スマブラSPのメイン要素といえばやはり『スピリッツ』である。
これは従来作でいうところのフィギュアであり、つまるところの収集要素である。
が、この数が途轍もなく多い。本当に多い。
その数なんと1302体、従来作のフィギュアも真っ青な数である。
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スピリッツとフィギュアの最大の違いは3Dモデルの有無である。
フィギュアはそれぞれ新規で3Dモデルが用意されていたが、スピリッツは単なる原作絵の流用。理由は間違いなく工数の問題である。
というか、過去作でアレだけの量の3Dモデルを用意できていた方がおかしいのだが。
傍から見ても明らかに工数を食いまくっているように見えたし、こうなるのも当然である。
後は、フィギュアにあった説明文がスピリッツにはない。
これは少なからず不満は出そう。自分も少し残念である。
が、この量のスピリットに説明文なんか付けたら100%スタッフが死ぬので、仕方ない。
スピリッツへの移行において、無くなってしまった部分は主にこの二つである。
無くなってしまったのはやはり残念だが、これらを削ったことから工数が浮いて1302体というトンデモない量(とその他諸々の圧倒的物量)が用意されたのだと思うので、不満はないのである。トレードオフである。
スピリッツは前述したとおり、トンデモナイ量が用意されている。
が、特筆すべきはその量ではなく、網羅している圧倒的範囲である。
マリオやカービィなど、誰もが知っているシリーズはもちろんのこと、それ以外にも『ファミコン探偵倶楽部』や『くりきん』、『マグキッド』などなど、そこそこマニアックなシリーズからも網羅している。
中には『はじまりの森』、『すってはっくん』などのように外部出演がこれまで一切行われていなかったシリーズからの登場もあり、もはやスピリッツに登場しなかったシリーズ作を探すことの方が難しいレベル。
収録スピリットを全て知っていたプレイヤーはかなり少ないのではないだろうか。
個人的に『はじまりの森』に関しては特に思い出深い作品だったので、スピリットで登場したのを見たときにはあまりの嬉しさに変な声が出たのである。
そして人知れず『タイムツイスト』は黒歴史になったようだ。
スピリッツはただ収録されるだけで終わりではない。
収録スピリットの大半は『スピリッツバトル』という特殊ルールで対戦ができる。
スピリッツバトルでは、スピリッツ(とその原作)を再現したルールでの対戦になる。
例えば、先述した『はじまりの森の女の子』のスピリットの場合、『ダックハントステージで霧で画面が覆われた中で、女むらびと&ネスを倒す』という内容になる。
これを原作設定に照らし合わせてみると、ダックハントステージは『背丈程の草が生えた知らずの森』、霧は『あやしの森に入るときに現れる霧』、むらびと女は『女の子、つまり小紫』、ネスは『はじまりの森の主人公、つまりぼく』となる。
流石にBGMは収録されていないので、代わりに『遊遊記メドレー』が流れるが、『はじまりの森』は『遊遊記』など『ふぁみこんむかし話シリーズ』の延長となる作品なので違和感はない。
…と、こんな風にできる限りで原作を再現した特殊ルールがスピリットの数、つまり1300種類近く*も用意されている。
*スピリッツバトルの種類
1300と書いたが、『ショップ限定のスピリット』や『超化スピリット』、『ファイタースピリット』などはバトルに出てこないので、実際にはもう少し少ない。
それでもトンデモナイ数に変わりはないけど。
相手のスピリットに対抗するために、プレイヤーもスピリットをカスタマイズする。
スピリットには『アタッカー』と『サポーター』に分類される。
アタッカーは基本的なパワー、サポーターは特殊能力といった形。
アタッカーは共に戦ってレベルを上げたり、道場に通わせて能力を上げたりできる。
パワーの差がありすぎると、低い方のダメージがロクに通らなくなるので要注意。
これらを組み合わせて相手のスピリットに対応することが攻略のコツになる。
これが実に面白い。
原作を知っているのならば思わずニヤリとできること間違いなし。
スピリッツバトルをひたすら繰り返すモードとして『灯火の星』がある。
発売前からかなりプッシュされているだけあり、今作のメイン要素である。
灯火の星は超ボリュームのアドベンチャー。
あくまで『アドベンチャー』であり、『ストーリーモード』ではないので、Xの『亜空の使者』みたいなものを期待してはいけない。どっちかというとDXのアドベンチャーの方が近い。
完全ソロプレイなので、一人で時間のある時にじっくりと遊ぶといい。
灯火の星自体のバランスはよく練られており、序盤は(ごく一部を除き)敵も弱め、中盤辺りから厳しい敵が出てくるようになり、終盤が強敵揃いになるという形。
一部、特定の能力がないと無理ゲーになりうるスピリットも存在するが、そういった場合は迂回ができるか、すぐ近くに対策できるスピリットがあったりするので安心。
難しくてクリアできなくても、いつでも再挑戦ができる。
灯火の星のマップも数多くの原作を再現しており、ファイターの原作を知っていればより楽しめる。ただ、そこそこ複雑なので迷わないように注意。
後回しにしたスピリットの位置はちゃんと覚えておこう。
そこまで数も多くはないが、ゲーム中で流れるムービーもハイクオリティ、短いながらもキャラごとの特色をよく表した各種ムービーは必見。
原作再現も申し分なし、バランス良し、やりがいありと個人的に灯火の星は最高のアドベンチャーだったのである。
ただし、そもそもスピリッツバトル自体が特殊なルールのオンパレードな上に、そこそこカスタマイズのシステムが複雑なので、あんまり初心者向けではない。
あくまでこのモードに触れるのはスマブラに慣れてからの方がいいと思う。
灯火の星だけでも結構な数のスピリッツバトルができるものの、全てのスピリッツを網羅できるわけではない。
残りを集めるためには『スピリッツボード』に挑戦する必要がある。
スピリッツボードはランダムで選ばれたいくつかのスピリットの中から好きな相手を選んで挑戦ができる。
灯火の星に出てこないスピリットは基本的にこちらで粘ることになるが、なんとなくスピリッツボードは『自分が持っていないスピリット』に対して補正がかかっているように感じたのですぐに揃えられると思う。どのスピリットを所持しているかは一目でわかるので安心。
灯火の星とは異なり、こちらは基本的に一発勝負なのでなかなかにシビア。
ただし、持ち込みアイテムを使うことで自分有利な状況で始めることができるので、これを有効活用するのがコツ。
全体的に難易度は高めに感じたものの、数々の原作再現と、圧倒的な網羅範囲に驚かされてばかりだったので、かなり楽しみながら集めることができたのである。
ちなみにコンプリートまでにかかる時間はだいたい100時間、各種モードをやりこむ必要があるので、スピリッツを集めることに楽しさを覚えれば、自ずと今作のすべての要素を楽しめる。
スピリッツは先日のアプデでも更に増えたので、今後もきっと増えると思われる。
これからも楽しみなのである!