1985年、STG史に残る大傑作『スペースハリアー』がゲームセンターにて稼働を開始した。その衝撃はあまりにも大きく、『この名作を家庭でも楽しめないものか…』と数々のメーカーがSEGAからライセンスを取得し本作を移植した。マスターシステム・PCエンジン・ファミコン・ゲームギア、SEGA内外を問わず数多の家庭用ゲーム機に移植されたスペハリは各々独自の魅力を発揮した。これによって新たなファンを獲得していくことにも成功した…。だがひとつ問題があった。この時点ではまだどの家庭用ゲーム機でも『スペースハリアーの完全移植』を成し遂げられていなかったのだ。
とはいえこれらはどれも8bitのゲーム機だったことを忘れてはならない。この時代では携帯機のゲームギアはおろか据置機のマスターシステム・PCエンジン・ファミコンですら当時の最高峰であるゲームセンターのド派手なゲームを移植するにはスペックが圧倒的に足らなかったのである。ところで1988年、新世代の到来を告げるあのハードがやってきた。そう、SEGAが誇る16bitハード『メガドライブ』である。その姿が示す通りコイツのスペックは過去のソレとは比較にならない。なんてったって16bitの高性能なのだから!しかもローンチタイトルにはスペハリの続編である『スペースハリアーII』!これはもう『スペハリII』でそのスペックを見せつけてくれるに違いない!!
…で、結論から言おう。『スペハリII』で伝わったのは『ゲーセンのスペハリを楽しむには16bitでも性能不足』という悲しい現実であった。世界観やキャラデザについては関係ないのでひとまず置いておくとして、肝心のゲーム部分はアーケードのスぺハリと比較すると天と地ほどの差があった。低いフレームレート、ボス戦で止まるスクロール、お世辞にも早いとはいえないゲームスピード…スぺハリ最大の魅力の一つともいえるスピード感が、明らかにアーケードのソレから大きく劣ってしまっていたのだ。
一応フォローしておくと『スぺハリII』は『スぺハリ』とは異なる楽しみ方ができ、同じく家庭用機でリリースされたSMS版の『スぺハリ』『スぺハリ3D』と比較するならば順当に進化している…ということはハッキリ伝えておく。あくまで『アーケード版のスぺハリの続編』と考えると肩透かしになってしまうというだけなのだ。この辺りは過去記事でがっつり語っているのでそちらを参照していただきたい。
その後も16bitの性能を持つハードが他社からも発売されるようになったが、それらにスペースハリアーが移植されることはなかった。もっともコレについてはライバルにスぺハリ等自社IPの移植許可出してた8bit時代がおかしいだけだが。だがしかし仮にそれらのハードにスぺハリ移植が出たとしても、これまで同様にアーケード版とは大きくかけ離れたアレンジ移植となっていたことは想像に難くない。スぺハリの完全移植は16bit程度の性能では不可能なのだから。
…そしてスぺハリの稼働から実に9年が経過した1994年、ついに転機が訪れる。メガドライブの性能を32bit機相当に引き上げるアップグレードブースター『スーパー32X』が登場したのだ!16bitなどに希望を持っていた時代はもう古い。これからは32bitの時代である。『32bitの高性能であればスぺハリでも或いは…?』、その疑問の答えはすぐに出されることとなる。スーパー32Xと同時にリリースされたローンチタイトル3本…その中にはあの『スペースハリアー』の姿があった!!
(実はこの時点でセガサターンも発売済みなのですが、それはひとまずおいておきます)
今宵語る作品は『スーパー32X』版の『スペースハリアー』である!つい先ほどもちょこっと名前が出てきたスーパー32Xというのはメガドライブの周辺機器のひとつ。世間一般でいうところのメガドラタワーの一番上にあるアレのことである。過去記事で既に一度紹介しているので、そちらを読んでいただければ最低限の知識は身につくはず。
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