誰もが知ってる大人気コンテンツ『ポケットモンスター』、縮めて『ポケモン』。まるいヤツにとがったヤツに説明難しいヤツまで色々なモンスターを捕獲・育成し、シナリオを読み進めたり友達と対戦・交換したりするゲームシリーズである。何よりも特徴的なのは新作がリリースされてもなおデータの互換性を保ち続ける…つまりは過去のゲームハード&ソフトで共に戦った相棒を新作にも連れていけるという要素。このおかげで20年近くに渡って同じポケモンとの絆を深め続けることも可能であり、それ自体がシリーズ全体の魅力のひとつとなっている。

…しかしながらそんな中で一度だけ明確な『互換切り』が行われてしまったことがある。それこそが俗にいう『第3世代』、2002年にGBAでリリースされた『ポケットモンスター ルビー/サファイア(ポケモンRS)』のこと。曲がりなりにも同一ハードであったポケモン赤緑→ポケモン金銀クリスタルと異なり、当時の技術ではGBからGBAへのハードを跨いだ移行はできなかった。だからこそプラットフォームがGBAとなる第3世代ではGB時代のポケモンたちにサヨナラしなくてはならなかったのだ。
そしてこの互換切りは使用ポケモンの選択肢の幅を狭めることに繋がってしまった。第3世代が開始した時点で既にポケモンは384種類(赤緑からRSまでの386種-当時未公開の幻2種)が存在していたが、このうちポケモンRS作中にて入手可能だったのは両バージョン合わせても200種類。つまり残りの184種類はポケモンRSだと一切の入手手段がなく、過去世代から連れてくることもできなかったのだ。
(なおデータ上はRS時点で386種類全てのポケモンが存在する)

そんな状況下でリリースされたのが今宵語る作品『ポケモンコロシアム』!!上記の経緯を知っているとかなり納得が行く部分が多いゲームである。プラットフォームは据置機のゲームキューブ(GC)、発売は2003年で先に挙げた第3世代のポケモンの中でも初期の作品。もっと具体的には先に挙げたポケモンRSと2004年リリースの赤緑リメイク『ポケットモンスター ファイアレッド/リーフグリーン(ポケモンFRLG)』の真ん中の時期の発売。系譜としては前世代の据置機ニンテンドウ64にてリリースされていた『ポケモンスタジアム(同2/金銀)』の延長ともいえるポジションであり、平たく言えば『でっかい画面で3Dモデルのポケモンを戦わせられる対戦ツール』という需要を叶えるための代物である。

『ポケスタ』シリーズは本家シリーズのゲームフリークではなくプラットフォーマーたる任天堂謹製の作品であったが、本作では開発元が新会社『ジニアス・ソノリティ』にバトンタッチ。とはいえジニアス自体は任天堂や株ポケの出資で誕生したメーカーであり、後述するように一部の素材は『ポケスタ』から引き継がれているため、紛れもなく本作はポケスタシリーズの続編である。
『ポケスタ』はミニゲームこそあれど基本的には『ポケモンの対戦ツール』として特化している作品であり、プレイヤーはゲーム側からレンタルされるポケモンorGB時代の本家シリーズで育成したポケモンを用いてCOM、或いは他プレイヤーとの対戦を行うのが中心のゲームであった。本作『ポケモンコロシアム』でも『ポケモンの対戦ツール』としての機能はそのまま続投しているが、一方で少々異なる方向性からアプローチを試みているのも特徴である。

まぁそれはさておきまずは『ポケモンの3D対戦ツール』的な方面から触れていくことにしようか。本作では先に挙げた全386種のポケモンたちが全員登場。当時の最新作であったポケモンRS…つまり第3世代はもちろん、互換切りされてしまった第1世代・第2世代のポケモンたちも収録。発売の4ヶ月前に配布されたばかりのジラーチや当時未発表のデオキシスもデータ上にはしっかり存在する…というかジラーチに至っては手持ちとして使用してくるトレーナーが作中に出てくる。もちろん対戦ではそんな386種のポケモン達が美麗な3Dモデルとなり、ド派手なモーションでイキイキと動き回る。少なくとも『大画面で遊べる3Dポケモン』の需要は満たせること間違いなし。
ちなみに本作のバトル環境は第3世代基準。『攻撃わざの分類(物理/特殊)がタイプごとに大まかに分けられている』『ダブルバトルでは倒された直後に控えのポケモンを強制的に繰り出す』などなど現代の視点から見ると首を傾げる仕様がそこそこ多いものの、そこは受け入れるしかない。かの有名な『特防下げるクセに物理技なシャドーボール』とか『どっからどう見ても物理なのに特殊技なかみつく/かみくだく』とかがあったのはこの時代である。

本作で用意された3Dモデルのクオリティは極めて高く、とりわけ設定通りのサイズで登場し圧倒的な威圧感を与えてくるホエルオーは今でも語り草。同じくモーションにも非常に力が入っており、全てのポケモンに攻撃モーション・待機モーション・ダメージモーション・瀕死モーションが個別に存在。攻撃に至っては接触/非接触用で2種類のモーションがある。
(より正確には本作の攻撃モーションは接触/非接触/待機流用の3パターンがある)
ボクサーの如くステップを踏んで殴りつけるキノガッサに大きく飛びあがって突撃するゴニョニョ、瀕死でくしゃくしゃになって崩れ落ちるヨマワル/サマヨール…などいずれのモーションも非常にダイナミック。また一度緩やかな動きを見せてから一気に攻撃を放つバシャーモを筆頭に攻撃モーションはエフェクト発生までにある程度『タメ』を持たせるものが多く、ついつい見入ってしまうものも多い。

ダメージでノックバックするタイプのポケモンにはデフォルト位置に戻る復帰モーションも用意されており、こちらもまたジグザグ蛇行しながら復帰するジグザグマ、吹っ飛ばされつつもしっぽで上手く着地してバウンドで戻ってくるルリリ、軽やかなステップでふわりと戻るキルリアにスケートのようにツルツル滑るレジアイスなどこれまたポケモンの生態にあったモーションばかり。
近年の本家作品との大きな違いとしては『ひこう複合のポケモンでも足が生えているなら地上で待機モーションを取るものが多い』という点。例えばオオスバメやチルタリスなんかは基本的に地面に立って待機しており、ダメージモーションや攻撃モーションで都度羽ばたく…といった形式になっている。なかでもボーマンダは常に地上にドッシリ構えているため非常にカッコイイ。逆にポケモン初見の人なんかは『なんでこのモーションでじしん当たんねぇんだよ!』となるかもしれない。

しかしながらモーション周りに気合が入っているからこそバトルのテンポは極めて劣悪。というのも攻撃・被ダメ・瀕死…いずれのモーションも当時の本家2Dポケモンどころか近年の本家3Dポケモンと比較しても倍近い長さなうえ、本作は戦闘アニメのカットができないからである。何度もいうようにモーションの出来は非常に素晴らしく、それらを見ること自体は苦にはならないものの、結果としてポケモンシリーズのなかでもトップクラスにテンポが悪化してしまっているのだ。
また本作の3Dモデルが美麗というのは先に触れた通りだが、その一方で3Dモデルのクオリティにそれなりにバラつきがあるのも否定できない。この原因は実に単純。本作に収録されたポケモンたちのうち、第1世代(赤緑)・第2世代(金銀)初出のポケモンの大半は前世代機であるニンテンドウ64でリリースされた事実上の前作『ポケモンスタジアム金銀』の3Dモデル・モーションをそのまま流用しているからである。

一応言っておくと『ポケスタ金銀』もまたニンテンドウ64屈指の3Dモデルの美麗さを誇っていた作品であり、本作に流用されたものも言われなければ元がN64と気付かないほどのものばかり。モデル・モーションを流用しているとはいえ技エフェクトは本作で全て新調されているので『ポケスタ』シリーズのプレイヤーであっても新鮮な気持ちで楽しむことは充分できる。…とはいえ美麗といえどあくまでN64基準で作られた3Dモデル。本作で新規に用意された…最初からゲームキューブ向けに作られた第3世代(RS)のポケモンたちと並ぶと少なからずクオリティの差を感じられてしまう。特にギャラドスやニョロボン、ウインディのような第1世代のなかでも一部は妙にポリゴンが荒かったり、色合いに違和感があったりもする。
もっともコレについては本作や続編『ポケモンXD』時点だとまだ『気になる人は気になる』程度のレベル。流石に次世代機であるWiiの『ポケモンバトルレボリューション』にまで流用したのは無茶が過ぎたとは思うが、まぁそうでもしないと毎世代増え続けるポケモンのモデルを作成しつつ、高いクオリティを維持することなどできなかったのだろう。

ポケモンの3Dモデリングについてのハナシをしたところで、今度は『ポケスタ』シリーズとの違いについて触れていこう。『GBAでリリースされていた本家ポケモン作品から手持ちのデータを送り、他のプレイヤー或いはNPCと対戦できる』という点についてのみは『ポケスタ』と共通なのだが、一方で『ポケスタ』特有だった要素の多くは残念ながらオミットされている。
特に大きいのはバトルでの演出関係が軒並み『ポケスタ』ではなく『本家ポケモン』寄りの作りになってしまった点か。対戦を彩った実況音声は全てカットされ、ポケモンの鳴き声も『ポケスタ』だと据置機のサウンドを活かしアレンジしたものから本家同様の電子音に統一。攻撃が外れた際には攻撃モーション自体がカットされるようになっている。
(攻撃失敗モーションはもし本作に導入されてたら更にテンポが悪化してたと思うが…)

『ニックネームを付けた個体の体色が通常の個体と変化する』というオマケ要素も消滅。まぁ色違い個体は相変わらず外観が変わるし、なんなら本作と『ポケモンXD』限定で『色違いと通常色とでポケモンの顔アイコン/ボックス内アイコンが変化する(色違いではなくポーズなどからして異なる)』という謎に力の入った仕様が存在するのでコレに関してはプラマイゼロか。ちなみにハード移行期ゆえなのか本作の色違いは後の世代の色違い個体とカラーリングが違う例が妙に散見される。ドーブルに至っては色違いと通常色のカラーリングが何故か逆転してたり。
モード方面ではポケスタにおいてメインの対戦よりもやりこんだ人もいるかもしれない『ミニゲーム』もまた完全にオミット。本家作品と連動したボックス整理『けんきゅうじょ』や大画面で本家作品をプレイできた『GBビル』も消滅。この2つに関しては『ポケモンボックス ルビー&サファイア』に任せる形である。

というわけでここからがいよいよ本題、本作『ポケモンコロシアム』で楽しめるゲームモードは『シナリオモード』と『対戦モード』の2つである。
世間一般における本作の印象を確固たるものとした本作の顔ともいえるモード、それが『シナリオモード』!!。シナリオモードは1人用の本格RPG、マップを徒歩で移動しキャラと会話をして情報収集、時にはトレーナーとのポケモンバトルを行ってシナリオを進めていく。またシナリオモード中の使用ポケモンたちはゲーム中で入手・育成しなくてはならない。つまるところ本家の『ポケモン』シリーズとほぼ同じ作りになっている。ひとつ大きな違いを挙げるとするならば、本作ではシナリオ中のバトル全てが『ダブルバトル』であるという点。
ダブルバトルというのは言うまでもなく2VS2でポケモンを戦わせる方式。ポケモンや技の組み合わせのパターンがはるかに広がるため、1VS1のシングルバトルに比べると奥深くそれゆえに難易度も高い。今でこそおなじみのルールだが、実を言えば初登場はこの第3世代。だからこそこうしたように本作はダブルバトルをプッシュする作りになっているのだろう。

そしてソレと同じくらい特徴的なのが『野生ポケモンとの戦闘が全く存在しない』こと。というのも本作の舞台となる『オーレ地方』は地方全域が荒廃した砂漠(アメリカ合衆国アリゾナ州フェニックスがモデルらしい)なので、そもそも野生のポケモンが全く生息していないのだ。よって『野生ポケモンを狩ってレベル上げ』『野生ポケモンをゲットして戦力強化』といった本家ポケモンのシナリオ攻略における正攻法は本作では一切通用しない。ならばどのようにして仲間を増やしていくか…ズバリ『他のトレーナーからポケモンを奪う』のだ!
ここで出てくるのが本作ならではのシステム『スナッチ』!!『ひとのものをとったらどろぼう!』のワードが示すように、本来ポケモン世界において『他者のポケモンを奪う』という行為は立派な犯罪行為であり、余程の極悪人でもない限りやろうとすら思わない手段である…が、本作の主人公は容赦なくポケモンの強奪…『スナッチ』を行うことができるのだ!!

シナリオモードにおけるトレーナー戦ではときおり暗いオーラを纏った『ダークポケモン』を繰り出されることがある。ダークポケモンというのは本作の悪の組織『シャドー』の手で洗脳・凶暴化されたポケモン。本作ではそんなダークポケモンたちを救うため、トレーナー戦の最中にモンスターボールを投げて強奪(スナッチ)していかなくてはならない。なお設定上スナッチは通常のポケモンにも可能っぽいのだが、あくまで『ダークポケモンを救う』という大義名分があっての行為なので、システム上スナッチができるのはダークポケモンだけとなる。
ダークポケモンは通常のポケモン同様にバトルで扱うことができる。ただしダークポケモンには『経験値が獲得できずレベルも上がらない』『性格が不明』などの専用仕様(デメリット)があり、運用には相応のリスクを伴う。更にダークポケモンは初期段階だと専用わざの『ダークラッシュ』しか使用不可。ダークラッシュは威力が高めかつ無効化されることこそないものの、使えば使うほど体力が削れる反動技なうえ、時折ランダムで『ハイパー状態』になってしまう。

ハイパー状態となったダークポケモンは『ダークラッシュがほぼ必ず急所にあたる』というメリットはあるものの、一方でダークラッシュ以外の行動を指示すると『勝手に違う技を使う』『勝手に道具を使う』『味方を攻撃する』などなど、本家における命令無視が可愛く思えてくるレベルのマイナス行動を見せる。極めつけに主人公や相手トレーナーをダイレクトアタックすることすらある。
ダイレクトアタックはゲーム的には1ターン分の無駄行動でしかないが、『プレイヤーのポケモンが自分or他人を直接傷付ける』というインパクトは凄まじい。なお『ポケモンが人間を襲う』という描写は後の『アルセウス』等にも存在するが、『"プレイヤーの"ポケモンが直接人間を襲う』作品は2025年現在本作のみである。ちなみにこの仕様ゆえに本作は主人公を含めたほぼ全てのトレーナーにわざわざダメージモーションが用意されていたり。

これらのデメリットに耐えてダークポケモンと付き合っていくと、少しずつだがダークポケモンは主人公に心を開いてくれる。ダークポケモンたちは各々『リライブゲージ』という専用ゲージを持ち、バトルに選出・手持ちに加える・専用アイテムを使用するなどの行動によって少しずつ減少、一定の段階に達するごとに『ダークラッシュ以外の技を使用できる』『性格が判明する』といった恩恵が得られ、最終的には通常のポケモンへと戻すことができる。この一連の行為は『リライブ』と呼ばれ、先に挙げた『スナッチ』と共に本作を象徴するシステムとなっている。

さてさて、ポケモンの強奪やら野生ポケモンの生息しない地方やらここまでの説明で既にその片鱗はいくらか見えていたと思うが、本作を語る上で真っ先に話題に挙がりがちなのはやはりその世界観・雰囲気だろう。本作のテイストは数あるポケモンシリーズの中でもとびきり異質。
そもそもの主人公(デフォルト名:レオ)からしてポケモン初の青年主人公(公式設定で17歳前後)なうえ『"元"悪の組織の構成員(スナッチャー)』という肩書き持ち。シナリオモード冒頭のオープニングムービーで『自身の所属組織のアジトを爆破し、相棒のブラッキー&エーフィを引き連れ大型バイクで脱走』という凄まじいデビューを飾るため、この時点でプレイヤーは『今まで知ってたポケモンと一味違うぞ!?』と驚くこと間違いなし。作中で一緒に行動することになるパートナー(デフォルト名:ミレイ)とも『ダークポケモンを見分けられる特異体質ゆえに謎の組織に誘拐されかけていたところ、成り行きで主人公に救われる』というこれまた衝撃的なファーストコンタクトを遂げる。

シナリオの過程で訪れることになるエリアも『ゴロツキどもに占拠された街』やら『機関車を改装したスタンド』、果てには『地下に隠された無法地帯のネオン街』など知らない人が聞いたらポケモンとは到底思えないような設定のものばかり。
出てくるNPCトレーナーの肩書きもエリートトレーナー等のごく一部の例外を除くとチェイサー・大道芸人・肉体派・ゴロツキなどこれまたアヤシイ雰囲気全開。洗脳されたダークポケモンの使用が常態化している世界観と考えるとまぁ納得といえば納得なのだが。とにもかくにも本作ほどアングラ臭漂うダーティな世界観のポケモンはほかにないだろう。それゆえ『いつもと違ったポケモン』に脳を焼かれたプレイヤーが後を立たないのだ。

ポケギア・ポケナビ等この頃の本家ポケモンでお馴染みの通信デバイスは本作でもやっぱり登場。本作では『ポケモンデジタルアシスタント』、通称『P★DA』である。主な機能は『スナッチリスト』『メール』『攻略メモ』の3つで、『スナッチリスト』ではこれまでに遭遇したダークポケモンの持ち主の情報、スナッチ/リライブの有無などを確認できる。このリストを全てリライブ状態にするのがソロプレイにおける一般的な最終目標になるだろう。
ストーリー中には進行に合わせて他のキャラが『メール』を送ってくることがある。ただしメールは読むことのみ可能で返信はできず、送ってくるタイミング/条件も完全に固定されているため、クリスタルの通話やエメラルドのエントリーコールといったものよりはシナリオ演出の一環的な意味合いが強い。

『ポケモン図鑑』に相当するのが『攻略メモ』。ここにはそれまでに出会ったポケモン全てが記録される。本家の図鑑に比べるとやや簡素な作りで、なんとポケモンの説明文すら存在しない。一方で360度好きな方向からポケモンの3Dモデルを眺められるのはありがたい。本家の図鑑とは異なり『見つけた数』『捕まえた数』という区分はなく、自分で捕獲しなくても敵トレーナーが出してきたポケモンを倒すだけでいいのは嬉しい点。…まぁそれでも一部敵としての登場すらもないヤツもいるので、そういったポケモンを登録したいなら別途交換で連れてくる必要がある。
ちなみにこの『攻略メモ』、歴代のポケモン図鑑のなかでは間違いなくトップクラスで影が薄い。というのもデフォルトで使えるわけでもなければ、シナリオ中に入手イベントが用意されているワケでもないからである。攻略メモは(シナリオ攻略には不要な)とある施設にいるモブNPCに話しかけることで初めて解禁される。メモ埋めどころか解禁すらせずにシナリオクリア、或いは全ダークポケモンのリライブを達成してしまった人も少なくないのではなかろうか。

本作の独特な世界観に合わせてかはたまた単なる調整ミスか(ぶっちゃけ後者)、本作のシナリオモードはクリア難易度が高いことでもよく知られている。そもそものダブルバトルが『シングルと異なりわざ範囲を考慮する必要あり』『集中砲火による即時撃破で何もできなくなる』『勝ち抜きルール固定なので手持ちを見ての交代が不可能』などの要因からシングル以上に難しい(かつ当時はダブル初導入ゆえにプレイヤーもセオリーを理解していない)というのもそうなのだが、そんな条件下でダークポケモンのスナッチまで並行して行わなくてはならないことが高難易度の原因。
ダークポケモンのスナッチは言わずもがなトレーナー戦の最中に行う必要があるわけだが、本作はそこらの一般トレーナーでも『混乱+防御ダウン技連打で自滅を狙いつつ、混乱解除目的の交代読みおいうち』『威嚇持ちを複数採用+壁張りで耐久戦』『あまごい→かみなり連打』などそれなりに有効な戦術を組んでくるため、それらをいなしながら対象のポケモンを捕まえる準備を整えなくてはならない。酷いとダークポケモンが出てきた頃にはパーティが半壊し捕獲どころですらないこともままある。

オマケにダークポケモンは全匹共通で『ダークラッシュ』を覚えている。この技は先に述べたように高火力な反面、自らにもダメージを与える反動技。NPCのダークポケモンはダークラッシュ以外の技も使えるため必ずしも毎ターン自傷するわけではないのだが、それでも常に反動ダメージで自滅される危険は付きまとう。ソレを抜きにしてもダブルバトルという都合上、『じしん』などの全体技に巻き込まれてダークポケモンが大ダメージを受けてしまったり、瀕死直後に繰り出されたダークポケモンに意図せず致命傷を与えてしまったりなどのアクシデントが起こりやすい。
(3世代は瀕死になった時点で控えを繰り出すため1匹を集中砲火すると出てきた控えを倒してしまう)
更に追い打ちをかけるのが『レポートがパソコンでしか書けない』という仕様。つまり本作は本家ポケモンと異なりセーブポイントが固定されてしまっているのだ。おかげさまでスナッチに失敗した場合のやり直しハードルも高い。強敵との連戦&激戦を乗り越えパソコンへと向かう道中でダークポケモン持ちトレーナーに遭遇→スナッチ失敗というケースの絶望感は本作プレイヤーなら一度は味わったことがあることだろう。リセットすればやり直せる反面大幅に巻き戻しを食らうのは言うまでもなく、諦めて続行すれば取り逃したダークポケモンは(大半が)クリア後まで再入手の機会がないという絶大なデメリットが襲い掛かる。

作中で戦うボス格の中でも強敵として挙げられやすいのがシャドー幹部のミラーボ(1戦目)。ストーリーにおける最初のボスなので楽勝かと思いきや、この時点で最終進化であるルンパッパを4匹も侍らせ、雨天候における特性を有効活用したコンボで容赦なく潰しにかかってくる。『あめうけざら』+『やどりぎのタネ』+『ダイビング』による耐久戦法に絶句したプレイヤーは数知れず。しかも序盤ゆえにルンパッパへの有効打となるポケモンが手に入らないのが痛い。
というかシャドーの幹部どもはただでさえ強力だった本作の一般トレーナーに輪をかけて戦術がガチガチ、先に挙げたミラーボ以外の幹部も『ふゆう相方でじしん連射』『メロメロ麻痺混乱でなぶり殺し』『雨パ+天候ただ乗り対策』と戦術コンセプトが一貫しており、下手なPTで挑んで戦術が刺さろうものなら全滅はまず避けられない。

とりわけラスボスの強さは群を抜いており『連戦の直後にサプライズで登場』『600族2体(うち1匹ダークポケモン)』『平均レベルが直前から跳ね上がる』『積み技バトンや怠けスキスワといったコンボ完備』といったあまりにもな容赦の無さからポケモンのシナリオボスにおいて最高難易度と現代でさえ語り継がれるほど。おそらくポケモン作品のストーリーで全編通してここまで全滅の危険性が高い作品は本作をおいてほかにないだろう。
もっともBDSPシロナやUSUMウルトラネクロズマなど純粋なパラメータやAIだけに着目した場合、本家作品のシナリオボスには本作よりも強い相手はいくらでもいる。にも拘らず本作がシリーズ最難関とまで言われるのはひとえに純粋な敵の強さに加えて『プレイヤーの選択肢が限られている』点が大きい。実際にプレイしてみるとその難しさを嫌というほど思い知らされる羽目になる。

本作でプレイヤーが手持ちに加えられるのは(ごく一部の例外を除き)スナッチしたダークポケモンのみ。コレは悪い言い方をすると使用可能なポケモンの幅が非常に狭いという意味である。この時代には既に386種のポケモンが存在するが、シナリオ攻略中にプレイヤーが手持ちに加えられるのは最大でも(進化系込みで)60種類程度であり、ダークポケモンのスナッチに失敗した場合は更に選択肢は狭まる。ポケモンの技に関してもわざマシンはごく一部しか入手不可能、作中でタマゴが作れないため『タマゴ技(遺伝技)』はもちろんのこと、『教え技』『技の思い出し』すら本作には存在しない。
おまけに本作で主に入手できるポケモンはこぞって後の世代で追加進化が貰えたくらいには控え目な強さのモノが多く、本作ではそんなテコ入れ前のポケモンたちとともに戦い抜かなければならない。もちろん本作の相手トレーナーはそんなプレイヤーのことなんか知ったことかと言わんばかりにボーマンダやらミロカロスやらの強力なポケモンを使用してくるのが困ったところ。後述するように通信交換の解禁はゲームクリア後ということもあり、『育成済みの個体をGBA作品or他セーブデータから連れてきて楽をしよう』なんてことも不可能である。

だがコレは逆にいうと『限られたポケモンでいかにして勝利を掴み取るか』というプレイヤー自身の実力・知識を試すような難易度であるともいえる。良くも悪くも選択肢が限られているため、本家であれば『そのポケモンに対する愛がないと一軍起用は難しい』といったポケモンさえ本作では活躍できる可能性が高い。マンタインやヨルノズク、ビブラーバ辺りにお世話になった本作のプレイヤーは少なくなかろう。
また難しいといっても完全に攻略が行き詰まるほどの難しさではなく、RPGらしくレベルを上げてごり押しする方法で突破するのも不可能ではない。何度でもトレーナーとの再戦が行えるパイラタウンやバトル山のようにレベル上げに使えと言わんばかりのスポットも用意されている。

ここまで散々強敵と称した敵NPCも戦術がガチ寄りなだけでポケモンそのものは努力値0で持ち物もナシ、コンセプトがわかりきってるだけに戦術を一度崩してしまえれば簡単に勝てたりしないでもない。『天候パなら初手は2匹とも天候技を使う』などのように思考の穴だってある。また敵トレーナーから奪えるダークポケモンもその近辺の平均レベル程度のものが多く、ダークラッシュ(特にハイパー状態時)の強さも相まって即戦力として優秀なため、特定のパーティに拘らなければ意外となんとかなる場面も多い。
これらの要因から本作はお世辞にも万人受けするとは言い難いものの、刺さる人には徹底的に刺さる味わい深い高難易度に仕上がっているのだ。特に我のような『ポケモンは好きだけど本家ポケモンは簡単すぎる、かといってバトル施設や対人戦を遊ぶほどガチでやるつもりはない』くらいの微妙な立ち位置のプレイヤーからすると、本作の調整はまさしく好みにドンピシャであった。ゲーム全体を彩るハードコアな雰囲気とどこか合致しているのもソレを助長させる。

なおシナリオモードでは第1世代から第3世代までの大半のポケモンが登場するのだが、そのなかでもポケモン金銀…つまり『第2世代のポケモン』がかなり目立つのも特徴。主人公の最初のパートナーはブラッキー・エーフィ、(経緯は特殊だが)序盤に選ぶ御三家もベイリーフ・マグマラシ・アリゲイツ、伝説のポケモンもエンテイ・ライコウ・スイクン、そして世界観の重要ポジにはセレビィとホウオウ…と『第3世代じゃなくて第2世代のゲームなのでは?』となるくらい第2世代のポケモンが猛プッシュされている。
ポケモンRSでは第2世代のポケモンが殆ど登場しなかったこともあり、『コロシアムで第2世代のポケモンと初めて遭遇した』という人も少なくなかろう。というかほかでもない我がそうであった。そうでなくとも第2世代のポケモンたちは金銀本編ではそこまで目立たない存在*であったため、ポケモン金銀よりも本作の方が印象が強い…なんて人もいるかもしれない。
*金銀の新ポケモンたち
第2世代(ジョウト地方)のポケモンは
『ジョウトでもカントーのポケモンが多数出現する』
『ジョウト初出でも出現エリアが狭い/時間帯固定』
などの要因から初出作品なのになんとも影が薄い。
酷いとデルビルやマグマッグ(+金銀ではニューラも)のように
ジョウトのポケモンなのにカントーにしか生息してないヤツも。
ほかにも便宜上ジョウト生息ではあるが
ムウマやヨーギラスなんかは殿堂入り後にしか出てこない。
また『とくせい(特性)』の概念が追加されたのは第3世代になってからのことなので、第1世代/第2世代ポケモンの大半が本作で特性初公開となった。なかでも天候をすなあらしにする特性『すなおこし』は本作が初登場、RSパケ伝説のグラードン/カイオーガに続く第三の天候変化特性を持った『とあるポケモン』に衝撃を受けた当時のプレイヤーも多かろう。

そして本作は第3世代の本家ポケモン作品(RSE/FRLG)との通信交換にも対応、GBA作品でも引き続き本作のポケモンたちと冒険を楽しむことができる。通信にはGBAケーブルを用いてGBA本体とGC/Wii本体を接続する。ただし本作で通信交換が可能になるのはシナリオモードのED後のみなうえ、交換相手がポケモンFRLGの場合は『ネットワークマシン完成(=ナナシマでのED後シナリオクリア)』まで物語を進めなくてはならないためちょこっと大変か。
非常に地味ながら本作-GBA作品の通信交換でも通信進化は行えるのでぼっちのプレイヤーにも優しい。GBA本体と3世代ソフトがそれぞれ2本と通信ケーブルが必要な本家の通信進化とは違い、この場合はGBA本体と3世代ソフト、そしてGBAケーブルさえあれば可能なのでだいぶハードルが低いのは間違いない。

ところで本作で入手可能なポケモンは大半が第2世代。第3世代のポケモンは極めて少なく、第1世代に至っては一匹もいない。これは最初に挙げた第3世代の互換切りが理由としてあるのだろう。ポケモンRSで入手できなかったポケモンたちは本作で入手しGBA作品に送ってほしいという意図が察せられる。
互換切りされたポケモンには第1世代も含まれるのだがこちらは本作の翌年にポケモンFRLGがリリースされており、そちらで全種類入手できた。…本作だと第2世代初出であっても進化前/進化系が第1世代のポケモンたちは軒並み入手不可(ハピナス・キングドラ・ムチュール等)だったり、入手できてもオスしか出ない設定(ブラッキー・エーフィ・ハッサム・あと一応カポエラー)になっていたりするあたりにそれとなく大人の事情を感じるがそれは置いておく。どうせFRLGが出たらメタモンが解禁されて増やせるようになるしね。
(逆に言うとFRLG発売まではメスを厳選する必要があった)

というわけでGBAのポケモン作品における全国図鑑完成には本作がほぼ必須。…というかRSのマイナーチェンジ版である『ポケットモンスター エメラルド』がリリースされるまではFRLGとRSを全部揃えても第2世代ポケモンがフォローしきれないため、本作がなければ『ほぼ』どころか文字通り図鑑完成は不可能だった。
エメラルド発売後はGBA作品だけで全国図鑑完成も理論上可能になったものの、三犬(エンテイ・ライコウ・スイクン)はFRLGを、ジョウト御三家(チコリータ・ワニノコ・ヒノアラシ)はエメラルドをそれぞれ3周クリアしないと集められないため、それらを1周のうちに集めきれるという面で本作は優位に立っている。またポケモンRSでは全国図鑑完成にホウオウ&ルギアが必須なのでどっちみち本作&『ポケモンXD』をプレイする必要がある。
(FRLGとエメラルドのみホウオウ&ルギアが幻のポケモン扱い)

ここまでの説明でお察しの通り、本作『ポケモンコロシアム』で出会ったポケモンたちは特定の手順を踏むことでNintendoSwitchの最新作である『ポケットモンスター スカーレット/バイオレット(ポケモンSV)』にまで連れていくことができる。こういうことができるのが流石のポケモンシリーズだと感服する。
…もっとも本作『コロシアム』のポケモンたちは互換性を保たれた中で最も移行の手順が複雑だったりするためかなりハードルが高い。具体的な手順をサックリ記載すると以下のようになる。
①『ポケモンコロシアム』と『ポケモンRSE/FRLG』で通信交換(GC→GBA)
②ダブルスロットで『ポケモンRSE/FRLG』から『ポケモンDPt/HGSS』へ(GBA→DS)
③ワイヤレス通信で『ポケモンDPt/HGSS』から『ポケモンBW/BW2』へ(DS→DS)
④ポケムーバーを使用し『ポケモンBW/BW2』から『ポケモンバンク』へ(DS→3DS)
⑤引っ越し機能を使い『ポケモンバンク』から『ポケモンHOME』へ(3DS→Switch)
…手順を見ただけでわかると思うが、各世代のソフトだけでなくGBAケーブルにダブルスロット対応の旧DS、ポケモンバンクDL済みの3DS本体までもが必要になるため、完全にリアタイでシリーズを追い続けた人向けの無茶苦茶な互換である。とはいえ本作にてリライブすると得られる『ナショナルリボン』を持っていると、そのポケモンたちは『こんなんをのりこえた』というカッコイイ二つ名がポケモン剣盾以降の作品で付くようになるため、環境を揃えられるならばぜひSwitchの作品に送り出してほしい。

さてさて本作のもう一つの顔ともいえるモードが『対戦モード』。どうしてもシナリオモードの影に隠れがちな印象なのだが、こちらもまた中々にやりごたえのあるモードとなっている。前身『ポケモンスタジアム』シリーズの要素をより色濃く受け継いでいるのはこちら。シナリオモードや本家GBA作品で育成したポケモンたちを使用して勝ち抜き戦に挑むことができる。もちろん複数のGBAを接続して大画面で友達とポケモン対戦をすることだって可能。
対戦モードにてソロで楽しめるのは『コロシアムバトル』と『バトル山100人抜き』の2つ、ダブルオンリーだったシナリオモードとは異なりこちらではシングルバトル・ダブルバトルの両方が用意されており、原則『6匹出場の見せあいありの3VS3(シングル)/4VS4(ダブル)』というルール。対戦相手の順番や手持ちは固定だが選出ポケモンはある程度ランダム。

対戦モードでは事前に参加する手持ちパーティを登録する必要があり、ここで登録できるのは『シナリオモードの手持ち』もしくは『GBA作品の手持ち』。GBA作品の手持ちを設定した場合は対戦モード中のプレイヤー(主人公)の姿がGBA主人公のものに変わる。RS主人公であるユウキ/ハルカは当然として、なんと当時はまだ発売前だったFRLG主人公のレッド/リーフにも対応。
ただしポケスタとは異なりレンタルポケモンが不在なので使用ポケモンはGBA側にて用意するか、或いはシナリオモードで育成するしかない。散々触れた通りシナリオモードでは育成の幅が極めて狭いためGBA作品抜きで対戦モードを制覇するのはまず不可能である。
(一応GBA連動抜きでの達成者はいるらしい)

『バトル山100人抜き』はその名の通り100人のトレーナーを相手に連戦することになる。シナリオモードにも同名のレベル上げスポットが存在するが、対戦モード内のこちらは先に上げた基本ルールに加え、『敵ポケモンのレベルがこちらの最大レベルに合わせられる(最低50)』となるためややストイック。1戦ごとに回復はして貰えるのでそこは安心。
そして『シナリオモードで全ダークポケモンのリライブを完了』した状態で『対戦モードのバトル山を"シナリオモードの手持ち"』で100人抜きを達成すると、なんと伝説のポケモンであるホウオウを入手することができる。第3世代環境におけるホウオウは幻のポケモンなので本作以外の入手手段は原則存在しない。
(他はFRLG/エメラルドの配布アイテムである"しんぴのチケット"のみ)

本作でのホウオウの入手は一見ハードルが高いようにも思えるかもだが、やや面倒な『全ダークポケモンのリライブ』さえ達成できるようなら十分なんとかなるレベルである。『シナリオモードでの手持ち』という条件も使用ポケモン自体は本作で捕獲したものである必要はない。基本的にはGBA作品から通信交換で連れてきたポケモンで挑むことになるだろう。
敗北しても即終了とはならずパーフェクト勝利をした回数分だけコンティニューも可能なので本家のバトル施設に比べると難易度は低め。敵ポケモンも個体値0で努力値も振っていない(らしい)ため、ある程度育成済みの個体なら旅パであろうとも根気さえあれば突破できるハズ。え、そもそも第3世代で努力値振るのがメンドクサイ?それは…まぁそうだね…。

『コロシアムバトル』は強力なトレーナー8人を相手に連戦を繰り広げる内容。コロシアムはフェナス・パイラ・アンダー・ラルガタワー・オーレの5つが用意され段階的に難易度が上昇していく。フェナス-アンダーはレベル50制限、ラルガタワーはオープンレベル、オーレは隠し扱いでフェナス-アンダーのシングル/ダブル全制覇でレベル50版が、ラルガタワーのシングル/ダブル制覇でオープンレベル版が解禁される。難易度はレベル50版のものよりもオープンレベル版の方が高い。
なおこの時代は『フラットルール』なんて都合のいいモノが存在しない時代なのでレベル50制限のコロシアムだとレベル51以上の個体は問答無用で出場禁止にされてしまう。高レベル入手のポケモンに努力値を振る場合はレベルを上げすぎないよう気を付けるべし。一方でそれ以外に出場制限はなく、当時の本家バトル施設では一貫して出場NGだったグラードン・カイオーガ・ミュウツーなどといった特別なポケモン(いわゆる禁伝)ですら出場可能。その代わりポケクーポン(後述)の取得量が減らされるペナルティはあるが。

コロシアムバトルは総じてGBAのポケモン本編をやりこんでいることが前提の調整となっており、ただでさえ高難易度寄りだった『シナリオモード』から更に難易度が引き上げられているのが特徴。なかでも上級者向けといえる『ラルガタワーコロシアム』『オーレコロシアム』のオープンレベルに至っては600族はおろか準伝・禁伝・幻のポケモンまでなんでもござれ。6V理想個体に限界まで努力値を振った挙句持ち物まで完備したポケモンたちが当時時点で可能だったありとあらゆるコンボを組んで襲い掛かってくる情け容赦無用の代物となっている。
(めざパ厳選してるヤツやこころのしずく持ちラティなんかが出てきます)

思考AIは本編以上にガチなものとなり、一手ミスったら…なんならミスらなくても運負けが常に視野に入るレベルのトンデモ難易度でこそあるが、一方で先に触れた通り対戦相手の順番や戦法は毎回固定なので、『いかにして相手の戦術をメタって潰すか』が重要であるといえる。とにかくこのモードは相手に理想的な動きをされた時点でまず負けると考えよう。
対戦モードの各種バトルに勝利することで『ポケクーポン』と呼ばれる通貨を入手できる。コレは後の時代におけるバトルポイント(BP)のようなもので、消費することでリュガ・カムラ・ヤタピ・ズアといった3世代環境だとレアなきのみや対戦用アイテムとの交換が行える。

そして本作を語るならばやはりBGMのハナシをしないわけにはいかないだろう。本作のBGMは全て当時のジニアス・ソノリティの取締役だった多和田吏氏が担当、後に『ポケモンXD』や『バトレボ』の作曲も手掛け、本作以前では『イーハトーヴォ物語』や『妖精物語ロッドランド』などで知られている。
シナリオモードのマップBGMは世界観に合わせたやや暗めのアヤシイ曲調が多く、バトルBGMとなると一転してヒロイックかつメロディアスなモノが流れ出し、この落差が双方の良さを引き立たせている。またマップ・バトルの双方で多用されているフレーズが存在し統一感がしっかり保たれているところも魅力のひとつ。ゲーム自体のテンポの悪さのせいから同じ曲を長期に渡って聴くことが多いものの、ソレを苦に感じない良曲ばかりである。

バトルBGMは一般トレーナー・悪人寄りなトレーナー・シャドー戦闘員・シャドー幹部などなど相手の立ち位置によって異なるものが個別に用意されておりバリエーションも豊か。ミラーボやその関係者のような一度しか流れる機会のないBGMもあり非常に力が入っている。また対戦モードではポケモンRSの『戦闘!トレーナー』『戦闘!ジムリーダー』『決戦!ダイゴ』のアレンジも流れる。
…ところでポケモンの外伝作品ゆえ例に漏れず本作もサントラの類がリリースされていない。ゲーム内にサウンドテストなんて気の利いたものが存在しないこともあり、気に入った曲をじっくり聴くのがだいぶ面倒なのが困り者。おかげさまで楽曲の大半が正式タイトル不明である。

かつては着メロとして一部の楽曲が配信されていたこともあったのだが、配信サイトは既に消滅済み。結果一般的に呼ばれている曲名もどこまでが公式タイトルでどこからが通称なのかわからないのだ。『Nintendo Music』あたりが現状最後の希望といったところか。
本作の楽曲で個人的にイチオシなのはバトル曲全般。なかでも最初の戦闘で流れる『一般トレーナー戦(通称:青空の下で)』は本作の世界観とはいい意味で真逆の爽やかなさであり印象に残る。あとはスタイリッシュさに長けた『シャドー戦闘員戦(通称:ノーリミット)』、静かに燃える曲調の『コロシアム・セミファイナル(通称:君は戦いに何を見るか)』あたり。

ところで環境構築のハードルがもうワンランク上がってしまうが、ここらで本作の予約特典である『ポケモンコロシアム拡張ディスク』…通称『セレビィディスク』にも触れておこう。コイツを所有していると更に本作による恩恵を受けることができる。
具体的にはコロシアム側の獲得ポケクーポンの累計によって『でんきだまピカチュウ』や『マスターボール』を入手できるほか、シナリオモードで全ダークポケモンのリライブ達成後ならばセレビィ(通称アゲトセレビィ)を最大49匹もゲット可能。言わずもがな3世代環境でセレビィを入手する手段はコレだけである。
(他の幻と違って3世代セレビィは配布が一切ない)

とはいえ2匹目以降のセレビィは『GBA作品の友達に渡す』という扱いになり、そのうえでセレビィを受け取れるのはGBAのカセット1つにつき1度だけ、かつ受け取りには殿堂入りが必要なので、そう簡単にセレビィを大量入手できるかというとちょい違う。まぁ時間をかけていいのなら最大49匹手に入るってだけで大層太っ腹である。そもそもそんなにいっぱいいても困るだけなような。
ちなみに拡張ディスク自体は当時の任天堂関連作品の販促を兼ねたグッズらしく、GCとGBA向けの色々なゲームタイトル…具体的には『マリオ&ルイージRPG』『F-ZERO ファルコン伝説』『ポケモンボックス ルビー&サファイア』などの紹介映像を見ることができる。なおネットを漁るとどうも拡張ディスクは2種類存在するらしく、もう一方には紹介映像ではなく『ポケモンチャンネル』の体験版が収録されていたそうな。

さてさて、単体記事にしては随分長くなってしまったのでそろそろまとめに入らせてもらう。本作『ポケモンコロシアム』は良くも悪くも劇薬のようなゲームである。昨今どころか当時のポケモン作品と比較してもかなり粗が多く、とくに難易度の面だけ見た場合はハッキリ言って初心者には全くオススメできない。
しかしながらスナッチ・リライブの緊張感や独自に形成されたダーティな世界観や雰囲気は間違いなく本作以外のポケモンでは決して味わえないものばかりであり、一度プレイしてしまったが最後、本作特有の味が忘れられなくなってしまう…。そんな作品こそが『ポケモンコロシアム』なのだ。だからこそ今なおポケモンを追っているプレイヤーの中にも未だに本作の舞台である『オーレ地方』に魂を囚われたままのファンが数多く存在するのだ。

ところでそんな本作だがなんと来週に発売を控えた『Nintendo Switch 2』向けのNintendo Switch Online(オンラインサービス)の追加パックである『ニンテンドー ゲームキューブ Nintendo Classics』の配信予定ラインナップに続編ともども含まれていることが先日明かされた。この記事で本作を知った者、或いはかつて本作に挑み挫折した者、そして今なおオーレ地方に魂を囚われたままだった者も、Switch2にて改めてオーレ地方に足を踏み入れてみるといいだろう。
(でも本家と連動できないと対戦モードがポケスタ以上に無理ゲーなのは大丈夫なんだろうか)
『ニンテンドースイッチオンライン + 追加パック(コード)』のAmazonページ
『ポケモンコロシアム拡張ディスク(セレビィディスク)』のAmazonページ
『ポケモンコロシアム最強トレーナーズガイド』のAmazonページ

---おまけ---
『ポケモンコロシアム』は以前、対戦モードのラルガタワーコロシアムに挑んだときの動画をYoutubeに投稿していたことがある。というわけでオマケがてらこっちにも掲載。ぶっちゃけ勝てるとは思ってなかったですね、ええ。
----------