配信ガイドラインだと一貫してノータッチなもんで…グレーな扱いに甘んじて『お叱りを受けたら画像全部消します』のスタンスでコナミ回は毎度執筆しているのである。

本作の物語は原作のアイドルたちと同じく絶対アイドル『螢』のライブに感銘を受けた主人公がアイドル事務所を立ち上げた場面から開始。アイドルを目指す女の子達の手助けをしたいと考えた主人公は『契約期間の3年のうちに彼女たちをアイドルの聖地"武道館"へと送り出す』のを目標に掲げ奮闘する…といった内容になっている。

この時点で原作履修者は理解できるように、本作は原作とは異なるパラレル設定の世界。根本的なキャラ造形こそ共通している点は多いものの、それ以外の箇所においてはほぼ別物となっている。もちろん本作の主人公(プレイヤー)は原作主人公のような特殊能力なんて持ち合わせていないし原作における優希社長も存在しない。…つまりプレイヤーはごくごく普通の人間でありながら、マネージャーとしてアイドル達へのフォローおよび経営者として事務所の経営一人で両方やらなくてはならないワケだ。

ちなみに主人公および事務所名はプレイヤーが任意のものを設定可能。そのほかにも『一人称』も設定できるんだが…そのラインナップが僕・私・俺どころか儂(わい)・妾(わらわ)・余(よ)・朕(ちん)・麿(まろ)と無駄に豊富なのがなんともシュール。ちなみに何故か『我』がなかったので読みが近い妾でプレイしました。…えっ、もしかして我と妾だと後者の方がメジャーなのか…?

ゲームを開始してプレイヤーがまずやるべきこと、ソレは育成するアイドルの選択である。最初にオーディションで書類選考を通過した女の子10名が表示されるので、プレイヤーはそのうち5名を合格させグループを結成する。選考画面ではある程度の初期パラメータや成長傾向のグラフ表記もあり、バランスよく選出するのもよし、何かの一芸に特化させるもよし、純粋なビジュアル的な好みで選ぶのだって自由である。書類選考を通過しただけありどの女の子もポテンシャル自体は間違いないことは保証しよう。

アイドル候補として登場する女の子は原作から登場していた15名本作からのオリジナルキャラ8名を加えた計23名。原作だとデビュー時期や所属事務所はキャラ(というかグループ)によってバラバラであったが、本作ではみんな主人公の事務所から同タイミングでデビューすることになる。なおオリジナルキャラのうち4名はスマホゲーだった頃に『ひまわりシンフォニー』として先行公開されていたメンバーで、残り4名はKONAMIによるAI歌声ライブラリ『LAUGH DiAMOND』として本作に先駆けて世にデビューしていた。
(AI歌声ライブラリについてはまた後述)

採用直後の彼女たちは光る原石であってもまだアイドルとはいえない。彼女たちを輝かせるためにすべきことは言うまでもなく『育成』。しかしながら主人公の事務所はまだ立ち上げ1年目、ツテでコンサル兼ダンス講師兼振付師の『小夢さん』を雇いはしたが、それ以外は実績も知名度も足りなければ、レッスン場やダンススタジオといった設備すらもないまさしく『ないない尽くし』である。よくコレでオーディション実施したな主人公よ。だがそんな主人公の事務所に最初からあるものがたったひとつ。それは『お金(資金)』である。

そういうわけでここからが本題、本作ではプレイヤーが毎ターン任意のコマンドを実行し事務所を育成したり、アイドル達が成長できる環境を整えていくことになる。何らかのコマンドを実行する度にパラメータが変動、ターンが進行し1月上旬→1月下旬→2月上旬…といった風に時間も経過していく。アイドルたちとの契約は3年間なので、プレイヤーにとっての当面の目標は『3年間のうちに彼女たちを武道館へ立たせる』というもの。

この説明で既に察しがついた方も多いと思うが、本作の根本的なゲームシステムは同じくKONAMI開発の『パワフルプロ野球(パワプロ)』シリーズのサクセスモード、或いはその源流となったときめきメモリアル(ときメモ)』のソレとほぼ同一である。

プレイヤーが毎ターン実行できる行動は大きく分けて『事務所運営』『資金調達』『メンバーとの交流』、そして『ライブのブッキング』の4種類。『事務所運営』では経営(経営力)・営業(営業力)・企画(企画力)・広報(発信力)・レッスン計画(育成力)・会食(政治力)の6つの中から更に行動を選択し、コマンドごとに関連するパラメータが上昇する。ただしいずれも実行には資金が必要で、しかも要求される資金・コマンドの成功確率もタイミングによって大きくブレるのには気を付けるべし。ときメモパワプロと違いパラメータは上昇する一方で下降することがないのはありがたい点か。

『資金調達』では読んで字の如くアイドルたちに働いてもらい、事務所の経営力パラメータに応じた資金を獲得する。仕事の内容は『番組出演』『イベント参加』などランダムで選ばれた3つの中から選択可能でそれぞれ異なる演出ムービーを見ることができる。詳細は後述するが資金繰りに悩まされがちなので、(直接的なパラメータ上昇がないため)あまり使いたくはないものの序盤ほどお世話になりがちなコマンドである。

『メンバーとの交流』ではメンバーと会話を行う。会話をしたメンバーとは『交流イベント(詳細は後述)』が発生し、各アイドルのパラメータが少しだけ上昇する。本作では数少ないプレイヤーが任意で直接アイドルを強化できるコマンドである。なおどのメンバーと会話するかは選択できるものの、事務所にいるメンバーそのものはランダムとなるため、必ずしも任意のメンバーと会話できるとは限らない。

最後に『ライブのブッキング』だが、これはグループのライブに備えて会場を押さえるコマンドである。会場によってハコ代(場所代)はまちまちで、大きいものほど費用が嵩む。当日のライブ実行も可能だが、時期が離れるほどハコ代が割引されるため先んじてブッキングしておくと少しだけオトク

押さえられるライブ会場は担当グループのアイドルとしての格…『クラス』によって少しずつ増えていく。デビュー直後はクラス1からスタートし、『クラスアップライブ』を成功させていくことで上昇。目標である『武道館』を押さえるにはクラス5にまで登り詰める必要がある。肝心のライブ周りのシステムは本作の核ともいえる要素なのでまた後述する。

またこのほかにも『スポンサー』という項目があり、こちらは提示された条件を一定期間内に満たせたならば報酬として資金が得られる代わりに、条件を満たせなかった場合は違約金を支払う羽目になる…というチャレンジ要素となっている。まぁぶっちゃけパワプロ』におけるコーチミッションみたいなもの。サクッとクリアできるものや、今後の予定に噛み合ったスポンサーがあればとりあえず受けておくといい。

さて、お気づきかもしれないが本作では『プレイヤーが直接アイドルを育成する』ようなシステムは最低限しか用意されていない。『事務所運営』で上昇するのは事務所のパラメータのみであり、『資金調達』で得られるのは資金のみ。唯一『メンバーとの交流』に限り直接アイドルを成長させることができるが、このコマンドで育成できるのは1度に1人だけである。彼女たちが成長できるかどうかは彼女たち自身の頑張りにかかっており、プレイヤーに可能なのは環境を整えるところまでなのだ。

本作のアイドルたちはターン経過の度に少しずつ自動的に成長する。パラメータの上昇量は事務所の『育成力』および『施設』のレベル依存。ダンススタジオやレッスン場といった施設はターン経過ナシで強化可能だが、多額の資金を投じる必要があり事務所自体のパラメータが足りていないとそもそも強化すら行えないことも。

当然ながら終盤になって急いでこれらを強化したところで手遅れなので、彼女たちを大成させたいのならばできる限り速い段階で事務所を成長させ、施設を充実させてあげなくてはならない。アイドル自身ではなくその環境を育てるという意味では本作のアイドル育成はパワプロ』シリーズの『栄冠ナイン』の延長だといえる。

本作はシミュレーションゲームゆえにメインともいえるシナリオは必要最小限に留まっている。必ず発生する固定イベントもゲーム冒頭とエンディングのみ、あとはせいぜいグループのオーディションとデビューライブ、武道館ライブ前後で発生する会話くらいなもの。かといって体感でシナリオが薄味ということでは決してなく、ソレをフォローするのが所属メンバーとの『交流イベント』である

交流イベントは行動選択にて『メンバーとの交流』で1ターン消費することで実行でき、選択したアイドルと直接会話をしてより仲を深めることができる。交流イベントは各アイドルごとに5回分用意されており、5回目まで読み終えるとアイドルが『覚醒』してパラメータが大きく上昇する。6回目以降は汎用イベントになってしまうが、全パラメータが満遍なく上昇できるので意外と有用。なお交流イベントの1回目のみは自動で発生するが、2回目以降はプレイヤーが自分から発生させる必要がある。

この交流イベントは各アイドルの掘り下げに一役買っており、連続イベント形式ゆえにドラマ性も強い。そして交流イベントをどこまで発生させるか、いつ発生させるかなどは全てプレイヤーに委ねられている。事務所経営の合間にちょくちょくメンバーと交流を行い、自分だけの物語を作り上げるのだ。コレがシミュレーションゲー特有の魅力である。なお交流イベントには任意で実行できるもののほか、ランダムで発生するもの(覚醒には不要)もいくつか存在小夢さんとのイベントも複数用意されている

また特定のメンバーが同じ事務所に所属している時にのみ発生するイベントなんてのも多数あり、発生するとイベントに関連したメンバーのパラメータが強化される。こちらも交流イベント同様に連続イベント形式になっており、イベントの見せ場では専用のスチルCGまで表示される。なお発生するかどうかは運だが発生率自体はそこそこ高いため、条件さえ満たしていれば案外見ること自体は容易パワポケ』のランダム四天王の悪夢は令和に蘇らなかったようでよかったよかった。

交流イベントなどを筆頭に会話シーンは主人公+一部モブを除き全てフルボイス。会話している最中のキャラ達のモーションも実にイキイキとしており、喋っている当人が動くのはもちろんのこと、複数人が一画面に登場している会話シーンでは別キャラのセリフ進行に合わせて目線が動いたり表情やポーズが変わったりもする

ところで本作はあくまで『アイドル事務所経営シミュレーション』であって恋愛シミュレーション』ではない。ゆえに主人公と女の子の関係も一貫して『マネージャーと担当グループのアイドル』から変わることはなく、当然だが恋愛関係に発展することは一切ない。特定の条件を満たすことで各アイドル専用のエンディング『グッドエピローグ』に到達することはできるものの、いずれも主人公は徹底してこのスタンスを崩すことはなく最後はアイドルの夢を後押しするだけに留まっている。この前向きな別れともいうべきグッドエピローグの内容は実に爽やかで心地よい読後感を与えてくれる
(ネタバレ的な部分は一応反転)

さて、ゲーム冒頭にて『アイドルとは3年契約』という説明が行われることから、本作もパワプロパワポケあるあるの3年間の物語…と思いきや、なんと2年目開始と同時に2つめのグループのオーディションが発生、3年目開始時には3つめのグループが…ということで、本作は3つのグループの3年間…合計で5年間(1グループ目の3年目=2グループ目の2年目=3グループ目の1年目)のゲームとなる。それゆえ周回前提のゲームにしては1周がちょい長め。当然ながらプレイヤーは2年目・3年目で増えたグループの面倒も見ていかなくてはならない。てか1グループ目すら軌道に乗ってない新米事務所が新グループのオーディションなんか始めるんじゃねぇよとは誰もが思うハズ。

…のだが、ここにきて本作は新たな…そして昔懐かしい記憶を思い起こさせる恐怖の一面を見せ始める。2つ3つとグループが増えていくにつれて、どうしても少なからず手が回らないグループが生まれてくるのはある種仕方のないことだ。だがそんな扱いに業を煮やしたアイドルたちはやがてマネージャーである主人公に対して不平不満を述べるようになり、それが限界にまで達した時…彼女らは『メンタル不調』に陥る。

『メンタル不調』に陥ったアイドルは一部パラメータが強制的に0になり、ライブで満足にパフォーマンスができなくなる。もちろんそんなライブは高確率で失敗し、クラスアップはおろか収益としても赤字すらも視野に入ってくる。対処には『メンバーとの交流』で1ターンを費やしてメンタル不調者のフォローに回らなければならない。…そしてフォローに回った分は別のグループ/アイドルに費やす時間が犠牲になり、今度はそちらでメンタル不調が発生…という負のスパイラルが幕を開ける。

…我がブログに足を運ぶような古のオールドゲーマーたる諸君らであればもうお気づきであろう。はいそうです、コレ『メンタル不調』という名のときメモ』を象徴する要素『爆弾』です。かつてときメモ』を『パワプロ』のサクセスに落とし込むにあたって一度はオミットされた『爆弾』が、本家『ときメモ』の系譜でも新作や移植のたびに弱体化されてきたあの『爆弾』が、昔懐かしの火力と厄介さを引っ提げつつ『メンタル不調』と名を変えて帰ってきやがりました同じアイドルでも『ときめきアイドル』のアイドル達はいくら放置しても爆弾なんて作らなかったのに…。

というわけで本作の『爆弾』…もとい『メンタル不調』について紹介していこう。まず大前提だが本作は『ときメモ』と異なり傷心度に値する要素は存在しないため、『他のグループ/アイドルに入れ込んだ』ことで爆弾が発生することはない。だがその一方で本作の爆弾は発生条件が3パターン存在し、どういった経緯で発生したかによってその後の爆弾処理の手順が異なるのが非常に厄介な点。もちろん処理の方法を間違えたら爆弾は消えない。オマケに発生条件の都合でなんと3-4個セットで爆弾発生するのがザラ、処理するときも複数セットなので対処を誤らなければ大丈夫だが、もしもコレが全て爆発しようものならフォローに最大5ターンもかける羽目に…

本作では行動選択の画面でアイドルたちの一言コメント的なモノが流れているのだが、その際に『黄色い吹き出し『赤い吹き出しが出ていた場合は要警戒。本家ときメモで例えるなら黄色は『爆弾が発生した状態』赤色は『爆弾が点火して爆発する直前』である。この時点で適切な対処ができれば爆発(メンタル不調)を防ぐことができる。

爆弾発生のパターンは『交流イベントで絡んでいない』『ライブを実行していない』『クラスアップライブを実行していない』の3種類。どんなパターンで爆弾が発生したかについては吹き出しの内容で判別可能。『交流イベントで絡んでいない』ケースの場合は交流イベントで爆弾が発生したグループの誰かと絡めばそのグループの爆弾は全て解除される

地味にややこしいのが『ライブを実行していない』『クラスアップライブを実行していない』ケースであり、この2つはそれぞれ別カウントとなっている。仮に後者だった場合はただライブを実行するだけでは爆弾は解除されない。彼女らの要求はクラスアップへの『挑戦』なので必ずしもライブに成功する必要はないものの、クラスアップへの挑戦ということは相応にお高いハコでのライブになるので序盤-中盤にかけてはある程度の赤字を覚悟する必要がある

というかタイミング次第ではクラスアップライブが可能なハコのブッキングが最短1ヶ月-2ヶ月後になってしまうこともあり、しかも本作ではライブのキャンセルが可能だからか予定を入れた段階だとまだ爆弾は健在、当日にライブを開催してはじめて爆弾が解除されるシステムになっている。

もちろんライブ予約-ライブ当日までの間に爆発する可能性は普通に高く、そうなったならば『特に意味のなくなったライブを、メンタル不調者込みで敢行する』というサイアクの事態が発生する。なによりも恐ろしいのはコレがクライマックスである武道館ライブでも起こりえるという点。また爆弾の発生条件が複数ある都合上、長期的にグループを放置した場合なんかは『交流してなかったせいで爆発』『1ターン費やしてフォロー』『それはそれとしてライブしてなかったのでまた爆発』なんてことも…。

というわけで慣れないうちはとにかくこの『メンタル不調』という名の爆弾に振り回される羽目になる。初見ノーヒントのプレイならばほぼ確実に爆弾対策の負のスパイラルに陥ること間違いなし。この時の気分はまさしく泥沼化した『ときメモ』をやっている時のそれに等しい。とはいえ本作は爆弾のパターン判別がちょい厄介というだけで、発生メカニズム自体はあちらと比較にならないほどシンプル。だからこそきっちり定期的に各グループと交流しつつクラスアップも含めたライブを行うようにすれば、一度も爆発させずにゲームクリアすることだってもちろん可能である。簡単に言ってくれるがソレが一番難しい?そうだね。

さてさて、ここからは皆様お待ちかねの『ライブ』周りのシステムを語っていこう。事前にブッキングしておいたライブ当日になると、ライブの準備をする必要が出てくる。なお当日は基本的にライブを行うしかないものの、ライブをキャンセルすることも一応可能。…まぁその場合は莫大な違約金を請求されるのだが。

ライブ準備ではプレイヤーが自由に楽曲・ポジション・衣装などをカスタムしてセットリスト(セトリ)を作成する。ターンごとに楽曲のトレンドは適宜切り替わるので、その時々の流行に合わせたセトリ作りが高収益へのカギ。衣装もまた気持ち程度だがパラメータに補正を与えてくれる。

本作に収録されているライブ用楽曲は32曲、基本的にグループ5人全員が一緒になって歌う5人曲が大半を占めるが、一部は2人専用・3人専用の曲もあり、『5人曲の2人バージョン/3人バージョン』といったバリエーション違いも存在する。バリエーション違いを含めた場合の楽曲数は全45曲とかなり多め。

楽曲にはそれぞれ難易度が設定されており、高難易度の曲ほどボーカル・ダンスの要求パラメータは高くなる。実力に見合わない難しい曲ばかりを歌わせるともれなくライブ失敗に繋がるため、参加アイドルのパラメータを見て楽曲をチョイスすべし。

楽曲および衣装はゲーム開始時点だとそれぞれ1つずつしか用意されていないが、資金を消費して新たに発注することができる。発注にかかる金額は原則横並びだが、例外的に『水着』と『学生服』の衣装だけは気持ち少しお高め。ちなみに高価だからといって別に性能がいいわけではない

一度のセトリに含められる楽曲は最大で5曲。当然ながら曲数を増やした方が満足度の高いライブになるもののアイドルたちは1曲歌うごとに体力を消耗していき、体力が尽きた場合はその日のセトリにそれ以上参加できなくなってしまう。『クラスアップライブ』の条件は『一定以上の規模の会場でX曲以上のセトリを組みライブを成功させる』となっているため、2人曲や3人曲で参加してないメンバーの体力を温存、セトリの順番を変える、体力が高めのメンバーの起用率を上げるなどの工夫が必要になってくる。とりわけ最終目標の『武道館ライブ』では5人曲を3つ以上含めた5曲分のセットリストでライブを成功させる(ネタバレ反転)』という条件が提示されるので、常々アイドルたちの体力パラメータを確認しておくべし。

準備を終えたらいよいよライブが本格スタートする。ライブシーンではプレイヤーの操作が要求されることはなく、セットリスト通りにアイドルたちがパフォーマンスする姿を眺めるのみとなる。強いて言うならばカメラを『特定の一人にフォーカスしたもの(5人分)』『オートカメラ』で切り替えられる程度である。ただただじっくりと育てたアイドルたちの雄姿を目に焼き付けるべし。

肝心のライブシーンのクオリティはハッキリ言って素晴らしいというほかない。Switch2という新ハードのスペックを活かし、高画質・高精細・高FPSなライブを堪能することができる。アイドル達は曲やポジションに合わせてステージの上を大きく飛び回り、またカメラもダイナミックに動いてその姿を映し続ける

当然ライブ会場も事前にブッキングしたものによって変化し、原作に登場した『Bright Station』はもちろん、タワーレコード新宿店』や『新木場STUDIO COAST』などといった実在のライブ会場も用意されている。アニメ版におけるゴール地点ゆえか、または開発時期の都合からか中野サンプラザ(現実だと2023年7月に閉館)』でもライブ可能会場によってカメラワークが変化するだけでなく、なんと歌声の反響まで変わる力の入れようである。

また本作はKONAMI謹製の『AI歌声ライブラリ』を採用。コレはキャスト陣の歌声を学習したAIがライブ時に歌ってくれる技術である。『歌唱AI』ということで少々警戒してしまう人もいるやもしれないが、その歌声は言われないと…なんなら言われても人間のソレとの違いがまるでわからないレベルのクオリティなのでご安心あれ。

そしてAI歌声ライブラリを採用したことで、本作では『ライブ用の全ての楽曲において(全45曲)』『誰に(全23名)』『どのポジションのパートを(各2-5種)』任せても歌唱が可能になっているだけでなく、なんとアイドルたちのパラメータによってはライブ中の発声にミスが生じるようにもなっている。言うまでもなくコレは従来のアイドルゲーでよくある個別収録の方法ではまず不可能(理論上可能だが実現は現実的ではない)システムである。

またAI歌声ライブラリのハナシからは少し離れるが、本作ではこのほかにもダンスのパラメータによってアイドルたちの動きがより洗練されてくるようになったり、ライブの回数をこなすことで観客の練度も上がっていき、最初は拍手を送る程度だったのが最終的には曲に合わせて手拍子やコールが入るようにもなる。同様に客席の埋まり具合も事務所のパラメータ依存であり、事務所およびグループの人気が伸びていくにつれてどんどんライブ会場の空席の割合も減っていく
(逆に言えば身の丈にあってない会場だと泣けてくるくらい空席が目立つ)

これら一連の要素により『ライブを通してのアイドルやその周囲の成長』を痛感でき、また『やるたびにパフォーマンスに細かな差異があり、同じセトリだとしてもひとつとして100%同じ内容にはなりえない』という現実のライブさながらの一期一会な味わいを演出することにも成功している。これこそが本作のアイドルゲーとしての最大のウリであり見どころといえる。

ライブのハナシを終えたところで再びゲーム部分のハナシに戻らせてもらう。本作をプレイした人間が口を揃えて印象に残ったと語るポイントこそがその難易度およびシナリオ設定のシビアさ。なんと本作の難易度は往年のKONAMIシミュレーションゲームを思わせるほど厳しいものに調整されているのだ。

まず本作では何をするにもお金(資金)が必要である。事務所を育成するにもアイドルたちの環境を整えるにも曲や衣装を購入するにもライブ会場を押さえるにも必要なのはまず資金。逆に言えば資金がなければ何もできず、そして終盤になるにつれて必要な金額も相応に上がってくる

資金が足らなければアイドルたちを育て上げることもできずライブすら満足に行えない。当然ファンも増えないのでチケット売上も悲惨そのもの、無理にライブを敢行したところで収益が赤字になることも珍しくない。かといってライブをやらないとアイドルたちは『メンタル不調(爆弾)』で病むため、赤字を覚悟してでもライブをしなければならない局面はいずれやってくる。そしてそんな自転車操業がいつまでも続くわけもなく、いつかは資金が底をつきメンタル不調が発生し始め、以降は爆弾処理のスパイラルに陥っている間に状況がどんどん悪化していく…それが本作における最もありがちな泥沼パターンである。

資金が一度でも底をついてしまうと『破産』となりその場でゲームオーバー。一応『事務所運営』などのコマンドでは資金がマイナスになる選択ができないようになっているものの、ライブのブッキングは資金が足りずとも可能。もちろんそのライブで赤字を出し、その赤字分で資金がマイナスになってしまおうものなら問答無用で即アウトとなる。

ゲームとしての一番の難所はやはり3つのグループを同時に管理しなくてはならない3年目。初見プレイの場合はまず間違いなく3グループ15人分のメンタル不調の嵐と資金難、パラメータ不足に頭を抱えることになる。ただし3年目を乗り越えると解散にせよ引き継ぎにせよ管理するグループが減っていくため、今度は物足りなさを覚えるほど管理がラクになる。そのため本作は『中盤が一番難しく、終盤になるにつれて難易度が低下していく』というちょいヘンテコなゲームバランスである。まぁ中盤の難易度は序盤の準備次第で天国から地獄まで変動するため、極まると『序盤が一番難しく、そこさえ乗り越えたら後は楽勝』なんて感じにもなる。

そして序盤の準備を怠ったプレイヤーにとって最大の関門となるのが3年目のラスト…1グループ目の武道館ライブである。立ち上げ直後で何もかもが足りない中、死ぬ気でクラス5にまで成り上がった1グループ目だが、ここに来て武道館ライブの開催費用がそれまでのハコ代とは文字通り桁が違う事実を突きつけられる。

ここまで来たプレイヤーは金額を見た時点で、『武道館ライブを実行したが最後、凄まじい赤字を出す』ことをまず察する。ハコ代が桁違いということは赤字でのマイナス分も桁違いということ。ちょっとやそっと資金に余裕がある程度ではまず即死するであろう武道館ライブを前に、プレイヤーは『それでも武道館ライブを決行するか、それとも武道館を諦めるか』の決断を迫られることになる。

武道館ライブを諦めれば経営は安泰、その後も安心してゲームを続けられる。だが武道館に行けなかったグループは解散を余儀なくされ、アイドルとして青春の時代を捧げてきた5人のメンバーの夢はその瞬間儚く散ることになる。一方で武道館ライブを成功させられれば彼女たちの夢を無事叶えることができる…が、ライブを成功させられるかどうかは彼女たちの能力次第なうえ、成功させたとしても莫大な開催費による赤字は間違いなく事務所の経営を圧迫し、最悪の場合は破産して他のグループの女の子たちまで路頭に迷わせる羽目になる

事務所や他のグループの存続すらも危険に晒してまで本当にそこで夢を追うべきなのか、それとも今のグループの女の子たちの未来を切り捨てて来年・再来年の別グループに夢を託すべきなのか…もちろん後者の方が現実的な安定択であることは言うまでもない。だがここに至るまでにプレイヤーは『切り捨てるかもしれない対象』のアイドルたちと3年間を通して交流を深め、彼女たちの夢に対する真摯さや努力を目の当たりにしてきている

この『夢か現実か?夢のために何かを犠牲にできるのか?その犠牲にする対象とは何か?』という葛藤こそが本作における最大のファクターであると断言できる。そしてそんな葛藤を乗り越えたうえで開催されるクライマックスの武道館ライブだからこそ、そこで輝く彼女たちの姿はより魅力的に映り、3年連続で武道館ライブを成し遂げた時の感動や達成感もひとしおなのだ。総じて本作はアイドルという輝きを支える『裏方』の苦悩や葛藤、そして希望を描いた作品だといえる。

また本作はマルチエンディング形式を採用しているが失敗寄りのバッドエンド…というかベストエンド以外の内容は徹底してシビア。仮に3グループのいずれかで武道館ライブを成功させられたとしても、それはそれとして武道館ライブに失敗/辿り着けなかったグループの『夢に破れた後の現実』を容赦なく突きつけてくる。もちろん3グループ全てで失敗したケースの悲惨さはわざわざ説明するまでもなかろう。

後述するように本作は高難易度ながらマイナス方面の運要素がほぼ存在しないため、破産してアイドルたちを路頭に迷わせたにせよアイドルたちの夢を切り捨てて後続の踏み台にしたにせよ、その責任の全てがほかでもないプレイヤー自身に100%のしかかってくる仕組みになっているのが実に素晴らしい。やってやるぜという気分にさせてくれる。

ちなみに中断セーブ機能は搭載されているものの、選択肢やコマンドを選んだ瞬間に強制的にオートセーブされるうえ、セーブ枠は1つしか存在しない。もちろんリセットしたとしてもやり直しは効かない『パワプロ』譲りの超硬派スタイルである。経営者たるもの最初から最後まで自分の選択に責任を持つべし…え?『Nintendo Switch Online』のバックアップ機能?ンなもん邪道だ邪道。

ゲームクリア後は後述する『ビューワー』機能が解禁されるものの、それ以外の追加要素は全くない。当然『つよくてニューゲーム』的な2周目以降をラクにする要素なんか存在しない。だからこそ本作でベストエンドに到達できるか否かはプレイヤー自身の記憶・経験に裏付けされた攻略セオリー・パターン構築に全てがかかっている。逆に言えばセオリーを理解した上での2周目・3周目のプレイは初見の頃がウソのようにスムーズに進められる場面も非常に多い。

常々カツカツな『資金』というコマンド実行のためのリソース(体力)を管理しつつ、ソレが底をついたら即終了…というあたりはパワプロ』『ときメモ』よりも高難易度路線だった『パワポケ…そのなかでもとびきりシビアなパワポケ2戦争編』『パワポケ3』に近しいものを感じるが、一方でパラメータ調整が徹底的に厳しいだけで本作には『パワポケ』ではお約束だった『マイナスのランダムイベント』が全く存在しない。ランダムイベント自体はいくつか用意されているものの、いずれも発生しただけオトクなプラスイベントとなっており、『パワポケ2戦争編』『パワポケ3』で度々見られた『ランダムのマイナスイベントを1回引いただけでそのまま即死した』等のケースはまず起こりえない

パラメータ管理こそシビアながらクリアに要求されるパラメータ値自体は厳しすぎず甘すぎずの絶妙な塩梅で、この綿密な調整はこれは古くより様々なシミュレーションを送り出してきたコナミだからこそ可能だったと確信をもって言い切れる。だからこそ本作は純粋にプレイヤーの腕前を試すストイックな『パラメータ管理型育成シミュレーション』としての面白さに秀でているわけである。我が本作において最も評価しているポイントは言うまでもなくここである。

ゲームを一度でもクリアすると『メンバービューワー』『ライブビューワー』という機能が解禁される。『メンバービューワー』では各メンバーのプロフィールやパラメータ傾向を閲覧できるほか、『グッドエピローグ』『バレンタインイベント』に到達したことがあるかということを確認可能。やりこむ場合は全メンバーのエピローグ・バレンタインの制覇が本作の最終目標になることだろう。

『ライブビューワー』ではプレイヤーの好きなようにメンバー・衣装・楽曲・会場でセットリストを組んでライブを楽しむことができる。ただし使用できるのは過去のプレイで一度でも育成したことのあるメンバー、解禁(発注)したことのある衣装と楽曲、ライブを実行したことのある会場に限られる。周回プレイの折にはなるべく多彩なパターンでライブに挑んでみるといい。なおライブビューワーのライブでは全メンバーのパラメータがカンスト(999)している扱いなので、ライブの細かな変化を味わいたいなら本編をどうぞ。

強いて不満を挙げるとすれば近年のパワプロにあるような『イベント回想』的な機能は欲しかったなと思ってたり。というのも先に触れたように本作にはセーブ枠が1つしかないうえ、『特定のメンバー4人が所属しているとき限定でランダム発生』など発生に運が絡むイベントも多いので、後から見返したいと思った時は割と不便なのじゃ。同様にCGスチルの鑑賞機能もないのも困りもの。よってスチルを見返したいときはスチルが表示されるイベントで随時ウィンドウを非表示にしてSwitch2のスクショ機能を活用すべし。…本作のスチルは殆ど(というか全て?)縦長なうえ、本編中のスチルイベントではプレイヤーが任意で上下スクロールを行えないのが実に歯がゆい。

ここまでずっとゲーム本編のハナシをしてきたところだが、実は本作にはもう一つ大きな要素がある。それこそが『ヒロインストーリーズ』。ゲーム本編はシミュレーションゲームという都合上定められたストーリーラインが最低限で各々のプレイヤーが自由に立ち回り物語を作っていく形式だったが、『ヒロインストーリーズ』ではノベルゲー的に用意されたシナリオをガッツリ読み進めていくことになる。

そして最大の特徴はキャラ同士の関係性や世界観がゲーム本編ではなく、原作のソレを踏襲した内容となっている点。グループ名も原作にあるものとなっているほか、優希社長や誉ちゃんなどゲーム本編では影も形もなかったキャラも登場する。モブキャラという扱いながら原作のどっかで聞いたことのあるような台詞もちらほら。つまりはより『シャインポスト』原作からのファン向けに特化したモードといえる。なお『ヒロインストーリーズ』のプレイにゲーム本編のクリアは必要なく初回起動時から全シナリオが完全フルオープン、原作から入り原作の世界観の延長だけ見たいという人向けの配慮だろう。

ヒロインストーリーズに収録されているシナリオはHY:RAIN』『TINGS』『FFF』『ゆらゆらシスターズ』の4つ。これらは全て独立したパラレル設定の物語となっており、シナリオ同士の繋がりは『他ルートでもそういうことがあったかもしれない』程度。いずれのシナリオでも主人公がタイトルにあるグループ(TINGS編ではゆきもじ)のマネージャーを任せられる場面からスタートする。なお主人公の名前はゲーム本編で使用していたものが引き継がれるが一人称は『僕』で固定。

グループごとに章仕立てとなっており、それぞれのシナリオは各27章前後。ゲーム本編同様に主人公とモブキャラ以外はフルボイスなほか、重要な局面では本作のシステム上で実装された専用ステージでのライブシーンが挿入されるなど非常に気合が入った代物になっている。テキストのボイス部分をきっちり聞くのであれば各シナリオごとに短編ノベルゲームくらいのボリュームがあり、なんならこの部分だけで原作ファンなら満足できるのではなかろうか。ところでファミ通インタビューによればヒロインストーリーズのデータはスマホ版開発当時のものの再利用が主らしいそりゃお蔵入りすんのも惜しいわな。

原作で先輩グループとして描かれてきた『FFF』『ゆらゆらシスターズ』原作の前日譚のようなシナリオとなっており、だからこそシャインポスト初見の人でも問題なく入っていけるのが魅力。そしてHY:RAIN』『TINGS』では原作とほぼ同時期の時系列かつ主人公が『相手が嘘を吐くと光輝いて見える』という原作主人公(日生 直輝)を思わせる特殊能力を持っていることもあって、『もしも直輝に近い能力を持った誰かがTiNgS以外(HY:RAIN/ゆきもじ)のマネージャーになっていたら?』という原作のif世界を楽しむことができる。

本作のゲーム本編から見ると『ifの世界(原作)の更にifの世界(ヒロインストーリーズ)』となるため微妙にややこしいが、一応シャインポスト原作を未履修の状態でもある程度は楽しめる構成にはなっているのでご安心あれ。ただ細かなネタも含めて120%完全に楽しみたいのならやっぱり原作知識はある程度求められる。

ちなみにアニメ版は本作の発売に合わせてYoutubeで数話ずつ公式公開が行われているほか、dアニメストア等での配信もあるので本作プレイ後はそちらもチェックするといい。我は本作で『シャインポスト』デビューしたのでゲーム本編→ヒロインストーリーズ→原作→ヒロインストーリーズという流れで楽しませてもらった

随分長くなってしまった今回の記事だが、そろそろ纏めに入らせていただこう。本作『シャインポスト Be Your アイドル!』は2つの顔を持つ作品である。1つは言うまでもなく『シャインポスト』のゲーム化として、原作からのファンでも満足できるメディアミックスの顔、そしてもう一つは長年の歴史を持つKONAMIだからこそ作れた良質なアイドル事務所経営シミュレーションとしての顔である。

要素要素だけを見ていった場合はパワプロのサクセス(事務所運営)』+パワプロの栄冠ナイン(アイドル育成)』+ときメモの爆弾(メンタル不調)』といった過去にコナミがリリースしてきたパラメータ管理ゲーをごった煮しただけのように思えるが、それらを『アイドル』という設定のもと見事に纏め上げつつ、簡単すぎず難しすぎずそれでいて理不尽でもない…そんな理想的な調整を施された本作は紛れもなくKONAMIが送る新機軸の『ときメモ』からの系譜であると断言できる。

そのうえで『AI歌唱ライブラリ』によってアイドルたちのパラメータにより多彩に変化するライブシーンや、プレイヤー自身へ決断・葛藤を迫るシステム/シナリオ面の存在もあって『美少女アイドルゲー』『パラメータ管理型育成シミュレーション』のどちらの方向性から評価しても極めて出来が良く、今後にリリースされるかもしれない同ジャンルのハードルを大きく押し上げたであろう一作であることは想像に難くない

現時点ではプレイ環境であるNintendoSwitch2の入手というハードルを乗り越えなくてはならないものの、もしもSwitch2を入手できたのであれば本体と共に『シャインポスト』を購入して、その手堅いクオリティの高さに衝撃を受けてみてほしいところ。Switch2ならではの機能は(素の性能面はともかく)ほぼ活用していないが、本作もまたSwitch2のポテンシャルを示すだけのクオリティを誇るローンチタイトルに相応しい一本であった!!

 

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『シャインポスト Be Your アイドル!』攻略アドバイス(Q&A形式)

ここからは『シャインポスト Be Your アイドル!』に纏わる攻略メモ的な内容をQ&A形式で纏めていく。攻略に行き詰った人はここを参照すればクリアの手助けになる…かもしれない。当然ながら一部項目はネタバレ注意

 

Q.強キャラについて教えて!

明確な強キャラを1人挙げるなら『青天国 春』。とはいえそれ以外のメンバーもちゃんと育成すれば何かしら一芸を持っている。難易度的な面でいえば1グループ目は育成環境が整うのが遅い都合体力が低くなりがちなので、『伊藤 紅葉』『陽本 日夏』などのように体力の初期値が高いメンバーがいるとなにかとセトリの融通が効きやすい。逆に体力の初期値が低い『聖舞 理王』あたりは1グループ目に入れると慣れないうちは大変かも。それでもちょっと難しくなる程度でクリア不可能なほどではない。そして2グループ目・3グループ目ともなればだいぶ余裕が出てきているはずなのでそれこそ誰を入れても活躍できる。

Q.いつもライブに失敗するんですが…

ボーカル/ダンスのパラメータが足りていない難しい曲をやりすぎているかのどちらかが原因。できる限りトレンドに合わせたセトリを組みたい気持ちは理解できるが、トレンドはライブの収益にしか影響しない。クール系やエレガント系の楽曲は要求パラメータが高い傾向にあるので、むやみにトレンドに引きずられるとライブ失敗の引き金になりやすい。時にはトレンドをガン無視して低難易度曲で固めるのも大切である。

また残体力によっても各楽曲の成功率は変動。当然後半にまわした(=体力が減った状況で挑む)楽曲の成功率は低下する。一方でライブ全体の成否判定は『全体のうち50%以上が成功評価であるか』でしかないため、コレを利用して低難易度曲をライブ前半に固めておき、後半に比較的高難易度の曲を配置することで前半曲の成功率を高めライブ全体の成功率を安定させるのもアリ。
(例えば4曲セトリの場合、そのうち2曲が成功なら残り2曲が失敗しても総合評価は成功となる)

Q.クラスアップライブしたいのに体力が足らない!

2人曲・3人曲を活用して曲数を水増しせよ。5人曲を1回歌うだけで体力が尽きるような娘たちでも2人曲→3人曲とメンバーを分けて歌わせれば1曲分のスタミナで2曲分稼げる。また曲によって微妙に体力の消費量が異なることがあるので、体力的に実行不可能なセトリであっても曲の順番を入れ換えるとライブができることもある

Q.ライブを開催しようにも会場代が高い

ライブのハコ代はチケット代とグッズ代でペイできなかった分が資金からマイナスされるシステム。逆に言えばブッキング画面で見えている金額はチケット・グッズともに売上ゼロの時のものなので(ライブ自体をキャンセルしない限りは)額面通りの金額を請求されることはまずありえない。そのためハコ代を恐れずライブをガンガン開催していくべし。何度かやっていくうちにそのうち収益も出せるようになるハズ。ただし武道館を含めたクラス5会場のハコ代は文字通りそれまでと桁違いに高く、普通にやっている範囲では間違いなく赤字になるため注意。

Q.武道館をクリアできるパラメータってどんなもん?

武道館ライブは曲数と5人曲の割合しか見ておらず、曲の難易度は不問。そのため極論を言ってしまうと体力のパラメータさえあれば低難易度曲でセトリを固めてクリアできる。体力は体力以外のパラメータに連動して上昇していくため、パラメータが全体的にBくらいあれば充分クリア可能。ただし1グループ目(3年目)/2グループ目(4年目)の場合はほぼ確実に赤字になるので60,000,000円/40,000,000円ほど資金に余裕をもたせておくこと。

Q.武道館で体力がもたねぇ!

初見プレイヤーがまず間違いなく引っ掛かる罠。ぶっちゃけると抜け道的なものはないので前もってアイドルを育成しておくしかない5人曲→5人曲→5人曲→2人曲→2人曲というセトリが最もラクなので、5人曲を3回歌った上でなお体力が残るメンバーが最低4人必要。心配ならクラス5会場(幕張イベントホール昼夜公演/コニファーフォレスト)での当日ライブを実行できる状況でセトリ画面に進み、適当な5人曲を3つ並べた段階での体力の減り具合を確認するといい。ここで体力が残ったメンバーが4人以上いれば武道館ライブの突破はほぼ確実である。
(確認後はライブを実行せず行動選択に戻ること)

Q.衣装や楽曲っていつごろ発注した方がいい?

基本的に必要になったタイミングで随時発注するべし。楽曲はクラスアップライブで曲数が足らない、もしくは既所持の5人曲だと体力がもたない時に2人曲・3人曲を優先的に確保するといい。オススメは2人曲かつ要求パラメータが低い『ワンツースリーで手をたたこう!』『キラキラキュン』あたり。コレらを含めた適当な2人曲・3人曲だけでクラス5までの到達はラクショーである。衣装の方はパラメータの補正が微々たるものなので最後まで全く変更しなくても問題ない。資金に余裕がある時に気分転換がてら発注するのがいいだろう。ちなみに施設強化と違い楽曲と衣装はいつ発注しても価格は変わらない。

Q.アンコールってどうやって発生させるの?

本記事執筆時点で数えきれるくらいしか発生してないので断言できないが、発生状況から考えると『ライブの総合評価で大成功』以上が条件っぽい?なおアンコールが発生していたとしてもライブ内容は変化せず、リザルト時にアンコールの有無が明かされる。基準を満たしていればライブをスキップしてもOK。成功3、大成功1、伝説1のリザルトで発生を確認。クラス3・クラス4の会場で発生したので会場規模は問わないかも?要求パラメータは平均A+からSくらい。コレはかなり攻めたプレイをしたうえで5年目終盤にギリ到達できるか否かといったレベルなのでアンコールは基本的に狙うようなものじゃない。当然アンコールを要求してくるスポンサーは無視した方が吉。

Q.ベストエンド/グッドエピローグ/バレンタインの条件は?(ネタバレ)

ベストエンドは『3グループ全てで武道館ライブを成功させる』ことが条件。ただ武道館に辿り着くだけではNGなのが注意。グッドエピローグは『メンバーを覚醒させた状態でそのグループの武道館ライブを成功させる』バレンタインは『各グループの3年目2月上旬時点でメンバーが覚醒している』と発生。発生時期の都合でバレンタイン狙いの場合は少々駆け足で進めなくてはならない。なお複数メンバーが条件を満たしていた場合バレンタインは全員分発生するものの、グッドエピローグはランダムで選ばれた1名分だけが発生する。そのため特定のメンバーのグッドエピローグを決め打ちで見たいなら、『目当ての1人以外の信頼度を4で止めておく』といった工夫が必要になる。

Q.ベストエンド到達したのにドルオタにボロクソ言われたんですが…(ネタバレ)

爆弾が爆発してメンタル不調が発生したのが原因。たとえベストエンドに到達していたとしても、プレイ中に一度でもメンタル不調が出たことがあるとHISTORY時のコメントでそのことを指摘されるシステム。満場一致のパーフェクトクリアを目指す場合はベストエンド到達とメンタル発生0人を両立させるべし。まぁベストエンドを目指す過程で自ずと爆弾処理は上手くなっているはずなのでそこまで難しくはない。ちなみにここでのコメントは『ライブ失敗の有無』でも変化する。叩きというほど辛辣なコメントにはならないが、気になる人は全ライブの成功もついでに頑張ろう

Q.スチルCG付きの会話が発生する組み合わせを教えて!(ネタバレ)

我が本記事執筆時点で確認したパターンを備忘録的に纏めておく。あくまで我が確認したものなので他にもまだまだありそう。括弧はイベント続行が確認できた選択肢だが、もしかしたらどっちを選んでもOKかも。括弧がない会話はそもそも選択肢がないか、はたまた我がメモを忘れてたかのどっちか。NPCとの会話はメンバー側が事務所に所属していれば発生する。またここにないスチル付き会話として小夢さんとのランダムイベントが2種類存在する

青天国 春 × 聖舞 理王(多めの方が~)
青天国 春 × 黒金 蓮
青天国 春 × 山田 花音(勝負系の~)
青天国 春 × 玉城 杏夏 × 聖舞 理王(美味しい食べ物~)
伊藤 紅葉 × 祇園寺 雪音(その思い~)
祇園寺 雪音 × 兎塚 七海(だ、大丈夫~)
黒金 蓮 × 氷海 菜花(菜花らしい~)
唐林 青葉 × 唐林 絃葉(まずは履いて~)
唐林 青葉 × 苗川 柔(柔、嫉妬して~)
唐林 絃葉 × 苗川 柔(どういう~)
氷海 菜花 × 薬師院 亜珠花
兎塚 七海 × 陽本 日夏 × 梨子木 麗美(大きさって~)
梨子木 麗美 × 山田 花音(麗美がいれば~)
ナターリャ × 南崎 湊(リズムゲームを~)
ナターリャ × 薬師院 亜珠花
広瀬 実唯菜 × 琴森 愛莉(ネクタイを~)
広瀬 実唯菜 × 東江 凪(実唯菜の自主練を~)
琴森 愛莉 × 南崎 湊
琴森 愛莉 × 南崎 湊 × 薬師院 亜珠花 × 東江 凪(自然体でも~)
風祭 朝陽 × 篁 響季(何かいいことでも~)
小紫 桃果 × 礼堂 月紬

オマケ:DENRYU流・安定攻略パターン

最後にオマケで我が本作をプレイしていた際の序盤攻略パターンを纏めておく。一応注意点だがコレはあくまで我が何度もプレイしたうえで編み出した攻略セオリーゆえに必ずしも最適解とか限らないし、ごくごくまれになんらかの事故(コマンド連続失敗等)が発生してパターンが崩れることもある。そもそもシミュレーションゲーは『セオリーを編み出すまでの過程』が最も面白いまであるジャンル、むしろこの項に従ったことで面白さが失われる可能性も考えられる。だからこそまだ本作をプレイしていない人はこの項目を見るまえにまず一度まっさらな状態で本作を楽しんでいただきたいところ。

注意書きを終えたところでDENRYU流の序盤攻略セオリーの紹介をはじめよう。ゲーム開始直後はまず『事務所運営』で事務所のパラメータを強化していく最終目標は『経営力E・営業力F・企画力E・発信力E・育成力D・政治力E』、基本的な優先順位は『経営>育成>企画>政治>発信』の順だが、コマンド実行に必要な資金や成功確率を見てどれを成長させるかアドリブで考えるべし。ちなみに営業力は最後まで初期値で問題なし。

1年目2月下旬に施設強化ができるようになるので、最速でグッズ以外の全施設をLv.1へ。その後ふたたび『事務所運営』でパラメータの強化を行いつつ、資金が底を尽きそうなら『資金調達』を実行する。だいたい9-10月頃には1グループ目のパラメータがオールEくらいになっているので、このタイミングでデビューライブを決行。適当な楽曲を発注してセトリを組めばデビューと同時にクラスアップできる。ただし本攻略パターンでは数少ない赤字確定ライブなので残資金には注意。だいたい1,000,000円くらいあれば乗り切れるはず。

1グループ目のデビューライブを終えたあとはまた『事務所運営』でのパラメータ強化『経営力E・企画力E・育成力D』に達したなら本格的に施設の強化を始めていく。資金が足らなくなる度に『資金調達』を実行して各施設を事務所パラメータの上限に引っかかるまで強化、グッズ開発Lv.1もこのタイミングで行う。もちろんメンタル不調を起こさない範囲でライブ・交流を挟むこともお忘れなく。ターン消費の無駄にならないスポンサーを活用すると更にスムーズに強化できる。

よほど凄まじい事故に見舞われてない限り2年目7-8月くらいには事務所パラメータが『経営E・営業F・企画E・発信E・育成D・政治E』施設も『録音3・ダンス3・撮影3・メイク1・休憩3・グッズ1』に到達しているはず。こうなったら以後は事務所・施設ともに強化は一切不要、いずれのグループも3年目12月には武道館ライブを完遂できるパラメータになるし、ライブでも安定して黒字を出せるようになっているため『資金調達』も原則不要となる。

ここまでくればベストエンド到達はほぼ確実なのであとは2年目途中からお好きなように育成すべし。ガンガン事務所を強化していくもよし、イベント回収のため交流を積み重ねていくもよしである。ゲームオーバーやベストエンド到達失敗になる要因はせいぜい爆弾処理をミスった際のメンタル不調が重なるケースか、3年目武道館ライブと4年目武道館ライブのタイミングでうっかり破産するケースがあるくらい。