任天堂製ADVである『ふぁみこんむかし話』シリーズの2作目、
『ふぁみこんむかし話 遊遊記』、ついにクリアできたので感想を書くのである。
『ふぁみこんむかし話』シリーズに共通しているポイントとして『昔話を下地にしたオリジナルストーリー』というものがあり、今作は『西遊記』がテーマ。
ちなみに、前後編ディスク*である。
*前後編ディスク
ディスクシステムのADVで時々存在する類のゲーム。
ソフト一つだけでは完結せず、前編と後編のディスク両方を使うことで最後まで遊べるようになる。
通常のソフトに比べて表現がパワーアップしていたり、ボリュームがアップしたりするのが魅力だが、プレイ中は前編のA/B面と後編のA/B面をちょくちょく入れ替える事になるので面倒くさい。
ちなみに、後編ディスクだけではゲームの機動すらできない。
生憎、自分は西遊記なんて中学生くらいの時に文庫本を読んでいた程度の知識しかないので、どこまでが原作通りで、どこからがオリジナルなのか曖昧。
なので原作に関連した感想の個所は話半分に読んでほしい。
主人公は西遊記でお馴染みの『ごくう』と
今作オリジナルキャラの『ちゃお』。
(この二人は名前変更が可能)
メインはこの二人で、そこに更にサブ主人公で
『さんぞう』『はっかい』『ごじょう』が登場する。
パッと見だとそこらのADVと変わらないようにも感じるが、
今作には他作品と一線を画すシステムがある。
それこそが『ひとかえる』システムである!
『ひとかえる』…平仮名だとわかりづらいが、漢字だと『人変える』…
つまり、『現在プレイしているキャラを変える』というもの。
このシステムのおかげで、攻略がかなり面白い。
『キャラが別行動しているときにそれぞれの行動を決められる』というのはもちろん、
『キャラを変えることにより、キャラが使えるアクションも変わる』というのが一番の魅力。
先ほど挙げた主人公のうち、3人は妖怪であり、各々が人外の能力を持つ。
悟空なら圧倒的な戦闘能力や筋斗雲、如意棒、
八戒なら変化と千里眼、
悟浄なら水中行動と読心。
(千里眼と読心は今作オリジナルかな)
これらを状況に応じて使い分けていくのが攻略のポイントとなる。
人間である三蔵もスケベな行動力やら禁箍呪やらもあるので攻略に役立つこともある。
ちゃおは他に比べるとできることは少ないものの、ぶっちゃけ操作できる機会も少ないのであんまり問題にはならないような。
物語自体は西遊記そのまま…なんてことは一切なく、
序盤の時点で『バイクに乗って砂漠を駆ける三蔵法師』、
『欲望に忠実に仲間入りを果たす八戒』といい感じにトばしてくれる。
(しかも三蔵のバイクは設定だけ見ると西遊記に忠実という)
最初はなんじゃこりゃという感想だったが、物語が進むにつれてこのメンバーの面白おかしい旅にのめりこむようになってくる。
物語のクオリティはかなり高く感じた。
どこか脱力感あるテイストに、時々考えさせるような描写、少しずつではあるが互いに目的に向かって進み続ける三蔵一行とちゃお…。
前編は全体的にギャグテイストの展開が多く、難易度も低めだが、後編になると打って変わってシリアス展開が増え、難易度も上がる。
シナリオ面における一番の魅力はやはり悟空の成長にあり、最序盤の暴れ猿から終盤の『あるシーン』までの成長を見ていくのが一番面白い。
悟空の精神面での成長は西遊記でも描かれていたような気もするが、こちらでは西遊記とはまた違った形で、違った魅力を引き出す形で描かれている。
後に発売された『はじまりの森』と同様に、特定の場面でアクションを要求されることもある。けど難易度はそこまで高くはなかったので一安心。
もしも失敗してゲームオーバーになってもすぐにやり直せるから更に安心。
システム面もかなり親切で、特に『いったいさん』のコマンドはディスクシステムであることを考えるとかなりありがたい。
(所謂クイックセーブのこと、ディスクシステムのセーブは長いので案外馬鹿にならない)
何はともあれ、これまでずっとプレイしたかったゲームをこうして楽しむことができてよかった。
おまけ
ところで、このシーンは遊遊記前編のワンシーン。
これを見てデジャヴを感じた貴方は立派なカービィフリーク。
そう、カービィ2のサウンドテストと同じシーンである。
むしろカービィ2の方が遊遊記の画像を流用したのか。
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